【医師監修】認知症の基礎知識|種類・予防の方法から原因・症状まで全て解説

この記事は医師に監修されています

中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長

矢野 大仁 先生

「認知症になるとどうなるの?」

「認知症には予防法があるの?」

このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

認知症は脳の認知機能が下がり、生活に困難が生じた状態です。

高齢者の人口が増加傾向にある昨今、認知症患者の人口数も増加しており、今後も増加することが懸念されることから若い世代の人にとっても関係がないとは言い切れません。

今回は、認知症とはどんな病気なのかについて、種類・予防方法・原因・症状まで徹底解説します。

認知症の基礎知識についてざっくり説明すると
  • 認知症は脳の病気や障害などの様々な原因によって、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出た状態
  • 見当識障害・失語・被害妄想・徘徊などの症状
  • 症状は次第に進行していく

認知症とは?

認知症のおばあさん

認知症とは、脳に起きた異常によって日常生活全般に支障をきたしてしまうレベルの認知機能低下がみられる状態を指します。

「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」では、2020年の65歳以上の高齢者の認知症有病率は16.7%、人数にすると約602万人と推測され、現代の日本では6人に1人程度が認知症であると言えます。

認知症は、高齢者の増加に伴って患者が増加する傾向にあると言われおり、今後の日本を考える上で切っても切れない問題と言えるでしょう。

軽度認知障害(MCI)

認知症の前段階として、軽度認知障害というものがあります。

「MIC(Mild Cognitive Impairment)」は軽度認知障害とも呼ばれ、健常な状態と認知症の初期段階の狭間にある状態です。

もの忘れなどが主な症状となりますが、生活に支障はほとんどない状態で、認知症と診断はできません。

厚生労働省によれば、軽度認知障害(MIC)の定義を以下のように挙げています。

記憶力に障害があって物忘れの自覚があるが、記憶力の低下以外に明らかな認知機能の障害がみられず、日常生活への影響はないかあっても軽度のものである 厚生労働省 eヘルスネット 軽度認知障害

これは

  • 教育レベル・年齢などの影響ではない記憶障害
  • 本人や家族によって物忘れの指摘がある
  • 全般的な認知機能は健常状態とほぼ同じ
  • 日常生活にはほとんど支障がない
  • 認知症ではない

という特徴があると言えるでしょう。

【医師監修】MCI(軽度認知障害)とは?症状や早期発見のためのチェック方法まで紹介

認知症ともの忘れの違い

認知症ともの忘れは類似するポイントが多く混同されがちです。

この2つの大きく異なるポイントについて、以下の表で示しています。

認知症でみられる「もの忘れ」 年齢に伴う心配いらない「もの忘れ」
内容 自分の経験した出来事を忘れる 一般的な知識や常識を忘れることが多い
範囲 体験したこと全体を忘れる 体験の一部を思い出せない
最近の出来事を思い出せない
覚えていたことを思い出せない(ど忘れ)
ヒントを与えると ヒントでも思い出せない ヒントで思い出せることが多い
記憶障害の進行 緩徐に進行していく 何年たっても進行·悪化していかない
自覚 自覚していない(病識なし)
深刻に考えていない
自覚しており、必要以上に心配する
日常生活 支障あり 支障なし
その他の症状 あり(物事を段取りよく行えないなど) なし
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主な認知症の種類

認知症にはいくつかの種類があり、その中で三大認知症と呼ばれるものがあります。

最も症例が多く、認知症患者のおよそ半数を占めると言われているのが、アルツハイマー型認知症です。

次いで脳血管性認知症・レビー小体型認知症の2つがあり、これらの三大認知症が全体の約85%を占めていると言われています。

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は最も患者数が多い認知症です。

アルツハイマー型認知症の原因は、βたんぱく・タウたんぱくという異常なたんぱく質が脳にたまって神経細胞が死んでしまうことです。

脳神経が変性していき、それにより脳の一部を萎縮し、その過程でアルツハイマー型認知症が発症することが分かっています。

アルツハイマー型認知症とは?症状や原因・患者さんへの対応法をわかりやすく解説!

