養護老人ホームとは|特徴や費用・入所基準・特養との違いまで全て解説
更新日時 2023/12/22
この記事は専門家に監修されています
介護支援専門員、介護福祉士
坂入郁子(さかいり いくこ)
「養護老人ホームって具体的にはどんな施設?」
「他の介護施設とどう違うの?」
「利用条件や費用について詳しく知りたい!」
このような疑問をお持ちの方はいらっしゃいませんか?
養護老人ホームとは、経済的に困窮している高齢者を養護し、社会復帰の支援を行う施設です。
今回は、養護老人ホームの特徴や費用、入所条件など、養護老人ホームに関する疑問について徹底的に解説します。さらに他の介護施設との違いについてもまとめていきます。
この記事を読めば、養護老人ホームについて正確な知識を身に付けることができるでしょう。
- 環境及び経済的に困窮している高齢者のための支援施設
- 介護施設とは異なるため、提供されるサービスに介護サービスは含まれない
- 利用料が安く、経済的支援を受けられる
- 長期的に利用することはできない
【イラストで定義を解説】養護老人ホームとは
養護老人ホームは、身体的・精神的・環境的・経済的な理由があり自宅で生活することができない高齢者を受け入れて社会復帰を目指す入所施設です。
上記の定義に基づき、特に経済的に困窮している高齢者を受け入れる場所とされており、介護施設という扱いではありません。
そのため、食事や健康管理などのサービスを提供することはありますが、基本的に介護サービスを受けることはできません。
また、養護老人ホームは入居者が自立した生活を送れるように支援する、いわゆる「社会復帰」を促すことを定義とする施設です。そのため、長期的に利用することはできません。
養護老人ホームでは、財政面でのアドバイス、地域とのつながりを深めるレクリエーションなどが支援員によって行われます。
養護老人ホームの目的とは
前述したように、養護老人ホームは高齢者の「養護・自立支援」を最大の目的としています。
先に述べた定義に基づき、収入がない・身寄りがないなど、生活面で困難を抱えている高齢者をサポートし、高齢者の社会復帰を支援する役目を担います。
特別養護老人ホームなどの介護サービスを提供する施設とは異なり、入居者に対して食事の提供や健康管理など自立支援サービス、社会復帰支援などのサービスを提供します。
また、介護サービスの提供は行わないため、利用できるのは身体的な介助を必要としない高齢者です。
養護老人ホームのサービス内容
養護老人ホームで提供される具体的なサービス内容についてまとめていきましょう。
養護老人ホームに入居すると、日常生活に関する様々な支援を受けることが可能です。例としては、毎日の食事の提供・健康面のチェック・自立・社会復帰に向けてのサポートなどが挙げられます。
他にも経済面での相談、機能訓練、レクリエーションなどが行われることや、入居者の健康維持に関する専門的なサービスも提供されています。
介護サービスは原則提供されない
上で説明したように、養護老人ホームでは介護サービスは基本的に受けられません。
介護が必要な高齢者を受け入れる施設には、他にも「特別養護老人ホーム」といった種類があります。
名称が似ていますが配置されている職員が異なり、提供されるサービス内容も異なります。
特別養護老人ホームと違い、養護老人ホームに所属する職員は介護職員ではなく支援員です。
そのため、養護老人ホームの職員から介護サービスを受けることはできません。もし介護サービスの利用を希望する場合は、外部の業者を通す必要があります。
施設によっては、個別のニーズに合わせたカスタマイズされたサポートを提供しているところもあります。
養護老人ホームの職員体制
養護老人ホームでは、支援員と呼ばれる職員が働いており、入居者15名ごとに支援員1名の割合で配置されています。入居施設のため、夜間も職員が常駐しています。
一般的な職員構成は次の通りです。
- 支援員
- 生活相談員
- 調理員
- 栄養士
- 看護師
- 医師
- 事務職員
- 機能訓練指導員
- 介護支援専門員(ケアマネージャー)
介護施設とは異なるため、介護職員の配置は義務ではありません。
養護老人ホームの歴史
養護老人ホームの起源は、戦前の天涯孤独な高齢者の保護を目的とする保護施設です。1929年に制定された救護法により、老衰・疾病・貧困などの理由で生活が苦しい者を保護する「養老院」として始まりました。
その後、1946年の旧生活保護法では「保護施設」、1950年の生活保護法では「養老施設」と変遷を経て1963年の老人福祉法の制定により現在のような「養護老人ホーム」となったのです。
