50代未経験でも介護職に転職できる?仕事内容から成功のコツまで徹底解説
更新日時 2023/08/07
「50代未経験でも介護士に転職できるの?」
「介護士の仕事は実際どんなこと?」
このように50代未経験で介護士への転職を考えているものの、未経験で本当に大丈夫かと悩んでいる方も多いでしょう。
介護士は他の職種からの転職が多い職種ですが、50代で未経験となると注意すべき点があるのも事実です。
この記事では、50代未経験で介護士へ転職できるかについて、仕事内容、資格の要否や給与、転職成功のポイント・注意点などを含めて徹底的に解説します。この記事をご覧になれば、50代でも介護士に自信を持って転職できることがわかるでしょう。
- 介護業界は人材不足で、50代での転職は珍しくない
- 50代は人生経験豊富で、利用者との年齢が近く話しやすいなど、転職に有利なことも多い
- 介護士の仕事内容は、身体介助と生活援助がメインで、正社員・派遣社員など、いろいろな働き方がある
50代介護士の転職事情
最初に50代介護士の転職事情を解説します。
一般に50代での転職は遅いとされています。しかし、このことは介護士の場合にも充て充てはまるのでしょうか。
介護職なら50代でも転職は珍しくない
介護職の場合は50代での転職は決して珍しいことではありません。介護業界が人手不足であることがその大きな要因です。
公益財団法人介護労働安定センターの「令和3年度介護労働実態調査」によると、介護士の平均年齢は47.3歳とかなりの高年齢です。50歳以上で働いている人は4割以上おり、そのうち50代の人は全体の21.8%を占めます。
出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和3年度介護労働実態調査」
同年代の方が多く、同僚や先輩とも馴染みやすく働きやすい職場環境なのです。50歳からでも十分活躍できます。
しかも、転職後も長く働き続けることが可能です。50代での転職は、体力的に問題がなければ、最後まで働く勤務先と考えて良いでしょう。
介護業界は常に人手不足である
介護業界は常に人手不足の状況です。しかも、少子高齢化がどんどん進んでおり、人手不足の状況はさらに厳しくなると見込まれています。
65歳以上の高齢者人口は、2021年に3640万人を数え、総人口に占める割合は29.1%と過去最高になりました。高齢化は今後もさらに進み、2030年には人口の3分の1を高齢者が占めると見込まれています。
このような中、介護利用者が年々増えていくことはほぼ確実で、介護職に対する需要はますます高まるものと見込まれています。このため、経験・資格・年齢を問わず、働き手を募集している介護施設が多いのです。
今までの人生経験を生かしやすい
介護は今までの人生経験を生かしやすい仕事です。介護の仕事では、人と気持ちよく触れ合うことができる人間力・対応力が求められます。介護が必要な方やご家族の気持ちをきちんと理解すること、職場の同僚や関連の職場で働く方とのコミュニケ―ション力・意思疎通が必要です。
また、洞察力や忍耐力、倫理観なども重要な要素となります。経験から得た知識や人間性をもとに患者やご家族に寄り添い、心のケアやサポートを提供することができます。
そのような社会経験・人間力は、若年者にはなかなか期待し難いものです。しかし、50代の方なら、培ってきた人生経験を確実に生かすことができます。採用側にとっても、即戦力として期待できる魅力のある存在なのです。
50代でも遅くない?介護士転職に有利な理由
ここでは、50代でも遅くはないと言える、介護士転職に有利な理由を解説します。
介護業界は人手不足
介護士への転職が50代でも遅くなく有利と言える理由は、何よりも人手不足です。
繰り返しますが、日本では超高齢化が進んでいます。65歳以上だけの世帯は、今後も増え続けます。それだけでなく、75歳以上の高齢者が、2055年には全人口の25%を超えると見込まれているのです。
その結果、介護が必要な認知症高齢者も大幅に増加するものと見込まれています。ですから、介護士の転職市場は売り手市場が続き、転職しやすい状況は今後も変わらないと見込まれているのです。
要介護者の気持ちに寄り添ったきめ細かな対応が求められる介護の仕事は、AI導入がいくら進んでも、人の手が欠かせないのです。
未経験者でも挑戦しやすい
介護の仕事は、50代未経験者でも挑戦しやすいことも、大きな理由です。一般的に、50代にもなると未経験職種への転職は厳しいものです。しかし、介護業界に限ってみると、状況は違います。
