サ高住と有料老人ホームの違い|種類ごとの費用・入居条件からサービス内容まで徹底比較
更新日時 2023/11/27
この記事は専門家に監修されています
介護支援専門員、介護福祉士
坂入郁子(さかいり いくこ)
「サ高住と有料老人ホームの違いって?」
「それぞれの施設の費用はどのくらい?入居条件の違いは?」
などと疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と有料老人ホームは、どちらも人気の高齢者住宅ですが、両者では対象となる高齢者や入居時にかかる費用、受けられるサービスなどが異なります。
そこで今回はサ高住と有料老人ホームの違いについて、それぞれの入居条件や費用、サービス内容などを詳しく解説します。
サ高住がおすすめな人、有料老人ホームがおすすめな人、それぞれの特徴についても紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
- サ高住では介護度が高くない高齢者が自由に暮らせる
- 有料老人ホームは介護付き・住宅型・健康型の3種類
- 最も大きいのは契約形態の違い
- 最近は介護サービスが充実したサ高住も増加しており、人気を集めている
サ高住と有料老人ホームの特徴
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、主に要介護度が高くない高齢者を対象にしたバリアフリー住宅です。
一般の住宅と変わらないような自由度の高い生活ができ、なおかつ安否確認や生活相談などのサービスが受けられます。
建築時に補助金も出ることから、昨今サ高住の施設数は増加傾向にあり、入居に際して「入居待ち」になるケースもほとんどありません。
一方で有料老人ホームは、自立した生活が可能な高齢者から介護度の高い高齢者まで、幅広い方を対象にした民間の高齢者住宅・介護施設です。
入居した高齢者が心身ともに健康に生活できるよう、食事や介護、健康管理などのサービスが提供されます。
サービス付き高齢者向け住宅の種類とサービス内容
サービス付き高齢者向け住宅は、基本的に住宅単体では介護サービスが付いていません。
そのため、お元気な方のみを対象としたサ高住もあり、これらのサ高住では本格的な介護が必要になった場合は住み替える必要が出てしまいます。
一方で、サ高住に訪問介護などの在宅介護サービスを併設した介護対応が可能なサ高住もあります。また、厚生労働省が定める「特定施設」に指定されているサ高住もあり、これは介護付き有料老人ホーム同様の介護サービスを受けられます。
どちらも多くは介護職員が24時間常駐し、必要に応じて介護サービスを受けることが出来ます。
この記事では前者の自立の方向けサ高住を「自立・支援タイプ」、後者の介護対応可能なサ高住を「介護・認知症タイプ」と呼ぶことにします。
それぞれのタイプのサ高住では、さまざまなサービスが提供されています。例えば、「自立・支援タイプ」では、レクリエーション、介護予防のための体操教室などが提供されることがあります。
一方、「介護・認知症タイプ」では、入浴や食事、排せつの介助などの介護サービスが提供されるほか、認知症に対応した支援も行われます。
両タイプを複合したような施設もありますが、基本はこの2タイプだと思っておけば差し支えありません。
なお、「介護・認知症タイプ」のサービス付き高齢者向け住宅は多く、要介護度の高い人でも安心して過ごせる施設として人気を集めています。
積極的に介護サービスを提供するサ高住も増えてきていることから、かつてに比べてサ高住と有料老人ホームの介護サービスにおける違いはなくなってきていると言えるでしょう。
「サービス」とは安否確認と生活相談
「サービス付き高齢者向け住宅」の「サービス」とは、安否確認と生活相談のサービスのことを指します。サ高住はこれらサービスの提供を義務付けられた施設です。
介護や看護、医療の資格を有する職員が日中に常駐し、それらのサービスを提供します。
一方で食事の提供や生活支援、夜間の見守りといったサービスは、サ高住では任意のサービスです。これらのサービスは施設によっては提供されない場合もあるので、サービス内容の詳細は事前によく確認しておくことをおすすめします。
有料老人ホームの種類とサービス内容
