保健師の仕事を辞めたい理由は?向いている人の特徴・おすすめの転職サイトなどを紹介
この記事は看護師に監修されています
看護師
城戸あき(しろと あき)
「保健師の仕事を辞めたいけど辞めてもいいのかな…」
「保健師の仕事は大変って本当?」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
業務量の多さで「疲れた」「大変だ」と感じている保健師も多くいます。
また、保健師の仕事にやりがいを感じられない人がいるという調査結果もあります。
こちらの記事では、保健師を辞めたいと思うきっかけや仕事が辛いと感じる理由などを解説していきます。
保健師の仕事に興味がある方や今保健師として働いている人に役立つ内容となっているので、ぜひ参考にしてください!
仕事にやりがいを感じられない保健師が非常に多い
孤独を感じやすく、自分の理想と職場の現状とのズレが大きなストレス要因
現状に不満がある場合は転職サイトを利用しよう
保健師を辞めたい理由に多いものは?
まずは、実際のアンケート結果を参考にしながら、保健師がなぜ仕事を辞めたいと思うのかを解説していきます。
保健師を辞めたい理由ランキング
日本公衆衛生学会によると、保健師を辞めたいと思う理由は下記のようになっています。
仕事に興味・やりがいを持てない:20.7%
体調(心身の健康など):12.9%
職場の人間関係:12.1%
給料・待遇:4.9%
キャリアアップなどのポジティブな理由ではなく、ほとんどの人が消極的な理由で退職したいと思っていることが分かります。
保健師は社会的に重要な役割を果たしているのは確かですが、やりがいを持てなかったり体調の不安などを理由に退職を検討する人が多いのです。
1位・仕事にやりがいがない
保健師の仕事は、病気を治療するのではなく「病気を予防すること」で、自分の仕事の効果を実感しにくいという特徴があります。
実際には非常に重要な役割を果たしているのですが、病気の予防は成果が分かりづらく、やりがいを感じるのが難しいのが実態です。
また、デスクワークや雑用などをこなさなければならないことも多いので、実際の医療現場に携わるのは稀です。
また、行政保健師は公務員としての身分を有して働いており、自治体側からある程度制限された働き方しかできないので、自由度が低いです。
やりたいことがあっても、制限があるせいで自分のやりたいことができないということがあるため、息苦しさを感じている保健師は多いと言えるでしょう。
2位・心身ともにきつい
「保健師助産師看護師法」によると、保健師は「保健指導に従事することを業とする者」と定義されています。
様々な病気を予防するための保健指導などを行うことから、誰にでもできる仕事ではなく、専門性が高いです。
また、コロナ禍の影響もあり多くの電話対応もしなければいけなくならないので、ここ数年は業務量が激増しています。
日常的に残業する人が多い上に、職場によっては残業代が出ない場合もあることから、恵まれない待遇で働いていると感じている保健師も少なくありません。
心身の負担に見合わない待遇が続くと、職場への不満が蓄積してしまいます。
3位・人間関係が悪い
保健師の人数が少なかったり、そもそも職場全体の人数が少ないなど、保健師の職場は人間関係が閉鎖的な雰囲気であることが多いです。
逆に、保健師の人数が多いと業務負担は軽くなるメリットがありますが、保健師同士でうまく連携がとれずにトラブルになってしまうことがあります。
つまり、いずれにしても人間関係のトラブルに悩まされてしまう保健師は多く、ストレスを感じて「辞めたい」と感じてしまうのです。
いじめや嫌がらせ、パワハラをはじめ、上司との関係に悩む保健師が多い実態は知っておきましょう。
4位・給与や待遇が悪い
保健師は心身共に体力を必要とする仕事ではありますが、その割には給料が安いと感じている保健師は多くいます。
公務員として働く行政保健師の場合は徐々に年収が上がっていく安心感がありますが、長期的に働いたとしても給料はあまり上がらないことが多いです。
保健師の年収は300万~500万円と、職場やキャリアによって様々ですが、仕事がハードで専門的な職務を担当している割には安いことは否めません。
また、職場によっては残業代が出ないこともあるので、給与や待遇の悪さから「辛い」と感じてしまうのです。
