介護保険とは|仕組みや対象者・適用範囲から自己負担額・制度改正についても解説

この記事は専門家に監修されています

介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

「介護保険制度の仕組みについて詳しく知りたい!」

「介護保険は頻繁に改正されるから分かりづらい...」

このように考えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

介護保険制度は高齢者の方の生活を支える重要な国の仕組みです。

しかし、そもそも介護保険とは何なのか、対象者や適用範囲はどうなっているのか完璧に理解している方は多くありません。

そこで、今回は介護保険制度の仕組みや対象者、制度について解説していきます。

高齢者の方を支える重要な仕組みである介護保険制度について完璧に理解できる内容となっているので、ぜひ最後までお読みください。

介護保険制度の仕組みや適用範囲についてざっくり説明すると
  • 要支援・要介護状態となった方に対して敵札なサービスを提供する国の仕組みである
  • 40歳から適用となり、保険料の納付義務が発生する
  • 居宅サービスや通所サービスなど、幅広い種類のサービスが存在する
  • 要介護度によって自己負担額の上限が異なる

介護保険制度とは

介護保険制度とは、高齢や障害に伴って身体能力や認知能力が衰えてしまい、要支援者・要介護者となった方に対して介護費用を一部給付する制度です。

高齢者の方の生活を現役世代や税金で支える構図となっており、重要な公的支援サービスとして機能しています。

つまり、高齢者の方にとっては必要不可欠な制度であり、今後ますます高齢化が進展していく日本においては重要な存在と言えるでしょう。

なお、給付を受けるためには、各市町村や専門機関に対して要介護認定を受けるための手続きが必要となります。

介護保険制度が国の制度ですが、全国の市区町村が制度の運営主体としての役割を果たしており、その地域に住んでいる40歳以上の方が納める介護保険料と税金で制度が維持されています。

サービスを受ける場合は原則として1割の自己負担が必要となりますが、年収によっては自己負担率が2割~3割になることもあります。

保険料に関しては、勤めている方であれば加入している健康保険組合、国民健康保険に加入している方や65歳以上の方であれば市区町村の窓口で確認すると良いでしょう。

介護保険料の支払い義務は何歳から?

40歳から介護保険への加入が義務付けられて介護保険料が徴収されることになりますが、40~64歳の被保険者は健康保険料と共に介護保険料の徴収が行われています。

なお、保険料の決め方については各健保によって異なるので加入している健康保険組合などに確認しましょう。

通常であれば、年間の所得や標準報酬月額に介護保険料率を掛けて介護保険料が算出され、事業主と折半して負担することになります。

介護保険料率は健康保険組合によって異なっており、医療保険と同じように被扶養配偶者は保険料を納める必要がありません。

国民健康保険に加入している方の場合はさらに複雑で、所得割・均等割・平等割・資産割の4つを自治体が独自に組み合わせて計算し、介護保険料率も異なります。

65歳以上の被保険者の場合は原則として年金からの天引きで市区町村が徴収しますが、介護設備の整備状況や要介護者の人数など自治体の状況によってそれぞれ金額が変わってきます。

特定の個人の負担が大きくなりすぎないように国の調整交付金が使われていることも多く、生活になじみがある制度でありながらも内容はかなり複雑であることが分かるでしょう。

費用を抑えられる介護施設はこちら!

介護保険制度の仕組み

介護保険の仕組み

介護保険制度とは、介護が必要となった高齢者と家族の負担を軽減するために、社会全体で分散して受け持つ仕組みです。

年金制度と似ていますが、現役世代が高齢者世代の生活を支える構図と言えるでしょう。

なお、介護保険の仕組みの特徴的なポイント下記の3つです。

  • 介護保険の利用者の自立支援を目指すこと
  • 利用者本位のサービス利用(自ら選択してサービスを受けられる)ができること
  • 給付と負担の関係が明確である「社会保険方式」を採用していること

また、介護保険制度の当事者の関係を整理するためにも、下記の用語については知っておきましょう。

  • 保険者:制度を直接運営している市町村および特別区
  • 被保険者:介護保険料を払っている人(現行制度では40歳以上全員に負担義務)
  • サービス提供事業者:介護サービスを提供する人

