【2024最新】介護業界の離職率は高い?実際のデータから介護職員の離職理由も徹底解説
更新日時 2023/09/18
「介護業界の離職率ってどのくらいなの?」
「もっといい待遇の職場に転職したいけど、どうすればいいんだろう・・・」
介護業界で働く方の中には、よりよい職場への転職を希望する方が少なくないでしょう。
そこで、この記事では、よりよい職場への転職をお考えの方へ、介護業界の離職率や介護職員が離職する理由などをご紹介します。
ぜひ、希望する職場への転職を目指しましょう!
- 2020年の介護業界の離職率は14.9%
- 介護業界の離職率は改善しつつある
- 介護職員が離職する理由は、不規則な勤務体制、人間関係、給与・待遇など
介護士の離職率は高い?
「介護士の離職率は高い」というイメージをお持ちの方もいるでしょう。実際のところはどうなのでしょうか。データを紹介しながら解説していきます。
介護士の離職率
公益財団法人介護労働安定センターによる「介護労働実態調査」(令和4年度)では、介護職(訪問介護員・介護職員)の離職率は、下表のように推移しています。
介護職の離職率は、平成19年度の21.6%をピークに、緩やかに下がっています。
上記の離職率のグラフは、訪問介護員・介護職員の2職種に関するもので、令和4年度の離職率は14.4%と、前年度プラス0.1%でした。
この2職種にサービス提供責任者を加えた3職種についての令和4年度の離職率調査でも、離職率は14.3%でした。
これらをまとめると、介護職の離職率は、近年減少してきていると言えます。
出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和4年度介護労働実態調査」
他の仕事との比較
ここでは、介護職の離職率と他業種の離職率を比較してみましょう。介護職の離職率と全業種の離職率を比べると、下のグラフのようになります。
出典:介護労働安定センター「介護労働実態調査」及び厚生労働省「雇用動向調査」
介護職の離職率は、2019年度・2022年度を除き、この10年で全産業の平均離職率を上回っています。
とは言え、2012年度には全産業の平均離職率との差が3.0ポイントあったのに対し、2022年度は全産業の離職率よりも0.6ポイント下回っています。
つまり、ここ10年で介護職の離職率は改善していると考えられるのです。
介護職員が離職する理由5選
ここからは、介護職員が離職する主な理由を5つ紹介します。
職場環境が不規則
介護職は、勤務体制が不規則である場合が多い仕事です。早番、日勤、遅番、夜勤をシフト制でこなさなければならず、生活リズムが崩れてしまいます。
このような不規則な生活を続けていることで、体力や精神面に負担がかかってしまい耐えられなくなったとの理由から、離職を選ぶ人もいます。
不規則な勤務は辛いと感じる方は、日勤のみの施設・事業所への転職を検討するのがよいでしょう。
職場の人間関係に悩み
介護職だけではなくどの職種にも言えることですが、職場の人間関係を理由に離職する人も多くいます。
介護職は、利用者さんや、一緒にチームを組んで介護をするスタッフとのコミュニケーションが必須になるため、人間関係を上手くこなせるかは重要です。
施設見学の際には、施設内のコミュニケーションが上手く取れているかチェックしておくことをおすすめします。
安い給与・待遇への不満
介護職は、給与が安く待遇もあまりよくない職業だというイメージを抱く方も多いでしょう。
しかし、介護職は無資格・未経験で入職し、低めの給与からのスタートとなる方も多いため、介護職全体の給与・待遇を平均すると低くなってしまうという事情も関係しています。
ただ、介護職は他業種に比べると、やはり給与や待遇面がよくないことは確かであり、給与や待遇面を理由に離職する人もいます。
結婚などを機にライフスタイルが変化
結婚・出産・子育て・家族の介護といったライフスタイルの変化により、介護職を辞める人もいます。
これらのライフスタイルに対し、支援制度が整っている施設・事業所はまだまだ少ないのが現状です。
介護職では特に体力が必要となるため、ライフスタイルの変化に対応しながら仕事をするのは難しく、退職に繋がってしまいます。
転職活動をする際には、ライフスタイルに合わせた支援制度が整っている職場かを調べることが大切です。
施設の経営方針と馴染めない
介護に対して自分の理想がある方は、職場独自の理念や介護方針と合わないため、ストレスを抱えてしまう人もいます。
例えば、自分は利用者さん一人ひとりに丁寧な介助をしたくとも、職場は利益が最優先であり丁寧な介助はしない方針であれば、日々悩みは尽きずストレスが溜まっていくでしょう。
その結果、どうしても職場の考え方に合わせることができず、退職を選んでしまうことになるのです。
【2024年版】介護職向けのおすすめ転職サイト20選|求人数・評判を基に徹底比較
介護業界の現在と今後
