要介護1ってどんな状態?利用可能なサービスから要介護2・要支援2との違いまで解説!

この記事は専門家に監修されています

介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

「要介護1と認定されたんだけど、どうすればいいの?」

「要介護1の人が受けられるサービスが知りたい!」

要介護1と認定された方やその家族の方は、このように思っているのではないでしょうか。

この記事では、要介護1とはどのような状態なのか徹底解説します。

要介護1と認定される基準、要介護1の方が受けられるサービスの内容、要介護1の方が介護サービスを利用するときの料金など、要介護1と認定されたら知りたい情報をたっぷりお伝えします。

要介護1と認定された方、ご家族の方はぜひ参考にしてみてください!

要介護1についてざっくり説明すると
  • 要介護1とは、要介護の中で最も介護の必要性が低いこと
  • 要介護1は、食事や排せつなど基本的なことはできるが、生活の一部で介護サービスが必要な状態
  • 要介護1か要支援2かは「認知症の可能性があるか」「半年以内に心身状態が変わる可能性があるか」という基準によって決まる

要介護1とは

要介護1の画像

このトピックでは、要介護1とはどのような状態を指すのか解説します。

また、要介護1について知る上で覚えておきたい、要介護1と要支援2、要介護2の違いについても解説します。

要介護1ってどんな状態?

厚生労働省が定めた基準では、要介護状態とは「寝たきりや認知症等で常時介護を必要とする状態」とされています。

要介護度は、介護が必要な段階によって非該当、要支援1~2、要介護1~5の8段階に分けられています。

要支援は、介助を必要とする部分があるものの、適切な支援を受けることで、将来的に要介護になることを予防できる段階です。

要介護は、文字通り介護が必要な状態ですが、どのような介護が必要かによって5段階に分かれます。

要介護1とは、要介護の中で最も介護の必要性が低い段階です。

食事や排せつなどの基本的な生活は一人でこなせますが、運動能力や認知能力の低下などにより、生活の中で一部介護が必要になります。

厚生労働省の調査では、要介護(要支援)者の数は、2020年時点で日本全国で682万人にも上ります。

そのうち、要介護1と認定されているのは、全体の約20%の140万人です。

要介護認定の基準

要介護度の判定は、厚生労働省が定めている 「要介護認定基準時間」 が基準となっています。「要介護認定基準時間」とは、介護をするのにかかる時間のことです。

要介護認定基準時間は、要支援1~2、要介護1~5で以下のように定められています。

要介護度 要介護認定基準時間
要支援1 25分以上32分未満
要支援2
要介護1
32分以上50分未満
要介護2 50分以上70分未満
要介護3 70分以上90分未満
要介護4 90分以上110分未満
要介護5 110分以上

