認知症の要介護認定のポイントは?手順や介護保険サービス・やり直しの方法まで紹介
この記事は医師に監修されています
中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長
中部療護センター副センター長
岐阜大学連携大学院脳病態解析学分野 准教授(客員)
矢野 大仁 先生
「認知症の介護認定は、どのような流れで行われるの?」
「要介護認定を申請する際のポイントについて知りたい!」
このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?
認知症の方が身内にいる場合は介護サービスを利用するケースが多いですが、先立って要介護認定を受ける必要があります。
症状のレベルに応じて要介護度などは異なるので、要介護認定の仕組みなどにについて知っておくことは有意義です。
こちらの記事では、要介護認定の区分や申請方法などを解説していくので参考にしてください!
申請は役所の窓口や地域包括支援センターで行う
現状や介護の実態を事細かにつてることが重要
要介護度が想定よりも低く認定されることがある
不服がある時は審査請求や区分変更の申請を検討しよう
認知症の要介護認定とは?
認知症を発症すると、多くの場合で医療に加えて介護が必要になります。
市区町村から要介護認定を受ければ介護保険のサービスを利用できるようになるので、諸手続きについて知っておきましょう。
要介護認定を受けるためにすべきこと
要介護認定とは「申請者にどの程度の介護が必要か」を審査するもので、要介護度の数字が高いほど症状が重いことを意味します。
近くの地域包括支援センター又は市区町村が申請窓口となっており、地域包括支援センターとは介護をはじめとする高齢者が抱える様々な相談に応じる行政窓口です。
要介護認定の審査では、調査員が自宅などを訪問して本人がどの程度のレベルで自立した生活できるかなどをヒアリングします。
また、認定の際には主治医が意見書を作成し、これらを基にしながら保健・医療・福祉の専門家が最終的に判定を行うことになります。
なお、介護保険は通常65歳以上で利用できますが、若年性認知症では40歳以上が対象です。
要介護のレベル(区分)で利用できるサービスが変わる
介護が必要と判定されると、症状のレベルに応じて要支援1・2または要介護1~5のいずれかに認定されます。
「要支援」とは、身の周りの介護はまだ必要ではないものの、日々の生活を送る上で何らかの支援が必要な状態です。
「要介護状態になることを防ぐ」という意味合いも込められています。
要介護5に近付くほど必要な支援や介護の度合いが大きくなり、介護保険で利用できるサービスや限度額も異なってきます。
要介護・要支援と支給限度額
認定された要介護度によって1ヶ月あたりの支給限度額も変わってきますが、要介護度が重いほど限度額も大きくなります。
利用したサービスが支給限度額内に収まる場合は、介護保険サービスの自己負担が1割~2割で済むことが多いので介護費用の負担はそこまで大きくなりません。
なお、要介護度別の支給限度額は下記の表の通りです(2021年11月現在)。
介護度 | 利用限度額 |
---|---|
要支援1 | 50,320円 |
要支援2 | 105,310円 |
要介護1 | 167,650円 |
要介護2 | 197,050円 |
要介護3 | 270,480円 |
要介護4 | 309,380円 |
要介護5 | 362,170円 |
なお、最終的な判断をするのは市区町村(審査を行うのは介護認定審査会)ですが、認知症の疑いがある方や認知症の症状が明確に出ている方は要介護1以上と認定されることが多いです。
要介護認定はどのように行われる?
