看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)とは|利用条件や費用まで全て紹介
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介護支援専門員、介護福祉士
坂入郁子(さかいり いくこ)
「介護サービスって沢山種類があってどれが良いか分からない!」
「在宅サービスの内容を具体的に知りたい!」
このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?
高齢になったり体が不自由になったりすると、様々な介護サービスを利用を検討することになります。
しかし、在宅介護サービスなどは様々な種類があるので、利用者に合った支援を受けるためにも、各サービスの内容や特徴を把握しておくことがとても重要です。
今回は、在宅介護サービスの中でも複合型サービスである、看護小規模多機能型居宅介護というサービスについて紹介していきます!
看護小規模多機能型居宅介護とは
看護小規模多機能型居宅介護、通称看多機(かんたき)とは、がん末期などの医療依存度の高い人や退院直後で状態が不安定な方に対して、住み慣れた自宅での療養や看取りを支援するサービスです。
このサービスは、平成24年4月から平成27年度までは、「複合型サービス」と称されていました。その後、介護報酬改定により「複合型サービス」から、「看護小規模多機能型居宅介護」という名称に改定されました。
看多機(かんたき)のサービス内容
まず、看多機(かんたき)の大きな特徴は、訪問看護、訪問介護、通い(デイサービス)、泊まり(ショートステイ)4つのサービスを1つの看多機事業所が一体化して提供していることです。
これにより、利用者やご家族の状況に合ったサービスの提供や、利用手続きが一回で済むということが可能になります。
サービスの主な内容としては、
- 退院直後の在宅療養への移行支援
- 病状が不安定な時期や看取り期での在宅生活の継続援助
- ご家族への相談対応やレスパイトケアによる負担軽減
が挙げられます。
看多機の利用条件と対象者
看多機は、地域密着型サービスということもあり、市町村の許可が必要な介護保険サービスですので、利用条件があります。
- 要介護1〜5の認定を受けている方
- 原則看多機事業所が所在している区市町村に住んでいる方
- 常に医療機関での治療を受ける必要がない方
この3つの条件を満たしている方が看多機の対象者となります。
2012年に「複合型サービス」として創設
次に、看多機の歴史についてご紹介します。
厚生労働省によると、現代の日本では少子高齢化の拡大により高齢者の1人暮らしや老老介護が増加し、地域全体で高齢者を支える必要性が叫ばれています。
そうした中、医療依存度が高くても在宅療養を希望する方のために2012年(平成24年)に「訪問看護」と「小規模多機能型居宅介護」を結合させたサービスが「複合型サービス」という名称で創設されたことが看多機のはじまりです。
その後、「複合型サービス」では提供するサービスの内容が想起しづらいという声を踏まえ、2015年(平成27年度)に介護報酬改定において「看護小規模多機能型居宅介護」という名称に改変されました。
全国の看多機事業所数は増加中
上記のグラフは、全国の看多機事業所数の推移について示しているグラフです。
これにより、全国の看多機事業所数は年々増加しており、看多機の需要が増していることが窺えます。
また、少子高齢化社会が進んでいくにつれ、今後も看多機の需要はますます高まっていくと言えるでしょう。
看護小規模多機能型居宅介護のメリット
次に、看多機の需要が高まっている理由である、看護小規模多機能型居宅介護の利点についてご紹介します。
小規模多機能型居宅介護+訪問看護
看多機のメリットの一つとして、小規模多機能型居宅介護に訪問看護が追加されたことで、小規模多機能型居宅介護と同じ事業所で介護と看護の一体的なサービス提供が可能となったことが挙げられます。
また、介護と看護の連携体制が整備されたことで、退院後も医療ケアが必要な患者への対応や、ご家族の介護力が不十分な患者への対応ができるようになったこともメリットとして考えられます。
住み慣れた場所での生活が可能に
二つ目のメリットとしては、住み慣れた環境での生活を望む方の希望に応えられることが挙げられます。
内閣府の世論調査では、現在の日本では国民の約45%が介護を要するようになっても住み慣れた環境での生活を希望しており、在宅療養の体制整備の重要性が唱えられてきました。
そんな中、看護小規模多機能型居宅介護は、「看護職」「介護職」「ケアマネージャー」の密接な連携により、臨機応変にサポート体制を整え、医療依存度の高い高齢者や退院後状態が不安定な方の自宅での継続的な生活を可能にしました。
このことから、看護小規模多機能型居宅介護は、地域包括ケアシステムの中心を担うべきサービスとして今後が期待されています。
介護保険が適用された場合の費用
看護小規模多機能型居宅介護は介護保険が適用されます。
ここでは介護保険が適用された場合の費用についてご説明します。
1割負担時の1ヶ月の自己負担額目安
看護小規模多機能型居宅介護は介護保険が適用され、費用は原則1割負担です。しかし、一定以上の所得のある方の場合は2割または3割負担となります。
1割負担の場合、1ヶ月あたりの自己負担額の例は以下の通りになります。 なお、施設や地域によって価格は変動します。
要介護度 | 1割負担額 |
---|---|
要介護1 | 13,083円 |
要介護2 | 18,307円 |
要介護3 | 25,734円 |
要介護4 | 29,187円 |
要介護5 | 33,015円 |
自己負担額が加算される場合も
事業所によっては以下のような加算がされる場合があります。
項目 | 自己負担 |
---|---|