保健師を辞めたいと思う理由は他にも
上記の他にも、保健師を辞めたくなる理由は人によって様々です。
ここではその一部をご紹介していきます。
仕事でのミスが多い
保健師は公衆衛生や疾病予防などの業務に携わります。仕事のミスが多いと「保健師に向いていないのではないか?」と自信をなくしてしまいます。
保健師の仕事は特殊で社会的に重要な役割を果たしているので、ミスが続いてしまうと「自分には適性が無い」と感じてしまうケースが多いです。
特に、役所や保健所で働いていると、些細なミスをきっかけにクレームを繰り返す利用者への対応に迫られることもあります。クレーム対応がきっかけで、疲弊し自信を無くしてしまう保健師もいます。
孤独である
産業保健師は、職場によっては常駐している保健師が自分1人であることは珍しくなく、業務について誰にも相談できずに悩んでしまうこともあるようです。
保健師が自分一人だけだと、仕事について質問したり悩みを相談したりすることができないので、孤独を感じがちです。
一人で従業員の健康管理業務を行うことに、責任の重さを強く感じてしまう保健師もいます。
保健師として専門知識を持っているのが自分だけだと、職場内の保健師の仕事への理解が乏しく、孤独を感じやすくなるようです。
自分の理想と職場の現状とのズレ
保健師として、市井の人々の病気や疾病予防に努めたいと思っていても、雑用ばかり任されてしまっている保健師は多くいます。
自分のイメージに近い理想通りの働き方ができず、仕事そのものに幻滅してしまうことも多くあります。
自分の理想通りに働けないとモチベーションを失ってしまう上に、自分の仕事の理念と職場の方針がずれているとより大きなストレスを感じてしまうでしょう。
管理職でも縛りが多い
行政保健師は公務員の身分を有するため、管理職になったとしても自治体の就業規則やあらゆる制限を受けることになります。
他の職業であれば、管理職になれば比較的自由に動いたり自分のやりたいことができるケースが多いですが、保健師の場合は縛りが多いため柔軟な仕事ができません。
様々な制約を受けながら働くのは大きなストレスとなるので、勤務先を選ぶことも重要と言えます。
コロナの流行によって退職したくなった保健師も
コロナ禍において、保健所が多忙を極めている様子がクローズアップされています。
実際に、コロナの影響を受けて業務量が爆発的に増え、保健師を辞めたいと思う人の割合が増えていました。
自治労連の調査によると、新型コロナウイルスの影響を受けて、過労死ラインの80時間を超えて残業をした人は調査の回答をした保健所の全て(5府県5都市、約6万件の自治体)に存在していました。
また、月200時間以上の残業もどの自治体でも見られたことから、激務で非常に大変であったことが分かります。
未払い残業を見てみると「大幅にあった」と「少しあった」という回答を合わせると65.2%に上ることから、多くの保健師がサービス残業を強いられていることも分かります。
現在はコロナ禍も落ち着き、人手不足の状態はピーク時に比べて落ち着いていると考えられますが、今後もこういった感染症などの不測の事態で無理を強いられる可能性がないとは言い切れないでしょう。
コロナ禍での保健師の叫び
「知事の同居家族が濃厚接触者になったとき「濃厚接触者の隔離は廃止すべき」というメッセージを発信したため、保健所が自宅待機をお願いしても「したくない」「知事もしなくていいと言ってた」という人が後を絶ちません。軽率な発言で保健所が責められることをわかってほしいです。」
大阪府関係職員労働組合「コロナ禍での保健師の声」
「2年以上も夜間持ち帰り電話が続いています。電話がかかってこなくても緊張して熟睡できません。電話が鳴ると子どもを起こしてしまうのではないかということも気になります。夜間電話対応の専門部署を作ってほしいと言い続けていますが全く改善されません。もう心身ともに限界です。」
大阪府関係職員労働組合「コロナ禍での保健師の声」
「クレーム対応が続き、人格を否定されるような罵倒や危害を加えるかのような脅しもあり、心が折れそうになります。また、夜間のオンコールがかなりしんどく毎日が不安です。夜間対応しても翌日は通常勤務のため、心身ともに負担が大きいです。いつになったら改善されるんでしょうか。」
大阪府関係職員労働組合「コロナ禍での保健師の声」
保健師の給料はどれくらい?
