介護と仕事を両立するには?離職の実態から負担軽減の方法・様々な支援制度を紹介

この記事は専門家に監修されています

介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

「介護と仕事を両立するための方法はあるの?」

「介護が理由で働けない状態になったら、どのようにするべき?」

このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?

高齢化人口が増え、仕事と介護の両立に悩まされている方も増えています。

仕事と介護の両立を長期間に渡って行うのは現実的ではなく、心身に大きな負担を強いるのでおすすめできません。

こちらの記事では、介護離職を防ぐ方法や支援制度について解説していきます。

現在悩んでいる方も、将来に備えたい方にも役立つ情報が満載なので、ぜひ最後までお読みください!

介護と仕事の両立についてざっくり説明すると
  • 両立は心身に大きな負担を強いるので、おすすめできない
  • 介護離職をしてしまうと、経済的負担や精神的負担が重くなってしまう
  • 今後は「ダブルケア」も懸念されている
  • 仕事を辞めるべきか迷ったら、家族や勤務先に相談することが重要

介護と仕事の両立は難しい

仕事を辞めようとするサラリーマン

介護と仕事の両立は心身に大きな負担を強います。

仕事と介護の負担を長期間に渡って背負い続けて両立することは「決して不可能ではないが、厳しい場合が多い」という結論になります。

実際に、介護を優先して離職した方や様々な介護サービスを利用しながら仕事をこなす方も多くいるので、経験者から学ぶことも有意義です。

なお、離職することによるリスクは大きいので、離職を検討する前に介護と仕事の両立に関する様々な諸制度や情報を得ておくことが大切です。

介護と仕事の両立は困難ではありますが、適切なサポートや助けを受けながら、バランスを取りながら進めていくことのが良いでしょう。

以降のトピックでは、仕事と介護の両立の実態や離職によるリスクや利用すべき介護施設や介護サービスについて解説していきます。

少子高齢化がますます住んでいく日本において、仕事と介護の両立に悩まされる方は増えていくため、「今は関係ない」という方でも将来に備えて現状や実態について知っておくことは重要です。

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介護と仕事の両立に関する実態

まず、介護と仕事の両立に関する実態を見ていきましょう。

介護と仕事の両立をしている人は全体の6割弱

総務省統計局の調べによると、日本国内で介護をしている人は約628万人いますが、その内の6割弱にあたる約346万人が仕事と介護を両立しています。

年代別で見てみると、男性は「55~59歳」が87.8%と最も多く、女性は「40~49歳」が68.2%と最も多い結果となりました。

つまり、まだまだ働く現役世代が介護を担っているケースが大半を占めており、労働力人口の減少が県されている日本にとっては大きな問題と言えるでしょう。

みずほ情報総研が2016年12月に「正社員として働きながら在宅介護をしなければならなかった40~50代の男女」を対象に行った調査では、介護転職者・介護離職者・就業継続者のどの立場でも8割以上が「介護に負担を感じている」と回答しています。

