【専門家監修】認知症予防におすすめの脳トレ13選|実施する際のポイントも紹介
更新日時 2022/03/11
この記事は医師に監修されています
中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長
矢野 大仁 先生
「認知症予防の効果がある脳トレを知りたい!」
「若年性アルツハイマーの予防方法はあるの?」
このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?
認知症を患っている方の数は増えていますが、認知症予防やボケ防止効果がある脳トレは多くあります。
早い段階から脳トレを行うことで認知症や若年性アルツハイマーを予防できるので、様々な脳トレを知っておくことは重要です。
こちらの記事で、認知症予防におすすめの脳トレの種類を紹介していくので、参考にしてください!
- 囲碁、将棋、麻雀など楽しみながら脳トレになるものが多い
- 自治体が行っている介護予防教室もおすすめ
- アルツハイマー病の予防対策にもなる可能性も
まずは認知機能をチェックしてみよう
まずは、認知機能の一般的な常識について確認していきましょう。
認知機能は8つに分類できる
認知機能は、大まかに分けると下記の8つに分類されます。
- 記憶力
- 注意力
- 計算力
- 見当識(現在の年月や時刻、自分がどこに居るかなど基本的な状況把握)
- 遂行能力
- 判断力
- 言語能力
- 社会的行動能力
加齢に伴って認知機能は低下してしまいますが、どの機能から衰えていくかは人それぞれです。
自身が衰えを感じていることや苦手なことを見極めて、機能をできるだけ維持するための脳トレを行うことが大切です。
認知症か気になったら検査してみよう
多くの病気と同様に、認知症も早期の段階で発見することで症状を緩和したり進行を遅らせることができます。
つまり、定期的な検査や異常を感じたらすぐに診察を受けることが非常に重要です。
認知症が疑われる場合は、速やかに病院で診察を受けて認知症かどうかの診断を受けましょう。
場合によっては、認知症ではなく別の病気である可能性も考えられるので、専門科への受診も考えておくと良いでしょう。
【医師監修】認知症の検査方法とは?種類や診断の流れ・注意点まで詳しく解説
脳トレは認知症予防に有意義で必要
認知機能を維持するためには、脳の血流を良好な状態にしておくことが大切です。
頭を使うことで脳の血流は良くなるため、自身にとって丁度いいレベル感の脳トレを積極的に行いましょう。
偏ることなく、脳の隅々まで血流促進できるように工夫していきましょう。
アルツハイマー予防の可能性も
適度なリハビリや脳トレを行うことは、脳の活性化に繋がります。
つまり、意識的に行う脳トレは認知症の進行を遅らせるために効果的なので、ぜひ積極的に取り入れましょう。
また、脳トレは認知症だけでなく若年性アルツハイマーにも効果があるため、年齢に関係なく実践することが重要です。
脳トレで大切な5つのポイント
それでは、脳トレを行う上で大切なポイントについて解説します。
毎日行う
「継続は力なり」と言いますが、脳トレに毎日取り組むことで高い効果を得ることができます。
現段階での脳機能を維持できるだけでなく、継続することで脳機能を活性化させる効果が期待できます。
習慣作りは簡単ではありませんが、ぜひ楽しみながら日常のルーティンにしてみてください。
自分の計算力などの低下を感じること
前頭葉の機能低下による影響は様々ですが、中でも比較的早い段階から衰えが目立つのが計算力です。
逆に、日頃から暗算をしたりして何かと計算する習慣を作れば、衰えを緩やかにできます。
予防の意識が高まることで脳トレのモチベーションが上がるので、気張ることなく取り組んでみましょう。
楽しみながら行う
受動的に脳トレを行ってもストレスになるので、楽しみながら行うことも重要です。
好みや個性を把握した上で、興味を示す遊びや相応しいレベル感の脳トレを実践していきましょう。
自分にとって「少し難しい」レベルが丁度いいので、難易度についても意識してみてください。
また、対戦するタイプの脳トレの場合、ルールを緩やかにしたり勝敗のルールを工夫して参加者の全員が楽しめるようにしましょう。
楽しく脳トレができれば継続的に頑張る気力も湧くので、全員で楽しむ意識を持ちましょう。
幅広い脳トレを行う
脳トレは毎日継続することと共に幅広い分野のゲームをすることが重要です。
いつも同じ脳トレを繰り返すのではなくて、いろいろな種類の脳トレに取り組むことで、脳が多様な刺激を受けることができ効果的です。
複数人で取り組めるもの
一人でできるゲームだけでなく、誰かと一緒にできるゲームをすることも重要です。
自分以外の人とのコミュニケーションが生まれ、脳への刺激がより強まります。問題を解くだけでなく、発声したり、体を動かしたりするゲームなども刺激があり、おすすめです。
早期から脳トレをするのが重要
認知症の「早期発見」と「早期からの予防対策」は非常に重要です。
症状が進行してしまっている状態から回復させるのは困難なので、早い段階から対策に着手しましょう。