老人福祉法ではそれまでと違い、老人に特化した福祉環境が整備され、この時の入所条件は「65歳以上の身体又は精神又は環境上の理由及び経済的理由」で居宅養護を受けることができない人とされていました。
現在の入所条件と同等の扱いになったのは2006年の老人福祉法改正からです。この改正により、入所条件は「環境及び経済的理由」で居宅養護を受けることができない人となり、施設の目的も「高齢者の自立支援・社会的活動への復帰のための訓練及び援助」となりました。
生活的に困窮する高齢者を受け入れるサーフティーネットの役割を担うことから、養護老人ホームは「高齢者の最後の砦」とも言われています。
特別養護老人ホームとの違いは?【介護保険施設との違い】
下記の表は特別養護老人ホームと養護老人ホームの比較一覧です。
特別養護老人ホーム | 養護老人ホーム | |
---|---|---|
目的 | 中~重度の要介護認定を受けた高齢者が、介護や生活支援を受ける | 生活環境や経済的に困窮した高齢者を養護し、社会復帰させる |
入所の基準 | 原則要介護3以上 | 経済的な事情などで困窮している、自立した高齢者 |
費用 | 月額8~13万円(入居一時金なし) | 月額0~14万円(入居一時金なし) |
サービスの内容 | 身体介護中心の自立支援 | 食事の提供や健康管理などの自立支援 |
設備 | 居室 浴室 トイレ 食堂 など |
居室 浴室 トイレ 食堂 など |
居室タイプ | 個室/多床室 | 個室/多床室 |
入所の難易度 | 入居待機者が多い 入居までに数ヶ月以上を要することもある |
市区町村が対象者の調査を行い、決定する |
上の表を見ると分かるように、特別養護老人ホームと養護老人ホームの大きな違いは施設の目的にあります。
特別養護老人ホームの主な目的は高齢者の「介護・生活支援」です。そのため特別養護老人ホームは介護保険サービスに分類され、介護保険が適用されます。
一方、養護老人ホームの主な目的は高齢者の「養護」です。居宅で生活をするのが困難な高齢者を養護し、社会復帰の支援を行います。そのため、養護老人ホームは介護保険サービスには分類されません。
また、居室タイプや設備などに大きな違いはなく、どちらも入居一時金は必要ありません。
養老の入所基準・対象者
では、養護老人ホームの入所基準と、対象者について具体的に解説していきましょう。
対象者
養護老人ホームでは、環境及び経済的理由で困窮している65歳以上の高齢者を入居の対象者としています。
また、入居の決定権は市区町村にあるため、入居する際には市区町村が調査を行います。誰もが入居可能なわけではなく、調査によって入居を決定された高齢者のみ利用できるのです。
一般的には介護の必要がなく、自立した人が入居する施設ですが、市区町村によっては要介護者でも入居可能な場合があります。
この基準については市区町村によって判断が異なるため、入居を希望する場合は居住地の市区町村窓口へ確認を行いましょう。
入居にあたっては、施設によっては要介護度や身体状況、認知症の程度などに基づいて、受け入れ可能な範囲が異なることもあるので注意しましょう。
身体的自立と経済困難が基準
養護老人ホームの入居基準は「環境及び経済的理由から居宅生活が困難な65歳以上の高齢者」かつ「身体的に自立している高齢者」とされています。具体的なケースは以下の通りです。
- 身寄りのない高齢者
- 無年金・無収入で経済的に困窮している高齢者
- 虐待を受けている高齢者
- ホームレス
- 他の法律に基づく施設に入所できない高齢者
- 賃貸住宅から立ち退きを受けた高齢者 など
以上の条件に当てはまり、市区町村の決定を得られた人だけが養護老人ホームに入居することが可能です。
養護老人ホームの利用料
養護老人ホームの費用例は次の通りです。
収入(税金・社会保険料・医療費控除) | 施設利用料 |
---|---|
27万円未満 | 0円 |
40~42万円未満 | 10,800円 |
144~150万円未満 | 81,100円 |
費用は前年度の収入によって決定され、1ヵ月の費用は0円~14万円とされています。施設の利用にかかるのは月額利用料のみで、入所時の一時金は必要ありません。
収入から租税や社会保険料、医療費などを控除した金額が施設利用費となり、被災もしくは生活保護法の適用を受けた場合は、利用料が減額又は免除となります。
利用費は39段階で定められており、上の表にあるように収入が0~150万円未満の場合の利用費は0円から最大81,100円となっています。
また、150万円以上の場合の利用費は市の定めた計算式に基づいて決定されます。
養護老人ホーム入居までの流れ
次に、養護老人ホームに入居するための一連の流れについて、まとめてご紹介します。