このように、要介護度によって介護が受けられる時間が異なるため、受けられるサービスの内容も異なります。

なお、要介護1と要支援2は、要介護認定基準時間が32分以上50分未満と同じ時間となっており、同様の基準が設けられています。

ただし、要介護認定基準時間は同じでも、要介護1と要支援2には違いがあります。その点についてはあとの項目で解説します。

要介護2との違い

要介護1は、食事などは自分で出来ますが、歩くときや、トイレや入浴など身の回りのことで一部手助けが必要な状態です。

一方、要介護2は、食事、トイレ、入浴など日常生活の多くの面で介助が必要な状態になる状態になると認定されます。

また、要介護2では、立ち上がること、歩くことなどの身体能力が低下しているため、利用者が動くときに支えする必要があります。

また、要介護2と判定された人は、理解力や思考力が低下している状態にもなっています。

つまり、要介護1は生活の一部に手助けが必要な状態であり、要介護2は生活全般に手助けが必要な状態という違いがあるのです。

要支援2との違い

上記の「要介護認定基準時間」の表でもある通り、要介護1と要支援2の認定基準は同じです。

要介護1と要支援2の違いは何でしょうか。それは、認知症の有無と、心身状態の乱れにあります。

要介護1も要支援2も、基本的な生活は一人で行うことができますが、立ち上がるときなどに一部手助けが必要である点は共通しています。

ただ、厚生労働省の基準では、

  • 認知機能や思考・感情等の障害みられ、認知症の可能性があると診断されている
  • 半年以内に心身状態に変化があり、要介護度が上がる可能性がある

この2点が見られる場合、要介護1と判定されます。

同じ病気でも要介護度は異なる

同じ病気を患っていても、要介護度は人によって異なります。 同じ病気でも、人によって症状や後遺症の現れ方は違います。

そのため、介護にかかる時間や介護サービスの内容も変わってくるのです。同じ病気だからといって、要介護度が同じとは限らないことを知っておきましょう。

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要介護1で受けられるサービス

要介護認定をされると、さまざまなサービスを受けることができます。要介護認定をされると受けられるサービスは、以下のようになっています。

介護形態 具体例
自宅に訪問 訪問介護(ホームヘルプ)
訪問入浴
訪問看護
訪問リハビリ
夜間対応型訪問介護
定期巡回・順次対応型訪問介護看護
施設に通う 通所介護(デイサービス)
通所リハビリ
地域密着型通所介護
療養通所介護
認知症対応型通所介護
訪問・通い・宿泊を組み合わせる 小規模多機能居宅介護
介護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)
短期間の宿泊 短期入所生活介護(ショートステイ)
短期入所療養介護
介護施設等で生活 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
介護老人保健施設(老健)
介護療養型医療施設
特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホーム等)
介護医療院
[地域密着型サービス:地域に密着した小規模な施設等] 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
地域密着型特定施設入居者生活介護
福祉用具を使う 福祉用具貸与
特定福祉用具販売

参考:厚生労働省

区分支給限度額

要介護者には、それぞれの要介護度別に 「区分支給限度額」 が定められています。

区分支給限度額とは、介護保険から給付される限度額のことで、要介護度によって額が異なります。

区分支給限度額は以下のようになっています。

サービス 段階 支給限度基準額
(1カ月あたり)
介護予防サービス 要支援1 50,320円
要支援2 105,310円
介護サービス 要介護1 167,650円
要介護2 197,050円
要介護3 270,480円
要介護4 309,380円
要介護5 362,170円

支給限度額内のサービスであれば、費用の1割~3割を負担することで利用が可能です。

要介護1の支給限度基準額は167,650円です。要介護1の場合167,650円までのサービスであれば、1割~3割の負担で利用することができます。

しかし、一人ひとりの状態は異なるため、要介護認定の基準は公開されていません。

そのため、認定基準を詳しく知りたい方は、要介護認定申請時に市区町村の担当者に聞くか、要介護認定後にケアマネジャーに聞くのがよいでしょう。

必要な福祉用具をレンタルできる

要介護認定者は、介護保険を利用することにより、生活に必要な福祉用具をレンタルすることができます。

要介護1の場合は「手すり」「歩行器」「歩行補助杖」「スロープ」の4種類がレンタルできます。

要介護の場合、レンタルできる福祉用具は基本的にこの4種類のみです。

しかし、利用が必要だと医師が認めた場合には、この4点以外の福祉用具を例外的にレンタルできることもあります。

指定の4種類以外の福祉用具をレンタルしたい場合は市区町村への申請が必要ですので、ケアマネジャーに相談してください。

なお、福祉用具のレンタルは無料ではなく、その他の介護サービスと同じく1~3割が自己負担となります。

また、負担しない分のレンタル費用は、支給限度額の内訳に含まれます。

保険給付対象の福祉用具

要介護1の場合、以下の福祉用具が保険給付の対象となります。

  • 腰掛便座(ポータブルトイレ、和式便器の上に置くタイプなど)
  • 自動排泄処理装置(チューブ・タンクなどの交換可能部分)
  • 簡易浴槽(工事を伴わない空気式や折りたたみ式のもの)
  • 入浴補助用具(入浴用椅子・浴槽用手すりなど)
  • 移動用リフトのつり具

