看護師から介護士への転職|メリットやデメリット・介護福祉士の資格取得方法まで解説
「看護師から介護士になるのってどのくらい難しいの?」
「看護師から介護士に転職したいけれど、二つの仕事の違いが知りたい!」
介護士を目指す看護師の方は、真っ先に思い浮かぶ疑問ではないでしょうか?
看護師と介護士は似て非なる職業で具体的に何が違うのかなど、不明な点も多いかと思います。
この記事では看護師から介護士への転職をスムーズに進めるための情報を、わかりやすく解説していきます。
ぜひこの記事を参考にして、介護士がどのような仕事で、看護師とどう違うのかをきちんと理解して転職をスムーズに進めましょう!
「看護師」と「介護士」ではできることが違う
転職することによるメリットとデメリットがある
転職する方法は3パターン
介護福祉士とは
介護福祉士、「社会福祉士及び介護福祉士法」にもとづく国家資格で、介護を必要とする方々の様々な生活行為・生活動作を支援し、支える知識と技術を有する介護の専門資格です。
介護施設やグループホーム、デイサービス、居宅介護などの場所で、利用者の自立支援や生活支援、リハビリテーションなどを担当します。
介護士は資格がなくても名乗れますが、介護福祉士は資格を取得していないと名乗れません。
介護業界で働く人の資格には「介護職員初任者研修」、「介護福祉士実務者研修」、「介護福祉士」、「介護支援専門員(ケアマネージャー)」があり、そのうち国家資格なのは介護福祉士のみです。
看護師と介護福祉士の違い
介護士と看護師はお互い連携することもあり共通する部分がたくさんありますが、この二つには違いもあります。
ここでは介護士と看護師の違いを2つ紹介します。
業務内容の違い
まず、看護師の業務は医療の補助を行う仕事であり、医者の指示のもと、注射や点滴の医療行為をすることができます。
一方、介護士にはそのような医療ケアはすることができません。
介護福祉士は介護の仕事のエキスパートであり、利用者が自立して生活するための支援を行う仕事です。
看護師が医療処置を行う専門職に対し、介護福祉士は利用者の日常生活を支援する専門職であり、高齢者や障害者のサポートが主な業務となります。
資格の違い
看護師と介護福祉士はどちらも国家資格です。
看護師は保健師助産師看護師法により規定される資格であり、介護福祉士は社会福祉士及び介護福祉士法により規定される資格です。
看護師の中でも正看護師と准看護師に分かれますが、正看護師が国家資格です。
また、看護師は資格がなければ看護師の仕事をすることはできません。
介護福祉士も資格がなければ名乗ることはできませんが、介護職員として働くことはできます。
違いはあるにせよ、どちらも重要な役割を担う職業であり、医療・介護の分野で必要な専門スキルと資格の取得が求められます。
看護師が介護福祉士として再就職するメリット
看護師が介護福祉士になる上でのメリットとデメリットを以下でまとめます。
再就職するか悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
培ってきた医療知識が活かせる
一番のメリットは看護師として培ってきた医療知識が活かせることです。
看護師の専門知識と介護福祉士としての専門知識を併せ持つことになるため、より幅広い分野でのスキル獲得にもなります。
看護師時代の経験をもとに利用者の異変に直ちに気づくことができることや、介護施設に在職する看護師とうまく連携できることなどがメリットとして挙げられます。
ダブルライセンスで就職先の幅が広がる
看護師資格を取得している介護福祉士は就職先の幅が広がります。
現在介護施設では人手不足が深刻な問題になっており1人で幅広い仕事をこなせる人材はとても重宝されます。
介護施設の中には法律によって、看護師と介護職員の両方を配置しなければならないという「配置基準」が設けられている施設もあり、1人で2つの基準を満たせるダブルライセンスを持つ方は採用されやすい傾向にあります。
介護福祉士になることで訪問介護事業所のサービス管理責任者や、ケアマネージャーなどにキャリアアップできます。
利用者に寄り添い支えることが可能になる
介護職員として利用者の日常生活を手助けすることで利用者に寄り添い支えることができ、信頼関係も築くことができます。
看護師として働いているときの忙しい雰囲気はなく、利用者一人一人と向き合い、細かいところまで配慮することができます。
更には、看護師の経験から、より多角的な視点で利用者のケアを行えるため、利用者のニーズに適切に応えることができるでしょう。
アットホームな職場で楽しく働ける
介護施設には病院にあるような殺伐とした空気はなく、和やかな雰囲気で利用者と楽しみながら働くことができます。
グループホームなどの介護施設には、ご利用者と介護職員が一緒になって家事を行う家庭的な雰囲気があります。
利用者との距離感も病院と比べて近く、より良い精神状態で仕事に取り組めるでしょう。
