松戸市の老人ホームの特徴と同行
千葉県松戸市は都市部までのアクセスが良好な地域であり、東京都のベッドタウンとして栄えている地域です。
松戸市の老人ホームの特徴や動向について紹介していきます。
松戸市の地理的特徴と介護施設の特徴
松戸市の特徴
千葉県松戸市は、人口497,614人(令和3年9月末時点)で、千葉県内では千葉市・船橋市に次いで、3番目の人口規模の市です。
昭和初期より東京のベッドタウンとして開発が進められ、大規模住宅団地や、郊外型住宅開発が進められた地域でもあります。
また、古くから宿場町として栄えた歴史もあり、現在も商業拠点として大型ショッピングモールなどが建設されている他、昔ながらの商店が多いのも特徴です。
そのため、高齢者の方にとっても暮らしやすい街並みであると言えるでしょう。
松戸市の高齢者政策
松戸市は千葉県の中でも高齢者人口が多い地域と言われています。
そのため、松戸市の高齢者政策は全国でも注目されているものが多いのも特徴です。
たとえば、松戸市安心ひとこえ運動といった独自の福祉事業が展開されていたり、日常生活で少しだけ誰かの力を借りたいときに使用する、「軽度生活援助券」などが配布され、高齢者からも評判が高いです。
老人ホームなどの介護施設は、隣接する柏市と同程度と、比較的充実しています。
また、老人ホームなどの介護施設の利用料金は、全国平均より安い傾向があります。
松戸市の介護施設価格概観
ココファンに掲載されている松戸市の介護施設の価格より、入居金・月額費用それぞれの平均値と中央値を紹介します。
<入居金>
地域 |
平均値 |
中央値 |
松戸市 |
155,500円 |
155,500円 |
全国平均 |
297,256円 |
194,500円 |
<月額費用>
地域 |
平均値 |
中央値 |
松戸市 |
149,214円 |
149,214円 |
全国平均 |
169,518円 |
158,250円 |
こちらの表からわかるように、全国のココファン施設と比較しても、入居金・月額費用ともに安い傾向にある地域です。
松戸市の高齢者人口
令和3年3月末時点での松戸市の65歳以上の方の人口は、128,669人です。
他の地域と比べると、松戸市は人口に対する高齢者の方の割合が全国平均よりも高い傾向があります。
また松戸市の推定によると、2025年には高齢化率が29.1%に達するという予測が出ています。
しかし、実際にはこれ以上に高い数値となることが推測されることもあります。
また、65歳以下の人口はゆるやかに減少傾向が続いており、少子高齢化が進んでいる地域と言えます。
松戸市の介護施設の状況
令和2年11月時点での松戸市の介護施設の状況を紹介します。
<介護施設の種類別施設数>
種類 |
施設数 |
75歳以上千人あたりの施設数(city) |
75歳以上千人あたりの施設数(全国) |
訪問型介護施設数 |
192 |
3.55 |
3.25 |
通所型介護施設数 |
191 |
3.54 |
3.43 |
入所型介護施設数 |
104 |
1.92 |
2.17 |
特定施設数 |
31 |
0.57 |
0.32 |
居宅介護支援事業所数 |
131 |
2.42 |
2.41 |
福祉用具事業所数 |
58 |
1.07 |
0.80 |
介護施設数(合計) |
707 |
13.09 |
12.40 |
※2020年9月時点の情報です。
全国の介護保険施設数の平均と比較してみると、入居型介護施設数は全国平均に比べて若干少ない傾向にありますが、松戸市は老人ホームの入居状況を見ると比較的充実している点に特徴があります。
特に、小規模~中規模の施設が多くあり、施設の特徴に合わせて選ぶことが出来る地域と言われています。
松戸市の要介護・要支援認定者数
令和2年10月1日時点での、松戸市の要介護認定者と要支援認定者数は、22,419人とされています。
2025年時点では、要介護・要支援認定者の割合が、20.8%になると予想されています。
要介護・要支援認定者の増加に伴って、認知症の高齢者数も増加傾向にあります。
認知症高齢者の増加に際して、松戸市では認知症予防教室などを実施し、認知症対策にも力を入れています。
認知症対策の一環として、グループホームなど、認知症患者が入居できる施設を増やしたり、家族のケアをするためのサポート計画が進んでいます。
要介護・要支援認定者数の増加に合わせて、松戸市は訪問看護・定期循環といった取り組みも盛んで、市全体で高齢者の方をサポートする取り組みが行われています。
松戸市の高齢者相談窓口(委員会)は?
