医者から他業種に転職するには?医師免許や経験を活かせるおすすめの職場・職種を紹介
更新日時 2023/03/31
「医師免許を活かして転職出来る職場は何がある?」
「医師を続けるメリットは何?」
このようにお考えの方も多いのではないでしょうか。
医師が転職活動を成功させるには、転職のコツを踏まえて実行するのがおすすめですが、一方で医師は基本的に収入がいい仕事でもあるため、転職をして収入が下がってしまうといったデメリットも存在します。
この記事では、医師を辞めたほうがいい場合や、転職におすすめの業種や転職方法を詳しく解説しています。
- 医師を辞めたい理由には激務など仕事上の理由が多い
- 他業種の転職には医師資格を活かしたものと、まったく違う業種がある
- 医師であり続けることにメリットもある
医者から他業種への転職はできる?
医者だから、医者以外の仕事についてはいけない、という規則などなく、医者から他業種への転職ももちろん可能です。
しかし、わざわざ医者をやめて、他業種へ転職する人はそれほど多くはありません。
その理由は、
- 医者は他業種に比べて高収入だから
- 人の命を救うやりがいの高い職業だから
- 医師免許を取得するまでの過程を考え、苦労・費用などを考えた結果
というものから、医者から他業種へ転職する人が少ないです。
しかし、他業種でも医師免許を活かせる職種は実は非常に多くあります。
今回の記事では、こうしたおすすめの職場なども詳しく解説していきます。
医師を辞めたい・他業種で働きたい理由
この見出しでは、医師を辞めたいと思っている理由や、他業種で働きたい理由を紹介します。
激務に耐えられない
医師の業務は、休息の確保が難しかったり、睡眠を十分に取れなかったりする医師もいます。
この傾向は、病院が大規模になるほど激務になることがあり、担当する患者数が多いことや、業務量が多いことが理由として考えられます。
また、一般的に過労死の危険性が高まる残業時間を月80時間としています。
しかし、上記のグラフを見ると、月80時間以上の残業を行っている医師の割合が非常に高く、全体の約4割に上る結果が出ています。
このように、激務である仕事から、医師を辞めたいと感じることがあっても、おかしいことではありません。
人の命に関わるため精神的な負担が大きい
医師の仕事は、人の命に関わる仕事です。
患者さんの命を預かっているため、少しのミスも許されず、現場では緊張感が常にあります。
こうした命に向き合うことで、患者への対応の責任を負う必要があるのが医師です。
そのため、精神的に大きな負担となる仕事でもあります。
患者とのトラブルと隣り合わせ
最善の治療や手術を行ったとしても、時に人の死を経験しなくてはならないこともあります。
医師は最善を尽くしていたとしても、患者側からは「なぜ助けられなかったのか」と言って、トラブルになるケースもあります。
訴訟されるリスクを避けるため、転院や休養などの手段を取らざるを得ない場合もあります。
下記のグラフは、医療訴訟へと発展した件数を表しています。
グラフを見てもわかる通り、毎年多くの訴訟が起きていることがわかります。
臨床医以外で医師におすすめの職場・職種
医師の資格を活かして働ける職場や職種を紹介します。
健診医
健診医は主に健康診断などを行う際に雇用される医師です。
医師としての働きたいけど、臨床医として手術をしたくない場合や、当直や夜勤といった不規則な勤務がしんどいと感じている方におすすめの職種です。
デメリットは、スポット勤務となるため、臨床医として安定的に働くよりも収入面は劣る場合が多いです。
しかし、拘束時間が短くなるため、家事や育児と両立したい医師にはおすすめの仕事です。
開発職・研究職
大学病院や、研究機関などで、特定の分野を専門的に研究したり、開発にあったりする職業への転職もおすすめ出来ます。
今までの医師としての経験を活かすことが出来たり、医師資格を取得するまでの過程で得た知識やスキルなどを用いて、開発や研究に携わることが出来ます。
臨床医として直接患者の治療に当たらなくても、病気そのものを治す方法を探すといったことも出来るため、医師と同様のやりがいを感じることが出来ます。
介護老人保健施設
介護老人保健施設(老健)は、入所定員100人あたり常勤医師を1名配置することが義務付けられています。
医師の仕事を活かして働くなら、老健の常勤医がおすすめです。
老健は高齢者が一時入所して、リハビリや医療ケアを受けながら、社会復帰することを目的としています。
老健の医師は利用者と1対1で接する機会が多くあります。
医療機関の医師として勤務するより、給料は低い傾向がありますが、時間や気持ちに余裕をもって勤務することが出来ます。
大規模病院では定年を迎えた医師の、セカンドキャリアとしてもおすすめ出来る職場です。
介護老人保健施設(老健)とは|施設の役割や入所条件・期間・費用まで全て紹介