介護教員になれる
介護福祉士になると介護教員にもなることができます。
介護教員とは、福祉系の科目を専門的に学ぶ生徒を教える教員のことです。
介護教員は主に「介護福祉養成校の教員」「実務者研修や介護職員初任者研修の講師」「福祉系高校の教員」で学生を教えることができます。
介護福祉士の平均年収が400万円であるのに対して、養成校の教員は約400万円、福祉系高校の教員となると平均年収は東京都で747万円と後者に関しては大きな開きがあります。
これまで培った経験が活かせるだけでなく、給与アップも見込める資格です。
※介護福祉士の年収は、令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果による介護福祉士の平均月収を12倍して算出。
看護師が介護士として再就職するデメリット
給料が下がる可能性がある
平均給与は介護士のほうが看護師に比べて低いというのが現状です。
特に無資格であると資格手当がつかないため給与が下がる可能性は高いです。
厚生労働省の令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、介護施設で働く看護師(常勤)の平均月給は約37万円、介護士(常勤)の平均月給は約31万円でした。
二者の平均月給には約6万円という少なくない差があります。
介護士として給与アップするには、経験年数を増やす、介護福祉士資格を取得する、役職に就くなどの方法があります。
体力的負担が大きい
身体介助には食事介助、入浴介助、排泄介助がありますが、利用者の体重を支える介助はある程度の体力が必要です。
介護度が高い利用者が多い施設や、利用者の数に対して介護スタッフの少ない施設では、体力的負担がどうしても大きくなってしまいます。
看護師から介護福祉士になるための資格取得の3つの方法
介護福祉士になるには介護福祉士国家試験に合格する必要があります。
試験を受けるには受験資格を満たさなければなりません。
以下で、看護師から介護福祉士になるためのルートを三つ紹介します。
実務経験ルート
介護業務に3年以上従事していて、実務者研修(最短1ヶ月程度)を受講し修了すると介護福祉士の受験資格が得られます。
この場合、実技試験は免除されますが、看護師としての実務経験は認められません。
また、正社員ではなく派遣で介護職員の実務経験を3年経験した場合も、「実務経験3年以上」の条件を満たすことができます。
看護師が働きながら介護福祉士を目指す場合にはオススメです。
養成施設ルート
介護福祉士養成施設を卒業すると受験資格が得られます。
介護福祉士養成施設には四年生大学、短期大学、専門学校などがあり、厚生労働大臣からの指定を受けています。
普通科の高校から卒業後、条件を満たすためにこれらの施設に通う期間は最短2年です。
また、福祉系大学、社会福祉士養成施設、保育士養成施設の卒業をしていれば、介護福祉士養成施設に通う期間は最短1年で条件を満たすことができます。
加えて「介護技術講習」を受講すると介護福祉士の実技試験は免除されます。
福祉系高校ルート
福祉系高校を卒業することで受験資格を得ることができます。
しかし、看護師はすでに高校を卒業していることから、現実的ではありません。
こちらのルートは入学した年によって細かな条件が異なり、平成21年以降に福祉系の高校に入学した場合は、卒業後に筆記試験に合格すると介護福祉士になれます(実技試験は免除されます)。
一方、平成20年以前に入学した場合は、卒業後に実技試験と筆記試験の両方を受験して合格するルートと、「介護技術講習」「介護過程」「介護過程III」のうちいずれかを受講したうえで筆記試験のみ受験して合格するルートがあります。
介護福祉士の国家試験の概要
介護福祉士の試験は、年1回全国で行われます。
試験には筆記試験と実技試験があります。
両方の試験が同日に行われるわけではなく、筆記試験の合格者のみが別日に行われる実技試験を受験する資格を得られます。
筆記試験は、5つの選択肢から1つを選択するマークシート方式です。
筆記試験・実技試験のどちらにも合格した後は介護福祉士としての登録手続きを必ず行いましょう。
登録を行わなければ、介護福祉士としての勤務はできません。
9000円分の収入印紙と登録手数料登録手数料3320円に加え、各種必要書類を「公益財団法人社会福祉復興・試験センター」に提出することで初めて登録証の交付を受けることができます。
出典:公益財団法人社会福祉復興・試験センター「資格登録(社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士)(2024年現在)
看護師が介護士を目指す際のポイント
看護師が介護士を目指す際に、押さえておくべきポイントを2つご紹介します。
過信せず素直な姿勢を持つ
