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准看護師とは|資格試験やなりかた・正看護師との違いも徹底解説

2024年10月28日
キャリアアップ

この記事は看護師に監修されています

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看護師

城戸あき(しろと あき)

「准看護師とはどのような仕事をするの?」

「正看護師と、業務内容や給料は違うの?」

このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

医療機関で活躍している准看護師はバイタルチェックや点滴・注射などを行うことはできますが、できないこともあります。

正看護師と混同されがちなので、准看護師に興味がある方は実態や特徴について知っておきましょう。

こちらの記事で、准看護師のなり方や正看護師との違いなどを紹介していきますので、准看護師に興味がある方は参考にしてください!

准看護師についてざっくり説明すると
  • 看護師と同じように、医師の指示に従いながら注射などの医療を提供している

  • 制看護師にはできても、准看護師にはできないこともある

  • 准看護師資格を取得しておけば、ステップアップに繋がる

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准看護師の基本情報

准看護師とは

准看護師免許は都道府県知事が発行している資格です

医師や看護師の指示に従いながら看護や診療補助を行います。 知識や経験を積み、病院やクリニックなどの医療施設はもちろん、保育園や介護施設など幅広い場所で活躍できる点が魅力と言えるでしょう。

厚生労働省の「令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、准看護師の就業者数は全国で約25万人で近年は減少傾向にあります。

看護師を目指す人が増えたことで准看護師の数が減っていることが原因で、その反面正看護師の数は右肩上がりに増えています。 看護師は女性比率が圧倒的に高いものの、以下のグラフのように、男性看護師も少しずつ増えてきているので、性別に関係なく働ける仕事と言えるでしょう。

准看護師人数

准看護師の歴史は大戦後まで遡る

准看護師という仕事は、戦後間もない昭和26年に誕生しました。

当時は高校へ進学する女性が少なく、高卒資格が必要となる看護師は思うように増えなかったため、医療機関で働く人材を増やすために准看護師が設けられました。

戦後復興と共に病院の数が急速に増えた一方で看護師が集まらなかったため、医療現場を整備するために資格取得の要件が緩い准看護師が設けられたのです。

しかし、現在では高校進学率も高くなったことに加えて医療技術が高度化していることから、准看護師よりも自己判断で業務のできる看護師の需要が高まりつつあります

准看護師資格を取得して実務経験を積むことで看護師への道が拓けるので、看護師へのキャリアアップとして、まずは准看護師資格を取得するという人もいます。

准看護師と正看護師の違い

准看護師と正看護師の違い

続いて、准看護師と正看護師の違いやできること・できないことについて解説していきます。

准看護師と正看護師の大きな違いは「自立して業務ができるか否か」にあり、正看護師は自らの判断で看護業務を行うことができます。

一方で、准看護師は自ら判断して注射などの看護業務を行うことができず、医師や看護師などの指示を受けなければ看護業務を行うことができません。また、正看護師と准看護師の免許や資格取得の要求項目も異なっています。

正看護師の免許は厚生労働大臣のもとで発行されている一方で、准看護師は都道府県知事が発行しています。

また、それぞれの要求水準は以下のようになっています。

○看護師と准看護師の教育の基本的考え方(看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン※)

・看護師 :「科学的根拠に基づいた看護の実践に必要な臨床判断を行うための基礎的能力を養う」等

・准看護師:「医師、歯科医師、又は看護師の指示のもとに、療養上の世話や診療の補助を、対象者の安楽を配慮し安全に実施することができる能力を養う」等

出典:「看護業務基準」(日本看護協会)

業務内容はほぼ変わらない

先述したように、制度上は准看護師と正看護師では仕事内容などに大きな違いがあります。

しかし、実際に医療機関に看護師として勤める場合、仕事内容や携わる範囲はほとんど変わりません。手術の補助やカルテ入力など、看護師が行う全般的な業務は准看護師でも基本的に全てできるようになる必要がありますが、実務を通じてこれらのスキルは習得できます。 なお、実際に准看護師は下記のような業務を行っています。

  • 血圧・脈拍・体温の測定

  • 採血・点滴路の確保

  • 排泄介助

  • シーツ交換

  • 手術・処置の補助

  • 夜勤巡回、夜間患者対応

  • 患者送迎

  • 点滴の作成、投与

  • 食事介助

  • 入浴介助

  • 配薬、セット

  • 体位変換

  • カンファレンス参加

  • カルテ入力業務

准看護師にできないことは?