続いて、保健師の給料水準を見ていきましょう。
平均年収は約451.1万円(令和5年調べ)
厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、保健師の平均年収は約451.1万円でした。
日本人の平均年収は約458万円なので、平均年収とほとんど変わらないと言えるでしょう。
ただし、保健師と一口に言っても、
行政保健師
病院保健師
産業保健師
学校保健師
行政で働く公務員保健師と民間企業で勤める保健師では、給料はかなり変わってきます。
なお、総務省の調査(令和3年地方公務員給与の実態)によると、地方公務員として働く行政保健師の平均年収は623.6万円でした。※賞与は月給×4か月分で計算
地方公務員として働く場合、そこそこの年収が稼げると言えるでしょう。
給与は種類や職場によって変わる
求人サイトに掲載されている保健師求人の平均を算出すると、下記のようになります。
病院保健師:300~450万円程度
学校保健師:400~450万円程度
産業保健師:300~600万円程度
上記の数字は全ての求人の平均なので、職場によって給与や待遇はかなり変わってきます。
例えば、大企業の産業保健師の中には年収が1,000万円以上の人もいるので、あくまでも参考程度にとどめておくと良いでしょう。
保健師の年収についてより詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。
保健師が向いている人の特徴
保健師が仕事を辞めたいと思う理由について解説してきましたが、続いて保健師が向いている人の特徴について見ていきましょう。
思いやりを持っている
保健師は、新生児や高齢者など様々な年代の人と接する職業です。障害を持つ方や精神疾患の治療中の方、高齢者の方など、利用者に対する思いやりの気持ちを持って働ける人が向いています。
ただ単に仕事をこなすだけでなく、相手の立場や心情を慮ったり、相手の話をしっかり聞いて丁寧に接することが求められます。
また、看護師と異なり、医師の指示に従うのではなく自分で考えて行動する場面も多いことから、自ら率先して動ける思考力や行動力も重要です。
洞察力がある
保健師は、対応する人の症状や病状などによってやり方を変えることが求められます。
利用者が求めていることに気付いてあげる観察力や洞察力が求められるので、これらのスキルに自信がある人は保健師に向いています。
保健師の重要な仕事は疾病予防です。相手の些細な変化に気付くことで、より病気を防ぐことができるので、観察力や洞察力が求められる場面は多くあります。
相手の立場になって考える
保健師は疾病予防や健康増進にあたって、様々なアドバイスをする機会が多くあります。
自分の価値観ばかり押しつけると相手に不信感を与えてしまうので、相手の立場に立った上で相手の気持ちを汲み取ることも重要です。
相手の意見や価値観を柔軟に受け入れたり、専門的な知見を生かした上で冷静に判断する力が求められますが、視野が広く相手の立場になって接することができる人は保健師に向いているでしょう。
コミュニケーションに自信がある
保健師の重要な仕事は、相談対応や必要に応じてアドバイスをすることです。
保健師は年齢や性別に関係なく老若男女と接することが他業界よりも多いため、どのような人が相手でも円滑にコミュニケーションを取れる人は向いています。
聞き上手であったり朗らかな雰囲気だったり、相手が相談をしやすいような環境を作ることに長けている人は総じてコミュニケーション能力が高いので、様々な現場で重宝されるでしょう。
ポジティブである
保健師は様々な人と関わる職業です。行政保健師は、事務員や他部署のスタッフと連携する機会も多く、人間関係が複雑になってしまいがちです。
人間関係にまつわるストレスを感じることも多い職業なので、細かいことを気にせずに受け流せるポジティブな人は保健師に向いています。
保健師の仕事をしていると、利用者に嫌なことを言われてしまうこともありますが、深く考えずに前向きな気持ちで働ける人は保健師適性があります。
保健師に向いていない人
続いて、保健師に向いていない人の特徴を見ていきましょう。
相手の立場になって考えない
