認知症の行方不明者が増加中|徘徊の原因から対応の方法まで全て紹介
更新日時 2023/01/18
この記事は医師に監修されています
中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長
矢野 大仁 先生
警視庁の発表によると、1年間で約1万7千の人が徘徊による行方不明者として保護されています。
これは認知症高齢者の増加に伴い行方不明者は年々増加しているため、いまは子供の迷子よりも多くなっています。
認知症による徘徊は止めることが難しく、事故やケガなどの危険があります。
この記事では、認知症による徘徊の現状や、行方不明になってしまった際に使える公的制度、民間サービス、相談先などについてご紹介します。
- 徘徊は認知症の症状のひとつで止めることが難しい
- 徘徊中はケガや交通事故に遭遇したり、事件に巻き込まれるリスクがある
- 徘徊で行方不明になる方は年々増加している
認知症の高齢者が行方不明になる?
認知症になると、外出したものの、帰り道や行き先が分からなくなり、行方不明になってしまうことがあります。
ここではまず認知症によって行方不明になる徘徊の現状をご説明します。
年々増加する行方不明者の人数
徘徊により行方不明になる高齢者(徘徊老人)は年々増加しています。
警視庁の「認知症の行方不明者の推移」によれば、徘徊老人は子供の迷子を上回り令和元年の1年間、全国で約1万7千人にも達しています。
この1万7千人の徘徊老人は警察に届け出があったものなので、届け出がないものを含めればもっと多くの高齢者が認知症により行方不明になっていると予想されます。
行方不明後の状況
行方不明となった場合、99.3%の人は1週間以内に保護されるなどして所在が明らかになることがわかっています。
一方で、行方不明から5日間経過してしまうと生存率は0%となり、早期発見が極めて重要であることが示唆されています。(2016年 桜美林大学老年学総合研究所の調査より)
生存していても、自宅から遠く離れた場所で保護されたり、保護されても認知症のため名前や住所を言えずに「身元不明者」とされるケースもあります。
また、踏切事故や交通事故に合う例や、徒歩ではなく自転車や自動車で出かけて他人を巻き込んだ事故を起こしてしまうこともあります。
徘徊はなぜ危険なの?
認知症の方が徘徊する理由は、私たちが歩き外出する理由と全く同じものです。
そのため、ご本人に歩く能力がある限り、徘徊と呼ばれる症状は誰にでも起こりえます。
これらの行動は、本人にとっては何かしらの意味がある行動なのですが、周囲の人にはその理由が分からず、「徘徊」とみなされてしまいます。
具体例にもありますが、目的地が遠くの故郷だとすると、歩いて到着できるわけもなく、また、道が分からずパニックになってしまいます。
近所での徘徊でも、夏場であれば熱中症のおそれがありますし、家の中であっても、転倒して骨折する危険があります。
家族や介護者は、徘徊する理由や目的が何かを考え、その行動による影響や危険性を予測し、リスクを抑えるための工夫が必要です。
前期高齢者は迷子になると発見しづらい
高齢者の行方不明は、前期高齢者(65歳以上74歳以下)と、後期高齢者(75歳以上)で状況がおおきく変わってきます。
桜美林大学老年学総合研究所「認知症高齢者の徘徊・行方不明・死亡に関する研究」SuzukiPaper.pdf)によると、意外にも前期高齢者よりも後期高齢者の方が徘徊で行方不明になったときにすぐに見つかる傾向にあることが分かっています。
その理由は、前期高齢者の方が認知症の症状が軽度で体力があるため、後期高齢者よりも徘徊する距離が延びて、自宅から遠く離れた場所まで行ってしまうことがあるからです。
意外かもしれませんが、徘徊による行方不明は、後期高齢者よりも前期高齢者の方が、注意が必要になります。
また、この研究によると、行方不明の時間が9時間を過ぎると発見率が大幅に減少してしまうことも分かっています。
行方不明となってから1日が経過すると行方不明者の死亡率が約37%も増加するので、9時間以内に発見できるかどうかが分かれ目となります。
徘徊は「記憶障害」と「見当識障害」によるもの
