老人ホームの選び方は?介護施設の種類から探し方・見学のポイントまで解説

この記事は専門家に監修されています

介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

「老人ホームや介護施設など、高齢者施設の選び方について知りたい!」

「介護施設の平均入居期間はどれくらいなの?」

このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?

老人ホームなどの高齢者施設の種類は多くありますが、探し方や選び方について疑問に思っている方は多いでしょう。

近年は高齢化に伴って平均入居期間が長くなっているので、慎重にミスマッチが無いように選ぶことが重要です。

こちらの記事では、老人ホームの種類や選び方や探し方について解説していきますので、参考にしてください!

老人ホームの選び方についてざっくり説明すると
  • 11種類の施設があるので、自分との相性をしっかりと考えよう
  • 費用負担も各施設で違いがあるので、資産面での折り合いも重視しよう
  • 資料請求や見学を通して、施設の雰囲気などをチェックすることが重要
  • 施設の選び方は個人の価値観によるので、自分の人生や性格を振り返ってみることも重要

老人ホームの選び方・探し方とは

老人ホームの選び方

高齢化社会となり、「老人ホーム」という言葉がより身近になりました。

しかし、大まかに分けると11種類も存在しており、当然のことながら入居条件や費用なども施設によって様々です。

老人ホームは終の棲家となるケースも多いことから、選び方のポイントは非常に多いです。

例えば、選び方を挙げるだけでも以下のポイントがあります。

  • どの施設が最も自分に適しているのか
  • 介護保険という公的制度の中でどの程度の補助が受けられるか
  • 要介護度認定が必要か否か
  • ケア体制や職員の配置体制がどの程度整っているか
  • 居室や立地はどのような水準か

以上の他にも、症状や価値観によって注目すべきポイントが多いため、納得できる施設が見つかるまで数ヶ月ほどの期間を要することも少なくありません。

老後資金は「人生の3代支出」とも言われており、自分に合った施設を選べるかどうかで老後の人生の質が大きく左右されます。

余生を謳歌しつつ、リタイア後の残りの人生を後悔なく歩むためにも、老人ホーム選び方のコツやポイントについて知っておくことは非常に重要です。

介護施設の種類を知っておこう

それでは、高齢者施設の種類や費用の目安について一覧表で見てみましょう。

種類 費用(初期費用) 費用(月額費用)
特別養護老人ホーム 0円 5〜15万円
介護老人保健施設 0円 8万〜14万円
養護老人ホーム 0円 0万〜14万円
介護医療院 0円 0万〜14万円
ケアハウス 数十万〜数百万円 10〜30万円
介護付き有料老人ホーム 0〜数百万円 15〜30万円
住宅型有料老人ホーム 0〜数百万円 15〜30万円
健康型有料老人ホーム 0〜数億円 10〜40万円
サービス付き高齢者向け住宅 0〜数十万円 10〜30万円
グループホーム 0〜数十万円 15〜20万円
シニア向け分譲マンション 数千万〜数億円 10〜30万円

老人ホームは運営主体によって大きく2つに分類できますが、運営主体によって負担する費用に差が出てきます。

なお、地方自治体や社会福祉法人が運営する「公的施設」と民間企業が運営する「民間施設」がありますが、公的施設の方が費用負担は少なく済みます。

以下では、11種類の高齢者施設・住宅を紹介していきますが、各施設の特徴やメリット・デメリットを意識しながら読み進めてみてください。

公的施設5種

公的施設は、社会福祉の視点から介護度の重い方や低所得者の保護と支援に重きを置いています。

国の補助金を受けて設立されている背景もあり、後述する「民間施設」よりも利用するための費用を安く抑えられる点が大きなメリットです。

しかし、費用を大きく抑えられるメリットがある反面、人気が高く入居待ちが長くなりがちなデメリットも存在します。

なお、公的な介護施設には

  • 特別養護老人ホーム(特養)
  • 養護老人ホーム
  • 介護老人保健施設(老健)
  • 介護医療院
  • ケアハウス

以上の5種類があります。

民間施設6種

民間施設は民間企業が営利目的で運営しているので、公的施設よりも融通が利きやすく高齢者のニーズを満たすことに重点が置かれています。

施設ごとに設備の充実具合に差があり、多種多様なサービスが幅広く用意されています。

利用するための費用は公的施設よりも高くなりますが、利用者の身体状態や病状に合わせて幅広い対応が可能であったり、快適な生活を送ることが可能です。

なお、民間運営には

  • 介護付き有料老人ホーム
  • 住宅型有料老人ホーム
  • 健康型有料老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
  • グループホーム
  • シニア向け分譲マンション

