熊本市の老人ホームの特徴
熊本市の特徴や老人ホームの動向、高齢者数、要介護・要支援認定者数、そして熊本市が独自に行っている介護サービスなどについて解説していきます。
熊本市の地理的特徴と介護施設の特徴
熊本市は福岡市、北九州市に次ぐ九州第三の一大都市です。令和3年11月1日現在の人口は737,717人と発表されています。
また、全国的に見て熊本県は老人ホームが充実しています。その中でも熊本市は県全体の30%を超える老人ホームを保有しており、比較的安い金額で利用することが可能です。
サービス内容に関しても充実している施設が多く、高齢者の方が安心して介護サービスを利用できる環境が整っていると言えるでしょう。
さらに、熊本市では「熊本市長寿社会まちづくり計画~わくわくシルバーライフプラン~」を策定しており、サービス付き高齢者向け住宅の整備やサービス提供事業所に対する補助金など、高齢者福祉の取り組みにも積極的です。
路面電車や市電といった公共交通機関が発達しているため、主要な場所への移動が便利な点も熊本市の魅力と言えます。
熊本市は九州のほぼ真ん中に位置しているため、市内の移動のみならず、九州各地へのアクセスも便利です。
市街地には「水前寺成趣園」「江津湖」「植木温泉」などの観光名所や癒しの場所が多数存在しています。のんびりとした雰囲気と豊かな農産物も熊本の魅力の一つで、高齢者の方にとっても過ごしやすい環境と言えるでしょう。
熊本市の介護施設価格概観
以下の表は、熊本市に展開しているココファンの介護施設の入居金・月額費用それぞれの平均値・中央値をまとめたものです。
<入居金>
地域 |
平均値 |
中央値 |
熊本市 |
165,902円 |
157,583円 |
全国平均 |
297,256円 |
194,500円 |
<月額費用>
地域 |
平均値 |
中央値 |
熊本市 |
138,767円 |
134,307円 |
全国平均 |
169,518円 |
158,250円 |
表を見ると、全国のココファンの施設の中でも入居金・月額費用ともに比較的安く済む傾向にあります。
少ない負担で信頼のおけるサービスが提供されるため、安心して利用することができるでしょう。
熊本市の高齢者人口
令和3年11月時点の熊本市の高齢者人口は195,877人、高齢化率は26.8%と発表されています。
2016年の高齢者人口190,139人、高齢化率25.9%と比較すると6,000人近くも多く、高齢者人口が年々増加していることが見て取れます。
また、高齢化率に関しても26%を超え、今後も生産人口の減少に伴い高齢化率が増加傾向にあると予測されています。
出典:熊本市公式ホームページ
熊本市の介護施設の状況
以下の表は、熊本市の介護施設の状況をまとめたものです。なお、日本医師会のホームページを参考に、令和2年9月時点の情報をまとめてご紹介します。
<熊本市中央区の種類別施設数>
種類 |
施設数 |
75歳以上千人あたりの施設数(熊本市中央区) |
75歳以上千人あたりの施設数(全国) |
訪問型介護施設数 |
105 |
4.46 |
3.25 |
通所型介護施設数 |
75 |
3.31 |
3.43 |
入所型介護施設数 |
37 |
1.46 |
2.17 |
特定施設数 |
7 |
0.31 |
0.32 |
居宅介護支援事業所数 |
56 |
2.47 |
2.41 |
福祉用具事業所数 |
21 |
0.93 |
0.80 |
介護施設数(合計) |
301 |
13.30 |
12.40 |
出典:日本医師会 熊本市中央区
<熊本市東区の種類別施設数>
種類 |
施設数 |
75歳以上千人あたりの施設数(熊本市東区) |
75歳以上千人あたりの施設数(全国) |
訪問型介護施設数 |
99 |
4.28 |
3.25 |
通所型介護施設数 |
113 |
4.88 |
3.43 |
入所型介護施設数 |
50 |
2.16 |
2.17 |
特定施設数 |
10 |
0.43 |
0.32 |
居宅介護支援事業所数 |
65 |
2.81 |
2.41 |
福祉用具事業所数 |
24 |
1.04 |
0.80 |
介護施設数(合計) |
363 |
15.69 |
12.40 |
出典:日本医師会 熊本市東区
<熊本市西区の種類別施設数>
種類 |
施設数 |
75歳以上千人あたりの施設数(熊本市西区) |
75歳以上千人あたりの施設数(全国) |
訪問型介護施設数 |
46 |
4.06 |
3.25 |
通所型介護施設数 |
67 |
5.92 |
3.43 |
入所型介護施設数 |
46 |
4.06 |
2.17 |
特定施設数 |
2 |
0.18 |
0.32 |
居宅介護支援事業所数 |
31 |
2.74 |
2.41 |
福祉用具事業所数 |
10 |
0.88 |
0.80 |
介護施設数(合計) |
202 |
17.85 |
12.40 |
出典:日本医師会 熊本市西区
<熊本市南区の種類別施設数>
種類 |
施設数 |
75歳以上千人あたりの施設数(熊本市南区) |
75歳以上千人あたりの施設数(全国) |
訪問型介護施設数 |
97 |
6.25 |
3.25 |
通所型介護施設数 |
