服薬指導とは?内容や流れ・薬剤師が知るべきポイントからオンライン実施の概要まで解説
この記事は専門家に監修されています
介護支援専門員、介護福祉士
坂入郁子(さかいり いくこ)
「服薬指導で気を付けることは?」
「オンラインでの服薬指導はできる?」
このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?
病院で処方された薬を受け取る際、薬局で薬剤師から服薬に関するさまざまな説明がされます。
これを服薬指導と言いますが、服薬指導は患者が正しく適切な服薬をして薬物治療を成功させるために重要なものです。
この記事では、服薬指導とはどういったものなのかについて内容・指導の流れ・患者に伝える情報・服薬指導で大切なポイントについて解説します。
また、2020年から実地されたオンラインによる服薬指導についても、利用方法・対象患者・対象施設などを紹介します。
- 服薬指導は処方薬の情報を説明する業務
- 自己判断の間違いを防止し、正しく服薬してもらうことが目的
- 患者様からのヒアリングをもとに個々に合わせた指導を行う
服薬指導とは
薬局で薬剤師が行う業務のひとつに服薬指導があります。
服薬指導は、処方された薬に対して患者の自己判断で服薬中止・休止したり、服薬量を間違えたりするのを防止するため、患者さんが処方された薬に対して薬効・副作用などの正確な情報を説明する業務です。
服薬指導では、事実に基づいた内容で話をしなければいけませんが、患者が小児・高齢者の場合など個々に合わせた適切な対応も必要とされます。
とくに処方薬に抗がん剤がある場合には要注意で、処方された患者ががん告知を受けていない可能性を考えて、そのままを伝えることは避けなければいけないのがこの業務の難しいところです。
このように、相手に合わせた指導を行う必要があります。
薬剤師法第25条の2により薬剤師が必ず行うべきと義務付けられている服薬指導は、厚生労働省が定める「患者のための薬局ビジョン」にも「モノから人へ」と服薬指導の重要性があげられています。
薬剤師が病状を聞く理由
薬局で処方薬を受け取る際、すでに医師からの診断があったにもかかわらず薬剤師が症状・血圧・検査結果などについて尋ねる場面がありますが、これには理由があります。
薬剤師が症状などについて尋ねる理由は、受け取った処方箋から病状・副作用の既往歴・年齢・体重などをみて、医師が処方した薬が患者にとって適切なものなのかを客観的に評価するためです。
また、同じ処方内容が続く場合には、安全安心に薬が使えているか・使用期間や季節に合った使い方をしているか・定期的に必要な確認などを行っています。
薬剤師の服薬指導には費用もかかっており、医師・患者以外の第三者が薬の処方・服薬について客観的な視点でみるための重要な業務です。
服薬指導の一連の流れ
服薬指導は、
- 患者様へのお声かけ
- 症状のヒアリング
- 医薬品についての説明
- 質問・疑問点の確認
- クロージング
という流れで行われます。
患者様へのお声がけ
服薬指導は、患者様へのお声かけからスタートします。
お声かけとは、患者様のお名前を呼ぶこと・投薬台への誘導を行うことです。
薬局によってお声かけの対応は多少異なりますが、名前を名乗る・挨拶をするなどしてから服薬指導を始めましょう。
また、具合の悪い方・足の不自由な方の場合には薬剤師が座席までお薬をお持ちして服薬指導を行うなど、臨機応変に対応することも求められます。
病状のヒアリング
症状のヒアリングは、適切な服薬指導を行う上で大切な過程です。
処方薬が適切かどうか評価する必要があるため、初回来院の場合には質問票によってさまざまな内容をヒアリングしたり、継続して来院している方には前回からの経過・副作用があったかなどのヒアリングをしたりします。
患者さんの症状や体調に変化があった場合には、それに応じた服薬指導を提供する必要があります。
薬剤師は、患者さんからヒアリングした情報を参考にこの後の服薬指導を行いましょう。
医薬品についての説明
続いて行うのが、処方薬の説明です。
説明のポイントは、薬の効能・効果・正しい服用方法・副作用・飲み合わせ・保管方法などで、薬剤師は患者さんが正しく薬を服用できるようにさまざまな情報をわかりやすく解説する必要があります。
処方された薬を入れる紙袋「薬袋(やくたい)」や、お薬手帳・領収証などさまざまな書類を忘れずにお渡しすることが必要です。
