浜松市の老人ホームの特徴
浜松市の老人ホームの特徴と、現在の状況について解説します。
浜松市の地理的特徴と介護施設の特徴
浜松市は静岡県の政令指定都市で、人口は2021年11月1日現在79万6,427人です。
都市ではありますが、山や川などの自然に囲まれており、穏やかな環境です。
そんな浜松市は 高齢化率が約28% であり、政令指定都市の中では高い水準にあります。浜松市は人口が減っているため、高齢化率が高くなっているのです。
高齢化率が高い都市でありながら、浜松市は介護施設数は少な目ではあります。 有料老人ホームが少ないのも特徴であり、施設への入居待機者もいる状態です。
しかし、現状を踏まえ最近ではサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などが増えてきました。
また、大規模な医療機関も多々あり、医療環境が充実していることから、今後介護施設の増加とともに、高齢者の住みやすさも改善していくことでしょう。
浜松市の介護施設価格概観
浜松市のココファンの介護施設の入居金・月額費用それぞれの平均値・中央値は、全国平均と比べると以下のようになります。
<入居金>
地域 |
平均値 |
中央値 |
浜松市 |
0円 |
0円 |
全国平均 |
297,256円 |
194,500円 |
<月額費用>
地域 |
平均値 |
中央値 |
浜松市 |
166,475円 |
166,475円 |
全国平均 |
169,518円 |
158,250円 |
このように、浜松市のココファンは、全国のココファンの施設の中でも、入居金・月額費用ともに、施設のご利用よりも安く済ませられ、安心して利用できます。
浜松市の高齢者人口
2021年11月現在、浜松市の高齢者人口は22万4,016人です。グラフを見てわかるように、高齢者人口は毎年2,000人前後増えています。
その結果、2017年の高齢化率は26.9%だったのが、2021年の高齢化率は28.1% とさらに高い水準になりました。
浜松市では、15歳から64歳までを指す生産人口が減少しており、そのため高齢化率は今後も増加する見込みです。
出典:年齢別人口表 浜松市公式ホームページ(令和3年)
浜松市の介護施設の状況
浜松市での、75歳以上千人あたりの施設数を、全国のものを比べました。なお、このデータは2020年9月時点の情報です。
また、このデータは静岡県西部医療圏のものですが、この医療圏には湖西市も含まれます。
そのため、当サイトでは、湖西市の施設・事業所数は静岡県西部医療圏全体での施設・事業所数から引いて表にしました。
<浜松市の種類別施設数>
種類 |
施設数 |
75歳以上千人あたりの施設数(浜松市) |
75歳以上千人あたりの施設数(全国) |
訪問型介護施設数 |
223 |
1.07 |
3.25 |
入所型介護施設数 |
196 |
0.24 |
2.17 |
特定施設数 |
26 |
0.23 |
0.32 |
居宅介護支援事業所数 |
217 |
0.76 |
2.41 |
福祉用具事業所数 |
78 |
8.21 |
0.80 |
介護施設数(合計) |
1,099 |
1.49 |
12.40 |
参考:日本医師会 西部医療圏
浜松市の75歳以上千人あたりの施設数・事業所数の特徴
浜松市の75歳以上千人あたりの施設数・事業所数は、全国平均と比べると福祉用具事業所以外は少ない状態です。
訪問介護型介護施設、入所型介護施設、居宅介護支援事業所といった主要な施設・事業所の数が少なく、介護施設数の合計でも、全国の八分の一しかありません。
今後、各介護施設数・事業所数が現状の高齢者人口に合わせて増やしていくことが急務だと言えます。
浜松市の要介護認定者数
2019年度時点での、浜松市の要介護認定者数は3万8,753人です。要支援・要介護認定者数は年々増加しており、2015年度時点よりも4万人ほど増えています。
高齢者(65歳)の人口に占める要支援・要介護認定者の割合を指す認定率も増加しています。
生産人口の減少に伴い高齢者人口が増え、それに伴って要支援・要介護認定者が増えると考えられるため、認定率もさらに高くなっていくでしょう。
この事態に対応するためには、 介護保険事業費を増やすことが必須です。しかし、今後高齢者や要支援・要介護認定者が増えていくに従って、その分だけ費用を増加させていけば財政が苦しくなっていきます。
そのため、
これらを行っていくことが必要です。
浜松市の高齢者相談窓口は?
