【イラストで解説】グループホームとは|サービス内容・特徴から費用・入所条件まで解説
この記事は専門家に監修されています
介護支援専門員、介護福祉士
坂入郁子(さかいり いくこ)
「グループホームってどんな施設なの?」
「その定義や入所条件は?介護保険は適用されるの?」
などと疑問をお持ちの方もいるでしょう。
グループホームは、認知症高齢者を対象にした少人数制の介護施設です。国の「認知症対策推進総合戦略」の拠点として、昨今注目度が増しています。
今回はそんなグループホームについて、その定義や入所条件、役割などを詳しく解説します。
また利用の際にかかる費用などについても具体的なデータを示して紹介しています。
介護保険が適用されるか、生活保護でも入所できるかなどについてもお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
- 認知症高齢者が暮らしやすい住居環境・地域社会を作るのが役割
- 第一の入所条件は認知症の診断書が発行されていること
- 介護サービスには介護保険が適用される
- 生活保護でも入所可能
グループホームの基本情報
まずはグループホームの定義や定員の単位、運営母体などについて解説します。
グループホームの定義
「グループホーム」は厚生労働省に以下のように定義されています。
知的障害者や精神障害者、認知症高齢者などが専門スタッフの支援のもと集団で暮らす家のこと
出典:e-ヘルスネット(厚生労働省)
上の定義を補足すると、グループホームは、5〜9人の少人数をユニットとした共同住宅の形態でケアサービスを提供する介護施設です。認知症高齢者に適した住宅形態として注目されています。
認知症高齢者の中には、環境の変化への適用が難しい方もいます。この点、グループホームなら常に同じメンバーで生活できるので、認知症の方にもより良いケアを行いやすいです。
少人数で「なじみの関係」を築けることから、生活上のつまずきを解消しやすく、心身の状態を穏やかに保つことが認知症の改善につながる可能性が期待されています。
少人数単位での生活が基本
グループホームの定員は、ユニットという単位を用いて定められています。1つのユニットは5〜9人で、1つのグループホームについてのユニットの上限は原則3ユニットまでです。
つまりグループホームには、最大でも18人までしか入らないことになるので、少人数制の介護施設だと言えます。
グループホームが少人数制を採用する理由ですが、これは上述でも解説した通り、認知症の高齢者の性質と関係しています。
繰り返しになりますが、認知症の高齢者は、生活環境の変化に適用するのが比較的苦手です。新しい人と出会ったり、新しい物事を記憶・整理したりするのが普通の人よりも難しいのです。
そのため、大規模な施設で大きな変化にさらされながら生活していると、症状を悪化させたり、トラブルのもとになったりしてしまう恐れがあります。一方で小規模のグループホームなら、周囲の変化が少ないことから、認知症の高齢者が穏やかに過ごすことが可能です。
1人暮らしに慣れるためのサテライト型も
グループホームには、今まで紹介してきたようにユニットごとに生活を行うユニット型のものと別に、1人暮らしを行うことができるサテライト型住居も存在しています。
サテライト型のグループホームは本体住居とサテライト型住居から構成されています。
ユニット型と同じようなケアを受けることが可能な本体住居とは別に、少し離れた場所にサテライト型住居が設置されています。
利用者の希望次第で、このサテライト型住居で1人暮らしをすることが可能です。食事やレクリエーションは本体住居で受けるが基本はサテライト型住居で生活するといった利用の仕方が考えられます。
またサテライト住居で1人暮らしをする際に困ったこと・トラブルがあれば担当スタッフに連絡することで住居まで駆けつけてもらえます。
利用がおすすめな方の特徴として、共同住居での生活は嫌だが支援をいつでも受けられる状態での生活がしたい方、また将来的に自立して生活をするため1人暮らしに慣れたい方などが挙げられるでしょう。
運営母体は民間企業のほか様々
基本的に民間企業が運営している有料老人ホームとは異なり、グループホームの運営母体は様々です。
