千葉県の老人ホームの特徴
千葉県の老人ホームの特徴について解説します。
千葉県の地理的特徴と介護施設の特徴
千葉県は、東京都の東に隣接し、太平洋にのぞむ房総半島を擁しています。人口は、日本の都道府県で6位の627万8,979人(2021年10月1日時点)です。
県内には、JR総武線・成田線・京葉線をはじめ、京成線、東京メトロ東西線、つくばエクスプレスなど、多数の鉄道路線が乗り入れています。また、湾岸道・京葉道路・東京湾アクアラインなど、道路網も整備されています。
特に県西部地域は交通網が充実しており、東京都心へのアクセスが良いです。成田国際空港や東京ディズニーランドなど日本を代表する空港・観光スポットを抱える千葉県は、人流が絶えることがありません。
利便性の高さから東京都心への通勤者も多く、湾岸部を中心にマンション立地も進んでいます。千葉県は気候も温暖で、高齢者にとって住みやすい街です。このため、県内に介護施設の数も多くなっています。老人ホームの費用は、入居一時金・月額費用ともに幅があります。
千葉県では、老人クラブが高齢者の社会参加の場になっており、高齢者が取り組みやすいレクリエーションやスポーツ活動などを支えています。
千葉県の介護施設価格概観
千葉県のココファンの介護施設の入居金・月額費用の平均値・中央値は、以下の表の通りです。
<入居金>
地域 |
平均値 |
中央値 |
千葉県 |
178,665円 |
171,833円 |
全国 |
297,256円 |
194,500円 |
<月額費用>
地域 |
平均値 |
中央値 |
千葉県 |
152,364円 |
155,214円 |
全国 |
169,518円 |
158,250円 |
千葉県のココファン介護施設の入居金・月額費用は全国平均より低く、安めの費用です。信頼できるサービスで、安心して利用できます。
千葉県の高齢者人口
千葉県の65歳以上の高齢者人口は172万5,745人で、県の総人口の27.3%を占めます(2021年4月1日時点)。
高齢者のうち、75歳以上の後期高齢者は86万8,490人(総人口の13.7%)です。
全国の高齢化率は28.8%(2021年度時点)ですので、千葉県の高齢化率は全国平均よりやや低いです。
ただ、高齢者人口は年々増加し続けています。県の推計によれば、2040年には65歳以上の高齢者が県の総人口の36.5%に達すると見込まれています。生産年齢人口の減少に伴い、高齢化率は今後も高まる見込みです。
出典:千葉県「本県における高齢者人口の推移」(2021年)
千葉県の介護保険事業者・施設の状況
千葉県の75歳以上千人あたりの種類別施設数を、全国平均と比較すると、次のとおりです。
<千葉県の75歳以上千人あたりの種類別施設数>
種類 |
施設数 |
75歳以上千人あたりの施設数(千葉県) |
75歳以上千人あたりの施設数(全国) |
訪問型介護施設数 |
2,148 |
3.04 |
3.25 |
通所型介護施設数 |
2,210 |
3.12 |
3.43 |
入所型介護施設数 |
1,262 |
1.78 |
2.17 |
特定施設数 |
220 |
0.31 |
0.32 |
居宅介護支援事業所数 |
1,839 |
2.60 |
2.41 |
福祉用具事業所数 |
540 |
0.76 |
0.80 |
介護施設数(合計) |
8,225 |
11.63 |
12.40 |
::出典:日本医師会 千葉県::
上の表の施設数は、2020年9月時点の情報です。
千葉県の75歳以上千人あたりの介護施設数は、合計では11.63と、全国平均の12.40よりやや少なめです。
これは、入所型介護施設数・通所介護施設数・訪問型介護施設数と福祉用具事業所数などが少ないことによるものです。
一方で、居宅介護支援事業所数は、全国平均をやや上回っています。
千葉県の要介護認定者数・認定率
千葉県の要介護認定者数は21,672人、認定率は16.3%です(2020年3月末時点)。
要介護度の区分別に見ると、要介護2の認定を受けている方が3,944人で18%以上と最も多いです。
千葉県の要介護認定者数・認定率は年々増加しています。市の将来推計によると、要介護・要支援認定者数は今後も増加し続け、2025年には26,275人、2040年には32,208 人になる見込みです。
高齢化が進展する一方、高齢者以外の人口減少により認定率はさらに高まるものと見込まれます。要介護認定者数の増加に伴い、介護サービス利用者数も増加を続けており、介護対策の一層の充実・強化が必要です。
出典:千葉県の現状分析
千葉県の高齢者相談窓口は?