松戸市には、高齢者の方の相談事に対応する窓口が複数設置されています。
地域包括支援センター
松戸市では高齢者いきいき安心センターという名称で運営されています。
- 介護分野の相談
- 福祉、医療に関する相談
- 健康や生活に関する相談
保健師や社会福祉士といった専門家が、このような様々な相談事に対応します。
また、高齢者いきいき安心センターでは、
- 虐待に関する通報
- 振り込め詐欺などの被害に関する相談
このような高齢者の権利擁護に関する活動も行っています。
金銭を含む貴重品管理や、各種サービスの手続や支払いの代行なども行っています。
基幹型地域包括支援センター
地域包括支援センターである、高齢者いきいき安心センターの基幹部門として位置づけられるのが、基幹型地域包括支援センターで、松戸市では名称を福祉まるごと相談窓口と言います。
介護に関する相談をメインに行っており、
- どこに相談すればいいかわからない
- 手続きはどうしたらいいのかわからない
といった、介護に関する相談について、必要な手続きやサービスの案内を行っている機関です。
社会福祉協議会の福祉相談室
松戸市では、社会福祉協議会の相談窓口を福祉なんでも相談室という名称で運営しています。
福祉なんでも相談室は、市民センターなど市内の5か所に相談窓口を開設しています。
主に民生委員などが相談業務にあたっています。
松戸市独自の介護サービスについて
松戸市では、松戸市独自の介護サービスとして、訪問型元気応援サービスを実施しています。
この取り組みは、主に介護認定を受けた方がケアプランの範囲によって受けることが出来る、自立支援サービスの一環として行われています。
コースは2通りあり、どちらか片方の利用でも、セットでの利用でも可能です。
居宅内などの掃除、衣類の整理、調理や配膳など、買い物など生活支援に関するサポート
居宅以外の掃除、付き添い支援、といった生活の困りごとをサポート
松戸市の地域包括ケアシステム
高齢者の方の尊厳保持と自立生活の支援を目的として、地域で包括的な支援とサービスを提供する、地域包括ケアシステムという取り組みを厚生労働省を中心に進めています。
各市町村ごとに様々な取り組みがされていますが、特に注目したいのが松戸市の地域包括ケアシステムです。
松戸市の地域包括ケアシステムの概要
松戸市では、一人暮らしの高齢者世帯、高齢者の方がいる世帯、高齢夫婦のみで生活している世帯が増加傾向にあります。
松戸市は、要介護状態になっても自宅で生活し続けたいと考える人が多い地域でもあります。
そのため、在宅支援サービスの充実に向けた取り組みを市政として行う中、地域資源の活用として、地域包括ケアシステムの構築にも力を入れています。
松戸市の地域包括ケアシステムの取り組み
いきいきサロン、ふれあい会食会などは、地域の繋がりを作る交流の場として開催されています。
地域で声かけをおこなう活動は、オレンジ声かけ隊として、主に認知症高齢者の方やその家族のケアを目的に行われています。
こうした地域包括ケアシステムの一環としての活動には、高齢者の方自身もボランティアとして積極的に参加しています。
高齢者の方自身が参加することで、人員の確保に繋がるだけでなく、健康増進や、介護予防に繋げる目的もあります。
松戸市の市民活動
松戸市では、高齢者の方が参加出来る以下のような市民活動が充実しています。
まつど地域活躍塾
松戸をより暮らしやすい街にするための市民活動で、自分の経験やスキルを活かしながら、地域で活躍していくきっかけを見つける塾です。
参加は松戸市在住、在勤、在学の18歳以上の方としており、65歳以上の高齢者の方でも参加することが出来ます。
ただし、定員制であることと、申込者が多い場合には書類選考があります。
塾生として学ぶ人の中には、定年退職後に自らの知識を活かせる場として地域の活動に参加したい方なども多くいます。
お菓子教室、おしゃべり会、子育て援助の関わりなどを活動を行っている方もいらっしゃいます。
松戸市ご長寿ハッピーコンテスト
松戸市民が実行委員会となって、「自分の健康は自分でつくる」というキャッチフレーズのもと、健康寿命を増進し、長寿を祝う催しとして開始されています。
平成25年度の開催から、対象を65歳以上から60歳以上に引き下げ、参加者も増加しています。
