柏市の老人ホームの特徴
千葉県柏市の老人ホームや介護支援に関する特徴、柏市内の人口比率から見る介護状況などの動向を解説していきます。
柏市の地理的特徴と介護施設の特徴
柏市は千葉県の北西部に位置する市で、千葉県内でも有数の人口を誇り、千葉県第5位の人口規模の中核市です。
JR常磐線や東部アーバンパークラインなどが乗り入れ、柏駅や、都市開発が進む柏の葉エリアでは、つくばエクスプレスが通る他、国道16号線と国道6号線が通り、東京方面だけでなく茨城県・埼玉県へのアクセスも良好な県内有数の地域です。
そのため、首都圏の代表的なベッドタウンとしても知れています。
JR柏駅周辺には百貨店も軒を連ね、柏の葉周辺エリアはスマートシティの先駆けとして土地開発が盛んにおこなわれていますが、田園風景が広がる地域もあり、穏やかに住みやすい地域として注目されています。
柏市の介護施設価格概観
柏市にあるココファンの介護施設の入居金、月額費用の平均値と中央値を紹介します。
<入居金>
地域 |
平均値 |
中央値 |
柏市 |
176,805円 |
163,500円 |
全国平均 |
297,256円 |
194,500円 |
<月額費用>
地域 |
平均値 |
中央値 |
柏市 |
145,255円 |
154,714円 |
全国平均 |
169,518円 |
158,250円 |
上記の図から分かるように、柏市の介護施設の入居金は全国平均よりもやや低めです。
また、月額費用は全国平均より若干低めか、同程度で利用することが出来ます。
柏市の高齢者人口
※2020年度以降は推定値
柏市人口ビジョン(2018)によると、2015年時点での65歳以上の高齢者人口は100,857人となっています。
また、高齢者人口及び高齢化率は年々増加すると見られており、2050年には14万人近くの高齢者人口、及び35%弱の高齢化率となる推定です。
団塊の世代が65歳以上に突入したことによって、柏市の高齢者人口は急上昇しています。
その後はゆるやかな上昇を続行けているものの、今後はより速いスピードで増加傾向が続くと予想されます。
柏市の介護施設・介護支援事業所の状況
<柏市の種類別介護施設数>
種類 |
施設数 |
75歳以上千人あたりの施設数(柏市) |
75歳以上千人あたりの施設数(全国) |
訪問型介護施設数 |
150 |
3.47 |
3.25 |
通所型介護施設数 |
121 |
2.80 |
3.43 |
入所型介護施設数 |
65 |
1.50 |
2.17 |
特定施設数 |
10 |
0.23 |
0.32 |
居宅介護支援事業所数 |
119 |
2.75 |
2.41 |
福祉用具事業所数 |
46 |
1.06 |
0.80 |
介護施設数(合計) |
512 |
11.85 |
12.40 |
出典:日本医師会 柏市
※2020年9月時点のデータです。
75歳以上千人あたりの施設数を全国と比較すると、柏市は全国よりも少なめの施設数となっています。
一方で、訪問型介護施設数、居宅介護支援事業所数は他地域よりも多くなっています。
柏市の要介護認定数と介護サービス利用者数
令和3年度の柏市による発表によると、2020年の要介護認定者数は18,101人となっています。
柏市の要介護認定率は、全国平均と比べてやや高い傾向にあります。
また、要介護認定者数は2025年には22,190人、2030年には25,858人に昇ると推定されています。
要介護認定者の中でも、要介護1と要介護2の認定率は千葉県の他の市町村の平均と比べて上回っている結果が出ています。
介護サービスの利用者数は全国平均よりも低い指数が出ています。
また、千葉県内の市町村の平均と比べても低い結果があり、介護認定率の増加と介護サービスの復旧が見合っていない現状があります。
柏市が行う「セカンドライフ事業」
柏市では、高齢者の方がボランティアに参加したり、生涯学習出来る場所を増やしたり、生きがいをサポートする生涯学習を支援する活動として、セカンドライフ事業を展開しています。
ロコもフィットかしわ事業
柏市に在籍する高齢者の方を対象として、健康増進活動を行っています。
