老人ホームのイベント12選!人気のレクリエーションや実施目的・注意点も紹介
更新日時 2023/06/15
この記事は専門家に監修されています
介護支援専門員、介護福祉士
坂入郁子(さかいり いくこ)
「老人ホームで行える季節のイベントには何がある?」
「季節のイベントを企画する上で何に気をつければいい?」
こうした疑問を感じている職員も多いのではないでしょうか。
毎年行われる季節のイベントがついマンネリになってしまっていたり、喜んでもらうためにはどうしたらいいのか考えることは、他の業務も抱える介護職員にとって負担になっていることもあります。
しかし、老人ホームで開催されるイベントやレクリエーションは、高齢者にとっていいメリットが豊富にあり、楽しんでもらいたいと考えている職員も多いと思います。
こちらの記事では、老人ホームで人気のレクリエーションや、注意することを分かりやすく解説していきます!
- 季節のイベントは老人ホームでも盛り上がる
- イベントやレクリエーションをやることに様々なメリットがある
- 入居者全員が楽しめるように注意点をしっかり把握する
老人ホームではどんなイベントが行われる?
老人ホームでは、年間を通して季節に合った様々なイベントを催しています。
老人ホームで行われる数々のイベントは、自分の家では体験できないようなイベントから、日本の恒例行事まで様々です。
季節にあったイベントを行うことで、日常の変化を楽しんでもらうきっかけになります。
月 | 行事 |
---|---|
1月 | 初詣・新年会・七草がゆ・鏡開き・初釜 |
2月 | 節分・バレンタイン |
3月 | ひな祭り・ホワイトデー・お彼岸 |
4月 | 花見 |
5月 | 運動会・母の日・端午の節句 |
6月 | 父の日 |
7月 | 七夕・夏祭り |
8月 | 納涼祭・お盆 |
9月 | 十五夜・敬老の日 |
10月 | 紅葉狩り・キノコ狩り・ハロイン・運動会 |
11月 | 文化祭 |
12月 | 冬至・クリスマス会・忘年会 |
老人ホームで喜ばれるイベント10選
老人ホームで喜ばれるイベントを紹介します。
節分
鬼のコスプレをした職員に向けて、入居者に豆をまいてもらうといった、定番の豆まきが盛り上がります。
節分らしさを出すレクリエーションでは豆に見立てた玉を新聞紙などを丸めて作り、玉入れをしたり、箸で豆をつかみ移動する競争など、節分らしさを取り入れたレクリエーションがおすすめです。
食事では、入居者と一緒に恵方巻を作るのもおすすめです。
節分は地域によって風習が異なります。
そのため、注意しなければいけないこともありますが、恵方巻を一緒に作ることで、地域の節分のやり方や、恵方巻の違いなどの会話で盛り上がります。
ひな祭り
ひな祭りはイベントの定番でもあります。
お雛様がある施設では、利用者と一緒に飾りつけをするのもおすすめです。
また、ひな祭りの特別な一日を演出するために、音楽や踊りのパフォーマンスを楽しむイベントを企画するなども良いでしょう。
地域の学校との協力を得て、利用者やスタッフの皆さんが思い出に残る素敵な時間を過ごせるでしょう。
折り紙や紙コップ、紙皿などで雛人形を作ることも出来ます。
季節の制作物として取り組むと、指先の運動や機能訓練にもなります。
ひな祭りに出来るレクリエーションは、日本の伝統的な神経衰弱「貝合わせ」がおすすめです。
また、ひな祭りは女の子の節句でもあります。
女性利用者にメイクアップ体験や、エステ体験、ネイル体験などをしてもらうのもおすすめです。
介護施設向けに美容ボランティアを行っている人もいるので、本格的で安全な施術をお願いすることが出来ます。
お花見
春のイベントとして、お花見は人気が高い行事です。
老人ホームなどに入居すると、なかなか外出の機会がなくなるため、外出出来る季節のイベントは非常に喜ばれます。
お花見をする場所は、基本的にバリアフリーではないため、リハビリとしての効果も期待できます。
また、お花見の楽しみ方として、音楽イベントなどを取り入れることもおすすめです。