令和2年度の「介護労働者の就業実態と就業意識調査結果報告書(公益財団法人介護労働安定センター)」によると、前職があった人75.7%のうち、介護関係の職歴があった人は32.4%にすぎません。つまり、介護職に就いた人のうち介護経験者は約25%で、7割以上が未経験者です。
多くの事業所では、未経験者向けの研修をしっかり行っており、介護職員初任者研修などの資格取得も支援していますので安心です。
前職の経験を生かせる
介護の仕事は幅広いものです。ですから、前職が介護関係の仕事でなくても、前職の経験を生かすことができます。
たとえば、顧客対応がメインの仕事であった方は、仕事を通じて培ったコミュニケーション能力を活かせます。介護業務では相手の気持ちを思いやり意志疎通を図ることが何よりも大事なのです。また、前職が運転手だった方は、デイサービスなどでの自宅から介護施設への利用者の送迎業務に適任です。
他にも、高齢者向けのレクリエーションの企画・開催などは、音楽やスポーツなど様々な仕事の経験や特技を活用できます。
利用者との年齢が近く話しやすい
利用者と年齢が近く話しやすいことも有利な点です。介護サービスの利用者は、高齢者の中でも年配の80代前後の方が多数います。
自分の親と同年代の方も多いので、相手の立場や気持ちを考えながら、思いやりを持って接することができるでしょう。利用者にしてみても、若い担当者よりも年齢が近く、自分の気持ちを話しやすいと感じてくれるはずです。
お互いに話しやすい環境を作れることは、介護をスムーズに進める上でとても大切です。
利用者との共感や信頼を築くことで、より良い介護サービスを提供することができるでしょう。
人生経験が豊富
50代の方は、人生経験が豊富です。その経験を介護の現場で活かしてもらうことは、介護施設の運営者にとって、歓迎すべきことです。
若手職員は、高齢の利用者とのコミュニケーションの取り方や臨機応変な対応力が備わっていないことも少なくありません。介護未経験でも人生経験が豊富な方が職場にいれば、若い職員のお手本となり、良き相談相手にもなります。
また、若手職員には安心して任せられない仕事も、50代の方なら安心という場面も少なからずあるでしょう。50代を採用することで施設運営がスムーズになり、若手の人材育成にもつながることが期待されるのです。
60才を過ぎても働ける可能性が高い
介護士は、60歳を過ぎても働ける可能性が高い仕事です。他の業界の定年年齢は60~65歳前後で、その後の雇用はなかなか厳しいのが現状です。
これに対して、介護業界は常に人手不足の状況にあり、定年が遅い傾向にあります。さらに、定年延長あるいは嘱託などとしての再雇用制度により、定年後も勤務できる職場も結構あります。
しかも、その場合の給料や勤務条件が定年前と同じような可能性も高いのです。60代だけでなく70代の介護求人も増えているのが介護業界の現状です。
この介護業界の現状は、年齢に関係なく長期的な雇用と安定したキャリアを築くことができる可能性を提供しています。
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50代介護職に求められる要素
介護職に転職したい50代に求められる要素について解説していきます。
自分の健康面に不安がない
まずは、自分自身が健康であることが必要です。介護の仕事はある程度体力が求められるため、この点に不安あるとマイナスになってしまいます。
一方で、普段から健康に気を配っていたり、体力づくりを行っているような方の場合は、歓迎される可能性があります。
自身の健康状態を確認し、介護の仕事に適した体力を維持することで、より充実したキャリアを築くことができます。
人当たりが良い
採用担当者は経験や能力だけでなく、その人の人柄も重視しています。
特に、人との関わりが非常に多い介護職の場合は、重要度の高い要素だと言えるでしょう。
年長者であることから、相手の気持ちを慮った上での円滑なコミュニケーション能力が求められます。
また、当然若い職員の方もいますので、こういった方々と仲良くできそうであるかも重要です。
柔軟に働くことができる
経験豊富であることが魅力的な50代ですが、一方で過去の経験・ルールに囚われず柔軟に働けるかどうかもポイントです。
今までの経験を重視しすぎて、自分のこだわりが形成されてしまうと、新しい職場に順応できなくなってしまうかもしれません。
そのため、経験を活かすことに加えて、柔軟さや素直さも持ち合わせている方の方が高評価です。