有料老人ホームは、大きく「介護付き有料老人ホーム」、「住宅型有料老人ホーム」、「健康型有料老人ホーム」の3つに分類できます。
介護付き有料老人ホームとは、都道府県等の自治体から「特定施設入居者生活介護」に指定された施設です。
厚生労働省が定めた運営・設備・人員配置の基準に則って設立・運営されます。「介護付き」と付く有料老人ホームで、その基準を満たさない施設はありません。
「介護付き」は、ほかの有料老人ホームに比べて人員配置の点でも介護体制が明確に整っており、要介護度が高い方でも問題なく入居することができます。
また、「介護付き」にはショートステイと呼ばれる短期滞在のサービスもあり、一時的な介護が必要な場合や家族の介護の代替として利用されることもあります。
ショートステイとは|利用できるサービスや利用条件・料金まで全て解説
「住宅型」および「健康型」の特徴を紹介
住宅型有料老人ホームは、自立した生活が可能な方から要支援・要介護認定を受けた方まで、幅広い方が入居できる有料老人ホームです。
「介護付き」と異なり、住宅型有料老人ホームで介護サービスを受ける場合は外部の事業者を通して介護サービスが提供されます。在宅介護の場合と同じく、必要なサービスを各自で適宜組み合わせて利用するようなイメージです。
健康型有料老人ホームは、名前の通り、健康な高齢者を対象にした施設で、介護を要する状態になると、退去を求められることになります。健康型はマイナーな施設であり、全ての有料老人ホームのうち、0.2%ほどの割合しかありません。
住宅型有料老人ホームは、自分のペースで生活を送りたい方や、家族との生活を続けたい方には向いています。
住宅型有料老人ホームとは|サービスの特徴や費用・入居条件まで全て解説
一方、健康型有料老人ホームは、身体的に健康であることが前提であるため、入居前によく確認することが重要です。
健康型(自立型)有料老人ホームとは|入居条件・費用からサービス内容まで徹底解説
ココファンの介護施設の特徴は?
ココファンシリーズの介護施設は、入居一時金0円で利用することができるため、初期費用をかなり抑えることができます。
また、月額費用も厚生年金の金額を考慮した設定となっているため、比較的お得に利用することが可能です。
もちろん、利用者の方々が快適に暮らすことができるよう、24時間365日のケアスタッフ常駐を始めとした、安心安全の各種介護サービスをご利用いただけます。
有料老人ホームはもちろん、サ高住においても、認知症等を含む重介護の方まで対応可能な体制を整えております。
費用を抑えつつも、安心の充実したサービスを利用できるため、コストパフォーマンスに優れる施設をお求めの方には特におすすめです。
ココファンのサ高住・有料老人ホームを探す!サ高住と有料老人ホームの違い
一般的な有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅(賃貸住宅)の最も大きな違いは契約形態にあります。
サービス付き高齢者向け住宅では、住宅部分については建物賃貸借契約を結ぶとともに、生活支援サービスを提供する場合は、サービス利用契約を別途締結します。
一方、有料老人ホームの多くは利用権方式を採用しています。
これは、終身にわたり居室と共用施設を利用する権利と、介護や生活支援サービスを受ける権利を得ることができるという契約形態です。
サービス付き高齢者向け住宅では賃貸借契約を結ぶことが前提とされていますが、これは利用権方式による契約と比較し、入居者の居住の権利を確保しやすいとみなされているためです。
サービス付き高齢者向け住宅は、居住の権利が保障された上で、介護サービスは選択制で利用する賃貸住宅と言えます(住まいとケアの別)。
一方介護付き有料老人ホーム(特定施設)は、住居も介護サービスもセットで包括的に提供される施設と捉えることができます。
以降では、上述した3種類の有料老人ホーム(介護付き・住宅型・健康型)のそれぞれを、サ高住と比較して解説していきます。
近くのサ高住・有料老人ホームを探す!介護付き有料老人ホームとサ高住の比較
まずは介護付き有料老人ホームとサ高住を比較してみましょう。
まとめると、以下のような違いがあります。
比較項目 | 介護付き有料老人ホーム | サービス付き高齢者向け住宅 |
---|---|---|