軽度認知障害の段階で早期発見を行うことで、認知症への進行を食い止めることが可能です。
「自分はまだ大丈夫」と過信することなく、楽しみながら脳トレに取り組んでみてください。
認知症予防のおすすめ脳トレ13選
続いて、認知症予防におすすめの脳トレの種類を紹介していきます。
日常生活で手軽にできる脳トレ
まずは、日常生活の中で気軽に取り組める脳トレの種類を見てみましょう。
買い物代金の計算・暗算
買い物などの際に、意識的に合計代金を暗算する習慣を作ると計算力や記憶力の脳トレになります。
2つの機能を同時に使用することを「デュアルタスク」と呼びますが、脳に刺激を与える効果があるため認知症予防に効果があると言われています。
脳トレ書籍を買わずとも、日常生活に脳トレできる機会が多くあるので、意識的に実践することが大切です。
囲碁
浜松医療センターの金子満雄氏の研究によると、囲碁を打つ高齢者と打たない高齢者を比較した際に、圧倒的に囲碁を打つ高齢者の方が認知症になる確率が低いことが分かりました。
また、東北大学の川島隆太教授の研究によると、囲碁を知らない子どもに囲碁を教えることも効果的であることが分かりました。
囲碁を教えることで、数ヶ月後に思考力・短期記憶記憶力・総合的な作業力が向上し、脳の前頭前野が活性化することが証明されたのです。
将棋
将棋は、自分の駒だけ考えるのではなく相手がどんな手を打ってくるのか予測する必要があります。
つまり、全体的な盤上を把握して先を読むゲームなので、脳内の情報を検索する「前頭葉」が鍛えられる効果があります。
前頭葉の機能が衰えると、情報の検索ができなくなったり注意力が低下する症状が起こるため、将棋を指すことも有効な認知症予防となります。
出典:産経新聞 将棋、認知症予防に効果アリ! 脳内の情報を検索→「前頭葉」を鍛える
麻雀
麻雀も脳を使うゲームであり、近年は全国の介護予防事業で認知症予防に効果的だと注目されています。
実際に多くの自治体でも麻雀を活用した認知症予防が実施され、効果を上げています。
出典:介護予防・日常生活支援総合事業における利用者の活動と社会資源
諏訪東京理科大学共通教育センター教授の篠原菊紀先生の研究によると、オンライン麻雀ゲームをプレイ中に脳の言語野の血流がアップしていることが分かりました。
これは、麻雀中は脳内で言語的に激しく考えていることに他ならないので、認知症予防のために麻雀も実践する価値があるのかもしれません。
おすすめの脳トレ体操
削除 突然、体操の話移行している。文脈に沿わないから削除します。
医療機関や介護施設で行われている脳トレ
続いて、医療機関や介護施設で行われている脳トレの種類について紹介していきます。
ピクテル
ピクテルはカードを用いた連想ゲームのようなもので、記号などを描いた透明なカードを用います。
事前にお題を決めておき、これらのカードを組み合わせてお題に沿った絵を完成させ、回答者に答えてもらうゲームです。
カードを使い、実際に絵を描くわけではないので絵が苦手な方でも安心して参加できます。
普段使わない脳の部位を刺激できるので、楽しみながら認知症予防ができるでしょう。
ブロックス
ブロックスとは、4色のブロックを使って陣地を取り合うボードゲームです。
勝つためには戦略的な考えが要求されるので、囲碁のような感覚で楽しむことができます。
4人で行うと盛り上がりやすく、男女問わず参加できるため様々なルールを考えながら楽しみましょう。
お題ビンゴ
お題ビンゴは、数字ではなく事前に決められたテーマに関連した単語を手元のビンゴシートに書き込んで行います。
テーマに沿った単語を順番に言っていき、自分の紙に書いてあれば穴をあける要領です。
通常のビンゴと同じように、縦・横・斜めのいずれか1列クリアが通れば、ビンゴ成立で勝ちとなります。
「言いそうな単語は何か」を考える過程で、脳に刺激を与えることができるでしょう。
回文ゲーム
回文とは「しんぶんし」などのように、上から読んでも下から読んでも同じ言葉や文章になる文字列を指します。
回文を考えることで自然と脳を使い、楽しみながら頭の体操ができます。
「制限時間内に何個思いつくか」など、オリジナルのルールを作ることで楽しみ方の幅が広がるので、実践してみましょう。
ユニークしりとり
ユニークしりとりは、参加者が他の人が思いつきにくいユニークな言葉でしりとりを進めるゲームとなっています。このゲームは、発想力を鍛えるだけでなく、手を動かして言葉を書くことで手指の運動も促します。
ゲームを始めるには、1人あたり5枚の白紙とペンを用意し、4人から20人のグループに分けて開始します。ゲームのスタートとして、リーダーがしりとりの初めの言葉を出題します。
次に、各参加者はその言葉に続くものを考え、ユニークさを重視して言葉を書きます。全員が筆記を終えたら、順番に自分の考えた言葉を発表します。もし誰かと同じ言葉だった場合、その人は自分の紙を捨てます。5ラウンド終了後、最も多くの紙を持っている人が勝者となります。
しりとりゲームは、絵しりとりのようなバリエーションも楽しめるため、さまざまな方法で脳のトレーニングが可能です。