認知症の方が、徘徊で行方不明になってしまう原因のひとつに、認知症の中核症状である「記憶障害」と「見当識障害」が挙げられます。
記憶障害とは
記憶障害とは、新しいことを覚えられず、色々なことを思い出せなくなる症状ですが、認知症初期段階では直近のことから数日前までの短期記憶が失われます。
例えば、行き慣れたスーパーの場所がわかない、そもそも何で外出したのかを忘れてしまうことなどがあります。
なお、高齢者に多い「物忘れ」とは、「夕食を食べたけど、おかずが思い出せない」など記憶の一部を思い出せない症状で、記憶障害は、夕食を食べたことすべての記憶が抜け落ちていることです。
見当識障害とは
見当識障害とは、今の時間や今いる場所、周囲の人、状況などがまったく分からなくなってしまう症状です。
例えば、外出先で、ここがどこなのか?なんで自分がここにいるのか?と分からなくなり、パニックになることがあります。
認知症患者は夕方の時間帯に行方不明になりやすい
認知症の方が夕方になると、落ち着きをなくし、出かけようとする症状のことを「夕暮れ症候群」と言います。これは認知症の周辺症状(BPSD)です。
例えば、自宅にいるにもかかわらず昔の記憶がよみがえり、「家に帰る」と故郷に帰ろうとすることがあります。
夕暮れ症候群はデイサービスやショートステイなどで慣れない介護施設にいることの不安や、落ち着かなかったりすることによるストレスが引き金で起こることも多いです。
また、自宅であっても、リフォームをしたり息子夫婦と同居しはじめたことが引き金になることもあります。
なぜ徘徊してしまうのか?
ここでは認知症の方が徘徊をしてしまう原因について詳しくみていきましょう。
現在地が分からず迷ってしまった
認知症の記憶障害により、道順や目印などを忘れてしまったり、また、見当識障害により自分が今どこにいるのか分からなくなることがあります。
こうした症状は屋外だけでなく、家や介護施設の中であっても、トイレの場所が分からず、食堂や事務所などをウロウロしてしまうことで、徘徊中とみられることもあります。
居場所を探していた
記憶障害が進行すると、家族の顔や知人の顔すらも忘れてしまい、「自宅に知らない人がいる」と不安になり、安心できる居場所を求めて外へ出てしまうことがあります。
また、認知症により感情のコントロールができなくなるため、介護に不満があったり、自宅で疎外感を感じると現実逃避から外出してしまうこともあります。
帰宅のつもりだった
見当識障害により、いま自分がいる場所が分からなくなるため、自宅にいるにもかかわらず「家に帰らなきゃ」と、どこかに帰ろうとする行為も徘徊とみなされます。
また、最近の短期記憶が抜けて、若い頃など昔の長期記憶がよみがえる記憶障害の影響で、自分は青年と認識してしまい、実家などに帰ろうとすることもあります。
しかし、街並みが変わっていたり、親が他界し実家がなくなっているなどにより、道に迷い徘徊に至ってしまいます。
なぜここにいるのか分からなくなってしまう
記憶障害により、いま自分がなぜここに来たのかが分からなくなり、今いる場所の確認のために外へ出たり、施設内をウロウロしてしまうことも徘徊とみなされます。
例えば、薬をもらうために病院に来たことを忘れ、「なんで、こんなところにいるんだろう?」と病院の中や外をウロウロすることがあります。
過去の習慣を思い出して
記憶障害により、今の年齢や生活状況を忘れ、過去の記憶や習慣で行動を起こしてしまい、結果として徘徊になってしまうことがあります。
例えば、働いていた頃の記憶で、朝スーツを着て会社に行こうとしたり、引っ越す前の家に帰ってしまうことがあります。
その他様々な症状
脳の一部である前頭葉や側頭葉が、萎縮してしまうことで発症する前頭側頭型認知症は、同じ行動を繰り返し行ってしまう症状(常同行動)が見られます。
この常同行動により、目的もなく同じところをウロウロしてしまい、それが徘徊となってしまうことがあります。
また、レビー小体型認知症の場合は、その場にない物や音が見えたり聞こえたりしてしまう幻視や幻聴などの症状がみられます。
この幻視や幻聴によりにより、強い不安を持ち、その場から逃げようとウロウロしてしまうことも、徘徊とみられることがあります。
