ICUの看護師に向いている人は？役割や年収・患者の特徴を徹底解説

「ICU（集中治療室）の看護師の役割や仕事にはキツさがあるの？」

「ICU看護師は優秀じゃないとなれない？」

このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか？

ICU（集中治療室）では緊急度の高い患者を看護するため、常に緊張感を持って仕事をする必要があります。

先輩看護師からの指導が怖いという声も多く、精神的に疲れてしまう看護師が多いようです。

こちらの記事では、ICU看護師の仕事の内容や辞めたいと考える理由なども解説していくので、ぜひ参考にしてください！

ICU看護師の役割や仕事の特徴

ICUは「集中治療室」とも呼ばれる、生命に危機があり集中治療が必要な患者が入室する救急度の高い病棟を指します。

そのためICUの看護師の仕事は、患者の異常を早期発見したり手術後のケアまで多岐に渡る仕事をこなす必要があります。ICUで勤務すると、医療機器の操作や術後ケアなど高度な専門性を習得できます。

専門性の高い仕事を行っていることから、「ミニドクター」とも呼ばれることもあります。

病状が急変する患者のケア

ICUに入院するような、集中的に全身管理が必要だったり厳密な術後の管理が必要な患者は、容体が非常に不安定です。

緊急時に備えて多くの看護師が配置されているのが一般的ですが、実際に緊急の対応が必要になったら的確な判断とスピードが求められます。

特に、経験の浅いスタッフや入職して間もない看護師は「今回も何もできなかった」と感じてしまうことが多く、自分の無力感に悩んでしまうことがあります。

また、病状が急変する患者のケアには神経を使うので、精神的に疲れてしまう看護師も多いです。

緊急性の高い仕事

ICUでは緊急性の高い仕事を行う機会が多いので、一定の経験や知識が無いとスムーズに動けません。

現場では、緊急入室の時や容体急変の際に、医者が看護師に対して指示を出すことが多いですが、医療器具名や物品がすぐに理解できないと仕事になりません。

特に、ICU看護師になって間もない場合は、急変の対応もケースによって全て異なるため「自分は何をすれば良いのか」分からずに右往左往してしまうこともあります。

力になれずにもどかしさを感じることが多いので、「自分には向いていないかも」と感じて辞めたいと思う看護師は多いです。

患者の死に立ち会う場面も

集中治療を施して患者の命を救うICUでも、病状によっては患者の死が避けられないケースも往々にしてあります。

実際、ICUに勤めていると患者の死に立ち会うことも多いため、精神的に辛さを感じてしまうでしょう。

悲しみに暮れている家族に寄り添うケアをしなければならず、気持ちを切り替えられる精神的な強さが求められます。

夜勤が多い

ICUでは特定集中治療室管理料を算定するために、常に患者2名に対して看護師1名が担当することになっています。

夜勤であっても「患者2名につき看護師1名」の体制は維持されるため、自然と夜勤の回数は多くなる点が特徴的です。

先述のように、ICUでは常に緊張感を持って仕事に当たらなければならないので、張り詰めた現場で夜間に長時間働くことは身体的にも精神的にも大きな負担となるでしょう。

患者の家族のケア

ICUには意識がなく話すことができない患者もいますが、面会に来た患者の家族に対して病状や治療内容を説明しなければなりません。

患者の状況を伝えることや、家族の不安に対するケアも看護師の大切な仕事の一つです。

ICUでは病状が深刻な患者の治療をすることから、入院期間が長引くと、家族が心配してしまうのは当然のことです。

「いつ亡くなってしまうのか分からない」という不安を抱えている家族のケアを担当しなければならないので、患者の家族を精神的に支えるコミュニケーション能力も必要となります。