グループホームの場合も、半分程度は民間企業による運営ですが、NPO法人や医療法人、社会福祉法人などによって運営されているところもあります。
運営母体が公益法人であることが多いため、有料老人ホームとは多少雰囲気が異なります。
公益法人によるグループホームは、利益を追求することが目的ではなく、社会福祉の向上や地域貢献を目的としている場合が多いため、利用者の方々にとって心地よい居場所となっています。
また、公益法人が運営するグループホームでは、社会的使命感や責任感を持ったスタッフが多く、利用者の方々に対して親身に接する姿勢が見られるという特徴もあります。
近くのグループホームを探してみる!グループホームの入所条件
以下ではグループホームの入所条件について詳しく解説します。
入所には医師からの「認知症」診断が必要
グループホームの入所条件は以下の通りです。
- 医師から認知症の診断書が発行されている方
- 65歳以上の高齢者で、かつ要支援2および要介護1~5の認定を受けている方
- 少人数の共同生活を営むことに支障がない方
- 施設と同じ市区町村に住民票をお持ちの方
グループホームは、基本的に要支援・要介護の認定を受けた認知症高齢者のための介護施設です。そのため、入居するには認知症の診断書および要支援・要介護の認定が必要です。
入居を希望する場合は、まず病院に行き、これらの診断・認定を受けてください。
生活保護の受給者でも入所可能
生活保護法による指定を受けた施設もあることから、上の入所条件を満たせば、生活保護受給者でもグループホームに入居することは可能です。
生活保護を受けている方がグループホームを探す場合は、以下で紹介する3つのポイントを意識しましょう。
- そのグループホームが生活保護法による指定を受けているか
- 自分の住民票がグループホームと同じ地域にあるか
- 生活保護受給者向けの居室がどのくらいあるか
施設と同地域に住民票がなければ生活保護の再申請が必要
地域密着型サービスの一つであるグループホームを利用するには、施設と同地域に住民票がなければなりません。
そのため、異なる区市町村にある生活保護対応型のグループホームに入るなら、まず住民票を移し、新たな自治体で生活保護を再申請する必要があります。
よって生活保護対応型のグループホームは、基本的にはお住まいの地域内で探すのがおすすめです。
近くのグループホームを探してみる!グループホームの費用内訳
グループホームの費用は、大きく以下2種類に分類することができます。
- 入居時にかかる費用
- 毎月継続的にかかる費用
以下ではそれぞれの費用について詳しく解説します。
入居の際に必要な費用
入居時にかかる費用は、施設ごとに様々で0〜100万円程度の開きがありますが、一般的には10〜20万円の間に納まる程度であることが多いです。
この入居時にかかる費用には入居一時金と保証金があります。
入居一時金は施設を利用する権利を得るための費用で、一定期間内に施設を退去した場合は返還金を受け取ることができます。
各施設は入居者の平均寿命を参考にした「想定入居期間」をもとに施設利用料を設定しており、それによって入居一時金の償却期間(入居一時金が施設利用料で全額消費されるまでにかかる期間)と償却率(入居一時金が消費される月ごとの割合)は変わります。
そのため、償却期間が10年の施設を5年で退去すると、償却期間の残りの5年分の入居一時金が返金されます。
保証金は、アパートなどを借りるときの「敷金」のような料金になります。敷金同様、こちらも退去時には返還されます。
しかし、退去時に修繕・清掃の必要や費用の滞納などがあった場合、その分は入居一時金から差し引かれることになるため、必ずしも満額が返ってくるわけではありません。この点には十分に注意してください。
介護サービス費
毎月継続的にかかる費用には、介護サービス費と日常生活費の2種類があります。
ここではまず介護サービス費について解説します。
介護サービス費は、以下のように要支援・要介護の度数によって金額が変動します。なお、以下の金額はあくまで目安です。
認定度 | 1ユニットの施設(1日) | 1か月(30日) | 1ユニット以上の施設(1日) | 1か月(30日) |
