グループホームと有料老人ホームの違いは?介護サービスや費用・特養との違いも紹介

この記事は専門家に監修されています

介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

「グループホームと有料老人ホームの違いは何があるの?」

「グループホームと有料老人ホームは、どちらの方が安い?」

このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?

高齢者は数多くありますが、グループホームと有料老人ホームの違いをよく分かっていない方は多いです。

それぞれに特徴や強みがあるので、自身の価値観や生活スタイルと照らし合わせながら快適に暮らせる施設を探していきましょう。

こちらの記事で、グループホームと有料老人ホームの違いについて詳しく解説していきます。

施設探しをしている方にとって参考になる内容となっているので、ぜひ最後までお読みください!

グループホームと有料老人ホームの違いについてざっくり説明すると
  • グループホームは居住者でユニットを組んで家事をしながら生活する点が特徴
  • 有料老人ホームはスタッフが必要な介護サービスを提供してくれる
  • 退去要件や施設の雰囲気も違うので、自分との相性は要確認
  • 特養やサ高住など様々な選択肢も検討しよう

グループホームと有料老人ホームの違い

比較表

まずは、グループホームと有料老人ホームの違いについて確認します。

自分との相性や価値観を鑑みつつ、より良い選択をしていきましょう。

グループホームとは

グループホームの特徴

グループホームとは、利用者が5~9人の少人数ユニットを組み、共同住宅の形態でケアサービスを提供している介護施設です。

入居者同士で自身の能力を生かし、家事を分担して生活する点が大きな特徴です。

認知症高齢者に適した住宅形態として注目されており、近年は施設数も増えつつあります。

「認知症対応型老人共同生活援助施設」とも呼ばれており、各入居者の能力に応じて家事分担をこなしつつ暮らしていく点が、他の老人ホーム・介護施設と大きく異なるポイントと言えるでしょう。