施設の特徴 | 主に介護を要する高齢者に対して介護や生活支援のサービスおよび住まいを提供する施設 | 主に介護を要しない自立した高齢者に対して様々な生活支援サービスや住まいを提供する施設 |
入居条件 | ・原則として65歳以上 ・自立・要支援1〜要介護5 ※詳細は施設によって異なる |
・原則として60歳以上 主に自立〜要介護1・2 |
費用 | ・入居一時金:0〜数百万円 月額費用:15〜30万円 ※詳細は施設によって異なる |
・敷金:家賃の2〜5ヶ月分 ・月額費用:10〜30万円 ※詳細は施設によって異なる |
居室面積 | 個室:13㎡以上 | 個室:25㎡以上 ※条件を満たせば18㎡以上でも可 |
主なサービス | 介護サービス(食事・入浴・排せつの介助)・食事の提供・リハビリ・健康管理・レクリエーション | 安否確認・生活相談・生活支援(掃除・買い物代行など) |
契約方式 | 利用権方式 | 建物賃貸契約 |
介護付き有料老人ホームの特徴
まず介護付き有料老人ホームに入居する際は、施設が提供する介護や食事のサービスの契約も一緒に行う条件で、居室や共用部分、設備などの利用権を購入します。
施設には要介護度の高い方でも安心して生活できるような環境・設備が整っています。
もちろん介護サービスも充実しており、24時間体制の充実した介護を受けられるため、健康面の不安が大きい方にはおすすめの施設です。
自立・要支援の方から要介護4・5の方まで幅広い方が入居できますが、介護サービスを利用する・しないにかかわらず、介護サービスの費用が請求されるため、自立した生活ができる方にはあまり向いていません。
入居条件の違い
介護付き有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅では、入居条件が大きく違っています。
サ高住の場合、入居条件は原則として60歳以上となっています。また、自立した生活のできる高齢者を中心としつつ、介護対応の施設では要介護5の方も入居可能というところも多いです。
一方で介護に特化した施設である介護付き有料老人ホームでは、多くの場合、要介護認定を受けていることが求められます。基本的に同施設は、介護を必要とする高齢者向けの施設だと考えるのが良いでしょう。
メリット
以下では、介護付き有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅、それぞれのメリットを紹介します。
介護付き有料老人ホームのメリット
- 常駐の介護スタッフによる24時間対応
- 高い人員配置基準が設けられており、手厚い介護が受けられる
- レクリエーションの機会が多く、入居者間の交流が盛んである
- 毎月提携病院の往診を受けられる
- 介護費用が月々定額なので、経済的な安心感がある
サービス付き高齢者向け住宅のメリット
- キッチンや浴室が居室についている施設も多く、自由度の高い暮らしができる
- 体調に問題がない限り、外出や外泊を好きに行える
- 必要な介護サービスだけを自由に選べる
- 初期費用が安く、住み替えもしやすい
デメリット
続いては両施設のデメリットをそれぞれ紹介します。
介護付き有料老人ホームのデメリット
- 食事や入浴の時間が決められているなど、生活に一定の制約がある
- まとまった入居一時金が必要である(入居一時金が比較的高い)
- 手厚い介護サービスが提供される分、費用も高くなる
- 介護サービスを利用しない場合でも、介護サービス費が請求される
サービス付き高齢者向け住宅のデメリット
- 施設によってサービス内容が異なるため、施設選びの際に迷う場合がある
- レクリーションや行事など、入居者同士が交流できる機会は比較的少ない
- 「自立・支援タイプ」では、寝たきりや進行した認知症に対応できない場合がある(専門的な介護が必要になると、退去を求められることも)
住宅型有料老人ホームとサ高住の比較
さて今度は、住宅型有料老人ホームとサ高住の違いについて見ていきましょう。
比較項目 | 住宅型有料老人ホーム | サービス付き高齢者向け住宅 |
---|---|---|
施設の特徴 | 自立・要支援〜要介護の高齢者が生活支援を受けながら居住する | 主に自立した高齢者が生活支援を受けながら居住する |
入居条件 | 自立・要支援1〜要介護5 ※施設によって異なる |
主に自立〜要介護1・2 |