つまり、介護サービスを受ける皆さんは「被保険者」の立場で介護保険制度に参加していることになります。

介護保険サービスの財源

介護保険の費用負担割合

介護保険の財源については、上記のイラストのように半分は被保険者が納めている保険料で構成されています。

残りの半分については税金が元手となっており、国・県・市が分担して負担しています。

つまり、介護サービスを受ける際には、自己負担分を超える部分については主に公費で賄われていることになります。

高齢者人口が増えて介護サービスを利用する方々が増えると、財源を圧迫してしまい現役世代や将来世代への負担を重くしてしまうわけです。

社会保障費の膨張は日本の大きな課題としてメディアにも取り上げられているので、日々のニュースにも関心を持ってみてください。

なお、自身の老後生活を充実させたい方であれば、民間の介護保険を活用してリスクに備えておくことも一つの選択肢です。

サービスの対象者・利用条件

それでは、サービスの対象者や利用条件について見ていきましょう。

被保険者の種類 年齢 サービスを利用できる条件
第1号被保険者 65歳以上 要介護、要支援状態であること
第2号被保険者 40~64歳 以下の特定疾病と診断されていること
末期がん
筋萎縮性側索硬化症
後縦靭帯骨化症
骨折を伴う骨粗しょう症
多系統萎縮症
初老期における認知症(アルツハイマー病、脳血管性認知症など)
脊髄小脳変性症
脊柱管狭窄症
早老症(ウェルナー症候群など)
糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
脳血管疾患(脳出血、脳梗塞など)
進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
閉塞性動脈硬化症
関節リウマチ
慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎など)
両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

介護保険の加入者は、第1号被保険者と第2号被保険者に分けられ、いずれの被保険者も保険料の納付義務があります。

基本的に、介護保険サービスの対象となるのは第1号被保険者ですが、第2号被保険者も老化に起因する特定疾病により介護認定を受けた場合は介護保険サービスの対象となります。

