高齢者向けおすすめ脳トレ15選|具体的な方法・認知症予防の効果についても解説

この記事は専門家に監修されています

介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

「脳トレは認知症予防に効果があるの?」

「脳トレをしたいがどのようなものがあるの?」

このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?

高齢者自身や家族などで、認知症予防のための脳トレに関心のある方も多いでしょう。

脳トレと言っても、漢字問題もあれば、クイズ形式のものなど、いろいろなものがあります。

この記事では、高齢者向け脳トレについて、おすすめ15選を紹方します。脳トレの認知症予防効果や具体的なやり方についてもわかりやすく解説します。

この記事をご覧になれば、脳トレは認知症予防に効果があること、脳トレのやり方などがよく分かるでしょう。

高齢者向け脳トレについてざっくり説明すると
  • 脳トレは脳内の血流を促進して、認知機能の低下を防ぐ効果がある
  • 老人ホームやデイサービスで脳トレを活用しているところが多い
  • 脳トレは正解を出すのが目的ではない

高齢者の脳トレ・頭の体操

高齢者の脳トレ

高齢者の脳トレ・頭の体操はどのような意味・効果があるのでしょうか。

まず、高齢者の脳トレ・頭の体操の効果と、実際に多くの老人ホームやデイサービスで実施されている実態を紹介します。

認知症予防につながる

人は誰でも齢を重ねると脳内の血流が悪化してきます。そうすると、脳内にエネルギーを運ぶ酸素や糖分が不足してきて、認知機能にも影響してきます。

そこで、大事なことは、脳を刺激することです。脳トレは、脳内の血流を促進して、認知機能の低下を防ぐことができるのです。

人の脳は、「前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉」の4つに分けられます。

このうち、前頭葉の前頭前野が、記憶・学習・感情をコントロールする役割を担っています。この前頭前野を活性化させることにより、脳の老化スピードを遅くできるのです。

前頭前野を活性化するためには、格別頭を抱えるほどの難問を解く必要はありません。ごく単純な計算やクイズなどでよいので、脳トレを継続することが重要なのです。

脳トレには、クロスワードパズル、数独、記憶力トレーニング、語学学習などがあります。

新しいことに挑戦することによって、脳に大きな刺激を与えることができ、認知症予防につながるとされています。

多くの老人ホームやデイサービスで実施

上で説明したように、脳トレは認知症の予防や症状を遅らせる効果がありますので、実際に多くの老人ホームやデイサービスで脳トレを活用しています。

具体的には、高齢者が楽しめるレクリエーションの一環として実施されています。

基本的に自由参加ですが、クイズ・ゲームなど、さまざまなタイプの脳トレを用意していることが多いです。

ネットなどにもいろいろなタイプの脳トレが紹介されています。

PDFになっているクイズや問題も多数あります。飽きることなく続けられるように、状況に応じて使いやすいものを選ぶと良いでしょう。

また、最近ではスマートフォンアプリやパソコンゲームなど、オンライン上で脳トレができるものも増えています。

老人ホームやデイサービス以外でも手軽にできる脳トレも多いため、積極的に取り入れると良いでしょう。

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脳トレレクリエーションでの注意点

ここでは、脳トレをレクリエーションとして行う上での注意点を説明します。大事なことは、脳トレは正解を出すのが目的ではないことです。要は楽しみながら脳をトレーニングすることです。