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有料老人ホームとは

有料老人ホームの説明

有料老人ホームとは、高齢者が暮らしやすいように施設やサービスが工夫された施設です。

家事全般をサポートしたり、健康管理などの希望するサービスを受けられるため、安心して暮らせる点が大きな特徴です。

入居対象となる方はホームによって異なりますが、65歳以上で自立している方から要支援・要介護の高齢者まで幅広く入居できます。

入居している人数も数名~100名程度まで施設によって大きく幅があるので、事前に確認しておくと良いでしょう。

なお、有料老人ホームは主に以下の3種類があります。

介護付き有料老人ホーム

介護付き老人ホーム特徴

介護付き有料老人ホームの入居対象は、介護を必要としている65歳以上の方です。

介護度5の方まで入居可能なので、重い症状を抱えている場合は、介護付き老人ホームが有力な選択肢となります。

なお、手厚い介護サービスや生活支援サービスを受けられる上に、リハビリ・機能訓練・レクリエーション・イベントを実施する施設も多いです。

住宅型有料老人ホーム

住宅型老人ホーム説明

住宅型有料老人ホームは要介護者・要支援者・自立者が入居できるので、受け入れの幅は非常に広いです。

食事サービスや生活支援サービスを主に受けながら、健康管理サービスを提供している施設もあります。

また、安全に生活できるように館内のバリアフリー化や緊急通報装置が設置されているので、本人も家族も安心して過ごすことができます。

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健康型有料老人ホーム

健康型老人ホーム説明

健康型有料老人ホームは、健康で介護の必要がない高齢者を対象としている施設です。

自立した生活は送れるものの、家事をするのが面倒であったり将来的に1人で過ごすことに不安に感じている方向けと言えるでしょう。

また、趣味を楽しむための娯楽施設が充実しているので、生きがいの発見にも繋がります。

ただし、介護が必要な状態になったり病気を発症してしまった場合は退去を求められることがあるため、注意しましょう。

なお、健康型有料老人ホームについては以下の記事にも詳しく掲載されておりますので、ぜひこちらも読んでみてください。

健康型(自立型)有料老人ホームとは|入居条件・費用からサービス内容まで徹底解説

グループホームと有料老人ホームを比較

それでは、グループホームと有料老人ホームの特徴を比較してみましょう。

グループホーム 有料老人ホーム
運営 民間企業
NPO法人や医療法人
社会福祉法人
民間企業
対象 認知症高齢者を対象。5~9人の少人数をユニットとした小規模な施設 要介護非認定~要介護5の高齢者全般を対象。規模は数名~100名と、施設によって異なる
雰囲気 小規模でこぢんまりとしており、アットホーム 外観が豪華で、ホテルのような施設が多い
入居者の条件 認知症の診断書がある
65歳以上で要支援2以上
施設所在地に住民票がある
施設によって異なる
60歳または65歳以上
「自立~要介護5」まで様々
入居者の介護度 認知症の患者で、体は元気な人が多い 介護度は自立~要介護5まで・年齢も幅広く、認知症の患者や寝たきりの患者も在籍
退去要件 長期入院、認知症の重症化によって共同生活が難しいと判断された場合など 病気の重症化、医療ケアが常時必要になった場合など
入りやすさ 入居者の定員が少ないため、空きが少なく数か月・数年単位で待つことも すぐに入居できる施設が多い

