杖の種類・選び方|使い方や使用上の注意点・杖の持つ役割まで徹底解説

この記事は専門家に監修されています

介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

「足腰が弱ってきたから、もうそろそろ杖を使おうかな・・・」

「杖の選び方がわからなくて困っているんだけど、どうすればいい?」

このようにお考えの方も多いのではないでしょうか。

高齢になってくると、歩く際に杖があると安心です。しかし、人によって身体機能の状態はそれぞれであり、杖にもさまざまな種類があります。

杖の選び方に迷ってしまう方は多いのではないでしょうか。そこで、この記事では、杖の種類や選び方について徹底解説します。

杖を選ぶときや使うときの注意点など、実用的な内容もご紹介しますので、杖の使用をお考えの方はぜひ参考にしてみてください!

杖の種類についてざっくり説明すると
  • 杖とは、歩行補助やリハビリのために使うもの
  • 杖は主に5種類で、杖によって使い方が異なる
  • ロフトストランドクラッチ、多脚杖などがある

杖の持つ役割

杖をついている高齢者

高齢者になると、歩行のリハビリのためや、普段の外出時にスムーズな歩行をするために杖を使うことが多くなります。

まずは、杖とはどのような役割を持っているものなのか解説します。

歩行を補助する

人間の身体機能は、年齢を経るとともに低下していきます。特に足腰の筋肉が低下していくため、高齢者の多くは一人で歩くことが難しくなっていきます。

杖の最も大きな役割は、足腰の機能が低下している方など、一人では上手く歩けない方の歩行補助をすることです。

一人では歩くのが難しくても、杖を使って体を支えれば、歩くときの体の安定性が高まります。

そのため、杖を使いながら歩くと、体のふらつきを抑えながら、一人でもテンポよく歩くことができるようになるのです。

転倒の心配も減るので、外出を控えて閉じこもりがちになってしまっていた方も、安心して外出できるようになります。

足腰への負担を減らす

高齢者は足腰の筋肉が衰えてくるため、歩くと足腰に大きな負担がかかってしまいます。

そして、負担がかかる状態をそのままにしておくと、足や腰にダメージが加わり、痛みが悪化するなど、症状の重症化に繋がる恐れもあります。

そうならならいために、杖を使って歩くことは非常に大切です。

足腰への負担から歩くことができない状態の高齢者の方も、杖を使うと歩くことができるようになることも多いです。

杖を使うと、体重は杖にかかるため、足腰にはあまり負担がかからなくなります。

そのため、歩くときに足腰に負担がかかり痛くなってしまう方でも、杖を使うと足腰の痛みを感じにくい状態で歩くことも可能になります。

障害物を避けれる

高齢者の方は、歩いているときに足元の障害物や段差に気が付かないこともあります。

障害物は、ときには転倒や衝突などの事故に繋がってしまうことがあり、特に高齢者にとっては大変危険です。

そのため、一人で歩くことに抵抗感を抱くようになり、外出したくても一人ではできなくなってしまう方もいます。

しかし、杖を使い、杖の先で地面をチェックしながら歩くことによって、足元の障害や段差に気付きやすくなります。

杖を使ってこのような危険を避けられるようになることは大変重要だと言えます。

また、高齢になると視覚が低下する方も多くいるため、杖で障害物を見つけられることは非常に重要でしょう。

いずれにしても、杖は障害物を見つけやすくなる傾向があり、高齢者の安全な歩行を手助けします。

安心して歩けるようになる

加齢によって一人で歩くことが難しくなると、一人での外出は不安を伴います。

そのため、高齢者の方は自然と外出の機会が減っていき、家に閉じこもりがちになってしまうこともあります。

しかし、杖を使えば、不安を抱くことなく歩くことができる上に、障害物も見つけやすくなります。

そのため、一人で歩くことに対して不安がある方でも、杖を使えば安心して歩くことができるでしょう。

万が一バランスを崩しても、杖を持っていれば体を支えることができます。 そのため、転倒を防げぐことができるでしょう。

杖を使えば、安全性を高め、楽しく外出できる機会が増えます。

少しでも歩くことに不安がある方は、できるだけ杖を使えば安心して外出できるようになるでしょう。

杖の種類

杖の種類には、大きく分けると伸縮杖と折りたたみ杖の2種類があり、それぞれ以下のような特徴があります。

杖の種類 特徴
伸縮杖 体に合わせて簡単に杖の長さを調整できます。使いやすいので、初心者の方におすすめです。
折りたたみ杖 折りたためるので、普段から鞄に入れて置けます。杖が必要なきだけ取り出して利用できる便利さがあります。