若年性アルツハイマー

若年性アルツハイマーは、64歳以下のアルツハイマー型認知症を指しますが、10代の発症例もあるため高齢者だけに限らず、若い年齢においても発症する病気です。

若年性アルツハイマーは、医師が患者の年齢の低さから認知症を疑わなかったり、うつ・更年期障害などと間違われやすかったりするため、最初から正確な診断がなされる事は少なく、時間がかかります。

厚生労働省の補助事業による調査によれば、若年性アルツハイマーを患った患者の数は全国で10万人前後とも言われますが、正確な実態はわかっていません。

原因の多くは、脳にたまる異常なたんぱく質ですが、頭部損傷などの事故による後遺症でも発症します。

脳血管性認知性

脳血管性認知症は、脳梗塞・脳出血など脳の病気によって発症する認知症で、アルツハイマー型認知症に比べて男性患者の割合が高く、女性の2倍近くの発症率と言われています。

また、脳の血管に障害が生じることで発症するため、脳の場所や障害によって症状の程度が異なることも特徴です。

若い世代の発症例も少なくありませんが、ほぼ同じ症状が出現することから高次脳機能障害と診断されることがあります。

ただし、機能回復の見込みが高い高次脳機能障害に比べ、脳血管性認知症は機能低下が徐々に継続していくという違いがあります。

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レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、大脳の神経細胞の中に「レビー小体」と呼ばれる異常なたんぱく質の塊が現れるために引き起こされる認知症です。

実際にはいない人が見える「幻視」・眠っている間に怒鳴ったり、奇声をあげたりする異常言動などの症状が特徴的ですが、手足が震える・小刻みに歩くなどパーキンソン病のような症状がみられることもあります。

頭がはっきりしたり、ボーッとしたり、日によって症状の程度が変動することも特徴的です。

前頭側頭型認知症(ピック病を含む)

前頭側頭型認知症とは、脳の神経変性によって脳の一部である前頭葉・側頭葉前方の委縮がみられ、他の認知症にはほとんどない特徴的な症状を示す認知症です。

神経細胞が徐々に減る・一部に本来みられない細胞ができることによって脳が委縮することで発症する一般的な認知症と比較し、前頭側頭型認知症では「Pick球」という球状物が脳に見られる場合があります。

Pick球が現れた場合、前頭側頭型認知症の中でも区別して「ピック病」と呼びますが、ピック病は前頭側頭型認知症のうち約8割を占めます。

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認知症の症状と対応法

認知症の症状には、中核症状・周辺症状(BPSD)があり、介護者や家族はそれらの症状の正しい対応法を学ぶ必要があります。

中核症状とは、脳の神経細胞の障害によって起こる認知機能障害であり、「新しいことが覚えられない」「日付や場所がわからない」「物事の段取りができない」などがあり、初期からほぼすべての人に認められる症状です。

一方、BPSDと呼ばれる周辺症状は、もの忘れ・見当識障害などの中核症状に合わせて介護環境の変化・身体的不自由・心理的不自由などが起こることによって、さまざまな精神症状や行動障害が起きることを指します。

中核症状

中核症状のうち主に現れるのは、記憶障害(もの忘れ)・見当識障害・失語などです。

脳神経の萎縮などが進行するにつれて中核症状も進行し、コミュニケーションが難しくなり、時間や場所の認識が薄れるため日常生活を一人で送っていくのが困難になります。

記憶障害

記憶障害とは、自分が体験した出来事・過去についての記憶が抜け落ちる障害です。

  • 置き忘れや片付けしたことを忘れて常に探し物をしている
  • ついさっき話した人の名前を忘れる
  • 新しいことが覚えられない(記銘力障害)
  • 物の名前を思い出せない(健忘性失語)

などの症状が見られますが、本人にはあまり自覚がないことが多く、他人や家族から指摘されてはじめて気づくケースも少なくありません。

見当識障害

「いつ・どこで・なにを」など状況について把握する「見当識」を失う症状見当識障害です。

  • 今が何時なのかがわからなくなり約束の時間を守れない
  • 予定通りに行動することができない
  • 親しい人の名前や顔を忘れる

などの症状があり、見当識に含まれる人との関係性なども分からなくなるため、家族や友人など関係性が深い人物も忘れてしまうことも多くなります。

失語(言語障害)

失語とは、言葉を理解する・言葉を使って話すことができず、コミュニケーションが難しくなる症状です。

  • 話が聞こえていても内容が理解できない
  • 言葉の意味が分からなくなる
  • 思っていることが言葉で表現できない

失語症では上記のような症状が見られます。

音として相手が話したことが聞こえていても、話の内容・言葉が理解できないことも多いのです。

【医師監修】失語症ってどんな病気?症状や原因リハビリ方法までイラスト付きで紹介!