---|---|---|---|---|
要支援2 | 760円 | 22,800円 | 748円 | 22,440円 |
要介護1 | 764円 | 22,920円 | 752円 | 22,560円 |
要介護2 | 800円 | 24,000円 | 787円 | 23,610円 |
要介護3 | 823円 | 24,690円 | 811円 | 24,330円 |
要介護4 | 840円 | 25,200円 | 827円 | 24,810円 |
要介護5 | 858円 | 25,320円 | 844円 | 25,320円 |
参考: 介護報酬の算定構造(令和3年4月施行版) 厚生労働省
介護保険制度において、グループホームは地域密着型サービスという分類であり、そこでの介護サービスには介護保険が適用されます。
サービス加算が発生する場合も
サービス加算とは、専門サービスやより充実度の高い介護サービスを提供すべく、その体制整備のために請求される費用のことです。具体的には以下のような加算があります。
項目 | 詳細 | 1日当たりの費用 |
---|---|---|
夜間支援体制加算 | 夜間巡回や緊急時に迅速に対応できるように人員を増やして見守り体制を拡充させるための費用 | 1日ユニット:50円/日 1,500円/月(30日) 2ユニット:25円/日 750円/月(30日) |
医療連携体制加算 | 医療ケアを充実させる際に発生する費用 | 39~59円/日、1,170~1,770円/月(30日) |
認知症専門ケア加算 | 「認知症自立度III以上の入居者の割合が半分以上」「認知症介護実践リーダー研修修了者を規定の人数以上配置」などの条件に満たす場合に発生する費用 | 3〜4円/日 |
退所時相談援助加算 | 退所後の介護サービスの利用などに関する相談の援助が実施された場合に指定の条件下で発生する費用 | 400円/回 |
看取り介護加算 | 指定の条件下で看取りを行ったときに発生する費用 | 死亡日:1,280円/日 死亡日前日および前々日:680円/日 死亡日以前4日〜30日:80円/日 |
日常生活費
日常生活費には、以下のようなものが含まれます。
- 居住費
- 食費
- 光熱費
- 管理費共益費
- 雑費(おむつ・医療費・日用品など)
この中で特筆すべきなのは、施設ごとに金額の変動が大きい「居住費」と「雑費」です。以下ではこの2つについて解説するので参考にしてください。
居住費
居住費の金額は主に以下のような要素によって決定されます。
- 地域の住居費平均
- 施設設備の充実度
- どれくらいの広さか
同地域内であっても、設備の充実度や広さによって、居住費は大きく変わってくるので、予算に余裕がない場合などは注意してください。
雑費
雑費とは、外出時の買い物代やおむつ代、理美容代をはじめとする雑多な費用ですが、この費用は全額実費で負担しなければなりません。
そのため、グループホームでの居住において、どのような雑費が必要になってくるかを、あらかじめ確認しておきましょう。
例えば、おむつ代ひとつをとっても、施設から定額で購入する場合もあれば、持ち込んだおむつを使える場合もあります。それぞれの場合で金額は変わってくるため、気になる点を施設に問い合わせることも大切です。
なお、福祉用具の利用については事業所負担なので、利用者に費用負担はかかりません。
費用を抑えられるグループホームはこちら!グループホームの主な役割・サービス
ここからは、グループホームの主な役割・サービスというテーマで、主にグループホームの魅力について解説していきます。
認知症のケアが手厚い
グループホームでは、施設内でのレクリエーションやリハビリテーションといった認知症のケアが行われます。
また最近は、ケアの一環として地域交流を取り入れる施設も多いです。地域交流には、地域の人間に認知症についての理解を深めてもらえる、在宅介護中の認知症高齢者が相談支援を受けるきっかけになるといったメリットがあります。
地域交流を取り入れれば、入居者の暮らしを豊かにできるだけでなく、施設外にも好影響を与えられ、結果的に施設の社会的価値の向上につながるという点も魅力です。