要介護度の認定は、全国一律の基準を用いて行われています。
認定調査員による訪問調査と主治医の意見書を基にしながら、介護認定審査会での審査を経た上で判断されることになります。
要介護認定は介護サービスの必要度を判定
要介護認定とは、言い換えると介護サービスの必要度を表しているとも言えます。
介護サービスの必要度とは、その人がどれレベルの介護サービスを行う必要があるかを表していることに他ならず、必要度が高ければ高いほど要介護度も高くなります。
要介護認定は、病状や身体機能の低下だけでなく、日常生活動作の自立度や認知機能の状態など、総合的な健康状態を評価しています。
つまり、要介護度の高さは病気の重さと一致しない場合もあるので注意が必要です。
介護サービスの必要度の判定は2段階で判断
要介護度の判定は客観的で公平な判定を行うために、コンピュータによる一次判定と一次判定を原案として保健医療福祉の学識経験者が行う二次判定の二段階で行います。
コンピュータによる一次判定では、認定調査の結果を基にして約3,500人に対し行った「1分間タイムスタディ・データ」から推計しています。
一次判定ではオートマチックに行われますが、二次判定の認定調査員による訪問調査は介護を必要とする本人と家族などへの聞き取り形式で行われるので一次判定よりも重要です。
身体機能・生活機能・認知機能・精神・行動障害・社会生活への適応・特別な医療などの幅広い分野から74項目の質問がされ、本人の動作や理解度をチェックします。
認知機能や運動機能の有無を確認するために、調査員から「歩いてみてください」「足を上げてみてください」などの実際の行動が促されることもあります。
なお、質問の答えは選択肢の中から選ばれますが、調査員は答えの根拠や聞き取りを通して「重要な事柄」と判断した内容を「特記事項」に記入します。
最終的に、
訪問調査の結果をコンピュータに入力して算出されたデータ
特記事項
主治医の意見書
上記3点を基にして、保健・医療・福祉の専門家で構成される「介護認定審査会」が総合的に判断して申請者の介護度を判定することになります。
要介護認定の一次判定は、要介護認定等基準時間に基づいて行う
それでは、一次判定の判断基準について確認しておきましょう。
分類 | 状態 |
---|---|
非該当 | 要介護認定等基準時間が25分未満と認められる状態 |
要支援1 | 要介護認定等基準時間が25分以上32分未満又はこれに相当すると認められる状態 |
要支援2 | 要介護認定等基準時間が32分以上50分未満又はこれに相当すると認められる状態 |
要介護2 | 要介護認定等基準時間が50分以上70分未満又はこれに相当すると認められる状態 |
要介護3 | 要介護認定等基準時間が70分以上90分未満又はこれに相当すると認められる状態 |
要介護4 | 要介護認定等基準時間が90分以上110分未満又はこれに相当すると認められる状態 |
要介護5 | 要介護認定等基準時間が110分以上又はこれに相当すると認められる状態 |
上記のように、要介護認定等基準時間に基づいて判断されています。
なお、要介護認定等基準時間とは「介護の手間」を表しており、介護者がどれほどの負担を強いられているかを意味する指標です。
要介護認定を受ける際のポイント
実態に合った介護認定を出してもらうには、認定調査で介護の実情をしっかりと伝えることと、主治医の意見書に実情が記載されていることが重要となります。
いずれの過程においても、本人だけでなく家族が介護の実情について解説しましょう。
認定調査の際に高齢者は緊張してしまいがちなので、普段よりもよく見せようと頑張ってしまう傾向にあります。
また、普段できないことを「できる」と見栄を張って言ってしまったり、普段できないが何故か調査の時にはすんなり出来てしまったりすることが往々にしてあります。
認定調査は、調査時の状況よりも普段の状況を確認して評価するものなので、普段のありのままを生活や暮らしぶりを伝えることが最も重要です。
そのため、普段の本人の実情をよく知っている存在である家族が必ず同席して、適宜必要なフォローを行いましょう。
家での普段の様子をうまく伝えよう
限られた時間の中で調査員に実情を的確に伝えるためには、全国一律の基本調査項目を予めチェックしておくことも有効です。
どのように答えるかを検討しておき、本人が見栄を張らないように対策をしておきましょう。
例えば、「以前は一人でスムーズに出来ていたことが出来なくなりつつある」「一人でトイレに行くことはできるがら手すりがないと立ち上がれない」などのように、具体的に答えることが重要です。
回答に信憑性を持たせるためにも、答えの根拠となる原因や介助方法を予めメモしておくと良いでしょう。
また、メモには下記の項目も整理しておくことをおすすめします。
現在の病状と通院の有無
既往歴
必要な介助の状態
認知症の症状による行動、日によって変動があればその様子
本人と家族それぞれが現在困っていること
入院やけがなど大きな出来事「いつ、どのようなことがあったのか」
情報を裏付ける根拠として「10年前にリウマチを発症してから膝が曲がらなくなった」「2年ほど前から認知症の症状が見受けられるようになった」などのように、介護が必要となった経緯を時系列にしましょう。
このように順序立てて説明することで相手に伝わりやすくなり、また家族の介護力についても把握してもらうことができます。
併せて、「フルタイムで働いている」「子育てをしている」などの家庭状況も伝えて、実際に介護に割ける時間がどれくらいあるかを具体的に伝えると良いでしょう。
医師に正確に意見書を書いてもらおう
「主治医の意見書」とは、調査員の調査結果と照らし合わせて検討されるもので、要介護認定をする際の貴重な判断材料となります。
全国一律の様式が用いられており、心身の障害の原因となっている疾病や心身の状態、生活する上での機能や特記事項などが記されています。
なお、この重要な判断材料となる意見書を書いてもらう主治医は、普段から本人の状態を的確に把握してくれている「かかりつけ医」が適任でしょう。
そのため、かかりつけ医とは日頃からコミュニーケーションを密にしておき、本人の病状だけでなく日常生活の自立度や認知症による症状なども把握してもらいましょう。
さらに、精神や神経に関する様々な身体の状態なども含めて、総合的な状態を日頃から把握してもらうように心掛けてください。
本人や家族が、普段利用する医療機関医者での診療情報をかかりつけ医に伝えて一元化しておくことで、スムーズに状況を伝えられるでしょう。
認定調査がうまくいかない理由は?
