新型コロナウィルス感染拡大
に伴う対応について

2021年06月20日

コロナ対策

【福祉現場のコロナ対策、どうしてますか?vol.4】手洗い・うがい・消毒の凡事徹底が何よりの対策に #1

【福祉現場のコロナ対策、どうしてますか?vol.4】手洗い・うがい・消毒の凡事徹底が何よりの対策に #1

Withコロナ時代の今、介護現場に求められている感染対策と働き方を深堀りしてお届けする連載企画。今回お話を伺ったのは介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホームの2つの事業を展開している『ココファンメゾン四之宮』事業所長の谷村臣祐さん。

6F建てフロアの1Fを共用部、2~4Fを住宅型有料老人ホーム、5・6Fを介護付き有料老人ホームと、フロア分けして事業を展開しているココファンメゾン四之宮。新型コロナウイルスの流行を受けて介護時に必要となるマスクなどの備品が手に入りにくくなり、業務にさまざまな支障をきたしたそう。

では、どのような感染対策を行って利用者と職員の身を守ってきたのか? 前編では、ココファンメゾン四之宮で導入している感染対策をはじめ、利用者さんと利用者さんご家族の面会時の対応や、イベント対応方法など、コロナ禍でも利用者さんに出来る限り快適に過ごしてもらうために行っている取り組みについてお聞きします。

お話を伺ったのは…

株式会社学研ココファン
ココファンメゾン四之宮
事業所長 谷村臣祐さん

株式会社学研ココファン ココファンメゾン四之宮 事業所長 谷村臣祐さん

2015年、前職と株式会社ココファンが経営統合したことをきっかけに現職に入職。藤沢市の住宅型有料老人ホーム『レジデンス湘南台』併設のグループホーム、小規模多機能型の兼任管理者を勤めた後、藤沢市の介護付き有料老人ホーム『ココファンメゾン大庭』の事業所長に。現職場の『ココファンメゾン四之宮』では平成28年10月~1年半程事業所長を勤めた経験あり。その後、介護付き有料老人ホーム『レジデンス小田原』に移動し、約2年事業所長を担当した後、2020年4月から再び『ココファンメゾン四之宮』の事業所長に。現在は隣にある事業所『ココファンメディカルタウン湘南四之宮』の事業所長を兼任している。

まずは「手洗い・うがい・消毒」の基本の対策を今一度徹底

館内の入り口に設置されている自動検温器

館内の入り口に設置されている自動検温器

―新型コロナウイルスの流行を受け、ココファンメゾン四之宮ではどのような対策を行ったのでしょうか?
まず、介護業界において業務時の基本にあたる「手洗い・うがい・消毒」の徹底の見直しを図るよう全職員に呼びかけました。

また、ココファンメゾン四之宮の玄関は利用者と職員で共用のため、職員の出社時の動線を「入館→検温→手洗い・うがい・消毒→検温した体温の記録→勤怠記録→業務連絡を読む→フロアに行く」に統一し、ウイルスが侵入するのを防ぎました。

職員の休憩はできるだけ分散して取ってもらうよう、休憩時の女子更衣室の利用人数を最大2名までと制限を設け、その代わりに面談室などの共有部を休憩時に使用することを許可しました。そして休憩終了後は外出の有無に関わらず、手洗い・うがいをしてから必ずフロアに戻ることを職員全員徹底してもらっています。
―感染対策のためのアイテムなどは活用していますか?
数ヶ月前に会社から支給された自動検温器やアクリル板を施設内で活用しています。

加えて、細菌やウイルスを無毒化するのに効果的とされている「次亜塩素酸水」を自分たちで生成し、施設内に噴霧しています。ニュースなどでは次亜塩素酸水の体調面への影響が心配されていたので、仮にそのような事例が施設内で1回でも起きた場合は、すぐに使用を中止しようと考えていました。

しかし、弊社で使用している次亜塩素酸水は人体に影響がないと証明されているものを使用しているためか、利用者さん・職員ともに、次亜塩素酸水を使用して体調が悪くなったという事例はこれまでに一度も挙がってきていないので、現在も使用を継続しています。むしろ、これまでに施設内で罹患者が出ていないことを加味すると、次亜塩素酸水は一定の効果が見込めるアイテムだと実感しています。

感染対策を行いながら利用者さんに楽しんでもらう術を常に模索

ココファンメゾン四之宮の各階にある食堂には、飛沫感染対策としてアクリル板を設置。

ココファンメゾン四之宮の各階にある食堂には、飛沫感染対策としてアクリル板を設置。

―ココファンメゾン四之宮では各階に食堂を設けているそうですが、食事時の対策は?
対面を避け、利用者さん同士距離を取った席配置にするようにしています。ココファンメゾン四之宮の1フロアあたりの利用者数は最大で9人までとごく少数なので、大食堂のある施設が行っている「食事時間をずらす」といった対策は行っていません。
―レクリエーションやイベントはどのように対応しているのでしょうか?
5・6Fに設けている介護付き有料老人ホームでは日常的にレクリエーションを設けているのですが、現在は発声を伴う内容は控え、習字や塗り絵などを行ってもらっています。また、個別対応で体操なども行っています。

