広島県の老人ホームの特徴
広島県の老人ホームの特徴や、高齢者人口などについて紹介していきます。
広島県の地理的特徴と介護施設の特徴
まず、広島県の地理的特徴や、広島県に存在する介護施設の特徴についてご紹介します。
広島県の地理的特徴
広島県は、中国地方最大の面積を誇る県です。
令和3年9月1日時点での広島県の人口は、2,776,287人で、中国地方では最も人口が多い県でもあります。
広島県は瀬戸内海に面して広がっている一方で、島根県や鳥取県に隣接する北側は、山間部が多く、自然と都市部のバランスがいいと言われる地域です。
瀬戸内海が大きく広がる県であるため漁業が盛んですが、山間部や農村部の面積も広いため、農業も盛んにおこなわれています。
そのため、広島県は日本の縮図ともいわれているほどバランスのとれた地域です。
介護施設の特徴
広島県は中国地方最大の人口を誇る県ですが、人口と比例して高齢化も進んでいる地域です。
2030年には、広島県の高齢化率は30%を超えると予想されています。
広島県は老人ホームなどの介護施設も、他の県と比べて設置数が多いのが特徴です。
広島県高齢者住居安定確保計画の推進によって、介護サービス付きの高齢者住宅も増加傾向にあります。
しかし、現時点では特別養護老人ホームや、介護老人保健施設が中心となっています。
広島県の介護施設は、月額費用がやや高い水準にありますが、地域によって差があるのも現状です。
また、広島県は都市部では温暖な気候が続く中、山間部では冬の降雪量が多くなる地域もあり、地域によって気候の特徴が異なります。
施設選びでは、実際に現地に足を運んでみてから決定するこがおすすめです。
広島県の介護施設価格概観
広島県にあるココファンの介護施設の、入居金と月額費用を、平均値と中央値で下記のように比較しました。
<入居金>
地域 |
平均値 |
中央値 |
広島県 |
250,000円 |
250,000円 |
全国 |
297,256円 |
194,500円 |
<月額費用>
地域 |
平均値 |
中央値 |
広島県 |
171,400円 |
171,400円 |
全国 |
169,518円 |
158,250円 |
広島県は、入居金・月額費用ともに、全国の中央値の比較してやや高い水準となっています。
特に月額費用では、平均値・中央値ともに全国と比較して高い傾向があります。
広島県の高齢者人口
広島県が公表したデータでは、2021年3月31日時点での高齢者人口は、305,712人でした。
また、高齢化率についても上のグラフのように、徐々に高くなっている傾向にあります。
高齢化率は2021年の段階で28.1%、2025年には31.4%、2035年に33.6%になるなど、今後も上昇傾向が続く見込みです。
全国平均と比べても高齢化率が高い傾向があり、2045年には10人に4人が高齢者になるという見込みがあります。
このように、高齢者人口の増加に対応するため、広島県では介護施設の増設や、介護サービスの増加などの対策を行っています。
広島県の介護保険事業者・施設の状況
<広島県の種類別施設数>
種類 |
施設数 |
75歳以上千人あたりの施設数(広島県) |
75歳以上千人あたりの施設数(全国) |
訪問型介護施設数 |
1,335 |
11.89 |
11.31 |
通所型介護施設数 |
1,348 |
3.19 |
3.09 |
入所型介護施設数 |
1,016 |
2.41 |
1.96 |
特定施設数 |
114 |
0.27 |
0.30 |
居宅介護支援事業所数 |
925 |
2.19 |
2.17 |
福祉用具事業所数 |
261 |
0.62 |
0.73 |
介護施設数(合計) |
5,020 |
11.89 |
11.31 |
広島県の介護施設数は上記のような結果になります。
施設数の合計を全国平均と比較すると、同程度です。
訪問介護数と通所型介護数は全国平均と同等になりますが、入所型施設は広島県が全国平均よりやや多いという結果があります。
広島県の要介護認定者数
広島県が4月時点での核燃の要介護者数をまとめたグラフを見ると、要介護認定者数は年々増加傾向にあります。
2020年4月には56,369人だった要介護認定者数が、2021年には58,904人とかなり増加していることがわかるでしょう。
要介護認定者数の増加に伴い、介護保険サービスの利用者も増加します。
現在、広島県では介護サービスの充実化が急務となっています。
広島県の福祉サービス運営適正委員会とは?
