吹田市の老人ホームの特徴
吹田市の特徴や老人ホームの動向、高齢者数、要介護・要支援認定者数、吹田市独自の介護サービスなどについて解説していきます。
吹田市の地理的特徴と介護施設の特徴
吹田市は大阪府の北部に位置しており、住宅や商店、学校、病院、公園、養護施設などが充実しています。
また、名神高速道路と中国自動車道、そして近畿自動車道を結ぶ吹田ジャンクションがあり、京阪神からのアクセスも至便な土地です。
さらに、1970年に開催された大阪万博の開催地としても有名で、跡地として再生された万博記念公園にはシンボルの太陽の塔が残されています。
1960年頃に千里丘陵に千里ニュータウンが建設されたことにより、若い世帯が住むベッドダウンとして発展してきた一方、高齢化率の増加により平成26年には超高齢社会へと突入しました。令和3年11月1日現在の総人口は378,515人です。
吹田市は大阪市や堺市、西宮市と比較して介護施設数が多くありません。また、大阪市へのアクセスの良さなどの理由から利用料が比較的高額である点も特徴です。
しかし、生活環境は穏やかで、1年を通じて温暖な気候のため、高齢者にとって過ごしやすい環境が整った市と言えます。
吹田市の介護施設価格概観
以下の表は、吹田市に展開しているココファンの介護施設の入居金・月額費用それぞれの平均値と中央値をまとめたものです。
<入居金>
地域 |
平均値 |
中央値 |
吹田市 |
378,000円 |
378,000円 |
全国平均 |
297,256円 |
194,500円 |
<月額費用>
地域 |
平均値 |
中央値 |
吹田市 |
253,000円 |
253,000円 |
全国平均 |
169,518円 |
158,250円 |
表を見ると、全国のココファンの施設の中でも入居金・月額費用ともに高額であることがわかります。
費用が高い理由の一つとして、大阪市へのアクセスの良さがあげられます。老人ホームに限らず、一般的な賃貸でも全国平均より費用がかかります。
また、料金に相当した豊富なサービスを受けられると考えられるため、安心して利用することができます。
吹田市の高齢者人口
吹田市の高齢者人口は、2020年度で89,203人、高齢化率は23.8%と発表されています。
高齢者人口は年々増加しており、2019年度の高齢者数88,556人、高齢化率23.7%と比べて、人数・割合共に高くなっています。
高齢者人口の割合の増加には、65歳以上の高齢者数の増加だけではなく、0~14歳の年少人口、そして15~64歳までの生産年齢人口の減少が原因として挙げられます。
このことから、吹田市では少子高齢化が進み、高齢者だけの世帯も多くなっていることがうかがえます。
出典:吹田市(令和2年)
吹田市の介護施設の状況
以下の表は吹田市の介護施設の状況をまとめたものです。
なお、「日本医師会 吹田市」のホームページを参考に、令和2年9月時点の情報をまとめています。
<吹田市の種類別施設数>
種類 |
施設数 |
75歳以上千人あたりの施設数(吹田市) |
75歳以上千人あたりの施設数(全国) |
訪問型介護施設数 |
154 |
3.89 |
3.25 |
通所型介護施設数 |
101 |
2.55 |
3.43 |
入所型介護施設数 |
50 |
1.26 |
2.17 |
特定施設数 |
9 |
0.23 |
0.32 |
居宅介護支援事業所数 |
92 |
2.33 |
2.41 |
福祉用具事業所数 |
31 |
0.78 |
0.80 |
介護施設数(合計) |
437 |
11.05 |
12.40 |
出典:日本医師会 吹田市
表の介護施設数の合計を見ると、吹田市の75歳以上1千人あたりの施設数が全国平均よりも少ないことが分かります。
訪問型介護施設数の数はやや全国平均を上回っていますが、全体的に介護施設が少ないのが現状です。
高齢者数の増加に伴い、介護施設の利用者数も増加している中、吹田市では高齢者の方のための施設の設備に注力しています。
吹田市の要介護認定者数
2020年の吹田市の要介護認定者数は89,352人、認定率は18.6%と発表されています。
2016年の要介護認定者数85,446人、認定率18.6%から、認定率は変わらないものの認定者数は増加しており、将来的には認定率が20%を超える可能性もあります。
吹田市の要介護・要支援認定者を要介護度別に分けると、要支援1の認定を受けた高齢者が最も多く、認定者のうち5人に1人は要支援1の認定を受けているというのが現状です。認定者数は今後も増加傾向にあると考えられており、2025年には要介護1の認定者数が2015年の役1.5倍にまで増えると予測されています。
増加する高齢者数、要介護・要支援認定者数に対応するため、吹田市では介護サービス事業所などを増やすことで介護保険サービスを安定して提供できるような環境づくりを進めています。
出典:吹田市(令和2年)
吹田市の高齢者相談窓口は?