利用者やスタッフの皆さんに心地よい音楽と迫力ある演技を楽しんでもらえるでしょう。このようなイベントはリラックス効果や心の活性化にもつながる効果が期待できます。
外出を伴うイベントになるため、職員は通常のイベントを企画するより入念な計画が必要です。
トイレの有無(位置やトイレの仕様も要確認)、駐車場からの移動距離や経路、お花見開催地までの送迎ルートや座席の検討など、下見も併せて行っておくことがマストです。
近年は感染症対策として、外出の機会も減っていますし、介護状況によっては外出が難しい利用者もいます。
誰もが楽しめる行事とするため、必ずしも外出をしてお花見を企画しなくてはいけないわけではありません。
敷地内の庭などで、お花見弁当を注文したり、寄せ植えやプランターなどを寄せ集め、花壇に季節を感じられる花を植えることで、お花見気分を味わうことも出来ます。
運動会
運動会はレクリエーションの数も豊富で、老人ホームでも盛り上がる季節行事の1つです。
運動会を開催するなら、会場の飾りつけでも雰囲気を出すことが出来ます。
折り紙を輪にして繋げたり、国旗を作ってみたり、制作活動の一環として利用者と取り組むことが出来ます。
運動会前から利用者と一緒に作成することで、運動会を心待ちにすることにも繋がります。
職員は入念なプログラム検討が成功の秘訣です。
レクリエーションは、玉入れや大玉おくり、スプーンリレーなどが定番でルールも分かりやすく、難易度の調整もしやすいのでおすすめです。
個人種目だけでなく、チームで取り組めるレクリエーションも検討すると、施設一丸となって盛り上がります。
レクリエーションに注目されがちですが、開会式や閉会式も行うと雰囲気が出ます。
開会宣言を利用者にやってもらうのもおすすめです。
七夕
梅雨が明ける頃行われる代表的なイベントが七夕です。
笹を用意して、短冊に願い事を書いたり、飾りつけをしたりといった施設は多いと思います。
しかし、七夕のイベントは老人ホームで行われる行事としては、幼稚なイメージを抱き、嫌煙する利用者もいるため、企画方法には注意が必要です。
幼稚なイメージが根強い七夕の制作ですが、細かい作業が多く、リハビリ効果や機能訓練にはうってつけなのです。
- 不自由なほうの手を動かす意識をしてみましょう
- 手を伸ばして飾りつけをしましょう
といった、利用者にとってプラスになる声かけを工夫しましょう。
また、制作以外では、「たなばたさま」などの童謡を歌うのも良いでしょう。
童謡を歌うことには幼稚な印象をおぼえるかもしれませんが、職員が「子供の頃の思い出を浮かべながら、歌ってみてください。」などと言うことで、高齢者の参加者が、自分の過去についてお互いに話すきっかけを生み出し、一種の回想法のようなものにもなります。
夏祭り
夏を盛り上げる代表的なイベントが、夏祭りです。
夏祭りは、盆踊り・縁日風のレクリエーション・屋台メニューを食事提供する、といったバリエーション豊富なイベントです。
夏祭り開催までには、利用者と一緒に飾りつけを作成したり、ゲームの景品づくりを一緒にしたりして気分を盛り上げます。
盆踊りは地域によって色々あります。
トラブルにならないように、施設の所在地でメジャーな踊りを取り入れるのがおすすめです。
レクリエーションでは、ヨーヨー、輪投げ、射的を模した的あて、くじ引きなどいくつかの出し物を縁日風に出して、利用者に回ってもらう方法があります。
浴衣や甚平を着る体験を取り入れることもおすすめです。利用者やスタッフに浴衣や甚平を用意し、着付けのボランティアや職員の手を借りながら、夏の風物詩を存分に楽しむことができます。
浴衣や甚平の着用は、季節感を感じさせ、心地よい気分を盛り上げることができるでしょう。さらに、写真撮影の機会を設けることで、思い出の一コマを残すこともできます。
夏祭りの開催にあたって注意したいのは、利用者全員が楽しめるように企画することです。
介護状況によって、全員が同じように出来るわけではありません。
出来ないことがあると疎外感を感じてしまうこともあります。
全員が楽しめるよう、それぞれの催しをどのように行うのか、しっかり計画を立てる必要があります。
敬老会