外出時の危険を減らすには
高齢者の「外出」は徘徊のリスクを伴い、家族は不安ですがそれ自体を止めることは非常に困難です。
ここでは、外出する際に気をつけるべき事、そしてやってはいけない対策方法について触れていきます。
認知症の方と一緒に外に出る
認知症の方が出かけようとした時、無理に止めるのではなく、一緒に外に出てみましょう。
外に出て歩いているうちに、外出した目的を忘れたり、気持ちが落ち着いたりすることがあります。
歩きながら「どこに行くの」と出かける目的を聞いたり、道端の花の話をしたり、お店に入ることで、高齢者をリラックスさせることもできます。
また、一緒に行動することで、徘徊ルートや危険な場所、立ち寄るポイント、間違いやすい場所などを知ることができます。
安全に通える場所をもつ
認知症であっても適度な運動は必要です。外に出かけることは、健康の面においても、ストレス解消のためにも、とても良いことです。
出かけることで、歩く能力や地理感覚を保持できるので、認知症の進行を緩める効果もあります。
そのためには、ひとりでも安全に通える場所を持っておくといいでしょう。
例えば、デイサースなどの介護施設や、地域の集まりの場、認知症サロンなど認知症について理解し、支援してくれる場所を活用してみましょう。
やってはいけない対策方法
次に、やってはいけない対策方法をご紹介します。
外から鍵をかけて部屋から出せないようにする
この対策方法は、高齢者を不安にさせ、暴力・暴言につながることがあります。また、窓から飛び降りようとしてケガをすることもあります。
靴を隠す
靴を隠されたことで、家族への不信感が高まり、不安を強めてしまいます。また、裸足で出かけてしまうこともあります。
暴力や暴言、威圧的な態度をとる
「出かけるな!」「家に入れないぞ!」と出かけないように、暴力や暴言、威圧的な態度は、かえって高齢者を不安にさせ、逃げ出そうとします。
これらの対策は、家族がやってしまいがちな対策ですが、これらは虐待行為となってしまいます。
何より、本人からしてみれば「なんでこんなことされるの?」と不安になったり、逃げようとしてしまうのです。
一人での外出を防ぐには
「近所に安全に通える場所がない」という場合や雨天続き、冬などの寒い日、真夏日など一人での外出が難しい場合は、どうすればよいのでしょう?
その場合は、ひとりで「外出する」という気分にさせないための工夫が必要です。
体調や生活リズムを整えておく
例えば、便秘でトイレに行こうとトイレを探しにウロウロすることがあります。
また、昼寝をすることで寝付きが悪くなったり、夜の眠りが浅くなり、目覚めてしまいがちです。
夜の徘徊を防ぐためには、体調管理や生活リズムを整えておくのはとても大切なことです。
昼間に適度に運動する
夜間の徘徊を防ぐ方法として、定期的に昼間、運動する習慣を作るのもいいでしょう。
認知症の場合、徘徊の時に遠くまで歩いてしまう原因として身体的には元気で活動するエネルギーがあるという側面があります。
適度に運動してエネルギーを発散し、心地よい充実感や疲労感を味わうことで外出衝動が改善する場合があります。
例えば近所のラジオ体操であれば、歩いて行けて、体操も知っているので継続しやすい日課になるでしょう。
また、高齢者が集まってくるので、体操だけでなく会話も弾み、疲労感と充実感を得ることができます。
なにより、運動によって足腰が鍛えられるので介護予防の効果や、歩いて通うことで交通ルールや公園の場所などを忘れないためのトレーニングにもなります。
趣味や仕事に取り掛かる
何もやることがなく、話し相手もいない状況は「ここは自分の居場所ではない」「ここはどこだ?」と不安になり、外出しようとしがちになります。
そこで、本人が集中できる手作業や、やりがいのある作業、夢中になれる趣味などをやってもらうことで、ひとりで外出する気持ちを抑制できます。
手作業や趣味などは、家族が一方的に押し付けたりせずに、本人が過去、どんな仕事をしていたのか、どんな趣味があったのか聞いて、それに沿ったものを提供するのが良いでしょう。
徘徊への備え、もしもの時の対処法
徘徊に備えておく方策はあるのでしょうか?