浜松市では一人暮らしの高齢者や高齢者夫婦の世帯も多く、そのような高齢者は孤立しやすいことから、さまざまな相談窓口・サポート体制が整っています。
はままつあんしんネットワーク
「はままつあんしんネットワーク」 とは、高齢者の方々を行政、地域、民間企業で見守って行こうという活動です。
このことにより、
- 高齢者の方々の孤立化や虐待を防ぐ
- 認知症の方やご家族へのサポートをする
- 悪徳商法などの消費者被害を防ぐ
このような働きがあります。
地域包括支援センター(高齢者相談センター)
地域包括支援センター(高齢者相談センター) とは、高齢者の悩み相談や生活の支援を、一つの機関でまとめて行えるものです。
以下の相談を受け付け、内容に応じてケアマネージャーやサービス事業所の紹介もします。
介護や保健・福祉の全般的な相談
生活支援・福祉サービス等に関する相談など
出典:浜松市 地域包括支援センター(高齢者相談センター)
地域包括支援センターは全国にありますが、浜松市の場合は22カ所あります。
浜松市独自の介護サービスについて
浜松市で実施されている、独自の介護サービスについてご紹介します。
基本チェックリスト
高齢者に 「基本チェックリスト」 を記入してもらい、介護予防・生活支援サービスが必要な状態かどうかを調査しています。
- 日常生活に関する項目
- 運動不足に関する項目
- 栄養状況に関する項目
- お口の状況に関する項目
- 閉じこもりに関する項目
- 物忘れに関する項目
- 気持ちに関する項目
の7項目・25問からなり、結果によっては要介護認定に繋がる場合もあります。
参考:浜松市 介護予防ケアマネジメントの手引き
浜松ウエルネスプロジェクト
浜松市と第一生命保険株式会社は、2021年6月~9月まで、歯周病予防のための社会実証を行いました。
これは、浜松市による独自のプロジェクト 「浜松ウエルネスプロジェクト」 の一環です。
「浜松ウエルネスプロジェクト」とは
“市民の健康”という財産に一層磨きをかけたいという浜松市の意向を契機に、市民の「疾病・介護予防」や「健康づくり」に寄与する“浜松発”のさまざまな社会実証事業を展開し、データやエビデンスを取得・蓄積していく官民連携プロジェクト
引用:浜松ウエルネス・ラボ
であり、2020年4月から開始されました。その中で、すでに7件の事業が実施されています。
浜松市の地域包括ケアシステム
地域包括ケアシステムとは、地域が主体となり、高齢者を支えるサービスを一体的に提供するシステムです。
地域包括ケアシステムの実現は、ベビーブームの年代に生まれ人口が多い団塊の世代が75歳以上になる2025年を目途としています。
地域包括ケアシステムは、要介護認定をうけても、以前から住んでいる地域で、最期まで自分らしく暮らせる仕組みづくりが目的です。
そのため、住まい・医療・介護。予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムが国をあげて構築されてきています施設の整備を行っています。
浜松市でも、独自の地域包括ケアシステムを構築しつつあります。
浜松市
浜松市では介護施設数が少ない点が課題であるため、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)をはじめとした介護施設の整備を行っています。
介護予防の一環としては、足腰を鍛えるロコモーショントレーニングにも力を入れています。
社会福祉法人 浜松市社会福祉協議会
浜松市社会福祉協議会では、市内全域や日常生活圏域に、生活支援コーディネーターを配置しています。生活支援コーディネーターの役割は以下の通りです。
①地域ニーズと資源の見える化
②多様な主体への協力依頼・働きかけ
③関係者のネットワーク化
④目指す地域の姿像の共有化
⑤地域に不足するサービス担い手養成、ボランティア等人材の育成
⑥ニーズとサービスのマッチング
出典:浜松市
静岡県コミュニティづくり推進協議会
静岡県コミュニティづくり推進協議会では、高齢者のサロン活動を推進しており、高齢者のコミュニティづくりや、レクリエーション・イベントへの参加を促しています。
浜松市でも、健康寿命が延びるよう、健康に関するプログラムを実施したり、高齢者による音楽サークル活動を実施したりしています。
パーキンソン病の方の施設選びのポイント
この記事は医師に監修されています
