住宅型有料老人ホームとは|サービスの特徴や費用・入居条件まで全て解説

この記事は専門家に監修されています

介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

「住宅型有料老人ホームってどんな施設なの?」

「サービス内容や入居条件、費用は?知っておくべき問題点はある?」

このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

住宅型有料老人ホームは、自立した高齢者の方から要支援・要介護の方まで、幅広い方が入居できる有料老人ホームの一種です。

今回はそんな住宅型有料老人ホームについて、サービス内容や入居条件、費用、問題点などを含めて詳しく解説します。

サービス付き高齢者向け住宅との違いなども説明しますので参考にしてください。

住宅型有料老人ホームについてざっくり説明すると
  • 幅広い方に生活支援のサービスを提供
  • 介護は訪問介護などの外部サービスを利用する必要がある
  • 入所難易度は比較的低い

住宅型有料老人ホームとは

介護施設で暮らす高齢者

住宅型有料老人ホームは、主に自立・要支援もしくは要介護度が低い高齢者の方を対象にした施設です。民間事業者によって運営されています。

老人福祉法第29条に規定されており、高齢者の心身の健康を保持することで、安定した生活を提供することを目的としています。

サービスは食事の提供や掃除、見守りなどの生活支援が中心で、施設内では介護サービスは提供されません。

介護が必要な場合は外部のサービスを利用し、その場合、利用した分だけ料金が発生します。

施設およびサービス内容が多種多様で選択肢が多いため、それぞれのニーズに合った介護サービスを利用し、多様なライフスタイルを選択することが可能です。

また、入居の難易度もそれほど高くありません。基本的に要介護度があまり高くない方を対象にしているため、カラオケルームやシアタールームなどの娯楽設備を完備した施設もあります。

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住宅型有料老人ホームの入居条件を解説

入居相談をする高齢者

以下では住宅型有料老人ホームの入居条件について解説します。

基準は年齢制限と要介護度が多い

住宅型有料老人ホームには、入居条件を「60歳もしくは65歳以上」、「自立〜要介護5」と定めている施設が多いです。

しかし、施設によって入居条件は様々であり、なかには60歳未満で入居できるようなところもあります。

要介護度に関する基準も施設ごとに色々で、認知症の方は軽度の場合しか入れなかったり、24時間体制の介護や日常的な医療ケアが必要な場合は入居できなかったりする施設も存在します。

要介護度が軽度でも入居が可能

住宅型有料老人ホームは、要介護度に関する条件から、以下3種類のタイプに分類できます。

タイプ 入居条件
自立型 自立した生活を送れる方だけが入居できる
介護専用型 要介護1〜5の方だけが入居できる
混在型 自立している方も介護が必要な方も入居できる

上記のように、住宅型有料老人ホームには、自立した生活が送れる方でも入居できる施設があります。

自立型の施設に入居してから要介護認定を受けた場合、軽度であればそのまま入居し続けることが可能です。

入所難易度は比較的低い

住宅型有料老人ホームは、施設によって費用やサービス内容が大きく異なります。そのため、それぞれに適した施設を選ぶことが可能です。

なお、「住宅型」の施設は昨今急速に増加しており、有料老人ホーム全体の3割を占めるほどの規模になっています。

施設のバリエーションが多いこと、施設数自体も多いことを踏まえると、住宅型有料老人ホームの入所難易度は比較的低いと言えるでしょう。

2017年の入居率は88.0%まで上昇

2017年の厚生労働省の調査によると、住宅型有料老人ホームの入居率は88.0%に上ると言います。

これは介護付き有料老人ホーム(87%)や、サービス付き高齢者向け住宅(84.8%)などを上回る数字です。

入居率が高いということは、居室の多くが埋まっているということを意味します。

よって、希望する住宅型有料老人ホームが満室になることも十分に想定されるため、入居を検討している方は早め早めの行動を心がけるべきと言えるでしょう。

また、高齢者人口の増加や核家族化の進行により、今後も需要は増加すると予想されます。そのため、入居を希望する方は余裕を持った計画を立てることが重要です。

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生活支援・介護サービスの特徴

住宅型有料老人ホームの生活支援・介護サービスには以下のような特徴があります。

生活支援サービスの内容

住宅型有料老人ホームで受けらえる生活支援サービスには、以下のようなものがあります。

  • 食事の提供
  • 掃除、洗濯、買い物の代行
  • 来訪者への対応
  • レクリエーションやイベントなどのアクティビティ
  • 健康相談や緊急時の対応など
  • 日常の生活相談
  • 見守りサービス