以上の6種類があります。

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老人ホーム選びの具体的な手順

それでは、老人ホームを選ぶ際の具体的な手順について解説していきます。

入居時期と目的から希望をまとめる

施設選びの際には、入居タイミングや入居目的を明確にすることが重要です。

具体的な事例を挙げると、以下のような具合です。

〈入居目的〉

  • 一時的な利用か終の棲家とするのか
  • 介護・看護の必要性はあるか
  • 目的は生活面の不安なのか将来の安心のためか
  • 手厚い介護か自立支援を受ける必要があるか
  • レクリエーションやイベントが充実した生活を送りたいのか
  • 医療ケアや認知症のサポートをしてほしいのか

〈入居時期〉

  • まだ元気な内から入居したいのか
  • 認知症が進行した時期に入居したいのか
  • 自分の生活がままならないタイミングなのか

施設によって利用するための条件が異なるので、以上で挙げたようなポイントを今一度整理してみてください。

入居先の環境やサポート体制が自身や家族のニーズに適しているかをよく吟味することで、安心して快適な生活を送ることができるでしょう。

条件の優先づけ

老人ホーム選びで大切なのは、選ぶ際に自分の価値観や生活レベルを鑑みた上で「譲れないポイント」を明確にすることです。

自分が希望している全ての条件をクリアできている施設を見つけるのは現実的ではないため、優先順位を付けて整理することがおすすめです。

理想を追い求めすぎると、入居のタイミングを逸してしまうリスクが高まってしまうので要注意です。

希望条件を整理できたら、次のステップとして「条件の優先順位付け」を行い、「必須条件」と「希望条件」に分けて優先順位を付けていきましょう。

譲れない条件をまとめたら、逆に妥協できる条件や妥協できる境界線までイメージして、家族で話し合いながら施設探しを進めていきましょう。

今の生活で不足しているものや不便を感じることなどを重点的に優先付けしておくと、スムーズに考えをまとめることができます。

費用と入居条件・平均入居期間から絞る

今一度、各施設の費用について確認しましょう。

種類 費用(初期費用) 費用(月額費用)
特別養護老人ホーム 0円 5〜15万円
介護老人保健施設 0円 8万〜14万円
養護老人ホーム 0円 0万〜14万円
介護医療院 0円 0万〜14万円
ケアハウス 数十万〜数百万円 10〜30万円
介護付き有料老人ホーム 0〜数百万円 15〜30万円
住宅型有料老人ホーム 0〜数百万円 15〜30万円
健康型有料老人ホーム 0〜数億円 10〜40万円
サービス付き高齢者向け住宅 0〜数十万円 10〜30万円
グループホーム 0〜数十万円 15〜20万円
シニア向け分譲マンション 数千万〜数億円 10〜30万円

入居は一時的なのか、あるいは終の棲家とするのかによって入居できる施設は異なり、また費用や平均入居期間も異なります。

数百万円~数千万円にも及ぶケースもあることから、予算をしっかりと加味した上で利用するべき施設を決めていきましょう。

費用・予算について

先程の表からも分かるように、公的施設は「入居一時金」などの初期費用が不要な場合が多いため、まとまった資金がない方でも安心です。

また、毎月のコストである「月額費用」も比較的安く抑えられる特徴があることから、経済的な優位性は高いと言えるでしょう。

安心して居住するためにも、保有している資産に年金などの恒常的な収入を加味して、長生きしたケースを想定して無理なく払える費用の施設を選ぶべきです。

特に、民間の有料老人ホームは同じ種類の施設であっても費用が大きく異なるため、入念な見積もりが必要です。

施設のサービス内容や設備、地域によっても価格が変わるため、複数の施設を比較検討し、自身や家族の経済状況に合った最適な選択をすることが重要です。

入居条件・平均入居期間について

各施設によって入所条件が異なるので、まずは「そもそも自分が入居可能なのか」を確認しましょう。

また、平均寿命やなども鑑みた上で、施設の平均入居年数の見通しを立てておくことも重要です。

しっかりと資金の見通しを立てておかないと、いざ枯渇してしまった際に退去せざるを得なくなってしまいます。

また、介護の必要性がない「自立している人」を対象にしている施設では、介護が必要になったら退去しなくてはならないため「退去条件」についても確認しておきましょう。

近年増加傾向にある「認知症」や、施設内で最期を迎える「看取り」などへの対応も施設によって異なるので、終の棲家としての利用を考えている方は必ずチェックしてください。