吹田市では高齢者の悩みを解決する相談窓口の一つとして、「福祉保健サービス苦情調整委員制度(オンブズマン)」が導入されています。
これは、福祉保健サービスについて不満や悩み事がある場合に利用できる制度です。福祉オンブズパーソンに申し込みを行うことで、福祉オンブズパーソンと呼ばれる苦情調整委員が、公正・中立な立場から本人の代わりに苦情内容の調査や審査、制度の改善要求などを行います。
「申請をしたけれど利用できない」「サービス内容に不満がある」などの相談や、「介護施設に直接苦情や不満を伝えることができない」という場合に利用することができ、高齢者の方の強い味方となる制度です。
福祉オンブズパーソンの申込受付は福祉総務室で行っています。面談の日程調節をした後、福祉オンブズパーソンと直接面談を行い、苦情内容を伝えます。
相談に費用は必要ありませんが、「不満を感じてから1年が経過したもの」「裁判などで係争中のもの、もしくは判決があったもの」「この制度によって既に処理が終わっているもの」など、中には苦情申立ての対象とならない内容もあるため注意が必要です。
福祉オンブズパーソン制度の他にも、吹田市では「健康電話相談」「難病生活相談」「法律相談」「福祉総合相談」「心配事相談」「ボランティア相談」など多様な相談窓口を設けています。
吹田市独自の介護サービスについて
2015年に高齢者が要介護状態にならないように支援する「介護予防・日常生活支援総合事業」が創設され、2017年からは全国の市区町村において多様なサービスが開始されています。
介護予防・日常生活支援総合事業の一環として、吹田市でも独自に「吹田市民はつらつ元気大作戦」、「高齢者安心・自身サポート事業」などの活動を行っています。
吹田市では今後も高齢者、要介護・要支援認定者、介護保険サービスの利用者が増加すると予測されています。
増え続ける高齢者に対し、介護予防活動の普及・推進により、介護を必要とする人を一人でも減らすことが吹田の課題と言えるでしょう。
さらに、「はつらつ体操教室」、「いきいき百歳体操」、「認知症予防教室」などの介護予防につながる教室や、介護予防・健康維持について学べる講座も実施されています。
吹田市の地域包括ケアシステム
地域包括ケアシステムとは、要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい生活を送れるように、地域が一体となって高齢者の方を支援するシステムのことです。
団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年を目途に、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築が国を挙げて取り組まれています。
地域包括ケアシステムでは、介護保険の保険者である市町村や都道府県などが地域の自主性に基づき、地域の特性に応じてケアシステムの構築に取り組むことが必要とされています。
吹田市では、地域包括ケアシステムの一環として、「地域包括ケアシステム構築のロードマップ」を作成しました。
「地域包括ケアシステム構築のロードマップ」では、以下に上げる8つの基本目標が定められています。
- 高齢者の生きがいづくりの支援や健やかな暮らしの充実:高齢者生きがい活動センターや地区公民館での活動支援
- 相談体制の整備:高齢者の方に向けた相談窓口の設置
- 介護予防活動の推進:高齢者の方の健康寿命を延伸
- 自立した暮らしを実現・維持するための支援:訪問介護などを利用し、自宅で生活を送る高齢者の方のサポート
- 認知症支援:認知症の高齢者及びその家族が利用できる相談窓口の設置やカフェの開催
- 在宅での医療と介護の連携:訪問診療や看護、そして訪問介護が同時利用できるような環境の整備
- 安全かつ安心な暮らしの実現:住宅のバリアフリー化にかかる工事費用の助成
- 介護保険サービスの維持・充実:介護保険サービスが利用しやすい環境の整備
上に挙げたように、8つの基本目標の実現に向け、吹田市では様々な取り組みを行うことで、地域包括ケアシステムを構築しています。
インスリン注射とは
