大和市の老人ホームの特徴
大和市の地理的特徴と介護施設の特徴
大和市は、神奈川県のほぼ中央にある、人口24万1,423人(2021年11月1日現在)を数える特例市です。
東京都心からは40~50㎞、横浜市中心部から20㎞に位置しています。南北に細長い街です。
交通アクセスの面では、大和市の中央部を南北に小田急江ノ島線が通り、北部には東急田園都市線、東西には相鉄本線が通っています。
市内に駅が8つもあるので、どの地域からも15~20分程度で最寄り駅まで行けます。
また、大和市近くには、東名高速道路の横浜町田ICがあり、国道16号・246号なども通っているので、車利用者にも不便はありません。
東京都心に1時間以内で行ける交通の便の良さは、大和市の魅力の1つと言えるでしょう。
市内には大型商業施設等があり買物も便利で、しかも、緑が豊かなことも大きな魅力です。
このような交通面・環境面の良さから、大和市内には介護施設が増加しています。介護施設の多くは駅から徒歩圏内ですが、費用は比較的安い傾向にあります。
大和市は高齢者の方にとって暮らしやすい住み心地の良い街と言えるでしょう。
大和市の介護施設価格概観
ここで、大和市の介護施設の価格について確認しましょう。
大和市内にあるココファン介護施設の入居金・月額費用の平均値と中央値は、以下の表の通りです。
<入居金>
地域 |
平均値 |
中央値 |
大和市 |
193,167円 |
193,167円 |
全国平均 |
297,256円 |
194,500円 |
<月額費用>
地域 |
平均値 |
中央値 |
大和市 |
156,250円 |
156,250円 |
全国平均 |
169,518円 |
158,250円 |
上の表からもわかるように、大和市の介護施設の入居金・月額費用は、ココファン施設の全国平均と比べて、いずれも安めになっています。
大和市の高齢者人口
日本医師会の発表によると、2020年時点での大和市の高齢者人口は57,443人です。
上の画像にある情報から、人口推移には以下のような特徴があるとわかります。
- 高齢者人口は年々増加している
- 生産年齢人口の減少に伴い高齢化率は今後も増加見込み
市の推計によれば、高齢者人口は増え続け2025年には5万8,788人になるとされています。高齢化率は、2020年の24.4%から25%以上に上昇する見込みです。
ちなみに総務省の発表によると、全国の高齢化率は29.1%(2021年時点)ですので、全国の状況に比べれば大和市の高齢化率は低い方に位置すると言えます。
出典:日本医師会 大和市
大和市の介護施設の状況
大和市の施設種類別の介護施設の状況は、次の表の通りです。
<大和市の種類別施設数>
種類 |
施設数 |
75歳以上千人あたりの施設数(大和市) |
75歳以上千人あたりの施設数(全国) |
訪問型介護施設数 |
74 |
3.23 |
3.25 |
通所型介護施設数 |
73 |
3.19 |
3.43 |
入所型介護施設数 |
48 |
2.10 |
2.17 |
特定施設数 |
99 |
0.39 |
0.32 |
居宅介護支援事業所数 |
40 |
1.75 |
2.41 |
福祉用具事業所数 |
21 |
0.92 |
0.80 |
介護施設数(合計) |
265 |
11.58 |
12.40 |
出典:日本医師会 大和市
上の表の施設数は、2020年9月時点の情報です。
75歳以上千人あたりの介護施設数合計は、大和市は11.58で、全国平均の12.40よりも少ないです。
特に、居宅介護支援事業所数は、全国平均2.41に対して大和市は1.75とかなり少なめです。
ただし、特定施設数と福祉用具事業所数は、全国平均より多くなっています。
大和市の要介護認定者数
大和市の要介護認定者数は、2020年時点で9,899人です。
要介護認定者数・認定率は後期高齢化の進展とともに年々増加しており、今後もさらに増加が見込まれています。
今後25年間に増加する要介護認定者数のうち、要介護3~5の重度の要介護者は4割以上を占めるものと推計されています。増加率が最も大きくなるのは、要介護4です。
このように、要介護認定者の人数が増加するだけでなく、重度の要介護者の割合が上昇することも懸念されています。
出典:GD Freak大和市(令和2年)
大和市の高齢者相談窓口は?