費用 | ・入居一時金:0〜数百万円 ・月額費用:15〜30万円 ※施設によって異なる |
・敷金:家賃の2〜5ヶ月分 ・月額費用:10〜30万円 ※施設によって異なる |
居室面積 | 個室:13㎡以上 | 個室:25㎡以上 ※条件を満たせば18㎡以上でも可 |
主なサービス | 身体介護・食事の提供・生活支援・健康管理のいずれか1つ以上のサービスを提供 | 安否確認・生活相談・生活支援(掃除・買い物代行など) |
契約方式 | 終身利用権方式 | 建物賃借契約 |
住宅型有料老人ホームの特徴
住宅型有料老人ホームの特徴は、介護サービスを受ける場合、老人ホームとは別の契約で介護サービスを利用することです。
各入居者は個別に外部と契約し、必要なサービスを受けられます。この点は、サ高住と共通した部分です。
サ高住と異なる点としては、住宅型有料老人ホームでは食事や入浴の時間がある程度決められており、外出にも制限があることが挙げられます。
これに対してサ高住では、好きなタイミングで食事や入浴ができますし、自由な外出も可能です。
入居条件
住宅型有料老人ホームも、サービス付き高齢者向け住宅も、自立した生活が送れる高齢者まで対象にしている施設です。
また、介護対応のサ高住や住宅型有料老人ホームでは、要介護の方も入居できます。自立の方から要介護の方まで入居できるという点で、介護付き有料老人ホームより間口が広いと言えます。
ただし、ひとくちに「介護対応」といっても、介護職員の常駐体制や看護職員の配置、医療連携の程度によって、入居できるかどうか(入居後に安心して暮らせるか)が異なります。サ高住も住宅型有料老人ホームでも、職員の常駐体制は施設によって異なりますので、どの様な体制で介護や看護が受けられるかを施設ごとに確認することをお勧めします。
年齢については、多くのサ高住も住宅型有料老人ホームも原則60歳以上としているところが多いです。
ただし、サ高住では法令で60歳以上と定義されているのに対し、住宅型有料老人ホームの場合は「高齢者」を対象としているのみで、明確な年齢の法規定はありません。そのため住宅型有料老人ホームの入居条件は、施設によって異なる場合があります。
また、「原則」60歳以上としているのは、特定疾病で要介護認定を受けている60歳未満の方も入居できるためです。介護対応のサ高住や住宅型有料老人ホームでは、こうした特例を認めているところも多いです。
メリット
住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅、それぞれのメリットは以下の通りです。
住宅型有料老人ホームのメリット
- 入居者間で交流できる機会が比較的多く設けられる
- 提携病院による往診を受けることができる
- 自立(要介護度非該当)の場合、介護付き有料老人ホームに比べて費用が安い
- ニーズに応じて外部の介護サービスを自由に選択できる(サ高住も同様)
サービス付き高齢者向け住宅のメリット
- 比較的安い初期費用で入居できる
- 居室にキッチンや浴室が付いていることも多く、より自由な生活が送れる
- 必要なサービスを選択して利用できるためコスパが良い(住宅型も同様)
- 在宅でお世話になっていたケアマネジャーに引き続き担当してもらえる
- 初期費用が少ないので他のサ高住などへの住み替えがしやすい
デメリット
住宅型有料老人ホームとサ高住にはそれぞれ以下のようなデメリットもあります。
住宅型有料老人ホームのデメリット
- 食事や入浴の時間がある程度決まっており、生活が制限される
- 外出も完全に自由にはできない
- 入居時にまとまった金額の入居一時金を要する場合が多い(入居一時金が総じて高い)
- 利用権の場合、居室の移動を求められることがある
サービス付き高齢者向け住宅のデメリット
- 施設ごとにサービス内容が多様で、わかりにくさがある
- レクリエーションなど、入居者間で交流できる機会は比較的少ない
健康型有料老人ホームとサ高住の比較
健康型有料老人ホームとサ高住についても、多角的に比較してみましょう。
比較項目 | 健康型有料老人ホーム | サービス付き高齢者向け住宅 |
---|---|---|
施設の特徴 | 自立した高齢者に対して食事や生活支援などのサービスおよび住まいを提供する | 主に自立した高齢者に対して様々な生活支援と住まいを提供 |