保健師は相手のペースに合わせて相談したりコミュニケーションを取ることが非常に重要なので、相手の立場に立って物事を考えるのが苦手な人には向きません。
1人で黙々と作業をするのが好きな人や、思いやりや気配りに自信が無い人は、保健師の仕事が向いていない可能性が高いです。
周りに影響されやすい
保健師は、健康に関する相談に応じる際には自身が有している専門的な知識を活かすことが基本となります。
つまり、自分の意思を持って仕事に臨む必要があるので、周りの意見や雰囲気に影響されやすい人は保健師に向かない可能性が高いです。
保健師の仕事をする上で、公平性や倫理観をもち続けることは重要です。信念が無かったり、簡単にブレてしまうと信用も得られにくくなってしまうでしょう。
コミュニケーション能力が高くない
健康相談や保健指導だけで無く、メンタル面などの相談に乗ることも保健師の重要な仕事です。
そのため、コミュニケーション能力が高く、相手の悩みや問題の本質を捉えることが得意な人は、保健師に向いているでしょう。
相談者は「悩みを解決したい」「話を聞いてアドバイスが欲しい」と考えて相談しているので、コミュニケーション能力が低いと、信頼関係が築きにくくなります。
また、同僚の保健師や他のスタッフと協力して仕事を進めることも大切となるので、各方面でコミュニケーションは求められます。
頑固である
保健師は、自分の意見を押しつけるのでは無く、相手の意見を聞いて柔軟に対応することが求められます。
そのため、自分の意見や価値観を押しつけがちで頑固な性格の人は、保健師に向いていない可能性が高いです。
他人の意見を聞き入れないと信用は得られないので、頑固な人や柔軟な思考ができない人は要注意です。
保健師のやりがい
続いて、保健師の仕事のやりがいについて見ていきましょう。
様々なスキルが身につく
保健師は、勤務先によって対応する相手は異なります。行政保健師は住民、産業保健師は従業員、学校保健師は児童・生徒の健康管理やメンタルケアを行います。
効果的な相談をするためには、相手の話をじっくり聞き、観察して状況を把握しなければなりません。
そのため、基本的な看護のスキルはもちろん、コミュニケーション能力や柔軟な発想力といった様々なスキルが習得できるので、社会人として貴重な経験を積めるでしょう。
また、報告書や統計資料をまとめたり、健康についてのリーフレットを作成したりする機会も多いため、看護師よりもパソコンのスキルが身につきやすいです。
誇りに思える仕事である
保健師は人々の健康増進や疾病予防に貢献したり、相手の相談に応じる仕事を行います。
そのため、人々に信頼される職業であり、誇りに思える場面は多くあるでしょう。
相談相手から直接お礼を言われたり、市井の人たちの健康に関する不安を解消できるのは保健師ならではのメリットと言えます。
対応が褒められることがある
看護師は医師の指示通り動くことが求められますが、保健師は自分の判断で仕事をすることが多くあります。
つまり、自分で考えて必要な対応をしなければならないので、判断力が磨かれるという特徴もあります。
自分の判断が正しかった場合、周囲の人から感謝されたり自分自身に自信が持てるようになるので、仕事に対するモチベーションもアップするでしょう。
保健師を辞めたいと思ったら
やりがいと魅力が大きい保健師の仕事ですが、保健師を辞めたいと思ってしまうこともあるでしょう。
辞めたいと感じている場合は、まずはできることから少しずつ行動しつつ、自分が何に悩んでいるのか正確に把握することを意識してください。
公務員のメリットを考える
保健師の多くは、学校保健師や行政保健師など公務員として働いています。
公務員は融通が利かなかったり年功序列で閉鎖的という難点がありますが、福利厚生がしっかりしていて安心して働けるメリットがあります。
自身のキャリア展望を考えた際に、公務員を辞めることによるリスクとリターンを考えて、「本当に公務員のメリットが無くなってもいいのかどうか」を判断しましょう。
後で後悔しないか考える
人は疲れているとまともな判断ができないので、一旦休んで心身がフレッシュな状態で冷静に考えましょう。
感情のまま動き、仕事を辞めてから後悔しても取り返しは付かないので、保健師を辞めた際に被る最大リスクを把握した上で決断してください。
最大リスクが起きてしまうと人生が終わってしまう可能性がある(経済的事情など)場合、現在の仕事を辞めるべきではありません。