なお、日中施設にはスタッフが常駐しており、近隣の医療機関とも提携しているため、緊急時でも適切な対応をしてもらえます。

食事は入居者に合わせて個別対応が可能

食事サービスを受ける高齢者

住宅型有料老人ホームの食事は1日3食、大半の施設ではおやつまで提供されます

それぞれの噛む力や飲み込む力、適切な塩分摂取量、アレルギーなどに対応してもらうことも可能です。

また施設によっては、好みに応じて和食・洋食・中華を選べるところもあります。

入居者の状態に合わせた食事

住宅型有料老人ホームでは、入居者の健康状態などに合わせて以下のような食事も提供されます。

なお、毎日これらの食事を食べる続けることになるわけなので、各自の好みに合ったものを選ぶことが非常に重要です。そのため、事前に試食をして、食べ続けられそうな味かを確かめておくのが良いでしょう。

種類 特徴 向いている方
ソフト食 「茹でる」「煮込む」などして柔らかく調理された食事 噛む力や飲み込む力が衰えている方
きざみ食 噛む回数が少なく食べられる細かく刻んで作った食事 噛む力や飲み込む力が衰えている方
ミキサー食 食材をミキサーにかけて調理した飲み込みやすい食事 飲み込む力が衰えている方

家族も参加できる食事関連イベント

住宅型有料老人ホームには、食事関連のイベントに注力している施設も多いです。入居者の家族も参加できるイベントが開かれることもあります。

具体的には寿司職人やそば職人を招いて本格的な料理を味わえるイベントや、マグロの解体ショーなどが行われます。

こうしたイベントの様子や予定は、各施設のパンフレットやホームページで紹介されているので、事前に確認しておくと良いでしょう。

看護・医療サービス

医療サービスを利用する高齢者

住宅型有料老人ホームには、看護師の配置に関する定めがないため、医療サービスのクオリティは施設ごとに大きく異なります

看護師がいるに越したことはないでしょうが、いなくても施設によっては訪問看護のサービスを通して看護職員によるケアを受けることが可能です。

訪問看護に対応した施設なら、感染症や胃ろう、気管切開などのための医療行為を必要とする方でも入居できます。

また医療機関との連携がある施設では、内科検診や歯科検診なども受けられます。

医療ケアのために医療機関に出向く必要性も

住宅型有料老人ホームには、外部の医療機関と連携している施設もありますが、一方で医療に関する規定や医療体制があまり整備されていない施設も存在します。

そうした施設に入居する場合、基本的に医療サービスは自ら医療機関に出向いて受けることになります

そのため特に健康面に不安のある方は、入居を検討する際施設の医療体制や近隣の医療機関の情報を確認し、自身の現在や将来の健康状態を踏まえた上で施設を選ぶことが重要です。

介護・リハビリは訪問サービスなどの利用が基本

住宅型有料老人ホームでは、居宅介護支援事業者による外部の介護サービスを利用することが可能です。

大抵の場合、ケアマネージャーにケアプランを作成してもらった上で、デイサービスに通ったり、訪問介護を使ったりします。

こうした介護サービスは必要な分だけを利用できるので、費用も必要最小限で済みます。介護があまり必要でない方は、費用を抑えることも可能です。

なお、外部のサービスに頼ることから、24時間体制の介護は受けられない可能性があるので注意してください。

最近は施設内の介護サービスが充実

近年は施設内に訪問介護事業所やデイサービスを併設し、介護付き有料老人ホーム同等の介護サービスを提供する住宅型有料老人ホームも多いです。

また介護保険適用内で福祉用具をレンタルすることもでき、自宅で生活するような感覚で介護保険サービスを受けられます。

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住宅型有料老人ホームの設置基準と人員基準

「住宅型」を含む有料老人ホームの設置基準や人員基準は、「有料老人ホーム設置運営標準指導指針」に定められています

有料老人ホームを設置するには届出が義務付けられており、必ずそれらの基準を守らなければなりません。

なお、それらが守られているかどうかに関しては、各自治体が監督指導を行います。

設置基準・人員基準・運営基準の概要

有料老人ホームの設置基準・人員基準・運営基準はそれぞれ以下の通りです。

<設置基準>

  • 建築基準法で規定される耐火建築物ないしは準耐火建築物であること
  • 居室は個室で床面積が13㎡以上
  • 介護居室がある区域では、廊下を車椅子が安全かつ円滑に走行できるようにすること