敬老の日を目安に行われる敬老会は、高齢者を敬い、慰安する会として行われるものです。
地域で敬老会の催しがある場合には、外出行事の一環として出向くのもおすすめです。
その際は、会場のトレイ状況、座席の配置、駐車場からの移動経路をしっかり確認しましょう。
外出して敬老会に参加することが出来ない方にも楽しんでもらえるので、施設で敬老会を開催するのもおすすめです。
外部にダンスや歌の発表を依頼するのもいいですが、普段から親しんでいる職員が出し物をすると盛り上がります。
- 演劇
- マジック
- 二人羽織り
といった出し物が人気です。
ハロウィン
ハロウィンはクリスマスに次いで、近年盛り上がりを見せるイベントですが、高齢者にとっては馴染みが薄いイベントでもあります。
あまり知っている人もいないだろうし、盛り上がるか心配で、行事として取り入れている施設はまだ少ないのではないでしょうか。
あまり知られていない行事だからこそ、実は盛り上げやすいので、おすすめのイベントです。
詳しく知っている利用者が少ないからこそ、施設の恒例イベントとして定着させやすく、施設の売りにもなります。
利用者と一緒に仮装衣装を作成したり、飾りつけを一緒に作ったり、制作レクの一環として準備が進められます。
ハロウィンイベントの当日は、職員は分かりやすく面白い仮装が人気=です。
また、ハロウィンイベントの一環として、お化け屋敷や恐怖体験を取り入れることも楽しいアイデアです。ただし、恐怖体験は利用者の体調や個別の要望を考慮して実施する必要がありますので、事前に十分な調整と配慮を行いましょう。
利用者にもカチューシャや帽子などをかぶってもらうと、雰囲気が出ます。
職員が利用者にお菓子を配り歩いたり、かぼちゃを使ったおやつや、食事を提供するのもおすすめです。
クリスマス会
クリスマス会は年の瀬に向けて行われる、メインイベントとして恒例行事にしている施設も多いと思います。
施設内の飾りつけは、折り紙などを利用して利用者と一緒に作ることで、リハビリや機能訓練に繋がります。
目に見えて雰囲気が伝わるため、利用者自身もクリスマスが楽しみになったり、満足感や達成感を感じることが出来ます。
クリスマス会当日は、クリスマスソングをBGMとして流して、雰囲気を盛り上げましょう。
クリスマス会のレクリエーションとしておすすめなのが、
- ハンドベルの演奏
- 合唱
- 簡単なクイズやビンゴ
こんなものがおすすめです。
ハンドベルや合唱は、職員からのプレゼントにしてもいいですし、ハンドベルは利用者に簡単なパートをお願いしたり、合唱は全員が知っている歌にして、みんなで歌うのもおすすめです。
クリスマスを知っている高齢者は多いと思いますが、自分たちで祝うことは少ない行事です。
クリスマス会を行う上で注意したいのは、最近の流行りを行っても理解されにくいことです。
テンポの速い進行や、見えにくい出し物は控えるようにしましょう。
あくまでも主役は高齢者です。
高齢者に合わせた出し物やレクを行うように配慮しましょう。
誕生会
誕生日会は毎月の恒例行事として定番になっている老人ホームやデイサービスが多いと思います。
毎月行われるからこそ、マンネリ化に気をつけて、自分の誕生会も他の人の誕生会も楽しんでもらいたいですよね。
毎回同じような進行で行うことは、職員はオペレーションがしやすく、利用者にとっても安心感はあります。
ただ、同じような進行ではついマンネリ化してしまうのが課題です。
マンネリ化を防ぐために、時にはサプライズ要素を組み込むのもおすすめです。
サプライズとして、自分の家族に登場してもらったり、手紙を披露したりする演出は、利用者からも喜ばれます。
毎月同じ進行で行ったとしても、どこか一か所だけ替えることで、マンネリ化を防ぐきっかけにもなります。
家族や地域の方との交流を持てるイベント2選
施設内だけで催すイベント以外に、利用者の家族や地域の方と交流が出来るイベントがあります。
代表的なイベントを2つ紹介します。
新年会
1年の始まりの行事でもある新年会は、利用者の家族を招いてゆっくり過ごしてもらったり、一緒に盛り上がったりするのもおすすめです。