この記事は医師に監修されています
中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長
矢野 大仁 先生
健康な人であれば、体内では常に必要な量のブドウ糖が調整され、血糖値が安定しています。
食事により血中に取り込まれたブドウ糖に対して、膵臓からインスリンが分泌されることで、血糖値が正常な状態に保たれますが、この血糖値のコントロールにインスリンが必要な患者に対して、外部から注射でインスリンを補う治療法がインスリン注射です。
インスリン療法と呼ばれることもあり、注射でインスリンを補うことで、健康な人のインスリン分泌パターンを再現します。
インスリンを注射するペースは個々の状態で異なり、1日1~4回注射が必要になります。
インスリン注射が必要な疾患の種類
インスリン注射が必要になる疾患で代表的なものは糖尿病です。
糖尿病には、下記の2種類あります。
疾患名 |
主な症状 |
1型糖尿病(インスリン依存型) |
インスリンの分泌が絶対的に不足・欠乏 |
2型糖尿病(インスリン非依存型) |
遺伝的素因と生活習慣によりインスリンの効きが悪くなる |
1型糖尿病
1型糖尿病は、子供や若い方に多く見られる糖尿病です。
インスリンを分泌するβ細胞が破壊され、膵臓でインスリンが生成できない状態になり、高血糖状態が続きます。
そのため、インスリン注射によってインスリンを補う必要があります。
2型糖尿病
2型糖尿病は、インスリンの分泌はありますが、正常な量が分泌されていなかったり、働きが悪かったりして血糖値が下がらない状態になります。
遺伝的な要因の他、生活習慣によって発症することがあり、主に中高年での発症が中心です。
注射によってインスリンを補うこともありますが、生活習慣の改善が治療の中心になります。
糖尿病患者は増加傾向にある
日本で糖尿病にかかっている患者は1990年代後半には、厚生労働省調査によると690万人でしたが、年々増加傾向にあり、2016年の糖尿病人口は糖尿病予備群と呼ばれる人も含めると2,000万人以上になるともいわれ、日本人の5~6人に1人が糖尿病予備群以上の状態と推察されます。
年齢別に見ると、60歳以上の患者が多く、70代以上では糖尿病患者は400万人以上となり、高齢になるほど発症確率が上がる疾患でもあります。
そのため、老人ホームなどの介護施設でも、インスリン注射が必要な方の受け入れが増加傾向にあります。
インスリン注射が必要な方の介護施設選びのポイント
インスリン注射が必要な方でも、介護施設に入居することが出来ます。
入居する場合の施設選びのポイントを紹介します。
血糖値を適切に保とう
糖尿病の方にとって、低血糖状態は命にかかわる事態になります。
患者本人による、運動や生活習慣の改善などで血糖値を適切に保つ努力も重要ですが、施設に入居する場合には、
- インスリン注射をしっかり継続出来ること
- 食事療法が行えたり、適切な摂取が出来ること
- 低血糖による急変時に対応がしっかりしていること
こうした対応で、血糖値を正常に保つための管理をしている施設や、低血糖による緊急時の対応がしっかり出来る施設を入居条件にしましょう。
自己注射できる状態か念入りに確認しよう
インスリン注射は医療行為になるため、接種出来るのは医師か看護師、もしくは本人、病院で指導を受けた家族になります。
介護施設に入居後も本人が継続して自己注射が出来れば問題はないのですが、身体に麻痺が出たり、認知症になったりして、本人による自己注射が出来なくなった場合の介護施設の対応は十分に確認する必要があります。
老人ホームなどの入居施設でも、接種出来るのは医療従事者のみなので、介護職員は摂取することが禁止されています。
そのため、施設に入居する場合は、看護師が常駐しており、インスリン注射の対応が可能なことが絶対条件になります。
また、糖尿病と認知症には、実は深い関わりがあります。
高血糖状態が長く続くと、認知機能が低下しやすくなることが分かっています。
糖尿病の方と、そうではない方を比べると、
- アルツハイマー型認知症には約1.5倍
- 脳血管性認知症には約2.5倍
