岡山市の老人ホームの特徴
最初に、岡山市の老人ホームの特徴と動向を紹介します。
岡山市の地理的特徴と介護施設の特徴
岡山市は、岡山県の南東部に位置する県庁所在地で、中国地方第2の政令指定都市です。
人口72万2,339人(2021年10月1日現在)を有し、北区・中区・東区・南区の4区からなります。
中国・四国地方のクロスポイントにある東瀬戸経済圏の中心都市でもあり、山陽新幹線や山陽自動車道、瀬戸大橋などの交通インフラも整備されています。
地形は、山や丘陵・河などに囲まれており、変化に富んでいます。農村風景も豊富で、自然の存在を身近に感じることができるのも魅力です。
住宅地は穏やかで閑静な街になっており、学都としての趣もあわせ持つ住みやすい街です。
環境に恵まれている岡山市は、介護施設も特養施設を中心に充実しています。選択肢も豊富で、費用も安めの傾向にあります。
岡山市の介護施設価格概観
ここで、岡山市の介護施設の価格を概観しておきましょう。
岡山市のココファンの介護施設の入居金・月額費用の平均値・中央値は、以下の表の通りです。
<入居金>
地域 |
平均値 |
中央値 |
岡山市 |
136,400円 |
124,000円 |
全国平均 |
297,256円 |
194,500円 |
<月額費用>
地域 |
平均値 |
中央値 |
岡山市 |
122,790円 |
117,000円 |
全国平均 |
169,518円 |
158,250円 |
岡山市のココファン介護施設の入居金・月額費用は、全国平均と比べるとかなり低く、ココファン施設の中でも安めの費用です。
提供されるサービスも信頼でき、安心して利用できます。
岡山市の高齢者人口
岡山市の65歳以上の高齢者人口は、19万1,676人で、は、19万1,676人で、市の全人口の25%強を占めています(2019年10月時点)。なお、全国の高齢化率は、28.8%(2021年度時点)です。
高齢者人口は、これまで年々増加してきています。また、高齢化率も一貫して上昇を続けています。
高齢化率は、全国の状況に比べれば低いですが、生産年齢人口の減少に伴い今後も増加する見込みです。市の推計によれば、高齢化率は2025年には27.3%に達するとされています。
生産年齢人口の減少に伴い、高齢化率がさらに高まる可能性もあります。
出典:岡山市公式ホームページ(平成29年)
岡山市の介護施設の状況
岡山市の介護施設の状況は、次の表の通りです。
<岡山市の種類別施設数>
種類 |
施設数 |
訪問型介護施設数 |
292 |
通所型介護施設数 |
367 |
入所型介護施設数 |
285 |
特定施設数 |
44 |
居宅介護支援事業所数 |
227 |
福祉用具事業所数 |
62 |
介護施設数(合計) |
1,277 |
次に、岡山市各区の「75歳以上千人あたりの施設数」を、全国平均と比較すると、次のとおりです。
75歳以上千人あたりの施設数(岡山市北区) |
75歳以上千人あたりの施設数(全国) |
訪問型介護施設数 |
3.69 |
3.25 |
通所型介護施設数 |
4.29 |
3.43 |
入所型介護施設数 |
3.33 |
2.17 |
特定施設数 |
0.49 |
0.32 |
居宅介護支援事業所数 |
2.87 |
2.41 |
福祉用具事業所数 |
0.57 |
0.80 |
介護施設数(合計) |
15.26 |
12.40 |
出典:日本医師会 岡山市北区
上の表の事業所数は、2020年9月時点の情報です。
岡山市北区の「75歳以上千人あたりの介護施設数」は、合計で15.26と、全国平均の12.40よりかなり高くなっています。特に、入所型介護施設・通所型介護施設・訪問型介護施設の数が多いです。
75歳以上千人あたりの施設数(岡山市中区) |
75歳以上千人あたりの施設数(全国) |
訪問型介護施設数 |
2.66 |
3.25 |
通所型介護施設数 |
4.28 |
3.43 |
入所型介護施設数 |
2.54 |
2.17 |
特定施設数 |
0.40 |
0.32 |
居宅介護支援事業所数 |
2.72 |
2.41 |
福祉用具事業所数 |
0.46 |
0.80 |
介護施設数(合計) |
13.12 |
12.40 |
上の表の事業所数は、2020年9月時点の情報です。
岡山市中区の「75歳以上千人あたりの介護施設数」は、合計では全国平均よりやや高めです。特に、通所型介護施設数が多くなっていますが、訪問型介護施設数は少ないです。
75歳以上千人あたりの施設数(岡山市東区) |
75歳以上千人あたりの施設数(全国) |
訪問型介護施設数 |
3.26 |
3.25 |
通所型介護施設数 |
4.60 |
3.43 |
入所型介護施設数 |
4.16 |
2.17 |
特定施設数 |