高齢者の看取り対応の整備が進んでいる
グループホームは、基本的に日常生活を送るための介護施設であるため、看護師・医師の配置など、医療体制という観点では充実していないところも少なくありません。また看取りサービスもかつてはあまり提供されてきませんでした。
しかし、高齢化が進行するにつれ、看取りサービスの需要は年々高まってきています。これに対応すべく、政府は2009年に介護保険法を改正し、看取りサービスを提供する施設に対し、「看取り加算」の受け取りを認めました。
これに伴い、昨今、看取り対応が可能なグループは増加傾向にあります。
そのほかの介助・代行サービスも豊富
グループホームでは以下のようなサービスも提供されています。
- 食事提供・介助
- 生活相談
- 排泄介助
- 入浴介助
- 買い物代行
- レクリエーション
ただし、グループホームの入居者には、身体状況が比較的良好な認知症の方が多いです。そのため、食事や入浴、買い物などについては、積極的なサポートを行うというよりは、スタッフが補助しながら自分たちで行うというイメージになります。
レクリエーションについては、認知症予防に効果的とされている園芸療法や手先を動かす作業などが取り入れられています。
地域交流のきっかけを作る
グループホームでは施設内でのリハビリテーションなどのケアに加え、地域交流を通して認知症のケアを行う施設も現在はあり、そのような地域社会とのつながりを重視し、地域活動に参加する施設は増加しています。
具体的な地域活動の例としては、認知症の患者やその家族、認知症ケアの専門家、地域の住民が一緒に参加する地域社会と認知症に関する対話や情報交換などがあります。
地域との交流を重要視する施設数は増加傾向にあり、その割合は全体のおよそ半数にあたります。
このような取り組みは、地域社会において、グループホームが認知症ケアのノウハウを広めて、認知症患者へのサポート体制を強化する機会にもつながります。
医療ケアの提供は原則ない
グループホームには、看護師などの医療職員を配置する決まりがないため、原則として医療ケアは提供されません。服用管理やバイタルチェック、通院介助など、最低限の医療的サービスはありますが、積極的な医療ケアを受けることは一般的に不可能です。
ただし、上述した通り、「医療連携体制加算」などのサービス加算の仕組みがあることから、充実した医療ケアを受けられる施設も存在します。
そのため、医療ケアを必要とする方でも、グループホームに入居することは可能です。
ただし、医療ケアが必要な場合は、専門的な医療機関との連携が必要となります。入居前に医療ケアについて施設と相談し、必要な場合は専門的な医療機関との連携を取りながら入居することが望ましいでしょう。
グループホームのメリット・デメリット
続いては、グループホームに入居するメリット・デメリットを紹介していきます。
グループホームのメリットは豊富
グループホームの入居には様々なメリットがあります。ここではそれぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
認知症の症状を和らげられる
認知症を発症したからといって、すぐに日常生活が困難になったり、あらゆる記憶を失くしてしまったりするわけではありません。薬を使った対処はもちろん、本人の自発性を引き出すような取り組みをすることで、病状の進行を遅らせられる可能性があります。
グループホームに入れば、スタッフのサポートを受けながら、日常生活を自分自身で送ることができるので、認知症に対処するにはより良い施設だと言えます。
少人数定員なのでアットホーム
グループホームの定員は、5〜9人の「ユニット」と呼ばれるグループ2つまでであり、少人数制特有のメリットがグループホームにはあります。
同じ顔ぶれと毎日のように交流することになるので、入居者間で打ち解けやすいということが第一のメリットです。
また人の入れ替わりが少ないため、新しい人の顔や名前を覚えるのに苦労したり、知らない顔ぶれに気を使わなければならなかったりする心配もありません。
馴染みのある土地で生活を続けられる