介護保険被保険者証

介護保険制度の運営主体は市区町村なので、介護保険被保険者証は住んでいる自治体から送付されます。

65歳以上の方に対しては各個人に被保険者証が郵送で交付され、40歳~64歳の方に対しては特定疾病に該当して介護認定された後に発行されます。

なお、介護保険サービスを受けるためには介護保険被保険者証の交付を受けることに加えて要介護認定を受ける必要があるので注意しましょう。

紛失・住所変更の場合

被保険者証を紛失してしまった場合は、住んでいる自治体の担当部署に対して速やかに再発行の依頼をしましょう。

また、同じ市区町村内でで引っ越す場合は住民票を異動して、住民票の手続きと並行して介護保険被保険者証に記載している住所を書き換えてもらえば足ります。

なお、住んでいる自治体から転出する場合は、速やかに転入先の自治体に被保険者証を提出して住所を書き換える必要があるので注意しましょう。

老人ホーム・介護施設を探す 老人ホーム・介護施設を探す 老人ホーム・介護施設を探す

介護保険が適用されるサービス

提供される介護サービス

下記で紹介するサービスには介護保険が適用されるため、自己負担額を抑えながら利用することができます。

居宅介護支援

居宅介護支援とは、利用者が可能な限り自宅で日常生活を送れるように、居宅にて受けられる介護保険サービスを指します。

ケアマネジャーが利用者の状況に応じてケアプランを作成し、ケアプランに基づきながら事業者や関係機関との連絡や調整を行います。

住み慣れた居宅において介護サービスを受けられるので、多くの方から利用されています。

居宅介護支援とは|サービス内容や利用条件・ケアプランについて解説

ケアプラン作成の流れ

ケアプランの作成にあたって、まずはケアマネジャーが利用者の自宅を訪問して心身の状況や生活環境などを確認します。

その後、ケアマネジャーと利用者・サービス提供事業者で必要な自立支援にサービスについて話し合い、その課題話し合いを基にしながらサービス利用の手続きを行います。

このような流れで作成されたケアプランは介護保険を受ける際の軸になるものなので、しっかりとコミュニケーションを取ることが重要です。

居宅サービス

居宅サービスとは、自宅に住みながら介護を受けることのできるサービスで、「訪問サービス」「通所サービス」「短期入所サービス」などの種類があります。

それぞれのサービスについては、下記のトピックで詳しく紹介します。

訪問サービス

まずは、訪問サービスについて見ていきましょう。

サービス 内容
訪問介護(ホームヘルプサービス) 身体介護(入浴、食事、排泄など)
生活援助(掃除、洗濯、調理など)
通院のための乗車、降車の介助
訪問入浴介護 浴槽を積んだ入浴車で自宅を訪問し、入浴の介護を行う
訪問看護 主治医の指示に基づいてサービスを提供
病状安定期の利用者の自宅に看護師などが訪問して、療養上の世話や診療の補助を行う
訪問リハビリテーション 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が自宅に訪問し、必要なリハビリテーションを実施
居宅療養管理指導 医師、歯科医師、薬剤師、歯科衛生士、管理栄養士が自宅を訪問
療養上の管理・指導を実施

上記のように、幅広いサービスが行われているので必要に応じて利用すると良いでしょう。

通所サービス

続いて、通所サービスについて見ていきましょう。

サービス 内容
通所介護(デイサービス) 利用者が日中、施設などに通う
日常生活上の支援(食事の介護・入浴など)、機能訓練、レクリエーションを行う
通所リハビリテーション(デイケア) 病状安定の利用者が日中、医療機関や介護老人保健施設などに通う
日常生活上の支援(食事の介護・入浴など)、リハビリテーションを行う

短期入所サービス

続いて、短期入所サービスを紹介します。

サービス 内容
短期入所生活介護(ショートステイ) 介護老人福祉施設・介護老人保健施設・病院・診療所に、短期間入所するサービス
普段は自宅で生活する高齢者が期間を決めて利用
家族の介護負担を軽減する目的でも利用される
短期入所療養介護(ショートステイ) 利用者本人の体調が悪化した場合や、介護する方が病気になった時に利用される
介護者が旅行や休養をとることによって心身ともにリフレッシュしたい時にも利用されている

施設サービス

施設サービスは、下記の表のように幅広いサービスが展開されています。

施設サービス 運営主体 費用(初期費用) 費用(月額費用)
特別養護老人ホーム 公営 0円 5〜15万円
介護老人保健施設 公営 0円 8万〜14万円
養護老人ホーム 公営 0円 0万〜14万円
介護医療院 公営 0円 0万〜14万円
ケアハウス 公営 数十万〜数百万円 10〜30万円
介護付き有料老人ホーム 民間 0〜数百万円 15〜30万円
住宅型有料老人ホーム 民間 0〜数百万円 15〜30万円
健康型有料老人ホーム 民間 0〜数億円 10〜40万円
サービス付き高齢者向け住宅 民間 0〜数十万円 10〜30万円
グループホーム 民間 0〜数十万円 15〜20万円
シニア向け分譲マンション 民間 数千万〜数億円 10〜30万円

なお、介護保険施設に関して詳しく知りたい方は、以下のリンクをご覧ください。

介護保険施設とは|特養・老健・介護医療院のサービス内容や費用などを徹底解説

地域密着型サービス

続いて、地域密着型サービスについて見ていきましょう。

内容 サービス
特定施設入居者生活介護 有料老人ホームや軽費老人ホームなどに入居している利用者が対象
日常生活上の支援、機能訓練、療養上の世話を行う
福祉用具貸与 日常生活の自立を助けるための福祉用具を貸与
特定福祉用具販売 入浴や排泄などに使用する福祉用具の購入費7~9割分が支給 ※購入費は1年につき最大10万円
住宅改修 改修費(最大20万円)の7~9割が支給 ※手すりの取り付けや段差解消などの住宅改修をした場合