答を間違えても全く問題ありません。周りの方が、そのことを非難したり、本人が自信を失うような言葉や態度を見せるのは絶対に避けましょう。

高齢者はちょっとしたことで自信を無くしやすい人もいます。介護にあたる方は特に相手に沿った対応が求められます。

さらに、脳トレを行う時間帯にも注意が必要です。脳トレに集中するには、疲れている時や眠い時には行わない方が良いでしょう。

簡単にできるものを継続することが大切

脳トレは、なぞなぞやしりとりなど簡単にできるものを継続することが大切です。しかも、できるだけ幅広い分野のゲームをすることです。

そうすれば、脳や体のさまざまな部分を刺激でき、より効果が上がります。

誰も解けそうもない難問をやってみても、解けなければ達成感を得ることもできません。むしろ落胆するだけで、効果がなくあまり意味がないです。

また、一人でできるゲームだけでなく、誰かと一緒にできるゲームをすることも重要です。

自分以外の人とのコミュニケーションが生まれ、脳への刺激がより強まります。問題を解くだけでなく、発声するゲームなども刺激があり、おすすめです。

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おすすめの高齢者向け脳トレ15選

遊ぶ高齢者

ここでは、おすすめの高齢者向け脳トレを15個選んで紹介します。

紹介する以下のゲームは、どれもプリントやホワイトボード、ご自身の体で簡単にできるものばかりです。

なぞなぞ

まず、「なぞなぞ」です。なぞなぞを解くときは、普段とは違う脳の使い方をします。そのため頭の回転が速くなり、想像力を働かせる効果も期待できます。

しかも、なぞなぞをうまく解けたときの満足感・充実感が脳に心地よい刺激を与え、ストレス解消にもなります。

なぞなぞのお題は、いろいろあります。高齢者向けにおすすめなのは、「季節のなぞなぞ」や、「スポーツなぞなぞ」です。題材は多いので、出題に困ることはありません。

ネットにも数多くのなぞなぞが掲載されています。基本、無料ですので、お好みのテーマ・題材を選んで試してみるとよいでしょう。

また、何人か集まってお題などをあれこれと話し合いながらやれば、自ずとコミュニケーションも活発化してより効果が見込めます。

また、なぞなぞを解く過程で、記憶力や集中力も養われるとされています。

ユニークしりとり

ユニークしりとりは、ほかの参加者が思いつき難い言葉でしりとりをするゲームです。

思いつき難い言葉を考えてもらうことで想像力が刺激されます。また考えた言葉を書くことで手指の運動にもなります。

用意するものは、1人5枚程度の白紙とペンだけです。まず、4人から20人程度のグループに分かれ、リーダー役がしりとりの最初の言葉を言います。

参加者は、しりとりで続く言葉を考えます。ポイントは、他の人が考えつかないユニークな言葉を考えることです。

全員が言葉を考えて書き終わったら、各自思いついた言葉を順次発表していきます。発表された言葉と自分の言葉が同じ場合は自分の紙を捨て、同じでなければ紙を残します。5回行って多くの紙を残した人が勝です。

他にも絵しりとりなどもあります。しりとりは応用させやすい脳トレです。

回文

回文とは、上から読んでも下から読んでも同じ言葉になる文字列です。

よく例に挙げられるのは、「しんぶんし(新聞紙)」、「たけやぶやけた(竹藪焼けた)」です。

ただ、高齢者は「回文」と聞いても何のことかと、戸惑うかもしれません。まず、簡単な例文を示して、ルールを説明してあげましょう。

回文に慣れてきたら、自由に考えてもらうようにするのが良いです。

回文を考えることは頭の体操になるだけでなく、数字列を逆に読むのと同じように認知機能の維持にも効果があります。

できた回文を声に出して読み上げてもらうことにより脳トレの効果がより高まります。

点つなぎ

点つなぎは、数字やアルファベットが書かれた点を順番に線で繋いでいく遊びです。点を繋いでいくと最後に一筆書きの絵が完成します。

でき上がる絵柄は、シンプルな図形から、やや複雑な形の動物・風景など、好みのものであればなんでも良いでしょう。

単純な遊びですが、1、2、3と探しながら追いかけて線を繋いでいく動作は、手を使うリズム運動です。

脳への刺激となり自律神経のバランスも整えられます。どんな絵になるのかを想像しながら進められるので、イメージ力もアップします。

点つなぎは、「勝ち負け」を決めるゲームではありません。ですから、ストレスを感じることもなく、リラックスして楽しめます。

計算問題

計算問題は、認知症予防におすすめの脳トレとして、よく使われています。計算力は年齢とともに衰えやすいですが、脳トレで鍛えることもできるのです。

計算問題というと難しいというイメージを持つかもしれませんが、決して難しい問題を解く必要はありません。

脳を活性化させるためには、難しい問題より、簡単な足し算・引き算を繰り返すほうが良いのです。

簡単な計算問題でも頭を悩ませて問題を解けたときの達成感が期待できます。楽しみながら計算問題に取り組めることが大事です。

漢字問題・漢字イラストクイズ

漢字問題・漢字イラストクイズは、漢字や熟語を使ったクイズや、漢字を使ったイラストで、いろいろなものを表すクイズです。漢字を使った脳トレは高い人気があります。

たとえば、野菜や果物、花や魚などの難しい漢字の読みを考えてもらう問題もあれば、漢字をバラバラにして1つずつ組み立てながら、どの漢字になるかを考えてもらう問題です。