大和市では、高齢者の方やご家族の方の様々な悩みに応えるために各種の相談窓口を設けています。
たとえば、次のような相談窓口があります。
基本となる相談窓口です。ケアマネジャーなどの専門スタッフが随時相談に対応してくれます。高齢者の生活に関する相談であれば何でも受け付けてもらえます。
緊急時には24時間対応しているので、安心です。
自宅での医療と介護を同時に必要とする高齢者の方を対象とした相談窓口です。
大和市医師会が市から委託を受け、在宅医療に関する悩みや困難を抱える人を対象に電話相談を行っています。
地域包括支援センターと連携して、在宅で寝たきり・認知症などで介護が必要な方やご家族を対象に、在宅介護相談を24時間体制で行っています。
認知症に悩む高齢者の方やご家族、介護に苦しんでいる人、心の病を抱える人などを対象に、悩み相談を行っています。
各地区に民生委員を配置し、高齢のため一人で悩み孤立することのないように、積極的に個別相談や見守りなどを行っています。
高齢・障害・児童などの分野の事業を行う、地域福祉を進める民間団体です。市内に11の地区協議会があります。
大和市独自の介護サービスについて
大和市では、高齢になっても健やかに過ごせるよう、介護予防活動に力を入れています。
たとえば、次のような市独自の介護サービス・事業に取り組んでいます。
足腰の筋力づくりやバランス感覚の向上が期待できる介護予防体操です。認知症予防にもなる指体操も魅力です。
ボランティア活動で現金に交換できるポイントをもらえます。高齢者のヤル気アップがねらいです。
ボランティア活動へのきっかけとなる各種講座や、大和の福祉課題などを学べるセミナーです。
介護予防・認知症について正しい知識を学んでもらうための事業です。認知症サポーターの育成も推進しています。
認知症の方とご家族、ボランティアなどが集い交流する場です。本人や家族の悩みの軽減を目指しています。
大和市の地域包括ケアシステム
大和市では、高齢者の方が住み慣れた町で暮らしていけるように、地域包括ケアシステムを構築し、多角的なケアを行っています。
たとえば、以下のような多彩で広範なサポートがあります。
- サービス付き高齢者向け住宅・公営住宅などの整備・増設
- 地域の病院による訪問診療・かかりつけ医の普及
- 居宅介護支援事業所の増設・介護職員の増員
- 特別養護老人ホーム・介護老人保健施設などの介護施設の増設
- 福祉サービス相談・サポート
- 自治会・ボランティア活動・サークル活動の支援
高齢者の方の住まいを確保するための事業や、訪問介護・看護介護予防サービスなどを安定して提供するための事業などです。
自宅で暮らしていても介護と医療サポートを同時に受けられる環境づくりも進めています。また、自宅での生活が困難になった人のための介護施設の増設も推進中です。
このように、大和市地域包括ケアシステム、在宅介護支援センター、在宅医療・介護連携支援センターなどが連携して、サポートを必要とする高齢者の方が気軽にサービスを利用できる環境を整えています。
地域包括ケアシステムとは、高齢者の方の支援を目的としたサービスを地域で包括的に提供する仕組みです。
具体的には、「住まい・介護・医療・生活支援・介護予防」が一体となったシステムです。団塊世代が75歳以上となる2025年を目途に、国が全国的な構築を目指しています。
地域包括ケアシステムができれば、介護が必要な高齢者の方住み慣れた地域で自分らしい生活を継続できるのです。
今後は、認知症高齢者の増加も見込まれます。その生活を支えていく上で、地域の状況に応じた対応が必要です。市町村や都道府県が地域の特性に応じてシステムを作り上げていくことが求められています。
パーキンソン病の方の施設選びのポイント
この記事は医師に監修されています
中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長
矢野 大仁 先生
そもそもパーキンソン病とは
パーキンソン病とは、脳内のドパミン神経細胞の減少によりドパミンという成分が減少して起こる病気で手の震えなどが代表的な症状です。
