高齢者の生活保護受給の条件は?申請方法や金額・老人ホームへの入居可否まで解説

この記事は専門家に監修されています

介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

「高齢者で生活保護を受けるための条件って何?」

「生活保護を受けるメリット・デメリットは?」

「申請方法と受給金額について詳しく知りたい!」

このようなお悩みをお持ちの方はいらっしゃいませんか?生活保護とは、国が国民に対して健康で文化的な最低限度の生活を保障する制度です。

今回は高齢者が生活保護を受給するための条件や金額について詳しく解説します。

また、申請方法や受給の際の注意点についてもまとめていますので参考にしてください。

この記事を読めば、高齢者の方々が生活保護を受給する条件・方法からメリット・デメリットまで理解することができるでしょう。

高齢者の生活保護受給についてざっくり説明すると
  • 世帯収入が基準額を下回った上、「資産の活用」「能力の活用」「あらゆるものの活用」「扶養義務者からの扶養の活用」の4つの条件を満たす必要がある
  • 生活保護費は年金などの収入と最低生活費の差額分だけ支給される
  • 生活保護では8つの扶助を受けることができる
  • 生活保護を受給していても老人ホームへの入居は可能

そもそも生活保護とは?

生活保護の仕組み

生活保護とは、国が生活に困窮する国民に対し、健康で文化的な最低限度の生活を保障する制度であり、必要な保護及び自立の助長を目的としています。

生活保護の認定は世帯単位で行われ、認定を受けることで生活に必要不可欠な費用に対して扶助が支給されます。

生活保護は「生活扶助」「住宅扶助」「教育扶助」「医療扶助」「介護扶助」「出産扶助」「失業扶助」「葬祭扶助」の8つの扶助から成り立っています。

また、生活保護の受給者は5割が高齢者世帯です。全体の受給者数が減少傾向にある中、高齢者世帯の受給者数は20年ほど前から増加傾向にあります。

これは高齢者数自体の増加により母数が増えたことが大きな原因だと考えられるでしょう。

先ほど高齢者の数の増加に伴い高齢者の受給者数も増加傾向にあると述べましたが、当然全ての高齢者が生活保護を受けられるというわけではありません。

以下の見出しでは高齢者が生活保護を受けるための条件について詳しく解説します。

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高齢者が生活保護を受けられる条件

生活保護を受けるためには世帯収入が最低生活費に満たないことが前提条件となります。最低生活費に関しては世帯収入と厚生労働大臣の定める基準によって計算されます。

厚生労働省によると、上記の条件を満たした上で必要な条件は他に「資産の活用」「能力の活用」「あらゆるものの活用」「扶養義務者の扶養」の4つです。

以下の見出しでは高齢者世帯の生活保護受給条件に焦点を当て、世帯収入及びその他4つの条件について解説します。

世帯収入が基準額に満たない

生活保護を受給するにあたり前提条件となるのが世帯収入です。生活保護では最低生活費に足りない額だけ支給されます。

そのため、世帯収入が基準額を満たしている場合は生活保護の受給対象にはなりません。

基準額の例を一つ紹介します。

東京都23区で一人暮らしをしている65~69歳の高齢者の場合、13万580円が最低生活費(生活費+住居費)となっており、この金額を世帯収入が下回っていれば生活保護の申請が可能になります。