ICUの看護師の仕事できついと感じる理由

続いて、ICUの看護師が辞めたいと感じる理由について紹介していきます。

重症患者のケアをするという責任が重い

ICUのような、生死の境を彷徨ったり一刻を争う治療をしていくような現場では、看護師の判断が患者の病状を左右することも多くあります。

「自分のせいで助からない命があるかもしれない」というプレッシャーがあるので、重症患者のケアをするという特性が向かない人もいます。

特に、夜勤では医師は当直体制をとっているため、自分の臨機応変な対応が求められる場面も多いです。

他の診療科よりも責任が重いことで、精神的に疲弊してしまう看護師も少なくありません。

常に職場に緊迫感が走っている

ICUでは容体が不安定な患者のケアを担当するので、いつも緊張感が張りつめています。

仕事中にリラックスできる時間はほとんど無く、常に緊張感を持って仕事に当たらなければなりません。

薬剤の管理や医療機器の管理においてミスをしてしまうと、些細なミスでも患者の命に関わる恐れがあります。

スピードと正確性を両立させながら業務をこなしていく必要があるので、精神的に疲れやすい点は知っておきましょう。

勉強方法がわからない

そもそも、ICUに限らず看護師の仕事を続けていく限り、勉強が必要です。

最先端の治療や高度で専門性の高い治療を行うICUでは、特に覚える知識量が多い特徴があります。

ICUで必要となる知識は幅広く、外科系の手術後の患者の他にも内科、精神科、小児科など全ての科を対象とするため勉強範囲は膨大です。

能動的に学ぼうとする姿勢が求められ、肝心の勉強方法が分からずに困っている看護師では、ついていくことが難しいでしょう。

また、日々の業務が忙しいことに加えて継続して勉強することは簡単ではないので、達成感や満足感も得られずに辞めたいと感じる看護師もいます。

業務量が多く忙しい

ICUでは、入院中の患者のケアはもちろん、手術後患者の受け入れや患者の緊急入室などにも対応しなければなりません。

満床のICUに緊急入室を受け入れるためには、状態の安定している患者を一般病棟に転棟させる必要があります。入院用患者のベッドの準備や転棟準備に追われることもあるでしょう。

緊急対応の業務に加えて、患者への定期的なバイタルチェックや薬剤投与も行わなければならないので、業務量の多さに幻滅してしまう看護師も少なくありません。

仕事が積み重なってしまい、処理しきれないと心に余裕がなくなってしまうので、業務量の多さも大きなストレス要因と言えるでしょう。

先輩看護師が怖い

医療の仕事はチームで仕事を行っていくため、スタッフ同士の関係性やコミュニケーションが重要になってきます。

ICUでは小さなミスが患者の命に関わるため、先輩看護師からの指導も厳しくなる傾向にあります。

先輩看護師も緊張感を持って仕事をしているので悪気があるわけではありませんが、新人看護師からすると怖い印象がぬぐえず萎縮してしまうこともあるでしょう。

自分の成長のために厳しく指導をしていても、「自分だけに厳しくしている」と感じてしまうとストレスや恐怖感を覚えてしまうので、人間関係の悩みから辞めたいと思う看護師も多いのです。