経験と柔軟性をバランスよく発揮することで、より多様な職場で活躍することができます。
介護士の仕事内容を徹底解説
ここでは、介護士の仕事内容を徹底解説します。
メインの仕事
メインの仕事は、身の回りのことを自分でするのが困難な方のサポートで、身体介助と生活援助があります。
身体介助は、以下のような身体に触れる介護を指します。
- 食事介助:誤嚥に注意しながら食事のサポートをします。食後の口腔ケアも仕事です。
- 排泄介助:トイレへの移動、おむつ交換など排せつ全般の介助をします。
- 入浴介助:入浴の準備、服の脱ぎ着、身体の洗浄・洗髪などを手伝います。
- 更衣介助:自分で体を動かせない方の着替えのサポーです。
- 移乗介助:歩行や車いすでの移動も介助します。
生活援助は、以下のような日常生活のサポートを指します。
- 食事:調理・配膳・片づけまでを行います。
- 買い物:日常生活に必要な買い物を代行します。
- 掃除:居室の掃除やゴミ出しなどです。
- 洗濯:衣類などを洗濯して干し、取り込んで収納します。
介護業界の働き方
介護業界での働き方は、正社員だけでなく、パート・アルバイト、契約社員、派遣社員など、いろいろなパターンがあります。
勤務時間は、主に日中勤務ですが、早朝・深夜になることもあります。24時間介護が必要な施設では、2交代制や3交代制の交代勤務が一般的です。
介護施設の種類・事業内容などによって、たとえば、次のように異なります。
- 訪問介護・デイサービス:日勤がほとんどの比較的規則正しい働き方
- 入居型施設:見守り・巡回や緊急時対応のための夜勤もある
正社員であれば、その施設が行っているすべての介護業務を経験できます。一方、パート・アルバイトや契約社員・派遣社員の場合は、決められたパターンでの働き方になることが多いでしょう。
平均年齢
新規求職登録者の年齢階級別推移
年齢階級 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 |
---|---|---|---|
20-29歳 | 15.4% | 13.3% | 13.8% |
30-39歳 | 17.8% | 17.2% | 15.6% |
40-49歳 | 27.1% | 27.2% | 26.1% |
50-59歳 | 24.0% | 26.0% | 26.8% |
60-69歳 | 11.5% | 12.4% | 13.2% |
70-79歳 | 1.9% | 2.4% | 2.5% |
上の表は、2019年度から2021年度までに福祉人材センター・バンクに新規登録した求職者の年齢階級別の割合と平均年齢の推移を示したものです。年代別では、2019・2020年度は40代が最も多く、2021年度50代が最も多くはなっています。
年齢階級別の推移をみると、40代以降の中高年齢層の増加が顕著です。特に50代の割合は、2019年度の24.0%、2020年度の26%から、2020年度には26.8%と大きく伸びています。また、60代以降の高齢層の増加も目立ちます。
平均年齢は、2019年度の44.1歳から、ほぼ1.5歳高くなり、2021年度は45.6歳です。
また、介護職員の状況を見ると全体の約78%が女性です。特に訪問介護員は女性が86%と、圧倒的な割合になっています。
給与
厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、令和2年度の介護職(常勤)の平均給与額は、31万6,610円でした。前年度と比べると、7,380円上がっています。
経験年数1年目の平均給与額は27万7,350円で、5年目で30万9,610円です。勤務年数が長くなるにつれて増えています。転職して4,5年間で月収30万円に届くようです。
ちなみに、50歳から働き始めて65歳で定年退職になるとすると、15年間で5,698万円余の収入になります。
平均給与額315,850円×12ヶ月×勤続年数15年=56,989,800円
以下では、介護職の資格・職種別の平均年収額を紹介します。
介護職員
- 平均年収:約310万円
- 必要な資格:なし(ただし、身体介護を行う際は介護の国家資格が必要)
介護職員は、介護を必要とする方に必要なケアや生活全般の支援を行う職員です。必ずしも資格を保有している必要はありませんが、介護に関する基本的な知識が求められます。
未経験者でも3年以上の勤務で資格取得可能なので、国家資格を取得される方は多いようです。
介護助手
- 平均年収:約280万円