⾃⽴した⽣活を送れる⽅であれば、

  • 入居後に要介護になった後も過ごすことができ、終の棲家として利用できるできる施設を探す
  • 要介護になった後は別の施設へと住み替える

以上のポイントと踏まえて、ベストな施設探しをしていきましょう。

資料請求・お問い合わせで詳細を確認

入居する本人と相性が良い施設を選ぶために、インターネットや口コミなどを使って興味がある施設の情報を幅広く収集していきましょう。

施設に直接電話するか施設のホームページから資料請求できるケースが多いので、積極的に活用してください。

施設側が作成している資料にはポジティブな内容しか書いていないことが多いので、口コミなどをチェックしてマイナス面も確認することが重要です。

介護サービスの充実度などをチェックするのはもちろん、食事面や施設の充実具合などといった施設ごとの強みも調べて、細かいポイントまで確認しておきましょう。

気になる施設を見学する

施設から送られてきた資料やホームページだけでは、実際の施設の雰囲気や生活の様子を確認することはできません。

そのため、自分が興味のある施設をある程度絞り込んだら、次のステップとして実際に施設を見学しましょう。

実際に足を運ぶことでスタッフの働きぶりや施設の空気を体感できるでしょう。

1件に絞り込む必要はないので、複数の施設を見学して各施設の特徴や強みを比較検討することが重要です。

迷ったらプロがいる窓口で相談

ある程度の絞り込みまではできても、いざ入居する施設を決めるのは勇気がいることです。

そのため、入居の目的やタイミングが固まったら、自分で調べつつ介護施設に詳しいプロに相談するのもおすすめです。

プロは施設の特徴や様々な情報を持っているため、自分の着眼点以外の点からも様々な提案をしてくれる可能性があります。

相談を通して、施設の特長・運営方針・共有設備・居室設備・提供するサービス内容などの細かい情報を得られるため、自分にとって有益な情報となるはずです。

ただし、特定の施設から仲介手数料をもらっているアドバイザーの場合、アドバイザーの都合に合わせた施設紹介をされることもあるので、自分でも情報収集を行うことを意識しましょう。

地域包括支援センター

要支援認定の方や介護認定を受けていない方は、地域の介護事情に詳しい地域包括支援センターに相談するのがおすすめです。

無料で利用でき、地域の介護施設に関する情報や相談など、幅広い利用者の悩みに対応してくれるので、非常に頼りになります。

近隣地域の老人ホーム一覧などを用意していることもあるので、近場の施設の情報を集める場合は好都合です。

ケアマネージャー

すでに介護保険のサービスを利用している方であれば、担当のケアマネジャーに相談するのもおすすめです。

ケアマネジャーは近隣の介護施設の情報に詳しく、また利用者の状況も把握していることが多いので、その人に合っている施設提案をしてくれる可能性が高いです。

施設の利用を検討している旨の相談をして、どの程度の情報を持っているのか聞いてみましょう。

ケアマネジャーの中には、在籍している事業所の近隣情報や営業活動が活発な施設しか知らないケースもあり、情報の質と量に関してはケアマネージャー次第と言えます。

民間運営の紹介窓口

近年はニーズの高まりもあって、介護施設を紹介してくれる民間の紹介窓口も増えています。

紹介窓口によっては、見学や契約までサポートしてくれるところまであるため、このような手続きが不慣れな方にとっては頼もしい存在です。

電話での入居相談行っているところもあるため、探し方が分からない方や多くの窓口から情報を得たい方は、行政だけでなく民間企業の窓口を利用してみましょう。

ココファンの施設が優れている点は?