自宅のリフォームにも介護保険が利用可能

介護を受けるようになると、介護が受けやすいように自宅をリフォームしバリアフリー化する人は多くいます。

ただし、バリアフリーにするためのリフォーム代を全額自分で出すとなると、かなりの額になってしまいます。

介護保険では、バリアフリー化するためのリフォーム代として 「住宅改修費」 という補助金がありますので、ぜひ利用しましょう。

補助金の上限は20万円です。この20万円は毎月の支給限度額の内訳には入りません。

つまり、毎月の支給限度額と別に、リフォーム代として20万円が補助されるということです。

なお、20万円を超えた額は自己負担となります。また、補助金の支給は、要介護者一人につき一度だけとされている点には注意が必要です。

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要介護度1の方が通所介護・訪問介護で利用するサービス

要介護1の場合、通所介護(デイサービス)や訪問介護では、どのようなサービスが受けられるのでしょうか。

また、介護サービスはどのくらいの頻度で受けるのが一般的なのでしょうか。

訪問介護の場合

訪問介護とは、ホームヘルパーが自宅を訪問し、食事・入浴介助、家事全般、退院時の付き添いなどを行うことです。

要介護1は食事や排せつなどの日常的なことは行える状態であるため、自分でできることには介助はありません。

その他の、一人ではなかなか難しいことはホームヘルパーからの支援を受けられます。例えば、足腰に不安がある利用者の場合、入浴介助や買い物、料理などをホームヘルパーが行います。

要介護1の場合、ホームヘルパーが行う援助の範囲は狭く、利用頻度は週2~3回程度です。

通所介護(デイサービス)の場合

要介護1の場合、通所介護(デイサービス)では介護施設に日帰りで通い、食事、入浴といったさまざまなサービスを利用するのが一的です。

通所介護(デイサービス)は、職員が利用者に対し食事・入浴など日常生活の世話や身体機能のトレーニングを行うことによって、利用者ができるだけ自分の力で日常生活を送れるようにするためのサービスです。

要介護1の場合、要介護度が低いことから、通所する頻度は週2~3回が一般的です。

在宅介護と施設利用の費用

介護を受けるにあたり、悩みとなるのが在宅介護を受けるか施設入居にするかの選択です。

どういった介護形態をとるかで費用が大きく変わってくるため、自分に合ったものを慎重に選択する必要があります。

ここからは、介護にかかる費用について詳しく解説します。

在宅介護の方が費用が抑えられる

まず、在宅介護でかかる費用と施設入居でかかる費用はどのくらい違うのか、例を用いて見てみましょう。

在宅介護 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料ホーム・サ高住 グループホーム
収入 年金 25万円 25万円 25万円 25万円
支出 施設利用料(月額)・管理費 0円 106,000円 70,000円 80,000円
食費 45,000円 50,000円 50,000円 50,000円
水道光熱費 15,000円 0円 0円 0円
その他雑費 144,800円 54,000円 25,000円 4,000円
医療費 7,754円 7,754円 7,754円 7,754円
介護サービス費(1割負担の場合) 6,000円 16,140円 1,776円 22,560円
介護用品購入費 3,600円 6,000円 6,000円 3,600円
生活拠点維持費 0円 90,000円 90,000円 90,000円
支出合計 22万円2,616円 32万9,834円 25万794円 25万7,782円
収支 2万7,384円 -7万9,834円 -794円 -7,782円

*上記の表はあくまで一例です。

表を見ればわかるように、在宅介護と施設利用では、在宅介護の方が安く介護サービスを受けることができます。

しかし、在宅介護では、ヘルパーがいない間の生活については利用者自身で行うか、家族が援助する必要があります。

特に、一人暮らしをしている要介護者の場合、ヘルパーがいない間は、全てを自分で行わなければなりません。

ヘルパーがいない時間帯は利用者自身や家族の協力でやっていけるのか、費用はどのくらい負担できるかを考えた上で、在宅介護か施設入居かを選択しましょう。

要介護1の人が多く利用する施設は?

要介護1の人が最も多く利用する介護施設は健康型有料老人ホームです。

介護施設を利用している要介護1の人の3割が健康型有料老人ホームを利用しています。

健康型有料老人ホームは、家事は主に職員や外部の業者が行い、利用者はフィットネス、プール、カラオケ、ガーデニング、麻雀など趣味を楽しみながら生活することができる老人ホームです。

日々リクリエーションやアクティビティを楽しんで、活動的に過ごしたい方に向いています。

その他にも、軽費老人ホーム、ケアハウス、グループホーム、高齢者向け賃貸住宅、サービス付き高齢者向け住宅は、要介護1の2割ほどの人が利用しています。

中でも、サービス付き高齢者向け住宅は、比較的リーズナブルかつ多様なサービスを利用することができるため、特におすすめです。

ココファンのサ高住の特徴は?