保健師を辞めたい理由を整理する
漠然と「保健師を辞めたい」と思っていても改善点は思い浮かばないので、辞めたいと感じている理由をはっきりさせることも重要です。
これにより気持ちが整理され、次にどのような場所に転職したいのかを考えやすくなるので、自分の仕事に対する価値観を再認識できます。
一度自分の価値観を整理しておくと、その後の転職活動の際にも役立つので、自身のキャリアについて考える良い機会にもなるでしょう。
保健師を続けてもいいと思う理由を整理する
「保健師という仕事が嫌」なのか「今の職場が嫌なのか」は非常に大きな違いです。
保健師の仕事そのものが嫌いでは無い場合、保健師を続けたいという理由をはっきりさせることで仕事へのモチベーションが蘇ることもあります。
仕事のモチベーションを高めておくと、その後の転職の際にもアピールポイントなどを整理しやすくなるメリットがあるので、保健師を続けてもいいと思う理由を整理することも有意義です。
仕事を休んでみる
多忙でなかなか休日が無く「疲れた」という人は、仕事を休むことで気持ちが落ち着くこともあります。
疲れが無いフレッシュな状態の方が正しい判断ができるようになるので、疲れを実感している場合はまずは休みましょう。
その上で、現職の不満に感じているポイントを整理して、職種を変えるべきか職場を変えるべきか判断していきましょう。
誰かに相談してみる
抱えている悩みについて、信頼できる同僚や知人と話すことで気持ちが軽くなったり頭が整理できることがあります。
1人で考えてしまうと、結論ありきで考えてしまったり狭い視野で独断的に決断をしてしまいがちなので、ベストな判断ができない可能性が高いです。
そのため、誰かに相談して第三者の意見も取り入れて、後悔の無い決断を下すようにしましょう。
また社外の人間に相談すれば、利害関係や職場内の固定観念にとらわれない、より客観的な意見が期待できます。
保健師を退職する基準
続いて、保健師を辞めてもいい理由について紹介していくので、仕事を辞めるべきか判断する基準として参考にしてください。
職場がブラック
残業時間が毎月数十時間に及んでいたり、休日出勤が多すぎるようなブラックな職場は速やかに離れましょう。
また、パワハラなどのハラスメントが横行しているなど、快適に働けないような職場は転職を積極的に考えた方が良いでしょう。
せっかく保健師という貴重な資格を持っているのですから、ブラックな環境に身を置かずに自分が心地よく働ける職場を探すのが得策です。
他の場所で挑戦したい
保健師はなかなかキャリアアップできない職業なので、キャリアに関する不安を抱えている場合も転職を検討すると良いでしょう。
「今の職場ではキャリアアップは難しい」と判断したら、様々な選択肢の中から転職先候補を物色してみてください。
興味がある分野があればどんどん挑戦して、自分の可能性を広げていきましょう。
心身ともに疲れた
休んでも疲れが取れなかったり精神状態が不安定に陥っているなど、心身の疲労が限界になっている場合も転職を考えるべきです。
なお、すぐに退職するのではなく、一旦休職して回復を待ってから復職するという可能性もあります。
厚生労働省が作成したストレスチェックで自分のストレス状態は簡単に把握できるので、辛い時は自分のストレスレベルを確認した上で積極的にストレス解消に向けて動きましょう。
やりがいがない
仕事に対するやりがいが感じられない場合は、燃え尽き症候群になってしまっている場合があります。
燃え尽き症候群とは、仕事を熱心に行っていたにも関わらず、急に仕事への意欲を失ってしまう状態を指します。仕事量の多い保健師に、この症状がみられることは珍しくないようです。
仕事を続ける上でやりがいは非常に重要です。やりがいが感じられないのであれば環境を変えることをおすすめします。
自分の理想の働き方を考えよう
先述したように、今の仕事を辞めたいと考えている方は、転職活動に着手することをおすすめします。
とはいえ、自分の理想の働き方を整理するのは簡単では無く、途中で混乱してしまうこともあるでしょう。
そのため、保健師としての転職を目指す場合は、まず自分の理想の働き方を下記のようにシンプルに考えてみてください。
安定した雇用・福利厚生を重視:公務員保健師