この2種類の杖をさらに分類すると、以下の5種類に分かれます。

それぞれの杖についての特徴と使い方を詳しく解説します。

ロフストランドクラッチ

ロフストランドクラッチを使う高齢者

ロフストランドクラッチは、杖の上の部分に、「カフ」と呼ばれる腕を通す輪っかの部分があるのが特徴です。握る部分であるグリップはカフの下に付いています。

ロフストランドクラッチは、杖の安定性が高く、歩く際のサポート力も高いのが特徴です。

ロフストランドクラッチは通常のグリップ(握る部分)に加え、腕を通すカフも付いているため、体重を支える機能にも優れています。

また、カフが付いていることにより、握力が弱くグリップを強く握れない方でも使いやすい点がメリットです。万が一手が滑ったときでも、カフが支えになります。

カフはU型とO型があるため、腕を固定したい方はO型を選べば、しっかり腕を固定でき安全です。

ロフストランドクラッチは、このように握力や腕の力が弱い方、体に麻痺がある方でも使いやすい杖として工夫されています。

ただ、カフをO型にすると、腕からカフが外れにくいというデメリットもあります。メリット・デメリットと、ご自分の体の状態から適切な方を選びましょう。

ロフストランドクラッチの使い方

つま先から15㎝ほど離れた位置に杖の先を置き、軽く肘を曲げて、カフ(輪)に腕を通します。

杖は、痛みや筋力低下、麻痺がない、もしくは軽度の方の手で持ちましょう。

カフは肘関節の位置、グリップは強く握れる位置で使えるようなものを使うと使いやすいです。

先ほども述べたように、カフはU字になっているものと、完全に輪っかの形になっているO型のものがあります。

ご自分の状態に合わせて、使いやすい方を選ぶのがよいでしょう。

多脚杖

多脚杖の特徴

通常の杖の先は、地面に接する点が1点であるのに対して、他脚杖は3点または4点で地面に接することが特徴です。

地面に接する点が多いため、通常の杖よりも安定性が高いと言えます。

通常の上では安定性が足りなくて不安な方は、多脚杖の使用を検討することをおすすめします。

多脚杖の注意点としては、杖の先が分かれているため、段差があるとバランスを崩す恐れがあります。

そのため、平面な通路など、使う場所や用途に合わせて使わなければなりません。

一般の家、病院や施設などではよく使用されています。

多脚杖の使い方

軽く肘を曲げ、グリップをしっかり握ることができる高さに調節して使います。

先に述べた通り、多脚杖は足場の不安定な場所では使うことはかえって危険です。平らな床がある場所で使うようにしましょう。

また、通常の杖よりも、上から体重をかけるイメージで使うと動かしやすくなります。

そのため、多脚杖は、足の力が弱い方や、上半身が曲がっている方でも使いやすい杖です。

伸縮杖

伸縮杖の特徴

伸縮杖は、杖の中で最も典型的な杖だと言えます。長さの調節ができるので、初めて杖を使う方にもおすすめできます。

自分の使いやすさに合わせて長さの調節ができるので使い勝手がよく、さまざまな場面で使うことが可能です。

また、素材にもさまざまな種類があります。比較的軽い素材であるアルミでできた商品が多く、歩く際にも重さを感じにくいようにできています。