上記のように、雰囲気をはじめとして様々な違いがあるので、自身との価値観と照らし合わせてより良い選択をしていきましょう。

運営

グループホームの約半数は民間企業によって運営されていますが、NPO法人・医療法人・社会福祉法人などによって運営されているところも多くあります。

一方で、有料老人ホームは民間企業が運営しているので、各企業によってサービスの質が大きく異なります。

適切な情報収集や見学、利用者の口コミなどを参考にすることで、自分自身の家族のニーズに合った施設を選ぶことができます。

営利目的か否かで、施設の方針や存在意義に大きな影響を与えるのは言うまでもありません。

雰囲気

グループホームはユニットを組んで共同生活を送るため、小規模でこじんまりしている施設が多いです。

そのため、アットホームで家庭的な雰囲気な施設と言えるでしょう。

一方で、有料老人ホームは民間企業がサービスや外観に力を入れていることが多く、豪華で内装が整っている施設が多いです。

ホテルのような雰囲気な施設も多く存在しており、快適さの面では有料老人ホームに分があります。

ただし、有料老人ホームの場合、そのサービスや設備の充実に伴って費用も高くなる傾向があるため、経済的な負担や利用料金の面でも検討が必要です。

入居者の条件

入居条件も違いがあり、グループホームの入居条件は以下の通りです。

  • 医師から認知症の診断書が発行されている方
  • 65歳以上の高齢者で、かつ要支援2および要介護1~5の認定を受けている方

また、生活保護受給者でも入居することが可能です。

一方で、有料老人ホームの入居条件は施設によって異なりますが、基本的に住宅型・健康型の入居年齢は60歳以上、介護付き有料老人ホームは65歳以上です。

身体状態が問われることはほとんどなく、介護認定非該当人が入居できる施設もあれば要介護度が設定されている施設もあるため、施設によってまちまちなのが実態です。

入居者の介護度

グループホームの入居者は認知症患者ですが、身体的には体は元気な方が多いです。

一方で、有料老人ホームの入居者は介護度が高い方や自立している方までおり、年齢も幅広いです。

有料老人ホームは、介護や医療のニーズに対応できる環境や専門スタッフが整っていることが多いです。

さらに、認知症患者や寝たきりの患者も入居しているケースがあるため様々な方に利用されています。

退去要件

グループホームでは、長期入院などが原因で共同生活が難しくなった場合や、高度な医療ケアが必要になった場合に退去を迫られることがあります。

有料老人ホームでも、グループホームと同様に病気の進行などが理由で「居住の継続が不可能である」と判断されると退去を迫られることがあります。

安心して生活し、万が一の際にも冷静に対処できるように退去要件はしっかりと押さえておきましょう。

入りやすさ

グループホームに入居できるのは5~9人のユニットが3つまでなので、そもそも入居の枠が少ないです。

大規模な介護施設に比べて、グループホームは入居待ちのリスクが高く数ヶ月~数年単位に渡って待機を強いられることも少なくありません。

一方で、有料老人ホームは施設数が多いのですぐに入居できる可能性が高いです。

待機待ちをしたくない方であれば、有料老人ホームの方がより良い選択となるでしょう。

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介護・生活支援サービスの違い

こちらのトピックでは、グループホームと有料老人ホームのサービス内容の違いについて解説していきます。

比較項目 グループホーム 有料老人ホーム
医療体制 服用管理やバイタルチェック、通院介助といった最低限の医療的サービス・「医療連携加算」によって緊急時でも対応可能 緊急時の対応や訪問医療を受けられる・介護付き有料老人ホームでは、看護師による医療的ケアも受けられる
介護・看護体制 入居者3人に対して、介護スタッフ1人以上を配置・看護師配置は義務ではない 要介護者3人に対して、介護スタッフ1人以上を配置・看護師を1人以上配置
自立支援・リハビリ・認知症ケア 食事や入浴、買い物の補助による自立支援・認知症に理解のあるスタッフが多い 食事や清掃といった生活支援のサービスを提供・理学療法士、作業療法士、看護師などの指導員によるリハビリ
入居者への対応 スタッフが少なく、個別対応の余裕がないことが多い 対応可能である
娯楽・余暇の活動 有料老人ホームと同様・認知症予防に効果的とされている園芸療法や手先を動かす作業などが多い 手先を使う工作や、脳・体を使うゲーム・クイズなどで身体機能向上や脳の活性化
外出の自由度 1人での外出は認められていない 自由度は高め・安全と判断されれば外出も可能

上記のように、医療体制や介護・看護体制などの違いがあるので、しっかりと吟味した上で自分と相性が良さそうな施設を選びましょう。

自信が求めているサービスを整理して、ニーズを満たしている方を選んでください。

医療体制

グループホームは医療職員を配置する義務がないため、医療ケアは提供されないのが一般的です。

しかし、服用管理や通院介助などの最低限の医療的サービスは受けられるため、医療体制が全く無いわけではありません。

また、「医療連携体制加算」などのサービス加算の仕組みがあり、充実した医療ケアを提供しているグループホームも存在します。

これにより、看護師を雇用したり訪問介護の事業所と連携して緊急時に対応できる体制を整備している施設も増えているので、事前に確認しましょう。

有料老人ホームでは、グループホームと同様に緊急時の対応や訪問医療を受けることができ、また看護師が常駐しているため医療的ケアを常時受けることが可能です。

介護・看護体制

グループホームでも有料老人ホームでも、入居者3人に対して1人以上のスタッフ配置がされています。

また、介護職員のうち1人以上を常勤として、夜間・深夜帯は入居者数に関係なく常勤の職員を1人以上配置することが義務付けられているので、どちらも安心して利用できます。