公衆衛生医師
公衆衛生医師は、保健所などの地域保健分野で働く医師です。
都道府県や政令指定都市などの主要都市では、保健所の設置が義務付けられています。
そして保健所の所長となるのは、原則医師免許がある者とされています。
公衆衛生医師の主な仕事内容は、その地域で暮らす人々に対して、母子保健や精神保健、生活習慣病やがん、食品や環境などについて、医療的に課題解決に向けた取り組みを行います。
病院以外で医師免許を活かせる職場・職種
病院での勤務に不満は感じながらも、医師としての仕事にはやりがいを持っている方は、病院以外の職場で医師免許を活かせる職務にあたることがおすすめです。
この見出しでは、病院以外で医師免許を活かせる職場や職種を紹介します。
産業医
産業医は一般企業に従事し、その企業で働く社員やその家族などを対象として、専門的な立場から指導や助言を行う医師です。
産業医の配置は、常時50人以上の労働者を使用する事業場の場合には、配置が義務付けられています。
雇用は一般企業の会社員となり、業務形態は会社員と同じ扱いになる場合が多いです。
収入は病院勤務よりも下がる場合が多いですが、勤務時間の区切りがしっかりしていたり、休日が定められていたりするため、ライフワークバランスが取りやすいのがメリットです。
保険会社の社医
保険会社で働く医師を、社医と呼びます。
仕事内容は主に、保険関連の診査・引受査定・支払査定といった内容になります。
- 診査
保険に加入する際に、利用者の健康状態などを検診する
- 引受審査
申込者の健康状態を専門的な視点から査定する
- 支払審査
支払うべき保険料の調査を行う
社医になるためには、医師免許があれば可能です。
中には臨床経験2年以上、といった制限をしている場合もあります。
医療行為がほとんどなく勤務することが出来るので、臨床現場から離れていた医師や、家事や子育てなどと両立させたい医師におすすめ出来ます。
メディカルドクター
製薬会社で勤務する医師をメディカルドクター(MD)と言います。
製薬会社では、新薬の開発や、市販後の安全性のチェックといった調査が行われています。
こうした調査にあたる専門家として、メディカルドクターは勤務します。
製薬会社の開発職という扱いになります。
外資系の企業と働く場合が多いため、語学力が求められる現場も多いですが、勤務時間通りに働けることで、人気の高い職種です。
医系技官
医師の経験を活かしながら、公務員として勤務出来る仕事では、医系技官がおすすめ出来ます。
医系技官は、医師としての経験を活かしながら、保健医療制度の作成に関わる仕事です。
医療現場を根本から変えるような取り組みを行うことが出来ます。
年収は病院勤務よりも下がる場合が多いですが、臨床医とは違ったやりがいを感じられる仕事です。
また、国内だけでなく海外で勤務出来る可能性もある仕事です。
矯正医官
刑務所や少年院に設置された診療所で勤務するのが、矯正医官です。
医系技官と同様に、公務員として働くことが出来る職種です。
勤務内容は、被収容者の健康診断や治療を行います。
平均年収は約1,300万円とされており、一般的な病院勤務よりも劣る場合が多いです。
しかし、公務員として勤務するため、好待遇であることや、公務員でありながらも兼業が可能であったり、拘束時間が短くライフワークバランスを整えやすいといったメリットがあります。
医者の転職がおすすめの他業種
医師以外の職種・業界でおすすめ出来るものを紹介します。
コンサルタント
医師の経験とは全く異なる分野ですが、最近は医師免許を持ったコンサルタントが増加傾向にあります。
医師資格を持った人がコンサルタントとして評価されている理由として、
- 論理的思考能力の高さ
- 医療分野や製薬分野の案件の増加
などがあります。
医師としての経験や、医師免許を活かして勤務するなら、医療コンサルタントとして、こうした医療・製薬の分野での活躍が期待できます。
ベンチャー企業
ベンチャー企業の中でも、医療系サービスは多方面から需要がある業界です。
特にベンチャー企業の事業開拓が盛んな分野として、ヘルスケア分野へ注目が高まっています。
健康管理アプリや、医療提供サービス、医療機器の開発といったものが含まれるヘルスケア分野では、医師の経験やスキルを活かして勤務することが出来ます。
医師のスキルを活かしながら、こうした企業での勤務は、提供するサービスの裏付けにもなり、信頼性を求める商品の開発では、その根拠としても医師の経験を発揮出来ます。
起業
医師の起業としては、クリニックなどの開業というイメージがありますが、最近はクリニックなどとは関係のない、実業界に進出し、起業する元医師もいるのです。
医師としての経験を活かしながら、起業の着想を得て、医療現場の課題を解決する事業などは、医師の経験やスキルも生かしやすかったり、医師としての人脈を生かせる起業になり得ます。
医者から他業種へ転職する際の注意点