新年会のレクでは、新年の抱負を発表したり、ビンゴやすごろくなどがあります。
職員も一緒に抱負を発表したり、レクを一緒にやったりすることで、1年の始まりにふさわしい盛り上がりがあります。
地域の人に協力してもらって、餅つきを行ったり、お雑煮作りをしたりするのもいいですね。
子供が多く参加することが出来るなら、凧揚げやコマなど、昔遊びを伝える会も盛り上がります。
正月の食べ物や、過ごし方は地域差があるものです。
利用者それぞれの過ごし方があるため、無理強いはせず利用者全員が楽しく過ごせる工夫が必要です。
父の日・母の日
父の日・母の日といった感謝を伝えるイベントには、親族を招待して一緒に過ごす時間を作ると喜ばれます。
家族にプレゼントを用意してもらったり、手紙を書いてもらったり、といった取り組みも喜ばれます。
父の日・母の日には食事会も行うと喜ばれます。
参加する家族にも施設の食事を召し上がってもらうと、施設での暮らしの様子が分かるのでおすすめです。
利用者全員にそのような人がいるとは限らないため、個室で過ごしてもらうなど、配慮をする必要があります。
地域の人にイベントに参加してもらう方法
地域の人にイベントに参加してもらうことで、開かれた施設としてのイメージが定着します。
利用者にとっても地域の人との交流は、良い刺激にもなります。
老人ホームで行われる季節の行事でも、地域の人にイベントに参加してもらうことで、例年とは違った盛り上がりになり、喜ばれることも多いです。
ダンスや歌の習い事教室などは、ボランティア活動の一環として老人ホームで披露する活動をしている団体も増えてきています。
ハンドメイド活動を行っている人の中には、老人ホームなどでクラフト体験を行っている人もいます。
こうした習い事教室や、ハンドメイド活動を行っている人には、直接問い合わせをしてみましょう。
地域の子ども会や町内会では、フリーマーケットやこども祭りを老人ホーム内で開催しているところもあります。
所在地の町会に問い合わせてみるのがおすすめです。
老人ホームでイベントをする目的
老人ホームで行われるイベントには、様々な効果をもたらすことがあります。
新鮮な体験で脳が活性化する
季節ごとに行われるイベントは、普段とは違ったレクリエーションが行われたり、食事も普段とは違ったものになることがあります。
施設内の飾りつけやBGMも異なるため、いつもとは違った体験をすることになります。
このように、普段の生活や普段から行われているレクリエーションとは違った取り組みをすることは、脳にいい刺激をもたらします。
利用者や職員とのコミュニケーションも盛んに取れるため、一層脳の活性化にも役立ちます。
身体機能の維持・向上になる
季節のイベントを盛り上げるレクリエーションや催しものでは、身体を使ったり歌ったりすることで、身体機能の維持や向上に繋がります。
レクリエーションや催し物に参加すること以外にも、飾りつけを作ったり、作ったものを飾ったりすることで、指先の機能訓練などにも繋がります。
また、こうした体験や活動は、ストレス発散になることも多く、入居者の身体機能の維持向上だけでなく、リフレッシュする機会に重要な存在になります。
日々のレクリエーションでは味わえない季節感を実感することができる
普通の生活では、なかなか季節のイベントをする機会は少ないと思いますが、老人ホームでは年間を通して様々な季節のイベントが企画されます。
入居前の生活では、季節のイベントは他の若い家族が企画したり、自分は祝ってあげる立場であることも多いところ、老人ホームで行われるイベントは、自分たちが主役になったり、一緒にイベントを作り上げることもあります。
このように季節のイベントを経験出来ることは、老人ホームに入居するメリットともいえます。
家族や地域の人との交流の場になる
老人ホームに入居すると、職員や入居者以外と交流する機会が減ってしまいがちです。
季節のイベントでは、地域の人にボランティアとしてイベントの手伝いをお願いしたり、出し物をしてもらったりすることで、地域との関わりが持てる交流の場として活用出来ます。
