MMSE(ミニメンタルステート検査)とは?評価方法から長谷川式との違いまで解説!

この記事は医師に監修されています

中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長

矢野 大仁 先生

「MMSE(ミニメンタルステート検査)って何?」

「MMSE(ミニメンタルステート検査)の評価方法や活用方法について知りたい!」

このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?

MMSEはミニメンタルステート検査とも呼ばれており、認知症の検査方法として活用されています。

認知症の進行具合を把握するのにも役立てられており、多くの場面で利用されている点が特徴です。

こちらの記事では、MMSE(ミニメンタルステート検査)の評価方法や長谷川式認知症スケールの違いなどについて、詳しく解説していきます!

MMSE(ミニメンタルステート検査)についてざっくり説明すると
  • 認知機能の状態を客観的に評価するテスト
  • 簡単にチェックできる点が魅力で、多くの医療機関などで採用されている
  • 27点以上取れれば「問題なし」と評価される
  • MMSE以外の認知症テストも併せて受けると効果的

MMSE(ミニメンタルステート検査)とは?

MMSE検査の紹介

MMSEとはMini Mental State Examinationの略で、ミニメンタルステート検査とも呼ばれています。

世界中で最も用いられている認知症の検査であり、様々な場面で活用されている知能検査です。

MMSEによってわかること

認知症の診断をするにあたり、問診・診察などで病歴・症状の確認したり、神経心理検査による認知機能の評価、血液検査や画像検査による鑑別診断などが行われます。

MMSEは「神経心理検査」にあたり、認知機能のレベルを点数化した上で客観的に把握できます。

MMSEに必要なものは?

MMSEをするために必要なものは以下の4つです。

  • MMSEの評価用紙
  • 筆記用具
  • 時計または鍵
  • 白紙

以上のように、特別な機材などを準備する必要は無く、手軽に検査を受けられる点も特徴です。

なお、具体的な設問に関してはこのあと詳しくご紹介します。

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MMSEで検査される機能は?

MMSEの評価項目は、以下で紹介する11つの検査から構成されています。

各設問では、

  • 時間の見当識
  • 場所の見当識
  • 即時想起
  • 注意と計算能力
  • 遅延再生(短期記憶)
  • 言語的能力
  • 図形的能力(空間認知)

以上の7つの認知機能を評価し、認知症か否かを評価します。

正解なら1点、不正解なら0点として各項目をそれぞれ採点し、スコアシートに当てはめて判断することになります。

なお、質問後10秒経過しても返答がない場合は不正解と見做して次の検査に進む点に注意してください。

また以下の設問は検査のためのものなので、認知機能の訓練としてMMSEの内容を使用しないように注意しましょう。

【設問1】 時間の見当識

まずは、設問1です。

(問題)

  • 今年は何年ですか?
  • 今の季節は何ですか?
  • 今日は何曜日ですか?
  • 今日は何月ですか?
  • 今日は何日ですか?

アルツハイマー型の認知症では、日時などの見当識障害を持っているケースが多いですが、設問1では時間の見当識をチェックします。

なお、年については西暦・年号どちらでも正答とみなし、季節に関しては「春夏秋冬」だけでなく「梅雨」「初夏(冬)」なども正答とします。

各1点で合計5点です。

【設問2】場所の見当識

続いて、設問2です。

(問題)

  • ここは何県ですか?
  • ここは何市ですか?
  • ここは何病院ですか?
  • ここは何階ですか?
  • ここは何地方ですか? (例: 関東地方)

場所に関する見当識障害をチェックします。

現在いる病院や診療所の名前を正確に把握しているかどうか、地理的所在地に関しても認識しているかどうかで認知症か否かを判断します。

なお、病院名については正式名称でなくても、通称や略称で答えた場合も正答とみなします。

各1点で合計5点です。

【設問3】言葉の記銘

続いて、設問3です。

(問題)

  • 物の名前を適当に3個決める。ただし相互に無関係な単語を選ぶ。例えば「桜、猫、電車」など。
  • 検査者はその3個の物の名前を1秒間に1個ずつのペースで3個続けて言い、その後被験者に繰り返させる。
  • 被験者が3個すべて言えるまで最大6回まで繰り返す。

この設問では、短時間で言葉を記銘できるかどうかをテストします。

出題者は3つの単語を1秒間隔で伝え、被験者が同じく単語を繰り返すことができれば正解とします。

各単語につき1点、合計3点です。

この設問の単語は、この後の設問5でもう一度尋ねます。設問3で被験者が何回繰り返したかを記録し、「この単語は後で聞きますから覚えておいてください」という指示を与えてから設問4へ進みましょう。