糖尿病の方のほうが認知症を発症しやすいという報告があります。
また、軽度の認知障害がある場合は、認知症へと発展する可能性があります。
高血糖状態だけが認知症に直結しているわけではなく、実は重症な低血糖状態でも、認知症になるリスクが高くなると言われています。
認知機能の低下によって、糖尿病の治療の必要な内服やインスリン注射、食事の管理などが出来なくなると、糖尿病の悪化にも繋がるため、施設に入居する際は十分な確認が必要になります。
インスリン注射の頻度も施設選びに重要
インスリン注射を行う回数は、患者それぞれで異なり、1日複数回必要な方もいます。
1日の中で接種するタイミングも異なります。
本人による自己注射が出来ない場合には、看護師に接種してもらう必要があるため、自分が接種するタイミングに看護スタッフが勤務していることが入居条件になります。
たとえば、1日2~3回接種が必要なら、24時間看護師が常駐している施設や、看護師が常時勤務している施設を選びましょう。
1日4回接種が必要なら、24時間看護師が常駐している施設を選ぶようにします。
治療も兼ねてくれる施設を選ぼう
単に糖尿病患者でも受け入れてくれる、という施設ではなく、食事、運動療法にも力を入れている施設を選ぶことが望ましいです。
糖尿病の治療には、インスリン注射や服薬を行っていても、運動療法や食事療法も継続して行うことが大切です。
食事療法のために、糖質の管理やカロリー制限などに対応している施設や、運動も出来る施設を検討しましょう。
また、糖尿病によって起こる、潰瘍や感染、壊疽など糖尿病足病変を予防するフットケアなどを行っている施設も魅力的です。
インスリン注射が出来る介護施設の費用のポイント
インスリン注射に対応可能な、ココファンの介護施設の入居金・月額費用それぞれの平均値・中央値は以下のようになります。
<入居金>
地域 |
平均値 |
中央値 |
city |
267,567円 |
194,250円 |
全国 |
297,256円 |
194,500円 |
<月額費用>
地域 |
平均値 |
中央値 |
city |
162,088円 |
156,578円 |
全国 |
169,518円 |
158,250円 |
学研ココファンでは、多くの施設で充実の医療体制を整えています。
そのため、インスリン注射に対応できる施設で探した場合でも、費用が高くなることはありません。
インスリン注射が必要な方の入居条件
インスリン注射が必要な方に対して、施設側から入居条件を指定することは特にありません。
ただ、インスリン注射を行う回数によっては、施設側の対応が課題になることもあり、入居が難しくなることもあります。
糖尿病の進行によっては、現在と異なる症状がみられることがあり、著しい高血糖になった場合、口の乾きや多飲・多尿・体重減少・昏睡などの症状が出ることがあります。
また、治療によって低血糖を起こす可能性があることや、糖尿病の三大合併症を引き起こす可能性もあります。
変化する症状に対して、様々な状態を過程した上での施設選びが重要になっていきます。
まずは入居を検討した段階で、症状をしっかりと伝えて相談してみることが大切です。
介護施設に入居する際のリスク
いくら食事、運動療法に力を入れている老人ホームでも、看護師が24時間常駐している老人ホームでも、老人ホームはあくまでも生活をする場所です。
病院とは異なるため、専門的な治療を行うことは出来ません。
そのため介護施設に入居中、もし症状が悪化した場合や、医療ケアが常時必要になった場合、入居する施設では対応しきれずに退去しなくてはならない場合もあります。
入居を継続出来た場合でも、病院ほど専門的なケアが受けられたり、常に医師や看護師がいる病院とは異なるため、生活の場として安らげる老人ホームか、医療面で安心できる病院か、という判断が必要になる可能性があります。
QOLの低下により、老人ホームでの暮らしにくさを感じることもあるかもしれません。
想定出来る様々な状況に応じて、ご本人が納得出来る適切な判断が出来るように、入居する施設の医療スタッフとは、しっかりコミュニケーションをとっておくようにしましょう。