- 必要な資格:無資格・未経験でも可
介護助手は、介護職員などの専門職が介護業務に専念できるようにサポートします。利用者の身体に直接触れる身体介助を行うことはありません。
働きながら初任者研修などの資格を取得して基礎知識を備えることが望ましいです。
訪問介護員
- 平均年収:約310万円
- 必要な資格:介護職員初任者研修の修了
訪問介護員は、介護保険法に基づき介護が必要な利用者の自宅を訪問して、生活援助・介護をします。一般に、ホームヘルパーと呼ばれている専門職です。
ケアマネージャー
- 平均年収:約380万円
- 必要な資格:介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、介護支援専門員実務研修を修了すること
ケアマネージャーは、介護支援を必要とする方が自立した生活を送れるようにサポートします。介護保険サービスを利用する際のケアプランを作成します。正式名称は、介護支援専門員です。
ケアマネージャーの年収は?他職種と比べ安いのかや収入アップの方法・将来性まで解説
生活相談員
- 平均年収:約380万円
- 必要な資格:社会福祉士・精神保健福祉士・社会福祉主事任用資格があれば認められる。都道府県によって異なり、ケアマネージャーなども可の場合もある
生活相談員は、介護福祉施設の利用者やその家族との、提供するサービス内容の相談、地域団体などとの連携・調整が役割です。ソーシャルワーカーとも呼ばれます。
生活相談員についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
生活相談員とケアマネの違いは?仕事内容・給料の違いやキャリアアップのコツを解説
介護職への転職で考えられるデメリット
ここでは、介護職への転職で考えられるデメリットを紹介します。介護職への転職は、必ずしも良いことばかりではありません。デメリットもあるのです。以下で具体的に説明します。
介護職の給与は高くはない
まず、介護職の給与は決して高くないことが挙げられます。その原因として、介護職の給与が上限が決まっている介護報酬で賄われていることがあります。介護士が懸命に頑張っても、必ずしも個々の給与に反映できないのです。
この点については、国も、介護職員の処遇改善のための環境整備と賃金改善を目的とした処遇改善加算制度を設けるなど対策に取り組んでいます。
実際に、厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると常勤の介護職員の平均給与額は31万7,540円となり、前年から930円増えています。ちなみに、50代は、男性33万2,670円、女性31万5,760円です。
まだ高い水準とは言えませんが、改善努力は続けられています。
肉体的にハードな面もある
次に、肉体的にハードな面もあることです。介護の仕事は、入浴や排泄の補助などがあり、しっかりとした体力も必要です。特に高齢者の転倒防止などへの注意が必要で、慎重にお世話をしなければなりません。
また、少人数で行う夜勤などの際は、緊急時に自分ひとりで決断を迫られることもあります。精神的にも大きな負担となることもあるのです。
特に要介護認定を受けている利用者が多い施設では、かなりの体力を使います。決して楽な仕事ではありませんが、最近は、リフト設備の設置や介護用ロボットの導入などにより状況は改善されつつあります。
職場によっては生活リズムが乱れる
職場によっては生活リズムが乱れることもあります。介護の仕事は、内容も幅広く、勤務時間も多様なためです。日中だけの介護もあれば、夜間だけの介護、24時間介護など、利用者のニーズに応じて勤務時間は変わるのです。
実際の働き方は、転職先の施設によって異なります。たとえば、担当職員の人数や利用者数によって夜勤の頻度や回数が異なることがあるのです。
人手不足の業界ですので、必ずしも自分の希望どおりのシフトになるとは限りません。そのため、生活リズムが乱れ、場合によっては、身体への影響が出てくることがあるかもしれません。
対人関係によるストレス
対人関係によるストレスも大きなデメリットになりかねません。介護職に限ったことではありませんが、職場内の人間関係や利用者との関係は、仕事をスムーズに進める上で重視しなければならないポイントです。
介護職の場合は、特に利用者の状況や接し方などについて情報共有が必要です。人間関係が上手くいっていないと仕事がやり難いだけでなく、ストレスを抱えてしまうことにもなりかねません。
