京都府の老人ホームの特徴
京都市の老人ホームにはどのような特徴があるのか、また、現在の京都市の老人ホームの状況について解説します。
京都府の地理的特徴と介護施設の特徴
京都府は関西地方の京阪神エリアにあります。1869年(明治2年)に東京に首都移転するまで京都は日本の首都でした。
そのため、古い歴史がある街で、歴史的な建造物が多数あることでも有名で、世界中から観光客が来ます。そんな京都府の人口は、2021年10月1日現在、256万3,192人です。
京都市の場合は介護施設数が充実しており、費用は安い施設から高い施設まであります。京都市内の介護施設は選択肢がさまざまあるのが特徴です。
しかし、介護施設数は多いものの、老人ホームに入居したい人も多いことから、現在入居待ちの方が多い状況です。
また、歴史ある街であることから交通網が発達していないエリアもあるため、施設選びをする際には、アクセスがしやすいかどうか注意が必要です。
京都府の介護施設価格概観
京都府にあるココファンの介護施設での、入居金・月額費用それぞれの平均値と中央値を全国のココファンでの平均と比べてみました。
<入居金>
地域 |
平均値 |
中央値 |
京都府 |
229,703円 |
237,429円 |
全国平均 |
297,256円 |
194,500円 |
<月額費用>
地域 |
平均値 |
中央値 |
京都府 |
132,700円 |
133,900円 |
全国平均 |
169,518円 |
158,250円 |
このように、京都府のココファンは、全国のココファンの施設の中でも入居金・月額費用ともに、施設のご利用より安めの費用で済む傾向にあります。
ココファンは安めの費用でありながらも、提供されるサービスは信頼できるため、安心して利用できます。
京都府の高齢者人口
2018年の時点で、京都府の高齢者(65歳以上)人口は73.0万人です。その後も高齢者人口は年々増加し続けています。
また、人口に占める高齢者の割合である高齢化率は28%以上であり、高齢者人口とともに、高齢化率も上昇を続けています。
15歳~64歳までを指す生産人口の減少に伴って、高齢化率は今後も増加していく見込みです。
京都府の介護施設の状況
京都府の75歳以上千人あたりの施設数を、全国のものと比較しました。なお、これは2020年9月時点での情報です。
<京都府の種類別施設数>
種類 |
施設数 |
75歳以上千人あたりの施設数(京都府) |
75歳以上千人あたりの施設数(全国) |
訪問型介護施設数 |
1,162 |
3.44 |
3.25 |
通所型介護施設数 |
894 |
2.65 |
3.43 |
入所型介護施設数 |
708 |
2.10 |
2.17 |
特定施設数 |
70 |
0.21 |
0.32 |
居宅介護支援事業所数 |
793 |
2.35 |
2.41 |
福祉用具事業所数 |
194 |
0.57 |
0.80 |
介護施設数(合計) |
3,829 |
11.35 |
12.40 |
京都府と全国平均を比べた場合、通所型介護施設数は全国平均の方が多いですが、その他の介護施設・事業所の数は、さほど大きな差はありません。
しかし、先ほども述べたように、京都府では介護施設への入居待機者が多いとも言われているため、全国平均と同じくらいだからよいというわけではありません。
京都府の場合、介護施設の数は十分であるとは言えない状況にあります。介護施設数の増加は、今後も課題となるでしょう。
京都府の要介護認定者数
2015年時点での京都府の要支援・要介護認定者数は10.5万人です。その後も、要支援・要介護認定者数と認定率はともに年々増加していますが、認定者数は減少すると推測されています。
ただ、認定者数が減少しても、人口が減少するに伴って認定率は上がるでしょう。
また、介護サービス利用者数も増加の一途をたどっています。そのため、以下の点が課題だと言えます。
- 居宅型サービスなど、介護サービズ全体の充実
- グループホームや小規模多機能型施設の増設
京都府の高齢者相談委員会は?