先述した通り、グループホームは「地域密着型サービス」に分類されます。入居できるのは、施設の所在地と同一の市区町村に住民票を持つ人間だけです。
そのため、グループホームに入居すれば、それまで暮らしてきた地域で、引き続き生活を続けることができます。入居時の環境変化による心身の負担が少ないということは、大きなメリットだと言えるでしょう。
比較的短期間で生活を安定させられる
適切な認知症のケアが行われることや、少人数制で周囲に変化が少ないことなどから、グループホームの生活には比較的適用しやすいと言えます。
実際、グループホームに入居した認知症高齢者は、入居から3ヶ月後には「認知症周辺症状(BPSD)」が安定して生活の質が高まったという研究報告もあります。
職員が信頼できる
認知症ケアの専門知識と幅広い経験を持つ介護職員が、グループホームには常にいます。
グループホームでない他の介護施設では、認知症の受け入れが可能であると書かれていても、実際には認知症に関する知識や経験が不足している職員しかいないこともあります。
グループホーム入居者には日常生活全般から、精神的なケアにいたるまで、専門的なサポートが提供されます。
認知症に関するニーズや要望に合わせてカスタマイズされたケアが行われるため、入居者とその家族にとって安心でしょう。
デメリットについても押さえよう
ここまで紹介したようにグループホームのメリットは豊富ですが、以下のようなデメリットも存在するので注意してください。
- 特養と比べて入居費用が高い
- 施設が満員だと即入居ができない可能性がある
- 医療ケアは充実していない
グループホームのデメリットとして第一に挙げるのは、費用が比較的高いということです。そのため、低予算で入居できる施設をお探しの方には不向きだと言えます。
また専門的・積極的な医療ケアの必要性が高まった場合には、退去を迫られる恐れもあるので、身体面の不安がある方も注意してください。
有料老人ホームよりは安い
公的施設の特養は入居費用不要で月額費用も低額なので、これに比べるとグループホームはお金がかかると言えます。
しかし、有料老人ホームと比較した場合、グループホームの費用は決して高くありません。有料老人ホームの場合、0〜数千万円の入居一時金、15〜35万円程度の月額費用がかかるので、一般的にグループホームのほうが安いです。
住民票が施設と同じ市区町村になければならない
グループホームに入る際には、その施設の所在地と同じ市区町村に住民票があることが入居条件となります。
これにより、居住者は自分になじみのある地域で生活を続けることができるという前述のようなメリットも存在します。
しかし、選択肢が限定されるため、希望条件を満たす施設がその地域に存在しない場合、自分の好みやニーズにあわない施設に入らざるをえない可能性があります。
老健・有料老人ホーム・サ高住との違い
以下ではグループホームと比較されることが多い、老健や有料老人ホーム、サ高住について解説します。
老健
介護老人保健施設(老健)は、長期入院から退院した高齢者などへのリハビリや医療ケアを目的とした施設です。利用者はこの施設でリハビリを行い、在宅復帰を目指します。
老健には理学療法士や作業療法士も常勤しており、機能訓練室の設備も充実しています。なお、入居期間は3〜6ヶ月と比較的短いです。
以上より、利用の目的や環境、入居期間などの観点から、グループホームと老健は大きく異なります。
老健についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
有料老人ホーム
有料老人ホームは、高齢者が心身の健康状態を良好に保ちながら生活できるように配慮された介護施設です。
介護が不要な自立した高齢者と要介護認定を受けた高齢者の両方に対応しており、介護・看護体制よりは総じてグループホームよりも整っています。
そのため、積極的な医療ケアを必要とする場合は、グループホームよりも有料老人ホームのほうが適していると言えます。
ただし、有料老人ホームはグループホームよりも入居定員数が多いため、アットホームな空気感はそこまでありません。
また、入居費用や月額費用が他の施設と比べて高額というデメリットもあります。