周辺症状(BPSD)

BPSDは、認知症の中核症状と併せて起こります。これは、本人の行動・心理状態によって現れ、本人の性格・生活環境・接している人との関係などによって症状の現れ方や程度が異なり、個人差が大きいです。

BPSDの症状は一般的に

  • 被害妄想
  • 徘徊
  • 暴言暴力
  • 介護拒否
  • 夜間せん妄

などがあり、介護者の心的疲労・身体的疲労につながりやすいでしょう。

例えば、BPSDによくある物盗られ妄想では、盗まれた事実が無くても「財布や通帳を盗られた」と認知症の人に言われ、介助する家族がショックを受けることは多々あります。

そんな時には、「まず本人に落ち着いてもらい、その後財布や通帳を一緒に探す」という対応を取るべきですが、もちろんこれは家族にとっても身体的な負担になるでしょう。

このように、BPSDは介護負担が大きいからこそ、対応策を知っておくことが大切です。

BPSDの症状がある認知症患者の対応は、まず症状の特性をよく理解した上で、投薬・リハビリを行っていくべきであり、適切な対処がされれば症状を落ち着かせたり、改善をすることが可能となります。

被害妄想・物取られ妄想

被害妄想・物取られ妄想

東京都の調べによると、認知症患者の約15%にみられるBPSDとして妄想が挙げられます。

妄想には、

  • いじめられた・理不尽な対応をされたという「被害妄想」
  • 配偶者・恋人の浮気を執拗に疑う「嫉妬妄想」
  • 置き忘れた財布や金品を盗られたと主張する「物盗られ妄想」

などがあり、とくに物盗られ妄想や被害妄想は認知症患者の初期症状でもしばしばみられるものです。

しかし妄想は、自分にとって身近で大切な人との関係性が悪化・維持できなくなるのではないか?という不安から引き起こされます。

例えば、物盗られ妄想は、物がなくなったことで自分が家族から「役に立たない」と思われることを恐れるあまり「物をなくしたのではなく、誰かに盗られたのだ」と思い込むことにより起るので、家族や介助者の対応の仕方次第で改善する可能性もあるでしょう。

徘徊

徘徊予防策

  • 執拗に外出したがる
  • 勝手に家の外に出てしまう

などの徘徊と呼ばれる症状もBPSDに含まれます。

徘徊の始まりは、自分がどこにいるのかという場所の見当識が失われるにつれて外出時に道に迷うようになったり、見慣れているはずの自宅や施設の景色が分からなくなったりという症状です。

さらに症状が進むと、よく知った場所でも初めての場所と感じられて「ここがどこか確かめたい」「家に帰らなければ」などの理由で外出をしたがるようになります。

このような時、ご本人にとっては外出することに必然的な理由があるため、無理に引き留め出かけないよう説得することはかなり困難と言えるでしょう。

そのため、本人にGPSなどを持たせるなど徘徊に対する対策をしておくことをおすすめします。

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暴力・暴言

暴力の対応

  • 他人の言葉に突然激昂する
  • 以前は穏やかだった人が暴力をふるう

このように、認知症では感情をコントロールする部分である前頭葉の委縮や脳が疲れやすくなることから比較的初期から感情が抑えにくくなり、暴言や暴力が現れることがあります。

そのような状況の中、本人の理解が追い付かないまま、本人の尊厳を傷つけるような対応をしてしまうと暴言や暴力の症状が強く現れることも多いです。

BPSDによる暴言や暴力を防ぐには、症状が出たタイミングやきっかけを振り返りましょう。

暴言の出たタイミング・状況や、暴力を起こしたきっかけが何だったのかを分析し、要因となるものを本人から遠ざけることで症状が現れるのを防ぐことができます。

介護拒否

感情のコントロールや状況の理解が難しくなる認知症の場合、介護拒否が起こることもあります。

介助が必要な認知症の方が介護を拒否する場合には、さまざまな視点からいくつかのアプローチをしながら試行錯誤していく必要があるでしょう。

しかし、いずれの対応も介護を受ける側もする側も無理をしないで、本人の気持ちが落ち着くのを待つことが大切です。

介助の拒否があった場合、無理に関わるよりも見守る姿勢をみせることでよい結果につながることが多く、命の危険・生活の危険がない限りは本人が受け入れるまで待ちましょう。

夜間せん妄

妄想とよく似ていますが、せん妄意識障害によって混乱した状態を指すもので、人によっては現れる症状が異なります。

  • 場所・時間などがわからなくなる
  • 興奮して落ち着かなくなる

などの症状があり、認知症患者では、夕方から夜間にかけての夜間せん妄が多い傾向です。

辺りが暗くなる夕方~夜間は、認知症患者にとって自分の置かれた環境を把握することが難しく不安感や恐怖感が募る時間帯で、部屋を明るくする・じっくり話を聞いてあげるなど安心させることが症状を緩和する手段となります。