なお、有料老人ホームは介護付き有料老人ホームのみ「特定施設入居者生活介護」に認定されているため、人員基準が設けられています。

また、介護付き有料老人ホームには「看護師を1人以上配置する」ことが義務付けられていますが、グループホームにはこのような義務はありません。

自立支援・リハビリ・認知症ケア

グループホームでは、スタッフが補助しながら日常生活で必要な家事を自分たちのユニットで行うのが常です。

そのため、自立支援に重点を置いており、食事や買い物などに関する積極的なサポートは行っていません。

一方で、有料老人ホームでは食事や清掃などの日常生活の支援サービスを提供しています。

また、有料老人ホームでのリハビリは理学療法士・作業療法士・看護師などのリハビリのプロが1人1人の身体の状態に合わせて行ってくれます。

さらに、最近では有料老人ホームにおいても認知症の患者が増加しており、どちらの施設でも認知症について理解のあるスタッフが増えつつあります。

入居者への対応

グループホームは定員数が少ないのできめ細かいサービスを受けられると思われがちですが、スタッフの数も少ないため実際には個別対応の余裕がないことも多いです。

ただ、ユニットケアという性格上、職員と入居者の距離感が近く信頼感激を築きやすいメリットがあります。

一方で、スタッフ人数に余裕がある有料老人ホームでは、リハビリや外出の付き添いなどの個別のニーズに応じやすいメリットがあります。

そのため、きめ細かい個別サービスを希望している方は有料老人ホームの方がおすすめです。

娯楽・余暇の活動

グループホームと有料老人ホームのどちらでも、利用者の運動機能や認知機能を維持したり、楽しむためのレクリエーションが行われています。

競争性の高いレクリエーションも多く、楽しみながら身体機能向上や脳の活性化が期待できるでしょう。

手先を使う工作や、脳を使うゲーム・クイズなど、様々やレパートリーが用意されています。

また、囲碁・将棋・麻雀・生け花・茶道など、趣味として嗜んできたものも多く取り入れられているので、施設に入居したからといって趣味を諦める必要はありません。

特に、グループホームでは認知症予防に効果的とされている園芸療法や手先を動かす作業が多く取り入れられています。

外出の自由度

グループホームは、入居者が認知症の患者であるという特性上、1人での外出などは認められていません。

身体は元気でも、見当識障害があると無事に帰ってくることができなくなる恐れがあるので、外出の自由度に関しては期待しない方が良いでしょう。

一方で、有料老人ホームはグループホームと比較すると自由度は高いです。

安全に歩行ができるなど身体能力に問題がなく、施設に戻ってくることができると判断されれば1人での外出も許可されることが多いです。

いずれにせよ施設のポリシーやケアプランによって異なるため、事前に施設スタッフと相談し、適切な外出の取り決めや支援体制を確認することが重要です。

グループホームと老人ホームの費用の違い

こちらのトピックでは、グループホームと有料老人ホームの費用の違いについて解説していきます。

介護費用は非常に重要な問題なので、ぜひ詳しく知っておきましょう。

グループホーム 有料老人ホーム
初期費用 0~数十万円 0~数億円
月額費用 15~20万円 10~40万円

一般的に、有料老人ホームの方が高額であることが多いです。

また、有料老人ホームの中でも費用に大きな差があることから、各施設についてじっくり情報を集めてみましょう。

初期費用

グループホームの初期費用は0~数十万円程度が目安となっており、そこまで多額の費用は求められません。

初期費用には保証金・敷金・入居一時金などが含まれており、一般的な賃貸住宅と同じように退去時に敷金が返還される仕組みです。

なお、入居一時金については償却期間が設定されており、償却が終わる前に退去した場合は未償却分が返金されることになります。

一方で、有料老人ホームの初期費用は入居一時金が0~数億円と幅広く、施設によっては多額の準備金が求められるケースがあります。

入居一時金の中央値は620万円程度で、やはりグループホームと比較すると高めに設定されていることが分かります。

参考:LIFULL介護(2022年12月24日時点)

なお、入居一時金は入居時年齢の平均寿命などをトータルで考慮して、どのくらい住み続けるかという「想定居住期間」やその施設の家賃によって決まります。

月額費用

グループホームの月額費用は15~20万円程度で、内訳は家賃・管理費・食費・などが含まれています。

なお、おむつや日用品代などの日常生活に必要な費用については含まれていないため、別途で支払いが必要となります。

一方で、有料老人ホームの月額費用は10~40万円程度です。

施設設備の充実具合や居室面積、サービス内容などを総合的に踏まえて月額費用が決まることになります。

また、外部の介護サービスを利用した場合は利用分が別途で自己負担となるため、余裕を持った資金計画を考えておきましょう。

費用が抑えられるココファンの介護施設

ココファンの特徴

学研ココファンシリーズの介護施設は、入居一時金0円で利用することが可能です。そのため、初期費用をかなり抑えることができます。

月額費用も、厚生年金額を考慮した金額設定となっているため、比較的安価な費用で充実のサービスを受けることが可能です。

認知症の方や介護度の高い方まで対応可能な、安心安全で快適な暮らしを提供していますので、ぜひチェックしてみてください。

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メリット・デメリットを比較

楽しむ高齢者

こちらのトピックでは、グループホームと有料老人ホームのメリット・デメリットについて解説していきます。

メリットだけでなくデメリットについても把握し、自分との相性を確認していきましょう。

グループホームのメリット

まずは、グループホームのメリットについて見ていきましょう。

グループホームのメリット
  • 認知症の症状を和らげることができること
  • 過ごしてきた地域で暮らせること
  • 入居者間でコミュニケーションが取りやすい
  • 短期間で生活の質を高められる
  • 有料老人ホームと比較すると、低価格であること