活動場所は柏市内にある、ふるさと会館や近隣センターなどで実施されています。
健康体操を実施したり、簡単な体操を指導したり、柏市オリジナルの体操を行ったりすることで、身体機能の維持や向上、コミュニティでの関わりを支援しています。
いきいきプラザの介護予防センター
いきいきプラザは、社会福祉協議会やフレイル予防事業などの介護にまつわる団体で構成されています。
いきいきプラザ内の介護予防センターでは、歌や楽器などの音楽、簡単な運動、手芸などのクラフト作成などを、機能訓練の一環として実施しています。
「福祉サービス運営適正化委員会」の設置
福祉サービス運営適正化委員会は、福祉サービス利用援助事業の適正な運営を確保し、利用者などからの苦情を適切に解決する第三者機関として、社会福祉法に基づいて設置されています。
柏市では、福祉サービスに関する疑問を柏市社会福祉協議会の相談支援課である、かしわ福祉権利擁護センターが窓口となって受け付けています。
介護サービスに関して不安に思っていることや、疑問点などが相談出来る他、財産管理サービスも行っています。
預貯金通帳の管理、実印の保管、不動産権利証といった財産保全に関するサービスを実施しており、財産に関する相談もすることが出来ます。
虐待や権利侵害、心の健康や、家族のことなども相談することが可能です。
専門的な援助が必要な場合は、弁護士などを紹介したり、介護支援が受けられる事業所を紹介したりする、橋渡し的な役割も担っています。
柏市の高齢者見守りシステム
「すべての高齢者がその人らしく、住み慣れた地域で安心していきいきと暮らせるまち」という理念のもと、地域包括ケアシステムとして、医療・福祉などを統合した街づくりを目指す取り組みがあります。
柏市は、介護予防支援や定期循環、訪問介護など様々な介護サービスを行っています。
このような介護サービスだけでなく、高齢者の方の生きがいづくりや居場所づくりのための社会参加促進をサポートする取り組みとして、ふれあいサロンでの活動が充実しています。
他にも地域ボランティアによるゴミ出し代行、買い物支援など、地域住民による助け合いサービスが豊富なのも特徴的です。
また、柏市防災福祉K-netという災害時の取り組みは、災害時に自力避難出来ない高齢者の方のために、見守りネットワークを通して地域全体で関わり、ケアしていく制度として広がりを見せています。
柏市の「さわやかサービス」
さわやかサービスは、「ともに助け合い、支え合う地域を目指して…」というスローガンのもと行われている、住民参加型の有償在宅福祉サービスです。
高齢者の方や、障害を持っている方が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、柏市の社会福祉協議会が独自の事業として実施しています。
利用対象と支援者
利用できるのは市内在住の柏市民です。
高齢者の方や、障害がある方、妊産婦など、日常生活で自立した生活を送る支援が必要な方が、利用会員として登録をします。
支援が必要な人をサポートするのは、さわやかサービスに賛同し、協力出来る18歳以上の方です。
協力会員として登録を行います。
利用会員はサービスの利用内容に応じて費用を負担し、協力会員はサービスの提供に対して援助費を受け取ることができます。
さわやかサービスで利用できる内容
さわやかサービスで利用できる内容には、下記のようなものがあります。
調理・掃除・洗濯などの日常的な家事、話し相手など
外出介助(通院や買い物の同行など)、食事介護、排泄介助といった介護サービスを支援します。
在宅介護や、福祉に関する相談など
産前2か月前から産後6ヵ月までの妊産婦を対象としています。
調理・掃除・洗濯などの一般的な家事、買い物の代行、話し相手になると、沐浴の準備といったサービスを行っています。
産前産後支援サービスは、お母さんの支援を行うもので、赤ちゃんのお世話は含まれません。
また、さわやかサービスは柏市社会福祉協議会が主体となって行っている独自のサービスであり、介護保険事業とは異なる支援サービスです。
介護認定の有無に関わらず利用することが出来ます。
グループホームとは?