人口10万人あたり約150人の方が発症すると言われており、発症すると要介護認定を受けるのが一般的ですが、まずはパーキンソン病の症状について確認しましょう。
パーキンソン病の症状
重症度は症状によって5段階に分けられていますが、具体的な症状は下記の通りです。
安静時振戦(ふるえ)
安静時振戦とは「ふるえ」のことで、じっとしている時にふるえが止まらなくなる症状です。
なお、ペンや箸を使う時などの動作時にはふるえが消えるという特徴があります。
初期段階であれば体の左右のどちらかにふるえ症状が出ますが、2~3年後には反対側にもふるえの症状が出るようになります。
親指と人差し指で丸薬をまるめるような「丸薬丸め運動」や、踵で床を小刻みに打つような「タッピング様振戦」が代表的です。
無動
無動とは、日常生活での動きが少なくなり、動作が遅くなってしまうことです。
顔の筋肉に無動症状が出ると「仮面様顔貌」と呼ばれる、顔の筋肉がこわばり表情が乏しくなります。
他にも、字を書く際にだんだん文字が小さくなっていく「小字症」や、声が小さくなる「小声症」などの症状が代表的です。
筋強剛
筋強剛は、筋肉の収縮と弛緩のバランスが崩れて、筋肉の緊張が進んでしまう症状を指します。
関節のこわばりや脱力感の症状が代表的ですが、抵抗が一定に感じられる「鉛管現象」や、歯車のように引っかかるような抵抗が断続的に見られる「歯車現象」が代表的です。
このような、パーキンソン病による筋肉の硬直を「筋固縮」とも呼びます。
姿勢保持障害
姿勢保持障害が起きるとバランスが取りにくくなり、体が傾き転びやすくなります。
また、歩行時にどんどん加速して小走りになってしまい、自分では止まれない「突進歩行」も特徴です。
転倒のリスクがかなり高まることから、転倒しないように支えたり見守ることが重要です。
パーキンソン病の方の入居の条件
パーキンソン病を患っている方でも、基本的には老人ホームへの入居が可能です。
本来であれば「65歳以上、介護認定あり」が老人ホームに入居する条件となっていますが、パーキンソン病は厚生労働省が指定する特定疾病に含まれているため、介護認定を受けているパーキンソン病患者であれば40歳~65歳未満でも入居可能です。
ただし、入居する方が要介護認定を受けている40歳~65歳未満の男性の場合、女性スタッフが多い老人ホームへの入居は難しい場合があるので注意しましょう。
施設に入らず一人暮らしはできるのか
老人ホームなどの施設にはできるだけ頼らず、一人暮らしを続けたいという方も多いでしょう。
パーキンソン病が進んでしまうと、薬の服用タイミングが分からなくなってしまい症状が悪化して危険な状態に陥る恐れもあります。
そのため、もしパーキンソン病を発症したら施設に入るのが無難と言えるでしょう。
施設に入らことに抵抗を覚える方であれば、ショートステイの利用でも構わないため、誰かに頼ることをおすすめします。
パーキンソン病の方の補助金について
介護保険給付の他にも、パーキンソン病に罹患すると生活を支えるための補助金が出ます。
パーキンソン病の重症度の分類は、以下のように5段階に分けられていますが、Ⅱ度以下または生活機能障害度Ⅰ度以下でも、医療費の支払金額が一定以上となると医療費助成の対象となります。
なお、医療費助成制度を利用するためには、住居地の保健所に申請書や診断書などを提出して行うことになります。
介護保険制度や補助金は介護をする上で重要な役割を果たしているので、しっかり情報を集めましょう。
パーキンソン病の方が老人ホーム選びで重視すべき点
パーキンソン病は、病状の進行と共に身体の自由が無くなってしまうので、常に転倒事故の危険があります。
また、食事や着替えなどの日常動作をこなす際にも時間がかかってしまうため、適切なサポートを受けられる施設を探しましょう。
また、身体が思い通りに動かないことで気持ちが落ち込んでしまい鬱状態に陥ってしまうこともあるため要注意です。
住環境に配慮されている
老人ホームを選ぶ際には、パーキンソン病患者でも安心して移動できるかどうかをチェックしましょう。
手すりの設置や段差解消がされており、浴室などが安全に配慮された設計になっている住環境であれば、安心して暮らせるでしょう。