広島県では、介護や福祉のサービス利用時に感じた不満や、疑問などの苦情や意見などを受け付ける機関として、広島県福祉サービス運営適正化委員会を設置しています。
広島県の福祉サービス運営適正委員会は、サービスの利用者や関係者であれば、電話やメールなどを利用し、匿名で相談をすることが出来ます。
相談役となる委員会の構成員は、弁護士や医師など、中立公正な手続きで選ばれた人であり、公正な調査や摘発に繋げることが可能です。
広島県の地域包括ケアシステム
地域包括ケアシステムとは、高齢の方が本来の生活圏で、できるだけ普段通りの環境で、ご本人の能力に応じて自立した生活を続けられるよう、地域の資源を活用しながら高齢の方を支えていく仕組みづくりを指します。
この地域包括ケアシステムという考え方は、1980年代に広島県の公立総合病院から始まりました。
広島県では、
- 医療
- 介護
- 保健・予防
- 住まい・住まい方
- 生活支援・見守り
これら5つの要素を基本として、最適な組み合わせで提供できるよう、地域ごとに取り組みが実施されています。
また、地域ごとの取り組みに関しては、地域包括ケアシステム指標として、定期的に評価しブラッシュアップする取り組みもされています。
地域包括ケアシステムの一例
広島県の地域包括ケアシステムでは、医療・介護・地域の結びつきから、大きなネットワークを構築することを目的としています。
自治会への参加や、地域のボランティア活動に、高齢の方でも積極的に参加できるような取り組みを実施しています。
また、高齢の方がいつでも利用できるサロンなど、活動の場を提供している地域もあります。
広島県では、高齢者向けのサービス付き住宅を増やしたり、公営住宅のバリアフリー化を促進させたり、といった高齢者の住まいの充実を図っています。
少子化・認知症を含めた対策
広島県では、少子化も年々深刻化しています。
こうした少子高齢化の現状に対して、福祉的ニーズは多様化していくことが想定されます。
そのため、広島県では高齢者・障がい者・子ども・子育て中の方・認知症をお持ちの方、といった様々なニーズを持つ方たちに、単独で対応するのではなく、包括的な相談支援体制をとり、断らない相談支援を実践しています。
広島県の介護予防事業
広島県では、高齢の方向けに、積極的な地域参加を促す取り組みを行っています。
広島県の介護の特徴の1つとして、ほとんどの人が在宅サービスを利用しているという結果があります。
そのため、地域でのつながりを意識しながら、慣れ親しんだ地域のコミュニティの中で、自立した生活を続けるというスタンスで行われています。
介護予防事業の一例
これらは通所型の介護施設などで、転倒による骨折を予防するストレッチや運動指導、栄養相談や口腔衛生の指導などが行われています。
訪問型の介護予防サービスでは、認知症を防止するための取り組みとして、コミュニケーション機会を増加させる取り組みを行っています。
こうした取り組みに参加した高齢者の約8割が、介護予防事業への参加後に体調がよくなったと回答をしました。
こうした実績から、広島県で行われている介護予防事業は、一定の効果が出ていることがわかります。
インスリン注射とは
この記事は医師に監修されています
中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長
矢野 大仁 先生
健康な人であれば、体内では常に必要な量のブドウ糖が調整され、血糖値が安定しています。
食事により血中に取り込まれたブドウ糖に対して、膵臓からインスリンが分泌されることで、血糖値が正常な状態に保たれますが、この血糖値のコントロールにインスリンが必要な患者に対して、外部から注射でインスリンを補う治療法がインスリン注射です。
インスリン療法と呼ばれることもあり、注射でインスリンを補うことで、健康な人のインスリン分泌パターンを再現します。