現在、日本は高齢化が進んでおり、介護業界が高齢化にどう対応するかは非常に重要です。
そこで、介護業界の現状と、今後の対策について紹介します。
人手不足
内閣府による令和5年度版「高齢社会白書」によると、65歳以上の人口は3,624万人となっています。
日本の全人口に対する65歳以上の割合を指す高齢化率は29.0%です。
参照:高齢社会白書
今後さらに高齢化が進む日本社会では、介護サービスの需要はますます増えていきます。
このため、介護業界は現在常に人手不足に悩まされています。
令和4年度「介護労働実態調査」では、介護事業所全体での人材の不足感は66.3%と高い水準です。
対応としての国の施策
介護職の「労力に見合った給料がもらえない」というイメージを払拭するため、国ではいくつかの施策を施しています。
介護福祉士等修学資金貸付制度
介護福祉士等修学資金貸付制度は、介護福祉士や社会福祉士を目指し養成施設で学ぶ方に対し、修学資金を無利子で貸付しています。
介護福祉士や社会福祉士として一定の期間勤務した場合、修学資金の返済は免除されます。
介護職員処遇改善加算
この制度は「キャリアパス要件 Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」「職場環境等要件」を満たした介護職員に給与が加算される厚生労働省の制度です。
最高額の「加算Ⅰ」は「キャリアパス要件 Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」全てと「職場環境等要件」を満たす職員が対象で、月額3万7千円が加算されます。
介護職員処遇改善加算については以下の記事で詳しく解説しています。
介護処遇改善手当とは?職員への支給額・分配方法や特定処遇改善加算についても解説
再就職準備金貸付事業
この制度は、厚生労働省の定める条件を満たし、かつ介護職に再就職したい方に対し、再就職の準備のために40万円以内の額を貸付するものです。
貸付を受けて介護職の業務に2年間従事すると、貸付分が全額免除されます。
離職率の高い職場の特徴
このトピックでは、離職率が高い職場の特徴をまとめました。
給料が他の施設と比べて高すぎる
給料が他の施設と比べて高すぎる場合は注意した方がよいと言えます。
給料を他の施設よりも高く設定している場合、職員の離職率が高く人手不足のために、給料を高く設定している可能性があります。
相場の額よりも高い給与設定の求人の場合、時間外労働がありすぎる、仕事量が多すぎるなどの問題があり、職員が定着しないことから、給与を高くして離職を防ごうとしていることが考えられます。
採用人数が多すぎる・求人募集が常に出ている
採用人数が多すぎたり、求人募集が常に出ていたりする職場は、離職率が高い職場である可能性が高いと言えますので要注意です。
そのような職場では、職場環境が悪いなどの理由で、職員が定着せず常に人材不足であるため、そのような求人内容になっていることが考えられます。
ただ、施設の規模が大きくなったために職員を大量募集しているだけであるケースもあります。
職員たちの表情に笑顔がない
応募したい職場で見学ができる場合には、職員たちの表情もチェックしておきましょう。
職員たちに笑顔がない場合、仕事量が多すぎたり、長時間労働が常態化していたりすると、職員たちは疲れ果てていることが考えられます。
反対に、笑顔の職員が多ければ、労働時間、シフト、仕事量に配慮があり、職場での人間関係もよい職場である可能性が高いと言えます。
待遇がしっかりと提示されている
求人票に、残業などの各種手当、夜勤の有無、年間の休日数など、待遇面がしっかり書かれているかは必ずチェックしましょう。
このような待遇面に関する情報をはっきり明示していない職場は、待遇面がうやむやになっている可能性があります。
例えば「いきなり残業や夜勤を頼まれて断れない」「休日出勤があり身体をしっかり休められない」などのトラブルが起こる可能性が考えられます。
面接があまりに簡単すぎる
介護業界は人手不足であるとは言え、面接が簡単な質疑応答だけで終わったり、「採用するので明日から来てください」などと言われたりする職場も要注意です。
このような職場は、離職率が高く人材不足に困っており、すぐにでも職員を増やしたい職場である可能性が高いと言えます。
ただ、あなたが即戦力である場合はこの限りではありません。面接内容をよく振り返り、あなたが適切に評価されたのかどうか見極めましょう。
施設が清潔感に欠ける・不衛生
施設見学をする際は、施設の清潔感について具体的にチェックしておくことも重要です。
清潔感を簡単に判断できるのは、施設内のにおいです。衛生面のずさんさがあると汚物処理が適切に行われないため、施設内で汚物のにおいがします。
汚物のにおいがする場合、人手不足で適切な処理をする余裕がないことや、職場全体の衛生管理の意識が低いことが伺えます。
介護施設が求めているのはどのような人?
