住宅改修の補助金(助成金)|賢い介護リフォームの方法・バリアフリー化の注意点も解説
この記事は専門家に監修されています
介護支援専門員、介護福祉士
坂入郁子(さかいり いくこ)
「住宅改修では補助金が出るって本当?」
「補助金をもらうにはどうすれば良いの?」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
介護のための住宅改修は、介護保険によって補助金が受けられます。
住宅改修費を賄う補助金を受けて、介護生活に備えたバリアフリーな環境を整えましょう!
今回は、住宅改修の補助金についての仕組み・申請方法から、介護リフォームのポイント・業者の選び方・失敗例などを紹介します。
- 介護のための住宅改修費は介護保険適用可能
- 他の介護サービスの区分支給限度額とは別枠
- 最大20万円分の工事費に適用
- 着工前後で2回申請が必要
住宅改修(介護リフォーム)とは
住宅改修(介護リフォーム)とは、介護保険の制度の中に含まれるもので、手すりの設置・段差の解消など、要介護・要支援者の生活をより安全にするためのバリアフリー化工事です。
住宅改修には、居宅介護住宅改修費として上限20万円までの工事に補助金が出ます。
「住宅改修のための補助金は原則1度しか使えない」という決まりはありますが、限度額の範囲内であれば分割利用も可能で、介護者家族にとっては非常に魅力的な制度です。
また介護保険とは別に、各市区町村ごとに助成金制度がある地域もあり、もらえる額などを把握しておくと介護者家族の負担を軽くすることが可能になります。
要介護認定を受けたら住宅改修を検討しよう
住宅改修をするタイミングは、要介護認定を受けた時です。
高齢者は、転倒しただけでも大きな怪我に繋がる場合があり、怪我が原因で寝たきりになることもしばしばあります。
介護認定を受けた時点で、このような自宅内の事故発生リスクはすでにあると言え、事故が起きてしまってからバリアフリー化を考えるのでは遅いため改修を急ぐ必要があるのです。
事故が起きる可能性を少しでも減らすため、住宅改修は要介護・要支援の認定を受けたらなるべく早めに検討しましょう。
実は多い高齢者の自宅での転倒・転落
実は、高齢者の自宅での転倒・転落事故は非常に多いです。
筋力や認知能力の落ちた高齢者では、わずかな段差・階段などでも転倒転落のリスクが高まりますが、東京消防庁の「救急搬送データからみる高齢者の事故」でも家庭内事故の9割以上を転倒・転落が占めていることが明らかにされました。
また、高齢者の転倒事故のうち約8割は住宅内で発生していることも分かっており、そのため居宅のバリアフリー化が重要になってきます。
自宅内の危険を把握し、高齢者にとって安心・安全な住環境を整えることで事故発生を未然に防ぎましょう。
費用が抑えられる介護施設はこちら!介護保険の補助金と市区町村の助成金の違い
住宅改修の費用を抑える制度として、介護保険と各市区町村ごとに設定されている助成金の2つがあります。
これらの違いについて、以下の表で簡単に解説します。
項目 | 介護保険 | 市区町村助成金 |
---|---|---|
条件 | 要支援・要介護認定を受けている | 市区町村によって異なるが、要介護認定がなくてもよい場合も |
補助金額 | 上限が工事費20万円(実質の負担額は介護保険の自己負担割合による) | 市区町村によって異なる |
適用工事 | 定められた6種類の工事 | 市区町村によって異なる |
その他 | ー | 介護保険との併用が可能な場合も不可能な場合も存在する |
それぞれの詳しい内容については、以降でより詳しく解説していきます。
介護保険の補助金を利用する
介護保険とは、40歳から加入が義務付けられている保険制度で、要支援・要介護認定を受けた場合に、介護費用の一部を負担してもらえるものです。
介護のための住宅改修費についてもこの介護保険から負担することが可能なため、介護リフォームにかかる費用の負担が軽減できます。
住宅改修費の自己負担は、介護保険制度の自己負担割合1~3割です。
要介護でありながら現役のときと同等の収入がある人でなければ、ほとんどの場合9割を国が負担してくれるため、ぜひ利用すべき制度といえます。
住宅改修費の支給を受ける条件・要件
住宅改修費の支給を受ける条件は以下の通りです。
- 住宅改修を行う利用者が要介護認定で要支援・要介護の認定を受けている
- 改修を行う住宅が利用者の介護保険被保険者証の住所と同一でかつ実際に利用者が居住している