質問・疑問点の確認
医薬品の説明が一通り終わったら「質問などはありますか?」とお声をかけ、質問や疑問点の有無を確認しましょう。
患者様が不安や疑問を抱えたままでは、質の高い薬物治療ができないため、患者さんの不安点・疑問点は処方の段階に解消しておく必要があります。
また、患者様によっては、副作用の対策方法・緊急時の連絡先なども伝えることが必要です。
患者様の個別の状況やニーズに合わせて、丁寧なコミュニケーションを心掛けるようにしましょう。
クロージング
質問・疑問点が解消されたら、クロージングとなります。
クロージングとは、服薬指導を締めくくり患者様を見送ることを指す言葉です。
薬局では限られた人数で順番に対応するため、お待たせしている患者様もおられますが、対応している患者様を丁寧に見送ることも大切になります。
最期まで丁寧に対応することで、患者様からの信頼が得られ、よりよい服薬指導へと繋がるため蔑ろにしてはいけない部分です。
服薬指導の具体的な内容・方法
服薬指導で薬剤師が患者さんに対して話すべき内容は、
- 医薬品の情報説明
- アセスメント
- アドヒアランスの確認
です。
医薬品の情報説明では、薬の飲み方・効き目だけでなく、説明書に書かれていない情報についての詳細な説明も求められます。
説明書にかかれない情報とは、例えば薬の副作用が起こるときの兆しや、患者様が求める薬の効能を得るための薬の向き合い方などで、患者様個々に合わせたきめ細やかな対応が必要です。
薬剤師が持つ薬学的知見から、アセスメント(処方薬が適切かどうかを客観的に評価することや、そのためのヒアリング)も行います。
アドヒアランスの確認(処方された薬を積極的に使用しているかどうか確認すること)も重要で、患者様が薬に対して不安に思っていることはないかのヒアリングは服薬指導の一環となります。
さまざまな服薬指導の方法
一言に「服薬指導」と言っても、さまざまな方法を用いています。
例えば薬情(薬の説明書)は、服薬指導の代表的な業務で、薬剤師の持つ薬学的な知見と患者様ここに合わせた柔軟な対応が求められる業務です。
その他には、製薬メーカーによる指導箋を渡すことや、デモ器を用いた吸入薬の方法の指導などもあります。
薬局や病院でよく用いられるお薬手帳も、服薬指導の手段のひとつです。
また、昨今では、電話などで薬の使用期間を通したフォローをしたり、通信機器を用いたオンライン服薬指導も行っています。
医師や連携するスタッフへの情報共有なども服薬指導の一環として含まれ、服薬指導は実はとても幅広い業務です。
患者の方に説明すべきポイント
服薬指導において、薬剤師が患者様に対して説明すべきポイントは、以下の通りです。
- 薬の名称
- 効能・効果
- 薬の用法、用量
- 起こりうる副作用について
- 副作用が起きた時の対応
- 飲み合わせについて
- 飲み忘れたときについて
- 治療完了後の薬の扱い方
服薬指導では、処方された医薬品の基本情報だけでなく、「副作用はどんなものだろう?」「飲み忘れてしまったら?」など患者様が抱くであろうさまざまな疑問点や不安について説明します。
薬剤師による服薬指導のコツ
服薬指導では、医薬品の情報や使用方法など多岐にわたる情報を患者様に説明しなければいけませんが、患者様に話を聞いていただく・理解していただくためにはコツが必要です。
一方的に話すのではなく患者さんの話も聞く
患者さんの話もしっかり伺いましょう。
新米薬剤師の服薬指導では、伝えなければいけない情報も多いことから、薬剤師が一方的に話をする形に陥りやすいです。
しかし、次から次へと医薬品の多岐にわたる情報を伝えるだけでは、理解は得られにくいでしょう。
患者様からのヒアリングを丁寧にし、不安があれば薬剤師がそれに回答するスタンスを保つことで一方的に話してしまうことが解消されます。
謙虚な姿勢で患者さんと向き合い、信頼関係を築いて、患者さんが治療に対して積極的な姿勢を持てるようにしましょう。
指導の長さは状況を見ながら
伝えるべき情報が多い服薬指導ですが、かかる時間は周囲の状況を見ながら調節しなければいけません。
薬局にはさまざまな状況の方が来院されますが、中には急いでいる方・待たされて疲れている方・具合の悪い方などもいます。
そのような状況で長々と説明をしていると、クレームにも繋がるため気を付けましょう。
一方で、あまりに簡潔すぎる指導や伝えるべき情報を省いた指導は患者様が不安になるので、注意しなければいけません。