採用担当者は応募者を「採用したい職員像」に照らし合わせて面接しています。どのような職員が求められているのか見ていきましょう。
誰でもなれるわけではない
介護業界は常に人手不足であり、また、無資格・未経験者を歓迎している職場が多いとは言っても、応募してきた人を全員採用しているわけではありません。
人の役に立つことにやりがいを感じる人、コミュニケーション能力の高い人など、介護職への適性があるかどうかは面接時にしっかりチェックされ、適性がない人は落とされてしまいます。
すぐに施設の力になれる人
人手不足の職場では、職員を採用したいのはもちろんですが、特にすぐに職場の力になれる人材を求めています。
例えば、介護職での勤務経験がある方、介護の資格を取得している方、面接時にコミュニケーション能力が高いことを感じさせる方などは、採用後すぐ仕事を任せることができる即戦力と見なされ、採用される確率も高いでしょう。
長期的に勤務することが可能な人
介護の仕事は体力・精神面での負担が大きいため、人によっては何か負担や不満があるとすぐに辞めてしまうこともあります。
すぐに辞められると、教育や研修のコストが無駄となることはもちろん、仕事の担当者が定着しないため、施設全体の介護の質が下がってしまいかねません。
そのため、採用担当者は、応募者が長期的に勤務できる人かどうかもチェックしています。
夜勤にも柔軟に対応できる人
夜勤がある施設では、夜勤に対し柔軟に対応できる人が求められます。
夜勤がある勤務体制だと生活リズムが不規則になってしまうため、体力・精神面で負担がかかりやすくなります。
しかし、不規則な勤務にも耐えられる体力や精神力があり、夜勤があっても問題なく対応できるという方は、夜勤ありの施設では歓迎される人材です。
ケアマネ・介護福祉士などの資格保持者
ケアマネや介護福祉士など、介護に関する資格を持っている人は職場で優遇されます。
介護の仕事は無資格・未経験でも働くことが可能ですが、資格を持っていないとできない仕事もあるからです。
職場では無資格・未経験のスタッフもおり、全員が資格取得済であるわけではありません。そのため、資格取得者は職場での需要が高くなります。
無資格・未経験で入職した方でも、働きながら資格取得をしキャリアアップしていくことをおすすめします。
介護関連で取得がおすすめの資格をここで紹介しています。是非ご覧ください。
介護資格の種類一覧|スキルアップのために取るべき資格などを徹底解説!
自分の望む職場に転職するには?
現在、より自分に合っている職場に転職したいとお考えの方に、自分の望む職場に転職するために出来ることを4つご紹介します。
転職したい理由を明確に持つ
自分がなぜ転職したいのかという理由を整理することで、転職が本当に必要かどうかが明確になります。
整理したうえで転職の必要性を感じたならば、自分自身がどのような「軸」を大事にして転職先を選択すべきかを明確に設定することが大切です。
自分の転職の動機を明確にし、自分の求める環境や条件の中で何を最も重要視するか決定しましょう。
転職活動は人生の重要な選択肢の一つです。 転職の理由や目標を明確にすることで、希望する結果を得ることができるでしょう。
求人情報・見学を活用する
介護職を辞める理由で多いのは、給与面、勤務体制、職場の人間関係などへの不満です。
転職先を探すにあたって、上記の項目や自分では絶対に譲れない条件について、求人票の内容はしっかりチェックしましょう。
また、施設見学は必ず行いましょう。見学すると施設の実際の雰囲気がわかることはもちろん、見学中にさまざまな質問をすることで施設の実情がわかります。
自治体の支援制度を利用する
転職の際には、国や自治体が実施している介護職の転職支援制度を積極的に利用しましょう。
転職活動には何かと費用がかかるため、介護職への転職支援として、いくつかの貸付事業が行われています。
例えば、再就職準備金貸付事業は、所定の条件を満たすと介護職への復帰のための費用として、40万円以内の額が貸付されます。
貸付されても、2年間介護職で勤務すれば返還が免除されるので安心です。
転職サイトの活用
介護職専門の転職サイトを活用するのも方法の一つです。
特に、転職サイトは現在の仕事をしながら転職活動を進めることが可能なので、経済的不安を感じながらの転職活動をしなくて済むメリットがあります。
また、転職サイトのキャリアアドバイザーは介護業界での転職に精通しており、施設の内情まで調べ上げおすすめの施設を紹介してくれるので、希望する施設が見つかりやすい点もメリットです。
自分にあった職場探しにおすすめの転職サイト
自分に合っている、よりよい職場を見つけるためにおすすめの転職サイトを2つご紹介します。
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