要支援2以上の認知症患者の方が対象
グループホームは正式名称を「認知症対応型共同生活介護」と言います。
要支援2以上かつ、医師から認知症の認定を受けた高齢者の方を対象とする施設です。
「ユニット」と呼ばれる少人数単位での生活が基本であり、5〜9人をユニットとした共同住宅でケアサービスを提供しています。
馴染みの深い少人数で常に生活を共にすることから、環境の変化が少なく、認知症患者の方でも穏やかな心身状態で生活を営むことができます。
施設内では、認知症改善に最適なレクリエーションやリハビリテーションなど、認知症に対する非常に手厚いケアを行っている点が特徴です。
こういったことから、認知症患者の方が民間介護施設を選ぶ際にはぜひ検討しておきたい施設だと言えるでしょう。
パーキンソン病の方の施設選びのポイント
この記事は医師に監修されています
中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長
矢野 大仁 先生
そもそもパーキンソン病とは
パーキンソン病とは、脳内のドパミン神経細胞の減少によりドパミンという成分が減少して起こる病気で手の震えなどが代表的な症状です。
人口10万人あたり約150人の方が発症すると言われており、発症すると要介護認定を受けるのが一般的ですが、まずはパーキンソン病の症状について確認しましょう。
パーキンソン病の症状
重症度は症状によって5段階に分けられていますが、具体的な症状は下記の通りです。
安静時振戦(ふるえ)
安静時振戦とは「ふるえ」のことで、じっとしている時にふるえが止まらなくなる症状です。
なお、ペンや箸を使う時などの動作時にはふるえが消えるという特徴があります。
初期段階であれば体の左右のどちらかにふるえ症状が出ますが、2~3年後には反対側にもふるえの症状が出るようになります。
親指と人差し指で丸薬をまるめるような「丸薬丸め運動」や、踵で床を小刻みに打つような「タッピング様振戦」が代表的です。
無動
無動とは、日常生活での動きが少なくなり、動作が遅くなってしまうことです。
顔の筋肉に無動症状が出ると「仮面様顔貌」と呼ばれる、顔の筋肉がこわばり表情が乏しくなります。
他にも、字を書く際にだんだん文字が小さくなっていく「小字症」や、声が小さくなる「小声症」などの症状が代表的です。
筋強剛
筋強剛は、筋肉の収縮と弛緩のバランスが崩れて、筋肉の緊張が進んでしまう症状を指します。
関節のこわばりや脱力感の症状が代表的ですが、抵抗が一定に感じられる「鉛管現象」や、歯車のように引っかかるような抵抗が断続的に見られる「歯車現象」が代表的です。
このような、パーキンソン病による筋肉の硬直を「筋固縮」とも呼びます。
姿勢保持障害
姿勢保持障害が起きるとバランスが取りにくくなり、体が傾き転びやすくなります。
また、歩行時にどんどん加速して小走りになってしまい、自分では止まれない「突進歩行」も特徴です。
転倒のリスクがかなり高まることから、転倒しないように支えたり見守ることが重要です。
パーキンソン病の方の入居の条件
パーキンソン病を患っている方でも、基本的には老人ホームへの入居が可能です。
本来であれば「65歳以上、介護認定あり」が老人ホームに入居する条件となっていますが、パーキンソン病は厚生労働省が指定する特定疾病に含まれているため、介護認定を受けているパーキンソン病患者であれば40歳~65歳未満でも入居可能です。
ただし、入居する方が要介護認定を受けている40歳~65歳未満の男性の場合、女性スタッフが多い老人ホームへの入居は難しい場合があるので注意しましょう。
施設に入らず一人暮らしはできるのか
老人ホームなどの施設にはできるだけ頼らず、一人暮らしを続けたいという方も多いでしょう。
パーキンソン病が進んでしまうと、薬の服用タイミングが分からなくなってしまい症状が悪化して危険な状態に陥る恐れもあります。
そのため、もしパーキンソン病を発症したら施設に入るのが無難と言えるでしょう。
施設に入らことに抵抗を覚える方であれば、ショートステイの利用でも構わないため、誰かに頼ることをおすすめします。
パーキンソン病の方の補助金について
介護保険給付の他にも、パーキンソン病に罹患すると生活を支えるための補助金が出ます。
パーキンソン病の重症度の分類は、以下のように5段階に分けられていますが、Ⅱ度以下または生活機能障害度Ⅰ度以下でも、医療費の支払金額が一定以上となると医療費助成の対象となります。
なお、医療費助成制度を利用するためには、住居地の保健所に申請書や診断書などを提出して行うことになります。
介護保険制度や補助金は介護をする上で重要な役割を果たしているので、しっかり情報を集めましょう。
パーキンソン病の方が老人ホーム選びで重視すべき点
パーキンソン病は、病状の進行と共に身体の自由が無くなってしまうので、常に転倒事故の危険があります。