認知症の人の認定調査では、実態がうまく伝わらずに「思ったよりも介護度が軽めに判定されていた」というケースがよくあります。
認知症を患っている方の中には、普段とは異なる「改まった状況」になると、普段よりもきちんと対応できてしまう方が多いことが理由として挙げられます。
実際に、認知症の症状の強弱は日によって大きく違う方が多いため、やはり普段の様子を事細かに伝えることは重要です。
また、認知症の症状は人それぞれに個性があるため、短い調査時間では正確に症状の重さが伝わりにくいです。
上記のような理由や都合もあり、実態と合わない判定が出てしまうことがある点は留意しておきましょう。
本人の普段の様子と介護の手間を正確に伝えよう
繰り返しになりますが、認知症を抱えている場合は家族が本人の普段の様子と介護の負担を正確に伝えることが重要です。
道に迷いやすい・徘徊するようになった・買い物で支払いがうまくできないなど、暮らしの中で実際に起こっている本人の失敗事例や介護者が困っていることを挙げて説明すると良いでしょう。
また、介護が必要な時間帯が日中が中心なのか・夜間が中心なのかも伝えることをおすすめします。
なお、本人が同席している状況で本人の出来ないことや困っていることを調査員に伝えると、本人のプライドが傷付いてしまうことがあります。
そのため、本人の心情に配慮することも忘れず、言いにくいことがある際はその旨を事前に調査員に伝えて後でメモにして渡すなどの工夫をしましょう。
これにより、正確な情報を認知症の評価に反映させることができ、適切な介護サービスや支援を受けることができます。
判定に不服があるときは変更可能?
様々な調査を経て決められた認定結果ですが、申請者にとっては納得できない結果が通知されるケースもあります。
その際には、市区町村の介護保険課認定審査係に足を運んで認定結果の理由の確認や相談をしてみましょう。
説明を受けても納得できない場合は、各都道府県に設置されている介護保険審査会へ審査請求をすることができます。
審査請求とは行政不服審査法に定められた市民の権利であり、一度決定した要介護認定を取り消してもらうための申し立てです。
注意点は「審査請求をしたからといって必ずしも希望が通るとは限らないこと」「取り消しの判定が出るまでに数ヶ月かかること」「取り消されたとしてもまた最初から介護申請をする手間が発生すること」です。
確実性も無いため、早く介護サービスを使いたい方にとってはあまり現実的な方法とは言えず、決しておすすめもできません。
審査請求以外では、要介護認定の「区分変更の申請」も一つの方法なので、こちらも併せて利用を検討すると良いでしょう。
再調査を依頼してみる
「区分変更の申請」とは、要介護認定の調査を再度行い介護認定審査会で判定をしてもらうものです。
本来であれば、この変更手続きは認定の有効期間中に「本人の状態などに変化があった際」に行うのが原則です。
しかし、実際に区分変更の申請は認定結果を不服と捉えている利用者にも用いられているので、利用を検討する価値はあるでしょう。
なお、この「区分変更の申請」を行いたい場合は、ケアマネージャーや地域包括支援センターに相談した上で手続きを進めていきましょう。
判定が厳しくなっていることを念頭に
審査請求や区分変更の申請の活用を検討することも選択肢として考えておくことをおすすめしますが、そもそも「想定よりも低い介護度の判定が出てしまう」理由について知っておくことも重要です。
その原因として考えられるのは、
本人の症状と必要な介護の手間
家族の介護力や生活環境
以上の情報が正確に調査員に伝わらなかったことが考えられます。
認定調査の所要時間は30分~1時間程度という短い時間で行われますが、この短時間に本人に深く関連する情報を的確に全て伝えるなければなりません。
そのため、調査が行われる前に準備を行っておき「素早く正確に」情報を伝えることを意識しましょう。
特に、認知症の方の場合は、認知症の種類や症状によっては調査員が短時間で実態を見極められないケースが往々にしてあるので、特に上記のポイントを意識しなければなりません。
また、「主治医の意見書」に必要な情報が正しく記載されていなかった場合も正確な判定結果に繋がらないケースがあるので、かかりつけ医とコミュニーケーションを密にすることも欠かせません。