学研ココファンについての紹介

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は民間施設の中でも安価で利用できますが、学研ココファンであればさらに費用を抑えることができます。

入居一時金が0円であるだけでなく、月額費用も厚生年金額を基準とした金額になっておりますので、ご利用期間中の費用を大きく抑えることが可能です。

加えて、24時間365日ケアスタッフ常駐、認知症対応可能な施設も多数など、安心・安全に暮らしていただくためのサービスも充実しています。

ココファンのサ高住は、他社のサ高住よりも多くの利用メリットがありますので、ぜひチェックしてみてください。

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介護サービス利用料金の例

要介護1の人が介護サービスを利用すると、どのくらいの料金がかかるのでしょうか。要介護1の人の施設利用例を2つ見てみましょう。

サービス付き高齢者向け住宅を利用する場合

まずは、サービス付き高齢者向け住宅を利用する場合です。

項目 費用
介護サービス費用 19,200円
月額施設利用料 210,000円
合計費用 229,200円

このケースの場合、合計で月に229,200円かかっています。

ただ、介護サービスは利用者の状態によって変わるため、人によってかかる費用はさまざまであり、これといった相場はありません。

なお、上記の月額費用は食事サービス代や医療費、介護サービス費も含まれているので、サービス付き高齢者向け住宅は一般的な有料老人ホームと比べるとリーズナブルと言えるでしょう。

ただし、それぞれの施設によっても費用形態が変わるため、入居前に一度お問い合わせをして、利用料金についてよく確認するようにしましょう。

要介護1で一人暮らしの場合

次に、一人暮らしで訪問介護や訪問・通所でのリハビリを受ける例を見てみましょう。

サービス内容 利用回数/月 料金/回 料金/月
通所介護 12回 3,360円 40,320円
訪問介護 8回 5,200円 41,600円
リハビリ(訪問) 4回 3,470円 13,380円
リハビリ(通所) 8回 6,880円 55,040円
福祉用具貸与 定額 8,000円
合計 158,340円
自己負担(1割) 15,834円

自宅で介護を受けた場合の一例では、15,834円が自己負担の料金になっています。

先にご紹介したサービス付き老人ホームの料金と比べて「一人暮らしで介護サービスを受ける方がお得だ」と感じた方もいるでしょう。

しかし、自宅で介護を受ける場合、住居費や食費などが別途かかります。

自宅での介護の方が施設利用よりも圧倒的に安いというわけではないので、注意が必要です。

要介護度1で一人暮らしの方でも施設利用は可能

先に述べたように、要介護1とは、要介護者の中で最も症状が軽い状態です。

そのため、介護施設を利用せず、一人暮らしをすることに問題はありません。週に数回介護サービスを受ければ、一人で生活することはできるでしょう。

ただ、要介護1で状態が軽いからといって、自宅で生活しなければならないということでもありません。

要介護1の状態で施設を利用するのもよいでしょう。実際に、要介護1で施設入居をしている人は多くいます。

要介護1の利用者が多いのはサービス付き高齢者向け住宅や健康型老人ホームです。

特にココファンのサービス付き高齢者向け住宅であれば、24時間体制でケアスタッフが常駐しているので、万が一の時も安心です。

さらに居室もキッチンや浴室などが揃った個室となっているなどプライベートにも配慮されているので、介護施設へのご入居を検討されている方は、ぜひお近くのココファンをチェックしてみてください

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要介護1についてまとめ

要介護1についてまとめ
  • 介護認定を受けると、要介護1でもさまざまなサービスが受けられる
  • 要介護1の人がデイサービスに通う場合、頻度は週2~3回が一般的
  • 介護サービスにかかる料金は利用者の状態や施設によって違う

要介護1は基本的な生活は自分で行えるため、自宅に住んで訪問介護や通所介護(デイサービス)を利用し、必要な介護だけ受ける方法もあります。

一方、要介護1の方は在宅介護を受けているだけではありません。要介護1と認定された方の3割は健康型有料老人ホームを利用しています。

希望する暮らし方や使える費用から自分に合った介護サービスを選んで、生き生きとした生活を送りましょう!

この記事は専門家に監修されています

介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

株式会社学研ココファン品質管理本部マネジャー。介護支援専門員、介護福祉士。2011年学研ココファンに入社。ケアマネジャー、事業所長を経て東京、神奈川等複数のエリアでブロック長としてマネジメントに従事。2021年より現職。

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