葛飾区の老人ホームの特徴
今回は、東京都葛飾区の老人ホームの特徴と動向について解説していきます。
葛飾区や近隣にお住いの方は、ぜひ参考にしてください。
葛飾区の地理的特徴と介護施設の特徴
葛飾区と聞いて、「男はつらいよ」「こちら葛飾区亀有公園前派出所」などをイメージする方も多いでしょう。
これらの作品からも分かるように、都内でも有数の下町で情緒ある風情が人気です。
人口は462,192人で、高齢者の方も街に溶け込みやすい閑静な街なので過ごしやすい点が大きな魅力です。
老人ホーム等の介護施設の整備も進んでおり、今後ますます老人ホームは増えていくでしょう。
有料老人ホームの利用料を見てみると、葛飾区は23区内で比較的低額な水準にあります。
また、高齢者の社会参加を促す取り組みが積極的に行われている点も特徴的です。
介護施設などでサポーター活動を行う「介護支援サポーター事業」や、高齢者のひきこもり解消を図る「いきいきふれあいサロン」を設置し、生きがいづくりや活力のある生活をサポートしています。
さらに、健康で長生きするための「シルバーエンジョイスポーツ」「うんどう教室事業」など、高齢者が身体を動かす機会を提供する取り組みも人気があります。
葛飾区の介護施設価格概観
それでは、葛飾区の介護施設の費用について見ていきましょう。
葛飾区にあるココファンの介護施設の入居金・月額費用の平均値・中央値は、下記の表の通りです。
<入居金>
地域 |
平均値 |
中央値 |
葛飾区 |
160,500円 |
160,500円 |
全国 |
297,256円 |
194,500円 |
<月額費用>
地域 |
平均値 |
中央値 |
葛飾区 |
150,714円 |
150,714円 |
全国 |
169,518円 |
158,250円 |
葛飾区のココファンの施設の利用費用は、全国の中央値・平均値と比較すると安い傾向にあることが分かります。
特に、入居金は非常にかなり安いレベルにあるため、東京都内でも利用しやすいと言えるでしょう。
葛飾区の高齢者人口
葛飾区の発表によると、葛飾区の高齢者人口は上記のイラストのようになっています。
出典:第8期 葛飾区 高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画
令和2年10月時点で、葛飾区の65歳以上の人口は114,282人・75歳以上は60,752人となっています。
高齢者人口割合について見てみると、令和2年10月で65歳以上が24.6%・75歳以上が13%です。
また、今後の高齢者人口及び高齢者率の推移を見てみると、2025年には減少するものの、2035年から2040年にかけては上昇していくと考えられています。
葛飾区の介護保険事業者・施設の状況
続いて、2020年9月時点葛飾区の介護保険事業者と施設の状況について確認していきましょう。
<葛飾区の種類別施設数>
種類 |
施設数 |
75歳以上千人あたりの施設数(葛飾区) |
75歳以上千人あたりの施設数(全国) |
訪問型介護施設数 |
179 |
3.37 |
3.25 |
通所型介護施設数 |
185 |
3.49 |
3.43 |
入所型介護施設数 |
63 |
1.19 |
2.17 |
特定施設数 |
11 |
0.21 |
0.32 |
居宅介護支援事業所数 |
158 |
2.98 |
2.41 |
福祉用具事業所数 |
39 |
0.73 |
0.80 |
介護施設数(合計) |
635 |
11.97 |
12.40 |
出典:日本医師会 葛飾区
葛飾区の施設について見てみると、全国の施設数とほぼ同程度からやや多めであることが分かります。
特徴として入所型介護施設数が全国平均と比較するとかなり少ないですが、介護施設全体で見ると十分な数が揃っていることが分かります。
今後もますます高齢者施設は増えていくことが予測できますが、動向に関しては要注意と言えるでしょう。
葛飾区の要介護認定者数
葛飾区の発表によると、2020年時点では葛飾区の要介護・要支援認定者数は上記のイラストの通りとなっています。
出典:葛飾区(2021年3月)
高齢者人口の増加に伴い、要介護認定者数も増加していくと考えられています。
そのため、介護の負担は今後より大きくなっていくと言えるでしょう。より大きくなっていく介護・医療への需要を満たすために、地域の自治体が中心となって介護サービスをより充実させることが必要になります。
葛飾区の高齢者相談窓口は?