また、幻覚があるときや興奮しているときに無理に言葉を否定したり行動を止めようとすると症状が悪化し、時には暴力に発展することもあるので注意が必要です。

せん妄などによって興奮しているときには、しばらく様子を見ることが大事で、また危険物などは本人の周囲に置かないように気を付けましょう。

認知症になってしまう原因

認知症になってしまう原因は、脳に特殊なたんぱく質が溜まったり、病気によって脳が傷ついてしまうことです。

例えば、女性の発症例が多いといわれるアルツハイマー型認知症は、脳に特殊なたんぱく質「アミロイドβ」が溜まることで脳細胞が壊死・減少してしまうことが原因といわれていますが、アミロイドβは加齢によって増えやすいものです。

そのためアルツハイマーは、高齢者の認知症発症例が最も多いのですが、まれに働き盛りの30~50代でも発症することがあり、遺伝も関係があるとされています。

また、高齢男性が発症しやすいといわれるレビー小体型認知症は、脳の神経細胞に特殊たんぱく質「レビー小体」が溜まり、大脳皮質・脳幹を侵食することが原因です。

加齢や遺伝のほかにも、脳血管が破損する脳梗塞・脳出血・くも膜下出血などを経験した場合の脳血管性認知症では、ストレス・喫煙・生活習慣病などが発症リスクを高める原因となります。

ストレス・喫煙・生活習慣病などによる認知症リスクは、加齢や遺伝と比べ、生活習慣を見直すことでリスクを下げることが可能です。

認知症の診断・検査

検査の流れ

家族や自分に認知症が疑われた際は、検査や診断を受けましょう。

以下では、診断が下りるまでの大まかな流れや、注意すべき点について解説します。

診断の手順

認知症診断の手順は

  1. 面談
  2. 問診・診察
  3. 検査

という流れで行われます。

認知症では、本人に症状の自覚がないことも多く、問診・診断では本人と家族の両方からこれまでの経緯を聞き出し多くの情報を得ることが重要です。

問診に臨む際は家族で以下について話し合い、メモに書き起こして整理しておきましょう。

  • どのような症状があるのか
  • いつごろ気付いたか
  • とくに困っている症状
  • 家族構成や生活環境で変化したこと
  • 日常生活で困難に感じていること
  • これまでの罹病歴・服薬歴
  • この半年間で症状の進行はあったか

また、問診後は、医師によって血圧測定・聴診・発語・聴力・手足の麻痺・不随意運動の有無・歩行状態などさまざまな身体的な状態について診察が行われます。

神経心理学検査

神経心理学検査とは、簡単な質問や作業により行われる検査です。

神経心理学検査では

  • MMSE(ミニメンタルステート検査)
  • 長谷川式簡易知能評価スケール
  • 時計描画テスト
  • 脳画像検査
  • VSRAD

などが代表的なものとしてありますが、これらの検査で一定基準の点数を下回ると「認知症の疑い」として診断がおります。

MMSE(ミニメンタルステート検査)

MMSEは、世界中で最も多く用いられる認知症の検査です。

MMSEの検査では、時間や場所の見当識があるか・字の読み書き・図形描写・計算・短期の記憶力などを単純な作業によって検査します。

MMSE(ミニメンタルステート検査)とは?評価方法から長谷川式との違いまで解説!

長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)

長谷川式は、言葉によって「今日の日付は?」など単純な質問をしたり記憶想起を必要とする検査です。

単純な計算なども、評価の際に用いられることがあります。

時計描画テスト(CDT)

時計描画テストの図

時計描画テストでは、具体的な時刻を示して、時計が正確に描けているかどうかをみます。

認知症の場合、以下の図のようになるため結果が分かりやすいテストとして重宝されています。

脳画像検査

脳画像検査では、元となる脳の画像(主に機器などで作成される)と本人の脳の画像を見比べ、器質的な観点から脳の萎縮や血流の低下しているところを調べる検査です。

脳の形をみる検査としてCTやMRI、脳の働きをみる検査としてSPECTなどがあります。

VSRAD

VSRAD検査部位

VSRADとは、MRIの検査データを使ってアルツハイマー型認知症の原因である脳の萎縮を調べる検査です。

脳の萎縮度を調べることができ、アルツハイマー型認知症の重症化を防ぐために重要な早期発見にも効果的なため、注目を浴びています。

この検査は、大日本印刷株式会社とエーザイ株式会社が共同開発し、前:国立精神・神経医療研究センター脳病態統合イメージングセンター長・松田博史氏総監修(現:南東北創薬・サイクロトン研究センター 院長)のもと作られました。

VSRAD(ブイエスラド)という名前は、英語の「Voxel-based Specific Regional analysis system for Alzheimer's Dから取っています。