自分の仕事の裁量の広さを重視:産業保健師などの民間企業への就職
完全に自分のペースで働きたい:フリーランス
保健師は公務員としての働き方や民間企業への就職、フリーランスとしての働き方も可能です。
様々な選択肢から自分に合う形で働ける魅力的な仕事なので、この強みは最大限活かしましょう。
例えば、現在公務員保健師として勤務しており、融通の利かなさや年功序列の組織に嫌気がさしている場合は、自分の裁量で仕事を進められる民間企業やフリーランスとして働くことを検討しましょう。
自分が心地よく働くことが何よりも重要なので、難しく考えすぎずにシンプルに思考をまとめてみてください。
保健師から転職すると決断したら
それでは、保健師が退職を決断した際に、具体的にどのように動くべきかを解説していきます。
転職の条件を決める
転職活動を進める際には、自分の中で妥協できない条件をいくつか決めておくと良いでしょう。
これらの条件は転職活動の軸になるので、軸を作っておくことで転職先におけるミスマッチを防ぐことができます。
保健師の退職理由を整理した際に自分が優先したい条件は具体的に見えてくるので、「有給休暇取得率」「残業時間の目安」などの転職条件は整理しておくべきです。
コネを頼る
保健師の求人が少ないですが、志望者が多いため倍率も高くなりがちです。
そのため、看護学校時代の先輩や友人との繋がりや、コネを使って転職すると楽に情報を集められるでしょう。
ただし、あくまでも知り合いからの情報は客観性が乏しい場合があるため、転職サイトやエージェントを利用しながら情報を集めることも有意義です。
職場を見学してみる
職場を見学することで、表面上の条件以外の人間関係・職場環境などの雰囲気を掴めます。
転職後のミスマッチを起こしたくない場合、職場見学は必須と言えるでしょう。
スタッフの感じの良さやスタッフ間のコミュニケーション、清掃の行き届き具合などを確認して、心地よく働けそうか判断してください。
保健師自体をやめるかどうか考える
まずは、今の職場が嫌なのか保健師の仕事そのものが嫌なのかを整理しておきましょう。
保健師を辞めるか否かは、転職を進める際の大きな決断になるので、自身の価値観や仕事のやりがいなどを勘案して判断してください。
保健師資格を活かせる仕事は多くあるので、転職サイトなどを通じて様々な求人情報に目を通してみると良いでしょう。
保健師仲間に相談する
同じ保健師として働いている仲間に相談することで、転職する際の注意点や自分に向いている職場などに関するアドバイスをもらえる可能性があります。
特に、転職経験者の客観的なアドバイスは実体験に基づいている貴重な情報なので、転職に役立つでしょう。
なお、転職エージェントと話すことでも、自分の適性や強みを把握できるメリットがあるので、自分一人で考えずに多くの人と話してみてください。
保健師からの転職で持っていると良い資格
続いて、保健師から転職する際に持っていると有利になる資格を紹介していきます。
養護教諭
養護教諭とは保健室の先生を指しますが、生徒の健康管理や健康診断などを行っています。
大学・専門学校で勤める場合は保健師の資格のみで養護教諭になれますが、小・中・高校で勤める場合は養護教諭の資格が必要となります。
また、養護教諭の資格には一種免許と二種免許があり、4年制大学で学んだ場合と短大で学んだかで分けられています。
実際の仕事内容は同じですが、資格の種類によって雇用形態や給与が異なる場合があるようです。
なお、保健師の資格を持っている場合は、文部科学省の定めている単位を取得した上で各都道府県の教育委員会に申請するだけで養護教員二種免許を取得できます。
養護教諭の仕事内容については、こちらの記事でも解説しています。
産業カウンセラー
産業カウンセラーとは、企業で働いている人のカウンセリングを行う産業保健師向け資格です。
産業カウンセラーの資格を取得することで社員のメンタルヘルスのサポートを専門的に行うことができるようになるので、産業保健師としてのキャリアを検討している方は取得をおすすめします。
産業保健師として働いていれば簡単に取得可能なので、自身の市場価値を高めるためにも積極的に取得を目指してみてください。
健康運動指導士・健康運動実践指導者
