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要介護5とは?状態や認定基準・サービス内容・月々の介護費用例まで全て解説

2025年03月16日
介護施設の費用

この記事は専門家に監修されています

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介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

「要介護5とはどのような状態?」

「要介護5の認定基準や受けられるサービス内容は?」

このように要介護5の状態や要介護5の人が受けられるサービス内容などについて、よくわからないという人も多いでしょう。

今回は要介護5について、どのような状態なのかや認定基準、利用できるサービス内容や月々の介護費用例まで全て解説します。

また、要介護5の人におすすめの介護施設についても紹介します。

要介護5についてざっくり説明すると
  • 要介護認定等基準時間が110分以上またはこれに相当する状態

  • 介護度の中で最も症状が重い位置付けで、日常生活のほぼすべてに介助が必要

  • 要介護5になる原因の1位は脳卒中・2位は認知症

要介護5とは

要介護5

そもそも要介護5とはどのような状態なのでしょうか。要介護度の中での状態の程度と、要介護5の認定基準を説明します。

要介護5は介護度の中で最も重度な状態

要介護5は、要介護状態等区分の中で最も症状の重い状態です。つまり、最も介護が必要な状態といえます。要介護5の場合、立ち上がって歩くことが困難で、1日中、ほとんど寝たきりのことも多いです。

要介護5の方は掃除などの家事が自分ではほとんどできないだけでなく、食事やトイレなどの日常生活のほぼすべてに介助が必要です。寝返りなども介護が必要なことが多く、介護にかかる費用もかなり高くなるので、ご家族の負担が大きくなります。

筋力の低下などから食べ物や飲み物をスムーズに飲み込むことができないことも珍しくありません。また、理解力の低下が見られることもあり、徘徊リスクなどにも注意が必要になります。

介護者にとっては身体介護だけでなく、認知症ケアも必要となります。

認知症による行動の変化や感情の不安定さに対応するためには、専門的な知識が必要とされる場合もあるでしょう。

要介護5の認定基準

要介護5の認定基準はどのようなものなのか見ていきましょう。

要介護認定は、「介護の手間」に係る一次判定と二次判定により行われます。

一次判定は、認定調査員による「認定調査」と「主治医意見書」の情報をもとにしてコンピュータで行われます。1日の介護に必要な時間の目安となる「要介護認定等基準時間」を算定し、その長さによって6段階(要支援1から要介護5相当)に区分されます。要介護5の基準は、最長の「110分以上またはこれに相当する状態」です。

二次判定では、保健・医療・福祉などの学識経験者による「介護認定審査会」が一次判定結果を審査し、必要に応じ区分を変更します。

脳卒中や認知症が原因とされている

厚生労働省の調査資料(「国民生活基礎調査の概況」2016年)によると、要介護5になってしまう原因は、1位が脳卒中、2位が認知症とされています。

要介護5になる主な原因である脳卒中や認知症は、高齢者に多く発生する疾患であり、予防には生活習慣の改善や適切な治療、早期発見が重要です。

脳卒中は後遺症が残り、寝たきりになる危険性が高いです。また、認知症も末期のアルツハイマー型になると寝たきり状態となってしまいます。

認知症の場合は、寝たきりにならなくても、理解力の低下・意思疎通の難しさのために要介護5と認定されるケースも多いです。この場合は、徘徊の心配もでてきます。

介護認定を受けるまでの流れ

なお、介護認定を受けるまでの流れは以下の通りです。

  • 1:地域包括支援センターに連絡する

  • 2:要介護認定の申請を行う

  • 3:ケアマネージャーによる訪問調査を受ける

  • 4:申請結果を受け取り、居宅介護支援事業所へ連絡

  • 5:ケアプラン作成

  • 6:サービス事業所との連絡

要介護4との違い

要介護4も要介護5も、いずれも重度の介護を必要とする状態です。どちらも、身体機能の低下だけでなく、理解力も著しく低下していることが多くなっています。

それでは、要介護5と要介護4との違いは、どのようなことがあるのでしょうか。ともに重度の要介護状態ですが、要介護5と要介護4では実際の症状の重さの違いは歴然としています。

要介護4についてはこちらの記事で紹介しています。

2025.03.24
その他
要介護4の状態は?受けられるサービスや区分支給限度額・要介護3との違いまで全て紹介

要介護4では理解力の低下が日常生活で全般的に認められますが、そうは言っても意思の疎通がまったくできないわけではありません。しかし、要介護5では意思の疎通がほぼ不可能なことも多いです。しかも、要介護5では基本的に寝たきりの状態で、あらゆる動作・行動に介護が必須なことが多いです。

要介護5の方は、意識レベルの低下が著しい場合があります。意識レベルが低下することで、自分で食事を取ることが困難になるなどの問題が起こります。

要介護5の方におすすめの介護施設はこちら!