漢字問題は、他にも四字熟語を考える問題や、百人一首・俳句などを使った問題もあります。いろいろなパターンが可能ですので、解答者に合わせて出題できるのも魅力です。

書き順バラバラ

書き順バラバラは、漢字を書く人と解答者に分かれます。

漢字を書く人は、1つの漢字を書く時に筆順に従わずに、書き順をバラバラにしてランダムに書きます。

そこで、解答者が字を書き終わる前に早めに漢字を当てるゲームです。

皆がよく知っている漢字は多数ありますので、出題に困ることはありません。ただ、普段とは違う書き順ですので、問題を書く人は字のバランスを整え難いことがあります。

始める前に練習しておいた方がよいでしょう。複数人で飽きずに楽しむのにぴったりなゲームです。

都道府県当てクイズ

都道府県当てクイズは、各県の特徴に関するヒントを示し、都道府県名を当ててもらうゲームです。

参加者は自分の記憶をたどりながら、答えを探します。頭の体操と同時に、回想法による認知機能へのアプローチにもなります。

具体的な遊び方は、まず、各都道府県について誰でも知っている観光地や特産物・人物名などを3~5個準備しましょう。

その上でヒントを1つずつ出して、都道府県名を当ててもらいます。少ないヒントで解けたら高得点です。

進め方のコツは、必ず答えにたどり着けるようにすることです。47都道府県の特徴は、いくつかのヒントを出せば、大抵の人はわかる可能性が高く、使いやすい脳トレと言えます。

仲間外れ探し

仲間はずれ探しは、3つ以上の複数のキーワードや絵の中から仲間はずれを探してもらうゲームです。たとえば、乗り物の中に1つだけ道具を入れたり、鳥の中に動物を紛れこませて問題にします。