インスリンを注射するペースは個々の状態で異なり、1日1~4回注射が必要になります。
インスリン注射が必要な疾患の種類
インスリン注射が必要になる疾患で代表的なものは糖尿病です。
糖尿病には、下記の2種類あります。
疾患名 |
主な症状 |
1型糖尿病(インスリン依存型) |
インスリンの分泌が絶対的に不足・欠乏 |
2型糖尿病(インスリン非依存型) |
遺伝的素因と生活習慣によりインスリンの効きが悪くなる |
1型糖尿病
1型糖尿病は、子供や若い方に多く見られる糖尿病です。
インスリンを分泌するβ細胞が破壊され、膵臓でインスリンが生成できない状態になり、高血糖状態が続きます。
そのため、インスリン注射によってインスリンを補う必要があります。
2型糖尿病
2型糖尿病は、インスリンの分泌はありますが、正常な量が分泌されていなかったり、働きが悪かったりして血糖値が下がらない状態になります。
遺伝的な要因の他、生活習慣によって発症することがあり、主に中高年での発症が中心です。
注射によってインスリンを補うこともありますが、生活習慣の改善が治療の中心になります。
糖尿病患者は増加傾向にある
日本で糖尿病にかかっている患者は1990年代後半には、厚生労働省調査によると690万人でしたが、年々増加傾向にあり、2016年の糖尿病人口は糖尿病予備群と呼ばれる人も含めると2,000万人以上になるともいわれ、日本人の5~6人に1人が糖尿病予備群以上の状態と推察されます。
年齢別に見ると、60歳以上の患者が多く、70代以上では糖尿病患者は400万人以上となり、高齢になるほど発症確率が上がる疾患でもあります。
そのため、老人ホームなどの介護施設でも、インスリン注射が必要な方の受け入れが増加傾向にあります。
インスリン注射が必要な方の介護施設選びのポイント
インスリン注射が必要な方でも、介護施設に入居することが出来ます。
入居する場合の施設選びのポイントを紹介します。
血糖値を適切に保とう
糖尿病の方にとって、低血糖状態は命にかかわる事態になります。
患者本人による、運動や生活習慣の改善などで血糖値を適切に保つ努力も重要ですが、施設に入居する場合には、
- インスリン注射をしっかり継続出来ること
- 食事療法が行えたり、適切な摂取が出来ること
- 低血糖による急変時に対応がしっかりしていること
こうした対応で、血糖値を正常に保つための管理をしている施設や、低血糖による緊急時の対応がしっかり出来る施設を入居条件にしましょう。
自己注射できる状態か念入りに確認しよう
インスリン注射は医療行為になるため、接種出来るのは医師か看護師、もしくは本人、病院で指導を受けた家族になります。
介護施設に入居後も本人が継続して自己注射が出来れば問題はないのですが、身体に麻痺が出たり、認知症になったりして、本人による自己注射が出来なくなった場合の介護施設の対応は十分に確認する必要があります。
老人ホームなどの入居施設でも、接種出来るのは医療従事者のみなので、介護職員は摂取することが禁止されています。
そのため、施設に入居する場合は、看護師が常駐しており、インスリン注射の対応が可能なことが絶対条件になります。
また、糖尿病と認知症には、実は深い関わりがあります。
高血糖状態が長く続くと、認知機能が低下しやすくなることが分かっています。
糖尿病の方と、そうではない方を比べると、
- アルツハイマー型認知症には約1.5倍
- 脳血管性認知症には約2.5倍
糖尿病の方のほうが認知症を発症しやすいという報告があります。
また、軽度の認知障害がある場合は、認知症へと発展する可能性があります。
高血糖状態だけが認知症に直結しているわけではなく、実は重症な低血糖状態でも、認知症になるリスクが高くなると言われています。