要介護5の区分支給限度額

要介護認定を受けた方は、介護度に応じて決められた介護保険サービスを受けることができます。ただし、受けることができる介護保険の1か月あたりの上限金額が決まっています。この上限額が「区分支給限度額」です。

区分支給限度額は、介護度によって異なります。要介護5の支給限度額は、およそ36万2千円であり、要介護5段階の中で最も高い額です。

この限度額のうち、利用者が自己負担する額は、原則1割(所得が高い場合は、2割または3割)となります。要介護5の上限額まで介護保険を利用したとすれば、1割負担の場合の自己負担額は約3万6千円です。

上限額を超えた利用分については、全額自己負担になります。

支給限度額は、介護サービスの種類や利用頻度などによっても影響されるため、利用者が自己負担する金額は変動する場合があります。

なお、限度額は地域や利用者によって異なることがありますので、自分の限度額は担当のケアマネージャーか市区町村の担当窓口に確認しておくのが良いでしょう。

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要介護5で受けられるサービスの種類

要介護認定を受けた人は、後ほど説明する区分支給限度額の範囲内で介護給付サービスを受けることができます。ここでは、要介護5で受けることができる介護サービスの種類を紹介します。

サービス内容

サービスの具体例

自宅を訪問しての家事や介護

訪問介護

訪問看護

訪問リハビリ

訪問入浴

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

夜間対応型訪問介護

施設での介護サービスやリハビリ

通所介護(デイサービス)

通所リハビリ

療養通所介護

認知症対応型通所介護

地域密着型通所介護

短期間だけ施設に宿泊

短期入所生活介護(ショートステイ)

短期入所療養介護

施設に入居

特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)

特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホーム等)

介護老人保健施設(老健)

介護療養型医療施設

介護医療院

小規模な施設に入居

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

地域密着型特定施設入居者生活介護

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

サービスを組み合わせて利用

小規模多機能型居宅介護

看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)

福祉用具の使用

福祉用具貸与

特定福祉用具販売

上の表のとおり、受けられるサービスは、在宅介護から施設利用、福祉用具のレンタルなど様々なものがあります。

要介護5は障害者控除の対象?

要介護5の方はいろいろなサービスを受けることができますが、一方で介護サービスの利用が多くなると、金銭的な負担も大きくなってしまいます。そこで、要介護認定を受けている方の負担を軽減する仕組みとして、介護保険と併用できるや「障害者控除」や「高額介護サービス費」などの制度があります。

高額介護サービス費は、1ヵ月の利用者負担額が負担限度額を超えた場合に、超えた分が払い戻される仕組みです。

障害者控除は、要介護認定を受けている人が税法上の障害者とみなされると所得控除の対象になるものです。障害者控除には、「障害者」「特別障害者」「同居特別障害者」の3つの区分があります。控除額は、それぞれ27万円、40万円、75万円です。本人だけでなく、同一生計の配偶者や扶養親族が障害者の場合も控除を受けることができます。

ただし、介護保険法の要介護認定を受けただけでは、障害者控除の対象となるわけではありません。介護保険法の要介護認定とは関係なく、別途所得税法上の市町村長等の認定を受けた場合に限り、障害者控除の対象になるのです。

控除額はそれなりに大きくぜひ活用したい制度ですので、利用を希望する方は住んでいる市区町村に確認して申請してみることをおすすめします。

要介護5のケアプランと費用例

要介護5のケアプランはいろいろあります。ここでは、要介護5のケアプランと費用例を紹介します。

ここでのモデルは要介護5の認定を受けている90代女性とします。認知機能は維持できているものの、ほぼ寝たきりで自力で動くことが困難、というイメージです。

そういった身体状況で、施設入居の場合・家族で暮らしている場合・一人暮らしの場合のそれぞれの費用例と、施設入居と在宅介護との比較を見ていきましょう。ここでは、地域加算や特定事業所加算などは考慮していません。

