【医師監修】長谷川式認知症スケール(HDS-R)とは?他の認知症検査と比較して解説

この記事は医師に監修されています

中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長

矢野 大仁 先生

「長谷川式認知症スケール(HDS-R)とはどんな検査?」

「他の認知症検査とどのような違いがあるの?」

このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

長谷川式認知症スケール(HDS-R)は、認知症の疑い、認知機能の低下を早期に発見することができる簡易検査手法として知られています。しかし、実際のところ長谷川式認知症スケールがどのような検査なのか、やり方や他の認知症検査との違いがよくわからない、という方もおられるでしょう。

この記事では、長谷川式認知症スケールについて、やり方や評価項目・注意点などの基本情報を他の認知症検査と比較してわかりやすく解説します。

この記事をご覧になれば、長谷川式認知症スケールのことがよくわかるでしょう。

長谷川式認知症スケール(HDS-R)についてざっくり説明すると
  • 長谷川和夫医師によって開発された認知症の簡易検査手法である
  • 所要時間が約5〜10分と短時間である
  • 30点満点中20点以下で認知症の疑いがある

長谷川式認知症スケール(HDS-R)とは?

長谷川式認知症スケール」は、長谷川和夫医師によって開発された認知症の簡易検査手法です。齢をとると物忘れが増えますが、認知症の疑いもあります。認知症は早期診断・早期対応により、発症を遅らせることや進行予防につなげることもできます。

そこで必要とされるのが、本当に認知症なのかを簡易に推定できる手法です。長谷川式認知症スケールは、次のような特徴があり日本で主流のスクリーニングテストになっています。

  • 所要時間が約5〜10分と短時間である
  • 30点満点中20点以下で認知症の疑いがある
  • 認知機能の中でも記憶力に関する項目で構成される
  • 用意するものは日用品だけで簡単に準備できる
  • テストの妥当性が高い

誰でも身の回りの物を使ってできる検査です。ただし、あくまでも認知機能の低下をチェックする検査で、診断結果は参考に過ぎません。実際に認知症か否かの診断は、専門医師の問診や検査・画像診断などを通じて下されます。

長谷川式認知症スケールに必要なものは?

長谷川式認知症スケールで評価を行う際に必要な検査用具は、次のとおりです。日常的によく使っているものばかりですので、検査を始める前に準備しておきましょう。

  • 評価用紙
  • 筆記用具(鉛筆・消しゴム)
  • 5つの道具(ハサミ・時計・定規・鉛筆・鍵・硬貨・ブラシ・スプーン・皿など)

5つの道具は、互いに関連のない身近なもので代用できます。本人の年齢も確認しておきましょう。

長谷川式認知症スケールのやり方・評価項目は?

長谷川式認知症スケールの表

ここでは、長谷川式認知症スケールのやり方・評価項目を紹介します。評価項目・設問は9つです。具体的な評価方法を解説していきます。

【設問1】年齢

最初に検査を受ける方の「年齢」の質問から始めます。

【問題】

「年齢はいくつですか?」と質問します。

【点数】

1点 or 0点:本人の年齢を正しく答えることができたら1点、年齢を答えられなければ0点になります。

【注意点】

  1. 2年までの誤差は正解とします。数え年で覚えている方や、誕生日を迎えているかどうかで2年未満の誤差が生まれる可能性があるからです。
  2. 生年月日を言うことができても、年齢を答えられなければ不正解とします。

【設問2】日付に関する見当識

次に、「日付の見当識」の検査を行います。

【問題】

以下の質問をします。

  • 「今日は何年ですか?」
  • 「何月ですか?」
  • 「何日ですか?」
  • 「何曜日ですか?」

【点数】

  • 1点 or 0点:年が答えられたら正解です。
  • 1点 or 0点:月が答えられたら正解です。
  • 1点 or 0点:日が答えられたら正解です。
  • 1点 or 0点:曜日が答えられたら正解です。

【注意点】

  1. 年・月・日・曜日をいずれから質問しても良いです。
  2. カレンダーなど、年・月・日・曜日がわかるものがない場所で質問しなければなりません。

【設問3】場所に関する見当識

次に、「場所の見当識」の検査を行います。

【問題】

「私たちが今いるところはどこですか?」と質問します。

【点数】

  • 2点:ヒントなしで自発的に正解
  • 1点:家ですか?病院ですか?施設ですか?などのヒントより選択して正解
  • 0点:いずれでも不正解

【注意点】

  1. 病院名など正しい名称が言えなくでも、現在いる場所が基本的にわかっていれば正解とします。
  2. ヒントは5秒程度まっても答えがない場合に出します。「デイサービスですか?」など別の表現に変更しても構いません。