なお、その理由としては

  • 介護がいつまで続くのか分からず将来が不安
  • 介護制度等が分かりにくく使いづらい
  • 介護による疲労が溜まるがなかなか休めない

上記の内容が挙げられていました。

つまり、介護保険制度に関する知識を持っておき、介護負担を減らせる制度について把握することで負担を軽減できることになります。

両立して働けない人が増えている

総務省の「平成29年就業構造基本調査結果」によると、高齢化の進展に伴って介護離職の人数は増加傾向にあります。

過去1年間に「介護・看護のために」前職を離れた人の数は約9.9万人に上っており、年間で10万人近い方が離職を余儀なくされていることが分かるでしょう。

なお、介護離職率は全体の離職の中で1.8%で、今後の人口動態を考えると介護保険に関する知識や会社の理解が進まないと、ますます介護離職者は増えていくでしょう。

ダブルケアの問題

介護をしている方の中には「ダブルケア」に悩まされている方も少なくありません。

ダブルケアとは育児と介護を同時に行うことを意味しており、2016年の内閣府の発表では、ダブルケアに携わる人口は約25万3,000人と発表されています。

男女別で見ると、男性が約8万5,000人である一方で、女性が約16万8,000人となっています。

女性の晩婚化や子どもを産む年齢の高齢化などが理由として考えられていますが、今後もダブルケアに悩まされる方の数は増えていくと考えられます。

近年は核家族化の影響もあり、親戚との関係も希薄になりがちなことから、育児中であっても介護を強いられるケースが増えているのが現状です。

特に、2025年以降は団塊の世代が75歳を超えるタイミングなので、その子どもである団塊ジュニアの世代でダブルケアが大きな社会問題になると考えらています。

介護離職のリスク・デメリット

介護の負担が重い社会人

介護離職をすると、経済的な負担・不安が大きくのしかかるのはもちろん、他にも様々デメリットがあります。

介護に専念することで、自分の自由時間が無くなり精神的に疲弊してしまったり、介護が終わった後に再就職できるのか、などの不安が出てきます。

収入の減少が激しい

在職中は厚生年金に加入して保険料を支払っていますが、離職すると恒常的な収入が無くなるだけでなく、自身の退職金や年金額も減ってしまいます。

つまり、介護離職に伴って、一時的な減収ではなく一生涯で受け取れる収入全体が減ってしまうことになります。

その結果、自身の貯蓄を切り崩したり親の年金などに頼って生活する必要も出てくるため、かなり切迫した状況になりかねません。早めに年金制度や退職金の見直しを検討することも選択肢の一つです。

介護保険を活用して自己負担額を押さえられたとしても、紙おむつ・防水シーツ・介護食品など様々な介護用品に費用がかかるので、想像以上に現実は厳しいと言えるでしょう。

介護離職を後悔している人は多い

介護離職をした方のその後

出典:厚生労働省「令和元年度仕事と介護の両立等に関する実態把握のための調査研究事業 労働者調査 結果の概要」

上記のように、介護離職後に「介護負担が増した」と回答している方は多くいます。

つまり、自身の心身の負担を軽減するために介護離職をしたにもかかわらず、実際にはそこまで恩恵を受けられていないのです。

「精神面」では56.3%、「肉体面」では51.5%、「経済面」では69.1%の方が、離職後に「負担が増した」と回答していることから、やはり介護離職は安易におすすめできるものではありません。

仕事を辞めて収入が減ったことで、利用できる介護サービスも限られて自身の介護負担が重くなってしまう悪循環に陥っている事例もあります。

また、「負担である」と思っていた仕事が、実は介護から離れられて気分転換になっていたと感じた方も多くいます。

つまり、介護に専念する生活を送ることで「介護から逃れられない」状況に陥り、自身をより苦しめてしまっているのです。

介護放棄や介護殺人に繋がることも

介護離職をして介護に専念すると、介護による精神的なダメージが蓄積されていきます。

その結果、介護放棄や介護殺人などといった痛ましい事故や事件に繋がってしまうケースもあるので、やはり介護離職をするデメリットは大きいことが分かります。

なお、もし介護に関する悩みや自身の感情を抑えるのに苦労している場合は下記の記事をご覧ください。

具体的な相談先や負担の軽減方法を紹介しているので、介護に悩んでいる方の参考になるはずです。

再就職が難しく生活が困窮する

介護中の生活は、自身の貯蓄の切り崩しや親の年金などでやりくりして凌げても、親が亡くなってしまうと年金収入が無くなります。

そうなると再就職を目指すことになりますが、介護離職後に正社員として再就職できているのは半数以下という厳しい現実があります。

当然、ブランク期間が長ければ長いほど再就職は難しくなり、4人に1人が仕事をしていない「無職状態」にあるのが現実です。

なかなか職を得られず貯蓄も乏しくなり、困窮してしまい孤独な生活を送る方も少なくありません。

なお、下記の記事では介護離職について詳しく説明しているので、より詳しく介護離職について知りたい方はご一読ください。

介護しながらできる仕事は?