葛飾区では、区内の高齢者が介護サービスを受けられるように苦情調整委員制度を設けています。
高齢者の方のための相談窓口が設けられているので、疑問や不安なことがあれば気軽に利用しましょう。
なお、苦情調整委員を務めているのは弁護士や大学教授などの専門家なので、専門的な知識に基づいたアドバイス・助言が期待できます。
なお、調査を経て介護事業者側に問題点があると判断されると、当該事業者対して是正が勧告される仕組みになっているため、サービスを利用する住民の方々にとっては非常にありがたいでしょう。
また、申立ての結果は必ず本人に報告される仕組みになっているので、オープンな相談窓口と評価できます。
利用したい場合は、葛飾区の福祉管理課の企画係に問い合わせてみてください。
葛飾区独自の介護予防サービスについて
葛飾区では独自の介護予防サービスを展開しているので、住民の方は積極的に利用すると良いでしょう。
葛飾区の介護予防サービスは要支援高齢者のニーズに合わせてサービスを展開している点が特徴で、訪問型サービス・通所型サービス・介護予防ケアマネジメントの3種類のサービスを受けることができます。
また、「介護予防ケアマネジメント」を通して自身の状態に合った介護予防計画を作成できます。
区内にある高齢者総合相談センターなどに所属しているケアマネジャーが具体的なケアプランの作成をしてくれるため、大きな助けになるのは間違いありません。
また、利用者の状況によっては調査員が自宅に訪問して調査を行うので、外出が難しい方でも問題なく利用可能です。
さらに、利用者にとって必要なサービスは状況に応じて変わることから、調査員が継続的に利用者の状況を確認して計画を見直してくれる点も嬉しいサービスです。
必要なサービスを常に受けられる仕組みが整っていることから、遠慮せずに担当窓口で相談してみてください。
葛飾区の地域包括ケアシステム
地域包括ケアシステムとは、高齢者を支えるサービスを地域で一体的に提供するシステムを指します。
国を挙げてシステムの構築を推進しており、団塊世代が75歳以上となる2025年を目途にシステムの完成が目指されています。
具体的には、要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最期まで続けることができるようにサポートするための内容となっています。
住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムは、市町村や都道府県が地域の自主性に基づきながら構築されますので、地域の高齢者支援の軸としての役割を持つ、と言えるでしょう。
葛飾区は他の地域と同様に、今後後期高齢者や認知症高齢者、要介護者数が増加する見込みです。
そこで、定期巡回・随時対応型訪問介護看護などの優先順位が高いサービスを積極的に展開していくことを宣言しており、高齢者が在宅で安心して生活できる環境の整備を推進しています。
また、現在葛飾区では地域包括ケアシステムの構築にあたり、7つの日常生活圏域の中から1ヵ所をモデル地域に指定し、具体的な取り組みを進めています。
行政が様々な機関と連携しながら、医療・介護・介護予防・住まい・生活支援の5つのサービスを一元的に提供する体制づくりを目指しているため、高齢者の方々にとって非常にありがたい仕組みと言えるでしょう。
なお、葛飾区が特に力を入れているのは在宅介護サービスと在宅医療サービスの連携です。
通常であれば、介護と医療は別々に分かれているため利用する際には別々に申請する必要がありますが、葛飾区では地域密着型ケアシステムの実現を目指して介護と医療の連携を緊密にすることを重要視しています。
住民の目線に立ちながら有用なシステム構築を進めていることから、今後も葛飾区で住み続ける予定の方や葛飾区に転居する予定がある方はチェックすると良いでしょう。
具体的な取り組みに関しては広報やホームページで確認できるので、調べてみてください。
パーキンソン病の方の施設選びのポイント
この記事は医師に監修されています
中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長
矢野 大仁 先生
そもそもパーキンソン病とは