患者との関わりが業務的である

病棟看護師であれば、看護している患者から直接感謝の言葉をもらえるケースが多々あったり、日常的にコミュニケーションを取ることができます。

しかし、ICUでは言葉でのコミュニケーションが困難な重篤患者も多くいるので、患者との関わりが業務的である特徴があります。

患者とのコミュニケーションや言葉を介した繋がりを大切にしたい看護師にとっては、イメージ通りの仕事ができずに辛い思いをしてしまうでしょう。

このように、患者との関わり方のイメージの違いからストレスを感じてしまう看護師も多くいます。

業務が多くきちんと研修を受けられない

スタッフが十分に多い病院であれば別ですが、忙しい業務が続くICUではじっくりと時間をかけて指導を行うことが難しい場合もあります。

重症患者が多いICUにおいて、十分な教育を受けないまま業務にあたると患者に危険が及んでしまいます。

また、自分の些細なミスで患者の命に関わってくるプレッシャーもあることから、看護師自身も精神的ストレスを感じてしまうでしょう。

患者のご家族へのサポートが負担に

ICUに入院した患者の家族は、患者の容体が日々変化することに大きな不安や精神的ストレスを抱えることになります。

特に、意識の無い患者の家族に対しては、これからの治療方法などの重要な意思決定を患者の家族が行わなくてはならないので、適宜看護師がフォローしなければなりません。

このように、患者の家族へのサポートが上手にできなかったり、不安を解消できないと看護師にとっても精神的に大きな負担となります。

精神的に疲れている患者の家族のフォローは重要な仕事ですが、看護師自身も精神的に辛くなってしまい「辞めたい」と感じるようになってしまうのです。

ICU看護師に向いている人の特徴

続いて、ICU看護師に向いている人の特徴を紹介していきます。

データから分析することが得意な人

重症患者の多いICUにおいては、患者の異変を早期に発見することが大切です。

ICU看護師には、医療機器や診察記録（カルテ）などのデータを元にしながら、容体の異常を早期に発見することが求められるので、データ分析が得意な人に向いています。

データを総合的に確認して患者の状態と照らし合わせながら、今後起こりうる状態変化に備えて頭の中で業務をシュミレーションする必要があります。

臨機応変な判断力がある人

ICUでは、患者の容体が急変することは珍しくなく、どのような措置を取ればいいのかを冷静に判断することが求められます。

日常業務をこなしながら緊急時には対応しなくてはならないので、瞬時に仕事に優先順位を付けて臨機応変に行動するスキルも重要です。

観察力が高い人

意識が無かったり言葉でのコミュニケーションが取れない患者も多くいるICUでは、観察力も重要なスキルです。

観察力があれば、容体の異変に素早く気付くことができるので、患者の救命に貢献できるケースもあるでしょう。

また、患者と家族の面会時間も限られているICUでは、患者の家族の精神的なケアも重要な仕事ですが、観察力があることで家族へ適切な説明ができるようになります。

ICU看護師を続けるメリット・デメリット

続いて、ICU看護師を続けるメリット・デメリットを見ていきましょう。

メリット

ICU看護師を続けるメリットは、以下のようなものが挙げられます。

看護に関する知識や技術が向上する

ICUでは最先端の医療機器を扱う機会が多いので、最新の医療機器の取り扱い方法や注意点について学ぶことができます。

また、ICU看護師は一般病棟で勤務する看護師よりも求められる知識量が多いため、看護師としてスキルアップしたい場合はピッタリでしょう。

さらに、ICUに勤務しているとモニターや人工呼吸器、各種ポンプなどの医療器具を多く用いるため、医療器具に関する勉強会へ参加する機会も多いです。

普段の業務でも学びが多いのはもちろん、勉強会に参加することで知識を深められるメリットがあります。

臨機応変に対応する力が身に付く

ICUに入院している患者は容体が日々変化しており、異変が生じたらすぐに対応しなければなりません。

異常の早期発見が求められるので観察力が培われるのはもちろん、状況に応じて適切に行動する臨機応変さも習得できます。

つまり、他の診療科の看護師よりも優れた判断力と臨機応変に対応できる力を鍛えることができるので、看護師として大きくレベルアップできるメリットがあります。

デメリット

逆にICUの看護師にもデメリットはあります。以下が代表的なものです。

少しのミスも許されないプレッシャーがかかる

ICUの中には重篤患者が多く容体が急変しやすいため、些細なミスも許されない環境と言えます。

自分の判断が患者に大きく影響してしまうので、常に大きなプレッシャーがかかる現場であることは知っておきましょう。

いつ患者の容体が急変するか分からないストレスはもちろん、常に患者の容体を確認しなくてはならないので、緊張感を持って働かなくてはなりません。

常に現場にはピリピリとした空気が流れているので、精神的に疲弊してしまう点には要注意です。

患者とのコミュニケーションが少ない

ICUに入院している患者には、話すことができずに意思疎通が困難な方が多くいます。