ココファンの紹介

学研ココファンが提供する介護施設は全て、入居一時金0円で利用することができるため、初期費用をかなり抑えることができます。

月額費用も、厚生年金額を基準とした金額設定となっているため、サ高住・有料老人ホームともに比較的安価に利用することができます。

もちろん、安心・安全の充実した介護サービスを備えており、介護度の高い方まで快適に暮らすことができます。

「費用を抑えながらも、必要なサービスは絶対に抑えて利用したい」という方の願いを叶えるコストパフォーマンスに優れる施設を展開していますので、ぜひチェックしてみてください。

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見学に行くときのチェックポイント14選

こちらのトピックでは、実際に施設見学に行く際に注意するべきポイントを14個紹介していきます。

居室内の広さや雰囲気だけではなく、入居者の状況や雰囲気・人間関係、立地や周辺環境についても確認しましょう。

また、設備面の充実具合や私物の持ち込みの可否、イベントの有無などの細かいポイントについても確認すると、具体的なイメージを持てます。

また、重要事項説明書を熟読することも重要です。

重要事項説明書には、

  • 老人ホームの会社情報
  • 施設の建物の概要
  • 職員体制
  • サービスの内容
  • 料金
  • 入退去条件
  • 使用に当たってのルール

以上のように重要な情報が詰まっているため、自分が求める条件に適している施設なのかどうかを確認しながら読んでみてください。

施設の雰囲気を確認

やはり、施設の雰囲気は居住するにあたって非常に重要なポイントでしょう。

なお、見学の際に注意するべきポイントとしては「人が多い時間帯に見学する」ことです。

人が多い時間は、昼食時やレクリエーションなどを行う時間帯であることが多いため、このような時間帯に見学することで普段の施設の雰囲気を把握できます。

併せて、入居者の男女比や年齢構成、要介護度の人数分布に関してもチェックすることで、スタッフの習熟具合などを判断することができるでしょう。

見学を通して、資料だけでは知ることができないスタッフの人柄やホームの雰囲気を体感しましょう。

施設利用時に負担する費用

老人ホームにかかる費用には、入居一時金と月額利用料の二つがあります。

入居一時金とは、平均寿命などを参考に入居者が住み続けるであろう期間を想定した上で、その期間の賃料や介護費などを前払いする仕組みです。

一方、月額利用料とはその名の通り、月々で支払う日常生活費や介護保険サービス費のことです。

費用面については、現在の資産だけでなく、将来どれだけの収入があるかも考慮して決定するのがベストです。

将来の見通しを持ちながら、経済的な観点から入居先を選択し、安心して老後を迎えるための準備を進めましょう。

立地と周囲の環境

施設を選ぶ上では、立地条件も大事な要素です。

本人が住みたいと思う場所であることはもちろん、家族も来やすいかどうかも重要なポイントなので、自宅からアクセスが施設を選ぶと良いでしょう。

緊急時に駆けつけられる距離であれば本人も家族も安心できるので、アクセスや駅からの距離、タクシーでの所要時間などを調べておきましょう。

また、施設の周辺環境かどうか、近隣に安全な散歩コースがあるか、買い物ができるお店の有無や利便性などといった周囲の治安や暮らしやすさも要チェックです。

安心して快適に暮らすためにも、以上で挙げたポイントを意識しながら周辺施設や雰囲気を調べてみましょう。

介護体制は整っているか

施設によって介護体制の充実度に差があるので、入居者の介護度などに合わせて施設の介護体制をチェックしましょう。

例えば、入居者数に対して介護スタッフの数が多ければ手厚いサービスを受けられるため、安心して居住できます。

有料老人ホームやグループホームは24時間体制で介護サービスを受けられることが多いので、要介護度が高い方にとっては非常にありがたいです。

また、医療機関との連携についても確認しておくことで、万が一の場面でも安心できるでしょう。