【医師監修】認知症検査「VSRAD(ブイエスラド)」とは?特徴や評価方法を解説

検査の注意点

認知症に偏見やネガティブイメージを持っている方の場合、本人にとっても家族にとっても「認知症と診断されるかもしれない」という不安は大きなストレスとなるでしょう。

診察自体も心地よいものではありませんが、本人・家族にとって負担が大きくならないよう注意すべき点・心得ておくことなどを紹介します。

家族が普段の様子をメモにまとめておく

認知症は、本人に自覚がない場合も多く家族からの情報も重要になりますが、家族が普段から本人の様子や症状についてメモをとっているとその情報がより正確に示せます。

認知症が疑われ診察を受ける際には、事前にメモを医師に渡しておくといいでしょう。

また、別疾患がある場合には、かかりつけ医からの紹介状・医療情報をもらっておくことも大切です。

心の準備をしておく

認知症の診断は、本人にも家族にもショックなものですが、心の準備をしておくことで心の負担が軽減できる場合があります。

具体的には

  • 診断前から「認知症家族の会」などとつながっておく
  • 認知症患者やその家族の手記を読む
  • 認知症検査や診断に関する書籍を読む

などがおすすめです。

認知症の当事者の話を聞いておくことで心構えができたり、不安に思っていることを解消できたりします。

また、事前に知識を付けておくことで認知症当事者になったショックを軽減することもできるので、診断がなされる前にこそ動くことが必要です。

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認知症の予防と治療

認知症は予防・治療することが可能です。

以下では、認知症にならない・重症化しないためにしておくといいことや、認知症に効果的な治療法について解説します。

早期発見しよう

「もしかして認知症?」と思ったら、すぐに然るべき機関に相談や受診をし、認知症の早期発見に努めましょう。

認知症の早期発見は、本人の症状が改善しやすくなるだけでなく、家族の悩みや負担が深刻化する前に症状が軽減できることもありメリットが大きいです。

また、受診や相談をすれば、医師など専門知識を持つ方々から適切なアドバイスを受けることもできます。

認知症の専門家に相談することで、正しい向き合い方を理解でき、福祉施設・医療機関の利用準備など今後の介護の方針などを考える余裕が生まれるでしょう。

予防しよう

認知症は、未だに解明されていないことが多く、明確な予防方法についてもわかっていません。

しかし、近年の研究によって生活を取り巻く環境からの影響が大きく関係している可能性があり、脳の健康のためにはいい食習慣・運動習慣が効果的だということが分かりました。

それらの研究結果を踏まえ、認知症予防の具体的な方法を行うに際して、以下の認知症予防の10か条を覚えておきましょう。

  • 第1条:生活習慣病を予防・治療する
  • 第2条:バランスのよい食生活で健康を保つ
  • 第3条:よく歩き、運動する
  • 第4条:過度の飲酒・喫煙に注意する
  • 第5条:活動・思考を単調にしないように努める
  • 第6条:生きがいを持つ
  • 第7条:人間関係を普段から円滑にしておく
  • 第8条:健康管理は自分で
  • 第9条:活動・思考を単調にしないように努める
  • 第10条:寝たきりにならないように心がける

出典:『認知症にならないための10か条』杉山孝博(川崎 幸クリニック院長)より

食事・食習慣

認知症に効果的な食事のために、以下のことに注意しましょう。

  • 必要以上のカロリーを取らない
  • 味の濃いものや甘いものは控える
  • 脂質を控える

摂取カロリーに注意してバランスの良い食事をとるのはもちろんのこと、塩分・糖分やトランス脂肪酸を避けた健康的な食事をとることで認知症のリスクが下がるとされています。

運動

近年の研究の結果、認知症の予防には軽い有酸素運動が効果的ということが分かりました。

具体的には、週一以上のペースで継続して行うことが望ましいとされているので、普段運動する機会がない人はウォーキングなど軽い有酸素運動から日常生活に取り入れてみましょう。

睡眠

食事の改善や運動習慣を取り入れるよりも簡単にトライできるのが、睡眠による認知症予防です。

アルツハイマーの原因となる特殊たんぱく質・アミロイドβは、起きているときに増え、寝ているときに減ることが分かっていて、質のよい睡眠の間に脳内のアミロイドβが血管から脳の外へと排出されるため睡眠が効果的とされています。