とはいえ、高齢者人口が増え続けている現状から、介護保険の費用を抑えるために市区町村における判定基準自体が厳しくなっている現実もあります。
つまり、認定調査がきちんと行われていても、社会情勢などの影響から想定よりも低い介護度で決定されてしまうケースも多くあるので、この現実を知っておくことも重要でしょう。
実際に、膨らみ続ける介護費用を抑制するべく、国も「身体機能の回復実績など、効果のある『自立支援を促す取り組み』を高く評価する」という方針を打ち出しています。
これは、要介護者がリハビリなどの自立支援を通して介護度が下がった場合、国から介護サービス事業者に報酬を支払うという仕組みです。
つまり、この方針の影響で、今後「市区町村における介護認定の判定がより厳しくなるのでは?」という懸念事項が指摘されているのです。
介護保険を利用できるサービス
それでは、介護保険を利用できるサービスについて見ていきましょう。
様々なサービスが提供されているので、これを機に知識を深めていきましょう。
居宅の介護保険サービス
介護保険を使ったサービスは、大きく分けると下記の3つになります。
自宅で受けるもの
施設に通って受けるもの
施設に入所して受けるもの
自宅で受ける居宅介護サービスには、訪問介護・訪問入浴介護・訪問看護・訪問リハビリなどがあります。
訪問介護は、ホームヘルパーが食事・入浴・トイレなどの身体介護や掃除・洗濯・買い物などの生活援助を行ってくれるので、介護者の負担を大きく軽減してくれます。
また、訪問入浴介護は浴槽を自宅に運んで入浴の介助をしてくれる嬉しいサービスです。
通所の介護保険サービス
施設に通う通所の介護保険サービスには、日帰りのデイサービスやデイケア、短期間施設に宿泊するショートステイなどがあります。
デイサービスでは、入浴や食事などの介護を受けたり、他の利用者とレクリエーションなどの催しを楽しむことができます。
認知症対応型のデイサービスでは、知識と経験が豊富な認知症ケアに精通しているスタッフがいるので、安心して利用できるでしょう。
デイケアでは理学療法士、作業療法士、言語療法士などがリハビリを行い、残された能力を活かして自立した生活を送れるようにサポートしてくれます。
認知症を患うと家に引きこもりがちになってしまいますが、このような通所型のサービスを利用することで社会との繋がりを保ったり、適度な刺激を与えることが可能です。
また、本人以外にも介護をする家族も自分自身の時間を確保できたり、介護アドバイスを得られるなどメリットが期待できます。
認知症の方が入所可能な施設
それでは、認知症の方でも入所できる施設について見ていきましょう。
施設ごとの特徴
認知症患者に対応している施設ごとの特徴は、下記の通りです。
公的施設の場合
公的施設は費用負担を大きく抑えられる点が大きな魅力です。
特別養護老人ホームは原則として要介護3以上の方が対象ですが、身体的ケアを含む全般的な介護を終身に渡って受けることができます。
介護老人保健施設は要介護1以上の方が対象で、在宅復帰を目指すべく、リハビリを中心としたサービスと必要に応じて介護も受けられる施設です。
介護療養型医療施設は要介護1以上で長期療養が必要な方が対象で、医療サービスを中心に介護も受けられる施設となっていますが、2023年度末で廃止されることが決まっており、代わりに2018年より介護医療院が創設されています。医療ケアが必要な要介護者に生活の場を提供することを特徴としています。
民間施設の場合
民間施設は公的施設よりも費用負担が重くなりがちですが、充実したサービスを受けられる点が魅力です。
「サ高住」と呼ばれるサービス付き高齢者向け住宅は「一般型」と「介護型」の二種類があり、多くの高齢者にとって有力な選択肢となっています。
特に、比較的介護度が軽い方や自立している方が自宅での生活に難しさを感じた際に利用を検討するケースが多いです。
グループホームは要支援2以上の認知症の高齢者が対象で、5人~9人程度のユニットを組んで同じ住まいで共同生活を送ります。
認知症ケアの専門家が常駐しており、認知症患者に配慮した介護を提供している点が特徴です。