パーキンソン病とは、脳内のドパミン神経細胞の減少によりドパミンという成分が減少して起こる病気で手の震えなどが代表的な症状です。
人口10万人あたり約150人の方が発症すると言われており、発症すると要介護認定を受けるのが一般的ですが、まずはパーキンソン病の症状について確認しましょう。
パーキンソン病の症状
重症度は症状によって5段階に分けられていますが、具体的な症状は下記の通りです。
安静時振戦(ふるえ)
安静時振戦とは「ふるえ」のことで、じっとしている時にふるえが止まらなくなる症状です。
なお、ペンや箸を使う時などの動作時にはふるえが消えるという特徴があります。
初期段階であれば体の左右のどちらかにふるえ症状が出ますが、2~3年後には反対側にもふるえの症状が出るようになります。
親指と人差し指で丸薬をまるめるような「丸薬丸め運動」や、踵で床を小刻みに打つような「タッピング様振戦」が代表的です。
無動
無動とは、日常生活での動きが少なくなり、動作が遅くなってしまうことです。
顔の筋肉に無動症状が出ると「仮面様顔貌」と呼ばれる、顔の筋肉がこわばり表情が乏しくなります。
他にも、字を書く際にだんだん文字が小さくなっていく「小字症」や、声が小さくなる「小声症」などの症状が代表的です。
筋強剛
筋強剛は、筋肉の収縮と弛緩のバランスが崩れて、筋肉の緊張が進んでしまう症状を指します。
関節のこわばりや脱力感の症状が代表的ですが、抵抗が一定に感じられる「鉛管現象」や、歯車のように引っかかるような抵抗が断続的に見られる「歯車現象」が代表的です。
このような、パーキンソン病による筋肉の硬直を「筋固縮」とも呼びます。
姿勢保持障害
姿勢保持障害が起きるとバランスが取りにくくなり、体が傾き転びやすくなります。
また、歩行時にどんどん加速して小走りになってしまい、自分では止まれない「突進歩行」も特徴です。
転倒のリスクがかなり高まることから、転倒しないように支えたり見守ることが重要です。
パーキンソン病の方の入居の条件
パーキンソン病を患っている方でも、基本的には老人ホームへの入居が可能です。
本来であれば「65歳以上、介護認定あり」が老人ホームに入居する条件となっていますが、パーキンソン病は厚生労働省が指定する特定疾病に含まれているため、介護認定を受けているパーキンソン病患者であれば40歳~65歳未満でも入居可能です。
ただし、入居する方が要介護認定を受けている40歳~65歳未満の男性の場合、女性スタッフが多い老人ホームへの入居は難しい場合があるので注意しましょう。
施設に入らず一人暮らしはできるのか
老人ホームなどの施設にはできるだけ頼らず、一人暮らしを続けたいという方も多いでしょう。
パーキンソン病が進んでしまうと、薬の服用タイミングが分からなくなってしまい症状が悪化して危険な状態に陥る恐れもあります。
そのため、もしパーキンソン病を発症したら施設に入るのが無難と言えるでしょう。
施設に入らことに抵抗を覚える方であれば、ショートステイの利用でも構わないため、誰かに頼ることをおすすめします。
パーキンソン病の方の補助金について
介護保険給付の他にも、パーキンソン病に罹患すると生活を支えるための補助金が出ます。
パーキンソン病の重症度の分類は、以下のように5段階に分けられていますが、Ⅱ度以下または生活機能障害度Ⅰ度以下でも、医療費の支払金額が一定以上となると医療費助成の対象となります。
なお、医療費助成制度を利用するためには、住居地の保健所に申請書や診断書などを提出して行うことになります。
介護保険制度や補助金は介護をする上で重要な役割を果たしているので、しっかり情報を集めましょう。
パーキンソン病の方が老人ホーム選びで重視すべき点
パーキンソン病は、病状の進行と共に身体の自由が無くなってしまうので、常に転倒事故の危険があります。
また、食事や着替えなどの日常動作をこなす際にも時間がかかってしまうため、適切なサポートを受けられる施設を探しましょう。
また、身体が思い通りに動かないことで気持ちが落ち込んでしまい鬱状態に陥ってしまうこともあるため要注意です。
住環境に配慮されている
老人ホームを選ぶ際には、パーキンソン病患者でも安心して移動できるかどうかをチェックしましょう。
手すりの設置や段差解消がされており、浴室などが安全に配慮された設計になっている住環境であれば、安心して暮らせるでしょう。