グループホームでは、自分の能力に合わせて日常的な家事を行うことになるため、認知症の症状を和らげることができます。

また、スタッフがしっかりと必要に応じてサポートをしてくれるので、安心して居住できる点も大きな魅力です。

有料老人ホームと比較するとコストを抑えながらサービスを受けることが可能なので、経済的優位性もあります。

「アットホームな雰囲気で安心して生活したい」と考えている方にとっては、魅力的な選択肢となるでしょう。

グループホームのデメリット

続いて、グループホームのデメリットについて確認していきましょう。

グループホームのデメリット
  • 定員が少なく、入居できない場合があること
  • 医療ケアが充実していない
  • 入居者が限定されている
  • 少人数のため、入居者同士の相性が合わない可能性があること

グループホームはユニットを組むという仕組みの関係で、受け入れ枠となる定員が少ないです。

つまり、入居を希望してもスムーズに入居できるとは限りません。

また、「認知症発症者」が対象で入居者が限定されていることから、すべての高齢者が利用できるわけではありません。

医療ケアも高いレベルが期待できないことから、上記のポイントがどうしてもネックになる方であればグループホームは有力な選択肢とはならないでしょう。

有料老人ホームのメリット

続いて、有料老人ホームのメリットを見ていきましょう。

有料老人ホームのメリット
  • 看護師による医療的ケアを受けられる
  • 介護度が上がってもサービスを受け続けることができる
  • すぐに入居できる
  • 医療的なニーズや個別の要望に対して対応してくれやすい

有料老人ホームは、自立している方から要介護5の方まで、幅広い方の利用を受け入れています。

介護度が上がってもサービスを受けることができ、また看護師がいることからグループホームよりも質の高い医療サービスを受けられる点が大きなメリットと言えるでしょう。

また、施設数が多いので入居待ちが不要もしくは短期間で済むケースが多いことから、入居を急いでいる方でも安心です。

有料老人ホームのデメリット

次に、有料老人ホームのデメリットについて確認していきましょう。

有料老人ホームのデメリット
  • 費用がグループホームと比較して高いこと
  • 認知症ケアの知識が浅いスタッフが対応することがある
  • 集団生活でのストレスがかかりやすい

有料老人ホームは、グループホームと比較すると諸費用が高くなりがちで、固定コストの負担が重くなる点がデメリットです。

また、全てのスタッフが認知症対応に関して詳しいとも限らないため、認知症罹患者にとっては不安材料になり得ます。

グループホームとは違って大人数で生活することになるため、この点がストレスになりそうな場合は利用をしっかりと検討するべきです。

プログラムが適切かどうかを把握し、自分や家族の好みもや個別の状況に合わせて、検討を進める必要があります。

他の施設も選択肢に入れておこう

多くの高齢者

認知症を発症している高齢者にとって、入居できる施設は複数あります。

各施設によって負担する費用や受けられるサービス内容は大きく異なるため、資産状況や求めているサービスを勘案して施設を選ぶべきです。

自分の症状や環境に合わせて、慎重に施設選びをすればミスマッチを防げるでしょう。

特養とグループホームを比較

特養は公的施設で、要介護3以上(特例の場合は要介護1・2)の高齢者を入居対象としています。

介護の必要性が高い方の受け入れを優先的に行っており、原則として終身で介護を受けられる点が特徴です。

公的施設なので民間企業が運営している有料老人ホームと比較すると利用料金を大きく抑えることができ、経済的優位性は非常に高いです。

ただし、入居条件が厳しい上に施設数が少ないため、スムーズに入居できず待機期間が長引いてしまっているのが実情です。

認知症で特養に入る方も多いですが、特養は共同生活を送るわけではなくスタッフから介護サービスを受ける形態なので、過ごし方としては有料老人ホームに近いと言えるでしょう。

なお、特養については、以下の記事に詳しく書かれていますので、是非こちらも読んでみてください。

【イラストで解説】特別養護老人ホーム(特養)とは?特徴や費用・入所条件まで紹介!