要介護5で施設に入居している場合

まず、要介護5で施設入居の場合です。ここでは、要介護者が住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの住居系の施設に入居している場合について、紹介します。サービス内容と月額費用は、下の表のとおりです。

サービス内容

利用回数

詳細

自己負担額

通所介護

8回/月

9時から16時

通所介護入浴介護加算(8回)

9,400円

訪問介護

64回/月

-

16,000円

訪問介護(身体介護・生活援助)

8回/月

-

3,600円

ベッドレンタル

-

-

1,000円

合計

30,000円

要介護5の場合は症状も重度ですので、施設への入居を考える方も多くなります。施設内で受けることとなる介護サービスの種類も増え、回数も多くなるのが実情です。

同じ施設利用にしても、要介護4と要介護5ではかかる費用も大きく違ってきます。

要介護5で家族で暮らしている場合

次は、要介護者がご主人や家族と一緒に暮らしている場合のケアプランと月額費用です。

サービス内容

利用回数

詳細

自己負担額

通所介護

8回/月

9時から16時

通所介護入浴介護加算(8回)

9,600円

ショートステイ

8回/月

1泊2日を4回

7,600円

訪問介護(身体介護)

60回/月

-

15,000円

ベッドレンタル

-

-

1,000円

合計

33,200円

要介護5で家族と一緒に暮らす場合、家族の負担はかなり大きなものがあります。通所介護の回数も多くなり、時間も費用もかかります。

また、訪問介護の回数も相当増え、1日に2回以上の介護が必要になることも珍しくありません。

要介護5で一人暮らしの場合

要介護者が一人暮らしの場合のケアプランと月額費用は、下の表のとおりです。土日は家族の援助を受けることができます。

サービス内容

利用回数

詳細

自己負担額

通所介護

4回/月

9時から16時

通所介護入浴介護加算(4回)

4,800円

訪問入浴

4回/月

-

5,200円

訪問介護

68回/月

-

17,000円

訪問介護(身体介護・生活援助)

8回/月

-

3,600円

ベッドレンタル

-

-

1,000円

合計

31,600円

要介護5になると、自分自身で身体を動かして何かをすることがほとんど難しくなってしまいます。ですから、生活のすべてに介護が必要な状況です。そのため、一人暮らしの場合は、1日2回以上の介護が必要になります。

入浴や食事などの回数も、思いどおりにとることができません。費用面で大変なだけでなく、日常生活そのもが厳しい状況です。

在宅介護と施設入居の費用を比較

要介護5の場合の、在宅介護と施設入居の費用を大まかに比較してみましょう。下の表は、在宅介護と、介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム・サ高住、グループホーム(2ユニット)との費用の比較を一覧にまとめたものです。

内訳

在宅介護

介護付き有料老人ホーム

サ高住

グループホーム(2ユニット)

月額利用料

(家賃・管理費など)

0円

10万6,000円

7万円

8万円

医療費

9,392円

9,392円

9,392円

9,392円

介護サービス費

(自己負担1割の場合)3万7,822円

2万4,210円

3万3,338円

2万5320円

介護用品購入費

おむつ・介護食等)

2万4,630円

2万4,630円

2万4,630円

2万4,630円

生活費

(食費・水道光熱費など)

20万5,000円

10万5,000円

7万5,000円

5万5,000円

その他

(妻の生活費など)

0円

9万円

9万円

9万円

支出合計

27万6,709円

35万9,230円

30万2,360円

28万3,342円

上の表からわかるように、施設入居よりも在宅介護のほうが費用を低く抑えることができます。もっとも、費用に違いがあると言っても、それほど大きな差ではありません。

しかも、要介護5の場合は支給限度額が高いので、無理をしてまで在宅介護にこだわることはありません。在宅介護の場合の家族への負担を考慮すると、施設入居を検討することも決して悪いことではありません。

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要介護5の生活(在宅・介護施設)

ここでは、在宅の場合と介護施設の場合の要介護5の生活について見ていきます。

要介護5での一人暮らし・在宅介護は可能?