そのため、患者とコミュニケーションが取りづらく、一般病棟のようなイメージを持っているとギャップに驚いてしまうでしょう。

むしろ、患者本人よりも患者の家族のケアに割く必要があるので、患者とのコミュニケーション機会が少ないです。

知識として覚える量が多い

ICUは最先端の医療を扱う分野なので、勤務時間外でも新しい看護の知識を習得できるように努力しなければなりません。

スキルアップを目指している人であれば苦にはなりませんが、忙しい上に勉強も強いられるのはかなりきついのは確かです。

特に、新人看護師にとっては大きな負担になってしまうので、覚えなければならない知識が多い点に関してはあらかじめ覚悟しておきましょう。

ICU看護師の仕事を辞める基準とは

先述した対処法を試しても、辞めたい気持ちが変わらない場合は環境を変えることをおすすめします。

こちらのトピックでは、現職を辞めるという決断を下すときの目安となる基準を紹介していきます。

今の仕事が原因で体調に支障がある

ICU看護師としての仕事が原因で、体調不良やメンタル不調を起こしている場合は、退職を考えるタイミングと言えます。

体調の変化が見られる場合は決して無理をせず、ゆっくりと休んで今後の自分のキャリアについて熟考しましょう。

ICU看護師は人の命を預かる仕事である以上、常に最先端治療の知識が求められるので、新人看護師は課題を出されることも多くあります。

実際に、休日には図書館にずっとこもって勉強しているという新人看護師も少なくありません。リフレッシュするはずの休日にも勉強を詰め込んでいると、心身共に大きな負担がかかります。

精神や体力の限界を超えて頑張りすぎてしまうと体調を崩すリスクが高いので、自身の職業人生を守るためにも無理は厳禁です。

あなたは大丈夫？うつ病のサイン

うつ病のサインとしては下記のような愁訴が挙げられるので、もし当てはまるものがあれば要注意です。

• 憂鬱、気分が重い

• １日の中で楽しいと思う瞬間がない

• 疲れているはずなのに寝れない

• 常にイライラしている

• 思考が停止する

• 死にたいと思うことが多い

• 何か悪いことをしたように感じて自分を責める

（出典：厚生労働省）

一つでも当てはまるものがあれば、すぐに病院を受診して休むことをおすすめします。

その上で、上司などに相談して今後の計画（異動や休職、復帰プログラムなど）を話し合いましょう。

できれば医師の診断書を持参して、明確に病状を伝えると理解を得やすいです。

ICU看護師の他にやってみたい職種がある

現在の仕事の他に、自分がやってみたいと思う職種があるのであれば後悔しない内に挑戦することをおすすめします。

幸い、看護師は人手不足である上に看護師資格は国家資格なので、もしキャリアチェンジに失敗してしまったとしても復職がしやすいメリットがあります。

有効求人倍率を見てみても、職種全体の平均は1.1倍ですが看護師の有効求人倍率は2.62倍なので、人手不足の状況にあることは明らかです。

ブランクが長く復職する際に不安である場合は、ナースセンターで行われている復職のための研修を受講すると良いでしょう。

辞める決断をした時に取るべき行動

実際に退職･転職を決断した際に行うべきアクションについて確認しましょう。

異動願を提出する

異動先候補がある場合は、まず上司に相談してICU以外への異動願いを提出することをおすすめします。

同じ病院でも、科によって職場の雰囲気や業務内容は大きく変わるため、実質的に異動は転職にかなり近いと言えるでしょう。

環境を変えることで、再び看護師の仕事が好きになれるきっかけになる可能性もあるので、まずは異動という選択肢を探ってみてください。

他の病院へ転職する

今の勤務先の病院そのものが嫌な場合や、異動したことを同僚に知られたくない場合は、転職することをおすすめします。

ICU経験があると、転職に有利とされています。

転職先でも有望な人材として扱われる可能性が高いですが、職場をまるっと変えることになるので、職場の雰囲気などを細かく確認してミスマッチが無いようにしましょう。

他の職種を探してみる

自分の中で、看護師の仕事をやり切った充実感がある場合は、他の職種を検討してみても良いかもしれません。

先述のように、看護師資格と経験があれば復職は難しくないため、興味がある職種があれば積極的にチャレンジしてみることをおすすめします。

看護師経験で培われたコミュニケーション能力などを活かせる職場は多くあるので、ぜひ自身の適性を見ながら新天地を目指しましょう。

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ICU看護師の実態まとめ

ICUは専門的な知識やスキルが求められる特殊な職場なので、向き不向きがあるのは仕方のないことです。

実際に、心身が疲れて「辞めたい」と考えている看護師は多いので、もし自分自身も疲れを感じていたら転職も選択肢に入れることをおすすめします。

思い切って環境を変えれば新たな気持ちで頑張れる気力も湧くので、本記事で紹介した転職サイトやエージェントを参考に、新たなキャリアを構築してみてください。