高齢者の方の様々な悩みに応えるための相談窓口として、運営適正化委員会を設けています。活動内容は、次のようなものです。
福祉サービスに対する苦情取り扱い窓口です。第三者の立場で苦情相談を受け、解決に導きます。千葉県社会福祉協議会内に設置されています。
各事業所の苦情受付担当者や第三者委員・自治体職員等を対象とした研修です。福祉サービス部門ごとに開催し、アンケート調査後にフィードバックもしています。
苦情対応のメリット・心構え、クレーマーへの対応の仕方などのポイント集です。ホームページからダウンロード可能です。
相談者のためだけでなく、苦情を取り扱う方のスキルアップにも積極的に取り組んでいるのです。
千葉県独自の介護サービスについて
千葉県では、介護予防のために体力向上や健康維持を重視しており、介護予防・日常生活支援総合事業を行っています。
松戸市・柏市・千葉市などから順次始められており、現在では全ての市町村で開始されています。
この事業は地域の実情にあわせて、自治体が中心となり、多様なサービスを提供するものです。65歳以上の高齢者全てを対象としています。
一般介護予防事業の中で、ボランティア活動の実績をポイント評価して、現金や品物と交換できる仕組みを作っています。
65歳以上の方を対象として介護支援サポーターを養成し、研修後に介護施設などでボランティア活動を行うと奨励金を受け取れる事業です。
両市の事業は、社会貢献活動を行った場合にポイントや奨励金がもらえるもので、それを契機として介護予防につなげようとする狙いがあります。
65歳以上の方ならどなたでも参加できるのが一般のが一般です。介護予防センターや社会福祉協議会・福祉活動推進課などが、多様なプログラム・サービスを用意しています。
千葉県の地域包括ケアシステム
地域包括ケアシステムは、高齢者の支援を目的として、住まい・介護・福祉・医療・生活支援・介護予防などのサービスを一体として地域で包括的に提供する仕組みです。
団塊世代が75歳以上となる2025年を目途に、国が全国的な構築を目指しています。ただ、地域によって状況は異なりますので、地域の状況に応じて地元自治体が自主性をもって進めていくべきものです。
千葉県は、地域包括ケアシステムの構築のため、以下のような具体的な取り組みを公表しています。
高齢者の就労支援、高齢者が地域の支え手になれる環境整備・生涯学校運営など、生きがいづくりのための支援を促進するものです。
介護予防を含めた健康づくりや認知症予防が対策です。市町村の介護予防事業への支援や生活習慣病を予防するための専門職育成などを含みます。
センター職員の研修会開催や地域ケア会議の充実策を支援するものです。
介護予防事業の充実や円滑なサービス提供を行うための支援です。
高齢者の権利擁護を含む安全・安心な地域づくり、認知症対策、医療・福祉・介護の人材養成・処遇改善なども盛り込んでいます。
以上のとおり、自分自身・地域の仲間、国・県・地元自治体など、地域に関係するすべての力を合わせた取組みによりシステム構築を進め、高齢者支援を促進しようとするものです。
パーキンソン病の方の施設選びのポイント
この記事は医師に監修されています
中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長
矢野 大仁 先生
そもそもパーキンソン病とは
パーキンソン病とは、脳内のドパミン神経細胞の減少によりドパミンという成分が減少して起こる病気で手の震えなどが代表的な症状です。
人口10万人あたり約150人の方が発症すると言われており、発症すると要介護認定を受けるのが一般的ですが、まずはパーキンソン病の症状について確認しましょう。
パーキンソン病の症状
重症度は症状によって5段階に分けられていますが、具体的な症状は下記の通りです。
安静時振戦(ふるえ)
安静時振戦とは「ふるえ」のことで、じっとしている時にふるえが止まらなくなる症状です。
なお、ペンや箸を使う時などの動作時にはふるえが消えるという特徴があります。