このような機会は、普段の生活では体験できないことで、戸惑う入居者もいるかもしれません。
ですが、地域の人との交流は、高齢者にとってもいい刺激となりますし、施設にとっても開かれた空間として認知されるきっかけになるいい機会です。
コミュニケーションの促進で孤独感の解消になる
老人ホームでの生活は、住み慣れた地域から離れて暮らす人や、家族と離れて暮らす人もいて、孤独感を感じている入居者もいます。
季節のイベントや、レクリエーションを通して、職員や他の入居者との交流や繋がりを持つことで、で孤独感の解消にもなります。
コミュニケーションの減少は、認知症になる要因の1つともいわれています。
イベントやレクリエーションを行い、コミュニケーションが促進されると、脳の活性化にも繋がります。
準備する際の役割が達成感につながる
季節のイベント開催に向けて、様々な準備を利用者と一緒にやることには、重要な意味があります。
出来ることをどんどんやってもらったり、施設内での役割を入居者に持ってもらうことで、自立支援にも繋がり、QOLの向上にもなります。
また、やり遂げることの楽しさや達成感を感じてもらうことが出来ます。
高齢者介護では、役割を持ってもらうことを介護予防としても重要視しています。
老人ホーム内でも、イベントの企画から開催まで分担して開催することで、老人ホームの一員として自己肯定感の向上にも繋がります。
高齢者の生きがいになりQOL向上に
季節ごとに行われるイベントが成功し、楽しかったと感じてもらえると、次に行われるイベントも楽しみになったり、来年行われる同じ季節のイベントも心待ちにしてもらえます。
こうした経験や、楽しみに待つことで、高齢者の生きがいにも繋がります。
準備や当日のレクリエーションなどを楽しみにすることは、単調な毎日を過ごすよりも刺激を感じることがあり、影響されることもあります。
このような体験が出来る季節のイベントやレクリエーションは、入居者のQOLの向上にも繋がります。
イベント・レクを実施する際の注意点
イベントやレクリエーションを実施する場合には、いくつか注意したいポイントがあります。
1つずつ解説していきます。
利用者がどんな人か事前に知っておく
老人ホームでのイベントを成功させる秘訣は、利用者全員が楽しめることです。
利用者の中には、大勢の中でわいわいすることが苦手な方や、コミュニケーションが苦手な方、好きではないレクリエーションがある方など、様々です。
こうした利用者の特徴など、利用者の性格を事前に把握し、スタッフ感で共有しておくことが大切です。利用者の家族や地域の方々とのコミュニケーションを大切にし、イベントの企画や実施に積極的に参加してもらうよう促すことも重要です。
全員が同じ空間で楽しめることが理想ですが、無理強いはしないように、利用者それぞれに合った対応をすることを心掛けましょう。
高齢者への尊重を忘れない
目上の存在となる高齢者へ敬意を持って対応することは、介護施設で働く介護職員の基本です。
また、老人ホームに入居する利用者は、お金を払いサービスを利用しているお客様でもあります。
普段とは違う盛り上がりを見せるイベントだと、ついフランクになりがちで、いきすぎた盛り上げ方になってしまったり、マナーのない対応をしてしまったりすることがあるかもしれません。
イベントの開催中であっても、高齢者の立場を尊重することは忘れてはいけません。
特に言葉遣いにはしっかり気を配ります。
こうしたマナーは社会人のマナーでもあり、気にする高齢者も実は多いのです。
声の大きさ、スピードに注意
老人ホームに入居する高齢者の中には、耳が遠い人もいます。
マイクを通した反響する声が聞き取りにくい人も中にはいます。
参加する全員に指示が通り、スムーズにイベントを進行させるためにも、説明は大きな声で、ゆっくりとハキハキ話すように心がけましょう。
注意したいのは、いつでも大きな声で話せばいいというわけではありません。
利用者の前に立ち、イベントを進行する場合には大きな声でしゃべることが基本ですが、個々で対応する場合は大きな声で話されると、怒られていると感じたり怖いと感じる高齢者もいます。