医者が他業種へ転職する場合に、注意しておきたポイントを確認していきましょう。
自分の価値を見出しておく
医師免許を所有していることは、取得までの厳しい過程もあり、転職では使いやすい資格となります。
いい評価をしてくれる職場も多いですが、医師免許を所持していることだけに頼った転職は避けましょう。
転職をするにあたって、自分自身が持っている価値、自信があるところなど、自分自身の価値を棚卸し、しっかり把握しておくことが重要です。
医師免許があることを前面に押し出す転職方法ではなく、棚卸をして分かった自分の価値を相手起業にアピールしていくことが需要です。
若いうちに他業種へ転職した方がよい
医師として勤務する際には、自分の技術やスキル、経験などが重要視されていました。
しかし、他業種に転職する場合は、年齢も重要視されます。
他業種での勤務を始めると、新人として扱われ、必要知識を教え込むにあたって、この先長く働ける若手のほうが重要な人材だからです。
自分の希望にあった職場に転職したいなら、若いうちに実行しておくことがおすすめです。
年収・キャリアが下がりやすい
医師とは異なる業界に転職するのには、リスクも多いことをしっかり把握しておきましょう。
特に収入面では、医師は元々収入が良い職業でもあるため、他業種に転職することで、年収が下がる可能性が高いです。
また、医師資格が関係のない業界への転職では、自分の価値がなくなる可能性もあり、他の社員とは変わらない待遇になることを十分理解しておきましょう。
医者以外の他業種への転職の際には、リクルートエージェントの利用がおすすめです。
リクルートエージェントで他業種へ転職!医者であり続けるメリット
医者を辞めたいと感じても、すぐに転職を検討、実行するのは控えましょう。
医師であり続けることにメリットがあります。
医師しか感じられないやりがいがある
医師の業務は激務になることもあり、夜勤やオンコールなど、不規則な生活になりがちで、過酷な労働環境ともいえます。
しかし、担当の患者さんが回復した姿を見たり、感謝されたりすることが多く、命と向き合うことはやりがいを強く感じられる職業です。
このようなやりがいは、他業種では味わえるものではありません。
このやりがいがあるからこそ、医師を取り巻く環境が厳しいものであっても、耐えることが出来たり、続けたいと思う人が多いのです。
医師より高収入になることは難しい
医師の仕事は、高収入の代表的な職業ともいえます。
そのため、医師の仕事よりいい収入を得られる仕事に就くことが難しい場合が多いです。
転職した場合に年収が下がってしまうケースが想定出来るため、収入面を考えると、無理に転職をするのはあまりおすすめが出来ません。
激務だから転職したい、という理由だけでは、転職後に公開する可能性もあります。
自分が成長し続けられる
医師として勤務を続ければ、学会や講習会に参加することが出来て、豊富な知識を得ることが出来ます。
特に医療の世界では、常に最新の知識を知っておくことが非常に重要です。
日々勉強となり大変なことがありますが、医師としての自己成長に繋がり、医師を続ける理由になっている人もいます。
治療に悩むケースや、いい治療が見つかったとき、自分が対応したケースなどはしっかり知識がインプットされ、刺激を得られるという人もいます。
医者を辞めるべき人の兆候・特徴
この見出しでは、医師を辞めたほうがいい徴候や、性格的な特徴を紹介します。
過酷な業務から心身に異常をきたしている
医師という仕事の特性上、患者との関わりが密になり、休暇をとったとしても患者の様子が気になり、精神的な回復が難しい場合があります。
しかし、過酷な労働環境で慢性的なストレスが生じている場合、うつ状態に近くなったり、睡眠時間や休息を十分に確保が出来ないと、心身ともに異常をきたして、回復が難しくなることがあります。
心身の不調を感じた場合は、有給休暇などを使って一時的に現場から離れることも大切ですが、先述した通り、休暇を取っても仕事のことが切り離せないことも考えられます。
心身に異常を感じたら、思い切って転職を考えることがおすすめ出来ます。
現職では理想のキャリアが実現できない
現在の就労状況と、自分の目指している理想のキャリアがずれていると感じた人は、転職がすすめです。
特に、最終的に開業医を目指したい人は、大学病院や大規模な病院で勤務するより、小規模の病院に転職したほうが、開業に繋がる情報を得ることが出来たり、人脈を広げたりすることが出来ます。
専門医を目指している場合は、専門分野に詳しい医師がいる現場や、研究環境が整っている職場のほうがいいでしょう。
このように、転職することで最終的に理想とする働き方への近道になる可能性は大いにあります。
勤務量が評価されていないと感じる
診療時間が長引いてサービス残業になることが多い職業です。
勤務時間が長くなっても、給料がわりに合わなかったり、労働条件や労働環境に不満がある場合などは無理に働き続ける必要はありません。