ただし、給与以外の年金や保険金、相続なども収入に含まれるため注意が必要です。

申請時には収入だけでなく、貯蓄額や資産、不動産の所有状況なども確認されます。

受給資格の有無は個別の事情によって異なるため、詳細は市区町村の生活保護課に相談することをおすすめします。

資産の活用

生活保護は最低限度の生活が遅れず、生活に困窮している人のための資金調達の最終手段です。

そのため、高齢者であっても生活保護を受給する前に利用し得るすべての資産を生活費に充てることが前提となっています。

売却等で生活費に充てる必要がある資産には以下のものが挙げられます。

  • 土地不動産
  • 10万円以上の現金や預貯金
  • 生命保険
  • 自動車など

ただし、賃貸の住まい・社用車などは個人の所有物ではないため、手放す必要はありません。

また、やむを得ない事情がある場合に限り資産の保有が認められるケースもあります。

以下の見出しでは資産の保有が認められるいくつかのパターンについて解説していきます。

持ち家や土地を所有できるパターン

持ち家や土地に売却価値がない場合、もしくは売却すると生活に支障をきたす場合は持ち家や土地の所有が認められます

具体的な例は以下の通りです。

  • 立地故に資産価値がない
  • 古すぎる家屋
  • 障害や認知症などにより住所変更が困難な場合

上記のように、売却する価値がない家屋や生活が困難になるケースはまず福祉事務所に相談しましょう。

ただし、以下のケースのように、場合によっては所有が認められないこともあります。

  • ローンが残っている場合
  • 収入に見合わない豪邸である場合 など

自家用車を所有できるパターン

自家用車やバイクなどは移動手段として必要不可欠であると認められた場合にのみ所有が認められます。具体的な例を挙げてみましょう。

  • 公共交通機関が近くにない場合
  • 公共交通機関を利用すると交通費が高額になる場合
  • 家族や本人の病気、障害等の理由により公共交通機関の利用が難しいと判断される場合
  • 仕事に必要な場合

また、家屋や土地とは違い、必要性が認められればローンの有無に関わらず自家用車の所有を認められるケースもあります。

能力の活用

健康で働くことが可能な場合は、その能力の活用が求められます。生活保護を受給する前に、シルバー人材センターなど高齢者でも働ける仕組みを活用し、それぞれの能力に応じた収入を得る必要があります。

  • 病気や怪我などにより働くことが困難な場合
  • 本人が元気でも家族の介護などで働くことが難しい場合 など

上記のように自力で働き、収入を得ることが難しい場合に生活保護の受給が認められます。

しかし、病気や怪我が完治するなど本人が働くことが可能になった場合には能力を活用することができると判断され、生活保護の対象から外れます

この時、働けるようになったにも関わらず申請をせずに受給を続けると不正受給となり、保護費の減額などの罰則が科されるので注意しましょう。

あらゆるものの活用

年金や手当など、他の制度や法律によって給付を受けられる場合、生活保護を申請する前にそれらのものを活用する必要があります。

特に高齢者の場合、年金収入以外にも生活福祉資金貸付などの制度が利用可能です。

年金やその他の制度を利用しても最低生活費に満たない場合に限り、その差額を生活保護で補うことができます。

扶養義務者からの扶養を活用すること

生活保護を利用する際には、自分の子供や兄弟、親などの家族や親戚から出来る限り最大限の援助を受けることが求められます

生活保護法では、本人からみて三親等までが扶養義務者として定められています。

高齢者の場合は兄弟や子供からの支援を求めることが一般的であり、三親等から得た資金援助から足りない分を生活保護で補うことができます。

また、生活の援助ができる親族がいない場合も生活保護を申請することが可能です。

ただし、自己申告制度が採用されており、受給者自身が必要以上の援助を求めない限りは、具体的な援助の状況や金額などを市区町村に報告する必要はありません。

虚偽の申告や収入隠し、資産隠し等は不正受給とみなされ、刑事罰が科せられることがあります。

生活保護費の8つの扶助

生活保護の受給が認められると、生活を営む上で必要な費用に対する扶助が受けられます。

そして生活保護の扶助の内容には以下の表にある8つの種類があります。

それぞれ条件を満たし、必要だと判断された場合に基準額までの扶助を受けることが可能です。

生活を営む上で生じる費用 扶助の種類 支給内容
日常生活に必要な費用 生活扶助 食事等の個人的費用
光熱水費等の世帯共通費用を合算して算出
家賃 住宅扶助 定められた範囲内で実費を支給
義務教育を受ける為に必要な費用 教育扶助 定められた基準額を支給
医療サービスに対する費用 医療扶助 費用は医療機関へ支払われる
介護サービスに対する費用 介護扶助 費用は介護事業者へ支払われる
出産にかかる費用 出産扶助 定められた範囲内で支給
就労のための技術習得等にかかる費用 生業扶助 定められた範囲内で支給
葬祭にかかる費用 葬祭扶助 定められた範囲内で支給