【設問4】 計算問題

続いて、設問4です。

(問題 パターン1) 100から順番に7を引き算する(引き算は5回まで行う)。

(問題 パターン2) 「フジノヤマ」を逆唱させる。

この設問では、脳内における記憶力に関する評価と、情報に対する反応についてチェックします。

この設問を通して、脳が情報を取り込んだ後に、どのように処理するのかを判断できます。

これを5回繰り返しますが、引き算を終えて、次の7を引く際は前の答えを検査者が口にしてはいけません。

(例)

検査者「100から7を引くと?」
被験者「93」

正)検査者「はい、ではさらに7を引くと?」
誤)検査者「はい、では93から7を引くと?」

このように、次の計算をする前に、検査者が現時点での数字を言わないように注意します。

計算を間違えたり答えに窮する場合は次の設問に進みます。

1回正解するにつき1点で、合計5点です。

【設問5】言葉の遅延再生

続いて、設問5を見てみましょう。

(問題) 設問3で繰り返した3個の物の名前を被験者に再び復唱させる。

この設問では、設問3で記憶した言葉を想起できるか否かを判断します。

認知症になっている場合は言葉の想起や遅延再生ができなくなっている場合がほとんどなので、もし答えられない場合は認知症の疑いがあります。

なお、答える順番は問わず、もし答えが出てこない場合はヒントを出しても問題ありません。

「植物とか・・・、動物とか・・・、乗り物とか・・・」のようにヒントを出しましょう。

ヒントの有無を問わず、正解すれば各1点で、合計3点です。

【設問6】物品呼称

続いて、設問6です。

(問題)

  • (時計を見せながら)これは何ですか?
  • (鉛筆を見せながら)これは何ですか?

出題者が用意しておいた物品を見ながら、見たものの正しい名称を言えるかどうかをテストします。

これにより、即時記憶の能力と想起する能力をチェックし、認知症か否かを判断しています。

なお、物品の正式名称ではなくても、通称を言うことができれば正解と判断して構いません。正解の場合、各1点で、合計2点です。

【設問7】復唱

次に、設問7です。

(問題)

次の文章を繰り返す。

「みんなで、力を合わせて綱を引きます」

この設問でも、記憶に関する判断能力をチェックします。

相手が言った内容を正確に記憶できるかどうかで、長文に対する即時記憶の有無を評価します。

なお、出題者は口頭でゆっくりはっきりと言い、一度で正確に答えられたら正解とします。

二度言いは禁止で、評価は一度限りなので注意しましょう。

【設問8】口頭での3段階命令

続いて、設問8です。

(問題)

(3段階の命令)

「右手にこの紙を持ってください」

「それを半分に折りたたんでください」

「机の上に置いてください」

以上のように、口頭で3つの指示をして内容を理解できているかどうかを判断します。

指示ごとに正確に作業できれば1点ずつ加算し、3点満点で評価します。

【設問9】書字の理解、指示

続いて、設問9です。

(問題)

(次の文章を読んでその指示に従ってください)

「眼を閉じなさい」

書いてある文字を理解できるか否か、また指示に対して正確に実行できるか否かを判断します。

なお、音読でも黙読でもどちらでも構いません。

文章理解力と指示を実行するための行動力があるかを評価し、認知能力を判断しています。

【設問10】自発書字

次に、設問10です。

(問題) 「何か文章を書いてください」

認知症を発症してしまうと、文章を構成する能力が低下してしまいがちです。

そこで、この設問を通して文章の構成能力がどの程度あるのかを判断しています。

読み手が理解できる文章かどうかが重要な評価ポイントなので、文章が意味を成している場合には正解と見做して構いません。

しかし、文章でなく名称しか書いていない場合などは点数は加算されません。

自由作文形式なので、内容はどのようなものでも問題なく、主語がなくても文章として成立していれば正答とします。

【設問11】図形の描写

MMSEの図形の描写

最後に設問11ですが、図形の描写をすることで空間認知能力を判断します。

アルツハイマー型認知症が高度になっていたり、レビー小脳体型認知症に罹患している場合、図形の描写が非常に困難であることから、その確認で利用されます。

なお、五角形の角がそれぞれ5つあり、2つの五角形が交差していれば正答と判断して構いません。

しかし、下の画像のように、五角形ではない場合や図形が交差していない場合は不正解とします。

MMSEの画像設問の不正解例

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MMSEのカットオフの点数は?