それを避けるためにも、日頃から職員同士のコミュニケーションをとっておくことが大切です。対人関係に不安を感じやすい方は、転職前に職場見学をして雰囲気を直接確かめておくことをおすすめします。
【男女別】おすすめの仕事内容
ここでは男女別のおすすめの仕事内容を紹介します。
【女性におすすめ】グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
女性におすすめの介護の仕事は、グループホーム(認知症対応型共同生活介護)です。
グループホームは、基本的に住み慣れた街で老後を過ごしたいという希望を持つ認知症の高齢者を対象とした介護施設です。
利用者は、1グループ5〜9人で共同生活を送りながら、認知症のケア・介護を受ける地域密着型サービスになっています。
グループホームには、できる限り自立を図り、認知症の進行を遅らせるという目的もあります。ですから、料理や洗濯・掃除などの家事全般や買い物などを利用者とともに分担して行います。
家事のスキルを活かしやすい女性向きの仕事です。ただし、夜勤を伴う24時間体制になります。
【男性におすすめ】デイサービス(通所介護)
デイサービスは、入浴や食事、レクリエーションなどのサービスを日帰りで提供する通所介護です。介護施設に入るのではなく、自宅で自立した生活を送りたいという高齢者の希望に沿うものです。
日中は専門的な知識を持つスタッフがケアすることで、家族の介護負担の軽減にもなります。
また、お正月やお花見などの時期にイベントを開催することもよくあります。高齢者の孤独解消を図れるようにと、楽しく過ごせる環境にも配慮したサービスです。
デイサービスは朝から夕方までの日中勤務が基本で、通常、夜勤はありません。ただ、自宅と施設間の高齢者の送迎が必要です。その際の車の運転だけでなく、乗降介助もありますので、どちらかと言えば男性におすすめの仕事になります。
【男女ともにおすすめ】訪問介護
訪問介護は、住み慣れた自宅で暮らす希望を持つ高齢者向けの介護サービスです。
訪問介護員(ホームヘルパー)が、自宅に訪問して調理・洗濯・買い物などの生活援助や食事・口腔ケア・入浴・排泄などの身体介助を行います。通院時の乗降車の介助を行うこともあります。
対象者は、介護保険により訪問介護を受けることができる要介護1以上の認定を受けている方です。マンツーマンでの介護で、利用者に寄り添った介護ができます。夜間の排泄介助などに特化したサービスもあり、夜勤を伴うこともあります。
訪問介護員として働くためには、介護職員初任者研修または介護福祉士実務者研修を受けるか、介護福祉士試験に合格している必要があります。体力的な負担はそれほど大きくなく、男女どちらにもおすすめの仕事です。
50代介護職未経験からのキャリアプラン
ここでは、50代介護職未経験からのキャリアプランについて、1~3年目と4年目以降に分けて、解説します。
1~3年目
まず、転職後の最初の3年間は、ひたすら実務経験を積むことに集中する期間です。
実務経験を積み介護スキルを磨きながら、同時並行的に介護職員初任者研修あるいは介護福祉士実務者研修を取得することができれば、それに越したことはありません。
この2つの資格は、介護未経験でも取得可能です。特に実務者研修は、3年以上の実務経験とともに、国家資格である介護福祉士の受験資格となっているので、ぜひ取っておきたい資格です。
介護職員として長く働きたいなら、しっかりと実務経験を積み、国家資格である介護福祉士の資格取得を目指しましょう。そうすれば、その後のさらなるキャリアアップが期待できます。
4年目以降
介護転職後4年目以降は、介護職員としてのキャリアの幅を広げ、付加価値をつけることを目指しましょう。
3年以上の実務経験を積み介護福祉士資格を取得した後は、公的資格であるケアマネージャー(介護支援専門員)や民間資格の認定介護福祉士、国家資格の社会福祉士などに挑戦してみるのもよいことです。
これらの資格があれば、選択肢の幅が広がり、さらなるキャリアアップにつなげられます。
また、これらの資格を取得していない場合でも、経験を積み重ねてスキルアップの努力を怠らなければ、その成果を活かして施設内でのキャリアアップも可能です。たとえば、施設の管理職などとして経営に携わることもできるのです。
キャリアプランについて他の例も知りたいという方はぜひこちらの記事をご覧ください。
介護職のキャリアアップ方法|経験年数や資格の有無に応じたキャリアパスモデルも紹介
介護職未経験者は転職前に資格を取るべき?