81 |
5.22 |
3.43 |
入所型介護施設数 |
49 |
3.16 |
2.17 |
特定施設数 |
11 |
0.71 |
0.32 |
居宅介護支援事業所数 |
54 |
3.48 |
2.41 |
福祉用具事業所数 |
32 |
2.06 |
0.80 |
介護施設数(合計) |
325 |
20.94 |
12.40 |
出典:日本医師会 熊本市南区
<熊本市北区の種類別施設数>
種類 |
施設数 |
75歳以上千人あたりの施設数(熊本市北区) |
75歳以上千人あたりの施設数(全国) |
訪問型介護施設数 |
82 |
4.72 |
3.25 |
通所型介護施設数 |
93 |
5.35 |
3.43 |
入所型介護施設数 |
54 |
3.11 |
2.17 |
特定施設数 |
5 |
0.29 |
0.32 |
居宅介護支援事業所数 |
54 |
3.11 |
2.41 |
福祉用具事業所数 |
22 |
1.27 |
0.80 |
介護施設数(合計) |
310 |
17.83 |
12.40 |
出典:日本医師会 熊本市北区
表を見ると、熊本市は全体的に全国平均よりも75歳以上千人当たりの施設数が充実していることが分かります。
また、熊本市の中でも、特に東区の施設数が多いです。
訪問型介護施設数や通所型介護施設数が多いというのも熊本市の介護施設の特徴です。
さらに熊本市では現在サービス付き高齢者向け住宅の整備に注力しており、高齢者の方が安心して生活できる環境が整えられています。
熊本市の要介護認定者数
熊本市の令和2年時点での要介護認定者数は41,441人と発表されています。
要介護認定者数は年々増加しており、高齢者人口の増加に伴い今後も増加の一途をたどると予測されています。
また、要介護認定者数の増加とともに、介護保険サービスの利用者数も増えています。
在宅介護が増えているというのも熊本市の介護保険サービスの利用状況の特徴です。
特別養護老人ホームや施設入居型サービスの利用者数が年々減少している一方、訪問介護や看護、デイサービスなどの通所型サービスを含む居宅型サービスを利用する高齢者数が大幅に増加しています。
出典:熊本市(令和2年)
熊本市の高齢者相談窓口は?
高齢者の相談窓口には市内27ヵ所に設置されている「ささえりあ」があります。
「ささえりあ」には、地域のケアマネジャー、社会福祉士、看護師が常駐しており、高齢者が抱える問題の相談にあたっています。介護や医療、権利譲渡成年後見制度、虐待防止など、「ささえりあ」に寄せられる相談内容は様々です。
また、相談場所や相談相手に困った場合に利用可能な「熊本市福祉相談支援センター(生活自立支援センター)」もあります。
「熊本市福祉相談支援センター」は2015年に開設された施設で、相談内容に応じた連携、及び解決に向けた施策を行ってくれます。
認知症の方やそのご家族を対象とした相談窓口も設けられているという点も「熊本市福祉相談支援センター」の魅力です。
熊本市独自の介護サービスについて
熊本市では、要介護認定者数の増加を受けて、認定前の予防や要介護状態への進行を阻止する介護予防を重要視しています。
施策の一環として、熊本市は市独自の介護サービスである「くまもと元気くらぶ」を設立しました。
「くまもと元気くらぶ」は、要介護状態への進行を防ぎ、住み慣れた地域で自立した生活を送り続けることを目的としています。
「くまもと元気くらぶ」では、地域で区分された高齢者の方が定期的に集まっています。その中で運動を取り入れた活動を行っており付けられており、市が推奨する「いきいき百歳体操」では、介護予防の成果が表れています。
参加者の半数以上が65歳以上の方で構成されていますが、地域に住民票を持っている人なら原則年齢制限なく参加可能です。
また、リハビリの専門職の方による運動指導・効果の測定なども行っています。
熊本市の地域包括ケアシステム
地域包括ケアシステムとは、地域が一体となって高齢者を支えるサービスを提供するシステムのことです。
段階の世代が75歳以上となる2025年を目途に、要介護状態となっても住み慣れた地域で最後まで自分らしい生活が送り続けられるように、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築が国を挙げて行われています。
地域包括ケアシステムは、市町村や都道府県が地域の自主性に応じて構築していくことが重要です。
熊本市では、独自の地域包括ケアシステムとして「認知症初期支援集中チーム」を設立し、認知症疾患医療センターの指定や地域の医療従事者を対象とした認知症対応の研修会などを行っています。
熊本市は、在宅介護の需要が高まりとともに増加傾向にある医療を連携することに注力しており、以下の5つの軸を一体とした地域包括ケアシステムの構築を目指しています。
- 住宅を提供した上で安心、および健康を担保すること
- 介護保険対象外のサービスの提供
- 介護保険サービス
- 介護予防サービス
- 医療保険サービス
その他にも、「老人クラブ」の再興に向けた取り組みやシルバー人材センターの需要を高める活動など、高齢者の方が積極的に社会参加できるような体制を整えています。