また、運動機能の衰えを防ぐためにも手すりの設置や家具類の配置が調整されている施設を選び、少しでも自立した生活を送れるようにしましょう。
パーキンソン病に熟知したスタッフがいるか
パーキンソン病の症状や対応を熟知しているスタッフがいれば、充実したケアを受けられるでしょう。
薬物効果に合わせて生活リズムを作るサポートもしてくれるので、患者にとって非常に頼れる存在となります。
また、病状を熟知していれば起こりやすい事故を予防するために細心の注意が払ってくれるので、安心して生活できるでしょう。
しっかりとしたリハビリを行えるか
パーキンソン病の症状を遅らせるためには、リハビリを適度に行うことが重要です。
自力でできることに関しては、時間がかかっても自力で行うようにサポートしてくれる施設を選びましょう。
なお、施設の人手や人員配備の体制が不十分だと対応が遅れてしまう場合があるためスタッフの人数もチェックしてみてください。
実際に、スタッフの介助が待ちきれずに、パーキンソン病の方が1人でトイレに向かい転倒してしまったと事例もあります。
医療連携が緊密に取れている24時間体制で看護スタッフが常駐している老人ホームを選ぶと、より安心でしょう。
選ぶ際の優先順位を決めよう
老人ホーム選びで困らないためにも、重視するべきポイントを整理して比較項目に優先順位を付けることをおすすめします。
具体的には、下記のポイントを意識してみてください。
特に、パーキンソン病の方は日常的な見守りや介護が必要不可欠なので介護体制の充実度に関しては重要度が高いです。
安心して暮らせるかどうかを最優先に考えて、施設選びを進めていきましょう。
おすすめの有料老人ホームの種類
有料老人ホームは、主に「住宅型有料老人ホーム」「介護付き有料老人ホーム」の2種類に分かれます。
介護体制やサービスを提供するための人員体制が整備されている介護付き有料老人ホームの方が、パーキンソン病の方には適していると言えるでしょう。
住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅にも介護体制が充実している施設はあるので、必ずしも選択肢が介護付き有料老人ホームに限られるわけではありません。
様々な施設を比較検討した上で、ベストな施設を選んでいきましょう。
パーキンソン病の方が施設入居するリスク
パーキンソン病の方がさらに認知症を併発してしまうと、残念ながら問題行動が増えるため介護者の負担が重くなります。
また、嚥下障害も抱えてしまうと恒常的に食事介助が必要となるので、食事内容にも配慮しなければなりません。
このような症状を併発してしまっている場合、サポートを提供する余力がない施設からは入居を断られてしまうケースもあります。
また、入居後にパーキンソン病と認知症を併発した状況になるケースもあるため、入居前に退去要件に関しては必ず確認してください。
認知症を併発しても入居を継続できるか、必要な介護や支援を受けられる契約か否かは重要なポイントなので、漏れなくチェックしましょう。
室内での転倒にも注意
パーキンソン病を患ってしまうと運動機能や感覚機能が低下してしまうので転倒のリスクが高まります。
特に、コロナ禍において在宅時間が増えたことで室内での転倒事故も増えているので要注意といえるでしょう。
もし階段で転倒してしまうと大怪我にも繋がるので、同居家族のサポートや気配りが欠かせません。
予防するための運動・食事
パーキンソン病患者の方が室内での転倒を予防したり、大怪我のリスクを低減するためにも日ごろからリハビリを行う必要があります。
無理のない範囲で適度な運動やストレッチを行って筋力と柔軟性を維持したり、階段昇降やウオーキングなどを行い下半身の筋力を動かすことを意識しましょう。
また、全身の筋肉や関節を使かす動作を行えるラジオ体操も効果的なので、ぜひ実践してみてください。
食生活に関しても工夫を凝らす必要があります。
特に乳製品や、果物・肉などの摂取が少ないと、パーキンソン病になりやすいと言われています。また、チロシンは、大豆製品に多く含まれておりタンパク質の一種で、ドパミンなどの神経伝達物質の原料となる栄養素でなので積極的に摂取すると良いでしょう。
好き嫌いを避け、バランスの良い食事を心がけましょう。