入居条件 | 自立 | 主に自立〜軽度の要介護 |
費用 | ・入居一時金:0〜数億円 ・月額費用:10〜40万円 |
・敷金:家賃の2〜5ヶ月分 ・月額費用:10〜30万円 |
居室面積 | 個室:13㎡以上 | 個室:25㎡以上 |
主なサービス | 食事・生活支援など | 安否確認・生活相談・生活支援(掃除・買い物代行など) |
健康型有料老人ホームの特徴
「自立型有料老人ホーム」とも呼ばれる健康型有料老人ホームは、自立した高齢者の方を対象に生活支援を行う施設です。
健康型有料老人ホームにはスポーツジムや温泉、シアタールームなどの設備が整った施設が多いです。そのため、より活動的に暮らしたい高齢者の方に向いていると言えるでしょう。
なお、健康型有料老人ホームは、設備が充実している分、サ高住よりも入居一時金などが高額な傾向にあります。
入居条件
健康型有料老人ホームは、主に自立した高齢者の方を対象とする施設です。そのため、介護度が高くなると途中で退去を求められる可能性があります。
これに対し、介護対応が可能なサ高住の場合は要介護度が高い方も入居可能なので、要介護度が原因で途中退去を求められる心配は少なくなります。
健康型有料老人ホームの場合、要介護の状態になると基本的に退去することになりますが、近隣に移動できる介護施設が用意されている場合もあります。
メリット
以下では健康型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅、それぞれのメリットを紹介します。
健康型有料老人ホームのメリット
- レクリエーションや設備が非常に充実している(より活発で楽しい暮らしが実現できる)
- 外部のサービスを利用すれば、軽度の要介護状態にも対応できる
- 外部のサービスを利用して、健康状態を管理してもらうこともできる
サービス付き高齢者向け住宅のメリット
- 初期費用や月額費用が安い(特に健康型有料と比較するとかなり安いと言える)
- 必要なサービスを選択して利用できるため、自由度が高くコスパも良い
- キッチン・浴室が居室についた建物も多く暮らし方に融通が利く
- 在宅時のケアマネジャーを引き継ぐことができる
- 住み替えがしやすい
デメリット
健康型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅、それぞれのデメリットは以下の通りです。
健康型有料老人ホームのデメリット
- 重度の要介護状態になると、基本的に住み続けることはできない(退去が必要となる)
- 要介護度が高ければ、その分介護サービス費用も高額になる
- 概して入居一時金や月額費用が高額(億単位の金額が必要になる施設もある)
サービス付き高齢者向け住宅のデメリット
- 「自立・支援タイプ」なら、寝たきりや認知症の進行には対応できない場合が多い(途中で退去を求められることもある)
- 設備面の充実という観点では健康型有料に劣る(ただし、シアタールームや大浴場のついたサ高住もある)
有料老人ホームとサ高住の費用を一覧で比較
以下の表では、3種類の有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅、それぞれの費用をまとめました。
種類 | 費用(初期費用) | 費用(月額費用) |
---|---|---|
介護付き有料老人ホーム | 0〜数百万円 | 15〜30万円 |
住宅型有料老人ホーム | 0〜数百万円 | 15〜30万円 |
健康型有料老人ホーム | 0〜数億円 | 10〜40万円 |
サービス付き高齢者向け住宅 | 0〜数十万円 | 10〜30万円 |
入居一時金
入居一時金とは、月々家賃やサービス費として償却されていく前払金のことです。各施設の規定に従い、所定の期間内に一定の割合で償却されます。
有料老人ホームの場合、この入居一時金の金額は施設ごとに様々です。低額の場合もありますが、高級な施設では1億円以上を請求されることもあります。
サ高住の場合は、支払いの方式によって入居一時金を支払うかどうかが変わってきます。基本的に入居一時金を請求されるのは、「前払い方式」の場合です。
一方で「月払い方式」の場合は、「敷金」が請求され、家賃の2〜3ヶ月分を支払うことになります。