健脚を披露する部門では、江戸川の土手を10㎞歩くコースや、市内の名称をのんびり巡る3kmのコースがあります。
また、川柳部門など文化的な内容で行う部門もあります。
インスリン注射とは
この記事は医師に監修されています
中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長
矢野 大仁 先生
健康な人であれば、体内では常に必要な量のブドウ糖が調整され、血糖値が安定しています。
食事により血中に取り込まれたブドウ糖に対して、膵臓からインスリンが分泌されることで、血糖値が正常な状態に保たれますが、この血糖値のコントロールにインスリンが必要な患者に対して、外部から注射でインスリンを補う治療法がインスリン注射です。
インスリン療法と呼ばれることもあり、注射でインスリンを補うことで、健康な人のインスリン分泌パターンを再現します。
インスリンを注射するペースは個々の状態で異なり、1日1~4回注射が必要になります。
インスリン注射が必要な疾患の種類
インスリン注射が必要になる疾患で代表的なものは糖尿病です。
糖尿病には、下記の2種類あります。
疾患名 |
主な症状 |
1型糖尿病(インスリン依存型) |
インスリンの分泌が絶対的に不足・欠乏 |
2型糖尿病(インスリン非依存型) |
遺伝的素因と生活習慣によりインスリンの効きが悪くなる |
1型糖尿病
1型糖尿病は、子供や若い方に多く見られる糖尿病です。
インスリンを分泌するβ細胞が破壊され、膵臓でインスリンが生成できない状態になり、高血糖状態が続きます。
そのため、インスリン注射によってインスリンを補う必要があります。
2型糖尿病
2型糖尿病は、インスリンの分泌はありますが、正常な量が分泌されていなかったり、働きが悪かったりして血糖値が下がらない状態になります。
遺伝的な要因の他、生活習慣によって発症することがあり、主に中高年での発症が中心です。
注射によってインスリンを補うこともありますが、生活習慣の改善が治療の中心になります。
糖尿病患者は増加傾向にある
日本で糖尿病にかかっている患者は1990年代後半には、厚生労働省調査によると690万人でしたが、年々増加傾向にあり、2016年の糖尿病人口は糖尿病予備群と呼ばれる人も含めると2,000万人以上になるともいわれ、日本人の5~6人に1人が糖尿病予備群以上の状態と推察されます。
年齢別に見ると、60歳以上の患者が多く、70代以上では糖尿病患者は400万人以上となり、高齢になるほど発症確率が上がる疾患でもあります。
そのため、老人ホームなどの介護施設でも、インスリン注射が必要な方の受け入れが増加傾向にあります。
インスリン注射が必要な方の介護施設選びのポイント
インスリン注射が必要な方でも、介護施設に入居することが出来ます。
入居する場合の施設選びのポイントを紹介します。
血糖値を適切に保とう
糖尿病の方にとって、低血糖状態は命にかかわる事態になります。
患者本人による、運動や生活習慣の改善などで血糖値を適切に保つ努力も重要ですが、施設に入居する場合には、
- インスリン注射をしっかり継続出来ること
- 食事療法が行えたり、適切な摂取が出来ること
- 低血糖による急変時に対応がしっかりしていること
こうした対応で、血糖値を正常に保つための管理をしている施設や、低血糖による緊急時の対応がしっかり出来る施設を入居条件にしましょう。
自己注射できる状態か念入りに確認しよう
インスリン注射は医療行為になるため、接種出来るのは医師か看護師、もしくは本人、病院で指導を受けた家族になります。
介護施設に入居後も本人が継続して自己注射が出来れば問題はないのですが、身体に麻痺が出たり、認知症になったりして、本人による自己注射が出来なくなった場合の介護施設の対応は十分に確認する必要があります。
老人ホームなどの入居施設でも、接種出来るのは医療従事者のみなので、介護職員は摂取することが禁止されています。
そのため、施設に入居する場合は、看護師が常駐しており、インスリン注射の対応が可能なことが絶対条件になります。
また、糖尿病と認知症には、実は深い関わりがあります。
高血糖状態が長く続くと、認知機能が低下しやすくなることが分かっています。