1 窓口に入所相談
養護老人ホームへの入居は、誰しもが可能なわけではなく、入所基準を満たして市区町村によって実施される審査をクリアする必要があります。
そのため、養護老人ホームを利用する前にまず入所基準を満たしているかを市区町村役場の福祉課や地域包括支援センターなどの相談機関に相談することが必要です。
入所に関する相談は、市区町村の窓口や居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、そして民生委員や養護老人ホームなどで受け付けています。
2 書類提出をして入所申込
養護老人ホームの入所基準を満たしていることが分かったら、入所の申し込みを行います。
前述したように、養護老人ホームの入所基準は「環境及び経済的に生活が困難な65以上の高齢者」かつ「身体介護を必要としない自立した高齢者」とされており、この条件を満たしている場合は養護老人ホームへの入所申込が可能です。
対象者の入所申し込みは本人、または家族が行います。入所申請書類やその他必要な添付書類等は市区町村の窓口への提出となります。
3 入所審査
入所条件が満たされていることを確認し入所申込が済むと、対象者の実態を確認するための入所審査が行われます。入所審査は、事前に日程を調整した後、市の担当者が入所希望者の元を訪問して行う訪問型の実態調査となります。
この訪問調査では、対象者の養護の状況や心身の状況、環境、家計の状況など、経済的及び環境上の理由から生活が困難かどうか等について調査します。
正確に状況を把握するために、この調査では自身の状況について偽らず正直に話すことが大切です。
4 入所可否の審査
訪問調査が終わると、サービス調整会議及び入所判定委員会で申込者の入所の適否を判定します。
この審査では、入所申請書類や訪問調査を基に、入所を希望している高齢者の健康状態や環境について話し合いを行うことで、入所に適しているか否かを総合的に審査・判定されます。
また、ここで行われる審査基準は各自治体によって異なります。入所判定委員会の開催頻度・月についても自治体によってそれぞれ異なっています。
開催日に合わせて入所申込の期限も各自治体ごとに定められているため、入所を希望する際には注意しましょう。
5 可否の決定・入所
入所判定委員会での話し合いが終了すれば、市区町村がその報告を受け、申込者の入所の可否を決定します。その際、措置決定となった場合は、養護老人ホームの待機者となります。
入居可の判定が出ると、いよいよ入所日の日程調整です。入居可の判定は市区町村から養護老人ホームに伝えられるため、その後の日程調整の連絡を申込者と行うのは市区町村ではなく養護老人ホームとなります。
また、虐待などの理由から申込者本人の生命に危険が及ぶ可能性がある場合は、入居するのに入所判定委員会の審査を必要としないケースもあります。
養護老人ホームのメリット
養護老人ホームは、介護保険とは異なる仕組みで高齢者を支援してくれる施設です。では、養護老人ホームを利用する際にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは主なメリット2つについて紹介します。
経済的支援の享受
養護老人ホームを利用する際の大きなメリットとして、経済的な支援を受けることができるという点が挙げられます。
養護老人ホームは他の高齢者施設と比較して低額で利用することが可能です。前年度の収入によって費用が異なるため月額0円で利用できるケースもあります。
経済的困窮により入居を希望した高齢者にとっては最も大きなメリットだと言えるでしょう。
様々な事情により老人ホームへの入居が難しいという場合には養護老人ホームの利用を検討してみるのもおすすめです。
養護老人ホームでは入居者の経済的な面もサポートされるため、入居後の生活についても安心して過ごすことができます。
例えば、医療費や生活費、住居費などが支援され、財政的な負担を軽減することができます。
さらに、食事や日常生活に必要な生活用品も提供されることがあり、生活面での負担を軽減することができます。
経済的に不安がある場合には、養護老人ホームを利用することで安心して生活することができます。
緊急時にも対応してもらえる
緊急時にも対応可能という点も養護老人ホームを利用する一つのメリットとして挙げられます。
養護老人ホームでは、夜間も必ず職員が1名以上配置されています。そのため、万が一の緊急時でも適切な対応・処置をしてもらうことが可能です。
高齢者の1人暮らしだと、「もしも何かが起こったら」というに不安に悩まされている人も多いでしょう。また、現在では高齢者に対する虐待も少なからず発生してしまっています。
