グループホームの人員基準|介護職員の人数や常勤管理者の人員配置・注意点まで解説

この記事は専門家に監修されています

介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

「グループホームの職員はどのように配置されているの?」

「介護職員の人員配置について詳しく知りたい!」

このようなお悩みをお持ちの方はいらっしゃいませんか?

グループホームは認知症を持つ高齢者の方に特化した介護施設です。

今回は、グループホームの特徴や人員配置、介護職員の体制の現状などについて詳しく解説します。

この記事を読めば、グループホームの人員配置について理解することができるでしょう。

グループホームの人員基準についてざっくり説明すると
  • グループホームには介護職員・計画作成担当者・管理者・代表者がそれぞれ必要数配置されている
  • 介護職員は利用者3人に対して職員1人以上と定められているが、実際はそれよりも職員が少ない場合が多い
  • 施設によってサービスの質、内容、人員配置が異なる
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そもそもグループホームって?

グループホームとは、認知症を持つ高齢者の方を専門に受け入れる小規模介護施設です。地域密着型サービスの一つで、要介護認定を受けた高齢者の方が、住み慣れた地域で生活を継続できるようなサービスを提供しています。

利用者はユニットと呼ばれる少人数のグループに分かれ、家事などの役割を分担しながら共同生活を行います。1ユニットの最大人数は9人です。

グループホームの運営主体となっているのは民間企業やNPO法人等です

そのため、社会福祉法人や医療法人が運営するように定められている特別養護老人ホームや介護老人保健施設などと異なり、比較的容易に開設することができます。

グループホームは、利用者の自立支援を重視し、家庭的な雰囲気の中で個々の利用者の個別ニーズに合わせたケアや生活支援を行います。

また、地域のボランティアや地域資源との連携を図りながら、利用者の社会参加や交流を促すことも重要な目標とされています。

定員・施設基準

グループホームの定員と施設基準について簡単に説明します。

グループホームでは5~9人を一つのユニットとして共同生活を行います。一つの事業所に設置できるのは3ユニット(最大27人)が限度です。

また、住居には居室・居間・食堂・台所・浴室・消火設備・災害時に備えた設備の設置が必要となります。

個室の定員は原則1人です。ただし、夫婦での入居や利用者にとって必要だと判断された場合には2人以上の入居が認められます。居室の面積にも基準があり、1部屋当たりの床面積は7.43㎡以上と定められています。

その他、利用者が家族や地域住民と交流を持つ機会が確保できる地域に施設を建てる必要があるなど、立地に関する基準も設けられています。

認知症の高齢者が対象

グループホームを利用するための条件は以下の5つです。

  1. 要支援2または要介護1以上の認定を受けている65歳以上の高齢者の方
  2. 若年性認知症、もしくは初老期認知症との診断を受けた、要支援2または要介護1以上の認定を受けている65歳未満の方
  3. 医師から認知症の診断を受けた方
  4. 施設と同じ市区町村に住民票をお持ちの方
  5. 集団生活を営むことに支障のない方

グループホームは認知症を持つ高齢者の方に特化した介護施設です。そのため、入居するためには認知症の診断書と要支援・要介護の認定が必要となります

グループホームの人員基準

グループホームでは24時間体制でスタッフが配置されています。この見出しではグループホームに配置されている介護職員・計画作成担当者・管理者・代表者のそれぞれの人員基準について詳しく解説していきます。

介護職員の人員配置について

グループホームでは利用者3人に対して1人以上の介護職員の配置が定められています。ただし、日中と夜間では定められているスタッフの人数が異なるため、24時間常に3:1以上の比率でスタッフが確保されているわけではありません

介護職員の人員配置は、利用者の状態やケアの必要性に応じて検討されます。特に高齢者や重度の介護が必要な利用者の場合は、より多くの介護職員が配置されることがあります。

しかし、介護職員の数や配置は限られた予算やリソースによって制約される場合もあり、適切なバランスを見つけることが求められます。

また、介護職員が複数在籍している場合、1人以上が常勤でなければなりません。介護職員の人員配置に関しては以下の大見出しで詳しく解説していきます。

計画作成担当者の人員配置について

計画作成担当者とは、利用者一人一人に合わせたケアプランを作成するスタッフのことで、グループホーム内におけるケアマネージャーの役割を担います。

計画作成担当者は事業所ごとに1人以上の配置が定められています。

計画作成担当者として配置されるには、「実務者研修基礎課程または認知症介護実践者研修を修了していること」、「専らその職務に従事する者であること」など、所定の要件を満たさなければなりません。また、計画作成担当者のうち1人以上は介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格を保有している必要があります。

管理者の人員配置について

管理者は、スタッフの人事・労務管理・経営・収支管理・運営管理などの管理業務を行います。さらに、自ら現場に入ることもあるため、介護の知識や経験も必要です。

ユニットごとに常勤の管理者が配置されます。管理者には以下の要件が求められます。

  • 特別養護老人ホームや介護老人保健施設などで3年以上従事した経験がある
  • 厚生労働省が規定する管理者研修を修了している

前述したように、管理者自らが現場に入る場合もあります。そのため、管理者は指導的立場としてスタッフの見本となるよう、実務経験や認知症高齢者の介護経験を必要とします。

