看護師の給料が高い病院の特徴|年収の水準や給料の良い病院に転職する方法を紹介
この記事は看護師に監修されています
看護師
城戸あき(しろと あき)
「看護師の給料が高い病院の特徴を知りたい!」
「給料の良い求人を探すコツはあるの?」
このような疑問をお持ちの看護師の方も多いのではないでしょうか?
基本的に、看護師の平均年収は全職種の平均と比較すると高いですが、職場の規模や勤務エリアによっても影響を受けます。そのため、全ての看護師が高年収というわけではなく、より高い給料を求めている看護師の方も多いのではないでしょうか。
しかし、どのような病院で働けば高収入を得られるのか、具体的な特徴や転職方法がわからず悩んでいる方も少なくありません。
本記事では、看護師の給料が高い病院の特徴や年収の水準、そして給料の良い病院への転職方法を詳しく解説します。
大規模病院や専門病院、夜勤手当の高い職場など、具体的な条件を知ることで、あなたの希望に合った高収入が期待できる職場を見つけるヒントが得られるでしょう。
「もっと高年収を狙いたい!」と考えている看護師の方にとって役立つ内容となっているので、ぜひ最後までご覧ください!
勤務している病院の運営元や財務状況によって差が生まれる
大規模な病院になればなるほど年収は高い傾向
資格取得などを通じて年収アップを目指す方法もある
看護師の給料が高い病院の特徴
看護師の収入は勤務している病院の運営元や財務状況によって大きな差が出ます。
勤続年数が10年の看護師(31~32歳、非管理職)の平均月収について、運営元ごとにまとめると下記の表のようになります。
上記の表の看護師全体の平均月収は32.4万円程度ですが、上記の表を見ると多くの職場で平均収入を上回っているように見えます。
しかし、看護師の職場の多くは医療法人であるため、実はほとんどの看護師の年収は上表の中でも最下層です。
また、「平均」という仕組みからも分かるように、私立学校法人や日本赤十字社などの高収入の職場が、看護師の平均年収を上げている可能性もあります。
私立学校法人の病院はボーナスが多い
働く地域によって差は出るものの、大規模な私立大学病院や大学病院は高度医療を扱っており医療レベルも高いため、全国から患者が来ます。
患者数が多ければ収入基盤が整っていることを意味するので、私立大学病院は収入が高くなりがちです。
特に魅力的なのはボーナスの支給額で、看護師にも専門性が求められることから、私立学校法人のボーナスは国立病院と比べて高額です。
勤務先によっては4~6ヶ月分のボーナスが出ることもあるので、非常に手厚いと言えるでしょう。
私立学校法人では独自の規定によって給与やボーナスが決まるため、経営状態が給料に反映されやすい点が大きな特徴と言えるでしょう。
国立・公立病院は福利厚生が魅力
国立・公立病院で勤める場合は公務員として働くことになるので、手当や福利厚生が充実している魅力があります。
給与面が安定している魅力がありますが、国立・公立病院は特に福利厚生が充実している点が大きな強みです。
地域手当や寒冷地手当などをはじめとした諸手当だけでなく、退職金などが充実しているので、金銭的な不安を抱くことは少ないでしょう。
また、給与は規定に従って決まる仕組みで、大幅な昇給は期待できないものの勤続年数を重ねることで着実に昇給できるため、安定して高収入を求める人に向いています。
大企業の系列病院
大手企業グループが運営している病院も財務基盤が安定しているので、看護師の給料も高い傾向にあります。
しっかりと整備された規定に則って給料が支給されるので、安定している強みに加えて諸手当が充実している点も魅力です。
また、企業に関連した福利厚生が受けられるメリットもあるので、高い給料を得つつ企業独自のサービスを利用できるでしょう。
大規模な病院
大規模な病院ほど給料が高い水準にありますが、病床数ごとに分けた看護師の給料が下記の表のようになっています。平均月収は勤続年数が10年の看護師(31~32歳、非管理職)のデータとなります。
上記のように、病床数が多いほど(つまり、規模が大きいほど)給料も高い傾向がありますが、これは財政基盤がしっかりしている点が背景にあります。
多くのスタッフを揃える必要があることから、好待遇で看護師を雇用していることも大きな理由となっています。
経営が上手くいっている病院
経営状態が良い病院は財務が安定しているので、働いている看護師に払う給料も高くなる傾向にあります。
経営が上手くいっている病院の特徴を紹介していくので、参考にしてください。
労働環境が良い
有給休暇取得率が高い職場をはじめ、労働環境が良い職場は経営がうまくいっている可能性が高いです。
他にも、労働環境が良い病院の特徴として「フレックス勤務や時短勤務を取り入れるなど、雇用形態が柔軟」という点が挙げられます。
経営が上手くいっていないと、労働者の次堂に合わせられる柔軟な働き方を実現できないので、労働環境が良い職場は自然と給与面も充実します。
昇給が期待できる
医療業界は、一般企業と比較すると職場ごとに昇給率の差が大きい特徴があるので、昇給が期待できるかどうかも重要なポイントです。