杖の初心者の方でもスムーズに歩けるでしょう。また、アルミよりも軽いカーボン製の伸縮杖もあります。

このように、伸縮杖は長さや素材が自分の好みに合わせやすいという利点もあります。

伸縮杖の使い方

杖は止めネジの部分で上下に分かれています。この上下の長さを調節して、自分に適した長さにします。

長さの調節の仕方としては、調節ボタンを押しながら、軽く肘をまげて、しっかり握れる位置に長さを調節します。

外を歩くときや、比較的自由に歩ける状態の際に安心して歩けるよう、長さを決めたあとでも一度使ってみて、適切な長さになったか確認してみるとよいでしょう。

折り畳み杖

長さを調節できる伸縮杖を折り畳み式にし、コンパクトに持ち歩くことができるようにしたのが折り畳み杖です。

ただ、折り畳み状なので、伸縮杖よりは長さの調節は短くなってしまいますが、使用上大きな問題はないでしょう。

折り畳み杖は、出かける際に、鞄などに入れていつも持ち運べるように作られています。

外出時には常に杖を鞄に入れておけば、杖を持っているという安心感があるため、不安を感じることなく、積極的に外出できるようになるでしょう。

また、買い物などの短距離移動だけではなく、旅行などの長距離移動でも折り畳み杖は活用できます。

折り畳み杖は、いつも杖が必要な方ももちろん使えますが、そうではない方にもおすすめです。

素材は、伸縮杖と同じく、様々なもので作られています。持ち運び用なので、伸縮杖と同じようにアルミやカーボンといった軽い素材で出来ています。

長時間持ち運んでも重く感じないかなど、ご自分の外出スタイルに合ったものを使いましょう。

折り畳み杖の使い方

折り畳み杖の特徴

折り畳み杖は一般的に3つに分かれており、3分の1サイズに畳んで持ち歩けます。

鞄の中などに常備しておき、杖が必要になったときだけ取り出して使うことができます。

例えば、疲れたときや、足元が安定せず歩行に不安を感じたときなど、時と場合に合わせて折り畳み杖を使いましょう。

松葉杖

松葉杖を使用する高齢者

松葉杖は、通常の杖に脇当てとグリップが付いており、通常の杖よりも多少大き目の杖です。

骨折したときなどによく使われるため、広く知られています。

サイズが大きいため持ち運びがかなり不便ではありますが、重めの体重でも安定して支えることができます。

松葉杖を使うときは、上半身で使うため、下半身への負担はかなり抑えることができます。

下半身の怪我をしている方はもちろん、足腰の機能が低下している方にもおすすめです。

松葉杖の使い方

脇で杖を挟んでから、肘を軽く曲げ、しっかりグリップを握ることができる高さまで調整します。

脇で体重を支えると神経を圧迫してしまうため、グリップに体重をかけるイメージで使います。

両腕で使って松葉杖に全体重をかけても、ほとんどの場合支えることができますので、体重をかけて使用しましょう。

T字杖

T字杖は最もスタンダードな形を持ち、そのシャフト(棒)にはT字型のグリップが付いています。持ち運びに便利な折りたたみ式や伸縮式のバリエーションが存在し、色やデザインの種類も多いです。

形状がシンプルで比較的軽量なので、初めての人でも簡単に扱えます。しかし、T字杖は自力で歩ける人のサポート用であり、自立歩行が困難な人や手に痛みがある人には推奨されません。