MMSEは各設問の内容によって採点が異なり、点数は30点満点となります。

こちらのトピックで、点数による評価基準を紹介していくので参考にしてください。

なお、採点については、設問1・2・4が5点満点、設問3・5・8が3点満点、設問6が2点満点、設問7・9・10・11は1点です。

【27~30点】異常なし

27~30点取得できれば、認知症は発症しておらず問題ない状態と評価されます。

しかし、あくまでもスクリーニング検査なので、100%安心できるわけではありません。

もしも、実際の生活の中で気になることがあったり、不安を抱えている場合は脳のCTやMRIなどの精密検査を受けることをおすすめします。

【22~26点】軽度認知症の疑いあり

22~26点であれば、軽度の認知症の疑いがある状態と判断されます。

放置してしまうと気付かない間に症状が進行してしまい、手に負えない状況になってしまう恐れがあります。

認知症予防においては早期の対策が非常に重要なので、早期治療のためにも正確な診断を受け、医師から適切なアドバイスをもらいましょう。

【21点以下】どちらかというと認知症の疑いが強い

21点以下であれば認知症の疑いが強いと判断されます。

できるだけ速やかに病院や診療所で認知症の詳しい検査や診断を受け、症状の改善や緩和に努めましょう。

軽度の認知症であれば、早期発見することで早期治療も可能となり、症状の進行を遅らせることが可能です。

しっかりと専門家からの指示を仰ぎ、健やかな生活を送れるようにしたいものです。

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MMSEの評価を行う際の注意点

MMSEで点数が悪かったからといって、必ずしも認知症とは限りません。

高齢者で認知機能が低下している場合は真っ先に認知症が疑われますが、うつ病などを患っているケースでも認知機能は低下するためです。

つまり、認知症以外の疾患を抱えている可能性もあるので、鑑別診断について専門医に相談し、真の認知症であるかどうかの確証を得ましょう。

また、MMSEを実施するにあたり、本人が「自分が認知症と疑われている」ことにショックを受けてしまうことが考えられます。

そのため、本人の感情にも配慮した上で、前向きに取り組めるように家族が協力してケアをしてあげることも重要です。

他の認知症テスト・判定方法と比較すると

MMSE以外にも、認知症を判断するためのテストは複数あります。

こちらのトピックでは、MMSE以外のテストや判定方法について紹介していきます。

HDS-R(Hasegawa's Dementia Scale-Revised:改訂長谷川式認知症スケール)

MMSEと最もよく比較される方法に、長谷川式認知症スケールがあります。

両者の内容を比較すると以下の表のようになります。

内容 MMSE 改訂版長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
開発 1975年に米国 1974年に日本
所要時間 10~15分程度 5~10分程度
項目数 11項目 9項目
評価能力 見当識・記憶・計算・言語能力・図形能力 見当識・記憶・計算・言語能力
満点 30点 30点
認知症疑いとなる基準 21点以下 20点以下
軽度認知障害(MCI)疑いとなる基準 22点以上26点以下 -
回答方法 口頭、記述、描画 全て口頭

どちらも広く利用されていますが、長谷川式簡易知能評価スケールは、MMSEよりも記憶力に重点が置かれている点が特徴です。

MMSEは麻痺や失語によって検査できない項目は省略する必要があることから、症状によってはHDS-R(長谷川式)の検査がおすすめです。

Mini-Cog

Mini-Cogは、2分以内に終わる簡単な認知症をチェックするための試験です。

3語の即時再生・遅延再生・時計描画を組み合わせたスクリーニング検査なので、思考力と記憶力を効率良く検査できます。

MMSEと同様の妥当性を有することから、多くの医療機関で実施されています。

MoCA(Montreal Cognitive Assessment)

MoCAは10分程度の試験で、視空間・遂行機能、命名、記憶、注意力、復唱、語想起、抽象概念、遅延再生、見当識で構成されています。

MCI(軽度認知障害)をスクリーニングする検査で、MMSEよりも糖尿病患者の認知機能障害を見出すことが可能です。

糖尿病と認知症は併発しやすいことから、糖尿病を患っている方向けのスケールと言えるでしょう。

DASC-21(Dementia Assessment Sheet for Community-based Integrated Care System-21 items: 地域包括ケアシステムにおける認知症アセスメントシート)

DASC-21は5~10分程度の試験で、認知機能障害と生活機能障害に関連する行動の変化を評価します。

21個の質問で構成されており、介護職員やコメディカルも施行できる点が特徴です。

暮らしに密着した質問なので、認知症の疑いがある方や家族も理解しやすいスケールです。

ABC-DS(ABC dementia scale:ABC認知症スケール)