- 利用者が現在入院または福祉施設入居等で自宅を離れていない
- 利用者が以前に上限額まで住宅改修費の支給を受けていない
住宅改修費は、他の介護サービスの区分支給限度額とは別枠で支給してもらえるため、上記の4つの条件を満たした場合にはぜひ活用しましょう。
ただし4の条件に関しては、引っ越し等で住宅が変わった場合・要介護度が3以上重くなった場合には再度支給を受けることが可能です。
また住宅改修費の補助は、1度で使い切る必要はなく、上限額はあるものの分割して利用することもでき大変便利です。
補助金額と支給方法
介護保険で支給される住宅改修費の補助金は、最大20万円分の工事費に適用されます。
最大20万円というのはその中に自己負担額も含まれるため、実際は自己負担割合によって異なりますが、一般的な1割負担の場合であれば最大18万円を支給されるでしょう。
また、3割負担の場合であれば最大14万円が補助金として支給されます。
介護保険の補助金支給方法は、利用者が全額工事業者に支払ったのちに自治体から補助金支給される償還払いです。
償還払いでは、一時的に費用を工面する必要があるので注意しなければいけませんが、自治体によっては事前申請することで受領委任払い方式に変更してもらうことが可能となります。
受領委任払いとは、利用者が介護保険の自己負担額分だけを施工業者に支払い、残りは自治体から直接業者に支払うといった方法です。
工事費用をすぐに支払うことが難しい方にとって助け舟となる受領委任払いですが、自治体によっては利用できない場合もあります。
利用したい場合はあらかじめ住んでいる自治体に確認を取っておくといいでしょう。
住宅改修補助制度がある場合も
介護保険適用の住宅改修は、基本的に20万円を超えると介護保険で支給対象になりません。
しかし、自治体によっては介護リフォームの住宅改修補助制度が存在する場合もあり、上限を超えてしまっても補助金が受けられる人もいます。
住宅改修補助制度が受けられる自治体では、住宅改修費に加えて利用できるので、介護のための住宅改修の負担を最小限に抑えることが可能です。
申請・手続の方法
介護保険で住宅改修する場合の申請方法・手続きの方法について解説します。
介護リフォームの際に住宅改修費の補助金支給を受ける手順は、以下の通りです。
- 要介護・要支援の認定を受ける
- 担当となるケアマネジャーに改修の相談を行う
- 施工業者とケアマネジャーなどの同席のもと打ち合わせを行う
- 業者が作成する見積や工事内容等を確認し契約する
- 事前申請に必要な書類を自治体に提出し審査結果を確認する
- 着工する
- 利用者が一時的に全額を業者に支払う
- リフォーム完成後に再び自治体に申請する
- 住宅改修費の支給を受ける
住宅改修で補助金を受けたい場合は、まず要介護・要支援の認定を受ける必要があります。
その後はなるべく早く改修が行えるようケアマネージャー・施工業者・自治体などにすぐ相談に行きましょう。
また、住宅改修費の補助金支給を受けるために必要な書類として、以下のものを用意しましょう。
- 介護保険被保険者証
- 住宅改修内容を記載した書類
- 改修場所や費用見積を記入した申請書
- 改修前の状態の分かる写真など
- ケアマネジャーの作成した住宅改修理由書
- 施工業者の作成した工事図面や工事費見積書
- 領収書や工事費内訳書
- 改修後の状態の分かる写真など
住宅改修の申請で注意するべきなのが、着工前後で2回申請が必要ということです。
住宅改修では前述の通り、リフォーム施工前に改修場所・改修内容・費用などや、ケアマネジャーなどの資格保有者が作成した住宅改修理由書を記載した書類を提出して審査を通過しなければいけません。
また、リフォーム後には、領収書の原本や改修後の状態について申請を出す必要があるので、書類の紛失・申請忘れに注意しましょう。


介護保険が適用となる工事と費用相場
介護保険が適用となる工事と、その費用相場について解説します。
適用となる工事
一言に住宅改修と言っても、保険適用になるもの・適用外のものがあります。
保険適用可能なバリアフリー化工事は、以下の種類に分けられます。
- 手すり設置
- 段差解消
- 床材変更・滑り止め設置
- 扉変更・取り換え
- 便器取り換え
- 上記工事のために必要となる工事
以下でこれらについて詳しく解説していきます。
手すり設置
介護生活の中で、転倒防止・立ち座りの手助けとなる手すりはなくてはならないものです。