T字杖の使い方

手首の高さと、床から太ももの外側から下に触っていくと触れられる骨である大転子という部分までの高さで合わせます。

T字杖の握り方としては、杖の持ち手が短い方を前にして、人差し指と中指でリップを握ります

痛い足と反対側の足から真横に15cm、前方方向に15cm程度前に着くのが正しいつき方です。

杖の選び方

ここまで杖の種類と使い方を解説しましたが、自分に合った杖とは、どのような点に注目して選べばよいのでしょうか。

身長に合ったものを選ぶ

杖の長さの選び方

杖を選ぶときに、最も重視するべきなのは杖の長さです。長すぎるもの、短すぎるものを使うと、体に合わず、杖の役割が果たせなくなってしまいます。

また、体に合わないものを使うと、転倒する危険性や、体に負担がかかり体を痛める危険性があります。

杖を選ぶときには、まず自分の身長に合った長さのものを選ぶことを意識しましょう。

身長と杖の長さなど、杖を選ぶときの適切な目安はあります。

しかし、人によって腕や足の長さなどが違うため、杖を使って実際に歩いてみて、使いやすいと感じるものを選びましょう。

軽さと頑丈さで選ぶ

杖を選ぶ上で、杖の耐久性もかなり重要なポイントだと言えます。

例えば、軽さだけを重視すると、耐久性に欠けます。 使っているときに壊れてしまう恐れもある点は要注意です。

一方、頑丈なものを選ぶと重くて使いにくいこともあります。

また、杖の支柱が太いものは、それだけ頑丈だと言えますが、扱いにくく疲れやすいデメリットもあります。

杖を選ぶときには、ただ使用感を確かめるだけではなく、実際に杖を使って歩いてみたり、持ち運びをしてみたりして、使いやすいものを選びましょう。

握りやすさで選ぶ

杖の握る部分であるグリップ選びもかなり重要です。グリップの形によっては、長時間握っていると疲れてしまうものもあります。

手の大きさ、握力、手の形とグリップの形が合わないという問題もあります。

また、握りにくいグリップを使っていると、手が滑ってしまうことも注意が必要です。そのため、グリップ選びは非常に重要なのです。

グリップが合わないと思ったら、グリップだけを取り換えることも可能です。

使っている杖のグリップが握りにくいと感じたら、グリップの交換を検討しましょう。

杖を選ぶ際には、長さや重さに目が生きがちです。しかし、グリップの握りやすさも非常に重要なポイントの一つなのです。

用途から選ぶ

杖を使っている方は多いですが、人それぞれ身体機能や杖を使う目的は違います。

さまざまな杖がありますが、自分に合った杖を選ぶことは非常に重要です。

例えば姿勢が悪い人は多脚杖、足腰の弱い人は松葉杖など、自分の身体機能や杖の用途に合った杖を選ぶことが肝心です。

また、利用する環境によっても適している杖は変わってきます。例えば、病院や介護施設など、平面の廊下を歩くのが目的ならば多脚杖でもよいでしょう。

また、松葉杖は広めの幅を通れる環境にいることができるなら使いやすいですが、狭い道は通りにくいため、適していません。

選び方がわからない場合、リハビリ専門家や福祉用具専門家に相談

ご自分の身体機能や環境に合っている杖の選び方がわからない場合、自己判断で決めるのはやめましょう。

通っているデイケアのスタッフや、福祉用具販売・レンタル会社の社員など、専門家に相談することがおすすめです。

自己判断して選んだ杖が自分に合わず、体の状態が悪化してしまっては元も子もありません。専門家へ気軽に相談してみましょう。

杖の基本的な使い方

ここからは、杖の正しい持ち方や、正しい歩き方など、杖の基本的な使い方を解説します。

杖を持った際の正しい歩き方

杖を持った際の歩き方

初めて杖を使う方、普段杖を使い慣れていない方、今までと違う杖を使い始めた方は、杖に慣れるまで歩くのが難しい時期があります。

また、杖を使った正しい歩き方がわからないまま歩くと、かえって体に負担がかかることもあります。

できるだけ体にかかる負担を抑える正しい歩き方を習得しましょう。

杖を使って歩くときには、健康な方の手で杖を持ちます。

そして、足を出す前に杖を先に出し、痛みや筋力低下、麻痺がある方の足を出します。次に、健康な方、より軽度な方の足を出すのが正しい歩き方です。

杖を使う上での注意点

杖は、使い方が間違っていると、身体に負担がかかり足腰を痛めたり、転倒してしまったりするなど、悪影響となってしまいます。

杖の使い方には、日頃から注意して使うようにしましょう。

杖先端のゴムの摩耗

長期間使用すると、杖の先端のゴム部品(石突き)が摩耗し、すり減ることが考えられます。このままでは、歩行時に杖先が滑りやすくなり、転倒のリスクが増えます。そのため、ゴム部品の状態を定期的にチェックし、必要なら交換してください。このゴム部品は、介護用品や福祉用具の専門店で購入することができます。

杖を使うときには安全な状態であるかよく注意しながら使いましょう。

松葉杖に重心をかけすぎる

松葉杖を使用する際、その長さは脇から指2~3本分程度のスペースができるように調節することが推奨されます。これは、松葉杖は体の全体重を脇で支えるための道具ではなく、脇の下には多数の神経が走っているためです。絶対にこれらの神経を圧迫しないように使用しましょう

グリップで手を痛める

杖を使用して歩行するとき、持っている手に痛みを感じることがあるのは、体重がかかるからです。この痛みは、握る部分(グリップ)の材質によって変わることがあります。そこで、痛みを和らげるために、クッション性の高い材質のものを選ぶ、または市販のグリップカバーを使用するなどの方法を検討してみてください。

杖を拾う時に転倒

杖がテーブルなどに立てかけられても、容易に倒れるものが存在します。その杖を床から拾おうとする際に、転倒する危険性がありますので、注意が必要です。杖が倒れないようにするための対策として、クリップタイプの商品などを使用して杖をしっかり固定することをおすすめします。