など

<人員基準>

  • 管理者・生活相談員・栄養士・調理員を配置する
  • 職員研修を定期的に行うこと
  • 職員の健康管理や衛生管理を十分に行うこと

など

<運営基準>

  • 入居者の定員や利用料、介護実施に関する基準、医療が必要になった場合の対応などについての管理規定を設けてそれを明示すること
  • 緊急時の迅速かつ適切な対応のために名簿を準備しておくこと
  • 修繕・改修の内容や費用受領、提供したサービスなどを記録して帳簿を作成、それを2年間保存すること
  • 医療機関との協力内容を決定すること
  • 契約内容に基づき、各入居者の心身の状況に適したサービスを提供すること
  • 相当数の入居が見込まれることを市場分析や市場調査などで確認すること 適当な方法で必要な資金を調達すること
  • 資金の調達のために取引金融機関などを確保しておくこと

など

参考:ライフル介護

各有料老人ホームの人員基準

人員 有料老人ホーム 介護付き有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護) 介護サービスを提供する有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅
管理者 -
生活相談員
※利用者100人に1人(利用者1〜100人増えるごとに1人増やす)

※生活支援サービスおよび状況把握サービスの提供者(看護師や介護福祉士)
計画作成者 -
※1人以上(利用者100人に1人・利用者1〜100人増えるごとに1人)
-
直接処遇職員(介護職員及び看護職員) -
※要介護者3人に1人(要介護者が1〜3人増えるごとに1人増やす)
-
看護職員 -
※利用者50人に1人(利用者が1〜50人増えるごとに1人増やす)
-
機能訓練員 -
※施設によっては配置されない
-
栄養士 -
調理員 -

施設によって設備が大きく異なる

住宅型有料老人ホームの設備の内容は、それぞれの施設によって大きく異なります。

居室の設備は必要な分を見極めよう

設備が充実しているのは良いことで、生活の質向上も期待できますが、その分費用も高くなるため注意してください

余計な出費を避けるためにも、将来要介護度が上がった場合のことも踏まえて、各設備が本当に必要なのかをよく検討するのが良いでしょう。

居室に関して言えば、室内にキッチンや浴室があったほうが要介護度の低いうちは自由な生活ができて好ましいです。しかし、要介護度が上がって共用の浴室や食堂を利用するようになると、それらは不要になります。

入浴設備やトイレなどの水回り

浴室やトイレなどの水回りの設備は、介護とも関わりが深い部分なので、入念に確認しておきましょう。

例えば、要介護度が高い方の場合、介助を受けながら共用の浴室で入浴することがほとんどなので、居室内に浴室がついている必要はないと言えます。

また水道代に関しては、共用部分と居室内の負担がどのようになっているかもチェックしておくのがおすすめです。

食堂・リビング

食堂とリビングは食事の際はもちろん、それ以外の時間にも入居者が集って様々な仕方で交流する場所です。日常的に頻繁に利用する場所なので、広さや雰囲気などをよく確認しておくのが良いでしょう。

なお、高級な施設には、レストランのような作りになった食堂やリビングを備えていて、自分の好きなタイミングで食事を取れるようなところもあります。

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住宅型有料老人ホームの費用の相場

費用について考える高齢者

ここからは住宅型有料老人ホームの費用について解説していきます。

入居金と月額費用の目安

住宅型有料老人ホームを利用するには、入居一時金などの初期費用と毎月支払う月額費用という2種類の費用が必要になります。

それぞれの金額は概ね以下の通りです。

  • 初期費用:0〜数百万円
  • 月額費用:15〜30万円

ただし、これらの金額はあくまで目安なので、施設や利用するサービスの内容によって増減はあります。

初期費用は一括払いか分割払いが選択可能

初期費用の金額は0〜数千万円と、施設によってかなり金額に幅があります。支払い方法は一括払いと月々の分割払いの2種類です。

一括払いの場合、支払った額は数年で償却されることになりますが、初期償却の有無や金額、償却対象などは施設ごとに異なります。よって、それらの項目については事前に確認しておきましょう。