介護付き有料老人ホームは、施設の職員利用者の状況や必要に応じて介護を提供する施設です。
上記の4つの施設に関しては、認知症が重症化すると退去を求められてしまうケースがあるので、事前に確認しておきましょう。
施設に入る場合の費用
各施設の初期費用と月額費用をまとめると、上記の表のようになります。
なお、介護付き有料老人ホーム・住宅型有料老人ホームの費用は野村総研が平成30年3月に発表した「高齢者向け住まいにおける運営実態の多様化に関する実態調査研究」を参考にしており、他の施設は東京都健康長寿医療センター調べの資料を参考にしています。
上記の中でも、特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護療養型医療施設・グループホームの4つは介護保険の自己負担分を含んだ金額です。
介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホームは、施設によって金額に大きな差がありますが、平均するとそれぞれ約26万円程度と12万円程度になります。
なお、介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホームの2つは入居する際の前払金を含めた金額で、介護保険の自己負担分は含んでいません。
利用する施設によって金額は大きく異なるので、「認知症患者も受け入れているか」「長期に渡って負担できる金額か」を意識しながら施設を探していきましょう。
まずは子だけで専門家に相談するのもあり
認知症が疑われる場合は早期の診断を受けることが重要ですが、子が焦って強引に進めてしまうと家族関係に悪化につながります。
まずは家族間で話し合ってかかりつけ医や病院への受診へ誘うことが重要ですが、本人が拒絶するケースも少なくありません。
このような難しいケースに直面した場合は、子だけで地域包括支援センターで相談することをおすすめします。
本人が診察を嫌がっているケースでも、子だけで相談した後に「認知症初期集中支援チーム」が動いて要介護申請に至った事例もあります。
認知症初期集中支援チームとは自治体が提供しているサービスで、医療と介護の専門職で組織されたチームです。
認知症の早期診断・早期対応に向けた支援体制を構築することを目的としており、自宅訪問などを行って状況確認をしたり家族への支援もしてくれる場合があります。
このように、認知症初期集中支援チームは家族と協力して、患者の状況を的確に評価し、適切なサポートを提供する重要な役割を果たしています。
家族からの提案ではなく、専門家からの提案であれば本人も心理的に受け入れやすい側面もあるので、話の切り出し方や本人の説得に困っている方は参考にすると良いでしょう。
認知症の要介護認定まとめ
症状や困っていることをまとめておき、分かりやすく調査員に伝えよう
近年は介護判定が厳しくなっている現実を知っておこう
認知症でも入居できる施設をリストアップしておこう
本人が乗り気じゃない場合は、子だけで地域包括支援センターに相談するのもおすすめ
近年認知症の要介護判定は厳しい傾向にありますが、重要なのは過程で困っていることや介護の実態についてしっかりと調査員に伝えることです。
また、かかりつけ医ともコミュニケーションを密にして、正確な意見書を書いてもらうことも重要です。
こちらの記事を参考にして、スムーズに要介護認定の申請ができるように準備しておきましょう。
この記事は医師に監修されています
中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長
中部療護センター副センター長
岐阜大学連携大学院脳病態解析学分野 准教授(客員)
矢野 大仁 先生
1990年岐阜大学医学部卒業、医学博士。大雄会病院などの勤務を経て、学位取得後、2000年から岐阜大学医学部附属病院脳神経外科助手。2010年 准教授、2013年 臨床教授・准教授、2020年4月から現職。日本脳神経外科学会専門医・指導医、日本脳卒中学会専門医。脳卒中の他、脳腫瘍、機能的脳神経外科など幅広い診療を行っている。患者さんが理解し納得できるようにわかりやすい説明を心がけている。