福祉用具としての杖

杖は福祉用具の一つであり、介護保険サービスを利用してレンタルすることができます。

福祉用具としての杖は「歩行補助杖」という名称で、福祉用具販売・レンタルの会社によって、さまざまなタイプの杖を扱っています。

レンタルできる歩行補助杖は福祉用具レンタル会社によってことなりますが、ロフストランドクラッチ、松葉杖、多点杖などがあります。

ただ、会社によって、また杖のタイプによってはレンタル不可のものもあります。

杖のレンタルをご希望の方は、福祉用具レンタルをしている会社にレンタル可能かお問い合わせください。

福祉用具のレンタルは自己負担額が安い

福祉用具のレンタルは、要介護認定を受けている方が介護保険サービスを利用して行うことができます。

そのため、一般的な所得の方は、自己負担額が1割です。

福祉用具は一ヶ月単位でレンタル代がかかります。一般的には、歩行補助杖のレンタル代は企業にもよりますが一ヶ月1,000円前後です。

その1割負担ですので、100円前後でレンタルすることができます。

所得が多い方でも、2割~3割負担でレンタルできますので、経済的な負担にはなりません。

杖をレンタルするには

福祉用具をレンタルするには、ケアプランで歩行補助杖のレンタルが必要であることが記載されていなければなりません。

そのため、歩行補助杖のレンタルを希望する場合、まずは担当のケアマネージャーに相談しましょう。

担当のケアマネージャーがまだいなくて相談できる人がいない場合は、お住まいの地域にある地域包括支援センターに相談しましょう。

地域包括支援センターは、地域の高齢者が暮らしやすいように包括的な支援サービスを行い施設です。

そのため、相談をすれば福祉用具のレンタルについての情報提供だけではなく、ケアマネージャーやサービス事業者の紹介などもしてくれます。

要介護認定を受けよう

福祉用具は、福祉用具レンタルを行っている会社から直接レンタルすることができます。

要介護認定を受けていれば介護保険を利用して、1割~3割の自己負担でレンタルすることができます。

そのため、祉用具をレンタルしたければ、まずは要介護認定を受けた方がよいと言えます。

しかし、福祉用具は、要介護認定を受けていなくとも全額自己負担にはなりますが、レンタルすることが可能です。

歩行補助杖の場合に限定すると、さほど高額ではないため、全額自己負担でもよいのであれば、要介護認定を受けないままでもよいかもしれません。

しかし、今後要介護認定度が上がっていき、必要な福祉用具が増える可能性を考えれば、今のうちに要介護認定を受けておいて損はなでしょう。

歩行補助杖の場合は、要介護認定の中で一番下の度合いである要支援1からレンタルすることが可能なので、要介護認定を受けていさえすれば使用が可能です。

杖を使いたい状態であるけれども、まだ要介護認定を受けていないという方で、福祉用具として杖をレンタルしたい場合、まずは要介護認定を受けてみてはいかがでしょうか。

歩行補助杖は購入かレンタルか

杖は大型スーパー、ドラッグストア、ホームセンターなどでも気軽に購入することができます。

そのため、福祉用具としてレンタルしなくとも、全額自己負担で購入することに全く負担を感じない方もいるでしょう。

介護用の杖は、千円台から1万5千円程度と幅広く販売しているため、自分好みの杖が見つかりやすいとも言えます。

結局、杖はレンタルがよいのでしょうか。または、購入するのがよいのでしょうか。

それは人それぞれであり、所得額にもよります。所得が少なく、なるべく低価格で杖を使いたい方は介護保険を利用してレンタルした方がよいでしょう。

しかし、レンタルの杖は新品ではありません。その点は了解した上でレンタルを申し込む必要があります。

どの杖が合うのかレンタルで試してから購入する方法も

先ほどから述べているように、杖は身体機能の状況に合わせたものではないと、使用することがかえって危ない場合もあります。

そのため、いきなり購入した杖が合わなかった場合や、購入後自分の身体機能が悪化して、購入した杖が使えなくなったりすることも考えられます。

まずはレンタルで杖を試してみて、自分に合うものかどうかチェックしてみるのもよいでしょう。

レンタル品で納得してから同じものの新品を購入するという手順だと、自分に合うものを購入できるので、吟味して商品を選ぶことができるでそう。

杖の種類についてまとめ

杖の種類についてまとめ
  • 杖は、自分の身長や身体機能、使用目的などから選び方を決めるのがよい
  • 杖は、介護保険サービスでレンタルもできる
  • いつも杖を使う必要はない方は、折り畳み杖がおすすめ

杖のさまざまな種類や選び方について解説しました。

杖と一言で言ってもさまざまなタイプがあり、身体機能や使用環境に合わせてそれぞれの杖に特徴があります。

そのため、自分の使用目的に合っているものを選ぶことが大切です。

自分に合わない杖を選んでしまうと、転倒して怪我をしたり、体に負担がかかって体を痛めてしまったりします。

自分に合った杖が決められないという場合は、専門家に相談したり、レンタルして試してみたりすることもおすすめします。

杖を使えば、歩くときの不安が減り、楽しく外出できるようになるでしょう。 少しでも歩行に不安がある方は、ぜひ杖の使用を検討してみてください!

この記事は専門家に監修されています

介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

株式会社学研ココファン品質管理本部マネジャー。介護支援専門員、介護福祉士。2011年学研ココファンに入社。ケアマネジャー、事業所長を経て東京、神奈川等複数のエリアでブロック長としてマネジメントに従事。2021年より現職。

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