初期段階であれば体の左右のどちらかにふるえ症状が出ますが、2~3年後には反対側にもふるえの症状が出るようになります。
親指と人差し指で丸薬をまるめるような「丸薬丸め運動」や、踵で床を小刻みに打つような「タッピング様振戦」が代表的です。
無動
無動とは、日常生活での動きが少なくなり、動作が遅くなってしまうことです。
顔の筋肉に無動症状が出ると「仮面様顔貌」と呼ばれる、顔の筋肉がこわばり表情が乏しくなります。
他にも、字を書く際にだんだん文字が小さくなっていく「小字症」や、声が小さくなる「小声症」などの症状が代表的です。
筋強剛
筋強剛は、筋肉の収縮と弛緩のバランスが崩れて、筋肉の緊張が進んでしまう症状を指します。
関節のこわばりや脱力感の症状が代表的ですが、抵抗が一定に感じられる「鉛管現象」や、歯車のように引っかかるような抵抗が断続的に見られる「歯車現象」が代表的です。
このような、パーキンソン病による筋肉の硬直を「筋固縮」とも呼びます。
姿勢保持障害
姿勢保持障害が起きるとバランスが取りにくくなり、体が傾き転びやすくなります。
また、歩行時にどんどん加速して小走りになってしまい、自分では止まれない「突進歩行」も特徴です。
転倒のリスクがかなり高まることから、転倒しないように支えたり見守ることが重要です。
パーキンソン病の方の入居の条件
パーキンソン病を患っている方でも、基本的には老人ホームへの入居が可能です。
本来であれば「65歳以上、介護認定あり」が老人ホームに入居する条件となっていますが、パーキンソン病は厚生労働省が指定する特定疾病に含まれているため、介護認定を受けているパーキンソン病患者であれば40歳~65歳未満でも入居可能です。
ただし、入居する方が要介護認定を受けている40歳~65歳未満の男性の場合、女性スタッフが多い老人ホームへの入居は難しい場合があるので注意しましょう。
施設に入らず一人暮らしはできるのか
老人ホームなどの施設にはできるだけ頼らず、一人暮らしを続けたいという方も多いでしょう。
パーキンソン病が進んでしまうと、薬の服用タイミングが分からなくなってしまい症状が悪化して危険な状態に陥る恐れもあります。
そのため、もしパーキンソン病を発症したら施設に入るのが無難と言えるでしょう。
施設に入らことに抵抗を覚える方であれば、ショートステイの利用でも構わないため、誰かに頼ることをおすすめします。
パーキンソン病の方の補助金について
介護保険給付の他にも、パーキンソン病に罹患すると生活を支えるための補助金が出ます。
パーキンソン病の重症度の分類は、以下のように5段階に分けられていますが、Ⅱ度以下または生活機能障害度Ⅰ度以下でも、医療費の支払金額が一定以上となると医療費助成の対象となります。
なお、医療費助成制度を利用するためには、住居地の保健所に申請書や診断書などを提出して行うことになります。
介護保険制度や補助金は介護をする上で重要な役割を果たしているので、しっかり情報を集めましょう。
パーキンソン病の方が老人ホーム選びで重視すべき点
パーキンソン病は、病状の進行と共に身体の自由が無くなってしまうので、常に転倒事故の危険があります。
また、食事や着替えなどの日常動作をこなす際にも時間がかかってしまうため、適切なサポートを受けられる施設を探しましょう。
また、身体が思い通りに動かないことで気持ちが落ち込んでしまい鬱状態に陥ってしまうこともあるため要注意です。
住環境に配慮されている
老人ホームを選ぶ際には、パーキンソン病患者でも安心して移動できるかどうかをチェックしましょう。
手すりの設置や段差解消がされており、浴室などが安全に配慮された設計になっている住環境であれば、安心して暮らせるでしょう。
また、運動機能の衰えを防ぐためにも手すりの設置や家具類の配置が調整されている施設を選び、少しでも自立した生活を送れるようにしましょう。
パーキンソン病に熟知したスタッフがいるか
パーキンソン病の症状や対応を熟知しているスタッフがいれば、充実したケアを受けられるでしょう。