近くの有料老人ホームを探してみる!有料老人ホームについて、こちらの記事でより詳しく解説しています。
サ高住と比較すると
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、要介護度の低い高齢者を中心に、要支援・要介護高齢者まで広く受け入れている民間の介護施設です。
介護付き有料老人ホームと似ていますが、サ高住の方が介護度の低い入居者が多いので自由度が高く、また費用も介護付き有料老人ホームと比べてリーズナブルなのが特徴です。
サ高住の特徴については、以下の記事で解説しています。
ココファンのサ高住は認知症対応も可能
学研ココファンの運営するサ高住の多くでは、認知症対応も行うことができます。そのため、グループホームの代わりのように利用することも可能です。
上記のように利用できるサービスの自由度が高く、一般的なグループホームよりも費用を抑えられることが多いです。
さらに、学研ココファンのサ高住は、月額費用も厚生年金額を基準とした額となっており、さらにお得に利用することが可能です。
認知症の方だけでなく、介護度の高い方でも安心して暮らせるような充実のサービスを提供していますので、ぜひチェックしてみてください。
認知症対応可能なサ高住を探してみる!グループホームの正しい選び方
ここからはグループホームの選び方について、意識すべきポイントを詳しく紹介していきます。
費用
第一に注目すべきはやはり費用面です。現在の資産状況や将来的な収入状況を考慮した上で、経済的に無理なく居住できる施設を選ぶべきだと言えます。
なお、グループホームでかかる費用は主に以下の二つです。
- 初期費用(入居一時金)
- 月額利用料(介護サービス費・日常生活費)
この二つを軸として一度資金繰りの試算をしてみて、入居可能な施設を絞っていくと良いでしょう。
グループホームの費用についてはこちらの記事でも紹介しています。
持病をお持ちの方は医療体制もチェック
持病をお持ちの方は、希望するグループホームに、その持病に適切に対応できる環境があるかを確認しておきましょう。
必要な医療体制が整っていない場合、途中で他の施設に転居しなければならない可能性もあるため、のちの面倒を避けるためにも、医療体制については入念にチェックしておくべきです。
基本的に健康状態に不安がある場合は、看護師を配置していたり、医療施設との緊密な連携があったりする施設を選ぶのが良いでしょう。
スタッフの人数
一般的な話になりますが、サービスの質を担保するには、入居者の数に見合った人数のスタッフが必要です。
スタッフの数が極端に少ない施設では、十分なサービスが提供されない可能性もあるので、必ず事前にスタッフの人数をチェックしておきましょう。
ちなみにグループホームには、ユニットごとに介護職員と管理者、計画作成担当者がいます。計画作成担当者は事業所ごとに1人以上の配置され、介護職員は入居者と3:1の割合になるように配置されています。
そのほか、グループホーム全体で代表者を1名置くことが必要ですが、看護師の配置義務はありません。
グループホームの人員基準について、こちらの記事で詳細に解説しています。
スタッフの働く様子をチェック
どんなスタッフがいるかという観点は、入居後の生活の質に直結する重要なポイントです。そのため、施設を訪問した際には、各スタッフの働く様子をしっかりチェックしておきましょう。
特に入居者との会話の中でしっかりとした受け答えができているか、入居者の要望に的確に応えられているかなどを確かめましょう。
身だしなみやスタッフ同士の会話の内容なども、業務のクオリティをはかる良い指標になります。
居室・定員基準を事前に確認
グループホームの設立には、以下のような基準が設けられています。
項目 | 詳細 |
---|---|
立地 | ・病院や入居型施設の敷地外に位置している ・利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある |
定員 | ・定員は5人以上9人以下 1つの事業所に3つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは3つまで) |