介護経験があるからと言って、介護職を軽く見ないことや、自分の実力を過信しないことが大切です。
元看護士だから何でも知っているという態度は他の介護士に受け入れられません。
介護士には看護師には違う視点が必要であることを認め、学ぶ姿勢を持つことがとても重要です。
自分に合った職場を選ぶ
介護施設には入居型、デイサービス、在宅ケアなど様々な形態があります。
施設の種類によって、休日のとりやすさや夜勤の有無、ご利用者との距離感、身体介護の割合などが異なり、それに合わせて働き方も異なってきます。
介護士として長く働くには、自分に合った職場を選ぶことが大切です。
施設形態はもちろん、施設の理念や方針も確認し、自分の考えに合った職場を見つけましょう。
介護転職には介護支援専門員(ケアマネ)の道も
看護師から介護職に転職する際に、介護福祉士になるのではなく介護支援専門員(ケアマネ)になる選択肢もあります。
ここでは、介護支援専門員とはなにか、転職するメリットについて軽く紹介します。
詳しい情報に関しては、下の記事で紹介しているのでそちらの方を参考にしてください。
介護支援専門員(ケアマネ)とは
ケアマネジャーとは、介護が必要な人が介護を受けられるように、ケアプランの作成などを行う職業です。
介護保険のスペシャリストであり、介護サービス事業者との調整をする役割も担っています。
ケアマネージャーは、被介護者の状態や要求に基づいて、介護サービスの選定や調整を行い、必要なケアの提供を確保するために尽力します。
介護支援専門員(ケアマネ)のやりがい
ケアマネージャーは、適切な介護サービスを提供するためのケアプランの作成だけでなく、実際に介護サービスを提供することもあります。
要介護者や家族から感謝を伝えられる機会も多く、やりがいを感じやすい点は大きなメリットです。
また、自分が作成したケアプランが適切に実行され、その結果として利用者の健康状態が良くなったときも、やりがいを実感できるでしょう。
介護を必要としている方に寄り添い、不安や心配事に対応して最適なケアを行うことで、社会的に大切な役割を果たしていることを実感できるでしょう。
介護支援専門員(ケアマネ)の大変なところ
ケアマネージャーをはじめ、介護職に就いている方は給料や待遇が仕事の責任や重要性と見合っていないことがあります。収入面で不満を感じやすい点は、ケアマネの大変なところと言えるでしょう。
また、介護サービスの利用者と家族だけでなく、介護事業者や市区町村と各種調整を行う必要があります。要介護者の希望と制度上の折り合いを付ける必要があるため、精神的に疲れてしまうこともあるでしょう。
意見の食い違いを調整することは大変なので、心身が疲弊してしまうケアマネージャーも少なくありません。
介護士への転職でおすすめの転職サイト
看護師から介護士に転職し、自分に合った職場を探す上でおすすめのサイトを紹介します。
まずは転職活動のサポートが充実している「マイナビ転職」をおすすめします。他のサイトでも探したいという方には「レバウェル介護(旧きらケア)」や「カイゴジョブ」を利用すると良いでしょう。
マイナビ介護職
画像出典:マイナビ介護職公式サイト
認知度の高い介護職エージェント
20万件を超える求人
都市部の求人に強い
マイナビ介護職は、専任のアドバイザーに転職相談やキャリアアップの相談が可能な転職エージェントです。
看護師から介護士になる場合は、少し特殊なキャリアに感じられるかもしれませんが、専門のアドバイザーに相談すれば親身になって、あなたのキャリアを考えてくれるでしょう。
マイナビ介護職では、介護士へのキャリアを含めて多くの求人があるので、ぜひ一度相談してみてください。
介護ワーカー
※画像出典:介護ワーカー公式サイト
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画像出典:カイゴジョブ公式サイト
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看護師から介護士への転職まとめ
看護師と介護士では業務内容も資格も違う
看護師時代の医療知識が活かせたり、ダブルライセンスにより求人が増えるなどのメリットがある
介護福祉士の受験資格を普通よりも早く得られる場合や実技試験が免除になる場合がある
介護職を軽くみたり、自分の実力を過信しないことが重要である
ここまで、看護師から介護士への転職について解説してきました。
看護師に加え、介護士の資格を取得することで仕事の幅は広がりますし、ダブルライセンスであることで給与アップも見込めます。
看護師として働いていた経験を生かして、受験資格を一般的な場合より早く獲得したり、実技試験が免除になったりするので比較的早く資格取得も可能です。
学習スケジュールをきちんと立て、過去問や頻出問題を研究すれば余裕を持って資格を取り、転職できるでしょう。
この記事があなたの看護師から介護士への転職の参考になれば幸いです!