ABC-DSは10分程度の試験で、13項目9件法の行動観察式スケールです。

アルツハイマー型認知症の患者の重症度を評価するツールとして活用されており、多くの場で活用されています。

なお、評価者は介護者から患者のADL・BPSD・認知機能に関する最近のエピソードを聴取した上で採点する点が特徴です。

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認知症の疑いがある場合はすぐ病院へ

認知症の疑いがある場合や不安がある場合、必ず病院を受診をして認知症であるかどうかの検査を行いましょう。

また、かかりつけ医からアドバイスをもらうことも非常に重要です。

特に不安が大きい場合であれば、専門家に相談したりCTやMRIなどの精密検査を行うなどして、MMSE以外の認知機能に関する検査なども併せて行うことをおすすめします。

認知症の対策は、とにかく早期に発見して早期治療を行うことが非常に重要です。

進行を遅らせて、健康寿命を少しでも長くするためにも、早めに医療機関を受診をしましょう。

不安があればすぐに相談する

家族が認知症になってしまうと、様々な不安が出てくるでしょう。

しかし、一人で抱え込むと自分自身も精神的に疲れてしまうので、些細な不安であってもすぐに相談するようにしましょう。

かかりつけ医や地域包括支援センターは、認知症を抱えている人と家族をサポートしてくれる頼れる存在です。

専門窓口に相談することで、正しい接し方についても学べるでしょう。

とにかくストレスを抱えないようにする

認知症を患った家族をサポートするのは、想像以上にストレスが伴います。

軽度の認知症なら意思の疎通ができるケースが多いですが、症状が進行してしまうと大きな苦労を伴うでしょう。

家族をサポートする立場である人がストレスや過労で倒れてしまうのは大問題です。

そのため、上手に自分の時間を作るなどして、少しでもストレスから離れられる環境を作ることは非常に重要です。

かかりつけ医などの専門家から指示を仰ぎつつ、また同じ悩みを抱えている人とコミュニケーションを取るなどして、ストレスを抱え込まないようにしましょう。

施設の利用も検討する

もし認知症の症状が進み「自分では手に負えない」と感じたら、無理をせずに認知症の人でも受け入れてくれる施設を利用するのも手です。

このような施設には認知症の人をサポートするプロがいるので、安心して介護などを任せることができます。

毎月の費用が発生してしまうので予算面での折り合いをつける必要がありますが、ご家族が介護のストレスから解放される点は非常に大きなメリットです。

「住み慣れた自宅で何とか生活させてあげたい」というご家族のお気持ちをよくお聞きしますが、本人のためにも家族のためにも、より良い住環境を提供できる施設の利用を検討する価値はあるでしょう。

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学研ココファンでは、認知症の方も入居可能な施設も多数取り扱っております。

また、24時間介護スタッフが常駐しており、介護サービスも充実しているので、認知症の方も安心してご入居いただけます。

さらに認知症予防のためのレクリエーションや娯楽も豊富なので、認知症の進行を予防しつつ。QOL(生活の質)の高い生活をサポートします。

一般的な介護付き有料老人ホームと比べて入居金や月額費用もリーズナブルなので、老人ホーム・介護施設への入居を検討されている方はぜひ一度チェックしてみてください。

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MMSE(ミニメンタルステート検査)まとめ

MMSE(ミニメンタルステート検査)まとめ
  • 信頼度が高い上に手軽にできるので、不安があれば早い段階で取り組むのがおすすめ
  • 点数が低くても、認知症と断定できるわけではない
  • 長谷川式簡易知能評価スケールもよく利用されているが、MMSEよりも記憶力に重点が置かれている点が異なる
  • 認知症の疑いが強い場合は、かかりつけ医などに相談しましょう。

MMSEは、認知症かどうかを判断するための非常に有用なツールで、信頼度も非常に高いです。

手軽にチェックすることが可能で、自宅でも行えるので不安な方は取り組んでみると良いでしょう。

認知症対策は「早く発見し、早く対策する」ことが非常に重要なので、こちらの記事を参考にしてMMSEに取り組んでみてはいかがでしょうか?

この記事は医師に監修されています

中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長
中部療護センター副センター長
岐阜大学連携大学院脳病態解析学分野 准教授(客員)

矢野 大仁(やの ひろひと) 先生

1990年岐阜大学医学部卒業、医学博士。大雄会病院などの勤務を経て、学位取得後、2000年から岐阜大学医学部附属病院脳神経外科助手。2010年 准教授、2013年 臨床教授・准教授、2020年4月から現職。日本脳神経外科学会専門医・指導医、日本脳卒中学会専門医。脳卒中の他、脳腫瘍、機能的脳神経外科など幅広い診療を行っている。患者さんが理解し納得できるようにわかりやすい説明を心がけている。

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