なお、域密着型サービスとは認知症高齢者や中重度の要介護高齢者の方が、住み慣れた地域で生活できるように支援するサービスです。

地域の特性を活かしてサービスを提供できる点が大きな強みで、施設の規模が小さいので利用者のニーズにきめ細かく応えることができると期待されています。

介護保険の申請・利用の手順

介護保険を利用する高齢者

それでは、介護保険の申請や利用するための手順について紹介していきます。

介護保険を利用するには、要介護認定を受けた後に自身の生活や要介護度に応じて適切な手順を踏む必要があります。

要介護認定の受け方

介護保険サービスを利用するには市区町村から要支援・要介護認定を受ける必要がありますが、まずは市区町村に申請を出しましょう。

その後、役所から任命された認定調査員が身体機能や認知機能のチェックを行い、要介護度が通知されます。

要支援・要介護認定を受けたら地域包括支援センターに相談した上で、ケアマネジャーを探してケアプランを作成していくことになります。

ケアプランは介護保険制度を活用するための根幹となる重要なものなので、ケアマネージャーとはコミュニケーションを密にしておくと良いでしょう。

要介護認定後の手順

在宅で介護サービスを受けたい場合

在宅で生活を続けたい方は、在宅介護サービスを利用することになります。

在宅での介護サービスを利用する場合は、ケアマネジャーが作成するケアプランに利用する旨を盛り込んでもらう必要があります。

訪問介護や訪問入浴介護、訪問リハビリテーションをはじめとして様々な種類があるので、必要に応じて利用を検討してみてください。

家族での介護だけでは負担が大きい場合に利用されるケースが多いので、どのようなサービスがあるのか知っておくだけでも有意義です。

介護施設で介護サービスを受けたい場合

介護施設で介護サービスを受けたい場合は、利用する介護施設を選ぶ必要があります。

また、利用する前の段階で実際に施設の見学をすることをおすすめしますが、見学方法については以下のリンクで詳しく解説しているので参考にしてください。

老人ホーム見学のチェックポイント22選|設備やサービス・おすすめ時間帯も紹介

施設を選んで申し込み、入所が決まったらケアプランを施設のケアマネージャーと作成してもらいましょう。

なお、介護施設には様々な様々な種類がありますが、詳細については以下の記事で解説しているので併せて参考にしてください。

【一覧で紹介】老人ホームの種類と特徴|違いや費用・施設の選び方まで解説

予防給付は介護予防にも利用できる

介護保険では、介護給付の他に「要支援」認定を受けた方に対して予防給付を行っています。

予防給付とは、文字通り「介護状態になってしまうことを予防する」役割を果たしており、今後高齢化人口が増えていく日本において重要度は高まっています。

具体的には、要支援者が日常生活をできるだけ自力で行うようにサポートしつつ、心身機能の改善や維持を計っています。

介護保険制度の中でも、訪問介護・デイサービス・介護用品のレンタルなどのサービスが代表的ですが、いずれも家族の介護負担を減らしてくれるメリットがあるので利用を検討すると良いでしょう。

なお、利用するための自己負担額は1~3割であることに変わりはなく、予防給付サービスは介護給付サービスよりも支払限度額が小さい点が特徴です。

要介護認定とは?仕組み・実施方法や認定基準・要介護と要支援の違いまで徹底解説!

介護保険の自己負担額・割合

続いて、介護保険が適用された場合の自己負担額について見ていきましょう。

介護保険の利用限度額と自己負担額について知っておくことで、老後のマネープランの作成にも役立つでしょう。

要介護度 支給限度額 自己負担が2割の場合 自己負担分が3割の場合
要支援1 50,320円 10,064円 15,096円
要支援2 105,310円 21,062円 31,593円
要介護1 167,650円 33,530円 50,295円
要介護2 197,050円 39,410円 59,115円
要介護3 270,480円 54,096円 81,144円
要介護4 309,380円 61,876円 92,814円
要介護5 362,170円 72,434円 108,651円

参考:厚生労働省「2019年度介護報酬改定について」

介護サービスは収入などに応じて自己負担額が1~3割の範囲で決定します。

介護度別の支給限度額は上記の表のように設けられており、限度額を超えて介護サービスを利用した分に関しては全額自己負担となります。

つまり、限度額を超えて介護保険サービスを受ける場合は介護費用が高額になってしまう恐れがあるので、利用するサービスは吟味しましょう。

負担限度額認定

先述した通り、介護保険制度を利用する際には自己負担額が1〜3割の範囲で決まっています。

介護保険サービスの対象外である住居費や施設内での食費は基本的に全額自己負担となるので、想像上に介護費用が嵩んでしまうケースは少なくありません。

このような場合は、「負担限度額認定制度」を利用することで経済的負担を軽減できます。

具体的には、介護施設を利用する際の住居費と食費の自己負担を軽減できるこの制度となっており、低所得者を対象としているので利用できる方は限られるものの条件について調べてみる価値はあるでしょう。