京都府では、高齢者が相談できる窓口である京都府福祉サービス運営適正化委員会を設置しています。
京都府福祉サービス運営適正化委員会は、京都府社会福祉協議会内にあります。
京都府福祉サービス運営適正化委員会の運営目的は以下のとおりです。
運営適正化委員会は、福祉サービス利用者等からの苦情相談や福祉サービス利用援助事業(地域福祉権利擁護事業)の適正な運営の監視をおこない、福祉サービス利用者の権利を保護することを目的とし事業を実施しています。
出典:京都府福祉サービス運営適正化委員会
普段、福祉サービスを受ける中で感じた疑問や不安などをサービス事業者に直接言えない場合、福祉サービス運営適正化委員会に相談することができます。
例えば、
- ヘルパーさんと相性が合わない
- デイサービスで怪我をしてしまった
- サービス事業所と信頼できない
- 事前に受けた説明とサービス内容が異なる
このような問題を相談することができ、問題があった場合には話し合いの場の設置、京都府への通知といった対処を行います。
京都府独自の介護サービスについて
京都府では、独自の介護サービス事業を行っています。
きょうと健康長寿日本一プラン
「きょうと健康長寿日本一プラン」 では、京都府の健康寿命を日本一にすることを目標とし、さまざまな事業をおこなっています。
「きょうと健康長寿日本一プラン」は、大きく分けて4つの項目を重点的に行っているのが特徴です。
- 生活習慣病などの対策
- 介護予防等の対策
- 自主活動などの支援
- 基盤整備
基盤整備では、京都府立医科大学が主体となり、生活習慣病予防、リハビリテーションの実施、ITを使った健康づくりなど、健康寿命を延ばすための基盤となるシステムを構築しています。
特定高齢者把握事業
特定高齢者把握事業は京都府が行っている事業です。
65歳以上の高齢者に対し、保健師などが自宅訪問をして聴き取りをすることや、主治医と連携することなどにより、要支援・要介護予防の支援が必要な特定高齢者を把握する活動**をしています。
地域介護予防推進センター
地域介護予防推進センターは京都市が運営しています。市内に12カ所あり、市民の介護予防に関する以下のような活動をしています。
京都市在住の65歳以上の方なら、介助が必要な方などを除きどなたでも参加できます。
また、利用料は、教材費など実費がかかる場合もありますが、基本的には無料です。
出典:京都市情報館
京都府の地域包括ケアシステム
京都府では、独自の地域包括ケアシステムを行っています
。
地域包括ケアシステムとは
地域包括ケアシステムとは、地域が主体となり、高齢者を支えるサービスを総合的に提供するシステムです。
2025年には、ベビーブームの時代に生まれ人口が多い「団塊の世代」が後期高齢者である75歳以上となります。
そのため、2025年ごろには要介護認定者数が今よりさらに増えると見込まれます。 地域包括ケアシステムは、2025年までに構築されるよう取り組まれている高齢労働省の事業です。
住まい・医療・介護・予防・生活支援を総合的に提供することにより、要介護認定を受けても、これまで住んできた地域で最期まで自分らしく暮らせるようにすることが目的です。
そのため、都道府県・市町村が地域独自の特色に合わせたケアシステムを構築することが重要になります。
新・京都式オレンジプラン
新・京都式オレンジプランは、京都地域包括ケア推進機構が行っています。
- 認知症を早期発見・対応をする
- 認知症患者や家族へのケア
- 認知症関係の機関や団体それぞれの役割をはっきりさせる
このような計画を立て、京都府民全体で認知症に関するさまざまな問題を解決しようとしています。
京都民医連中央病院総合診療専門研修プログラム
京都民医連中央病院では、高齢化社会に対応できるよう、総合診療ができる医師の育成をしています。
総合診療ができれば、介護、緩和ケア、看取りなど、高齢者の介護サービスに貢献できる医師になれるため、「総合診療専門研修プログラム」は非常に重要な人材育成プログラムであると言えます。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは?