一括払いと分割払いのどちらを選択すべきかについては、長期間居住するつもりの場合は一括払い、数年で住み替える考えがある場合は分割払いをおすすめします。

月額費用の内訳

住宅型有料老人ホームで支払う月額費用は、家賃や管理費、食費、水道光熱費などです。外部の介護サービスを利用する場合、介護サービス費もかかってきます。

また人によっては消耗品代なども別途必要になる場合があります。

月額費用の内訳や金額は、施設や各個人によって異なるため、事前に合計金額のシミュレーションをしておくのが良いでしょう。

住宅型有料老人ホームでの介護保険の利用

続いては住宅型有料老人ホームにおける介護保険の利用について解説していきます。

介護保険は上限額以内なら1割負担が基本

住宅型有料老人ホームでは介護保険サービスは原則適用されませんが、外部の事業者を通して介護サービスを利用したり、福祉用具をレンタルしたりといったことは可能です。

そのような場合、介護保険が適用されます。

そうした介護保険サービスは、自己負担限度額以内であれば、基本的に1割の自己負担で利用できます。ただし、所得によっては2割負担もしくは3割負担です。

なお、ケアマネージャーや社会福祉士に相談すれば、限度額を超えない範囲でサービスを利用できるようなケアプランを作成してもらえる場合もあります。

入居を検討している方は、ケアマネージャーや社会福祉士との相談を通じて、自身や家族の経済状況に合わせた支援策や費用負担の軽減方法を探ることもおすすめです。

介護サービスを使った分だけ支払う

住宅型有料老人ホームでの介護保険の利用には、地域ごとに要支援・要介護度に応じた支給上限額が下記のように定められています。

要介護度が高い場合、介護サービスを多く利用する分、上限額を超えやすいです。一方で低い場合は上限を超えることは珍しく、支払う費用を抑えることができます。

要介護度 利用限度額(30日) 自己負担額(30日)
要支援1 50,320円 5,032円
要支援2 105,310円 10,531円
要介護1 167,650円 16,765円
要介護2 197,050円 19,705円
要介護3 270,480円 27,048円
要介護4 309,380円 30,938円
要介護5 362,170円 36,217円

介護保険の自己負担を減らすには

自己負担額が著しく高くなる場合は、「高額介護サービス費制度」や「高額介護合算療養費制度」といった軽減措置の制度を利用することができます。

高額介護サービス費制度は、所得に応じて定められた負担の上限金額を超過した場合、申請によって超過分が返金されるという制度です。負担の上限額に関しては、以下の表をご覧ください。

対象者 負担の上限額(月額)
現役並み所得者に相当する方がいる世帯の方 44,400 円(世帯)
世帯のどなたかが市区町村民税を課税されている方 44,400円(世帯)
世帯の全員が市区町村民税を課税されていない方 24,600 円(世帯)
前年の合計所得金額と公的年金収入額の合計が年間80万円以下の方等 24,600 円(世帯)15,000 円(個人)
生活保護を受給している方等 15,000 円(個人)
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住宅型有料老人ホームのメリット

元気に生活する高齢者

  • 一定程度自立した自由な生活を送ることができる
  • 介護サービスは外部のものを必要最小限に利用するので、費用の節約になる
  • 高齢者の方が暮らしやすいバリアフリー設計になっている
  • 各自のライフスタイルや予算に適した選択肢が見つかりやすい
  • レクリエーションやイベントが充実している
  • 介護保険を使って福祉用具をレンタルできる