下記のリンクで負担限度額認定について解説しているので、参考にしてください。

介護保険負担限度額認定証とは?減免要件・負担段階から申請の方法まで全て紹介

民間施設での介護保険利用

特養などの公的施設だけでなく、民間施設でも介護保険サービスを受けることができます。

代表的な民間施設としては、介護付き有料老人ホーム・サ高住・軽費老人ホームなどが挙げられますが、いずれもきめ細かい介護サービスを受けることが可能です。

住宅型有料老人ホームやサ高住は自立した生活が可能な高齢者の方を対象とした施設ですが、必要に応じて外部の介護サービス事業者と契約して介護サービスを利用しながら生活することもできます。

また、最近では介護保険サービスを提供する事業所を併設している高齢者施設も増えつつあるので、利便性は年々向上していると言えるでしょう。

自身のニーズや希望を踏まえつつ、豊富な選択肢の中から施設を選べるので、多くの施設の情報を集めてみてください。

介護保険制度施行の背景

高齢者とその家族

近年は高齢化の進展に伴い、要介護高齢者が増加して介護期間も長期化してしまっています。

高齢者福祉に関する財政支出が増えていることが問題となっていますが、今後も高齢者福祉に関する支出は増えていくでしょう。

さらに、要介護者の増加に相反するように核家族化が進行しつつあり、介護する家族も高齢化しながら要介護高齢者を支える家族状況になりつつあります。

このような状況を受け、従来の老人福祉や医療制度で対応するには限界を迎えてしまった事情を踏まえて、高齢者の介護を社会全体で支えあう仕組みとして介護保険制度が導入されました。

介護保険制度の基本的な考え方として「自立支援」「利用者本位」「社会保険方式」が挙げられますが、それぞれ下記のようなニュアンスを持っています。

  • 自立支援

単に介護を要する高齢者の身の回りの世話や介助をするだけでなく、超高齢者の自立を支援することを理念とする

  • 利用者本位

利用者の選択により、多様な主体から保健医療サービス・福祉サービスを総合的に受けられる制度にする

  • 社会保険方式

給付と負担の関係が明確な社会保険方式を採用する

上記のように、高齢者の方の介護を社会全体で請け負う仕組みとなっています。

年金と同じように、制度の支え手である現役世代が減少してしまうと、サービスの質の低下が起きてしまうの可能性がある点は否めません。

介護保険制度の維持するために、国も様々な制度改正などを行っているのが現状です。

介護保険制度の今後

高齢者を支える若い世代

ご存知のように、日本では少子高齢化が急速に進んでしまっています。

そこで、介護保険制度は日本社会の実情に合わせた制度を保つことが非常に重要となりますが、具体的には下記のような対策が取られています。

介護保険制度の改正

介護保険制度は2000年に制定されましたが、3年ごとに見直しが行われて世の中の実情に合ったものへと改正が行われています。

介護サービスに見直しなどはもちろん、介護職員を確保するための待遇改善や介護事業者の不正防止なども含まれており、安心して生活するための仕組みづくりが進められています。

なお、2021年の改正では「介護保険料の負担年齢を30才への引下げ」「居宅介護支援の自己負担1割の導入」「居宅介護支援の自己負担1割の導入」などが取り上げられましたが、結果的に先送りされました。

2024年に行われる改正では、介護報酬改定に加えて診療報酬の改定も同時に行われる予定で、介護業界が抱えている財源不足や人手不足などの課題を解決するための内容が盛り込まれています。

日本の「少子高齢化」はメガトレンドである以上、保険料の負担が重くなるのは避けられないでしょう。

介護保険制度は今後の生活に影響がある重要な社会の仕組みなので、注意深く情報を集めてみてください。

日常生活支援総合事業

高齢者の方の自立した生活を支援するための動きとして、日常生活支援総合事業があります。

介護保険の認定調査で要介護1~5に認定にならなかった方は介護保険給付を受けることができませんが、その他にも介助やサポートを必要としている方は多くいます。

要支援1~2と認定された方や非該当となった方をサポートするために日常生活支援総合事業などの新しい動きが生まれており、今後の日本において重要な役割を果たしくいくと考えられています。

具体的には、要支援者の方でも訪問型や施設型のサービスを提供したり、非該当になった方に対して栄養改善を目的とした配食などのサービスを提供するなど、要介護状態にならないための支援が行われているのです。