ここでは、未経験者の場合、転職前に介護に関する資格は必要なのか、という点について、資格の有無による影響と、取得しておけば転職が有利になる資格を解説します。
資格の有無による影響
介護職は人手不足で、未経験の初心者でも歓迎されるケースが多いことは事実です。そのため、転職の際には資格がなくても構わないと決めつけてしまう方もいるでしょう。
しかし、資格が必須でないとしても、資格があればそれに越したことはありません。資格を持っていることは、介護に関する確かな知識や技術を持っていることの証左です。採用側にしてみれば、即戦力として安心して採用できるのです。
ですから、資格があれば、より転職しやすくなります。それだけでなく、給与などの処遇面でも無資格者より優遇される可能性が高まります。資格を取っておくことは、間違いなくおすすめです。
取得すると有利な資格の種類
それでは、未経験者が転職前に取得しておけば転職が有利になる資格はどのようなものなのか、具体例を解説します。
介護職員初任者研修
未経験者が取得すべきおすすめ資格は、まず介護職員初任者研修です。介護に必要な基礎知識・スキルを1から学べる、まさに介護の初心者向けの入門的資格です。
決められたカリキュラムを修了して、修了試験に合格すれば取得できます。訪問介護士として働くことを希望するのであれば、必須の資格です。
実務者研修
実務者研修は、上記の介護職員初任者研修より、資格取得に必要な時間は多くなりますが、レベルの高い専門的な知識や技術を修得できます。
介護未経験でも、初任者研修を受けていなくても、受講可能です。実務者研修は、介護福祉士の受験要件にもなっています。いずれキャリアアップをしたいと考えている人は、実務者研修からスタートするのが近道でおすすめです。
介護福祉士
介護福祉士は、介護職の国家資格です。未経験で資格を取得するためには、実務経験3年以上で実務者研修修了が受験の要件です。
身体介助・生活援助などの介護業務に加え、家族や介護ヘルパーなどへの指導・助言も、介護福祉士の仕事になります。まさに介護現場のリーダー的存在です。
受験できるまでに期間が必要ですが、資格を取得すれば仕事の幅も広がります。介護のスペシャリストとして認められ、キャリアアップ・昇給の可能性が高まります。介護の仕事を長く続けるのであれば、取っておきたい資格です。
以上の3つの資格のほかにも、喀痰吸引等研修・介護予防指導士・精神保健福祉士・社会福祉主事人用資格なども介護業務に役立つ資格です。こちらも取得しておけば、キャリアアップが期待できます。
以下の記事では、他にも介護職において役に立つ資格を紹介しています。ぜひご覧ください。
介護資格の種類一覧|スキルアップのために取るべき資格などを徹底解説!