看護師にはできる一方で准看護師にはできないこととして、具体的には下記のような業務があります。

  • 自己判断による看護業務

  • 他の看護師・准看護師への指示

  • 管理職への昇進

  • 看護計画の立案

准看護師として働きながら、キャリアアップやステップアップを目指している人は看護師資格の取得が必須と言えるでしょう

准看護師は専門職ではありますが、医療判断や管理業務ではなく、あくまでも「医療行為やケアをするスタッフ」としての役割が求められているため、できることに制限が設けられているわけです。

准看護師になるには免許取得が必要

准看護師になるまで

准看護師になるには、准看護師試験に合格して都道府県知事が発行する免許を取得する必要があります。 なお、准看護師試験の受験資格を得るためには下記の2つのルートがあります。

  1. 高校卒業後に、准看護師養成所で2年間の課程を修了する

  2. 中学卒業後に准看護師養成所で2年間の課程を修了する、または高校衛生看護学校で3年の課程を修める

また、例外的な事由ではありますが、海外の看護師資格を持っている人や海外の看護師養成所を出た人に対しても受験資格が与えられることがあります。

准看護師の試験について

それでは、准看護師試験の概要について見ていきましょう。

試験日程

准看護師の試験は各都道府県で行われており、試験時期は毎年2月の上旬~中旬です。

都道府県ごとに試験日程は異なるため事前の確認は必須ですが、複数の都道府県で受験することも可能です。

また、その他の日程は下記のようになっています。

  • 10月~12月頃:願書等提出

  • 2月上旬~中旬頃:試験

  • 3月上旬~中旬頃:合格発表

試験内容

試験の実施主体は各都道府県なので、准看護師試験の試験内容は各都道府県で異なります。

しかし、下記に列挙している科目の中から「1問1点で150問が出る」という点は全国共通です。

  • 人体の仕組みと働き

  • 食生活と栄養

  • 薬物と看護

  • 疾病の成り立ち

  • 感染と予防

  • 看護と倫理

  • 患者の心理

  • 保健医療福祉の仕組み

  • 看護と法律

  • 基礎看護

  • 成人看護

  • 老年看護

  • 母子看護及び精神看護

試験範囲は広いですが、「浅く広く」出題されるのですべての科目を満遍なく勉強しましょう。

合格率

准看護師の合格率

准看護師試験の合格率は96%~99%程度になっているので、ほぼ全員が合格しています。

正看護師資格の合格率が約90%となっているので、准看護師の資格は正看護師よりも取得しやすいと言えるでしょう。養成課程を履修し、コツコツと勉強に取り組んでいる限り合格の可能性は高いです。医療関係の就職を検討している方にとって目指しやすい資格と言えます。

准看護師から正看護師になれる?

准看護師の中には「正看護師にステップアップしたい!」と考えている人が多くいます。

准看護師から正看護師になるには、2年制の看護師養成所での課程を修了し、毎年2月に行われる看護師試験に合格して看護師免許を取得する必要があります。

看護師養成所には「全日制」「定時制」「通信制」の3つがありますが、どのタイプの養成所に通ったのかで受験資格が変わります。

全日制・定時制の養成課程を修了した方の受験資格は、中学卒業と高校卒業どちらで准看護師になったのかで変わります。高卒の場合は、准看護師免許があれば看護師養成所に通うことが可能です。一方で中卒の場合は3年以上の実務経験が必要です。

通信制を修了して准看護師になった場合、准看護師として7年以上の実務経験が求められています。

准看護師試験合格後

上記の内容を見て分かるように、准看護師から正看護師でステップアップするためには再度養成所に通わなければならないので、始めから看護師を目指すほうが効率的と言えるでしょう。

准看護師のメリット

続いて、准看護師資格を取得するメリットについて見ていきましょう。

合格率が高く複数回の受験も可能

先述したように、准看護師資格は合格率が高い上に他の都道府県での複数受験も可能です。

准看護師試験は各都道府県(6ブロック)で開催されているので、不安な場合は複数受験を申し込んでおくと良いでしょう。 合格率を踏まえると複数受験しなくても合格できる可能性が非常に高いですが、不安が強い場合には複数受験できる点も大きな魅力です。

短期間・低コストで免許取得可能

准看護師は、看護師よりも資格を取る期間が短い上に低コストで取得できるメリットがあります。

具体的には、准看護師資格のトータルの取得費用は約100万円程度ですが、看護師は200~300万円程度かかるケースが一般的です。

そのため、できるだけ早く看護職の仕事に就きたいと考えている方であれば、取得までのハードルがより低い准看護師がおすすめです。

働きながら資格取得も可能

准看護師養成所には全日制のものと半日制のものがありますが、現に働いている方でも通学して資格取得が可能です。

一般的に、全日制であれば週3日・半日制であれば週5日程度の授業がある場合が多く、奨学金制度も充実しているので、パートやアルバイトで働きつつ准看護師資格の取得を目指す人も多くいます。ただし、2年次には病院での実習が行われるので、スケジュールの調整が必要になる点は留意しましょう。

求人数も多く就職に困らない

看護業界は慢性的に人手不足の状況で、経験のある准看護師資格を持っている人は即戦力として歓迎されやすいです。

実際に、ハローワークや転職サイトでも看護師や准看護師を募集する求人は多くあるので、有資格者であれば就職に困ることはないでしょう。 高齢化が進むにつれて医療現場のニーズは高まっていくので、今後も准看護師の就職先に困る可能性は低いと言えます