実際に「仕事と介護の両立」をするのは簡単ではありません。

しかし、介護しながらできる仕事も存在するので、知っておく価値はあります。

融通の利く職場に転職する

現在勤めている職場が介護と仕事の両立がしにくい環境であったり、融通の利かない場合は転職することを考えましょう。

企業によっては介護に理解があるケースも有るので、介護と仕事の両立をサポートしてくれる企業を探してみましょう。

自身では上手に見つけられない場合は、転職エージェントなどに頼って情報を集めるのも有効な手段です。

介護を強いられている事情を伝えて、企業側がどのような反応をするかで「介護への理解」があるか判断しましょう。

派遣社員

派遣社員は「非正規雇用」の代表格として悪いイメージを持っている方も多いですが、融通が利くという点では優れた働き方です。

比較的時給が高く、労働者の都合に合わせてシフトの融通も利きやすい魅力があるので、介護の必要性がある方にとっては有力な選択肢となります。

また、仕事探しを派遣会社が手伝ってくれる場合もあるので、場合によっては担当者に相談すると良いでしょう。

「今回は契約更新を見送って、その次から復帰したい」など細かい要望にも応じてくれることも多いので、担当者としっかりとコミュニケーションを取りましょう。

働き方を変える

慣れない環境で仕事を始めると気疲れしてしまい、想像以上に心身への負担が大きくなります。

両立支援が整っている会社であれば、転職するよりも両立支援制度を使いながら同じ仕事を続ける方が楽であるケースがほとんどです。

介護と仕事の時間配分を決めておき、自分が続けられる水準を実現できそうか考えながらキャリアを考えていきましょう。

スキルがある方であれば、自身で開業したりフリーランスとして働く選択肢もあるので、併せて検討してみましょう。

なお、企業の行っている介護と仕事の両立支援策については、下記のトピックで詳しく説明していきます。

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家族での役割分担が大切

介護の相談をする家族

住んでいる場所や家庭環境が違うなどの理由もありますが、家族の全員が介護への準備ができていないことが多くあります。

また、高齢の親を介護する場合、40代や50代の子は職場の中でも責任のある重要なポジションに就いていることも多く、介護が難しい場合もあります。

その結果、独身や近所に住んでいるなどの理由で、特定の人の介護負担が重くなってしまうケースが多くあります。

しかし、しっかりと家族間で役割分担を行い協力することが非常に重要なので、早い段階から話し合っておくと良いでしょう。

親が元気なうちから介護について話し合う

親が認知症になってしまうと、円滑にコミュニケーションが取れなくなってしまいます。

そのため、親が元気な内から日常生活の中で介護に関する話題を振り、親の価値観や過ごし方について情報を集めましょう。

「知人の親がケガで入院して、そのまま要介護状態になった」「テレビで認知症に関する特集を見た」など、様々なアプローチ方法があります。

将来の介護に備えて事前に相談や準備を進め、地域の福祉サービスや専門家の助言を受けながら、適切なサポート体制を整えていくことも大切です。

重要なことは、子どもだけで勝手に決めつけることなく、介護される本人の考えや考えもしっかりと尊重することです。

在宅介護を望んでいるのか、施設に入るにしても住み慣れたエリアを離れたくないか、どのような設備の施設に入りたいかなど、元気な内から話し合っておきましょう。

介護知識を積極的に学習する

介護のスキルが無いと、介護の際に余計な身体的負担がかかったり、要介護者とのコミュニケーションが上手にできずストレスを抱え込みがちです。

特に、移動介助・排泄介助・おむつ交換の場面では身体的にも精神的にも多くなストレスが伴うので、介護経験者からスキルや心構えについて聞いたり自分でも知識を習得するようにしましょう。