入居後に生活に関する希望は叶うか

自分自身が、施設に入居した後の希望を叶えられるかどうかもチェックするべきポイントです。

入居者が望んでいる生活や必要なケアを受けられるかどうかも施設選びの重要な判断基準となるため、自身の希望を整理して優先順位を付けておきましょう。

例えば、

  • 趣味を楽しむための稽古にいきたい
  • 友だちを作りたい
  • 部屋にこもりがちになりたくない

以上のような希望を叶えられるかどうかを確認し、場合によっては施設の職員に尋ねてみるのも良いでしょう。

スタッフの勤務態度や能力

介護職員や看護師など、施設に在籍しているスタッフの体制やスキルは入居後の生活に大きな影響を及ぼします。

そのため、見学の際には働いているスタッフの様子を観察し、スタッフの勤務態度や働きぶり、スタッフ同士の会話などを確認してみましょう。

スタッフ同士の雰囲気が良ければ、入居者にとっても過ごしやすい可能性が高いでしょう。

業務をしっかりとこなしながらも、親切で暮しやすい雰囲気作りができていれば、安心して利用できる施設と判断できます。

また、スタッフ同士の協力やチームワークが良好であれば、問題の早期解決や入居者のニーズへの迅速な対応が期待できます。

施設設備の充実度

施設設備の充実度も、判断基準として重視すべきポイントです。

医療や介護面での施設に目が行きがちですが、その他にも娯楽施設なども含めた全般的な設備を確認しましょう。

自身の趣味を楽しめそうか、また新たな趣味を作れそうかなどをイメージしながら確認してみてください。

また、施設の衛生管理が行き通っていない場合は人手不足である可能性が考えられるため、衛生面もチェックしてみてください。

レクリエーションやイベントは充実しているか

介護施設で行われるレクリエーション・イベント・サークル活動は、入居者の運動機能や認知機能を維持・改善する重要な役割を果たしています。

また、日々の生活を充実させて生きがいを持てるようにする目的もあるため、これらのレクリエーションやイベントの充実具合もチェックしましょう。

資料に目を通すだけでなく、スタッフや入居者に「普段はどのようなレクリエーションを行っているのか」など聞いてみることも有効です。

充実した生活を送るためにも、レクリエーションやイベントの頻度や種類、サークル活動について細かく情報収集を行いましょう。

生活支援サービスは整っているか

介護サービス以外にも、食事の調理・洗濯・居室の掃除・外出時の送迎などの生活支援サービスの充実度もチェックしましょう。

施設によっては、病院への付き添いや買い物代行なども行っているので、細かく確認してみてください。

無料で利用できる回数は施設ごとに異なるため、入居前に料金体系をチェックし、事前にシミュレーションすることをおすすめします。

なお、生活支援サービスが充実している施設は費用が高額となる傾向にあるので、折り合いをつけることも重要です。

持ち込んでよい私物の範囲

私物の持ち込みが認められる範囲も、施設選びにおける重要なチェックポイントです。

施設によって持ち込みが認められているものに差があるので、事前に資料請求や担当者に質問するなどして確認しましょう。

家族の写真や本人が長年に渡って愛用してきた縁のあるものであれば持ち込みが認められるケースが多く、逆に多額の現金や貴金属類については持ち込みを禁止している施設が少なくありません。

また、家具などの大きな物については施設によって規定が異なるため要確認です。

医療体制の充実度

安心して生活を送るためにも、医療体制の充実度のチェックは欠かせません。

持病や必要としている医療的処置の内容から条件を整理し、施設をリストアップしていきましょう。

医療ケアが必要な方であれば、医療機関との連携や施設で対応しているケアの内容を確認し、リハビリが必要な方であれば理学療法士や作業療法士の在籍有無を確認すると良いでしょう。

また、

  • 看護職員や機能訓練指導員が常勤しているかどうか
  • 提携する医療機関とその内容
  • 緊急時の対応
  • 看取り体制
  • 訪問診療や健康診断の頻度