個々に説明をしたり話しかけたりする場合には、はっきり喋ることは意識しますが、落ち着いたトーンで話せば伝わります。
イベント進行の台本を作っておく
毎年繰り返しているイベントや、誕生日会のように毎月行われるイベントでも、台本を作っておくとスムーズです。
台本には一連の流れを示した進行を記載しておきます。
入浴や食事の時間など、普段行われている日程に支障がないよう、時間配分を考えておくのがベストです。
また、当日の人員配置をどうするのかも検討して台本を作成すると、利用者の対応がスムーズにいきます。
すでに作成された台本がある場合でも、イベントごとに台本の見直しを行い、昨年度からの反省点なども盛り込んで台本を作っておくと安心出来ます。
イベントで一人になっている人を作らないようにする
季節の行事を行ったり、レクリエーションを開催する醍醐味は、他の利用者との交流を図ったり、地域の人とのコミュニケーションをとったり、職員との関係を深めたりすることです。
そのためには、みんなで楽しむことが重要です。
利用者の中には、コミュニケーションが苦手な人もいます。
入居したばかりの人だと、どのように楽しんでいいのか、戸惑っている場合もあります。
イベントごとは普段よりも盛り上がることが多いため、孤立してしまうと普段以上に孤独感を感じることがあります。
孤立している人がいないか、楽しめていない人はいないか、しっかりと目を配り、輪に入れるような声かけをしたり、レクリエーションに楽しく参加出来るよう促しましょう。
利用者に目を配り、体調変化に敏感になる
そもそも行事ごとは季節の変わり目に行われるものも多くあります。
こうした季節の変わり目や、暑い時期、寒い時期に行われるイベントでは、利用者の体調にもしっかり気を配る必要があります。
イベントについ集中してしまいがちですが、利用者の体調変化にも目を向けて、安全管理をしっかり行いましょう。
普段とは違うイベントでは、利用者も体調を忘れて楽しんでしまいがちです。
本人も体調の変化に気づいていない場合もあります。
寒くないか、暑くないか、エアコンなどの温度設定は適切か、気を配りながらイベントを行いましょう。
利用者の異変に気づいたら、すぐに声かけが出来るよう、利用者にしっかり目を配ることが大切です。
職員もイベントを心から楽しむ
イベントを企画したり、イベントに合わせた普段とは違うレクリエーションを企画したり、準備をしたりするのは、日々の業務と同時進行しなくてはならず、大変なことも多いと思います。
職員にとっては何度も繰り返されることで、業務自体がマンネリ化してしまっているかもしれませんが、イベントを心待ちにしている利用者がいることを忘れてはいけません。
利用者が楽しんでもらえることこそ、成功に繋がることですが、そのために何よりも重要なのは、企画する職員もイベントを心から楽しむことです。
職員も一緒に楽しめるイベントこそが、老人ホームで喜ばれるイベントでもあるのです。
老人ホームで人気のレク・実施目的と注意点についてまとめ
- 季節のイベントは全員が楽しめるよう、地域の習慣や性別、身体状況に配慮して行う
- イベントやレクリエーションは生きがいやQOL向上にも繋がる
- 成功させるには職員も心から楽しむ
老人ホームで行われる季節のイベントや、人気のレクリエーションを詳しく解説してきました。
老人ホームでは季節ごとに様々なイベントが行われる他に、日々の生活でもレクリエーションが行われることが多く、ついマンネリ化してしまうことがあります。
イベントやレクリエーションを心待ちにしている入居者のためにも、職員も一緒に心から楽しめるイベントを企画していきましょう。
この記事は専門家に監修されています
介護支援専門員、介護福祉士
坂入郁子(さかいり いくこ)
株式会社学研ココファン品質管理本部マネジャー。介護支援専門員、介護福祉士。2011年学研ココファンに入社。ケアマネジャー、事業所長を経て東京、神奈川等複数のエリアでブロック長としてマネジメントに従事。2021年より現職。
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