つまり、経営が上手くいっていない医療機関の場合は昇給が無かったり、あったとしても非常に金額が小さいです。
そのため、事前に昇給制度の有無を確認して経営状態の良し悪しを見極めるようにしましょう。
労働組合がある
労働組合とは、企業(病院)に対して労働条件の改善などの交渉を行う団体ですが、労働組合の有無も確認するべきポイントです。
一般的に、労働組合が組織されている職場は働きやすい環境が整備されている可能性が高いので、求人情報などで労働組合の有無をチェックしましょう。
公立病院や大規模病院には労働組合がある可能性が高く、小規模な病院・クリニックでは労働組合が無い可能性が高いです。
評価基準が分かるようになっている
病院に限った話ではありませんが、社員や従業員を適正に評価するためのシステムが整備されているかどうかも確認しましょう。
実際に、約63%の病院で人事評価が実施されており、その内57%が賃金処遇と連動しているという調査結果もあります。
評価基準は収入や出世にも影響する非常に重要なものなので、基準が明らかになっているかどうかも、経営が上手くいっているか判断するための材料となります。
昇格先の役職が充実している病院
給料アップを実現するためには、看護師長や部長クラスなどの役職を目指すことも効果的な手段です。
そのため、そもそも昇格先の役職が充実している病院を選ぶことが重要と言えるでしょう。
なお、一般的な看護師のキャリアパスは、
看護副師長
看護師長
看護副部長
看護部長
上記のような順となっていますが、そもそも上記のようなポストが無い職場もあるので、事前に確認しましょう。
管理職へ昇進するためには、自分自身に確かな知識やスキルがあるのはもちろんですが、周囲から信頼を得ていたり十分な経験を積んでいる必要があります。
管理職になれれば管理職手当が支給されるようになるので、ポストが豊富にある病院を探しましょう。
看護師の役職について、以下の記事で解説しています。
緊急性が高い患者を扱う病院
病院の分類の中には、24時間体制で救急患者を受け入れる「二次救急指定病院」があります。
二次救急指定病院では、急患に対して手術対応や入院加療を行うことから、「対応可能な医師が常駐している」などの要件を満たしている必要があります。
特に、手術を行う機会が多い病院や診療科は収益が高く、看護師に還元できる体力もあることから、給料も高くなる傾向にあります。
郊外の療養型病院
都市部ではなく、郊外にある療養型病院も収入水準が高い傾向にあります。
療養型病院は、慢性期の患者や長期に渡るケアやリハビリが必要な患者が入院する病院で、地域医療において重要な役割を果たしています。
一般的に、療養型病院では看護師を集めるために待遇を良くしたり、残業が少なくワークライフバランスを実現しやすい点が特徴です。
また、郊外では都心部よりも医療スタッフが集まりにくい特徴があることから、病院サイドとしても人手を確保するために給料を高く設定している事情があります。
高レベルのスキルを求められる診療科
高レベルのスキルを求められる診療科で勤務する場合も、高い収入を得られるチャンスがあります。
高いスキルが求められる代表的な診療科としては透析科が挙げられますが、透析科の看護師は
機械操作
プライミング
穿刺
抜針
止血
など、特殊なスキルが求められています。
特殊なスキルが求められる場合は、関連した手当が支給されることもあるので、経験が浅い看護師でも高年収が狙えるチャンスがあります。
美容クリニック
近年は、高い年収を求めて美容クリニックに転職する看護師も多いです。
美容クリニックとして、美容外科や美容皮膚科などが挙げられますが、これらのクリニックが提供しているサービスは保険適用外の自由診療なので、価格を自分たちで決定できます。
近年は男性にも美容関連のサービスは人気を集めていることもあり、美容クリニックは収益性が高い特徴があります。
クリニックの方針や業績によって給料変わりますが、病院やクリニックで勤務する場合よりも良い労働条件で働ける可能性が高いので、魅力的な選択肢と言えるでしょう。
また、給与制度に「インセンティブ制度」がある場合は売り上げ次第で高収入が狙えるので、営業力やコミュニケーション能力に自信がある人におすすめです。
自分の職場を評価しよう
職場によっては「人事評価シート」など、労働者の昇給や昇進を判断するためのシートを用意しているところもあるでしょう。
これは、自己評価を通じて「会社が労働者を評価する」ものですが、逆に「労働者も会社を評価する」という視点を持つことも重要です。
例えば、自分自身の知識やスキルが高まっているのに、収入が変わらなかったり「上が詰まっているから」という理由で昇進できない場合は、環境を変えることも検討しましょう。
もし自分自身が100のアウトプットをしているのに、80しか評価してくれないような職場にいるのであれば、自分の能力を無駄遣いしていることに他なりません。
自分自身を適正に評価できない職場には早々に見切りをつけて、正しく評価してくれる職場へ移る方が精神衛生上も良いでしょう。
看護師の平均年収はどのくらい?