サービス付き高齢者向け住宅もおすすめ

近年は、民間企業が運営するサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が増えています。

サ高住は、要介護度の低い高齢者を中心に要支援~要介護認定を受けている高齢者を広く受け入れているため、こちらも選択肢として考えておくと良いでしょう。

過ごし方としては介護付き有料老人ホームと似ていますが、サ高住の方が自由度が高く、また費用も安く抑えることができます。

施設数も増えており、待機待ちを強いられることもほとんど無いため、有力な選択肢となるでしょう。

サービス付き高齢者向け住宅とは?費用や入居条件・老人ホームとの違いまで全て解説

学研ココファンが運営するサ高住は、24時間365日の介護体制が整っている上にデイサービス等の各種介護サービスも併設されています。

認知症対応が可能なサービス付き高齢者向け住宅も多数設置しており、グループホームよりも安価な費用で認知症対応が可能となっています。

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想定居住期間と初期償却について

有料老人ホームを利用する際にどうしても気になるお金の問題ですが、料金体系を確認する前に「想定居住期間」「初期償却」について知っておきましょう。

想定居住期間とは

有料老人ホームの中には「前払金」が必要となる施設もありますが、この際に想定居住期間が関連してきます。

想定居住期間とは、施設側が平均余命を基に計算した「おおむね50%の人が生活し続けるとされる期間」を指しており、入居の際に支払うことになる前払金は、まず想定居住期間分の家賃に充てられます。

一方で、前払金が必要ない施設は予め月額費用が高めに設定されていることが多いです。

つまり、一時金がある施設は相対的に月額費用を抑える効果があるので、「長生きリスク」に備えたい場合は一時金を支払った方が後々のことを考えると安心と言えるでしょう。

初期償却

前払金の一部は「初期償却」として、一定の割合を施設側が受け取ることになります。

通常、前払金の未償却分がある内に退所した場合は未償却分が返金されますが、早期に退所した場合でも初期償却された分は返還されないので心理的に抵抗感を覚える方も少なくありません。

一見すると「利用者側にとって損」に見える初期償却の仕組みですが、この初期償却は一概に悪い制度とも言い切れません。

初期償却は、死亡などで想定よりも早く退所することになってしまった際には損をしてしまいますが、いわゆる施設側が「得をした初期償却分」は長生きした方の家賃に充てられます。

つまり、相互扶助のエッセンスが強く「保険」に似た性格を持っていると考えられるので、初期償却に関して損得で判断するのはそもそもナンセンスと言えるのです。

初期償却の割合は施設によって異なりますが、入居年齢で割合を段階的に設定している施設もあるため、事前にしっかりと確認しましょう。

なお、すべての老人ホームにおいて施設の倒産に備えるべく前払い金の「保全措置」が義務化されているので、利用者としては安心です。

「安かろう悪かろう」施設に注意

月額費用は長期に渡って負担することになる固定コストですが、コストを抑えたいがために安い施設を探すのはおすすめしません。

介護や医療ケアは高齢者の生命線となるので、充実した医療ケアを必要としている方であれば看護師が24時間体制で常駐している施設を選ぶなど、「安心」を最優先することをおすすめします。

看護師や介護士の設置体制が手厚い施設ほど居住者の負担するコストは増えますが、「安心」「安全」は充実した老後生活を送るための根本となる部分です。

本人が望んでいるライフスタイルを実現できる施設かどうかを家族間で話し合い、また施設の情報を的確に収集しながら「費用対効果」についても意識してみてください。

グループホームと有料老人ホームの違いまとめ

グループホームと有料老人ホームの違いまとめ
  • 介護体制や医療体制は有料老人ホームの方が充実している
  • 費用負担はグループホームの方が軽い傾向にある
  • 両施設にメリットとデメリットがあるので、サービス内容をしっかり吟味しよう
  • 運営主体の財務状況も把握し、安心して居住できるか確認しよう

グループホームと有料老人ホームには、それぞれ強みや利用するメリットがあるので、自身の価値観や求めているサービスを整理してニーズが合致する方を選びましょう。

入居対象やスタッフの配置体制なども異なるので、費用だけでなく安心して居住できるかどうかも重要なポイントとなります。

また、グループホームと有料老人ホームの他にも様々な高齢者施設があるので、多くの選択肢を持っておくことをおすすめします。

この記事は専門家に監修されています

介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

株式会社学研ココファン品質管理本部マネジャー。介護支援専門員、介護福祉士。2011年学研ココファンに入社。ケアマネジャー、事業所長を経て東京、神奈川等複数のエリアでブロック長としてマネジメントに従事。2021年より現職。

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