以上のポイントを押さえておけば、ミスマッチを防げるでしょう。

食事の提供内容

食事は健康維持や認知機能の維持に重要な役割を果たしており、療養食など個別対応が可能かどうかを確認しましょう。

また、メニュー選択の幅や料金体系についても確認し、イメージを持っておくと良いでしょう。

また、食事の献立の傾向を把握することに加えて、管理栄養士が在籍しているのかという点も、安心して生活する上で重要なポイントとなります。

事前に希望を伝えおくと、見学の際に試食させてもらうことも可能な施設が多いので、この機会を有効活用してください。

リハビリ体制は整っているか

リハビリが必要な方にとっては、どのようなリハビリ体制となっているのかは重要なポイントです。

理学療法士や作業療法士の常駐の有無でリハビリの質は大きく異なるため、スタッフの充実具合も確認しましょう。

さらに、介護予防の有無や集団リハビリ・個別リハビリの頻度と費用も確認しておくことで、より安心して入居できます。

リハビリテーションの質を考慮し、入居先を慎重に選ぶことで、より健康的で快適な老後生活を実現できるでしょう。

ペットと一緒に入所できるか

ペットを飼っている方にとって、ペットと一緒に入居できるかどうかは重要なポイントとなります。

実際、ペットの受け入れを許可してくれる施設は少ないものの、すべての施設がそうとは限りません。

近年の研究では、ペットと生活することが高齢者の心身状態に良い影響を与えることが分かりつつあり、利用者の心の安寧という観点からペットと一緒に暮らせる施設は増えてきています。

そのため、ペットの世話を頼める相手がいない方であれば、ペットの受け入れについても条件として考えてみましょう。

各高齢者向け介護施設のポイント一覧

こちらのトピックでは、各施設のメリットやデメリットについて紹介してきます。

各施設で特徴が違うため、自分に最も合う施設はどれなのかを意識しながら読んでみてください。

特別養護老人ホーム(特養)

特別養護老人ホームの説明

特養は要介護状態の方が対象の施設で、寝たきりの認知症など介護度が高い方が優先して入所できる点が最大の特徴です。

また、看取りに応じている施設が多いことから終の棲家にもなります。

社会福祉法人や地方公共団体が運営している公的施設で、入居費を介護保険で賄えることから諸費用を大きく抑えられる点が人気でを得ています。

入居待ちを覚悟する必要があり、数年に渡って待機することがあることから、特養だけにこだわるのではなく様々な選択肢を持っておきましょう。

なお、特養は要介護度が高い方が利用する性格上、レクリエーションよりも身辺介助がメインとなる傾向にあります。

古い施設は相部屋になることが多いため、プライベートを大切にしたい方やQOLの高い生活を送りたい方には向かない可能性が高いです。

養護老人ホーム

養護老人ホームの説明

養護老人ホームを利用できるのは、経済的・身体的・精神的・環境的に自宅での日常生活が困難な方です。

介護施設ではなく「社会復帰を目指す」高齢者のための施設となっているため、特養とは性格が異なります。

要介護度の高い方は入居できず、また入居後に介護が必要になった場合は在宅介護サービスを利用したり、常時介護が必要になった場合は退去を求められるため要注意です。

入居にあたっては地方自治体の審査と措置判断が必要となり、終の棲家にはならず数年で退去するケースが多いです。

介護老人保健施設(老健)

介護老人保健施設の説明

老健とも呼ばれている介護老人保健施設は要介護状態の方を対象としており、病院からの退院直後やケガなどが原因で自宅における日常生活を送るのが難しい高齢者のための施設です。

病院退院後に在宅復帰が困難な場合に利用されるので終身に渡った利用はできず、回復するまでの期間、一時的に入所するための施設となっています。

身体の機能回復に重点が置かれている点が特徴で、リハビリ関係の国家資格を持っている各専門職の指導を受けながら自宅での生活を目指してリハビリを行います。

入所期間は原則3~6ヶ月ですが、例外もあるので事前に確認しておきましょう。

介護医療院

介護医療院の説明

介護医療院は近年創設された新しい介護施設で、日常生活の身体介助や生活支援などの行う「介護サービス」と「医療ケア」を行っています。

医師や看護師が常駐しているため安心して利用でき、痰吸引や経管栄養などの通常の老人ホームでは対応が難しいケアにも対応しています。

長期療養も可能で、緊急対応・ターミナルケア・看取りなど幅広いニーズに対応している点が介護医療院の強みです。

リハビリ専門職・栄養士・薬剤師・ケアマネジャーなどの医療と介護の専門職も常駐しているので、本人も家族も安心です。

ケアが充実しているものの、相部屋であることが多くプライバシーの確保は不完全である点に注意しましょう。

ケアハウス

ケアハウスの説明

ケアハウスは自立した高齢者向けの施設で、低価格で入所できる点が魅力です。

入居条件は60歳以上となっており、入居にあたって所得制限は設けられていないものの、毎月の入居金や家賃を負担する必要があります。

また、「一般型」「介護型」に分かれており、一般型は食事・掃除・買い物などの日常生活の支援が主なサービスとなっています。

医療機関との連携や緊急時の対応は行っているものの、介護サービスの提供は行っていないため、介護が必要になった際には外部の介護サービス事業者を利用する必要があります。