50代からでも転職を成功させるポイント
ここでは、50代からでも転職を成功させるポイントを紹介します。
50代の不利な点を克服するアピールを行う
まず、50代の不利な点を克服するアピールを行うことです。自分の強みのアピール自体大切ですが、そのアピールが、50代の人を採用することへの採用側の不安解消にもつながります。
採用側からすれば、体力面で優れ、将来性のある20代・30代に比べれば、50代の方の採用に躊躇するのはやむを得ないことです。
しかし、50代の方には、若年者にはない経験とスキルがあります。社会経験が豊富であるが故の落ち着きや、コミュニケーション能力、新たな環境への柔軟な対応力です。
転職活動を始める前に、自分が培ってきた経験やスキルの棚卸を行い、自分の強みを整理しておき、転職活動でしっかりアピールしましょう。
自分の譲れない条件と妥協点をはっきりさせる
次に、自分の譲れない条件と妥協点をはっきりさせることです。給与・年収などの本人の希望条件が相場より高過ぎることや、企業側の採用条件が厳しいこともあります。自分の希望通りにすべてが進むわけではないのです。
ですから、転職活動に当たっては、希望条件をすべて満たした転職は難しいことを前提にしておきましょう。自分の希望条件に優先順位をつけて、譲れる点と、譲れない一線、妥協点をあらかじめ確認しておくことが大事です。
その点がはっきりしていれば、年収や雇用形態などの譲歩が必要になった場合に、状況に応じて希望条件を緩和できます。弾力的対応により転職先の選択肢も広がり、スムーズな転職ができる可能性が高まります。
資格を習得する
資格を取得しておくこともおすすめです。介護士の応募資格には未経験者でも歓迎とされていることも多いです。しかし、そうはいっても資格があればそれに越したことはありません。
本人にとっても、介護についての知識がないまま無理をして自己流で介護をしてしまうと、腰を痛めてしまうリスクもあります。資格を持っていれば、初めての仕事も安心して取り組めます。
50代の介護初心者に特におすすめしたい資格は、「介護職員初任者研修」です。初心者研修では、先にご説明した通り介護業務を行うにあたって必要な知識と技術を基礎から身につけることができます。
早めに決断をする
早めに決断をすることも大事です。介護職への転職は年齢的な制約が比較的少ないとはいうものの、50代ともなるとそれほど安心してはいられません。
介護施設によっては、60最定年の施設もあります。そのような施設では、特に50代後半の場合、年齢だけで不採用になってしまうこともあるのです。
また、50代というのは、その後の人生どのように生きるかを考える分岐点とも言えます。転職先が決まらない状態で退職してしまい、転職活動を長引かせると、先行きへの不安からネガティブになりかねません。収入面での焦りなどで、転職を失敗してしまうリスクも出てきます。
ですから、転職を考えるのであれば、すぐに行動に移して早めに決断することがおすすめです。
職場の情報を収集する
最後に、転職先の職場情報を収集することです。介護の仕事は、介護施設によって、働き方や利用者との関わり方が大きく異なります。
たとえば、昼夜交代シフトで24時間介護を行う施設もあれば、デイサービスやホームヘルパーのように日中勤務だけの職場もあります。
ですから、自分がどのようなスタイルで介護の仕事をしたいのか、希望条件を整理しておくことが大切です。
その上で、転職希望先の事業所がどのようなサービスを行っているのか、働き方や職員数・利用者の状況についての情報を把握しましょう。
その際、全国の介護施設を検索できる厚生労働省の介護サービス情報公表システムの活用もおすすめです。
できれば、複数の事業所について情報収集をしっかり行い、比較検討して、希望条件に合う転職先を見つけましょう。決める前に施設見学をして、実態を自分の目で確認しておくことも必須です。
50代で転職する際に注意しておきたいこと
ここでは、50代で転職する際の注意点を解説します。
施設選びは慎重に
まず転職先の施設選びは慎重にすることです。介護の仕事は、肉体労働とも言えます。50代ともなると、いつの間にか体力が衰えてきており、思いのほかにきつい仕事になる場合もあるのです。
仕事のきつさを確認するためにも、職場見学をしておくことをおすすめします。同年代の方が多く働いていれば、何とか対応していけそうという見当がつきます。