スキルを習得しておくことでスムーズに介護ができるようになり、また本人との間に信頼関係が生まれて介護が全般的により円滑になります。

自治体が「家族のための介護教室」などを主催していることもあるので、地元の広報などもチェックしてみてください。

仕事を辞める前に介護施設を利用してみる

家族に囲まれる高齢者

これまで述べてきたように、介護離職には様々なリスクが伴うので、できる限り介護離職せずに済むようにしましょう。

もし現段階で仕事と介護の両立に悩んでいる方で、現状に耐えられずに離職しようか迷っている場合は、辞めてしまう前に家族や専門家など誰かに相談することが大切です。

一人で抱え込むことなく、誰かに不安や悩みを吐露することで心が軽くなることもあります。

また、介護保険制度や提供されているサービスについて、きちんと利用できているか再度見直すことも重要です。

基本的に介護保険制度は優れた制度ではありますが、制度を活用して負担の軽減が不十分な場合は介護施設の利用を検討しましょう。

介護費用の負担が重くなってしまうデメリットがありますが、介護離職をすることによるデメリットと比べると非常に小さいです。

介護のために介護者の生活が不幸になってしまい、心身の健康を崩して要介護者の安心な生活が確保できなくなってしまうと本末転倒です。

介護施設を利用することで家族の負担を大きく軽減できるので、早い段階から施設の情報などを集めておくのがおすすめです。

また、学研ココファンの介護施設は入居一時金0円で利用できる上に、月額費用もお得な金額設定となっているため、経済的な面に不安のある方に特におすすめです。

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仕事との両立のために在宅介護サービスの利用を

以前までは「介護は家族が行うもの」という考えが主流でしたが、現在は必ずしもそんなことはありません。

むしろ、性別や年齢に関係なく働ける社会となっているので、介護サービスを利用することは当然と言えるでしょう。

介護サービスを利用することで家族の介護負担が大きく軽減され、不安や悩みの解消にも繋がります。

介護サービスは介護保険が適用されるものが多く、金銭的な負担もそこまで大きくありません。

制度についてしっかりと学び、適切に利用していきましょう。

ただし、家族の絆やサポートも大切な要素ですので、介護サービスを利用しながらも、家族間のコミュニケーションや支え合いを忘れずに保つようにしましょう。

訪問介護・訪問入浴介護

訪問介護では、ホームヘルパーが自宅に訪問して排泄・入浴・食事介助などの身体介護や生活支援を行ってくれます。

入浴介護では、サービス事業者が専用の浴槽を持ち込んで入浴の介助を行ってくれます。

介護に慣れていない家族が行うのは負担が大きいので、有効活用すると良いでしょう。

訪問介護のサービス内容は?身体介護・生活援助の内容や気になる料金まで解説!