養護老人ホームはそのような事態から高齢者の生活を守ってくれる場所のため、安心して生活を送ることができます。
養護老人ホームのデメリット
次に、養護老人ホームのデメリットについて紹介します。
自治体によって入居のハードルが異なる
養護老人ホームの大きなデメリットとしては、「入居したくても自分の意思だけでは入居できない」という点が挙げられます。それは、入居の可否は市区町村によって決定され、入所基準は自治体によって差があるからです。
養護老人ホームに入居するためには、まず自治体の担当窓口に申請を行い、「措置」という形で入居を認めてもらわなければなりません。自治体により判定に差が生じるということは、同じ困窮度でも自治体の入所基準により入所を認められる自治体とそうでない自治体があるということです。
さらに、最近では措置判定事態を渋る自治体も存在します。そのため、入居までのハードルが極端に高い地域も存在する可能性があるのです。
入居中に退去を迫られることも
自治体に入居を認められ無事に入居できたとしても、退去を命じられて再度困難に立たされる可能性があります。このように、入居後に退去されられることを「措置はずし」と言います。
また、入居後に要介護度が重くなった場合も退去しなければならない可能性があります。
「退去しなければならない」原因としては、養護老人ホームはあくまでも一時的救済の施設で、長期間の入居を目的としていないというのが考えられます。
自分の意志で生活環境を選ぶことができないことや、他の入居者との相性が合わない場合にはストレスを感じることもあるかもしれません。
入居前に施設の見学や相談を行うことで、できるだけ自分に合った施設を選ぶことが大切です。
このように、メリット以外にも様々なデメリットが存在します。デメリットに対して対策を取ることは難しいですが、施設についての良し悪しを利用前から把握しておくことが大切です。
養護老人ホームの入居事例を紹介
では、実際に養護老人ホームを利用するのはどのような人なのでしょうか。ここでは養護老人ホームの契約入所に関する事例等参考集 全国老施協を参考に、入居事例をケースごとに解説していきましょう。
家族関係の問題によるケース
虐待や不仲など、家族間に問題があり養護老人ホームを利用したケースです。
入所したのは、認知症の症状を発症した80歳代の男性です。精神的な疾患を持っている家族と本人の折が合わず、同居が困難になりました。その後、家族の希望もあり、地域包括支援センターから紹介を受けて養護老人ホームへと入所となりました。
認知症から施設を離れることが度々あるため、施設での対応として所在の確認支援を行っています。
平成31年より施設に入所し、現在は他施設への入居を希望中です。
独居による生活困難のケース
90歳代で要支援1の状態の女性のケースです。
家族が癌を発症し、同居する親族がその家族の看護にあたる必要があったことから、介護者が不在となり、施設の利用を希望しました。
その後、地域包括支援センターの担当ケアマネージャーからの紹介により養護老人ホームへ入所しました。
施設での対応は食事時の声掛け・入浴の見守り・歩行器のレンタルを行っています。
平成30年より入所中です。
次施設への入居待ちのケース
養護老人ホームは一時的な待機施設として利用されることもあります。
ここでは退院後の行き先がない・退院後に自宅での介護を望めない等、次の施設への入居待ちのために養護老人ホームを利用するケースについて紹介しましょう。
70歳代の男性のケースです。
持病の悪化により入院していましたが、退院直後は家族の負担も多く、自宅での生活が難しくなりました。そのため、利用可能な施設が見つかるまで養護老人ホームへ入所することとなりました。
入所後に再入院となり、現在は退所しています。
養護老人ホームの今後の課題
生活に困窮した高齢者を守る最後の砦とも称される養護老人ホームですが、いくつかの課題も残されています。
人件費の負担が大きい
養護老人ホームが抱える課題の一つとして人件費の問題があります。
外部サービス利用型特定施設に指定された養護老人ホームは、行政から得られる措置費というものが大きく減額されました。
減らされた分を介護報酬により補うことは可能ですが、利用者15人に対して職員1人という基準通りの職員配置を行うためにはコストがかさみます。
このような「措置費の減額」、「基準通りの職員配置による人件費」により経営が困難になる施設も少なくはありません。
施設数・定員数が少ない
養護老人ホームは経済的・環境上の理由から自宅での生活が困難な高齢者を受け入れる施設です。
行き場のない高齢者にとっては非常に需要のある施設にも関わらず、全国的に施設数が少ない上に今後も増える傾向が見られないというのが大きな課題だと言えるでしょう。