【設問4】言葉の記銘

続けて、「言葉の記銘」の検査を行います。

【問題】

以下のように指示します。

  1. 「これから言う3つの言葉を言ってみてください」
  2. 「後でまた聞きますのでよく覚えておいてください」

3つの言葉は、「桜・猫・電車」または「梅・犬・自動車」のどちらかを使います。

【点数】

  • 1点 or 0点:「桜」と答えたら正解
  • 1点 or 0点:「猫」と答えたら正解
  • 1点 or 0点:「電車」と答えたら正解

【注意点】

  1. 3つの言葉は、それぞれ関係性のないものを使用します。
  2. 3つの言葉を答えたら、必ず後で聞くことを伝え、3つの言葉を覚えてもらいます。

【設問5】引き算の計算

続けて、「計算」の検査を行います。ごく簡単な引き算です。

【問題】

次のように問います。

  1. 「100から7を引いてください」
  2. 「それからまた7を引くと」

【点数】

  • 1点 or 0点:「93」と答えられたら正解
  • 1点 or 0点:「86」と答えられたら正解

【注意点】

  1. 最初の引き算が正解でなかったら、それ以上の計算はさせずに打ち切り、0点とします。
  2. 2つ目の問いで「93から7を引くと」などのヒントを与えてはいけません。

【設問6】数の逆唱

次に、「日付の見当識」の検査を行います。

【問題】

「私がこれから言う数字を逆から言ってください」と指示し、次の数字を伝えます。

  1. 「6-8-2」
  2. 「3-5-2-9」

【点数】

  • 1点 or 0点:「2-8-6」と答えられたら正解
  • 1点 or 0点:「9-2-5-3」と答えられたら正解

【注意点】

  1. 数字は1秒間隔くらいのゆっくりしたスピードで伝えます。
  2. 最初の3桁で失敗したら、そこで打ち切ります。
  3. 「1-2-3を反対から言うと」などと、練習問題を入れても良いです。

【設問7】単語の遅延再生

次に、「言葉の遅延再生」の検査を行います。

【問題】

以下のように問い、設問4で覚えてもらった言葉(「桜、猫、電車」または「梅、犬、自動車」)を答えてもらいます。

「先ほど覚えてもらった言葉をもう一度言ってみてください」

【点数】

各言葉につき、

  • 2点:自発的に正解する
  • 1点:ヒントにより正解する
  • 0点:いずれも間違える

【注意点】

  1. それぞれの言葉について、「植物」「動物」「乗り物」のヒントを与えても良いです。
  2. ただし、すぐには全ての項目のヒントを与えないようにします。

【設問8】5つの物品再生

次に、「物品再生」の検査を行います。これは、「視覚記憶」の評価を行うものです。

【問題】

「これから5つの品物を見せます、それを隠しますので何があったか言ってください」と指示し、5つ物品を提示します。

【点数】

各物品につき、

  • 1点 or 0点:5つのうち1つの物品名を思い出せたら正解

【注意点】

  1. 5つの物品は、時計・鍵・ペン・硬貨・カップなど必ず相互に関係のないものを用意します。
  2. 物品は1つずつ名前を言いながら目の前に置きます。
  3. 5つ並べ終ったところで、1つずつ名前を理解しているか確認しましょう。
  4. 最後の1つが出てこない場合も、すぐに終わりにしないで、なるべく本人に思い出してもらえるように少し待ちます。

【設問9】言葉の想起・流暢性

最後に、「言葉の流暢性」の検査を行います。

【問題】

「知っている野菜の名前をできるだけ多く言ってください」と指示します。

【点数】

  • 0点:0〜5個以内しか答えられない場合
  • 1点:6個を答えられた場合
  • 2点:7個を答えられた場合
  • 3点:8個を答えられた場合
  • 4点:9個を答えられた場合
  • 5点:10個を答えられた場合

【注意点】

  1. 途中で回答に詰まった場合は、約10秒待っても返答がなければそこで打ち切ります。
  2. 同じ野菜の名前が重複しても否定せず、そのまま記録用紙に記載し、重複した物を後で減点するようにします。

長谷川式認知症スケールのカットオフの点数は?