勤務先によって給与水準が異なるので、自身の給与が高いか見極めるためにも一般的な平均年収を知っておく必要があります。
こちらのトピックでは、看護師の平均年収や地域別・年代別の違いなどを解説していきます。
看護師の平均年収
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、看護師の平均月収は約35万円、平均賞与は約86万円です。平均年収については約508万円という結果でした。(年収は月給を1年分計算して賞与を足して算出)
ただし、月収・年収は総支給額なので、手取りの金額は総支給額の7割程度になります。
日本人の平均年収は約461万円であることを考えると、看護師という大きな括りで見ると、平均年収は高い仕事と言えます。
看護師の平均年収に関しては、以下の記事でより詳しく解説しています。
年代別の差はあまり大きくない
令和4年賃金構造基本統計調査を参考に、年代別に看護師の給料を見てみると下記の表のようになります。
看護師の平均年収は、20代前半から徐々に増えて50代後半でピークを迎えるのが一般的です。
60代を過ぎてからは再雇用で働くケースが増えることから、年収が減少傾向にあるものの、看護師は人手不足ということもあり、安定して働ける強みがあります。
また、全体的に年代の変化による給料の上がり幅はそれほど大きくなく、年代別で爆発的に増えたり減ったりすることはありません。
夜勤手当が収入に占める割合
病院で勤務している看護師は夜勤手当が支給されますが、平均で毎月3~5万円程度の夜勤手当が支払われています。
年額に換算すると36~60万円程度になることから、看護師の収入における夜勤手当の占める割合は約10%とかなり大きいことが分かります。
先述したように、一般的な年収よりも看護師の年収は高いですが、夜勤手当が年収アップに大きく貢献しているという背景もあるのです。
准看護師の収入はどのくらい?
看護師の下位資格に准看護師がありますが、厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、准看護師の平均月収は約29.6万円、賞与は約62.7万円でした。
年収に換算すると約417.9万円となることから、准看護師は看護師よりも年収がかなり低くなることが分かります。
なお、准看護師についても男女差は大きくなく、男性准看護師の年収は427万0300円、女性准看護師の年収は417万0900円となっています。
給料の良い都道府県はどこ?
続いて、給料の良い都道府県を知るために、地域別の給与水準を見ていきましょう。
トップとワーストをランキングで紹介していくので、参考にしてください。
都道府県別給料ランキングTOP5
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、平均年収が高い都道府県ランキングは下記の表のようになっています。
看護師の給料が高い地域として、
大都市である
人口に対して看護師が少ない
上記の2点が挙げられます。
1つ目の条件に該当するエリアとしては、神奈川や東京、大阪などが挙げられますが、3~5位は大都市と言えるでしょう。
理由としては、単純に地域の給与水準が高いためであり、物価や家賃などの影響も加味されています。
2つ目の条件に該当するエリアとしては、ランキング1位と2位の岐阜県や青森県が挙げられます。
看護師が不足している地域は、医療提供を確保するためにも看護師の雇用は急務であることから、待遇の改善を通じて看護師を呼び込もうとしていると考えられます。
なお、これらの地域は給与水準が高いわけではないため、看護師は比較的高収入な仕事として見られるでしょう。
都道府県別給料ランキングTOP5
続いて、平均年収が低い都道府県ランキングについて見ていきましょう。
上記のように、看護師の平均年収が低い地域は四国や九州に集中しています。
四国や九州はそもそもの賃金水準が高くない上に最低賃金も低いことから、大都市圏と比較するとかなり低い数字となっています。
しかし、同一地域内で収入比較すると看護師は平均年収を上回っていることから、看護師は比較的高収入の仕事と見られるでしょう。
看護師の給料が高い病院に転職するには
こちらのトピックでは、給料が高い病院に転職するためのポイントを3つ紹介していきます。
収入は職場選びの重要な要素となるので、参考にしてください。
夜勤手当が高い病院を探す
夜勤手当は看護師の収入の中でも大きな割合を占めていることから、夜勤手当が高い病院へ転職することは有効な手段です。
夜勤手当あの金額は勤務先によって異なるので、もし現職の収入に不満を感じている場合は、情報収集を行い適切な報酬を支払ってくれる病院へ移るべきです。
もちろん、夜勤をし過ぎて体調を崩してしまうのは問題ですが、金銭的なメリットがあれば働くモチベーションも維持しやすいでしょう。
資格を取り手当をもらう
看護師の方におすすめの資格として、専門看護師・認定看護師などが挙げられますが、職場によってはこれらの資格を取得していると資格手当の対象となります。
資格手当の金額は「毎月5,000円」など、まちまちですが資格取得を通じてスキルアップと収入アップを両取りできます。
専門看護師や認定看護師はは将来性が高く、将来的に転職する際にも大きな武器となってくれる可能性があるので、ぜひ積極的に取得を目指しましょう。
また、職場によっては福利厚生の一環として資格取得支援の制度があるので、併せてチェックしてみてください。
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給料が高い病院を探すのにおすすめの転職サイト
最後に、給料の良い病院を探す際におすすめの転職サイトを紹介していきます。
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この記事は看護師に監修されています
看護師
城戸あき(しろと あき)
国立病院・大学病院で消化器内科、整形外科、内分泌内科を経験。現在は子育てと両立できるようフリーランスに転身し、医療ライターとして活動中。