一方で、「介護型」は生活支援に加えて日常生活介助や通院の付き添いなどの介護サービスを提供しています。

一般型では入居後に退去を求められるケースがありますが、介護型では入居後に要介護度が高くなっても退去を迫られる心配はありません。

また、施設によっては看取りにも対応していることがあるため、事前に確認しておきましょう。

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームの説明

介護付き有料老人ホームは、65歳以上で要介護度1~5の認定を受けている方が対象となります。

なお、中には自立した方でも利用できる混合型の施設もあるため、受け入れの幅は広いと言えるでしょう。

施設数が多いため待ち期間は短く、利用料金の負担は重いものの金額の目安が分かりやすく見通しを立てやすい点が特徴です。

また、専門の介護スタッフが24時間体制で介護サービスを提供している点も人気を得ており、介護に関する不安がある方でも安心です。

施設ごとに特徴や強みは異なっており、設備の充実している施設や医療連携体制の整っている施設まで、自分のニーズに合わせて多くの選択肢から選ぶことが可能です。

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住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームの説明

住宅型有料老人ホームは、自立している方・要介護者・要支援者が入居できるので、受け入れの幅が広いです。

食事サービスや生活支援サービスだけでなく、緊急時の対応や健康管理サービスなどの万が一の対応も行ってくれるので、誰でも安心して利用できます。

なお、介護サービスの提供はされないため、介護が必要になった場合は訪問介護やデイサービスなどの外部の介護サービス提供事業者を利用する必要があります。

実際に利用している方は比較的自立している方や軽介護度のが多く、レクリエーションが充実している点が特徴です。

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健康型有料老人ホーム

健康型有料老人ホームの説明

健康型有料老人ホームは「健康型」という名がある通り、介護の必要がない自立した高齢者を対象としている施設です。

入居中に認知症を発症してしまったり介護が必要になった場合は退去しなければならない点には注意しましょう。

なお、提供されるサービスは幅広く、食事・掃除・洗濯・安否確認などの生活支援、イベントやサークル活動などのアクティビティなどがあります。

趣味を楽しみながら新たな生きがいを見つけられる機会が豊富にあることから、質の高いシニアライフを楽しみたい方におすすめです。

また、設備が充実している点も魅力で、具体的にはフィットネス・プール・カラオケルーム・麻雀ルーム・温泉などを備えているところもあります。

外出レクリエーションも多く行われているので、健康的な生活を送りながら余生を謳歌したい方にはピッタリでしょう。

サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅の説明

サービス付き高齢者向け住宅はサ高住とも呼ばれていますが、バリアフリー構造の高齢者向け住宅です。

有資格者の相談員が常駐しているので、必要に応じて生活相談サービスや安否確認が受けられる点が魅力です。

また、入居一時金が不要な上に月額費用もリーズナブルな施設が多いので、経済的メリットが大きい点が特徴と言えるでしょう。

自立している方から軽介護者が対象となっていますが、介護職員が常駐しているので要介護5まで入居に対応している施設も多くあります。

一般的な賃貸住宅と同様に、外出制限がなく自由度の高い生活を送れる点も人気を得ているため、有力な選択肢となり得るでしょう。

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シニア向け分譲マンション

シニア向け分譲マンションの説明

シニア向け分譲マンションは高齢者を対象としている分譲マンションで、売却・譲渡・賃貸・相続などの権利移動の融通が利きやすい点が特徴です。

家事援助サービスがあり、設備もフィットネスジム・温泉・シアタールーム・レストランなど豊富に整備されており、充実した日々を送れるでしょう。

なお、介護を受ける場合は外部の介護サービス事業者を利用することになるので、要介護度が上がると住み続けるのが難しくなってしまいます。