サ高住は安心・快適に暮らせる高齢者住宅
サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者の方に安心して暮らしていただくための住環境、及び安否確認・生活相談などのサービスを備えた住宅です。
一般に「自立・支援タイプ」と「介護・認知症タイプ」の2種類に分かれており、入居者の要介護度に合わせて最適な住宅を選択することができます。
入居一時金0円で初期費用が抑えられる
サービス付き高齢者向け住宅は、多くの場合入居一時金0円で利用することができます。
ほとんどの施設で初期費用は敷金のみですので、他の種類の施設よりも利用を開始しやすいです。
月額費用は賃料・サービス料金・光熱費などが必要となり、外部の介護・医療サービスを利用する量が多くなるほど料金が高くなります。
なお、学研ココファンのサ高住は月額費用も厚生年金額を基準とした価格設定となっているため、他社よりも月々の費用を抑えることが可能です。
インスリン注射とは
この記事は医師に監修されています
中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長
矢野 大仁 先生
健康な人であれば、体内では常に必要な量のブドウ糖が調整され、血糖値が安定しています。
食事により血中に取り込まれたブドウ糖に対して、膵臓からインスリンが分泌されることで、血糖値が正常な状態に保たれますが、この血糖値のコントロールにインスリンが必要な患者に対して、外部から注射でインスリンを補う治療法がインスリン注射です。
インスリン療法と呼ばれることもあり、注射でインスリンを補うことで、健康な人のインスリン分泌パターンを再現します。
インスリンを注射するペースは個々の状態で異なり、1日1~4回注射が必要になります。
インスリン注射が必要な疾患の種類
インスリン注射が必要になる疾患で代表的なものは糖尿病です。
糖尿病には、下記の2種類あります。
疾患名 |
主な症状 |
1型糖尿病(インスリン依存型) |
インスリンの分泌が絶対的に不足・欠乏 |
2型糖尿病(インスリン非依存型) |
遺伝的素因と生活習慣によりインスリンの効きが悪くなる |
1型糖尿病
1型糖尿病は、子供や若い方に多く見られる糖尿病です。
インスリンを分泌するβ細胞が破壊され、膵臓でインスリンが生成できない状態になり、高血糖状態が続きます。
そのため、インスリン注射によってインスリンを補う必要があります。
2型糖尿病
2型糖尿病は、インスリンの分泌はありますが、正常な量が分泌されていなかったり、働きが悪かったりして血糖値が下がらない状態になります。
遺伝的な要因の他、生活習慣によって発症することがあり、主に中高年での発症が中心です。
注射によってインスリンを補うこともありますが、生活習慣の改善が治療の中心になります。
糖尿病患者は増加傾向にある
日本で糖尿病にかかっている患者は1990年代後半には、厚生労働省調査によると690万人でしたが、年々増加傾向にあり、2016年の糖尿病人口は糖尿病予備群と呼ばれる人も含めると2,000万人以上になるともいわれ、日本人の5~6人に1人が糖尿病予備群以上の状態と推察されます。
年齢別に見ると、60歳以上の患者が多く、70代以上では糖尿病患者は400万人以上となり、高齢になるほど発症確率が上がる疾患でもあります。
そのため、老人ホームなどの介護施設でも、インスリン注射が必要な方の受け入れが増加傾向にあります。
インスリン注射が必要な方の介護施設選びのポイント
インスリン注射が必要な方でも、介護施設に入居することが出来ます。
入居する場合の施設選びのポイントを紹介します。
血糖値を適切に保とう
糖尿病の方にとって、低血糖状態は命にかかわる事態になります。
患者本人による、運動や生活習慣の改善などで血糖値を適切に保つ努力も重要ですが、施設に入居する場合には、
- インスリン注射をしっかり継続出来ること
- 食事療法が行えたり、適切な摂取が出来ること
- 低血糖による急変時に対応がしっかりしていること
こうした対応で、血糖値を正常に保つための管理をしている施設や、低血糖による緊急時の対応がしっかり出来る施設を入居条件にしましょう。
自己注射できる状態か念入りに確認しよう
インスリン注射は医療行為になるため、接種出来るのは医師か看護師、もしくは本人、病院で指導を受けた家族になります。
介護施設に入居後も本人が継続して自己注射が出来れば問題はないのですが、身体に麻痺が出たり、認知症になったりして、本人による自己注射が出来なくなった場合の介護施設の対応は十分に確認する必要があります。