また、認知症予防に必要な睡眠時間は約5.5時間程度なので、長時間の睡眠よりも質のよさが重要といえるでしょう。

認知症の方では、夜は覚醒して眠れず昼間は午睡が増えるという昼夜逆転の生活リズムに陥りがちで、睡眠の質も低下しがちです。

もし家族が認知症になったら

  • なるべく日中に刺激を与えて覚醒させる
  • 規則正しい日課で生活リズムを保つ
  • 夜間睡眠の妨げになる原因をなくす

を心がけてください。

知的行動

知的行動とは、何かを学ぶことや趣味など脳に刺激を与えることです。

日常生活に支障が出る認知症は、生活が単調になりやすいですが、家事を任せる・買い物に同行してもらう・旅行に行くことなどで脳にいい刺激を与えられます。

また、無理な脳トレーニング・学習は脳にいい効果がないので、楽しく取り組める分野や興味がある分野のことに取り組むようにしましょう。

社会参加

週1回以上友人等と交流している方は、活動能力障害や死亡のリスクが低いことがわかっていて、生活にメリハリを持たせて前向きで積極的な気持ちになることは認知症の予防にも効果的です。

趣味のサークルや地域のボランティア活動に参加し、積極的に交流を持つこともよいでしょう。

また、家族・隣人・社会との人間関係に問題から、閉じこもりやうつなどの精神神経症状につながると認知症リスクも上がります。

同世代とのつながりだけでなく、他世代との世代間のつながりもフレイル予防には効果的なので、さまざまな人と交流を持つようにしましょう。

認知症の治療法

認知症の治療には、薬物を使う方法・投薬以外の方法の2通りがあります。

薬物療法

認知症の薬物治療に用いられるのは、「アセチルコリンエステラーゼ阻害薬」「NMDA受容体拮坑薬」の2グループに属する4種類の薬で、中核症状(記憶障害・失語・見当識障害など)の進行を遅らせることを目的としています。

また、BPSDの症状を軽減するための向精神薬や漢方薬などもあり、認知症によって現れる神経衰弱・精神的な不安定さを改善することが可能です。

非薬物療法

認知症の治療には投薬以外の方法もあり、非投薬療法として代表的なリハビリは認知症治療では欠かせないものです。

リハビリは、薬を使わずに脳を活性化させることが可能で、残っている認知機能や生活能力を高める効果があると言われています。

認知症のリハビリ

認知症の治療法として欠かせないリハビリですが、認知症におけるリハビリは、リハビリ本来が持つ目的とは異なります。

リハビリは、本来「あるべき状態への回復」を目的としている一方、認知症におけるリハビリでは脳を刺激して進行を遅らせることを目的として実施するものです。

回想法

認知症のリハビリとしてよく行われる回想法は、個人・グループどちらでも行うことが可能な方法で、会話をしながら人生を振り返る・写真や映像を見ながら過去を思い起こすなどしながら気持ちの安定・コミュニケーションを活性化させます。

回想法で重要なのは、写真や映像など確かな情報ではなく、本人の話す内容を否定せずに受け入れ共感する姿勢です。

回想法のねらいは、周囲が本人の話を受け入れることで、自信と誇りを取り戻すこと・不安緩和・明日への力を生み出すことです。

作業療法

日常生活の中にある掃除・洗濯・仕事・趣味などあらゆる作業を通して、メンタルの維持強化や幸福感・自尊心を育むことを目的とするリハビリが作業療法です。

作業療法は、心と身体のリハビリとして効果が得られるといわれていますが、単に「リハビリしましょう」と言うだけでは、ご本人からすると失敗したときの不安や拒否感が高まるため勧め方には注意しましょう。

作業療法では、本人の心が動く体験・楽しいと思える体験が大切なので、例えば農家の人なら土に触れる、調理が好きなら包丁に触れるというようにこれまで生きてきた中で感じた作業の喜びや懐かしい思いが感じられる作業を選ぶことで効果が得られます。

音楽療法

音楽療法は、懐かしい音楽などを聴くことで過去の記憶を呼び起こしたり、心地よい音楽にリラクゼーション効果を期待するリハビリの方法で、耳から大脳に入る情報として効果があります。

認知症の方が抱える不安として、記憶が途切れて思い出せないことからくる焦燥感や、次々に記憶がなくなってしまうことから緊張感がほぐれないということがあるのですが、音楽が与えるリラックス効果でこの不安を緩和することが可能です。

認知症に効果的なリハビリは、身体の機能と思考力、そしてそれらを当事者が自信を持って行える状態が必要といわれていて、音楽療法は脳の記憶と認知、それによる精神の落ち着きを取り戻すには非常に効果的といえるでしょう。

音楽療法による認知症リハビリについては、国立長寿医療研究センターの行った実験で効果が実証されており、軽度の認知障害のある人に毎週1時間程度の音楽を聞かせたり一緒に歌ったりする療法を実践したところ、記憶や注意力に改善が見られた例がありました。