それぞれの扶助の詳しい内容については以下の見出しで解説します。

生活扶助・住宅扶助

生活扶助では、食費や光熱費、被服費等日常生活を送る上で必要な費用に対して給付を行います。また、老人ホームでの生活費もこの生活扶助に当たります。

住宅扶助では、最低限必要な住居及び住居の補修、維持に必要な費用に対して給付を行います。家賃もこの住宅扶助に含まれます。ただし、持ち家の場合は支給対象となりません。

また、いくら給付されるかは全員一律ではありません。それぞれ世帯構成や構成員の年齢、居住地などを考慮して基準額が定められます。

基準額を知りたい場合は、web上に情報を打ち込むだけで計算を行ってくれるサイトも存在しているので、一度試してみることをおすすめします。

医療扶助・介護扶助

医療扶助では医療券を発行し、それを提示することで診察や手術などを無料で受けることが可能です。

  • 診察
  • 薬剤
  • 医学的処置
  • 手術
  • 自宅療養に伴う看護
  • 入院や看護
  • 移送 など

上記の他にもメガネやコルセット等の医療器具までを含む医療費全般を支給してくれます。

介護扶助では、介護サービス利用費を支給してくれます。介護保険の居宅要支援被保険者を対象とするため、給付を受けるためには要介護認定が必要です。

医療扶助や介護扶助は現物支給であり、どちらも窓口で本人が費用を負担する必要はありません。

ただし、医療扶助や介護扶助は、受給者やその世帯の収入や資産状況によって、支給額が決定されます。

そのため、収入や資産に変動があった場合は、市区町村に申告する必要があります。

また、受給者自身が条件に該当する制度を利用することができる場合は、優先的に利用することが望ましいです。

その他の扶助

上記以外にも「教育」「出産」「生業」「葬祭」の扶助があり、それぞれ特定の条件を満たした場合にのみ限度額の範囲内で現金支給が行われます。

高齢者の場合は、特に葬祭扶助の利用が多いです。葬祭扶助遺体の運搬や火葬、埋葬などの葬祭費用を賄う扶助で、個人が生活保護受給者、または葬儀を行う者が受給者の場合に利用することができます。

なお、葬儀に関する費用は残された金品からの支払いが優先で、葬祭費用に足りない金額が支給されます。

ケース別の金額・生活保護費はいくら?

生活保護を受給する場合でも、申請者の環境は決して一定ではありません。

そのため、申請者それぞれの環境や状況に応じた額が支給されるようになっています。

ここでは、高齢者のいる世帯を中心に、都内23区のケースを例として生活扶助と住宅扶助の基準額をまとめていきます。

なお、地方では以下の内容よりも1~2割程度低くなる場合もあります。また、寒冷地では、冬季に暖房費の生活扶助が上乗せされることもあります

65歳以上70歳未満の一人暮らし

65歳以上70歳未満の一人暮らしの場合、生活保護費は13万580円になります。内訳は生活扶助基準額が76,880円、住宅扶助が53,700円です。

ただし、次の事項に注意しましょう。

  • 生活扶助は、基準額と収入の差額しか支給されない
  • 住宅扶助は家賃分しか支給されない
  • 生涯の有無等によって加算される場合がある

これは以下で述べる他のケースでも共通の条件となっています。

65歳以上70歳未満の夫婦二人暮らし

65歳以上70歳未満の夫婦二人暮らしの場合、生活保護費は18万3,920円になります。

生活保護費の内訳は生活扶助基準額が11万9,920円、住宅扶助が64,000円です。

最低生活費が最も低く見積もられるのは高齢者が一人で生活している場合です。そのため、先ほどの見出しで述べた生活保護費よりも高い金額となっています。

65歳以上70歳未満の夫婦+子供1人

先ほどの65歳以上70歳未満の夫婦に加え、子供一人増えた場合の生活保護費は22万1,460円になります。(なお、ここでは40代の子供が一人いるケースを想定しています。)