基本的には上記いずれかのパターンが一般的ですが、入居時に家賃やサービス費の一部を先に支払う前払い方式を採用する施設もあります。そのため、詳細は入居を希望する施設へ問い合わせるのが良いでしょう。
なお、確かなのは有料老人ホームに比べると、サ高住の初期費用は総じて低額で、多くの方が入居を考えやすいということです。
有料老人ホームでも入居一時金なしの場合もある
最近は入居一時金を支払わずに入居できる有料老人ホームもあります。そのため、まとまった初期費用が準備できない方におすすめです。
ただし、入居一時金は家賃やサービス費の前払金なので、月払い方式(入居一時金を払わない方式)の場合は月々の家賃などの費用は高くなります。そのため、将来の資金繰りを含め、よく考えて申し込むのが良いでしょう。
例えば、初期費用をできるだけ抑えたい場合や短期間だけ入居する場合などに、「入居一時金なし」の有料老人ホームは有用です。
月額費用
サ高住に入居すると、家賃や管理費、共益費、水道光熱費、サービス利用料などの費用が月々かかってきます。
有料老人ホームでは、施設介護サービス費や食費、居住費などの支払いが毎月必要です。
金額を比較すると、サ高住よりも有料老人ホームのほうが高額な傾向にあります。
特に介護付き有料老人ホームでは、介護サービスを充実させる目的で人員を増やしている施設もあり、その分上乗せの介護サービス費が請求されることも多いです。
よって費用面だけを考えるなら、基本的には有料老人ホームよりもサ高住のほうがおすすめできます。
ただし、高額な有料老人ホームは、広い居室や最新の介護器具が用意されていたり、娯楽設備が充実していたりするので、費用だけでなく内容についてもよく検討するのが良いでしょう。
近くのサ高住・有料老人ホームをチェックする!両者の契約方式について
サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームでは、契約方式にも大きな違いがあります。
賃貸借契約のサ高住
サ高住に入居する場合は、基本的に賃貸借契約を結ぶことになります。これは一般的な賃貸物件の場合と同様の契約方式です。
ただし、サ高住の賃貸借契約は、そこからさらに「建物賃貸借方式」と「終身建物賃貸借方式」に分類できます。
建物賃貸借方式では契約を相続することが可能です。例えば、入居者本人が亡くなった場合、配偶者が存命であれば配偶者が契約を引き継いでサ高住に住み続けることができます。
これに対し終身建物賃貸借方式は、「契約者本人が亡くなるまで」と期限を定めた契約です。よって契約者本人が死亡した時点で、その契約は手続き不要で終了します。ただし、この方式では契約を配偶者などに相続することはできません。
利用権方式をとる有料老人ホーム
有料老人ホームの場合は、利用権方式という契約方式が採用されています。
利用権方式はホテルに宿泊するのと同様の位置づけのため、物件の所有権は得られず、賃貸借契約と異なり契約を相続することもできません。終身において住み続けることは可能です。
なお、有料老人ホームでは入居時にある程度まとまった金額が必要となることも多く、経済的な入居のハードルは比較的高いと言えます。
両施設での暮らし方・1日の流れ
サ高住の暮らし・1日
サ高住では、一般的な住宅で暮らすのと変わらないような自由度の高い暮らしが実現可能です。
外出や外泊の制限も設けられていない場合がほとんどなので、施設外の家族や友人との時間を大切にすることもできます。
食事については、居室に備わったキッチンで自炊することもできますし、配食サービスを利用するという選択肢もあります。
このように必要に応じて自由にサービスを選択し、最適な組み合わせでサービスを活用できることもサ高住の特徴です。
有料老人ホームの暮らし・1日
有料老人ホームでの生活は、施設のタイプによって内容が異なります。
介護付き有料老人ホームの場合、食事や入浴を含めた1日のスケジュールが前もって決められているため、サ高住のように自由な暮らしはできません。
外出や外泊にも制限が設けられており、事前の手続きがなければそれらができないことも多いです。
なお、スケジュールにはレクリエーションや体操などの機会もしっかりと組み込まれており、自発的に行動しなくても心身機能を維持・向上していける環境にあります。
どちらの施設を利用するのがおすすめ?