0.88 |
0.32 |
居宅介護支援事業所数 |
2.83 |
2.41 |
福祉用具事業所数 |
0.62 |
0.80 |
介護施設数(合計) |
16.44 |
12.40 |
上の表の事業所数は、2020年9月時点の情報です。
岡山市東区の「75歳以上千人あたりの介護施設数」は、合計は全国平均よりかなり高めです。特に、通所型介護施設数・入所型介護施設数が多くなっています。
75歳以上千人あたりの施設数(岡山市南区) |
75歳以上千人あたりの施設数(全国) |
訪問型介護施設数 |
3.67 |
3.25 |
通所型介護施設数 |
4.22 |
3.43 |
入所型介護施設数 |
3.62 |
2.17 |
特定施設数 |
0.45 |
0.32 |
居宅介護支援事業所数 |
2.16 |
2.41 |
福祉用具事業所数 |
1.31 |
0.80 |
介護施設数(合計) |
15.42 |
12.40 |
上の表の事業所数は、2020年9月時点の情報です。
岡山市南区の「75歳以上千人あたりの介護施設数」は、居宅介護支援事業所数を除くすべての施設で、全国平均をかなり上回っています。特に、通所型介護施設数・入所型介護施設数が多くなっています。
出典:日本医師会 岡山市北区
出典:日本医師会 岡山市中区
出典:日本医師会 岡山市東区
出典:日本医師会 岡山市南区
岡山市の要介護認定者数
岡山市の要介護認定者数は、2019年時点で3万9,666人、認定率は21.1%です。
岡山市の要介護認定者数は年々増加傾向が続いており、認定率も高くなっています。
今後は、人口の減少に伴い認定者数は減少するものと推計されていますが、認定率は引き続き高まるものと見込まれています。特に重度の要介護者割合が増える見込みです。
このため、介護サービスを利用される人数は引き続き増加を続けるものと予想されますので、介護対策の一層の充実・強化が求められます。
出典:岡山市公式ホームページ(令和元年)
岡山市の高齢者相談窓口は?
岡山市では、高齢者の方の様々な悩みに応えるために以下のような相談窓口を設けています。
岡山市内に6ヵ所(分室を合わせ10ヵ所)設置されています。介護サービスに限らず、高齢者の見守りや消費者被害・虐待など、高齢者の相談事ならなんでも受付けています。
福祉事務所(市内10ヵ所の支所を含む)・地域包括支援センターが相談窓口になっています。65歳以上の方すべてが対象です。日常生活用具や緊急通報システムの給付・貸与を受けることもできます。
要介護3以上の高齢者を在宅介護しているご家族への慰労金です。支給要件がありますので、福祉事務所へ相談してみましょう。
自宅に浴室がない高齢者への「入浴券」の給付や、寝たきりの方への「利用サービス料の助成」などもあります。
岡山市独自の介護サービスについて
岡山市では、市独自の介護サービスを行っています。
たとえば、以下のような事業があります。
総合特区事業
岡山市の介護予防の中で特徴的な事業です。介護予防ポイント事業で、介護予防に取り組んだ実績に応じてポイントを取得でき、それを換金または物品に換えることができます。
以下の事業がその具体的な内容です。
- 「あっ晴れ!もも太郎体操サポーター等人材育成事業」事業
- 「生活支援サポーター養成講座」
- 「認知症サポーター養成講座」
「あっ晴れ!もも太郎体操サポーター等人材育成事業」は、市内約150ヵ所で開催されており、参加しやすいのが特徴です。
「生活支援サポーター養成講座」や「認知症サポーター養成講座」事業では、介護予防の担い手となるサポーターを養成しています。
岡山市ふれあい介護予防センターの事業
岡山市ふれあい介護予防センターが主催する次のような介護予防事業もあります。
「介護予防教室」は、65歳以上の高齢者を対象とした教室です。介護予防センターの職員が介護予防に関する講話をします。
「あっ晴れ!もも太郎体操」には年齢制限はありません。元気になりたい人が集まって、ストレッチ・筋力トレーニング・お口の体操を行います。地域の通いの場づくりにもなります。
岡山市の地域包括ケアシステム
地域包括ケアシステムは、高齢者の支援を目的として、住まいや介護・福祉・医療・生活支援・介護予防などのサービスを包括的に提供する仕組みです。
高齢化が急速に進む中、国の推奨の下、団塊世代が75歳以上となる2025年を目途に、自治体による地域包括ケアシステムの構築が進められています。
地域包括ケアシステムがあれば、高齢の方も、住み慣れた地域で自分らしい落ち着いた生活を継続できます。ただ、高齢化の状況は地域により異なりますので、地域の特性に応じた対応が必要です。
岡山市では「在宅医療と介護の連携」「認知症施策」「在宅生活を支える環境整備」を柱としています。