健康運動指導士とは、個々人の心身の状態に合わせて効果的な運動プログラムを作れるようになる資格です。また、健康運動実践指導者は作成した運動プログラムに基づいて実際に指導するスキルを習得する資格です。
運動計画の立案が「健康運動指導士」、運動指導を行うのが「健康運動実践指導者」になります。
保健師が健康運動指導士や健康運動実践指導者の資格を持っていることで、特定保健指導の際に具体的な運動メニューを提案できます。そのほか、相談者の状況に合わせた運動計画を作成・指導できるため、健康指導の幅が広がるでしょう。
第一種衛生管理者
第一種衛生管理者は、学校や職場内における衛生管理を行うための資格です。
職場や学校の環境を整えて、病気やケガを未然に防ぐ役割を果たしており、保健師資格との相性も抜群です。
保健師資格を持っていると、都道府県労働局に書類を提出するだけで第一種衛生管理者の資格を取得できるので、取得しておくと良いでしょう。
なお、常時50人以上の労働者を使用する事業者には専属の衛生管理者を選任しなければならないので、資格の価値も高いです。
社会福祉士
社会福祉士は「ソーシャルワーカー」とも呼ばれる国家資格で、何らかの問題が原因で日常生活を送ることに困難な人の相談に乗っています。
実際に医療サービスを提供するのでは無く、状況に応じて福祉や健康医療サービスと連携しながら必要なサポートを受けられるように支援する仕事と言えるでしょう。
社会福祉士資格を得るまでには、専門の課程を履修する必要があり、数年の時間がかかってしまいますが、保健師と併せて取得しておけば働けるフィールドが格段に広がります。
介護福祉士
介護福祉士は、高齢者や障害を持つ方の介護に関わる専門的な知識を有していることを証明する資格です。
介護の現場で活躍するのはもちろん、高い知見を生かしてスタッフの育成にも携わるので、介護施設においては欠かせない存在と言えるでしょう。
なお、介護福祉士の資格取得ルートは下記の3通りがあります。
養成施設ルート:指定された2年以上の養成施設等を卒業後、介護福祉士試験を受験する
福祉系高校ルート:福祉系高校にて定められた科目・単位を取得して卒業し、介護福祉士試験を受験する
実務経験ルート:3年以上の実務経験と「実務者研修」を修了し、介護福祉士試験を受験する
介護分野でのキャリアを考えている方であれば、ぜひ介護福祉士資格の取得を目指してみてください。
こちらの記事でも介護福祉士の資格取得方法を解説しています。
ケアマネージャー
ケアマネージャーは、「介護支援専門員」とも呼ばれており、介護業界において欠かせない役割を果たしています。
ケアマネージャーは「ケアプラン」という介護サービスの計画書を作成しており、要介護者が必要な介護サービスを受けるためのトータルコーディネーターとして活躍しています。
今後高齢化が進んでいく日本において、ケアマネージャーの果たす役割と資格の価値はますます高まっていくでしょう。
介護業界での専門的な仕事に携わりたいと考えている場合は、ぜひケアマネージャー資格の取得を目指してみてください。
ケアマネージャーの資格取得に関して、こちらの記事で詳しく解説しています。
保健師も保健師以外の職業も探せる転職サイト3選
それでは、保健師から保健師へ転職する際にも、保健師から他の職業への転職する際にもおすすめの転職サイトを紹介していきます。
レバウェル看護(旧:看護のお仕事)
相談のしやすさNo.1
求人数は日本最大級の15万件
LINEでも相談可能
レバウェル看護(旧:看護のお仕事)は、相談のしやすさNo.1に選ばれており、サービスの信頼性は非常に高いです。
出典:看護師転職サイトを対象としたインターネット調査(株式会社エクスクリエ)
対応診療科目も、内科、外科、心療内科、美容皮膚科など幅広いので、自分のキャリアプランに合致する求人が見つかるでしょう。
ナース専科 転職(※旧ナース人材バンク)
※画像出典:ナース専科 転職(※旧ナース人材バンク)公式サイト
求人数20万件以上で業界最大級
累計100万人以上の看護師が利用
キャリアパートナーは看護師専門、地域専任
ナース専科 転職(※旧ナース人材バンク)は、累計で100万人以上の利用者がいる実績ある転職サイトです。
オリコン顧客満足度は3年連続でNo.1を誇り、サービスのクオリティに関しても申し分ありません。