糖尿病の方と、そうではない方を比べると、
- アルツハイマー型認知症には約1.5倍
- 脳血管性認知症には約2.5倍
糖尿病の方のほうが認知症を発症しやすいという報告があります。
また、軽度の認知障害がある場合は、認知症へと発展する可能性があります。
高血糖状態だけが認知症に直結しているわけではなく、実は重症な低血糖状態でも、認知症になるリスクが高くなると言われています。
認知機能の低下によって、糖尿病の治療の必要な内服やインスリン注射、食事の管理などが出来なくなると、糖尿病の悪化にも繋がるため、施設に入居する際は十分な確認が必要になります。
インスリン注射の頻度も施設選びに重要
インスリン注射を行う回数は、患者それぞれで異なり、1日複数回必要な方もいます。
1日の中で接種するタイミングも異なります。
本人による自己注射が出来ない場合には、看護師に接種してもらう必要があるため、自分が接種するタイミングに看護スタッフが勤務していることが入居条件になります。
たとえば、1日2~3回接種が必要なら、24時間看護師が常駐している施設や、看護師が常時勤務している施設を選びましょう。
1日4回接種が必要なら、24時間看護師が常駐している施設を選ぶようにします。
治療も兼ねてくれる施設を選ぼう
単に糖尿病患者でも受け入れてくれる、という施設ではなく、食事、運動療法にも力を入れている施設を選ぶことが望ましいです。
糖尿病の治療には、インスリン注射や服薬を行っていても、運動療法や食事療法も継続して行うことが大切です。
食事療法のために、糖質の管理やカロリー制限などに対応している施設や、運動も出来る施設を検討しましょう。
また、糖尿病によって起こる、潰瘍や感染、壊疽など糖尿病足病変を予防するフットケアなどを行っている施設も魅力的です。
インスリン注射が出来る介護施設の費用のポイント
インスリン注射に対応可能な、ココファンの介護施設の入居金・月額費用それぞれの平均値・中央値は以下のようになります。
<入居金>
地域 |
平均値 |
中央値 |
city |
267,567円 |
194,250円 |
全国 |
297,256円 |
194,500円 |
<月額費用>
地域 |
平均値 |
中央値 |
city |
162,088円 |
156,578円 |
全国 |
169,518円 |
158,250円 |
学研ココファンでは、多くの施設で充実の医療体制を整えています。
そのため、インスリン注射に対応できる施設で探した場合でも、費用が高くなることはありません。
インスリン注射が必要な方の入居条件
インスリン注射が必要な方に対して、施設側から入居条件を指定することは特にありません。
ただ、インスリン注射を行う回数によっては、施設側の対応が課題になることもあり、入居が難しくなることもあります。
糖尿病の進行によっては、現在と異なる症状がみられることがあり、著しい高血糖になった場合、口の乾きや多飲・多尿・体重減少・昏睡などの症状が出ることがあります。
また、治療によって低血糖を起こす可能性があることや、糖尿病の三大合併症を引き起こす可能性もあります。
変化する症状に対して、様々な状態を過程した上での施設選びが重要になっていきます。
まずは入居を検討した段階で、症状をしっかりと伝えて相談してみることが大切です。
介護施設に入居する際のリスク
いくら食事、運動療法に力を入れている老人ホームでも、看護師が24時間常駐している老人ホームでも、老人ホームはあくまでも生活をする場所です。
病院とは異なるため、専門的な治療を行うことは出来ません。
そのため介護施設に入居中、もし症状が悪化した場合や、医療ケアが常時必要になった場合、入居する施設では対応しきれずに退去しなくてはならない場合もあります。
入居を継続出来た場合でも、病院ほど専門的なケアが受けられたり、常に医師や看護師がいる病院とは異なるため、生活の場として安らげる老人ホームか、医療面で安心できる病院か、という判断が必要になる可能性があります。
QOLの低下により、老人ホームでの暮らしにくさを感じることもあるかもしれません。
想定出来る様々な状況に応じて、ご本人が納得出来る適切な判断が出来るように、入居する施設の医療スタッフとは、しっかりコミュニケーションをとっておくようにしましょう。