居室 | ・定員は1つの居室につき原則1人 ・面積は7.43平方メートル(約4.5帖)以上 ※収納設備等を除く面積 |
共有設備 | ・居室近くに相互交流が可能な食堂やリビングなどを設置する ・台所・トイレ・洗面所・浴室はユニットごとに設置する |
グループホームを評価するときは、こうした基準を満たしたまともな施設がどうかをチェックしておきましょう。
実際に足を運ぶことも大切
施設の雰囲気や入居者の様子、スタッフの働きぶりなど、HPや資料ではわからない要素もたくさんあります。そうした要素も、より良い施設を選ぶ上では大変重要になってくるので、実際に足を運んでそうしたことを確かめるのも重要です。
なお、自分の目で確かめたことが、施設選びの最終的な決め手になることもあり得るので、現場で感じた印象などは記録しておくのが良いでしょう。
人の多い時間帯に足を運ぶのがおすすめ
施設見学をする際は、人の多い時間帯を選びましょう。なぜなら、人が多い時間帯にこそ、それぞれの施設本来の雰囲気や性質が表れやすいからです。
人が少ない時間帯だと、閑散とした印象を受けてしまったり、スタッフの働きぶりを見誤ったりしてしまう恐れもあるので注意しましょう。
具体的には食事やレクリエーションなどの時間を狙うのがおすすめです。
直接足を運んだ際にチェックしておきたい、良いグループホームの特徴について以下の記事で解説しています。
運営推進会議への参加がおすすめ
グループホームなどの地域密着型サービスには、運営推進会議の設置が義務付けられています。運営推進会議とは、事業所が利用者や区市町村職員、地域住民などに対し、提供しているサービスの内容などについて説明する場のことです。
グループホーム選びの際は、この運営推進会議への積極的な参加をおすすめします。会議は自由参加なので、ぜひ参加し、入居者の生活の様子や職員および管理者が力を入れているポイントなどを確認しましょう。
また運営推進会議に参加することで、グループホームの日常的な雰囲気をよりリアルに感じられることもあるため、この点でも会議への参加は有意義だと言えます。
さらに、利用者や家族からの要望や提案が聞かれることがありますので、会議に参加することで、自分たちや家族の意見や要望を直接伝えることができ、サービスの改善や利用者の満足度向上につながる可能性があります。
ショートステイで実際の暮らしを体感しよう
グループホームは、最大30日間のショートステイ(短期入居)が可能です。グループホームの雰囲気などを実際に確かめられる良い機会なので、積極的に利用してみましょう。
なお、ショートステイは介護サービスの一環であり、介護保険が適用されます。希望する場合は、ケアマネージャーに相談し、ケアプランを作成しもらってください。
ちなみに希望する施設の居室に空きがない場合、ショートステイはできないので注意が必要です。
ショートステイについてより詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ココファンのグループホームもチェック
関東圏にお住まいの方であれば、学研ココファンが運営するグループホームもぜひご確認ください。
ココファンのグループホームでは24時間365日ケアスタッフが常駐しているので、安心してご入居いただくことが可能です。
また、管理栄養士監修の美味しく健康的な食事がついているなど、手厚いサービスによりQOLの高い快適な生活をお送りいただけるので、グループホームへの入居をご検討されている方はぜひチェックしてみてください。
ココファンのグループホーム一覧はこちら!グループホーム入所時の注意点
以下ではグループホーム入所時の注意点を、主に2点紹介します。
入居の際には住民票が必須
グループホームは、認知症高齢者が住み慣れた生活圏での暮らしを継続していくために提供される地域密着型サービスの一環です。それもあって、グループホームに入居するには、その事業所が所在する区市町村の住民票を持っている必要があります。
そのため、基本的にグループホームは、自分が暮らす区市町村内の施設を探しましょう。
ただし、区市町村域を超えて地域密着型サービスの利用者を受け入れている自治体もあり、ほかの地域のグループホームに入居できる可能性もあります。