周囲の状況を見ながら、話のボリュームを調整していくことがいい服薬指導のコツです。
積極的な気配りで患者さんに寄り添う
積極的な気配りができる薬剤師は、患者様からの信頼も厚いです。
薬学的な専門知識を用いるだけでなく、耳の遠い患者様には大きな声で話す・足の不自由な患者様には席まで薬を持っていくなど普段から周囲に気を配って信頼を得られるよう努めましょう。
患者様から信頼されていることが、話を聞いていただく際のコツです。
他にも、何か探している方にお声をかけたりお子さん連れの方にシールを渡したり、困っている方はいないかとアンテナを張っておくといいですね。
指導箋などは臨機応変に活用
服薬指導は、口頭説明だけに限りません。
例えば医薬品メーカーの指導箋を利用すれば、口頭説明の時間が短縮でき、患者様も自宅に帰ってから見返すことが可能です。
また、指導箋がなくても自作の説明書を手渡したり、薬袋にメモ書きしたりして患者様があとから見返せるような工夫をしましょう。
また、視覚的な情報が記載された図やイラストを置くことで、複雑な情報も分かりやすく伝えることができます。
重要なことを優先して伝える
さまざまな情報をお伝えしなければいけない服薬指導ですが、一度にすべて伝えようとすると患者様が混乱してしまいます。
とくにご高齢の患者様などは、一度に情報を詰め込んだ服薬指導をしても一度に覚えきれない・理解しきれない場合が多いです。
そのため、服薬指導では一度にすべてを説明しきるのではなく、重要なことを優先して伝えましょう。
また、次回来院時に前回の復習をするなどして、患者様が理解しやすいよう情報を絞って指導するのがコツです。
薬学的知見による支援
患者様の薬に対する理解・意識に寄り添うことも、薬剤師のコツです。
薬剤師は、薬学的な知見から普段の生活リズムや希望に可能な限り合わせた提案をし、患者様が無理なく服薬を続けられる指導を行いましょう。
副作用や相互作用などのリスクを把握し、それらに対処するための注意点も丁寧に伝えることが大切です。
患者様に寄り添った提案をすることで、薬に対する前向きな考えを持っていただけるようになります。
服薬指導後の薬歴の書き方について
服薬指導を行った後には、必ず処方薬の履歴を残さねばならず、それを薬歴と言います。
最近の薬歴は、多くがSOAP形式と呼ばれるフォーマット記入です。
SOAPとは、
- Subjective Data(患者様からの話など主観的情報)
- Objective Data(検査結果などの客観的情報)
- Assessment(薬学的知見からの評価・考察)
- Plan(SOAを踏まえた今後の治療計画など)
という意味があり、なかでも薬剤師にとって最も重要な項目はアセスメントです。
アセスメントは、患者様からの話や主張・病院での検査結果の双方を踏まえた薬剤師の評価・考察を指すものですが、新人の場合にはとくにアセスメントを詳細に記し、先輩からアドバイスをもらうようにしましょう。
このフォーマットは薬局によって多少異なる場合があり、例えば「C(Care)」が項目として追加されたものや、「P」の項目が「Ep(提供・指導したこと)」「Cp(患者様に対して行ったこと)」に細分化されている場合もあります。
SOAPの基本的な書き方
患者様が安心で安全な服薬治療を行うために、薬歴は欠かせません。
薬歴には、現時点での服薬状況や服薬指導の要点だけでなく、併用している薬・体調変化の有無・残薬の状況・他科受診・副作用・ジェネリック医薬品使用への意向・お薬手帳を持っているかなどさまざまな情報をひとりひとり記録します。
記入したSOAPは誰が見てもわかりやすくしておく必要があり、箇条書きにして明確に要点をまとめて書くのが基本です。
また、初来院・再来院の違いで書き方を変えることも大切です。
重要なのはコミュニケーション
服薬指導を行う際は、患者様とのコミュニケーションの取り方が重要です。
コミュニケーションの第一歩として、薬剤師は、患者の状態の見極めや話を聞くことを心がけましょう。
患者様と良好なコミュニケーションをとるためには、患者様目線で物事を考えることが大切で、これをファーマシューティカルケアと言います。
ファーマシューティカルケアは、「薬剤師の行動の中心には患者の利益を据えなければいけない」という行動原理を指す言葉で、薬剤師が業務を行う上で大切なものです。