また、食事や着替えなどの日常動作をこなす際にも時間がかかってしまうため、適切なサポートを受けられる施設を探しましょう。
また、身体が思い通りに動かないことで気持ちが落ち込んでしまい鬱状態に陥ってしまうこともあるため要注意です。
住環境に配慮されている
老人ホームを選ぶ際には、パーキンソン病患者でも安心して移動できるかどうかをチェックしましょう。
手すりの設置や段差解消がされており、浴室などが安全に配慮された設計になっている住環境であれば、安心して暮らせるでしょう。
また、運動機能の衰えを防ぐためにも手すりの設置や家具類の配置が調整されている施設を選び、少しでも自立した生活を送れるようにしましょう。
パーキンソン病に熟知したスタッフがいるか
パーキンソン病の症状や対応を熟知しているスタッフがいれば、充実したケアを受けられるでしょう。
薬物効果に合わせて生活リズムを作るサポートもしてくれるので、患者にとって非常に頼れる存在となります。
また、病状を熟知していれば起こりやすい事故を予防するために細心の注意が払ってくれるので、安心して生活できるでしょう。
しっかりとしたリハビリを行えるか
パーキンソン病の症状を遅らせるためには、リハビリを適度に行うことが重要です。
自力でできることに関しては、時間がかかっても自力で行うようにサポートしてくれる施設を選びましょう。
なお、施設の人手や人員配備の体制が不十分だと対応が遅れてしまう場合があるためスタッフの人数もチェックしてみてください。
実際に、スタッフの介助が待ちきれずに、パーキンソン病の方が1人でトイレに向かい転倒してしまったと事例もあります。
医療連携が緊密に取れている24時間体制で看護スタッフが常駐している老人ホームを選ぶと、より安心でしょう。
選ぶ際の優先順位を決めよう
老人ホーム選びで困らないためにも、重視するべきポイントを整理して比較項目に優先順位を付けることをおすすめします。
具体的には、下記のポイントを意識してみてください。
特に、パーキンソン病の方は日常的な見守りや介護が必要不可欠なので介護体制の充実度に関しては重要度が高いです。
安心して暮らせるかどうかを最優先に考えて、施設選びを進めていきましょう。
おすすめの有料老人ホームの種類
有料老人ホームは、主に「住宅型有料老人ホーム」「介護付き有料老人ホーム」の2種類に分かれます。
介護体制やサービスを提供するための人員体制が整備されている介護付き有料老人ホームの方が、パーキンソン病の方には適していると言えるでしょう。
住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅にも介護体制が充実している施設はあるので、必ずしも選択肢が介護付き有料老人ホームに限られるわけではありません。
様々な施設を比較検討した上で、ベストな施設を選んでいきましょう。
パーキンソン病の方が施設入居するリスク
パーキンソン病の方がさらに認知症を併発してしまうと、残念ながら問題行動が増えるため介護者の負担が重くなります。
また、嚥下障害も抱えてしまうと恒常的に食事介助が必要となるので、食事内容にも配慮しなければなりません。
このような症状を併発してしまっている場合、サポートを提供する余力がない施設からは入居を断られてしまうケースもあります。
また、入居後にパーキンソン病と認知症を併発した状況になるケースもあるため、入居前に退去要件に関しては必ず確認してください。
認知症を併発しても入居を継続できるか、必要な介護や支援を受けられる契約か否かは重要なポイントなので、漏れなくチェックしましょう。
室内での転倒にも注意
パーキンソン病を患ってしまうと運動機能や感覚機能が低下してしまうので転倒のリスクが高まります。
特に、コロナ禍において在宅時間が増えたことで室内での転倒事故も増えているので要注意といえるでしょう。
もし階段で転倒してしまうと大怪我にも繋がるので、同居家族のサポートや気配りが欠かせません。
予防するための運動・食事
パーキンソン病患者の方が室内での転倒を予防したり、大怪我のリスクを低減するためにも日ごろからリハビリを行う必要があります。
無理のない範囲で適度な運動やストレッチを行って筋力と柔軟性を維持したり、階段昇降やウオーキングなどを行い下半身の筋力を動かすことを意識しましょう。
また、全身の筋肉や関節を使かす動作を行えるラジオ体操も効果的なので、ぜひ実践してみてください。
食生活に関しても工夫を凝らす必要があります。
特に乳製品や、果物・肉などの摂取が少ないと、パーキンソン病になりやすいと言われています。また、チロシンは、大豆製品に多く含まれておりタンパク質の一種で、ドパミンなどの神経伝達物質の原料となる栄養素でなので積極的に摂取すると良いでしょう。
好き嫌いを避け、バランスの良い食事を心がけましょう。