訪問入浴介護とは|サービス利用の流れや料金・訪問介護との違いまで解説

デイサービス

デイサービスは、介護者が介護施設に足を運んで生活支援やレクリエーションを受けられる日帰りサービスです。

デイサービスでは、生活の介助だけでなくレクリエーションなどのイベントも行われているので、認知機能の維持のメリットがあります。

自宅にいるよりも楽しみながら日常を送れることから、積極的に利用する家庭も多いです。

デイサービス(通所介護)とは|利用目的や料金・利用条件まで全て解説

ショートステイ

ショートステイとは、介護施設などに短期間宿泊するサービスです。

数日~1ヶ月程度の利用が多いですが、要介護者の気分転換に繋がるだけでなく、介護者の休息やリフレッシュ目的で利用されることもあります。

介護に疲れてきたらショートステイを利用し、定期的にリフレッシュする機会を設けましょう。

ショートステイとは|利用できるサービスや利用条件・料金まで全て解説

介護保険外のサービスの活用もおすすめ

民間企業が提供している介護サービスの中には、公的介護保険では提供していないサービスもあります。

全額が自己負担になるデメリットはありますが、サービス内容は非常に充実している点が特徴です。

利用にあたっては、ケアマネージャーや地域包括支援センターなどに相談したり、口コミの確認などを行いましょう。

具体的なサービス内容

大掃除や洗車、訪問理容師など「日常生活を送る上で必須ではない」サービスが含まれます。

散歩や外出の介助や金銭管理など、痒いところまで手が届くサービスを提供している事業者が多いです。

他にも、墓参り・旅行の付き添いなどリハビリ目的とは外れる行為 や自宅での調理が難し方のための配食サービスなども人気があるサービスです。

各事業者によって提供しているサービスが異なるので、事業者に問い合わせて確認しておくと安心です。

介護と仕事の両立を助ける行政の施策・制度

快適な仕事環境

介護離職を減らすべく、厚生労働省は「介護離職ゼロ」を掲げて、在宅介護と仕事の両立をしやすくための施策を打ち出しています。

また、行政側が行っている支援策も多くあるので、下記で紹介する諸制度の活用を検討しましょう。

勤務時間の制限義務

代表的なものとして、従業員が請求した際に勤務時間を制限する規定があります。

労働者は、1回の請求につき所定外労働と時間外労働で1カ月以上1年以内の期間において、深夜業で1カ月以上6カ月以内の期間において会社での残業が免除されます。

また、請求回数に制限は無いので、都合のいいタイミングで申請可能です。

事業主は従業員からの請求を拒むことが可能で、また対象外となる場合もあるので請求する場合は事前に要件を確認しておきましょう。

介護休業制度

介護休業制度とは、ケガや病気などで2週間以上に渡って介護を必要とする家族を介護するために取得する休暇です。

「同じ事業主に1年以上雇用されていること」などの条件が設けられていますが、対象となる場合は対象家族1人につき3回、通算93日まで休暇を取得できます。

なお、介護休業を希望する場合は事前に事業主に申し出る必要があるので、担当部署に速やかに連絡しましょう。

事業主は、申出を受けたら介護休業開始予定日・終了予定日などを厚生労働省に通知する必要があるので、早い段階から相談・調整しておくと良いでしょう。

介護休業給付・申請方法

介護休業給付とは、家族を介護するために介護休業を取得して介護を行う労働者が休業中に受け取る雇用保険給付の一つです。

  • 雇用保険の被保険者である
  • 家族の常時介護が2週間以上必要である
  • 職場復帰を前提とした介護休業を取得する

以上の条件をクリアすれば、最長93日を限度に3回まで支給されます。

介護休業給付金の支給額は「日額賃金×休業日数×67%」で計算するので、ざっくり「給与の67%程度」とイメージしておくと良いでしょう。

なお、給付金の申請は介護休業終了翌日から2カ月後の月末までに会社を通してハローワークで行う必要がありますが、ほとんどの場合で会社が申請などを行ってくれます。

注意点としては、

  • 入社して間もない
  • 月の半分の日数以上出勤している
  • 休業中に会社から80%以上の給与をもらっている

以上のケースでは受給できないので、要件などは会社やハローワークに確認することが重要です。

なお、申請方法について以下で詳しく説明するので参考にしてください。

会社へ介護休業の申し出

申請にあたっては、会社に対して介護休業開始日の2週間前までに介護休業取得を申請する必要があります。

会社内での諸手続きが終わった後に、会社が「休業開始時賃金月額証明書」を管轄ハローワークへ提出します。

ギリギリで提出すると担当部署も困ってしまうので、早めに連絡することが重要です。

ハローワークへ申請

申請書類が揃ったら、勤務先の所在地を管轄するハローワークに提出期限までに提出することになりますが、このステップは会社が行ってくれることが多いです。

本人が自分で申請することもできるので、会社に対応方法などを確認してみおくと安心です。

申請時必要になる書類

給付金の申請にあたって必要となるのは、以下の書類です。

  • 介護休業給付金支給申請書
  • 介護休業申出書
  • 介護対象家族の氏名や間柄などが確認できる書類

書き慣れない書類ではありますが、記入はそこまで難しくないので安心してください。

口座に給付金が振り込まれる

ハローワークでの申請が終わったら、ハローワーク内での処理が終わり次第給付金が振り込まれます。

入金にタイミングは不明確ですが、申請してから遅くとも2週間を見ておけば入金されます。

介護中の生活を支える頼れる制度なので、積極的に活用しましょう。

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企業における介護と仕事の両立の環境づくり

労働力の不足が問題となっている日本において、介護離職のデメリットは本人だけでなく企業にもあります。

貴重な働き手を失うことは大きなデメリットとなるのは言うまでもないので、具体的な対策に乗り出す企業が増えつつあります。

以下では、実際に企業で行われている対策や今後企業で取り組むことが推奨されている介護離職防止策について紹介していきます。

自身の企業がどのような対策を行っているのか、今後行う気があるのかを確認しておきましょう。

介護制度の周知を徹底する

介護休業や短時間勤務などの制度を整備していても、労働者が知らなければ意味がありません。

実際に、制度を知らないまま仕事と介護の両立に苦しんでいる会社員も少なくないため、企業内で周知することが重要です。

また、積極的に介護休業などの取得実績を作ることで、他の社員も取得しやすい雰囲気を作れます。

状況把握と積極的な声かけ

社内での情報共有だけでなく、社員の家庭状況を把握した上で積極的に声かけすることも重要です。

上司や同僚など、困ったことがあれば気軽に悩みを相談できる雰囲気や空気づくりをしておくことで、安心して仕事に打ち込めるメリットもあります。

精神的な安心感を得ることで、ストレスを軽減させて介護離職してしまう状況を防げるでしょう。

メンタルヘルスケアへの気配り

近年はストレス社会とも言われており、メンタルヘルスのカウンセラーを雇ったり介護離職防止コースを申請するなど、従業員のメンタルヘルスケアに配慮している企業が増えています。