住宅型有料老人ホームでは、ある程度自立的で自由な生活を送ることができ、介護サービス費用を必要最低限に節約できます

また施設ごとに特色のあるアクティビティが用意されているため、それぞれに適した施設を選べば、各自の好みに合った楽しい生活をすることが可能です。

以下では特筆すべきメリットについて、さらに詳しく解説します。

高齢者に優しいバリアフリー設計

住宅型有料老人ホームには、居室や食堂、浴室などに加え、レクリエーションやリハビリをするための場所が設けられています。

それら全てが高齢者の方々に配慮したバリアフリー設計になっており、手すりやスロープの数も多いです。

そのため、歩行や車椅子での移動に不安があるような方でも、安心して暮らすことができます。

また必要最低限の設備を備えた簡素な施設もあれば高級な施設もあり、カラオケルームやシアタールーム、ゲストルームなどがあるところも存在します。

生活様式や予算に合わせて選択できる

自立した生活ができる方向けの施設から、介護・医療のサポート体制が整った施設まで、住宅型有料老人ホームには様々なバリエーションがあります。

居室や共用スペースの充実度を含め、施設ごとに内容が大きく異なるため、それぞれのライフスタイルや予算に合わせた柔軟な選択が可能です。

なお、繰り返し解説してきた通り、介護サービスは外部のものを必要な分だけ利用することができるため、非常に自由度が高いです。

レクリエーションやイベントが豊富

住宅型有料老人ホームの利用者には、介護が必要でない方や要介護度の低い方が比較的多いので、レクリエーションやイベントが充実している傾向にあります。

茶道や華道などの習い事など、サークルやイベントが豊富にあるので、活動的で楽しい生活を送ることが可能です。

またこうした活動があることによって、利用者間のコミュニケーションの促進や心身機能の維持・向上、QOLの高まりといった効果が期待できます。

福祉用具のレンタルに介護保険が適用

介護付き有料老人ホームでは福祉用具を買い取らないといけないのに対し、住宅型有料老人ホームでは介護保険を使って福祉用具をレンタルすることができます。

レンタルだと身体の状態に応じて福祉用具を変更することもできるので魅力的です。なお、変更・交換は基本的に無料で行えます

ただし、介護保険が適用される用具は要介護度に応じて決まっているので、必要な用具が適用対象でない場合は、自腹で購入しなければなりません

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住宅型有料老人ホームの問題点

悩みを抱える高齢者

  • 費用が高額になってしまう場合もある
  • 要介護度が高くなったり、認知症が進行したりすると退去が必要になる
  • 夜間の緊急対応や24時間の介護は難しい

住宅型有料老人ホームは、基本的に要介護度が高くない方を対象にした施設です。そのため、要介護度が高くなると負担金額が高くなったり、退去を求められたりといったこともあります。

以下では特筆すべき問題点をさらに詳しく解説するので参考にしてください。

費用が高額になることもあるので注意

特別養護老人ホーム(特養)などの公的施設と比較すると、住宅型有料老人ホームの費用は、初期費用・月額費用ともに高めです。

また介護サービス費は介護サービスを利用した分だけ支払うので、サービスをたくさん使えば使うほどお金がかかります。

なおかつ、所定の自己負担限度額を超えると全額自己負担になってしまいます

介護サービスの利用頻度によっては、介護サービス費が介護付き有料老人ホーム以上高くなってしまうこともあるため、特に介護サービスが必要な場合は注意が必要です。

介護度が高くなると入居継続が難しい可能性

住宅型有料老人ホームでは、入居後に加齢や病気などによって要介護度が高くなると、施設でサポートできる範囲を超えてしまい、住み続けるのが難しくなってしまう場合があります。

そのため、要介護の状況に関わらず、終身にわたって住み続けられる施設をお探しの方は注意してください。

ただし、昨今は看護師が常駐しており、要介護度が上がって寝たきりになっても居住を継続できる施設も増えてきています

利用者に合う住宅型有料老人ホームの選び方

有料老人ホームで暮らす高齢者

ご自身に合った住宅型有料老人ホームを選ぶには、以下の内容を参考にしてください。

選ぶ際のチェックリスト

住宅型有料老人ホームを選ぶ際は、以下の項目に着目するのがおすすめです。

  • 利用者本人の身体状態
  • 施設の医療・介護の対応範囲
  • 施設設備
  • 費用
  • その他の希望条件

なお、施設設備に関しては、「居室(キッチン・浴室を含む)」と「共同生活室(カラオケ・図書室・アトリエなど)」に大きな違いが出るので、この2室に特に注目してみてください。

資料を取り寄せて情報収集

インターネットで検索し、気になる施設を見つけたら、その施設のホームページから資料請求を行うのがおすすめです。ネットでの手続きが難しい場合は、直接電話をかけて資料をもらうという選択肢もあります。

またケアマネージャーや地域包括ケアセンターなどに相談し、資料をもらったり、おすすめの施設を紹介してもらったりするのも良いでしょう。

住宅型有料老人ホームは比較的施設のバリエーションが多いことから、情報は幅広く集めることを推奨します。

長期的な予算を踏まえて選ぶ

費用面を検討する際には、長期的な視点を持つようにしましょう。特に要介護度が上がったときのことは十分に想定しておくべきです。

住居型有料老人ホームでは基本的に介護サービスは提供されず、積極的な介護が必要になった場合は退去しなければなりません。

そのような状況になって住み替えるのか、それを考慮して最初から介護・医療のサービスが充実した施設に入るのかは、長期的な資金繰りを考える上で非常に重要なポイントです。