市民と医療・介護専門職にも開かれた相談室を設けています。岡山市地域ケア総合推進センターが拠点となり、連携強化のため仕組みを構築し、研修なども開催しています。
認知症の専門的な診断・治療を受けられる認知症疾患医療センターがあります。岡山県2ヵ所、岡山市1ヵ所です。
また、認知症の方が住み慣れた地域で暮らせるように、認知症初期集中支援チームも創設されています。さらに、認知症の方やご家族へのサポート体制として、認知症地域支援推進員・認知症サポーターの養成にも力を入れています。
地域包括支援センターの機能強化をはかり、生活支援・介護予防サービスの充実を進めています。地域の課題について検討・解決する地域ケア会議の開催、生活支援コーディネーターの配置などです。
パーキンソン病の方の施設選びのポイント
この記事は医師に監修されています
中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長
矢野 大仁 先生
そもそもパーキンソン病とは
パーキンソン病とは、脳内のドパミン神経細胞の減少によりドパミンという成分が減少して起こる病気で手の震えなどが代表的な症状です。
人口10万人あたり約150人の方が発症すると言われており、発症すると要介護認定を受けるのが一般的ですが、まずはパーキンソン病の症状について確認しましょう。
パーキンソン病の症状
重症度は症状によって5段階に分けられていますが、具体的な症状は下記の通りです。
安静時振戦(ふるえ)
安静時振戦とは「ふるえ」のことで、じっとしている時にふるえが止まらなくなる症状です。
なお、ペンや箸を使う時などの動作時にはふるえが消えるという特徴があります。
初期段階であれば体の左右のどちらかにふるえ症状が出ますが、2~3年後には反対側にもふるえの症状が出るようになります。
親指と人差し指で丸薬をまるめるような「丸薬丸め運動」や、踵で床を小刻みに打つような「タッピング様振戦」が代表的です。
無動
無動とは、日常生活での動きが少なくなり、動作が遅くなってしまうことです。
顔の筋肉に無動症状が出ると「仮面様顔貌」と呼ばれる、顔の筋肉がこわばり表情が乏しくなります。
他にも、字を書く際にだんだん文字が小さくなっていく「小字症」や、声が小さくなる「小声症」などの症状が代表的です。
筋強剛
筋強剛は、筋肉の収縮と弛緩のバランスが崩れて、筋肉の緊張が進んでしまう症状を指します。
関節のこわばりや脱力感の症状が代表的ですが、抵抗が一定に感じられる「鉛管現象」や、歯車のように引っかかるような抵抗が断続的に見られる「歯車現象」が代表的です。
このような、パーキンソン病による筋肉の硬直を「筋固縮」とも呼びます。
姿勢保持障害
姿勢保持障害が起きるとバランスが取りにくくなり、体が傾き転びやすくなります。
また、歩行時にどんどん加速して小走りになってしまい、自分では止まれない「突進歩行」も特徴です。
転倒のリスクがかなり高まることから、転倒しないように支えたり見守ることが重要です。
パーキンソン病の方の入居の条件
パーキンソン病を患っている方でも、基本的には老人ホームへの入居が可能です。
本来であれば「65歳以上、介護認定あり」が老人ホームに入居する条件となっていますが、パーキンソン病は厚生労働省が指定する特定疾病に含まれているため、介護認定を受けているパーキンソン病患者であれば40歳~65歳未満でも入居可能です。
ただし、入居する方が要介護認定を受けている40歳~65歳未満の男性の場合、女性スタッフが多い老人ホームへの入居は難しい場合があるので注意しましょう。
施設に入らず一人暮らしはできるのか
老人ホームなどの施設にはできるだけ頼らず、一人暮らしを続けたいという方も多いでしょう。
パーキンソン病が進んでしまうと、薬の服用タイミングが分からなくなってしまい症状が悪化して危険な状態に陥る恐れもあります。
そのため、もしパーキンソン病を発症したら施設に入るのが無難と言えるでしょう。
施設に入らことに抵抗を覚える方であれば、ショートステイの利用でも構わないため、誰かに頼ることをおすすめします。
パーキンソン病の方の補助金について
介護保険給付の他にも、パーキンソン病に罹患すると生活を支えるための補助金が出ます。
パーキンソン病の重症度の分類は、以下のように5段階に分けられていますが、Ⅱ度以下または生活機能障害度Ⅰ度以下でも、医療費の支払金額が一定以上となると医療費助成の対象となります。
なお、医療費助成制度を利用するためには、住居地の保健所に申請書や診断書などを提出して行うことになります。
介護保険制度や補助金は介護をする上で重要な役割を果たしているので、しっかり情報を集めましょう。
パーキンソン病の方が老人ホーム選びで重視すべき点
パーキンソン病は、病状の進行と共に身体の自由が無くなってしまうので、常に転倒事故の危険があります。