実際の服薬指導にこの原理を落とし込むと、例えば専門用語を使わない・聞き取りやすいペースで話す・質問があれば丁寧に答えるなど、親切な対応で患者様と接しましょう。
オンライン服薬指導とは
薬局で行われる対面の服薬指導だけでなく、パソコン・スマートフォンを使ったオンライン服薬指導というものもあります。
オンライン服薬指導とは、インターネットを利用して薬剤師が患者に薬の使用方法を説明する方法で、2019年に一定の要件のもとにスタートしたものです。
それまでの服薬指導は、薬局での対面指導が義務付けられ、一部のオンライン診療であっても診察から薬の受け取りまでを自宅で完結することは不可能でした。
全国的なオンライン服薬指導がスタートしたことで、これまでの対面指導の義務がなくなり、医師の診察から処方箋受け取りまでを自宅で完結できます。
また、全国どこからでもインターネットがあれば相談できるため、離島・僻地に住むためになかなか病院にかかれない人や事情があって外出が困難な人でも気軽に利用できることや、薬局スタッフの業務効率化・負担削減ができるなどのメリットを生みました。
オンライン服薬指導の利用の流れ
オンライン服薬指導を利用する際の基本的な流れは、
- 診察
- 情報登録
- 服薬指導
- お薬受け取り
です。
オンラインを希望する場合は、まずオンライン診療が可能なクリニックで受診をし、その際お薬手帳や保険証などの受診に必要な情報を登録します。
診療が終わったら、薬剤師からビデオ通話で服薬指導があり、その後自宅に処方された医薬品が届く仕組みです。
ただし、オンライン診療・服薬指導は、ある特定疾患の方だけに限るなど条件があるので注意しましょう。
オンライン服薬指導のメリット
オンラインでの服薬指導には、患者にとって以下のようなメリットがあります。
- 時間指定できる
- 自宅に薬の郵送が可能
- 質問・相談がしやすい
- クレカのオンライン決済
オンラインの服薬指導は、患者の都合に合わせて指導時間を決められ、薬局に赴かなくても処方箋が自宅に届くため、仕事や子育てで忙しい人・体調が悪く外出できない人などでも気軽に利用可能です。
また、自宅にいて周囲の目がないため気軽に質問・相談でき、クレカのオンライン決済ができます。
お薬手帳・保険証などの書類の提出もなく、対面指導にあった煩わしさを感じずに利用可能です。
オンライン服薬指導の対象者と施設基準
オンライン服薬指導には対象基準があり、場合によってはオンラインが利用できないこともあるので注意しましょう。
オンライン診療時の対象者
外来患者としてオンラインの診療を受けた場合、オンラインでの薬の処方・服薬指導を受けるには以下の2つの対象基準を満たさなければいけません。
- 規定デバイスを用いた診療で処方箋が交付された
- 原則3か月以内に薬剤服用歴管理指導料「1」又は「2」を算定した
薬剤服用歴管理指導料とは、服薬指導を行った際に薬剤師に対して支払われる報酬のことを指します。
その中の「1」は、3か月以内に同じ薬局で処方箋・お薬手帳を持参した患者、「2」は初めて処方箋が交付された人や3か月以内に処方箋交付がなかった人です。
在宅訪問診療時の対象者
在宅患者のオンライン服薬指導では、以下の2つの対象基準を満たす必要があります。
- 在宅時医学総合管理料に規定する訪問診療で処方箋が交付された
- 在宅患者訪問薬剤管理指導料が月1回算定されている
在宅でオンライン服薬指導を受けるには、訪問診療してくれるかかりつけ医に処方箋を交付してもらうこと・月1回薬剤師が居宅に訪問して薬剤指導を行っていることが必要です。
オンライン診療時に指導可能な保険薬局
オンライン服薬指導が受けられる薬局にも対象基準があります。
- オンライン服薬指導を行う体制がある保険薬局
- 該当薬局が1か月当たりに行うオンライン服薬指導が1割以下
服薬指導をオンラインでできる薬局は、薬事法によってオンライン指導の体制があると認められていることや、オンライン指導が全体の1割を下回る件数である薬局です。
オンライン服薬指導の実施時期について
新型コロナウィルスの影響によって、オンライン服薬指導の在り方が見直され始めています。
2020年9月1日から施行された改正薬機法からオンライン服薬指導は始まりましたが、感染拡大防止を目的に「診療・服薬指導は対面でなければいけない」という原則が時限的に緩和されました。
この「0410対応」によって、初診患者の場合でもオンラインで診療・薬の処方が可能になり、現在オンライン診療・服薬指導を利用する人が増えています。