とはいえ、終の棲家として活用できるため、相続人も高齢の場合は選択肢として考えておくのがおすすめです。

グループホーム

グループホームの説明

グループホームとは、要支援2以上で原則65歳以上の認知症発病者を対象としている施設です。

5~9人程度のユニットと呼ばれるグループを組み、自分のできることを協力して行うことが生活の基盤となります。

少人数のユニットで介護サービスや機能訓練などを受けながら、少しでも自立した生活を送るための施設と言えるでしょう。

認知症を発症している高齢者のための施設なので、認知症ケアの知識や経験を持っている介護スタッフが24時間体制で必要なケアやサポートを行ってくれます。

認知症であっても、日常生活に必要なことがある程度自分でできる必要があるため、介護度が高くなると退去する必要に迫られるケースも存在します。

高齢者施設の費用の「値上げ」には注意

有料老人ホームなどの高齢者施設を終の棲家にする高齢者は増えつつありますが、資産が枯渇するのを防ぐためにも事前に定期的に生じる費用の「値上げ」について知っておきましょう。

一般的に、年齢を重ねれば重ねるほど転居や退去が難しくなるので、同じ施設に住み続ける場合は固定コストが膨張しがちです。

要介護度が上がれば介護サービスの自己負担額が増えたり、また人件費の上昇や地価の値上がりに伴う家賃の上昇など、自分の力ではどうしようもできない理由で固定コストが上昇するケースがあります。

介護人材の不足や人件費の高騰が続く状況が続いていることを考えると、やはり施設側から見ると「利用者から徴収せざるを得ない」のが実情なのです。

また、今後日本はますます少子高齢化が進むことが予想されています。

現役世代が減って高齢者が増える状態になると、社会保障の維持に大きな影響を及ぼすのは言うまでもありません。

財源を税金と現役世代からの援助でカバーするのは難しい以上、考えられる影響としては

  • 介護保険・医療保険の自己負担割合の増加
  • 介護・医療サービスの質の低下
  • 介護サービスの多様化に伴う負担額の上昇

以上のように、収入が現役世代よりも乏しい高齢者にとっては厳しい現実が待っていると考えざるを得ないでしょう。

実際、介護保険財政の悪化に伴って自己負担割合の引き上げも議論されており、仮に現在の1割負担から2割負担となれば単純に自己負担額は倍になってしまいます。

トラブルにも注意

料金の改定を巡り、利用者と高齢者施設でトラブルになるケースも少なくありません。

資金繰りがずさんな施設では、管理費などの諸費用が人件費・維持管理修繕費などに含まれているケースも少なくありません。

もし利用料金の値上げに関する話が出てきた場合は、サービスの質の向上に繋がる改定なのか、単なる施設側の都合なのかを確認しましょう。

とはいえ、高齢者や財務諸表を完璧に理解できない方にとっては施設側に言いくるめられてしまうことも考えられるので、改定理由に納得できない場合や不安がある場合は自治体やケアマネジャーに相談しましょう。

また、入居者に対して過剰なサービスを提供している施設もあることから、すべてを施設任せにするのではなく本人と家族が話し合い、意思を施設側にきちんと伝えることも重要です。

老人ホームの選び方まとめ

老人ホームの選び方まとめ
  • 費用や平均入居期間などから絞り込むことが有効
  • 見学を通して施設の設備や雰囲気、スタッフをチェックする作業は欠かせない
  • 各施設に特徴や違いがあるので、しっかりと把握した上で自分にとって相性の良い施設を選ぼう
  • 高齢者施設では値上げがされることもあるので、重要事項説明書などの書類は必ず目を通そう

老人ホームには多くの種類があるので、各施設の特徴や強みを把握することは非常に重要です。

また、諸費用も施設によって違いがあるので、資金面で折り合いをつけることも意識しましょう。

今後ますます高齢化が進んでいくことを考えると、早い段階から老人ホームに関する知識を得ておくことは有意義です。

自分や家族のためにも、こちらの記事を参考にしてベストな施設選びを進めていきましょう。

この記事は専門家に監修されています

介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

株式会社学研ココファン品質管理本部マネジャー。介護支援専門員、介護福祉士。2011年学研ココファンに入社。ケアマネジャー、事業所長を経て東京、神奈川等複数のエリアでブロック長としてマネジメントに従事。2021年より現職。

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