実際に勤務してみると、事前に示された雇用条件と違うことあります。現場を見ておくことはその意味でも大切です。
また、介護未経験者の場合、教育体制が整っていないとしっかり研修を受けられないため、仕事がうまくいかないこともあります。
施設のルールや介護の仕事をきちんと理解できていないまま業務にあたると、利用者と思わぬトラブルに発展します。研修体制などの確認も必要です。
正社員にはこだわらない
次に、正社員にはこだわらないことも大事です。50代は定年までの期間が短く、正社員にこだわっていると転職活動がうまくいくとは限りません。
介護職で働くことが最優先なら、収入がある程度納得できれば、派遣などの非正規社員を目指すこともおすすめです。非正規だからといって、正社員より収入が格段に劣るとは限りません。
むしろ、最近は、非正規でも、給料が良く、福利厚生も充実している職場が増えています。また、非正規は週3日のような働き方もでき、充実したワークライフバランスが得られやすいです。
最初から正社員にならなくても、非正規で働き始めてから、正社員になることも可能です。正社員にこだわるのではなく、自分が希望する働き方や様々な条件を考えて、選択肢を広げましょう。
50代での介護転職を成功させる上でおすすめのサイト
ここでは、50代での介護転職を成功させる上でおすすめのサイト転職サイトを紹介します。転職サイトを利用すれば、給与などが好条件の求人や面接対策の方法など、有益な情報を入手できます。
介護業界は人手不足で、未経験50代も積極的に受け入れています。50代から介護士に転職することは珍しいことではありません。
人生経験豊富な50代だからこそ必要とされることもあるのです。
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「カイゴジョブ」は主に自分で転職活動を行うのに対し、「カイゴジョブエージェント」は担当エージェントのサポートがあることが違いです。
カイゴジョブエージェントは、各人に担当アドバイザーが付いて、希望を丁寧に聞いてくれます。給与や福利厚生などの条件面だけでなく、職場の雰囲気・相性なども考えてくれます。転職後に人間関係などで後悔する心配も少ないです。
カイゴジョブエージェントと姉妹ブランドのカイゴジョブ合わせて7万件以上の求人数があり、全国各地の求人情報も探せます。様々なニーズに沿った転職先を見つけることができます。経験豊富な担当者のきめこまめなサポートがあるカイゴエージェントは、介護未経験の初心者におすすめです。
項目 | 内容 |
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求人の数 | 70,000件以上 ※姉妹ブランドのカイゴジョブ含む |
対応エリア | 47都道府県 |
特徴 | 介護職特化の専任キャリアパートナーが入職まで全て無料サポート |
登録がおすすめの人 | 職場の雰囲気などの内部情報も知った上で転職したい人 都市部だけでなく全国各地の求人を見たい人 |
50代未経験で仕事を覚えられない時の対処法
50代介護未経験で、仕事をきちんと覚えられなかったらどうしよう、と危惧される方もいるでしょう。確かに、初めて経験する仕事・職場は戸惑いもあり、慣れるまで大変なこともあります。
大事なことは、わからないことや疑問に思うことがあったらすぐ聞くことです。「50代にもなって」と、ためらってはいけません。
相手が若くても、躊躇せずに聞きましょう。最初は、わからないことがあるのは当然です。聞くことにより、職場での人間関係を良好にできる可能性もあります。
また、すぐ覚えられないのであれば、とりあえずメモを取って復習し、その都度確認することです。介護の仕事は、きちんとした手順や細かい対応が欠かせません。メモを見返して間違いのない仕事を心がけましょう。
50代未経験での介護士への転職についてまとめ
- 転職成功のポイントは、譲れない条件の明確化・資格取得・早めの決断・情報収集など
- 注意点は、慎重な施設選び・正社員にこだわらないこと
- 転職をスムーズに進めるために、転職サイトの活用もおすすめ
50代未経験で介護士へ転職できるかについて、仕事内容から、給与、転職成功のポイント・注意点などを含めて解説しました。
少子化高齢化がさらに進む中、介護業界へのニーズはますます高まっています。50代未経験から介護業界で活躍することは十分可能です。
この記事を参考にしていただき、自信を持って介護士の仕事に挑戦してみてください。