施設は必ず実際に見学する

ホームページや資料を見ただけではわからないこともたくさんあるので、気になる施設に関しては積極的に見学しに行くことをおすすめします。

またより良い施設を選ぶ上ではいくつかの施設を比較するのも有効なので興味のある施設3箇所以上を見学し、それぞれの特徴を比べてみてください

なお、漠然と見学しただけでは十分なリサーチにならない場合もあるため、事前に設備やサービス内容、費用など、チェックしたい項目をあらかじめリストアップしておきましょう。

可能なら体験入居がおすすめ

入居後に後悔することがないよう、可能であれば入居を決める前に体験入居をするのがおすすめです。基本的に空室があれば体験入居は可能なので、施設に問い合わせてみてください。

ただし、体験入居には保険が提供されないので注意しましょう。長めに体験したほうが施設のことがよくわかりますが、費用のことを考えると、1週間程度に留めておくのがベターだとも言えます。

なお、体験入居にかかる費用や利用できる日数は施設によって様々です。

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サービス付き高齢者向け住宅との違い

両者の違いをまとめると以下のようになります。

比較項目 住宅型有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅
契約形態 利用権方式 賃貸借方式
初期費用 0〜数百万円 0〜数十万円
月額費用 15〜30万円 10〜30万円
サービス内容 生活支援、食事、レクリエーション、健康管理、緊急時の対応 生活相談、安否確認
自由度 食事や入浴時間の規定あり
外出に一部制限あり
好きな時間に食事、入浴、外出が可能

サービス付き高齢者向け住宅の定義

サービス付き高齢者向け住宅とは、バリアフリー構造を持った賃貸住宅のことを指します。建設に助成金が出ることから、昨今急速に増設が進んでいる介護施設です。

入居後の基本サービスは「生活相談」と「安否確認」のサービスで、施設によっては終身の介護サービスを受けることもできます。

住宅型有料老人ホームと異なり、入居時に入居一時金を請求されることはなく、一般的な賃貸物件と同じく、敷金だけで入居することが可能です。

そのため、有料老人ホームよりも初期費用をかなり抑えて利用することができます。

契約形態が利用権方式

住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅では、契約形態も異なります。

住宅型有料老人ホームの場合、契約によって居室や共用スペースを利用する権利、生活支援サービスを受ける権利が保証されます。これは「利用権方式」と呼ばれる契約形態です。

一方でサービス付き高齢者向け住宅のほうでは、賃貸借契約を結びます。一般的な賃貸を借りる場合と同様、敷金や保証金を支払えば、物件を借りることができます

生活支援サービスを受けたい場合は、別途サービス利用契約を結ばなければなりません。

建物賃貸借方式と終身建物賃貸借方式の違い

建物賃貸借契約には、「建物賃貸借方式」と「終身建物賃貸借方式」という2種類の形式があります。

建物賃貸借方式では、契約者本人が亡くなったとしても、配偶者や親族が借地権を相続して契約を継続し、該当の物件に住み続けることができます

一方で終身建物賃貸借方式では、契約者が死亡した時点で契約は終了するので、借地権を相続することはできません。

ただし、夫婦で入居していた場合に限り、契約者が亡くなっても残った配偶者が住み続けられる場合があります。

入居(契約)時の初期費用が幅広い

住宅型有料老人ホームのほうが、サービス付き高齢者向け住宅よりも、かかる初期費用の金額の幅が広いです。

住宅型有料老人ホームでは、入居時に支払う入居一時金が0円のこともあれば、数千万円の場合もあります。

一方でサービス付き高齢者向け住宅の場合、初期費用は大体0〜数十万円です。初期費用の内容は、敷金・礼金や保証金、サービス料などで、一般的な賃貸物件に入居する場合と変わりません。