社員を孤立させず「誰かが気にかけてくれている」と感じられる環境を整備できれば、介護離職を未然に防ぐことができます。

メンタルヘルスの重要性は年々高まっているので、労働者自身も精神状態を気にかけると良いでしょう。

リモートワークの推進

コロナ禍においても注目されましたが、リモートで働くことができれば通勤の必要性が無くなります。

在宅しながら仕事できるので、日中のスケジュールを柔軟に組みやすくなり介護と仕事の両立もしやすくなるでしょう。

新型コロナウィルスの影響でリモートワークを導入した企業は多くなっているので、介護との両立という面から見ると追い風とも言えます。

勤務制度の見直し

育児・介護休業法では、必要に応じて

  • 短時間勤務制度
  • フレックスタイム制度
  • 時差出勤制度
  • 労働者が利用する介護サービスの費用の助成その他これに準ずる制度

以上のいずれかの措置を設ける必要があると定められています。

高齢化の進展に伴って、多くの企業が上記の中の複数の制度を設けたりするなど、介護を強いられている方が働きやすいような環境を整備しています。

社内の相談窓口

社内に介護などの悩みを相談できる窓口を設けることも有効な対策となります。

社内だけでなく、専門家に外部委託して24時間相談できるフリーダイヤルサービスを設けたり、専門の介護相談室などを提供している企業も少なくありません。

介護に限って話ではありませんが、悩みや不安を誰かに相談することでストレスは軽減できるので、このような相談窓口を設けることで社員の安心に繋がるでしょう。

会社とトラブルになった際の対応

実際、残念ながら育児・介護休業法を遵守できていない企業も多いのが現実です。

会社側と話し合っても問題が解決しなかった場合は、労働局による紛争解決援助制度を利用すると良いでしょう。

各都道府県に設置されている労働局は、公正・中立な立場から企業の紛争内容を解決するべく、専門的なアドバイスや指導などを行ってくれる頼れる行政機関です。

労働局は公的機関なので解決のために費用を払う必要は無く、また関係者以外に援助や調停の情報が知られることもありません。

また、紛争解決援助制度を利用することで「会社が労働者を不当に扱うこと」も禁じられているので、安心して利用できるでしょう。

介護離職後は失業保険の活用を

介護離職した場合、当面の生活費を確保するためにも離職業が届いたら速やかにハローワークで失業保険の手続きを行いましょう。

失業保険は最低でも90日分受け取ることができるので、その間に新たな仕事を見つけることが重要です。

なお、自己都合で離職した場合は離職後2か月間は「給付制限期間」として給付金が受け取れないので、注意してください。

しかし、介護などの正当な理由がある場合は給付制限期間は付かずに7日間の待期後に受給できます。

失業給付がもらえる日数は雇用保険の加入期間と離職理由によって異なるので、事前にハローワークに確認しておくと良いでしょう。

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できる限り早い段階で相談を

介護と仕事の両立が厳しいと感じたら、そのまま無理をすることなく、できる限り早い段階で相談をするように心掛けましょう。

誰にも相談をせず、また利用できる介護保険サービスや介護施設の利用を検討する前に離職してしまうケースが多くありますが、これは非常にもったいないです。

一方で、逆に無理をして仕事と在宅介護を両立し続けてしまった結果心身に支障をきたしてしまい、被介護者・介護者共に悪影響が出てしまうケースも少なくありません。

このような事態を防ぐためにも、仕事と介護の両立に無理を感じた場合は勤務先や地域包括支援センター、ケアマネージャーなどに相談することが重要です。

無理をして介護をしてもメリットは一つもないので、困った際にはだれかを頼り、決して一人で抱え込まないようにしましょう。

介護と仕事の両立まとめ

介護と仕事の両立まとめ
  • 介護と仕事の両立は非常に難しいので、介護保険のサービスなどの利用も検討しよう
  • 勤務時間の制限や介護休業など、諸制度の存在を知っておくことで安心に繋がる
  • 介護休業給付などの支援制度を活用し、介護離職はできる限り避けよう
  • 不安や悩みがあれば、早い段階で信頼できる人に相談することが重要

介護と仕事の両立は非常に難しく、介護者に大きな負担となってしまいます。

また、介護離職をすることで経済的不安や精神的不安に繋がるので、介護離職はおすすめできません。

介護者を支援するための制度や法令について知っておくことは自身を守ることにも繋がるので、疑問があれば自発的に調べる姿勢も重要です。

こちらの記事を参考にして、介護離職をせずに済むように知見を深めていきましょう。

この記事は専門家に監修されています

介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

株式会社学研ココファン品質管理本部マネジャー。介護支援専門員、介護福祉士。2011年学研ココファンに入社。ケアマネジャー、事業所長を経て東京、神奈川等複数のエリアでブロック長としてマネジメントに従事。2021年より現職。

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