生活保護費の内訳は、生活扶助基準額が15万1,660円、住宅扶助が69,800円です。

生活保護の申請方法

ここまで説明してきたように、生活保護を利用するためには様々な要件を満たす必要があります。

要件を満たし、生活に困窮している場合、福祉事務所の窓口で必要書類を提出することで生活保護受給の申請を行うことが可能です。

この見出しでは、申請から受給までの流れや申請に必要な書類、申請を通すポイントなどについて解説していきます。

申請から受給までの流れ

  1. 福祉事務所の生活保護担当窓口への相談
  2. 必要書類の提出・申請
  3. 家庭訪問による調査
  4. 調査・受給決定
  5. 受給開始

生活保護制度を利用する場合、まずは福祉事務所の生活保護担当へ相談することが必要になります。

福祉事務所では制度の詳しい説明を受けることができ、生活福祉資金や各種社会保障施策等の活用など、生活保護以外の制度についても案内してくれます。

また、相談の際には高齢者世帯であることや生活に困窮している旨をしっかりと伝えることが重要です。

相談の後は、生活保護申請書を福祉事務所の窓口へ提出します。

高齢者世帯で生活保護を受ける場合、他にも収入申告書や資産申告書などの書類も必要です。

申請すると、家庭訪問により生活状況などの実施調査が行われます。他にも預貯金や保険などの資産調査、扶養義務者による不要の可否、年金等の収入調査等が行われ、審査に通れば生活保護の受給が開始となります。

なお、前述したように生活保護の金額は、最低生活費から収入を引いた額となります。そのため、生活保護の受給が開始すると、毎月収入状況を申告しなければなりません。

申請前に準備すべき書類など

生活保護の申請後調査では、世帯の収入が分かる資料などの提出を求められる場合があります。申請後の手続きをスムーズに行うためにも以下の書類を持参しておきましょう。

  • 生活保護申請書
  • 資産申告書
  • 収入・無収入申告書
  • 一時金申請書(必要に応じて)

また、可能であれば以下も持参することをおすすめします。

  • 賃貸契約書
  • 通帳
  • 印鑑
  • 本人確認書類(免許証や健康保険証など)
  • 給与明細や年金証書など収入が分かるもの

水際作戦?申請が受理されないときは?

生活保護の申請に行ったのに受け取ってもらえない、追い返されてしまうというケースも存在します。

これは水際作戦と言い、役所側が受給者を減らすために申請を出させないようにする対応のことを言います。

一般的に水際作戦には、以下のような対応があります。

  • 生活保護以外の対応で時間を稼ぐ
  • 申請書の小さな間違いを指摘し続けて時間を稼ぐ
  • 借金がある人は生活保護を利用できない・若くて働けるので利用できないなど法的根拠のない理由をつけて受け付けない
  • 制度の説明に時間をかける など

これらの対応は生活困窮者にとって、根本的な解決にはなりません。

このような対応をされた場合、「相談ではなく申請しに来た」ということをはっきりと伝えることが大切です。

それでも話が進展しない場合、「申請は一旦受理してもらい、却下する場合はその旨が分かる書類を提出してください」と、受理されない理由を明確にするように伝えると良いです。

生活保護は生活困窮者に対して設けられた救済制度です。自分の意思をはっきり伝えても申請が通りそうにない場合は支援団体に相談する・専門家に同行をお願いするなどの対策を講じるといいでしょう