出典:2025年 オリコン顧客満足度®調査 看護師転職
求人数は20万件以上(2024年10月時点)あり、病院やクリニックはもちろん、企業・学校などの求人も取り扱っています。
公務員看護師の求人も取り扱っているので、幅広い選択肢の中から自分に合った求人を見つけられるでしょう。
マイナビ看護師
※画像出典:マイナビ看護師公式サイト
看護師の転職サイト認知度No.1
大手人材紹介マイナビ運営で信頼度抜群
求人数80,000件以上(独占求人を含む)と豊富
マイナビ看護師は、大手人材紹介会社のマイナビが運営している看護師復職サイトで、認知度No.1に輝いています。
出典:看護師を対象とした人材紹介サービス14ブランドにおける調査結果(GMOリサーチ株式会社)(2021年7月)
独占求人を含む8万件以上(2024年10月)の求人を取り扱っているので、自分の希望に合致する復職場所を選べる強みがあります。
ホームページ上には、簡単な質問に答えるだけで自分の市場価値や強みを把握できる「年収診断」「自己PR診断」があるため、ぜひ利用してみてください。
医療機関だけでなく、一般企業や美容クリニック、介護施設などの求人もあるため、様々な選択肢から自分の希望に合う求人を探せます。
求人情報の読み方や応募書類の書き方のサポートをはじめ、条件交渉や日程調整まで代行してくれるので、ブランクがある方でも安心して復職活動できるでしょう。
保健師から転職して後悔・満足している人の体験談
最後に、保健師から転職して後悔している人の体験談を紹介していきます。
保健師から転職して後悔している人の体験談1
行政保健師の仕事に苦労してしまい、産業保健師として働いています。
行政保健師では公務員として働いていましたが、現在は今は時給制の契約社員なので待遇には大きな差があります。
昇給は期待できず退職金は無いので、将来的なことを考えれば行政保健師として我慢して働けば良かったと思うこともあります。
待遇面を考えるとやり切れない気持ちになるので、安易に公務員を捨てるべきではないと思いました。
保健師から転職して後悔している人の体験談2
行政保健師として約12年間働きましたが、日付が変わる頃までサービス残業することがしばしばありました。
激務でしたが、違う課に異動した後に身体も頭も動かなくなり鬱と診断され、休職を経て退職しました。
再就職を目指すにあたり、年齢制限があるので行政保健師は諦めましたが、30代後半で看護師に転職できました。
もし心身に限界を感じているようであれば、若い方が再就職に有利である以上、早めに転職を目指すことをおすすめします。
保健師から転職して満足している人の体験談
10年以上行政保健師として勤務して、子どもが産まれるまでは過労死ラインを超える残業や休日の持ち帰り仕事などをあまり前のようにこなしていました。
しかし、家事と子育てとのバランスが取れなくなり、本業以外のスキルアップの時間も確保できなくなったことで、転職を検討。
また、自分のスキルアップや夢の実現のために働く「パラレルキャリア」に出会ったことで、転職を決意しました。
公務員という身分を捨てることに反対する人は多くいましたが、自分の価値観を最優先に考えた結果なので、自分の中では満足しています!
保健師の仕事が辛い理由まとめ
人によって辛いと感じる理由は異なるが、悩みがある場合は転職を検討しよう
悩んでいる場合は、誰かに相談したり自分の価値観を整理することが重要
保健師を辞めるメリットとデメリットを勘案してキャリアを決めていこう
保健師経験を活かせる職種は多いので、転職という選択肢は常に持っておくのがおすすめ
保健師は安定した働けるメリットがありますが、仕事にやりがいがなかったり心身に限界を迎えるなど、様々な辛い面もあります。
社会的に果たしている役割は大きいですが、現職に不満を抱えている場合はメリットとデメリットを勘案してキャリアを考えてみてください。
こちらの記事で紹介した転職サイトはいずれも信頼できるサイトなので、上手に活用しながら様々な選択肢を検討すると良いでしょう。
この記事は看護師に監修されています
看護師
城戸あき(しろと あき)
国立病院・大学病院で消化器内科、整形外科、内分泌内科を経験。現在は子育てと両立できるようフリーランスに転身し、医療ライターとして活動中。