ここでは、長谷川式認知症スケールのカットオフの点数について、解説します。認知機能の障害が、加齢によるものか、それとも病気によるものかを判断する際の基準となる値が「カットオフ値」です。

一般的なカットオフ値は20点

一般的なカットオフ値は20点です。つまり、30点中20点以下であれば認知症の疑いがあると判断されます。

ただし、この点数だけで認知症と確定的に診断されるものではありません。スクリーニングテストにより、あくまでも認知症の疑いがあるとの判断ができるというだけです。

そうは言っても、長谷川式認知症スケールにより認知症が疑われるときは、必ず医療機関で診断してもらうようにした方が良いです。

重症度別のカットオフ値

長谷川式認知症スケールは、認知症のスクリーニングテストを目的にしていますので、得点による重症度分類は基本的に行いません。

ただ、いろいろな論文で重症度の研究が行われています。以下にその例を紹介します。

認知症の重症度別の平均得点

重症度 平均得点
非認知症 24.45±3.60点
軽度認知症 17.85±4.00点
中等度認知症 14.10±2.83点
やや高度認知症 9.23±4.46点
高度認知症 4.75±2.95点

出典:『図解理学療法検査・測定ガイド』

MCI(軽度認知障害)の基準は明確にされていない

MCI(Mild Cognitive Impairment、軽度認知障害)は、アルツハイマー病などの認知症の前段階の状態を表わします。認知症とまでは言えないが健常でなく、数年後に認知症に移行する可能性がある状態です。

現状では、認知症が進行した段階での治療が確立していませんので、初期の特徴を明らかにするMCIが注目されています。

長谷川式認知症スケールでは、MCIの基準値は明確に決められてはいませんが、後ほど説明するMMSEではMCIの基準が定められています。MCIの疑いがある方は、MMSEを受けることをおすすめします。

長谷川式認知症スケールの評価を行う際の注意点

ここでは、実際に長谷川式認知症スケールの評価を行う際の注意点をまとめておきます。

まず、長谷川式の評価点数が低かったとしても、必ずしも認知症とは限らないことです。認知機能の低下は、いろいろな要因で起こります。たとえば、うつ病などで低下することや、コンディション次第で数値が変動することもあるのです。ですから、長谷川式認知症スケールだけで決めるのではなく、鑑別診断などの他の手段によって確認する必要があります。

また、評価時の具体的な注意点として、次のようなことがあります。

  1. 評価対象者が難聴の場合、どれくらい聞き取り可能かを事前に確認して適切に対応する。
  2. 評価対象者に失語症の疑いがある場合、設問8と9を最初に行い、適切に評価できるかを確認する。
  3. 各質問について10秒間返答がなければ、次の検査に進む。
  4. HDS-Rの評価内容を訓練用に使わない。

さらに、本人の「自分が認知症と疑われている」と思う感情なども考慮し、取り組みやすくする配慮も必要です。

認知症対応が可能な施設はこちら

長谷川式認知症スケールを受ける方法

ここでは、長谷川式認知症スケールを受ける方法を解説します。

長谷川式認知症スケールは、医療保険を使って受けることができます。2018年度の診療報酬改定により、保険医療審査で行える検査の1つに認定されたのです。

ですから、物忘れ外来や認知症専門外来があるクリニックや病院において、専門家によるチェックを受けることができるようになりました。

検査に必要な費用はどのくらい?

検査に必要な費用は、次のとおりです。

検査のみの保険点数は80点(800円)です。実際に検査に必要な費用は、医療保険の負担割合に応じて決まります。3割負担の方であれば240円、2割負担の方なら160円、1割負担の方は80円です。

再診料やその他の検査料は、別途必要になります。(なお、保険点数や料金は、2020年度現在の情報です。)

家庭で長谷川式認知症スケールを行う場合の注意点

ここでは、家庭で長谷川式認知症スケールを行う場合の注意点をまとめておきます。

家族や身近な人が検査を実施する際のポイント

長谷川式認知症スケールは簡易な手法でやり方さえ覚えればどなたでもできます。ですから、認知症が心配で家族や身近な人が、検査してみようとすることも多いと思います。

ただ、前にも述べたように、長谷川認知症テストの点数だけで必ずしも認知症だと言えるわけではありません。認知症かどうかの正しい評価をするためには、専門的な知識・技術が必要になります。