地域包括ケアシステム

2025年をめどに、高齢者がの方が住み慣れた地域で自立した生活を送れる環境を整備するための「地域包括ケアシステム」の構築が各自治体で進められています。

地域包括ケアシステムとは、高齢者の支援を目的とした総合的なサービスを地域で提供する仕組みのことを意味します。

具体的には、医療・介護・介護予防・住まい・生活支援などのサービスを日常生活圏内(徒歩30分圏)で一体的に提供することが目標です。

国が推進しているシステムではありますが、各地域の特性や実情に応じてオリジナルのケアシステムを構築することとなっており、超高齢化社会を迎えている日本において重要性は増しています。

地域包括ケアシステムは、それぞれの都道府県や区市町村が、各々の自主性・主体性に基づいて、各々にあった形に作り上げていくことが大切だと言えます。

その実現に向けて重要な役割を担っているのが地域包括支援センターとケアマネージャーなので、介護にまつわる疑問や不安があれば相談してみてください。

介護や福祉の専門家として非常に頼れる存在なので、日頃からコミュニケーションを密にして良好な関係を築いていくことをおすすめします。

地域包括ケアシステムとは|意味や定義から今後の課題までをイメージ図付きで解説!

介護予防

要介護状態となった方を地域や行政で支える剥き身づくりも重要ですが、要介護状態とならないように健康寿命を延ばすための「介護予防」も重要です。

介護予防とは、介護が必要となる状態にならないように身体能力や認知能力の衰えをできる限り防ぎ、健康寿命を延ばすこと目的とした取り組みです。

また、既に要介護状態になっている方に関しては、状態を悪化させないように必要な介助をすることを目的としています。

以前までは心身機能の衰えを防ぐための機能訓練が介護予防の中心でしたが、近年は高齢者が社会的な活動を行い地域社会に参加することが重視されています。

多くのコミュニティに参加して、地域の中で良好な関係を築くことができれば認知症予防にも繋がるメリットがあります。

また、行政も介護予防運動や手軽に運動できるトレーニングやストレッチなどを啓発活動を行っているので、積極的に参加してみると良いでしょう。

地域の広報紙や自治体のホームページなどで情報収集が可能なので、自身の健康寿命を延ばすためにも行政サービスは有効活用しましょう。

費用を抑えられる介護施設はこちら!

介護保険制度の仕組みや適用範囲まとめ

介護保険制度の仕組みや適用範囲まとめ
  • 少子高齢化は日本のメガトレンドなので、介護保険の重要性は増していく
  • 早い段階から利用したいサービスをピックアップし、事業所を調べておくと良い
  • ケアプランが介護サービスを受ける際のベースとなるので、ケアマネージャーとは連絡を密にしよう
  • 時代の実情に合わせて介護保険制度は改正されるので、今後のニュースに注目すると良い

介護保険制度は、要介護状態となった方でも安心して生活できるようにするための社会保険制度です。

保険料の決定や適用範囲など、複雑で理解しづらい部分があるのは確かですが、少子高齢化が進んでいる日本において果たしている役割は大きいです。

様々なサービスの種類があるので、早い段階からサービス内容について知っておくことは非常に有意義です。

多くの方の暮らしに密接に関連する制度なので、介護保険制度の理解を深めつつ健康寿命を延ばすための工夫をしていきましょう。

この記事は専門家に監修されています

介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

株式会社学研ココファン品質管理本部マネジャー。介護支援専門員、介護福祉士。2011年学研ココファンに入社。ケアマネジャー、事業所長を経て東京、神奈川等複数のエリアでブロック長としてマネジメントに従事。2021年より現職。

監修した専門家の所属はこちら

この記事に関連する記事

介護保険サービスとは|利用条件や自己負担額・認定までの流れをイラスト付きで解説

民間介護保険とは|加入のメリット・デメリットからタイミング・必要性まで解説

介護保険料を支払い始める年齢は?いつから使えるかや第一号・第二号の納付額まで紹介

生活保護でも介護保険は使えるの?保険料の納付義務や介護扶助まで全て紹介

全国の老人ホーム・介護施設・高齢者住宅を探す

介護施設の種類
介護施設の比較
介護施設の費用

上に戻る 上に戻る