中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長
矢野 大仁 先生
そもそもパーキンソン病とは
パーキンソン病とは、脳内のドパミン神経細胞の減少によりドパミンという成分が減少して起こる病気で手の震えなどが代表的な症状です。
人口10万人あたり約150人の方が発症すると言われており、発症すると要介護認定を受けるのが一般的ですが、まずはパーキンソン病の症状について確認しましょう。
パーキンソン病の症状
重症度は症状によって5段階に分けられていますが、具体的な症状は下記の通りです。
安静時振戦(ふるえ)
安静時振戦とは「ふるえ」のことで、じっとしている時にふるえが止まらなくなる症状です。
なお、ペンや箸を使う時などの動作時にはふるえが消えるという特徴があります。
初期段階であれば体の左右のどちらかにふるえ症状が出ますが、2~3年後には反対側にもふるえの症状が出るようになります。
親指と人差し指で丸薬をまるめるような「丸薬丸め運動」や、踵で床を小刻みに打つような「タッピング様振戦」が代表的です。
無動
無動とは、日常生活での動きが少なくなり、動作が遅くなってしまうことです。
顔の筋肉に無動症状が出ると「仮面様顔貌」と呼ばれる、顔の筋肉がこわばり表情が乏しくなります。
他にも、字を書く際にだんだん文字が小さくなっていく「小字症」や、声が小さくなる「小声症」などの症状が代表的です。
筋強剛
筋強剛は、筋肉の収縮と弛緩のバランスが崩れて、筋肉の緊張が進んでしまう症状を指します。
関節のこわばりや脱力感の症状が代表的ですが、抵抗が一定に感じられる「鉛管現象」や、歯車のように引っかかるような抵抗が断続的に見られる「歯車現象」が代表的です。
このような、パーキンソン病による筋肉の硬直を「筋固縮」とも呼びます。
姿勢保持障害
姿勢保持障害が起きるとバランスが取りにくくなり、体が傾き転びやすくなります。
また、歩行時にどんどん加速して小走りになってしまい、自分では止まれない「突進歩行」も特徴です。
転倒のリスクがかなり高まることから、転倒しないように支えたり見守ることが重要です。
パーキンソン病の方の入居の条件
パーキンソン病を患っている方でも、基本的には老人ホームへの入居が可能です。
本来であれば「65歳以上、介護認定あり」が老人ホームに入居する条件となっていますが、パーキンソン病は厚生労働省が指定する特定疾病に含まれているため、介護認定を受けているパーキンソン病患者であれば40歳~65歳未満でも入居可能です。
ただし、入居する方が要介護認定を受けている40歳~65歳未満の男性の場合、女性スタッフが多い老人ホームへの入居は難しい場合があるので注意しましょう。
施設に入らず一人暮らしはできるのか
老人ホームなどの施設にはできるだけ頼らず、一人暮らしを続けたいという方も多いでしょう。
パーキンソン病が進んでしまうと、薬の服用タイミングが分からなくなってしまい症状が悪化して危険な状態に陥る恐れもあります。
そのため、もしパーキンソン病を発症したら施設に入るのが無難と言えるでしょう。
施設に入らことに抵抗を覚える方であれば、ショートステイの利用でも構わないため、誰かに頼ることをおすすめします。
パーキンソン病の方の補助金について
介護保険給付の他にも、パーキンソン病に罹患すると生活を支えるための補助金が出ます。
パーキンソン病の重症度の分類は、以下のように5段階に分けられていますが、Ⅱ度以下または生活機能障害度Ⅰ度以下でも、医療費の支払金額が一定以上となると医療費助成の対象となります。
なお、医療費助成制度を利用するためには、住居地の保健所に申請書や診断書などを提出して行うことになります。
介護保険制度や補助金は介護をする上で重要な役割を果たしているので、しっかり情報を集めましょう。
パーキンソン病の方が老人ホーム選びで重視すべき点
パーキンソン病は、病状の進行と共に身体の自由が無くなってしまうので、常に転倒事故の危険があります。
また、食事や着替えなどの日常動作をこなす際にも時間がかかってしまうため、適切なサポートを受けられる施設を探しましょう。
また、身体が思い通りに動かないことで気持ちが落ち込んでしまい鬱状態に陥ってしまうこともあるため要注意です。
住環境に配慮されている
老人ホームを選ぶ際には、パーキンソン病患者でも安心して移動できるかどうかをチェックしましょう。