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高齢者の生活保護受給メリット・デメリット

ここまでは、生活保護制度に関する説明、受給要件、そして申請から受給までの流れについて解説しました。

この見出しでは、高齢者が生活保護を受けるメリット・デメリットについてご紹介します。

最低限の生活が保証される

生活保護を受給する最大のメリットは「必要最低限の生活が保証される」ということです。

生活が困窮している方の中には、明日の食費すら賄えるかどうか不安な方もいらっしゃるかもしれません。

生活保護を受給することによってその心配はなくなり、さらには医療費や介護費の心配をする必要もなくなるのです。

最低生活費は決して多い金額ではありません。しかし、衣食住の確保が保守される上に医療費や介護費が無料になるという点は高齢者の方々にとって大きなメリットになるでしょう。

生活保護の受給には、受給者やその家族に対する差別や偏見が存在することがあるため、市区町村が支援をすることで、社会的弱者の方々が生きるための最低限度の生活を確保することができます。

税金などの支払いが免除される

生活保護を受給すると医療費や介護費が無料になるだけでなく、税金などの支払いが免除されるというのも大きなメリットの一つです。

  • 医療費
  • 介護保険料
  • 雇用保険料
  • 住民税・所得税・固定資産税などの税金
  • 国民年金保険料
  • 国民健康保険料・国民健康保険税
  • 介護サービス費
  • NHK受信料
  • 水道料金の基本料
  • 保育料
  • 交通費 など

上に挙げた水道料金や交通費に関しては自治体によって対応が異なります。

ただし、上記の中には申請することで免除の対象となるものも存在します。事前によく確認し、必要に応じて申請忘れのないよう注意しましょう。

親族に連絡が行く場合がある

生活保護の受給にはメリットだけではなく、いくつかのデメリットも存在します。

まず、家族や親族に生活に困窮していることがバレてしまうというのがデメリットとして挙げられるでしょう。

生活保護を申請するには、扶養義務者から出来る限りの援助を受けることが前提となっています。

そのため、疎遠になっている場合でも三親等以内の親族には「扶養もしくは援助が可能か否か」という扶養照会が行われます。

支出を報告する必要がある

受給中は定期的に担当から家庭訪問が行われ、収入や支出、求職活動等を報告する必要があります。

投資などの大きな買い物ではなく、日常生活で許容できる範囲の支出であれば特に何かを言われることはありません。

ただし、常に収支の管理をされていることが「監視」のようにとらえられるため、負担に感じる人も少なくはないでしょう。

居住地や所有物を制限される

生活保護を受けるためには、資産の活用が前提となります。

利用し得る資産は全て生活費に充てた上で足りない分を生活保護から補うという仕組みなので、自動車を持つことができない等、所有物が制限されます

たとえば、市営住宅や公営住宅に住むことが条件となる場合があります。

ただし、自動車に関しては事情により必要不可欠な場合にのみ所有を認められています。

また、居住地に関しては、現在の家賃が扶助の範囲よりも高い場合、引っ越しを求められるケースもあります。

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高齢者が生活保護を受給する際の注意点

生活保護の受給者は圧倒的に高齢者世帯が多く、年金生活は苦しい生活を強いられる場合が多いということが分かります。

この見出しでは、高齢者が生活保護を受給する際の2つの注意点について解説します。

年金とその他収入が基準額を超えていないか

生活保護が受給できる人・できない人

生活保護を受給する場合、世帯収入が基準額を越えていないことが最大の条件となります。

従って、年金を受け取っていても生活保護の申請を行うことができますが、受給している年金の額が生活最低基準額よりも高くない場合に限ります。

まず、年金を受け取っている場合、月々の年金額を収入として計算します。そして年金とその他の収入を合計して最低生活費の基準額との差額分のみが生活保護として支給される仕組みです。

つまり、生活保護で受給した金額と年金で得た収入を併用したとしても最低基準額以上の収入を得ることはできないということに注意しましょう。

活用できるものがないかを確認する

活用できる資産や能力、扶養してくれる三親等までの親族がいるかどうかを事前に確認しておきましょう。

また、生活保護以外にも給付や手当を受けられる制度は存在します。これについても事前に確認しておくことをおすすめします。

上記の内容に該当する事項があれば生活保護の申請が通らない場合もあるということを理解しておきましょう。

また、給付や支援を受けられる場合でも、最低生活費に満たない場合は差額分を生活保護で補うことが可能です。

生活保護を受給中でも老人ホームに入れる?