ただし、音楽のジャンルによっては精神性に影響を与えることがあるため、しかるべき音楽療法の有資格者とともにリハビリを行うことが望ましいです。

運動療法

身体機能の衰えは、認知機能の低下・抗うつ傾向の現れなどの引き金になり精神面での不健康にもつながるとされていますが、運動療法では、体と心の両面に働きかけて同時に高めることが可能で認知症の予防や進行の緩和にも役立ちます。

リハビリにおける運動とは、ウォーキング・軽いジョギングなどの有酸素運動があるほか、体操・ストレッチ・ボールを使った遊びなど、身体的負担にならないような軽いものです。

運動療法は、軽い運動習慣を継続していくことが大切ですが、本人にとって興味のあるものだと継続しやすいでしょう。

また、無理をして過剰な運動を行うと健康に影響したり、怪我をする可能性が高いのでやりすぎは禁物です。

リアリティオリエンテーション

日本ではなじみのないリアリティ・オリエンテーションですが、、別名「現実見当識訓練」といい、すでに欧米では1960年代に始まっていたリハビリ療法です。

リアリティ・オリエンテーションは、取り入れた新しい記憶を繰り返し脳から取り出していく作業を訓練するもので、今日の出来事などについてグループ内で話しながらお互いに補助していきます。

日本でも現在、一部の介護施設・認知行動療法などで取り入れられているリアリティ・オリエンテーションですが、家庭でも簡単に実践できます。

本人がリラックスした状態の時間を選んで行い、共通の体験などを共有し、間違いや思い違いがある場合には否定形の言葉を使わずに補完しましょう。

また、話し合いのグループが認知症患者だけだと正しい記憶がどれなのかわからないため、正確にその記憶が呼び出せる進行役がいることも大切です。

リアリティ・オリエンテーションは、コミュニケーション力を鍛えるとともに、グループが協力してひとつのことを記憶しているので、患者は認知に不安を感じてもすぐにその記憶を修正でき、また周囲に尋ねることができます。

認知症のリハビリ(作業療法)の内容は?効果や実施方法・注意点まで詳しく解説

認知症介護で家族や周囲の人が気をつけること

以下では、認知症の方の介護で介助者が気を付けるべきことについて解説します。

認知症の方の理解に努める

まず、第一に認知症の方の理解に努めましょう。

認知症では、「いままで当たり前にできたことができない」「当たり前に理解できたことができない」など、介助者にとってももどかしく感じることが多いでしょう。

しかし、症状の進行に関して一番不安を抱えているのは、認知症患者本人であることを忘れてはいけません。

介助者は、本人の気持ちや不安を受け止め、理解するよう努めましょう。

環境を変化させない

環境を変化させず、常に安心できる環境下で介助することも大切です。

認知症患者は環境の変化にとても敏感で、身の回りの小さな変化もストレスに感じてしまう場合があります。

毎日のルーティンを急に止めない・部屋のインテリアを突然変えないなど、本人を取り巻く環境の変化に気を付け、できる限り同じ環境を保つようにしましょう。

親切に優しく接する

認知症の介助者は、できる限り親切に優しく接するよう心がけましょう。

人間の脳は嫌な気持ちや悲しく思ったことなどは記憶に残りやすく、記憶障害の認知症患者であっても、介助者がいつも怒ってばかりだと「嫌な人」として認識されてしまうため介助がしにくくなることがあります。

逆に、いつも優しく穏やかに介助することで、いつも親切な人・優しい人という印象は強く残り、介助拒否などのBPSDは起こりにくいです。

介助のしやすさの観点からも、認知症患者には優しい口調で接するようにしましょう。

かかえこまない

日常生活のあらゆる面において困難が生じる認知症は、介助する側にとっても大きな負担がありますが、「自分の家族は自分で介助する!」などと一人ですべて抱え込む必要はありません。

ひとりで頑張ろうとすると、介助者側も体を壊したり、気を病んだりする可能性もあります。

近年増加傾向になる認知症に対して認知症患者を受け入れる施設・サービスは増えているので、それらを利用するなどして、自分の時間を作りましょう。

学研ココファンでは、非常に多くの施設で認知症対応のための充実した環境を整えていますので、安心です。

弱音を吐いても大丈夫

辛い時には弱音を吐いても大丈夫です。

認知症介助者が相談できる機関として、自治体の相談窓口・地域支援センターなどの公共施設や、認知症介護をする仲間が集まるイベント・サークルなどもあり、そこで話を聞いてもらいましょう。