生活支援などサービスが充実

サービス内容の点では、サービス付き高齢者向け住宅よりも住宅型有料老人ホームのほうが充実していることが多いです。

高齢者施設の一種である住宅型有料老人ホームでは、食事や掃除、買い物などの生活支援サービスに加え、緊急時の対応といったサービスも受けられます

一方で賃貸住宅であるサービス付き高齢者向け住宅の場合、原則として付いているサービスは生活相談と安否確認だけです。

ただし、サービス付き高齢者向け住宅でも各種介護サービスを組み合わせて利用することは可能です。

サポートは豊富だが入浴などの自由度は低め

住宅型有料老人ホームは、生活支援のサポートが豊富で、レクリエーションやイベントも充実しています。

しかし、支援が手厚い分、食事や入浴の時間が決められていたり、外出に一部制限があったりと、生活にある程度の制約が課される部分があります

一方でサービス付き高齢者向け住宅では、一般的な賃貸住宅同様に自由度の高い生活を送ることが可能です。なおかつ、見守りなどのサービスで安心感を得られます。

これらを考慮すると、初期費用を抑えて、尚且つ自由度の高い暮らし・介護サービスを利用したいと考えている方には、サ高住の利用がおすすめだと言えるでしょう。

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介護付き有料老人ホームとの違い

有料老人ホームの種類

有料老人ホームには、「介護付き」、「住宅型」、「健康型」という3つの種類があります。このうち、健康型有料老人ホームは施設数が少なく、自立した生活ができる高齢者の方のみを対象にしています。

各施設の概要については、以下の表をご覧ください。

有料老人ホームの種類 概要
介護付き有料老人ホーム 主に介護を要する高齢者の方が介護・生活支援のサービスを利用しながら居住する施設
住宅型有料老人ホーム 自立〜要介護まで幅広い高齢者の方々が生活支援を受けながら居住する施設
健康型有料老人ホーム 自立した生活を送れる高齢者の方が家事サポートや食事サービスなどを受けながら居住する施設

有料老人ホーム3種を比較

種類 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム
入居対象者 (自立)、(要支援)、要介護 自立、要支援、要介護 自立
初期費用 0〜数百万円 0〜数百万円 0〜数億円
月額利用料 15〜30万円 15〜30万円 10〜40万円
サービス 食事、介護、緊急時の対応 食事、介護、緊急時の対応 食事、緊急時の対応

住宅型有料老人ホームの場合、自立〜要介護まで幅広い方が入居できますが、介護付き有料老人ホームでは自立・要支援の方が入居できるかは施設によって状況が異なります

介護付きのほうが入居期間が長い

住宅型有料老人ホームには自立している方はもちろん、施設によっては介護が必要な方も入居できます。外部事業者による介護サービスを利用すれば、必要な介護を受けられるからです。

ただし、重度の要介護状態になれば、住み続けるのが難しくなる場合もあります。

一方で介護付き有料老人ホームは、基本的に介護を必要とする方向けの施設です。そのため、要介護度が高くなっても居住を続けられ、終身にわたって利用することができます

なお、認知症への対応能力は施設ごとに差があります。

特定施設入居者介護であるか

住宅型有料老人ホームの場合、施設内で提供されるのは生活支援サービスのみで、介護サービスは提供されません。介護サービスが必要な場合は、外部のサービスを利用することになります。

一方で介護付き有料老人ホームには、施設に介護スタッフが所属しています。そのため、施設内で要介護状態の方を対象にした日常生活の介助や機能訓練といった介護サービスを提供してもらうことが可能です。

介護付き有料老人ホームの介護費用

利用した分だけ介護サービス費を支払う住宅型有料老人ホームとは異なり、介護付き有料老人ホームではサービスの利用状況にかかわらず、一定の介護費用を支払います。金額は要介護度に応じて決まります。

介護保険が1割負担の場合、介護付き有料老人ホームで支払う1ヶ月あたりの介護費用の負担額は以下の通りです。なお、費用は2021年時点のもので、1単位10円で計算しています。

要介護度の区分 自己負担額/月
要支援1 5,460円
要支援2 9,330円
要介護1 16,140円
要介護2 18,120円
要介護3 20,220円
要介護4 22,140円
要介護5 24,210円

総じて、費用は少し高めになってしまいますが、要介護度が高く充実した介護サービスが常に必要である場合には、介護付き有料老人ホームを利用するのが賢明だと言えるでしょう。

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特別養護老人ホーム(特養)との違い

住宅型有料老人ホーム 特養
運営 民間施設 公的施設
月額費用 15〜30万円 5〜15万円
入居一時金 0〜数百万円 なし
入居対象者 自立〜要介護5まで 要介護3以上
入りやすさ ○(施設数が多く・待機者が少ない) ×(待機者多数)
居室タイプ 原則個室 相部屋がほとんど