サービス体制強化加算Ⅰ(イ) | 676円/月 |
介護職員処遇改善加算(Ⅰ) | 各種加算減算を加えて算定した単位数の10.2%に相当する単位数/月 |
介護職員等特定処遇改善加算 特定加算(Ⅰ) | 各種加算減算を加えて算定した単位数の1.5%に相当する単位数/月 |
さらに、食費や宿泊費、光熱費といった日常生活費が別途で必要になります。
また、看護小規模多機能型居宅介護の利用している間は、訪問リハビリテーションや居宅療養管理指導、福祉用具のレンタル以外のサービスは利用できないのでご注意ください。
看護小規模多機能サービスの事業所
次に、看護小規模多機能サービスの事業所の人員基準や専門スタッフについてご紹介します。看護小規模多機能型居宅介護は継続的に安心・安全なサービスを提供するために、人員基準や専門スタッフについていくつかの規定があります。
看護小規模多機能型居宅介護の人員基準
看護小規模多機能型居宅介護には登録定員に基準があり、サービスを提供する事業所の利用定員は29名以下で、通い定員は18名以下、宿泊定員は9名以下であることが規定されています。
また事業所のスタッフ側にも時間帯や形態によって人員基準が定められています。
時間帯 | 形態 | 人員基準 |
---|---|---|
日中 | 通い | 利用者3名に対して1名以上、うち1名以上は看護職員(常勤換算) |
訪問 | 利用者2名以上、うち1名以上は看護職員(常勤換算) | |
夜間 | 夜勤 | 時間帯を通じて1名以上(臨機的な対応体制で可) |
宿直 | 時間帯を通じて1名以上(臨機的な対応体制で可) |
看護師などの専門スタッフ一覧
看護師をはじめとした専門スタッフの人員基準は、おおよそ小規模多機能型居宅介護の基準を基に定められており、看護職員の割合が高い構成となっています。
区分 | 特徴 |
---|---|
看護職員 | 常勤換算で2.5名以上(1名以上は常勤の看護師または保健師)が配置される。訪問看護ステーションと一体になって運営している場合は看護職員の兼務が可能。 |
介護支援専門員 | 介護支援専門員の配置が必要であるが、兼務や非常勤の勤務が可能。 |
管理者 | 専従かつ常勤で配置される。管理者は特養などで認知症の利用者に対する3年以上の介護経験を有し、厚生労働省の定める研修(認知症対応型サービス事業管理者研修)を修了した者、または保健師もしくは看護師(認知症対応型サービス事業管理者研修の受講は不要)である必要がある。 |
ココファンの看護小規模多機能サービス
ココファンで利用できる看護小規模多機能サービスについてご説明していきます。
ココファンなら多様なニーズに対応
ココファンは多様なニーズにも応えられる体制を整えています。ここでは、具体例を挙げながらご紹介します。
利用者のニーズ | ココファンの解決策 |
---|---|
人工透析のため週3回通院しており、ショートステイなどの利用が難しい。 | 透析後そのまま通いor泊まりを利用、または泊まりからそのまま透析に通うことが可能。 |
定期的なインスリン注射が必要であったり、認知症などで自己注射や管理が難しい。 | 在宅時は看護師が訪問して、血糖値の測定や注射をする。また、朝食前や夕食後に送迎することも可能。 |
胃ろうを造設後退院し、自宅での生活の継続を希望しているが、胃ろう注入などの毎日の対応が不安である。 | ご家族の外出時は、通いor泊まりを利用し、在宅時は看護師が訪問し、療養相談や手技の指導が可能。 |
長期入院後の退院で、介護力を含め自宅での生活に不安である。 | 在宅復帰の準備期間を設け、当初は泊まりを中心として、徐々に自宅での生活に移行していくことが可能。 |
ココファンの介護・宿泊介護施設の特徴
ココファンには魅力的な介護・宿泊介護施設があります。以下では、介護・宿泊介護施設の特徴をご紹介します。
ゆったりくつろげるデイルームや個室
介護・宿泊介護施設にあるデイルームは日中過ごす場所となっています。
ソファやテレビなどもあり、気軽にくつろぐことが可能であり、他の施設利用者との交流も図れる場となっています。
また、共用スペースであるデイルームとは別に、クローゼットや洗面台付きの宿泊用の個室も設営されています。
寝たきりの方に対応した機会浴室
自力での歩行や座ったままの姿勢を保つのが困難であったり、寝たきりの状態の方のためにストレッチャー浴ができる機械浴室も完備されています。
ストレッチャー浴とは、ストレッチャーに横たわったまま入浴する方法で、寝た状態で髪や体を洗ったり、湯船に浸かったりすることができます。
これによって、体への負担が軽減され、怪我の心配もなく、安心して快適に入浴することが期待できます。
ココファンの介護サービスをチェックする!看護小規模多機能型居宅介護まとめ
- 看護小規模多機能型居宅介護、通称看多機(かんたき)とは、「複合型サービス」として創設され、訪問看護、訪問介護、デイサービス、ショートステイの4つのサービスを1つに一体化させた地域密着型サービスである。
- 看多機(かんたき)は、医療や介護依存度が高くても、在宅での生活を希望する方や、介護者である家族の負担を軽減するのに適したサービスである。
- 対象者は、看護小規模多機能型居宅介護所在の(自治体)に住民票があり、かつ介護保険の要介護認定が要介護1~5の方である。
- 看多機(かんたき)は介護保険が適用され、原則1割負担である。
看護小規模多機能型居宅介護の魅力はなんといっても、4つのサービスを1つの事業所が提供することで、利用者の小さな変化にも気づきやすく、きめ細やかなサービスを提供することが可能な点にあります。
また、地域密着型サービスですので、家庭の関わりは勿論、地域住民との交流も期待できます。
ご利用をご検討の際は、まずは地域の事業所にご相談ください。
この記事は専門家に監修されています
介護支援専門員、介護福祉士
坂入郁子(さかいり いくこ)