また、運動機能の衰えを防ぐためにも手すりの設置や家具類の配置が調整されている施設を選び、少しでも自立した生活を送れるようにしましょう。
パーキンソン病に熟知したスタッフがいるか
パーキンソン病の症状や対応を熟知しているスタッフがいれば、充実したケアを受けられるでしょう。
薬物効果に合わせて生活リズムを作るサポートもしてくれるので、患者にとって非常に頼れる存在となります。
また、病状を熟知していれば起こりやすい事故を予防するために細心の注意が払ってくれるので、安心して生活できるでしょう。
しっかりとしたリハビリを行えるか
パーキンソン病の症状を遅らせるためには、リハビリを適度に行うことが重要です。
自力でできることに関しては、時間がかかっても自力で行うようにサポートしてくれる施設を選びましょう。
なお、施設の人手や人員配備の体制が不十分だと対応が遅れてしまう場合があるためスタッフの人数もチェックしてみてください。
実際に、スタッフの介助が待ちきれずに、パーキンソン病の方が1人でトイレに向かい転倒してしまったと事例もあります。
医療連携が緊密に取れている24時間体制で看護スタッフが常駐している老人ホームを選ぶと、より安心でしょう。
選ぶ際の優先順位を決めよう
老人ホーム選びで困らないためにも、重視するべきポイントを整理して比較項目に優先順位を付けることをおすすめします。
具体的には、下記のポイントを意識してみてください。
特に、パーキンソン病の方は日常的な見守りや介護が必要不可欠なので介護体制の充実度に関しては重要度が高いです。
安心して暮らせるかどうかを最優先に考えて、施設選びを進めていきましょう。
おすすめの有料老人ホームの種類
有料老人ホームは、主に「住宅型有料老人ホーム」「介護付き有料老人ホーム」の2種類に分かれます。
介護体制やサービスを提供するための人員体制が整備されている介護付き有料老人ホームの方が、パーキンソン病の方には適していると言えるでしょう。
住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅にも介護体制が充実している施設はあるので、必ずしも選択肢が介護付き有料老人ホームに限られるわけではありません。
様々な施設を比較検討した上で、ベストな施設を選んでいきましょう。
パーキンソン病の方が施設入居するリスク
パーキンソン病の方がさらに認知症を併発してしまうと、残念ながら問題行動が増えるため介護者の負担が重くなります。
また、嚥下障害も抱えてしまうと恒常的に食事介助が必要となるので、食事内容にも配慮しなければなりません。
このような症状を併発してしまっている場合、サポートを提供する余力がない施設からは入居を断られてしまうケースもあります。
また、入居後にパーキンソン病と認知症を併発した状況になるケースもあるため、入居前に退去要件に関しては必ず確認してください。
認知症を併発しても入居を継続できるか、必要な介護や支援を受けられる契約か否かは重要なポイントなので、漏れなくチェックしましょう。
室内での転倒にも注意
パーキンソン病を患ってしまうと運動機能や感覚機能が低下してしまうので転倒のリスクが高まります。
特に、コロナ禍において在宅時間が増えたことで室内での転倒事故も増えているので要注意といえるでしょう。
もし階段で転倒してしまうと大怪我にも繋がるので、同居家族のサポートや気配りが欠かせません。
予防するための運動・食事
パーキンソン病患者の方が室内での転倒を予防したり、大怪我のリスクを低減するためにも日ごろからリハビリを行う必要があります。
無理のない範囲で適度な運動やストレッチを行って筋力と柔軟性を維持したり、階段昇降やウオーキングなどを行い下半身の筋力を動かすことを意識しましょう。
また、全身の筋肉や関節を使かす動作を行えるラジオ体操も効果的なので、ぜひ実践してみてください。
食生活に関しても工夫を凝らす必要があります。
特に乳製品や、果物・肉などの摂取が少ないと、パーキンソン病になりやすいと言われています。また、チロシンは、大豆製品に多く含まれておりタンパク質の一種で、ドパミンなどの神経伝達物質の原料となる栄養素でなので積極的に摂取すると良いでしょう。
好き嫌いを避け、バランスの良い食事を心がけましょう。