厚生労働省は、今後のオンライン診療・服薬指導について見直す方針を2020年10月21日に示しており、オンライン診療・服薬指導によって感染拡大防止の実績が認められました。
2つのオンライン服薬指導の違い
オンライン服薬指導には、
- 2018年から検証実験されてきた遠隔(オンライン)服薬指導
- 新型コロナウイルス感染拡大防止で始動したオンライン服薬指導
の2種類があります。
これらの違いについて以下にまとめました。
比較項目 | 遠隔オンライン服薬指導 | 時限的・特例的なオンライン服薬指導 |
---|---|---|
開始 | 2020年9月1日 | 2020年4月10日 |
目的 | 住み慣れた地域でより安全・迅速・効率的に医薬品や医療機器等を提供するため | 新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため |
対象となる人 | オンライン診療、在宅・訪問診療を受けた人 | 医療機関から処方せん情報を希望の薬局に送られた人 |
対象となる病院・診療所 | 厚生労働省が定める研修を受講した医師 | すべての病院・診療所が対象(研修の規定なし) |
対象の薬局 | 離島やへき地以外の地域では、あらかじめ服薬指導を受けたことのある薬局のみ | すべての薬局が可能で、希望する薬局は各回一薬局のみ |
受け取れる薬 | その薬局で調剤した薬と、同一または類似の薬が対象 | 原則、すべての薬剤 |
情報通信機器 | 相互に顔や動きを認識できるテレビ電話・スマホアプリ等 | 必要な情報が確認できる電話・FAX等 |
そのほかの決まりなど | ・2018年より限定地域のみ検証実験がおこなわれてきた ・薬局は都道府県知事に所定の届出をしていること ・オンラインと対面での診療を組み合せること | ・患者情報が少ないときは7日分が上限 ・処方せんの備考欄に「0410対応」と記載があること ・処方せんの原本は医療機関から薬局に送付 |
0410対応のオンライン服薬指導は、2020年の新型コロナウイルス感染症拡大防止のために時限的に始まりました。
そのため、本来のオンライン服薬指導と新型コロナウィルス対策のオンライン服薬指導とは、目的や対象となる患者が大きく異なります。
遠隔での服薬指導に必要なもの
本来のオンライン服薬指導では、利用に必要なものがいくつかあります。
- スマートフォン・パソコン・タブレット等のビデオ通話機能がある機器
- お薬手帳
- 保険証
- クレジットカード
オンラインであっても、通常同様にお薬手帳や保険証が必要です。
特筆すべきは通常オンライン診療に必要なデバイスで、相互に顔や動きを認識できるビデオ通話機能が必要なので、スマートフォン・パソコン・タブレットのいずれかを利用しましょう。
また、オンラインではネット上の決済となるため、診療料の支払いにクレジットカードが必要となります。
電子お薬手帳とは
電子お薬手帳とは、スマートフォン・タブレットなどの端末に処方薬の情報を保管し紙のお薬手帳と同様に使えるシステムで、電子お薬手帳によっては通院日・服薬時間などを管理できるなど多少違うものもあります。
電子お薬手帳は、診察・投薬を行う医師や薬剤師がオンライン上で閲覧することが可能なため病院と薬局の連携もしやすいことがメリットです。
オンライン服薬指導の解禁により、今後は電子処方箋と電子お薬手帳との連携も期待されています。
服薬指導についてまとめ
- 服薬指導で重要なポイントは薬学的知見からの評価・考察
- 薬情に載らない詳細な情報を患者個々に合わせて説明
- 対象基準を満たせばオンライン指導も可能
服薬指導で重要なポイントは、医師の診断と患者様からヒアリングしたことを踏まえた上で、処方が適切かどうか薬剤師のもつ薬学的知見から評価・考察することです。
患者様への服薬指導では、この評価をもとに、患者様それぞれが正しく適切な服薬をするよう指導していきます。
患者としては何気なく聞いていることも多い服薬指導の内容ですが、薬物治療の成功のカギを握る重要なポイントなので、疑問点・不安点などがある場合は薬剤師に気兼ねなく質問しましょう。
また、便利なオンライン診療・服薬指導も基準を満たせば利用可能なので、ぜひ利用してみてくださいね。
この記事は専門家に監修されています
介護支援専門員、介護福祉士
坂入郁子(さかいり いくこ)