また、食事や着替えなどの日常動作をこなす際にも時間がかかってしまうため、適切なサポートを受けられる施設を探しましょう。
また、身体が思い通りに動かないことで気持ちが落ち込んでしまい鬱状態に陥ってしまうこともあるため要注意です。
住環境に配慮されている
老人ホームを選ぶ際には、パーキンソン病患者でも安心して移動できるかどうかをチェックしましょう。
手すりの設置や段差解消がされており、浴室などが安全に配慮された設計になっている住環境であれば、安心して暮らせるでしょう。
また、運動機能の衰えを防ぐためにも手すりの設置や家具類の配置が調整されている施設を選び、少しでも自立した生活を送れるようにしましょう。
パーキンソン病に熟知したスタッフがいるか
パーキンソン病の症状や対応を熟知しているスタッフがいれば、充実したケアを受けられるでしょう。
薬物効果に合わせて生活リズムを作るサポートもしてくれるので、患者にとって非常に頼れる存在となります。
また、病状を熟知していれば起こりやすい事故を予防するために細心の注意が払ってくれるので、安心して生活できるでしょう。
しっかりとしたリハビリを行えるか
パーキンソン病の症状を遅らせるためには、リハビリを適度に行うことが重要です。
自力でできることに関しては、時間がかかっても自力で行うようにサポートしてくれる施設を選びましょう。
なお、施設の人手や人員配備の体制が不十分だと対応が遅れてしまう場合があるためスタッフの人数もチェックしてみてください。
実際に、スタッフの介助が待ちきれずに、パーキンソン病の方が1人でトイレに向かい転倒してしまったと事例もあります。
医療連携が緊密に取れている24時間体制で看護スタッフが常駐している老人ホームを選ぶと、より安心でしょう。
選ぶ際の優先順位を決めよう
老人ホーム選びで困らないためにも、重視するべきポイントを整理して比較項目に優先順位を付けることをおすすめします。
具体的には、下記のポイントを意識してみてください。
特に、パーキンソン病の方は日常的な見守りや介護が必要不可欠なので介護体制の充実度に関しては重要度が高いです。
安心して暮らせるかどうかを最優先に考えて、施設選びを進めていきましょう。
おすすめの有料老人ホームの種類
有料老人ホームは、主に「住宅型有料老人ホーム」「介護付き有料老人ホーム」の2種類に分かれます。
介護体制やサービスを提供するための人員体制が整備されている介護付き有料老人ホームの方が、パーキンソン病の方には適していると言えるでしょう。
住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅にも介護体制が充実している施設はあるので、必ずしも選択肢が介護付き有料老人ホームに限られるわけではありません。
様々な施設を比較検討した上で、ベストな施設を選んでいきましょう。
パーキンソン病の方が施設入居するリスク
パーキンソン病の方がさらに認知症を併発してしまうと、残念ながら問題行動が増えるため介護者の負担が重くなります。
また、嚥下障害も抱えてしまうと恒常的に食事介助が必要となるので、食事内容にも配慮しなければなりません。
このような症状を併発してしまっている場合、サポートを提供する余力がない施設からは入居を断られてしまうケースもあります。
また、入居後にパーキンソン病と認知症を併発した状況になるケースもあるため、入居前に退去要件に関しては必ず確認してください。
認知症を併発しても入居を継続できるか、必要な介護や支援を受けられる契約か否かは重要なポイントなので、漏れなくチェックしましょう。
室内での転倒にも注意
パーキンソン病を患ってしまうと運動機能や感覚機能が低下してしまうので転倒のリスクが高まります。
特に、コロナ禍において在宅時間が増えたことで室内での転倒事故も増えているので要注意といえるでしょう。
もし階段で転倒してしまうと大怪我にも繋がるので、同居家族のサポートや気配りが欠かせません。
予防するための運動・食事
パーキンソン病患者の方が室内での転倒を予防したり、大怪我のリスクを低減するためにも日ごろからリハビリを行う必要があります。
無理のない範囲で適度な運動やストレッチを行って筋力と柔軟性を維持したり、階段昇降やウオーキングなどを行い下半身の筋力を動かすことを意識しましょう。
また、全身の筋肉や関節を使かす動作を行えるラジオ体操も効果的なので、ぜひ実践してみてください。
食生活に関しても工夫を凝らす必要があります。
特に乳製品や、果物・肉などの摂取が少ないと、パーキンソン病になりやすいと言われています。また、チロシンは、大豆製品に多く含まれておりタンパク質の一種で、ドパミンなどの神経伝達物質の原料となる栄養素でなので積極的に摂取すると良いでしょう。
好き嫌いを避け、バランスの良い食事を心がけましょう。