万が一、自分の住んでいる地域にめぼしい施設がないというような場合には、役所やケアマネージャーなどに相談してみましょう。
入居待ちが起こる可能性が高い
グループホームに入居できるのは、5〜9人のユニットが三つまでです。つまり最大でも27人までしか入居できないことになります。
そのため、大規模な介護施設に比べて、グループホームは入居待ちのリスクが高いです。総じて空きが少ないので、数ヶ月・数年単位で待たなければならないケースも想定されます。
グループホームの定員数は増加傾向
高齢化の進行と相まって、昨今グループホームの数は大きく増加しています。そのため、かつてに比べると、スムーズに入居できるケースも増えていると考えられます。
ただし、グループホームは少人数制の施設なので、数が増えたからといってすぐに空きがグッと増えるわけではありません。
よってグループホームへの入居を希望する場合には、施設選びや申込手続きなどにおいて、早め早めの行動を心がけるのがおすすめです。
入居にあたって、施設によっては面談や見学を行うことがありますので、事前に予約をしておくことが望ましいでしょう。
グループホーム入所までの流れ
グループホームへの申し込みは、原則として入所を希望する施設に直接行います。そのため、入所を思い立ったら、各施設に直接問い合わせるか、担当のケアマネージャーを介して施設へ連絡してみてください。
入所を決めたら、入所申込書に必要事項を記入後、必要書類とともに施設へ提出します。必要書類とは、住民票や健康診断書、認知症の診断書、所得証明書などです。詳しくは各施設の指示に従ってください。
その後は、それら書類をもとにした判定が行われたのち、入所が決定するので、しばらくの待機が必要です。待機中に申込内容や要介護度などの変更があった場合は、すみやかに連絡しましょう。
書類での判定後、担当者との面談で入所の意思や心身の状態などが確認されます。なお、この面談は書類の提出前に行われる場合もあります。
地域の認知症ケアの拠点へ
高齢化が進み、認知症高齢者が増加傾向にある状況を鑑み、厚生労働省は2015年に「認知症対策推進総合戦略(新オレンジプラン)」を、関係府省庁とともに策定しました。
この新オレンジプランとは、認知症高齢者らの意思が尊重され、住み慣れた地域の良い環境で自分らしい暮らしが続けられる社会の実現を目指すための計画です。グループホームは、そんな新オレンジプランの拠点として注目されています。
ちなみにオレンジプランの拠点として機能的な役割を果たすグループホームとは、以下のような活動を行うグループホームです。
- 認知症高齢者本人やその家族らのための相談支援
- 認知症に関する知識の啓蒙
- 認知症サポーターの育成
- 「認知症カフェ」などの地域コミュニティの運営
- 入居者を地域行事へ参加させる
こうした活動を行うことで、地域住民の認知症に対する理解が深まり、地域の認知症への対応力が底上げされるわけです。それは新オレンジプランの実現に直結すると言えます。
グループホームについてまとめ
- 認知症高齢者が住み慣れた地域での暮らせるように支援するのが役割
- 認知症向けのケアが充実していて看取り対応も進んでいる
- 定員が少ないので即入居できない場合もある
- 医療ケアは基本的に行われない
今回はグループホームについて詳しく解説しました。
グループホームは、認知症高齢者が住み慣れた地域での暮らしを継続できる地域密着型サービスです。少人数のなじみのコミュニティの中で、適切な認知症のケアを受けながら、平穏な暮らしを営むことができます。
入所条件は、医師から認知症の診断書が発行されていることなどで、施設によっては生活保護の受給者でも入所可能です。小規模を前提とした施設のため、入居待ちをしなければならないこともしばしばですが、高齢化に伴って施設の数は増加傾向にあります。
認知症高齢者にとっては最も暮らしやすい介護施設の一つであると言っても過言ではないため、ご家族が認知症になられた場合などは、ぜひ利用を検討してみてください。
この記事は専門家に監修されています
介護支援専門員、介護福祉士
坂入郁子(さかいり いくこ)