薬物効果に合わせて生活リズムを作るサポートもしてくれるので、患者にとって非常に頼れる存在となります。
また、病状を熟知していれば起こりやすい事故を予防するために細心の注意が払ってくれるので、安心して生活できるでしょう。
しっかりとしたリハビリを行えるか
パーキンソン病の症状を遅らせるためには、リハビリを適度に行うことが重要です。
自力でできることに関しては、時間がかかっても自力で行うようにサポートしてくれる施設を選びましょう。
なお、施設の人手や人員配備の体制が不十分だと対応が遅れてしまう場合があるためスタッフの人数もチェックしてみてください。
実際に、スタッフの介助が待ちきれずに、パーキンソン病の方が1人でトイレに向かい転倒してしまったと事例もあります。
医療連携が緊密に取れている24時間体制で看護スタッフが常駐している老人ホームを選ぶと、より安心でしょう。
選ぶ際の優先順位を決めよう
老人ホーム選びで困らないためにも、重視するべきポイントを整理して比較項目に優先順位を付けることをおすすめします。
具体的には、下記のポイントを意識してみてください。
特に、パーキンソン病の方は日常的な見守りや介護が必要不可欠なので介護体制の充実度に関しては重要度が高いです。
安心して暮らせるかどうかを最優先に考えて、施設選びを進めていきましょう。
おすすめの有料老人ホームの種類
有料老人ホームは、主に「住宅型有料老人ホーム」「介護付き有料老人ホーム」の2種類に分かれます。
介護体制やサービスを提供するための人員体制が整備されている介護付き有料老人ホームの方が、パーキンソン病の方には適していると言えるでしょう。
住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅にも介護体制が充実している施設はあるので、必ずしも選択肢が介護付き有料老人ホームに限られるわけではありません。
様々な施設を比較検討した上で、ベストな施設を選んでいきましょう。
パーキンソン病の方が施設入居するリスク
パーキンソン病の方がさらに認知症を併発してしまうと、残念ながら問題行動が増えるため介護者の負担が重くなります。
また、嚥下障害も抱えてしまうと恒常的に食事介助が必要となるので、食事内容にも配慮しなければなりません。
このような症状を併発してしまっている場合、サポートを提供する余力がない施設からは入居を断られてしまうケースもあります。
また、入居後にパーキンソン病と認知症を併発した状況になるケースもあるため、入居前に退去要件に関しては必ず確認してください。
認知症を併発しても入居を継続できるか、必要な介護や支援を受けられる契約か否かは重要なポイントなので、漏れなくチェックしましょう。
室内での転倒にも注意
パーキンソン病を患ってしまうと運動機能や感覚機能が低下してしまうので転倒のリスクが高まります。
特に、コロナ禍において在宅時間が増えたことで室内での転倒事故も増えているので要注意といえるでしょう。
もし階段で転倒してしまうと大怪我にも繋がるので、同居家族のサポートや気配りが欠かせません。
予防するための運動・食事
パーキンソン病患者の方が室内での転倒を予防したり、大怪我のリスクを低減するためにも日ごろからリハビリを行う必要があります。
無理のない範囲で適度な運動やストレッチを行って筋力と柔軟性を維持したり、階段昇降やウオーキングなどを行い下半身の筋力を動かすことを意識しましょう。
また、全身の筋肉や関節を使かす動作を行えるラジオ体操も効果的なので、ぜひ実践してみてください。
食生活に関しても工夫を凝らす必要があります。
特に乳製品や、果物・肉などの摂取が少ないと、パーキンソン病になりやすいと言われています。また、チロシンは、大豆製品に多く含まれておりタンパク質の一種で、ドパミンなどの神経伝達物質の原料となる栄養素でなので積極的に摂取すると良いでしょう。
好き嫌いを避け、バランスの良い食事を心がけましょう。