京都市の老人ホームの特徴
京都府京都市の介護と老人ホーム事情について、特徴や動向などを解説します。
京都市の地理的特徴と介護施設の特徴
歴史深い史跡・文化財・神社仏閣や古い街並みが残る京都府の中心地・京都市は、第二次世界大戦の戦火を免れた美しい都市です。
ちょっとした街歩きも楽しい京都市の介護と老人ホーム事情について、地理と介護施設の特徴を紹介します。
京都市は、全国の政令指定都市の中でもトップレベルの高齢化率です。
高齢者の多さについては、市内全体を見てもほとんどの区で20%以上となっており、とくに上京区・北区・東山区など多くの地域で75歳以上の後期高齢者の割合が前期高齢者の割合を上回っています。
高齢者の多い京都市は、介護施設については現状足りているとは言えませんが、府内の老人ホームにおける約半数が京都市にあり、選べる介護サービスの幅は広いです。
そのため、ニーズに合った介護利用が可能な地域だと言えるでしょう。
また、京都市の介護サービス事業所は非常に数が多いため、サービス利用にかかる価格もまちまちとなっています。
京都市の介護施設価格概観
京都市における学研ココファンの入居金・月額費用の平均値・中央値を、全国平均と比較すると以下のようになります。
<入居金>
地域 |
平均値 |
中央値 |
京都市 |
237,961円 |
238,548円 |
全国平均 |
297,256円 |
194,500円 |
<月額費用>
地域 |
平均値 |
中央値 |
京都市 |
180,125円 |
180,250円 |
全国平均 |
169,518円 |
158,250円 |
特に、月額費用は全国のココファンの施設よりも高めであると言えるでしょう。
京都市の高齢者人口
京都市の高齢者人口は、2021年の時点で41万3,110人となっており、高齢化率28.4%でした。
市民の約3.5人に1人が65歳以上となる京都市ですが、日本の平均的な高齢化率は前年2020年度時点で28.7%を超えており、京都市の高齢者数が突出して多いわけではありません。
しかし、今後も高齢者はさらに増え続けていく見通しです。
第一次ベビーブームで生まれた団塊世代が75歳を超える2025年以降では、高齢者1人に対して15~64歳の約3人が支えるようになると予測されています。
さらに2040年ごろでは1人当たり約2.6人で高齢者を支えなければいけない苦しい時代がやってくると言われています。
また各区域ごとの高齢者率の差において、現時点では東山区の33.5%がトップですが、年々区域ごとの差は縮まっておりほとんどの行政区域で高齢化が進んでいる、と言う状況です。
出典:京都市の高齢者人口 令和3年
京都市の介護保険事業者・施設の状況
京都市の介護保険事業者・施設の状況は、2020年9月時点で以下の通りです。
<京都市の種類別施設数>
種類 |
施設数 |
75歳以上千人あたりの施設数(京都市) |
75歳以上千人あたりの施設数(全国) |
訪問型介護施設数 |
795 |
3.89 |
3.25 |
通所型介護施設数 |
568 |
2.78 |
3.43 |
入所型介護施設数 |
422 |
2.06 |
2.17 |
特定施設数 |
56 |
0.27 |
0.32 |
居宅介護支援事業所数 |
507 |
2.48 |
2.41 |
福祉用具事業所数 |
125 |
0.61 |
0.80 |
介護施設数(合計) |
2,479 |
12.12 |
12.40 |
出典:日本医師会 京都市
京都市の介護施設数全体は、全国平均とほぼ同じです。
しかし各介護サービスごとに比較すると、デイサービスなどの通所型介護施設においては平均値を大きく下回る一方で、自宅で家族と暮らしながら介護サービスが受けられる訪問型介護の数は全国平均を上回っています。
また老人ホームなどの入居型介護施設においては、全国平均をやや下回る数字となっています。
京都市の要介護認定者数推移
京都市の要介護認定者数は平成29年時点で85,181人、認定率は21.5%となっています。
平成25年時点と比較して、認定者数は12,400人以上、認定率は約1.3ポイント増加しているのが現状です。
令和3年現在でも、日本全体での高齢化は深刻化していることから、認定者数・認定率はさらに増加していると言えるでしょう。
京都市が行う介護関係の苦情対策
介護サービス利用時のトラブルに関する相談・苦情などは直接施設に伝え難いものですが、施設と利用者の間に入り、必要に応じて問題解決に動いてくれる介護相談員派遣事業を京都市は設けています。
介護相談員派遣事業は、
- 介護利用者とその家族の相談窓口
- 各介護施設・事業所の視察
などを行い、利用者と施設の橋渡し役となり、大きなトラブルに発展する前に問題を発見・解決するための事業です。
また京都市では、高齢者の孤立・生活資金などさまざまな悩み事に対応できる窓口も設けています。
地域包括支援センターを軸にした介護予防
京都市の行う介護予防は、地域包括センターを中心とした総合事業を柱としています。
京都市の事業では、
- 65歳以上の高齢者
- 40歳以上65歳未満の医療保険加入者
を事業対象者と呼び、京都市で行っている介護事業(65歳以上の人が受講できる健康教室や介護認定者向けの介護予防・支援サービス)などを受けることが可能です。
この総合事業では、要介護の認定を受けていなくても上記の条件を満たしていれば、介護を利用することができます。
また、これら一般介護予防事業を受ける際の中心地となる地域包括センターでは、居住地区によって決まった担当者が対応対応するため安心です。
京都市の地域包括ケアシステム
団塊の世代が75歳に到達する2025年を見据て、各自治体・都道府県が主体となったネットワーク構築を国を挙げて推進中です。
それを受けて、京都市など各自治体では地域包括センターを設け、高齢者がいつまでも住み慣れた地域で暮らすための支援やサービス提供を行う事業拠点としています。
地域包括センターで行われている活動は、一般介護予防事業・介護予防ケアプランの作成・介護利用者や高齢者向け相談窓口などです。
このような地域包括センターは、市内に61か所設置されていて、市民が気軽に利用できます。
また、同市内に地域介護予防推進センターが12ヵ所設け、市民の介護予防活動として無料の体力測定・介護予防教室などを実地中です。