認知機能の低下によって、糖尿病の治療の必要な内服やインスリン注射、食事の管理などが出来なくなると、糖尿病の悪化にも繋がるため、施設に入居する際は十分な確認が必要になります。
インスリン注射の頻度も施設選びに重要
インスリン注射を行う回数は、患者それぞれで異なり、1日複数回必要な方もいます。
1日の中で接種するタイミングも異なります。
本人による自己注射が出来ない場合には、看護師に接種してもらう必要があるため、自分が接種するタイミングに看護スタッフが勤務していることが入居条件になります。
たとえば、1日2~3回接種が必要なら、24時間看護師が常駐している施設や、看護師が常時勤務している施設を選びましょう。
1日4回接種が必要なら、24時間看護師が常駐している施設を選ぶようにします。
治療も兼ねてくれる施設を選ぼう
単に糖尿病患者でも受け入れてくれる、という施設ではなく、食事、運動療法にも力を入れている施設を選ぶことが望ましいです。
糖尿病の治療には、インスリン注射や服薬を行っていても、運動療法や食事療法も継続して行うことが大切です。
食事療法のために、糖質の管理やカロリー制限などに対応している施設や、運動も出来る施設を検討しましょう。
また、糖尿病によって起こる、潰瘍や感染、壊疽など糖尿病足病変を予防するフットケアなどを行っている施設も魅力的です。
インスリン注射が出来る介護施設の費用のポイント
インスリン注射に対応可能な、ココファンの介護施設の入居金・月額費用それぞれの平均値・中央値は以下のようになります。
<入居金>
地域 |
平均値 |
中央値 |
city |
267,567円 |
194,250円 |
全国 |
297,256円 |
194,500円 |
<月額費用>
地域 |
平均値 |
中央値 |
city |
162,088円 |
156,578円 |
全国 |
169,518円 |
158,250円 |
学研ココファンでは、多くの施設で充実の医療体制を整えています。
そのため、インスリン注射に対応できる施設で探した場合でも、費用が高くなることはありません。
インスリン注射が必要な方の入居条件
インスリン注射が必要な方に対して、施設側から入居条件を指定することは特にありません。
ただ、インスリン注射を行う回数によっては、施設側の対応が課題になることもあり、入居が難しくなることもあります。
糖尿病の進行によっては、現在と異なる症状がみられることがあり、著しい高血糖になった場合、口の乾きや多飲・多尿・体重減少・昏睡などの症状が出ることがあります。
また、治療によって低血糖を起こす可能性があることや、糖尿病の三大合併症を引き起こす可能性もあります。
変化する症状に対して、様々な状態を過程した上での施設選びが重要になっていきます。
まずは入居を検討した段階で、症状をしっかりと伝えて相談してみることが大切です。
介護施設に入居する際のリスク
いくら食事、運動療法に力を入れている老人ホームでも、看護師が24時間常駐している老人ホームでも、老人ホームはあくまでも生活をする場所です。
病院とは異なるため、専門的な治療を行うことは出来ません。
そのため介護施設に入居中、もし症状が悪化した場合や、医療ケアが常時必要になった場合、入居する施設では対応しきれずに退去しなくてはならない場合もあります。
入居を継続出来た場合でも、病院ほど専門的なケアが受けられたり、常に医師や看護師がいる病院とは異なるため、生活の場として安らげる老人ホームか、医療面で安心できる病院か、という判断が必要になる可能性があります。
QOLの低下により、老人ホームでの暮らしにくさを感じることもあるかもしれません。
想定出来る様々な状況に応じて、ご本人が納得出来る適切な判断が出来るように、入居する施設の医療スタッフとは、しっかりコミュニケーションをとっておくようにしましょう。