もう一つの課題は定員数が少ないという点です。都市部では経済不況や高齢化などの影響により高齢者のホームレスや一人暮らしの数は年々増加しています。それに対して、養護老人ホームの施設数は横ばいで推移しています。
そのため必然的に定員数が足りない状況が発生し、今後も限られた人のみが入所可能な施設だと考えられるでしょう。
行政の措置控え
2019年4月の「公益社団法人全国老人福祉施設協議会」が公表した調査結果によると、全国の養護老人ホームにおける平均入所率は89.9%であることが判明しました。
また、平均入所率を超えない施設はそのうちの3割を占めています。このことから、措置入所数には地域差があることが明らかになったのです。
そして今現在、養護老人ホームに関しては自治体が予算を控えるために入所者を意図的に施設に回さない「措置控え」というのが大きな問題とされています。
長期間の利用は不可
養護老人ホームは、高齢者の社会復帰を目的に一時的に高齢者を擁護する施設です。入居する為には基本的に地方自治体による審査と措置判断が必要となります。
そのため、永続的な利用を前提としておらず、長期入居はできない仕組みになっています。
また、介護施設とは異なり身体的に自立した高齢者を養護する施設のため、要介護度の高い人はそもそも入所基準を満たすことができません。
さらに、入居後常に介護が必要になった場合も退去を迫られるため、最期の時まで過ごせる施設ではありません。
入居したとしても必ず他施設を検討する必要があるというのが養護老人ホームの課題の一つと言えるでしょう。
有料老人ホーム・サ高住との違い
最後に、養老とその他の施設との比較として、有料老人ホームとサ高住との違いについてまとめていきましょう。
有料老人ホーム
有料老人ホームとは、高齢者の心身の健康を保ち、生活を安定させるための施設です。
費用に合わせて様々なサービスや施設が整っており、「介護付き」、「住宅型」、「健康型」など種類も豊富です。
養老と有料老人ホームの大きな違いとしては施設の利用期間が挙げられます。
前述したように、養老は長期的な利用・終身利用を想定している施設ではありません。
養老に入所しつつ、経済的・環境的な基盤を造ることができれば、退所して自立した生活を送らなければなりません。それに対し、有料老人ホームは長期的な利用を前提としています。
ココファンの有料老人ホームを探してみる!サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
サービス付き高齢者向け住宅とは、「高齢者住まい法」に基づいて整備されたバリアフリー構造の住宅で、サ高住とも呼ばれます。
要介護度の低い高齢者を中心に要支援・要介護高齢者までを広く受け入れており、要介護度高齢者が多い有料老人ホームと比較して自由度が高いのが特徴です。
養老とサ高住との違いは施設の目的にあります。養老が高齢者の「自立」を最終目的としているのに対し、サービス付き高齢者向け住宅は「一般型」、「介護型」とあるように介護を最終目的としています。
また、介護型のサ高住であれば、認知症の方の受け入れも可能です。
幅広い要介護度の方に対応したサービスを展開する、コスパに優れた施設ですので、こちらもぜひチェックしてみてください。
ココファンのサ高住を探してみる!養護老人ホームについてまとめ
- 経済的・環境的に困窮した高齢者を一時的に養護する施設
- 基本的には介護サービスは行われないが、外部の業者を通せば利用できるケースもある
- 費用が安い上に夜間や緊急時にも対応してもらえる環境が整っており、安心して利用できる
- 身体的に自立した高齢者が、一時的に入所施設を利用したいと言う場合にはおすすめ
いかがでしたでしょうか。今回は養護老人ホームの特徴や費用、入所基準などについてまとめてご紹介しました。
施設数が少ない・定員数が少ない・入所には審査が必要など、様々な課題が残る養護老人ホームですが、行き場のない高齢者にとって、安心して暮らせる環境が整った施設です。
経済的・環境的に困窮した場合や、他の施設を利用するのが難しい場合などは、養護老人ホームの利用を一度検討してみることをおすすめします。
この記事は専門家に監修されています
介護支援専門員、介護福祉士
坂入郁子(さかいり いくこ)
株式会社学研ココファン品質管理本部マネジャー。介護支援専門員、介護福祉士。2011年学研ココファンに入社。ケアマネジャー、事業所長を経て東京、神奈川等複数のエリアでブロック長としてマネジメントに従事。2021年より現職。
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