見方によっては、問題の正解は1つとは限りません。本来想定した答とは違うものが、仲間はずれになることもあるのです。柔軟に考えることで脳の活性化につながります。

問題は10問程度を用意します。最初はごく簡単な問題から始め、難易度を徐々に上げていくのがおすすめです。

難しすぎる問題はNGです。参加者が、答えを見つけて満足感・達成感を味わえるようにしましょう。

指先体操

指先体操は、指先を動かす体操です。指は第2の脳とも言われるほど脳につながる神経が多くあります。指先を動かすことで、脳に刺激が伝わり、脳の活動が活発になります。

体操に使うのは指先だけで、大がかりな準備は不要です。やり方は、いろいろなパターンがあります。簡単なのは、両手の指を曲げ伸ばしする体操です。

手を広げ親指から順に折り曲げ、グーになったら、逆に小指から伸ばしていきます。難しさを上げた「指先マラソン」もあります。

普段と違う指の動きをさせるときは、やや難しいですが、難しければより脳の活性化が期待できます。ただし、無理せずに毎日5分程度行なうのがおすすめです。

指折り体操

指折り体操は、両手の指を折りながら1~10まで数える体操です。まず両手をパーに開き、数を数えながら親指から順に折り曲げます。

1で両手の親指、2で人差し指と続け、5で小指を折ると、両手はグーの状態です。続いて、6で小指を上げ、順次1本ずつ指を開いて10でパーに戻ります。

高齢者にとっては、指を1本ずつ動かすことは結構難しいかもしれません。慌てさせずに、ゆっくりと進めることが大事です。慣れてきたら徐々にスピードアップしましょう。

簡単そうな指折り体操でも、脳に刺激を与えることができます。他の脳トレをする前の準備体操として、最初にやってみるのも良いでしょう。

足踏み体操

足踏み体操は、座ったままできる体操です。まず、椅子に座ったまま歩くように腕を振りながら足踏みをします。その際、腕と足を同じ向きにしないように注意しましょう。

足踏みに慣れてきたら、右腕、左腕と振ったら、そこで手拍子しましょう。つまり、1・2と手を振って、3で手拍子です。

1~30までの数で繰り返してみましょう。ポイントは3の倍数で手拍子することで、手拍子の時も、足踏みは続けます。

始めは難しいと感じるかもしれませんが、すぐにリズムをつかんで思ったより簡単にできるはずです。3の倍数でなくて、5の倍数で手拍子に変えても構いません。

足踏み体操は、頭も、口も、腕・足も一度に動かすことができるので、効果抜群の脳トレです。

後出しじゃんけん

後出しジャンケンは、「ジャンケンポン・ポン」と一拍遅れで手を出すゲームです。

2人いればできるゲームで、後出しをした方が勝つパターンと、あいこにするパターン、負けなければいけないパターンなどで。

手順は、まずリーダーとなる人が「ジャンケンポン」と合図し、ジャンケンの手を出します(グー)。参加者がすぐに続けて「ポン」と言って、ジャンケンの手を出します。

この時に、たとえば、「あいこ(グー)」→「勝つ(パー)」→「負ける(チー)」の順に進行させてみる、などの遊び方をすると良いでしょう。

「ポン」のタイミングを最初はゆっくりから始め、徐々にスピードを上げていきましょう。頭ではわかっていても、なかなか思うようにできないもので、楽しく実施できるゲームです。

文字並び替えゲーム

文字並び替えゲームは、その名の通り文字列を並び替えた言葉を当てるゲームです。参加者が盛り上がりやすいゲームで、記憶力の向上や認知症の予防につながります。

用意するものは、ホワイトボードや画用紙とペンです。テーマとなる言葉の文字列を順不同に入れ替えて、ホワイトボードや画用紙に記入しておきます。そこで、バラバラの文字列を本来の言葉に並び替えてもらいます。

参加者それぞれの状況に合わせて、最初は4文字など文字数が少ない単語から始めて、徐々に単語数を増やして難易度を上げていくと良いです。また、答えるまでの時間を1分程度から始め、慣れてきたら30秒程度に縮めるなどして、難易度を調整するのも良い方法です。いろいろな言葉に変えることで、何度でも楽しめます。

お題ビンゴ

お題ビンゴは、よくある数字のビンゴゲームを応用したゲームです。

やり方は、まず、参加者に3×3のマスが書いてある紙を配布し、テーマ決め、連想した単語をそのマス目に書き込んでもらいます。

次に、テーマに合う単語を順番に言っていき、同じ単語を書いてあれば、チェックしてもらいます。縦・横・斜め、いずれでも良いので1列チェックできれば、「ビンゴ!」です。

マスの枠は、3×3以上であれば多少増やしても良いです。お題は、「花の名」「行ってみたい都道府県」「好きな食べ物」など、日常的に誰もが知っていて思いつきやすいものにしましょう。

書き込んでもらう際は、焦らせずに時間をとることも大事です。

歌クイズ

歌クイズは、「この歌なあに?」と、誰でも知っている歌の名前を当ててもらうゲームです。

簡単なゲームですので、高齢者もレクリエーション気分で脳トレできます。

やり方は、ホワイトボードと、高齢者なら誰でも良く知っている歌を10曲くらい録音した音源を用意します。

ホワイトボードに歌の一節を書き、曲名を当てていくゲームです。キーボードなどでの生演奏があればより盛り上がります。

高齢者の場合、思い出せそうでもなかなか思い出せないこともあります。そのような時は、一節を歌ってあげたり、ヒントを示すなどして、助け舟を出してあげるのも良いです。

ただし、答えは本人に思い出してもらいましょう。その方が充実感が生まれます。正解だったらみんなで歌って楽しみましょう。

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高齢者向けおすすめ脳トレ15選についてまとめ

高齢者向けおすすめ脳トレ15選についてまとめ
  • 脳トレは楽しみながらすることが大事
  • 難しいものより簡単にできるものを継続することが大切
  • 脳トレはいろいろあるので、できるだけ幅広い分野のゲームをする

高齢者向け脳トレについて、おすすめ15選を、脳トレの認知症予防効果や具体的な方法も含めて解説しました。

一口に脳トレと言っても、いろいろなものがあります。決して難しい脳トレをする必要はありません。紹介した脳トレは、自宅や介護施設で手軽にでき、認知症予防の効果があるものです。

この記事を参考にして、ぜひ脳トレを楽しんでください

この記事は専門家に監修されています

介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

株式会社学研ココファン品質管理本部マネジャー。介護支援専門員、介護福祉士。2011年学研ココファンに入社。ケアマネジャー、事業所長を経て東京、神奈川等複数のエリアでブロック長としてマネジメントに従事。2021年より現職。

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