認知症かどうかの最終的な判断は必ず専門の医療従事者にお願いするようにしましょう。

家庭で検査を実施する時のポイント5選

以下に家庭で検査する場合の5つのポイントをまとめておきます。あくまでも参考としてご覧ください。

検査を受ける人の耳の聞こえが悪くないかチェック

検査を受ける方の耳の調子が良くなく、しっかり聞きとれない場合もあるでしょう。そのような場合は、設問を聞き間違えることもあり、正しい評価を行えない懸念があります。

受検者が難聴の疑いがあるときは、聞こえの状況を確認したうえで、意識してゆっくり・はっきり質問するようにしましょう。

検査に適した環境か注意

検査をする場所が検査に適した環境かも大事なポイントです。他の人がいたり、出入りが多いと受検者も落ち着きません。

また、テレビの音などが気になる環境では検査に集中できません。気持ちよくリラックスして検査を受けられる環境を整えておくようにしましょう。

検査の内容を覚えていないか確認

検査の内容を覚えていないかの確認も欠かせません。何度も長谷川式認知症スケールの検査を受けている方は、質問項目や答え方を覚えてしまいます。

いわゆる学習効果が生まれてしまうと正確な評価を実施し難くなる恐れもあります。

うつ病など精神症状が悪くないか

うつ病など精神症状が悪い場合も、検査結果に影響してしまいます。認知機能は、受検者の精神状態によって大きく変化する可能性があるからです。

何らかの精神症状が危惧されるのであれば、医療機関で受診する方が良いです。

検査を無理強いしないのが重要

検査を無理強いしてはいけません。認知症でないかと疑われること自体で自尊心を傷つけられてしまう場合があります。

大事なのは、検査を受ける方を思いやることです。プライドを傷つけないことはもちろん、本人の精神状態への適切な配慮が必須です。

失語症の場合は8・9からスタート

失語症の疑いがある方を評価する場合も注意が必要です。失語症の方は、自分の考えをうまく表現できないために、適切な評価ができない場合があるからです。

最初に、設問8と設問9のテストを行って、適切な評価が可能か確認しましょう。

プライドを傷つけず信頼関係を保とう

家族や身内の方が検査するときは、本人のプライドを守り信頼関係を保つよう心がけましょう。認知症は、早期発見・早期治療が望ましいですが、大切なのは、検査を実施することではありません。

日常会話などを通じて「認知症の兆候に気づくこと」ができれば、それで良いのです。

他の認知症テスト・判定方法と比較すると

ここでは、長谷川式簡易知能評価スケールを他の認知症テスト・判定方法と比較して見ていきます。

MMSE(ミニメンタルステート検査)

MMSEは、長谷川式簡易知能評価スケールとよく比較される手法です。

下の表は、MMSEと改訂版長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)を比較した一覧です。

MMSE 改訂版長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
開発 1975年に米国 1974年に日本
所要時間 10~15分程度 5~10分程度
項目数 11項目 9項目
評価能力 見当識・記憶・計算・言語能力・図形能力 見当識・記憶・計算・言語能力
満点 30点 30点
認知症疑いとなる基準 23点以下 20点以下
軽度認知障害(MCI)疑いとなる基準 24点以上27点以下 -
回答方法 口頭、記述、描画 全て口頭

どちらの検査手法も古くから広く利用されています。違いは、HDS-Rは、MMSEよりも記憶力の評価に重点が置かれていることです。

また、MMSEは、失語や麻痺のため検査できない項目があるときは省略されます。ですから、このような症状が認められるときは、HDS-Rがおすすめです。

HDS-Rは軽度アルツハイマーを発見しやすい

MMSEの点数が著しく低いときは、脳血管性認知症の疑いもあります。専門医に相談した方が良いです。

これに対して、HDS-Rは、記憶力がメインの質問形式になっており、軽度アルツハイマーを発見しやすいです。点数が低い場合は、軽度を含めアルツハイマー型認知症の可能性が疑われます。

参考文献:伊集院睦夫. 軽度アルツハイマー型認知症に対するスクリーニング・ツール

時計描画テスト(CDT)

時計描画テスト(CDT)は、視空間認知と構成能力を評価できる簡易な検査方法です。具体的な時刻を伝えて、時計を正確に描けるかどうかをチェックします。

時計の描画は、年齢などの影響を受けにくく、検査への抵抗も少ないため、自動車運転免許更新時の認知機能テストでも使われています。

認知症の場合、たとえば、以下の図のようになってしまい上手に描けません。

時計描画テスト(CDT)