要介護5での一人暮らしでの在宅介護は、制度上は可能です。ただ、見てきたように要介護5の場合は家族の負担はかなり大きなものがあります。まして、一人暮らしとなると、介護を受けている時間以外はほぼ何もできないでしょう

もし何かトラブルがあっても、要介護者一人では家族や知人などに連絡を取ることすらできません。つまり、要介護5で一人暮らし・在宅介護を行うことはかなり難しいのが現実です。

さらに要介護5では、経管栄養や酸素療法などが必要なケースも多いです。医療ケアが欠かせない状態になると、在宅での介護は一層難しくなります。

ですから、要介護5での一人暮らしの場合は、多くの方が介護施設や病院などで生活しているのが実態です。要介護者自身はもちろん家族への負担も考えると、施設入居がおすすめです。

要介護5の方が多く利用している施設

要介護5の場合、どのような施設を使うのがよいのでしょうか。実際に要介護5の方が多く利用している施設については、LIFULLの行った「施設ごとの要介護5の方の利用者割合」のアンケートがあります。

このアンケートによると、要介護5の方の利用割合が最も高かったのは、介護療養型医療施設の約36%です。次いで割合が多かったのは特別養護老人ホーム(特養)と介護老人保健施設(老健)でそれぞれ約15%でした。

他の施設としては、介護付き有料老人ホーム、健康型有料老人ホーム、グループホームがあり、5~6%程度になっていました。

出典:要介護5とは?受けられるサービスや要介護4との違い|LIFULL

なお、上記の介護療養型医療施設は2017年の介護保険法改正で廃止の方針が決まっており、介護老人保健施設(老健)や介護医療院への移行が進んでいます。ただ、2024年3月末までは移行期間となっていますので、それまでは介護療養型医療施設を利用できます。

移行が進んでいる介護医療院については、こちらの記事で詳しく解説しています。

2023.09.18
介護施設の費用
介護医療院とは|費用や施設基準・サービス内容から介護療養型医療施設との違いまで解説

費用よりも充実度を重視して施設を選ぼう

要介護5になると在宅での介護もかなり難しくなってきます。そのため、施設入居を検討する人も多いでしょう。ただ、施設入居となると在宅介護よりも費用が余分にかかるという難点もあります。

費用が気になるのであれば、たとえば、特別養護老人ホーム(特養)であれば、安い費用で良質なサービスを受けることも可能です。そのため、特養は人気が高く、入居待ちになってしまうことも多いですが、要介護5なら優先的に入居できます。

施設介護が可能な施設は、いろいろなスタイルのものがあります。施設選びを行う際は、費用の問題も大切ですが、利用者本人や家族の希望に沿うサービスを受けられるかを考慮しておくことが大事です。

たとえば、要介護5の場合の施設選びのポイントとして、胃ろうや人工呼吸器などの医療ケアが必要な時に受けられるかも重要です。胃ろうは、経管栄養法のことで、胃に穴を開けて栄養を送り込むものですが、要介護5では口からの食事ができなくなることもあります。

また、要介護5では意思疎通が困難になる場合も多いので、早いうちに本人の希望するケアを確認しておくことも必要です。

要介護5まで対応できる民間介護施設

介護付き有料老人ホームなどの民間施設は、特養など公的施設と比較すると少々割高ですが、その分施設の設備などが充実しており、QOLの高い生活を過ごしやすくなっています。

また、民間施設は施設数が多いので、基本的に「入居待ち」で何ヶ月も何年も待たされるようなことも起こりません

要介護5の方で老人ホーム・介護施設への入居を検討されている方は、ぜひお近くの民間施設をチェックしてみてください。

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要介護5についてまとめ

要介護5についてまとめ
  • 要介護5では意思疎通がほぼ不可能な場合もある

  • 要介護5で受けられるサービスは、在宅介護・施設利用・福祉用具のレンタルなど様々

  • 給付金の支給限度額は36万円、1割負担の自己負担額は3万6千円

  • 在宅介護は極めて困難で、施設入居が推奨される

要介護5について、状態や認定基準、利用できる介護保険サービスの種類・内容、介護費用例、それにおすすめの施設までを解説しました。

要介護5は、日常生活のほぼすべてに介助が必要な状態です。要介護5の状態について理解を深め、利用者本人と家族の希望に合う介護サービスや施設を選ぶことが大事です。

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