足踏み体操
座った状態で行える足踏み体操は、椅子に座りながら腕を振り足踏みするものです。このとき、腕と足を同じ方向に動かさないことが大切です。
体操のポイントは、右腕、左腕を振った後、手拍子を入れることです。具体的には、1・2のカウントで腕を振り、3で手拍子します。この動作を1~30のカウントでリピートします。特に、3の倍数ごとに手拍子を入れることを心掛けると、更にリズム感が増しますが、足踏みは常に続けます。
初めはこの体操が難しく思えるかもしれませんが、練習すれば思いの外、すぐにマスターできます。また、3の倍数ではなく、5の倍数で手拍子をするバリエーションも試せます。
この体操は、頭、口、腕、足を同時に動かすため、効果的な脳トレとなるでしょう。
都道府県ゲーム
都道府県ゲームは、各県の代表的な事柄に関するクイズを出して回答してもらうゲームです。
特産品やシンボルを1つずつ言っていき、早押しで答えてもらう方法もあります。
例えば「りんご」「ねぶた」と続いたら「青森県」が正解になる具合です。
自分の持っている知識や記憶を辿る家庭で脳に刺激を与えられるので、こちらも楽しみながら参加できるでしょう。
認知症予防に利用できる様々なサービス
続いて、自治体や民間企業が行っている認知症・若年性アルツハイマー予防のサービスについて紹介していきます。
様々なサービスが提供されているので、広報誌などを通じて自身でも調べてみてください。
市区町村実施の介護予防教室
厚生労働省の「新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)」という施策では、認知症の方が住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けるための方針が示されています。
この中に、認知症予防のために「各地域で住民主体の活動を推進していく」旨の記載があることから、介護予防教室を行う自治体が増えています。
自治体が主催しているものであれば、基本的には無料で参加できます。
住民が受けられる有意義なサービスなので、有効活用しましょう。
脳の健康教室
自治体のみならずら、多くの民間企業も「認知症予防ビジネス」に着手しています。
例えば、学習塾が高齢者を対象にした「脳の健康教室」などを行ったり、カルチャースクールでも簡単な脳トレ講座などを展開しています。
気軽に参加できるものが非常に多いので、興味がある催しがあれば積極的に参加してみましょう。
日常生活の中で認知症予防を
買い物中における暗算だけでなく、その他にも日常生活において認知症予防をする方法はあります。
例えば、「ニュースや新聞で見聞きした情報について、自ら自発的に深堀して調べる」ことが挙げられます。
調べる情報のジャンルは問いませんが、自分自身が興味のある情報を深堀りして調べてみましょう。
例えば、経済分野に興味がある方であれば
- 日経平均やTOPIXの推移、今後の展望などを調べる
- 自分の好きな企業や応援している企業の株価について調べてみる
スポーツに興味がある方であれば
- プロ野球の順位表や個人成績を見てみる
- 最近人気がある競技のルールなどを調べてみる
「自発的に情報を集める」習慣を身に着けておくと、自然と脳を使うことになるので認知症予防の効果が得られるでしょう。
また、調べた情報から派生的に気になる情報が続々と連鎖的に出てくることもあるので、自身の興味の幅を広げるきっかけにもなります。
認知症予防・ボケ防止だけでなく、若年性アルツハイマー予防にも効果的なので、漫然と受動的にニュースを見るのではなく気になる情報があれば自発的に情報収集を行っていきましょう。
認知症予防の脳トレまとめ
- 楽しみながら、継続して行うことが重要
- デイサービスなどでも取り入れられている脳トレを実践してみよう
- 脳トレだけでなく、自発的に情報を集めることも効果的
認知症は近年大きな問題になっいますが、脳トレを行うことで予防できます。
楽しみながら継続して取り組みやすいものが多いので、ぜひ実践してみてください。
また、自発的に情報を集めるなど意識的に脳を使い自助努力を重ねていきましょう。
この記事は医師に監修されています
中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長
中部療護センター長
岐阜大学連携大学院脳病態解析学分野 教授(客員)
矢野 大仁(やの ひろひと) 先生
1990年岐阜大学医学部卒業、医学博士。大雄会病院などの勤務を経て、学位取得後、2000年から岐阜大学医学部附属病院脳神経外科助手。2010年 准教授、2013年 臨床教授・准教授、2020年4月 中部療護センター入職、2024年4月から現職。日本脳神経外科学会専門医・指導医、日本脳卒中学会専門医。脳卒中の他、脳腫瘍、機能的脳神経外科など幅広い診療を行っている。患者さんが理解し納得できるようにわかりやすい説明を心がけている。
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