老人ホームなどの入居施設でも、接種出来るのは医療従事者のみなので、介護職員は摂取することが禁止されています。
そのため、施設に入居する場合は、看護師が常駐しており、インスリン注射の対応が可能なことが絶対条件になります。
また、糖尿病と認知症には、実は深い関わりがあります。
高血糖状態が長く続くと、認知機能が低下しやすくなることが分かっています。
糖尿病の方と、そうではない方を比べると、
- アルツハイマー型認知症には約1.5倍
- 脳血管性認知症には約2.5倍
糖尿病の方のほうが認知症を発症しやすいという報告があります。
また、軽度の認知障害がある場合は、認知症へと発展する可能性があります。
高血糖状態だけが認知症に直結しているわけではなく、実は重症な低血糖状態でも、認知症になるリスクが高くなると言われています。
認知機能の低下によって、糖尿病の治療の必要な内服やインスリン注射、食事の管理などが出来なくなると、糖尿病の悪化にも繋がるため、施設に入居する際は十分な確認が必要になります。
インスリン注射の頻度も施設選びに重要
インスリン注射を行う回数は、患者それぞれで異なり、1日複数回必要な方もいます。
1日の中で接種するタイミングも異なります。
本人による自己注射が出来ない場合には、看護師に接種してもらう必要があるため、自分が接種するタイミングに看護スタッフが勤務していることが入居条件になります。
たとえば、1日2~3回接種が必要なら、24時間看護師が常駐している施設や、看護師が常時勤務している施設を選びましょう。
1日4回接種が必要なら、24時間看護師が常駐している施設を選ぶようにします。
治療も兼ねてくれる施設を選ぼう
単に糖尿病患者でも受け入れてくれる、という施設ではなく、食事、運動療法にも力を入れている施設を選ぶことが望ましいです。
糖尿病の治療には、インスリン注射や服薬を行っていても、運動療法や食事療法も継続して行うことが大切です。
食事療法のために、糖質の管理やカロリー制限などに対応している施設や、運動も出来る施設を検討しましょう。
また、糖尿病によって起こる、潰瘍や感染、壊疽など糖尿病足病変を予防するフットケアなどを行っている施設も魅力的です。
インスリン注射が出来る介護施設の費用のポイント
インスリン注射に対応可能な、ココファンの介護施設の入居金・月額費用それぞれの平均値・中央値は以下のようになります。
<入居金>
地域 |
平均値 |
中央値 |
city |
267,567円 |
194,250円 |
全国 |
297,256円 |
194,500円 |
<月額費用>
地域 |
平均値 |
中央値 |
city |
162,088円 |
156,578円 |
全国 |
169,518円 |
158,250円 |
学研ココファンでは、多くの施設で充実の医療体制を整えています。
そのため、インスリン注射に対応できる施設で探した場合でも、費用が高くなることはありません。
インスリン注射が必要な方の入居条件
インスリン注射が必要な方に対して、施設側から入居条件を指定することは特にありません。
ただ、インスリン注射を行う回数によっては、施設側の対応が課題になることもあり、入居が難しくなることもあります。
糖尿病の進行によっては、現在と異なる症状がみられることがあり、著しい高血糖になった場合、口の乾きや多飲・多尿・体重減少・昏睡などの症状が出ることがあります。
また、治療によって低血糖を起こす可能性があることや、糖尿病の三大合併症を引き起こす可能性もあります。
変化する症状に対して、様々な状態を過程した上での施設選びが重要になっていきます。
まずは入居を検討した段階で、症状をしっかりと伝えて相談してみることが大切です。
介護施設に入居する際のリスク
いくら食事、運動療法に力を入れている老人ホームでも、看護師が24時間常駐している老人ホームでも、老人ホームはあくまでも生活をする場所です。
病院とは異なるため、専門的な治療を行うことは出来ません。
そのため介護施設に入居中、もし症状が悪化した場合や、医療ケアが常時必要になった場合、入居する施設では対応しきれずに退去しなくてはならない場合もあります。
入居を継続出来た場合でも、病院ほど専門的なケアが受けられたり、常に医師や看護師がいる病院とは異なるため、生活の場として安らげる老人ホームか、医療面で安心できる病院か、という判断が必要になる可能性があります。
QOLの低下により、老人ホームでの暮らしにくさを感じることもあるかもしれません。
想定出来る様々な状況に応じて、ご本人が納得出来る適切な判断が出来るように、入居する施設の医療スタッフとは、しっかりコミュニケーションをとっておくようにしましょう。