民間企業によって運営されている住宅型有料老人ホームと違い、特別養護老人ホーム(特養)は社会福祉法人や自治体などが運営する公的施設です。それもあって、特別養護老人ホームのほうがより安い費用で利用できます。

しかし、特養のほうが入居のハードルは高いです。自立した方や要介護度の低い方でも入居できる住宅型有料老人ホームとは異なり、特養には基本的に65歳以上かつ要介護3以上でないと入居できません

そのため、そもそも両者は利用対象としている人が異なる施設だと言えます。

なお、公的施設である特養は基本的に一様であるのに対し、民間の住宅型有料老人ホームは施設のバリエーションが豊富です。そのため、「住宅型」のほうがそれぞれの希望に合ったところを選びやすいと言えるでしょう。

住宅型有料老人ホームの入居申し込みの流れ

住宅型有料老人ホームへの入居を検討されている方に向けて、以下では入居申し込みの流れを紹介します。

見学の際に各施設で準備を整えよう

住宅型有料老人ホームへの入居申し込みは、入居希望する施設へ直接行います。各施設で入居申込書が用意されているので、見学の際などにもらっておきましょう

また見学時には、手続きをスムーズに進めるために申し込みや契約について確認し、理解を深めておくのがおすすめです。面談の際に必要な持ち物などについても、併せて聞いておきましょう。

入居申し込みを検討する際には、見学を通じて、施設の利用料や契約条件など充分な情報収集と検討を行っておくと安心です。

申し込みから入所までのステップ

住宅型有料老人ホームへの申し込みから入所までには、以下5つのステップがあります。

①入居申込書を提出

入居を希望する施設で入居申込書をもらったら、そこに必要事項を記入して提出します。

なお、入居申込書を提出するタイミングで、入居申込金を支払わなければならない施設もあるので、事前に確認しておきましょう。

②職員による訪問と面談

次に施設の職員が入居希望者の元を訪問して面談が行われます。内容は身体状況についてのヒアリングなどです。

この際、場合によっては本人確認をするために健康診断書などの書類の提出を求められます。

また面談時の質問は、本人だけでなく身元引受人(家族など)や他の施設に入居している場合はそこのスタッフなどに及ぶこともあります。

③審査と結果通知

入居申込書や面談の内容を元に審査が行われ、結果が申込者に通知されます。審査期間は大抵1週間程度、早ければ数日です。

仮に審査の結果、入居が認められなかった場合、申し込み時に納めた入居申込金は返金されます。

④正式な契約書の締結

審査をパスしたら、2週間程度の期限内に正式な契約を締結します。

なお、スムーズに契約手続きを進めるために、入居一時金や最初の月額費用の支払いについて、事前に詳細を確認しておくのが良いでしょう。

⑤入居を開始

上記の4ステップが完了したら、いよいよ施設に入居できる段階になります。荷造りや引越し、施設の方への挨拶など色々と忙しい段階なので、家族に協力してもらいながら進めるのが良いでしょう。

なお、契約日から90日以内はクーリングオフが可能な期間です。イメージが違ったり、トラブルがあったりして退去する場合、90日以内なら入居一時金が全額返金されます。

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住宅型有料老人ホームまとめ

住宅型有料老人ホームまとめ
  • 食事や掃除、買い物などの生活支援が受けられる
  • レクリエーション・イベントが充実
  • 福祉用具をレンタルできる
  • 重度の要介護状態以外には対応できるため、対象者の幅が広い

住宅型有料老人ホームについて、サービス内容や入居条件、問題点などを解説しました。

住宅型有料老人ホームは、自立〜要介護まで幅広い方に生活支援のサービスと住まいを提供する民間施設です。

介護が必要な場合は、デイサービスや訪問介護などの外部のサービスを必要な分だけ利用できます。福祉用具を介護保険でレンタルすることも可能です。

施設内はバリアフリー設計になっているので暮らしやすく、レクリエーションやイベントも充実しています。ただし、重度の要介護状態になると退去を求められることもあります。

万が一、介護度が進行した場合にも適切なケアや移動先のプランを事前に検討しておくことがおすすめです。

以上を参考に、住宅型有料老人ホームへの入居を検討してみてください。

この記事は専門家に監修されています

介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

株式会社学研ココファン品質管理本部マネジャー。介護支援専門員、介護福祉士。2011年学研ココファンに入社。ケアマネジャー、事業所長を経て東京、神奈川等複数のエリアでブロック長としてマネジメントに従事。2021年より現職。

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