加えて、本来は約2ヶ月に1回のペースで外部の業者さんを呼んだイベントも行っていたのですが、今はストップしている状況です。
―コロナ禍でのイベント実施はなかなか難しいですよね…。
ココファンメゾン四之宮には認知症の利用者さんも多いため、現在の状況下を理解していただくことが難しく、「なんで●●ができないの?」といった不安の声が利用者さんから挙がることも。職員一同、できる範囲の工夫を行えるよう奮闘している毎日です。
―具体的にどのような工夫を行っているのでしょうか?
半年程前に一度、メゾン四之宮の隣にある兼務先の1Fイベントホールを使用して2部構成型の音楽会を行わせていただきました。その際は常に換気を行い、エアコンを付けない状況下で行ったため、利用者さんには「ご理解いただけるようでしたらご参加ください」と促しました。

あと、業者さんに協力をお願いして洋服の販売会も一度だけ行わせていただきました。その際も密にならない環境づくりと、万が一感染者が出た場合の濃厚接触者を減らす対策としてフロアごとに利用者さんを誘導して行いました。

とはいえ、これらのイベントを継続的に開催するまでには至れていないのが現状なので、ココファンメゾン四之宮の1Fフロアに脳トレクイズを掲載するなどして、少しでも利用者さんが楽しめる空間づくりに努めています。

ご家族との面会は、感染対策を行ったうえで出来る限り柔軟に対応

ココファンメゾン四之宮1Fに設置している脳トレクイズ

ココファンメゾン四之宮1Fに設置している脳トレクイズ

―コロナの影響を受け、利用者さんご家族の面談などはどのように対応しましたか?
利用者さんご家族の中でも遠方からいらっしゃる方も多かったので、初めの緊急事態宣言時は基本的に入館を禁止させていただき、代わりにオンライン会議ツールを介した面会を提案させていただきました。

現在は面会を希望する際は、電話での事前予約をいただいてから入館いただく仕組みを取らせてもらっています。基本的には利用者さん1名に対しての面会可能なご家族様を1名までとさせてもらっているのですが、遠方にお住まいで利用者さんになかなか会いに来られないご家族などに関しては、部屋以外の広いスペースを利用いただくことを条件に2名までOKとするなど、ご家族からの相談に合わせてできる限りの提案と対応に努めています。

また例外として、終末期を迎えていらっしゃる利用者さんの「最期の顔を見たい」というご家族からのご要望に関しては、時間差で来ていただくなど一定の理解をいただいたうえで人数制限などは設けずにお通しする場合もございます。
―谷村さんのこれからの課題や、今後注力して取り組んでいきたいことを教えてください。
ココファンメゾン四之宮では各部屋に手洗い場などの用意がないため、感染エリアとそうでないエリアの区分けをする「ゾーニング」が難しいのが課題です。そのような環境下で今後どう対応していくべきかを弊社の訪問看護の看護師と日々話し合いを重ねているのですが、良い結論に辿り着けていないのが現状です。

なのでこの件は引き続き話し合いを重ねていくとともに、現場では「手洗い・うがい・消毒」の基本的な対策の「凡事徹底」を職員一同に呼びかけていこうと思います。この基本の対策は仮にコロナが終息した際も、ノロウイルスやインフルエンザの感染予防に必ず役立ってくることなので、一時的な対策の一環として行うのではなく、今後も継続して行うものとしてマニュアル化していきたいと考えています。

ココファンメゾン四之宮 事業所長・谷村臣祐さんが
実施している感染対策

1.「手洗い・うがい・消毒」を凡事徹底する

2. 施設内に脳トレを掲載するなど、利用者さんに楽しんでもらうための工夫を図る

3. 面会は感染対策を行うことを前提とし、ケースバイケースで対応

感染対策アイテムの活用や食事時の席配置の工夫はもちろん、「手洗い・うがい・消毒」の徹底が何よりの対策になるんですね。新型コロナウイルスが流行して1年以上が経過し、気が緩みがちな今こそ基本の対策を見直さねばと谷村さんのお話をお聞きして気が引き締まりました。

次回はコロナ禍における現場職員の働き方についてお届けします!

取材・文/小沼奈央(レ・キャトル)

Information

ココファンメゾン四之宮

ココファンメゾン四之宮住所:神奈川県平塚市四之宮1-3-66
電話番号:0463-25-5117

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