Mini-Cog

Mini-Cogは、3語の即時再生、時計描画、そして遅延再生を組み合わせたスクリーニング検査です。2分以内でできる簡単な検査です。

最初のステップ1では、日常的に使う3つの言葉を伝えて、繰り返してもらい、その言葉を覚えてもらいます。次に、ステップ2の時計描画テストに進み、最後のステップ3で、最初の3つの言葉の記憶確認をします。

DASC-21(Dementia Assessment Sheet for Community-based Integrated Care System-21 items 地域包括ケアシステムにおける認知症アセスメントシート)

DASC-21は、導入のA・B項目と21項目の評価項目からなる評価シートです。簡便で5-10分程度の短時間で実施できます。

認知機能障害と生活機能障害を総合的に評価できますが、特に軽度認知症の生活機能障害を検出しやすいです。また、介護職員やコメディカルでも簡単な研修を受講することにより容易に行えます。

ABC-DS(ABC dementia scale ABC認知症スケール)

ABC-DSは、日本の研究者が開発した13項目9件法の行動観察式スケールです。10分程度の試験で、アルツハイマー型認知症患者の重症度を評価できます。

評価者は、患者のADL・BPSDや認知機能に関する最近のエピソードを介護者から聞き取り採点するものです。長谷川式認知症スケールなどの標準的スケールとの相関があります。

MoCA(Montreal Cognitive Assessment)

MoCAは、10分程度の試験です。MoCAまたは日本版MoCA-J(Japanese version of MoCA)は、視空間・遂行機能、命名、記憶、注意力、復唱、語想起、抽象概念、遅延再生、見当識から構成されています。

軽度の認知機能低下をスクリーニングすることが主な目的で、30点満点で25点以下がMCIとされます。また、MMSEよりも糖尿病患者の認知機能障害を見出せます。

脳画像検査

脳画像を利用した認知症検査にはCT・MRI・VSRADなどの検査があります。脳の萎縮や脳卒中や脳腫瘍などの疾患の有無を確認できます。。VSRADはMRIを用いて海馬や脳幹の萎縮度合いからアルツハイマー病やレビー小体型認知症の診断をします。他にも脳血流を見るSPECTでは、その血流分布のパターンから様々な認知症の診断を行います。

認知症の疑いがある場合はすぐ病院へ

認知症は早期発見・早期治療が大事です。認知症の疑いがあるときは、早めに病院へ行き認知症であるかどうかの検査を受けましょう。

まずは、認知症の有無と、具体的にどのような認知症であるのかを診断してもらうことです。改訂長谷川式認知症スケールで疑いがあるのなら、不安を抱えたままにしてはいけません。

必ず専門家に相談すべきです。そして、専門家の指示に従い、必要ならCTやMRIなどの脳検査も積極的に受けましょう。認知症は早期治療を行うことで進行を遅らせることができます。

認知症対応が可能な施設はこちら

長谷川式認知症スケール(HDS-R)についてまとめ

長谷川式認知症スケール(HDS-R)についてまとめ
  • 評価項目は年齢・日付の見当識など9つである
  • 評価を行う際は、評価対象者が難聴や失語症などの場合に注意が必要である
  • 認知症のテストは、MMSE・時計描画テスト・Mini-Cogなどや脳画像検査もある
  • 認知症の疑いがあるときは必ず病院で検査を受ける

長谷川式認知症スケール(HDS-R)について、やり方などの基本情報を他の認知症検査と比較して解説しました。

長谷川式認知症スケールは、認知症の疑いや認知機能の低下を早期に発見できる有効な簡易検査手法です。この記事を参考にして長谷川式認知症スケールへの理解を深めて、上手に活用してください。

この記事は医師に監修されています

中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長
中部療護センター副センター長
岐阜大学連携大学院脳病態解析学分野 准教授(客員)

矢野 大仁(やの ひろひと) 先生

1990年岐阜大学医学部卒業、医学博士。大雄会病院などの勤務を経て、学位取得後、2000年から岐阜大学医学部附属病院脳神経外科助手。2010年 准教授、2013年 臨床教授・准教授、2020年4月から現職。日本脳神経外科学会専門医・指導医、日本脳卒中学会専門医。脳卒中の他、脳腫瘍、機能的脳神経外科など幅広い診療を行っている。患者さんが理解し納得できるようにわかりやすい説明を心がけている。

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