なお、事業所の管理に支障をきたさない場合に限り、他の職種との兼任も可能です。

代表者の人員配置について

管理者がユニットごとの管理を行うのに対し、代表者はグループホーム全体を管理します。事業所の代表者として認められるためには以下の要件を満たす必要があります。

  • 介護施設で認知症高齢者介護に従事した経験を持つこと、もしくは保険・医療・福祉サービスの提供を行う事業所の経営に携わった経験があること
  • 厚生労働省が定める認知症対応型サービス事業開設者研修を修了していること

このように、代表者となるためには、管理者同様現場での経験及び知識が必要です。

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介護職員の人員配置の基準について

グループホームにおける介護職員の人員配置について、厚生労働省が定める「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」をまとめると以下の内容となります。

  • ユニット(共同生活住居)ごとに介護職員を配置する
  • 「日中の時間帯」は、常勤換算方法で利用者3人に対し介護職員1人の割合で配置する
  • 夜間及び深夜の時間帯を通いて介護職員を1人以上配置する

また、「日中の時間帯に介護職員を利用者3人に対し介護職員1人の割合で配置」について、グループホームの運営基準に対する解釈通知を要約すると、以下の通りになります。

  • 日中・夜間・深夜の時間帯は事業所ごとの生活サイクルに応じて定めること
  • 「日中の時間帯」において出勤している介護職員の勤務時間の合計が24時間以上になること
  • 「日中の時間帯」において常に介護職員が1人以上確保されていること

参考:厚生労働省「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」

これを見ると、「入居者3:職員1」という割合は、1日あたりの人員配置が基準となっていることが分かります。そのため、実際に日中に配置している人員は「3:1」ではなく、「9:2」となっている施設が多いのが現状です

例として、「日中の時間帯」が6時~21時の1ユニット9人のグループホームの場合を見てみましょう。このグループホームでは、数名の介護職員の日中勤務時間の合計が24時間に設定していると仮定します。

ことのき、利用者の時間が15×9=135時間に対して介護職員の提供できる時間は24時間しかないため、実質的には5.6:1の割合となってしまうのです。

グループホームの人員基準の落とし穴

これまでグループホームの人員配置について解説してきました。この見出しでは、グループホームの人員基準の落とし穴について見ていきましょう。

介護職員は常勤でない場合もある

グループホームの人員配置の基準として、利用者3人に対して介護職員を1人以上配置することが定められています。そのうち、1人以上が常勤でなければなりません。

また、常勤の介護職員が1人以上いる場合はパートやアルバイトの職員の起用が認められています。そのため、介護職員は必ずしも常勤ではないということを理解しておきましょう。

夜間などには介護職員の人数が減る場合もある

前述したように、グループホームでは利用者3人に対して介護職員を1人以上配置しなければなりません。ただし、この「3:1」という利用者と介護職員の比は日中のみの適用であることに注意しましょう。

時間帯によって人員配置の基準は異なり、夜間及び深夜の時間帯では1人以上の介護職員を配置すれば良いとされています。

そのため、夜間や深夜の時間帯には、グループホーム内の介護職員の人数が減少することがあります。

そのため、施設によっては手薄になる時間帯があるということを理解しておかなければなりません。

日中の時間でも3:1を超えない場合もある

グループホームでは、日中の時間帯は利用者と職員が3:1になるような人員配置が定められています。ただし、先の見出しでも解説したように、この比は「1日あたりの人員配置」が基準となります。

そのため、実際は常に3:1の割合で職員が配置されているわけではなく、時間帯によっては十分な人員が確保できていない場合もあります

施設によってサービスや人員は大きく変わる

グループホームの人員配置に関しては、共通の基準が設けられていますが、実際にどれほどの人員を確保しているのかは施設によって異なります。

施設によっては、人員基準を超える豊富な人材を確保している場合もあります。そして、人員の確保が十分な施設は、その分質の高いサービスを受けることが可能です

また、十分な人員が確保されている施設では、介護職員一人一人にかかる負担も少なくなります

このように、施設の人員体制によってサービスの質や量が大きく変動する可能性があるため、事前にしっかりと施設基準を確認しておくことが大切です。

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グループホームの人員基準についてまとめ

グループホームの人員基準についてまとめ
  • グループホームに配置される人員の基準は決まっているが、実際の人員体制やサービスの質などは施設によって異なる
  • 施設によっては介護職員が十分に確保できていない時間帯が存在する
  • 人員の確保状況はサービスの質や内容にも大きく影響するため、事前確認が必要

グループホームでは認知症状態の高齢者が生活を営んんでいます。

運営する事業所には、地域密着型サービスとして地域包括支援センターや事業所同士、地域などと連携することで、利用者とその家族の暮らしを支えることが求められています。

人員配置に関しては、どの施設にも共通する基準が設けられていますが、実際は施設による違いが大きいのが現状です。施設選びの際は、人員の確保の仕方やサービスの内容など、気になる点について事前にしっかりと確認するようにしましょう。

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この記事は専門家に監修されています

介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

株式会社学研ココファン品質管理本部マネジャー。介護支援専門員、介護福祉士。2011年学研ココファンに入社。ケアマネジャー、事業所長を経て東京、神奈川等複数のエリアでブロック長としてマネジメントに従事。2021年より現職。

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