また、もし徘徊してしまった時の対処法はどうすればいいのでしょう?
ここでは、徘徊への備えと、徘徊時の対処法をご紹介します。
外出に気付けるようにする
玄関に鈴などをつけておくと、出かけるときに音がするので外出したときに気づくことができます。
最近では玄関にセンサーを付けて、音を出したり、データとして記録しておく民間の有料サービスもあります。
また、玄関に花や鏡、写真など本人が興味や関心を持つ物を置くなどの工夫をすることで、そちらに気を取られ、外に出るまでの時間を稼ぐことができます。
早めの発見につなげるための対策を行う
もし徘徊で行方不明になっても、早期に発見できるための対策を講じておけば、慌てずに済みます。
例えば、何度か一緒に外出に付き合い、出かける時間帯や歩き回るルートを把握しておけば、早期発見につながります。
また、洋服の裏側に名前を書いておいたり、名前や住所を書いた紙をよく使うバックの中に入れておくと、保護した時に所在がすぐにわかります。
制度やサービスを利用する
市区町村で行っている認知症関係の制度や、民間事業者によるサービスを利用するのもよいでしょう。
最近のサービスとして、
- GPS探知機を使った徘徊探知機を、バックや靴に着ける。
- 自分の名前や住所などの情報をQRコードにし、爪などに貼る。
- スマホの位置情報で、今いる場所を特定する。
などがあります。
デイサービスや老人ホームの利用も
また、認知症の症状が悪化し、介護負担を感じたときは積極的にデイサービスなどの介護サービスを利用しましょう。徘徊のリスクを抑え、介護者の負担を減らすことができます。
デイサービスの中には、認知症に特化したタイプや認知症対応に慣れている施設もあります。
自宅介護が困難になったときには、認知症の方だけが利用する老人ホームやグループホームなどを利用するとよいでしょう。
徘徊に悩んでいる方は、ぜひ一度検討してみてください。
【イラストで解説】グループホームとは|サービス内容・特徴から費用・入所条件まで解説
地域と連携する
認知症の徘徊については、住んでいる地域の人たちと連携が欠かせません。隣近所や民生委員、よく行くコンビニの店長、警察の派出所などにも普段から協力をお願いしておきましょう。
特に昨今、認知症の方による万引きが社会問題となっています。コンビニの店長などに写真を見せたり、連絡先を伝えておくことで、犯罪を未然に防ぐことができます。
市区町村や地域包括支援センターの活用
市区町村では、防災無線があり、役所からの大事なお知らせ(台風や地震、感染症など)を流します。行方不明の時は、防災無線で「迷い人」として呼びかけると効果的です。
また、市区町村によっては、認知症高齢者の徘徊などSOSを共有するネットワークが確立しています。
こういったネットワークに行方不明者の情報を共有し、多くの人に気にかけてもらう方法もあります。
さらに、地域包括支援センターは管轄内の事業所と連携しているので、デイサービスやケアマネジャー、ヘルパーなどの福祉関係者に行方不明者の情報がすばやく広がります。
地域包括支援センターとは|役割・業務から高齢者介護の相談事例まで解説!