給料が割に合わないと感じる場合、正当な評価がされていない環境で勤務している場合は、転職や転科を考えるべきです。
同じ病院でも、転科して環境が改善される場合もあります。
医者が転職活動する方法
医師が転職活動をする場合の手段を紹介します。
転職サイトを活用する
まずおすすめしたいのは、転職サイトの活用です。
転職サイトは、専任の担当者が付き、転職のアドバイスや求人の紹介などを行います。
医師専門の転職サイトもあり、希望の条件に合わせた転職が可能になります。
- 収入を落としたくない方
- 希望の条件がある方
- 労働環境が気になる方
こんな方におすすめの転職方法です。
知人の紹介
医師の転職では、知人の紹介もおすすめです。
医師は業界的に、横のつながりが強く、医師のネットワークを使えば、様々な勤務先の人と知り合えます。
知人の紹介であることで、信頼性も高く、採用に繋がりやすいのがメリットです。
また、内部事情を事前に聞くことが出来るのもおすすめ出来るポイントです。
医師におすすめの転職エージェント
この見出しでは、医師におすすめ出来る転職サイトを紹介します。
メドピアキャリアエージェント
メドピアグループが提供する、豊富な求人を有した転職サービスです。医師向けサービスを提供してきたノウハウを生かし、様々なサポートを提供してくれます。
待遇面のクオリティが高い求人を紹介してくれるだけでなく、精度の高いマッチングを実現してくれるため、希望通りの転職を叶えることが可能です。
医師に特化した経験豊富な人材紹介エージェントが、転職される先生や医療施設の状況に合わせて最適なサポートをしてくれるため、とにかく手間を減らして転職をすることができます。
リクルートエージェント
リクルートエージェントは転職業界トップクラスの大手サービスであり、医療業界に限らずあらゆる業種の転職をサポートしてくれます。
医師としての経験しかないけれど、他の職種に転職を志している人には最適なサービスだと言えるでしょう。
10万件もの非公開求人を保有しているため、異業種への転職でも希望条件にあった求人がないか探してみてはいかがでしょうか。
リクルートエージェントで求人を探す!医師からの転職に関してよくある質問
この見出しでは、医師が転職する際によくある質問を解説していきます。
医師免許を生かせる楽な仕事は?
医師の仕事を続けたいと思っていても、不規則な勤務が続いたり、夜勤があったりすることも多く、医師として楽に仕事が出来る環境で働きたいと思う人もいると思います。
医師の仕事を活かせる仕事なら、一般企業の産業医や、健診を行う健診医がおすすめです。
産業医の場合は、会社の勤務体系に沿って勤務することになるため、勤務時間がはっきりしていたり、休みがしっかり取れたりします。
医師免許を持つが医師ではない人は多い?
医師免許を持っている人は、ほとんどが臨床医として勤務しています。
医師にならずに、初めから医師以外の仕事をしている人は非常に少ないです。
現時点で、医師以外の仕事をしている元医師は、医師としての勤務を経験したあとに、現在の医師以外の仕事に就いている場合が多いです。
医師としての経験は、どんなビジネスシーンでも武器になります。
医学部卒業生が医者以外に進むことはある?
平成16年度に文部科学省が行った、医学部医学科卒業生を対象に実施した進路状況調査では、医学部や医学科の卒業生のうち、98%が臨床研修医の進路を選択しています。
少し前の調査になりますが、現在もほぼ同様の割合になると考えられます。
医学部を卒業する人が医者以外の進路に進む場合、その進路として最も多いのは、医学研究者です。
医学部で学ぶ分野を、さらに研究によって深め、医学の発展に関わる重要な職務に就きます。
医師から転職すると医師としての技術は落ちる?
転職後に臨床現場から離れるなら、医師としての技術は当然落ちていきます。
診療科目次第では、臨床現場から離れたあとで、再び現場に戻ろうとしても、採用が難しくなることもあります。
医療の世界は常に進んでいるため、新しい知識を吸収することも重要です。
転職することで得られる未来もありますが、医師としての経験や養ったスキルをどう活かしていくか考えることも大切です。
医者から他業種に転職・おすすめの職場や職種についてまとめ
- 医師以上の収入を得られる仕事は少ないが、転職を早めに決意したほうがいい場合がある
- 他業種への転職は早いうちがおすすめ
- 転職サイトを活用すると他業種への転職もスムーズ
医師が他業種へ転職する場合に気をつけたいポイントや、おすすめの業種を紹介しました。
医師が他業種へ転職する場合、収入が下がったり、再び医師に戻りたいと考えても難しくなってしまう場合もありますが、転職サイトを活用することで解決することもあります。
この記事で紹介したポイントを踏まえて、検討してみてください。