手すりの設置や段差解消がされており、浴室などが安全に配慮された設計になっている住環境であれば、安心して暮らせるでしょう。
また、運動機能の衰えを防ぐためにも手すりの設置や家具類の配置が調整されている施設を選び、少しでも自立した生活を送れるようにしましょう。
パーキンソン病に熟知したスタッフがいるか
パーキンソン病の症状や対応を熟知しているスタッフがいれば、充実したケアを受けられるでしょう。
薬物効果に合わせて生活リズムを作るサポートもしてくれるので、患者にとって非常に頼れる存在となります。
また、病状を熟知していれば起こりやすい事故を予防するために細心の注意が払ってくれるので、安心して生活できるでしょう。
しっかりとしたリハビリを行えるか
パーキンソン病の症状を遅らせるためには、リハビリを適度に行うことが重要です。
自力でできることに関しては、時間がかかっても自力で行うようにサポートしてくれる施設を選びましょう。
なお、施設の人手や人員配備の体制が不十分だと対応が遅れてしまう場合があるためスタッフの人数もチェックしてみてください。
実際に、スタッフの介助が待ちきれずに、パーキンソン病の方が1人でトイレに向かい転倒してしまったと事例もあります。
医療連携が緊密に取れている24時間体制で看護スタッフが常駐している老人ホームを選ぶと、より安心でしょう。
選ぶ際の優先順位を決めよう
老人ホーム選びで困らないためにも、重視するべきポイントを整理して比較項目に優先順位を付けることをおすすめします。
具体的には、下記のポイントを意識してみてください。
特に、パーキンソン病の方は日常的な見守りや介護が必要不可欠なので介護体制の充実度に関しては重要度が高いです。
安心して暮らせるかどうかを最優先に考えて、施設選びを進めていきましょう。
おすすめの有料老人ホームの種類
有料老人ホームは、主に「住宅型有料老人ホーム」「介護付き有料老人ホーム」の2種類に分かれます。
介護体制やサービスを提供するための人員体制が整備されている介護付き有料老人ホームの方が、パーキンソン病の方には適していると言えるでしょう。
住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅にも介護体制が充実している施設はあるので、必ずしも選択肢が介護付き有料老人ホームに限られるわけではありません。
様々な施設を比較検討した上で、ベストな施設を選んでいきましょう。
パーキンソン病の方が施設入居するリスク
パーキンソン病の方がさらに認知症を併発してしまうと、残念ながら問題行動が増えるため介護者の負担が重くなります。
また、嚥下障害も抱えてしまうと恒常的に食事介助が必要となるので、食事内容にも配慮しなければなりません。
このような症状を併発してしまっている場合、サポートを提供する余力がない施設からは入居を断られてしまうケースもあります。
また、入居後にパーキンソン病と認知症を併発した状況になるケースもあるため、入居前に退去要件に関しては必ず確認してください。
認知症を併発しても入居を継続できるか、必要な介護や支援を受けられる契約か否かは重要なポイントなので、漏れなくチェックしましょう。
室内での転倒にも注意
パーキンソン病を患ってしまうと運動機能や感覚機能が低下してしまうので転倒のリスクが高まります。
特に、コロナ禍において在宅時間が増えたことで室内での転倒事故も増えているので要注意といえるでしょう。
もし階段で転倒してしまうと大怪我にも繋がるので、同居家族のサポートや気配りが欠かせません。
予防するための運動・食事
パーキンソン病患者の方が室内での転倒を予防したり、大怪我のリスクを低減するためにも日ごろからリハビリを行う必要があります。
無理のない範囲で適度な運動やストレッチを行って筋力と柔軟性を維持したり、階段昇降やウオーキングなどを行い下半身の筋力を動かすことを意識しましょう。
また、全身の筋肉や関節を使かす動作を行えるラジオ体操も効果的なので、ぜひ実践してみてください。
食生活に関しても工夫を凝らす必要があります。
特に乳製品や、果物・肉などの摂取が少ないと、パーキンソン病になりやすいと言われています。また、チロシンは、大豆製品に多く含まれておりタンパク質の一種で、ドパミンなどの神経伝達物質の原料となる栄養素でなので積極的に摂取すると良いでしょう。
好き嫌いを避け、バランスの良い食事を心がけましょう。