見守りネットワークに頼ってみよう
毎年増え続けている認知症の徘徊による行方不明対策や孤独死対策対策として「見守りネットワーク」があります。
見守りネットワークは、行政や福祉関係者、民生委員、自治会に加え、民間事業者やNPO法人などが高齢者に関する地域の課題やSOSなどの情報を共有したり、探したりするものです。
また、前述の「認知症高齢者の徘徊・行方不明・死亡に関する研究」によれば、見守りネットワークを利用した方々は、行方不明者を発見するまでに平均15.8時間だった一方で、利用しなかった方々は、発見までに平均43時間もかかっていたことが分かっています。
このことから、見守りネットワークが、認知症の徘徊による行方不明の対策として、非常に効果的であることがわかります。
徘徊が発生したとき
行方不明の対策は、連携が大事と分かっていても、「家族に徘徊老人がいることは、恥なので知られたくない」「大ごとにしたくない」と考えている人も少なくありません。
このため、認知症で行方不明になると、家族だけで探そうとして、結果的に手遅れになってしまうことがあります。
しかし、現実には認知症による行方不明の数は多く、地域との連携や「お互い様の関係」は根付いています。
具体的な探し方としては以下のようなことを行いましょう。
- 自分で探しつつも、早い段階で警察に捜索願を出す。
- よく立ち寄っている場所やなじみの店、近所のコンビニ、公園、駅などを探す。
- 地域包括支援センターや担当のケアマネジャー、利用しているデイサービスやヘルパー事業所などに連絡する。
「おおごとにしたくない」という気持ちも分かりますが、警察への通報が遅くなると、遠くまで行ってしまう可能性があるので、探すエリアも広くなります。
探すエリアが広くなるということは、それだけ発見しづらくなる、つまり危険な状態になる恐れがあります。
福祉関係者であれば、長年の経験や他の事例から「〇〇にいるかも?」という捜索のコツや、横のつながりからほかの事業所のスタッフが発見してくれることもあります。
専門家を頼るのも大事
徘徊は、家族だけで抱え込まず、警察や福祉関係など専門家の方に協力を依頼することが大事です。
この他にも、いろいろな制度や取り組みが行われています。もしもに備えて、知ってきましょう。
- 認知症サポーター
全国には、認知症を正しく理解し、認知症の方やその家族を温かく見守ったり、手助けをしてくれる「認知症サポーター」がいます。
認知症サポーターは、市区町村や地域包括支援センターなどが実施する講習を受け、修了の証としてオレンジ色のリングを身に着けています。
- 認知症地域支援推進員
全国の市区町村に、認知症に関する相談や制度やサービスの案内などをしてくれる認知症地域支援推進員がいます。
徘徊の悩み、介護サービスのこと、治療のことなど認知症に関することが相談できます。
- 認知症ケアパス
認知症の症状や進行などの内容や認知症に関する制度やサービス内容などが掲載されたガイドブックです。各区市町村で発行しています。
- 認知症サロン
認知症の方やその家族などが、定期的に集まって、参加者の介護経験を話したり、困っていることを相談する場「認知症サロン」があります。
認知症サロンは、介護事業所やNPO団体などが主催しており、無料または低額の負担で参加できます。
- 介護施設
「自宅で介護を続けるのは、もう限界!」という場合は、介護施設に入所することも検討してみてください。
認知症に特化したグループホームや、軽度の認知症であれば認知症対応が可能なサービス付き高齢者向け住宅などに入居するのも選択肢の一つです。
専門の施設であれば、本人には適切なケアができ、そして家族も安心できます。
認知症の行方不明についてまとめ
- 認知症の徘徊による行方不明者は年々増加している
- 行方不明の時間が9時間を過ぎると発見可能性が大幅に下がる
- 発見が遅れると命に関わることも多い
- 徘徊は力づくで止めるのではなく寄り添う対応が必要
- 公的制度や民間サービス、介護施設などを活用する
- 家族で抱え込まずに地域や専門家などの力を借りる
徘徊は認知症の症状の一つなので、行方不明の危険性があってもを止めることが非常に難しいです。
しかし、徘徊は子供の迷子よりも深刻場合も多く、行方不明になり、ケガや事故に遭遇したり、命を落としてしまう危険性もあります。
残念ながら現状では、認知症は進行してしまうものですが、適切な対応方法をとることでリスクを軽減することができます。
なにより、穏やかに過ごすことは、安全に過ごすだけでなく、認知症の進行を緩和することもできます。
本人にとっても、支える家族にとっても、できるだけ穏やかに過ごせるために、こちらの記事でご紹介しました対応方法を活用してみてください。
この記事は医師に監修されています
中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長
中部療護センター長
岐阜大学連携大学院脳病態解析学分野 教授(客員)
矢野 大仁(やの ひろひと) 先生
1990年岐阜大学医学部卒業、医学博士。大雄会病院などの勤務を経て、学位取得後、2000年から岐阜大学医学部附属病院脳神経外科助手。2010年 准教授、2013年 臨床教授・准教授、2020年4月 中部療護センター入職、2024年4月から現職。日本脳神経外科学会専門医・指導医、日本脳卒中学会専門医。脳卒中の他、脳腫瘍、機能的脳神経外科など幅広い診療を行っている。患者さんが理解し納得できるようにわかりやすい説明を心がけている。
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