生活保護を受給した場合、老人ホームを利用できるかどうか不安に感じる人も多いでしょう。

結論から述べると、限られた数ではありますが生活保護受給者向けの料金体制を用意している施設は存在します。

以下の見出しで、その種類や費用について解説します。

認知症の生活保護受給者でも入居できる

認知症と診断を受け、なおかつ生活保護を受給しているという場合でも入居できる施設は存在します。

特に認知症を患っている高齢者の方を自宅で介護する場合、介護者の経済的・身体的負担は非常に大きくなってしまいます。

そのため、生活保護を受けることで経済的負担を軽減しつつ、老人ホームなどの介護施設を利用することで身体的負担を軽減するという考え方をする方は多いです。

介護サービスの費用負担は?

通常であれば、介護サービスを利用す場合は介護保険が適用され、所得に応じて1~3割の自己負担額を支払わなければなりません。しかし、生活保護を受給すると介護扶助を受けることができます。

介護扶助は、決められた範囲内で介護サービス利用費が支給されるため、自己負担額が0円となるのです。医療費についても同様です

なお、介護扶助は介護サービスに対する扶助のため、介護サービス以外の家賃や生活費に関しては生活扶助や住宅扶助から支払われます。

特別養護老人ホーム(特養)への入居

特別養護老人ホーム(特養)は、在宅での生活が難しい要介護の高齢者を対象とした施設です。

公的な介護保険施設のため、入居時の個人負担が低いというメリットがあります。そのため、生活保護を受給している高齢者でも安心して利用することができるでしょう。

ただし、要介護3以上の高齢者のみ利用できるなど入居条件が厳しいのが特徴です。

また、希望者が多いことから入居待機者が多く、希望しても入居できるまでに相当の時間を要するというデメリットもあります

そのため、民間施設の利用も同時に検討することが必要になります。

サービス付き高齢者向け住宅の利用

ココファンの紹介

民間施設の中でもサービス付き高齢者向け住宅はかなり費用を抑えることができ、概ね以下のような費用で利用することができます。

初期費用 月額費用
数十万円程度 10〜30万円

サ高住の良い点は、自分で必要なサービスのみを選択して利用できることから、費用を抑えながら安心のサポートを受けられる点にあります。

さらに、ココファンのサ高住は全て入居一時金0円ですので、他社よりも初期費用をかなり抑えて利用することが可能です。

ご利用いただく皆様が安心安全・快適に過ごせるよう十全のサポートを行いますので、ぜひチェックしてみてください。

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高齢者の生活保護受給についてまとめ

高齢者の生活保護受給まとめ
  • 生活保護の受給者のうち5割が高齢者世帯
  • 要件を満たすと8つの扶助を受けることができる
  • 最低限の生活が保証される代わりに、居住地や所有物の制限などデメリットも存在する
  • 生活保護受給者でも老人ホームなどの施設を利用することはできる

今回は、高齢者の生活保護の受給について説明しました。

高齢になって生活保護を受けることに対して不安や戸惑いが生じる人も多いかもしれませんが、生活保護受給者の半分を高齢者世帯が占めているのが現状です。

また、介護が必要になったとき、生活保護を受給しているからと言って施設の利用をあきらめる必要はありません。

申請する際は、生活保護が必要な理由など自分の意思をはっきり伝えることが大切です。生活保護の対応は各自治体によって異なるため、まずは管轄の福祉事務所へ相談し、詳しい説明を受けることをおすすめします。

この記事は専門家に監修されています

介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

株式会社学研ココファン品質管理本部マネジャー。介護支援専門員、介護福祉士。2011年学研ココファンに入社。ケアマネジャー、事業所長を経て東京、神奈川等複数のエリアでブロック長としてマネジメントに従事。2021年より現職。

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