ここまでの解説を踏まえた上で、以下ではサ高住がおすすめな人、有料老人ホームがおすすめな人、それぞれの特徴を紹介します。
サ高住がおすすめな人
サ高住は、自由度の高い生活がしたい方や、変化のある生活を望む方におすすめです。
サ高住では、食事や入浴、外出、外泊などに制限が基本なく、施設に入ったからといって暮らしが制約されることはありません。入居後も在宅と変わらない生活ができると考えて良いでしょう。
またサ高住はバリアフリー構造になっており、高齢者にとってやさしい施設です。そのため、安全・安心に快く生活したい方にも向いています。
自立から要介護まで対応できる介護度の間口が非常に広いため、多くの方におすすめできる施設だと言えます。
初期費用を抑えたい方にもおすすめ
有料老人ホームと比べると、サービス付き高齢者向け住宅は初期費用がかなり安いです。そのため、入居時にまとまったお金を用意するのが難しい方に向いています。
また月額費用も比較的リーズナブルなため、費用を抑えて入居できる施設をお探しの方全般におすすめできます。
学研ココファンのサ高住は、初期費用を含めて、他よりも費用を抑えて入居できる施設を全国各地で展開しておりますので、是非チェックしてみてください。
近くの学研ココファンのサ高住を探す!有料老人ホームがおすすめな人
有料老人ホームは、「設備面の充実」という観点を重視する方におすすめです。
ジムやカラオケなどの設備を完備した施設もあり、楽しく活動的に過ごすことができます。
またレクリーションなど、入居者間で交流できる機会も盛んに設けられるため、色々な人と付き合いながら生活したい方にもぴったりです。
しっかりした介護サービスを求める方にもおすすめ
特に介護付き有料老人ホームは、しっかりとした介護サービスを受けたい方、またはその必要がある方などにおすすめです。
「介護付き」は、自治体の指定を受けた介護施設なので、安心して入居することができます。
ただし、昨今はサ高住にも介護サービスに力を入れる施設が増えてきているため、介護サービスだけでどちらかを決めるのは得策ではないでしょう。
設備面やその他のサービスなども含めて多角的に検討し、ご自身やご家族にとってより良い施設を選んでください。 全国の有料老人ホームを探す!サ高住と有料老人ホームの違いまとめ
- サ高住のほうが生活の自由度が高い
- サ高住のほうが初期費用・月額費用も安い
- 介護サービスは介護付き有料老人ホームのほうが体制が整っている
- 特定施設のサ高住なら介護付きと同様なため安心
サ高住と有料老人ホームの違いについて解説しました。
サ高住と有料老人ホームで大きく違うのは、契約形態です。サ高住の場合、一般の賃貸物件と同じく賃貸借契約を結ぶため、入居時に払うのは家賃2〜3ヶ月分の敷金で、比較的リーズナブルに入居できます。
一方で有料老人ホームの場合、利用権方式の採用する施設が多く、総じて入居一時金は高額です。
よって費用面ではサ高住のほうがおすすめですが、有料老人ホーム(特に「介護付き」)には、介護サービスが充実しているというメリットもあります。
しかし、昨今は介護サービスを充実させた「介護・認知症タイプ」のサ高住も多く、両者の違いはそこまで大きいものではなくなってきています。
以上の内容を、ご自身にあった施設を探す上での参考にしてください。
この記事は専門家に監修されています
介護支援専門員、介護福祉士
坂入郁子(さかいり いくこ)
株式会社学研ココファン品質管理本部マネジャー。介護支援専門員、介護福祉士。2011年学研ココファンに入社。ケアマネジャー、事業所長を経て東京、神奈川等複数のエリアでブロック長としてマネジメントに従事。2021年より現職。
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