准看護師の職場

准看護師職場

准看護師の主な職場は病院やクリニックで、これだけで7割近くを占めています。

次いで多いのが介護保険施設となっており、高齢化が進む日本ではますます介護施設における准看護師向け求人は増えていくでしょう。

介護保険施設で働く割合が高い点は、看護師にはなく准看護師ならではの特徴です。介護業界に興味がある方は、准看護師資格も大きな武器となります。

病院の仕事内容

病院とは、一般的に複数の診療科と20以上の病床を持つ医療機関を指し、准看護師が最も多く所属している勤務先です。

配属された診療科によって業務内容に差はありますが、患者対応や医療処置、カルテの記入などが主な業務となります

実務経験を通じて、配属された診療科ならではの専門知識を習得できるので、看護師のステップアップを目指す人に最適です。

クリニックの仕事内容

クリニックとは「病院以外の医療機関」というイメージで、特定の診療科目の医療を提供している外来診療をメインとした医療機関です。

入院設備の無い医療機関や19以下の病床を持つ小規模な医療機関を指すので、町中のクリニックなどが該当します。 クリニックで働く場合は、問診や検査の説明、採血、注射などの一般的な診療補助を行います

また、規模の小さいクリニックでは会計や受付などを任されることもあります。

介護施設の仕事内容

老人ホームなどの介護施設では、高齢者の方の健康管理や維持のための看護業務を行います。

バイタルチェックや看護記録の作成など、施設を利用する方の健康管理に加えて必要に応じて生活介助などの介護業務も行います。

一般的な介護施設の場合は夜勤があるケースが多いですが、施設によって夜勤の有無や准看護師に求められる役割は異なるので、事前に確認しておきましょう。

准看護師の一日例を紹介

次に、准看護師の仕事は実際どのようなものなのか、一日の勤務スケジュールを例に紹介していきます。

日勤の場合

まずは、二交代制の病棟勤務における一般的な准看護師の日勤スケジュールを見てみましょう。

2交替制日勤の准看護師のスケジュール

夜勤の場合

次に、二交代制の病棟勤務における一般的な准看護師の夜勤スケジュールを見てみましょう。

2交替制夜勤の准看護師のスケジュール

休日

病院で働く准看護師は、時間や曜日に関係なく出勤することになります。

そのため、土日休みのような決まった曜日に休むのではなく、シフト制が組まれているケースがほとんどです。 夏期休暇は交代で取得するなどして年間休日数を確保している医療機関が多いので、思っているよりも長期休暇は取りやすい場合が多いです。

准看護師の給料

厚生労働省が公表している「令和5年賃金構造等基本統計調査」によると、准看護師の全国的な平均年収は約407万円でした。 なお、月収や賞与も含めた給与は下記のようになっています。

月収

賞与

年収

約28.7万円

約63万円

約407万円

国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、日本全体の平均年収約458万円なので、全国平均と比較すると准看護師の収入は平均より少し下回っている程度といえるでしょう。 上記の年収は基本給に賞与や残業・夜勤手当を含んだ数値ですが、勤務先の規模や勤続年数などは考慮していないので、あくまで目安程度に留めておくのが無難です。

看護師などの上位資格との比較

厚生労働省「令和5年 賃金構造基本統計調査」によると、看護師などの上位資格と年収を比較すると下記の表のようになります。

職種

年収

看護師

約508.1万円

准看護師

約407.1万円

助産師

約584.2万円(令和4年)

保健師

約515.8万円

看護師などの准看護師の上位に位置する職種は、国家資格を必要とすることもあり准看護師と比較すると年収が高いです。

また、女性しかなることができない助産師は難易度が高く仕事もハードなので、上記の表の中でもずば抜けて年収が高いことが分かります。

准看護師の給料は低く見えてしまいますが、看護師資格などを取得してキャリアアップできれば給料がアップするので、医療業界でのキャリアを考えている方は取得を目指す価値があります。

准看護師の将来性は?

医療従事者は常に需要があり、准看護師の資格や経験をもっている人が就職先に困る可能性は低いです。

しかし、1990年代から准看護師制度の廃止についてたびたび議論されていることも事実です。現に、准看護師の養成学校は年々減少しています。

高齢化が進行する日本では、医療従事者のニーズは高まっていくものと思われますが、准看護師の長期的な需要については不透明な部分があります。

しかし、准看護師は看護師よりも資格取得にかかる期間や費用を抑えられる魅力があるので、手始めに取得を目指す資格としては最適なレベル感です。

准看護師を取得して実務経験を積んでおくと、将来的に看護師を目指すことも可能となります。看護師へのキャリアアップを検討している方には目指しやすい資格と言えるでしょう。

医療・福祉業界は将来性が高く、市場規模も広がっていくと考えられるので、まずは准看護師を取得し、働きながらキャリアを模索していくことも可能です

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この記事は看護師に監修されています

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看護師

城戸あき(しろと あき)

国立病院・大学病院で消化器内科、整形外科、内分泌内科を経験。現在は子育てと両立できるようフリーランスに転身し、医療ライターとして活動中。