認知症介護は、介助者が心身共に健康でいなければ成り立たなくなるので、一人で抱え込まず相談できるところ・頼れるところを持つことも大事です。

比較しない

認知症の症状や進行速度は人それぞれで、大きな個人差があります。

そのため、他の認知症の方と自分の家族を比較してはいけません。

リハビリでなかなか効果が得られななかったり、症状が重くなってしまっても、焦らずに本人のペースに合わせて介護しましょう。

最期に向けた準備をする

大切な家族とのお別れについて考えるのは辛いことですが、認知症の介護をする中でいつかは最期に向けた準備が必要になります。

ここで注意しておきたいのが、認知症がかなり進行した状態で終活を始めると本人の意思が聞き出せなくなってしまうため、症状の進行が少ない時期から少しずつ「最期のとき」について考えておく必要があることです。

エンディングノートを本人と一緒に書いてみるなどして、徐々に終末期に向けての準備をしておくと、いざというとき冷静に動けます。

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認知症に関するFAQ

認知症の介護をするにあたって、さまざまな不安を抱えることでしょう。

以下では、認知症介護でよくあるFAQを紹介します。

認知症を認めない父/母に診断·治療を受けてもらうには?

簡単なのは、かかりつけ医院など本人が信頼している第三者に協力してもらい、健康診断を促すなどして医療へ繋げる方法です。

また、診断に強い拒否を示しているときには、まず本人の不安な気持ちに共感・理解し、気持ちが落ち着くのを待ちましょう。

極論ですが、認知症の診断は本人よりも家族からのヒアリングが重要となるため、同意が無くても診察が可能です。

昼夜問わず電話をかけてくる認知症の母への適切な対応は?

まずは家族の負担を軽くするため、電話がつながる時間を制限しましょう。

症状や家族との繋がりへの強い不安がその原因ですが、気持ちが一旦落ち着いてもそれを忘れてしまうため同じことを繰り返してしまいます。

しかし稀に、詐欺など何らかのトラブルに巻き込まれていたり、SOSのサインだったりするので本人の話を聞く際は注意しましょう。

認知症の症状が酷い場合は施設入居を断られることはあるの?

他の入居者に危害を加える場合など入居を断られる例はあり、家族内で諦めてしまって相談にすら行けていないケースもあります。

しかし、施設でもさまざまな特色・方針などがあるため、諦めずに受け入れ先を探せば入居先が見つかる可能性も大きいです。

一人暮らしの親が認知症になってしまった時はどう対応すればいいの?

認知症の一人暮らしは、火の不始末やお金の管理など、離れて暮らす家族にとっても心配なことが多いでしょう。

症状が進行すると本人の尊厳が失われる事態や、周辺の住民に迷惑をかける可能性もあるので、適切なサポートを受けられるよう早めに対処してください。

認知症になった親の財産を守るために成年後見人制度を利用した方がいいの?

親が認知症になった場合は、成年後見人制度を利用しましょう。

成年後見人制度とは、認知症などで判断能力がなくなった方に変わって財産管理・法的な契約などを行う人を法的に認めるもので、家庭裁判所に申し立てをする必要があります。

認知症の基礎知識についてまとめ

認知症の基礎知識についてまとめ
  • 認知症の原因は加齢・ストレス・生活習慣病など
  • リハビリ・投薬で症状の進行が遅らせられる可能性も
  • 適度な睡眠・食事・運動・社会との関わりで予防しよう

日本では「辛い」というイメージが強い認知症介護ですが、一人で抱え込まず、できるだけたくさんの人のサポート・支援を受けることで、明るく前向きな介護生活を送ることが可能です。

また認知症は、早期発見することで症状を緩和・遅延させることが可能なため、「もしかして認知症かな?」と思ったらなるべく早く相談できる場所にいきましょう。

患者人口が増加している昨今の日本では、いつ誰が認知症当事者や介護者になってもおかしくありませんから、多くの人が認知症に理解を示し支え合えるといいですね。

この記事は医師に監修されています

中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長
中部療護センター長
岐阜大学連携大学院脳病態解析学分野 教授(客員)

矢野 大仁(やの ひろひと) 先生

1990年岐阜大学医学部卒業、医学博士。大雄会病院などの勤務を経て、学位取得後、2000年から岐阜大学医学部附属病院脳神経外科助手。2010年 准教授、2013年 臨床教授・准教授、2020年4月 中部療護センター入職、2024年4月から現職。日本脳神経外科学会専門医・指導医、日本脳卒中学会専門医。脳卒中の他、脳腫瘍、機能的脳神経外科など幅広い診療を行っている。患者さんが理解し納得できるようにわかりやすい説明を心がけている。

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