よくある設置場所は、階段・玄関・トイレ・風呂などですが、転倒しそうな段差がある個所などにも設置をおすすめします。
また設置の際は、利用する方の身長など身体的特徴に合わせて高さ・向き・形状などを変更しましょう。
床材の変更・滑り止めの設置
床材の状態や素材によっては、高齢者の方が転倒しやすい場合があり、滑りやすい場所には床材を変えたりクッションフロアを貼ったりするリフォームが必要です。
床材・クッションフロアは種類が豊富で、中には転倒防止用に滑り止め機能があるものもあり、デザインも選べます。
段差の解消
部屋同士の境目や屋外など同士の境目や屋外などに段差がある場合には、段差を解消する必要があります。
認知能力や運動能力が下がった高齢者の方は、ちょっとした段差でもつまづきやすく、そこから大きな怪我や後遺症につながる可能性も少なくないため、スロープ設置や床のかさ上げをしましょう。
扉の変更・取り換え
筋力が弱まったり手先が不自由になったりしている場合には、自宅内の扉やドアを変更する工事が必要になることもあります。
よくある事例では、介護者自身でドアの開け閉めができるよう、ドアノブのある扉から引き戸・開き戸へ、または引き戸・開き戸からアコーディオンカーテンへ変更するなどです。
洋式便座等への便器の取り換え
築年数の長い家によくある和式便所は、高齢者の方には使いにくく不便なため、座りやすい洋式便座に便器を変えるリフォームが必要です。
また、介護のしやすさのためトイレの位置を変える場合もあります。
さらに、手すりの設置や便座の高さの調整など、高齢者や身体的制約のある方にとって利便性の高い設備を導入することも重要です。介護のしやすさや利用者の安全性を考慮しながら、バリアフリーなトイレ環境を整えましょう。
上記の5項目のために必要となる工事
手すりや床材変更のために必要な下地工事なども、介護保険適用範囲です。
本体工事に伴う工事もまとめて補助金が出るので安心です。
宅改修工事の相場
以下では、自宅の改修工事にかかる費用の相場について解説します。
基本的にリフォーム費用は業者によって異なり、もらえる助成金の限度額やリフォームの必要性を踏まえてよく検討することが大切です。
価格相場の目安をあらかじめ知っておくと業者の比較・検討がしやすいでしょう。
以下の表で、業者によるリフォーム費用の相場を表しました。
<トイレ周り>
リフォーム内容 | 費用 |
---|---|
手すりの設置 | 5万円 |
和式から洋式へ変更 | 17万円~ |
押すタイプのドアから引き戸に変更 | 10万円~ |
床の張替え | 3万円~ |
昇降式の便座に変更 | 10万円~ |
段差解消 | 1万円〜 |
スペース拡張 | 10万円~ |
<玄関周り>
リフォーム内容 | 費用 |
---|---|
手すりの設置 | 8万円~ |
昇降機取り付け | 20万円~ |
スロープ工事 | 20万円~ |
<浴室周り>
リフォーム内容 | 費用 |
---|---|
スペース拡張 | 35万円~ |
段差解消 | 20万円~ |
バスリフト設置 | 30万円〜 |
シャワー用車椅子の製造 | 10万円~ |
床材変更 | 5万円~ |
<廊下・階段>
リフォーム内容 | 費用 |
---|---|
手すりの設置 | 10万円~ |
勾配の調節 | 25万円~ |
階段昇降機の取り付け | 30万円~ |
<洗面所>
リフォーム内容 | 費用 |
---|---|
車椅子用洗面台の取り付け | 15万円〜 |
段差解消 | 3万円~ |
ただし、地域や家の状況等によって価格は大きく変わるため、詳しくは見積もりを依頼してみましょう。
費用が抑えられる介護施設はこちら!市区町村からの助成金を受け取る
介護保険以外にも、市区町村が介護のための改修費助成金制度を設けている場合があると前述しました。
このような自治体が独自で設けた助成金制度は、支給条件・上限額・対象となる工事などがそれぞれ異なるため確認が必要です。
自治体独自の助成金制度を利用すると、例えば20万円よりも多くもらえる、介護保険で対象外の工事にも助成金が下りるなどの面で、より幅広く補助を受けることができます。
ただし、自治体の補助金制度は、介護保険の住宅改修費支給よりも受給条件が厳しいのが一般的です。
また、自治体が負担してくれる割合も少ない場合がほとんどなので、仮に助成制度を受けられたとしても「あくまで介護保険の補助」として捉えておきましょう。
助成金制度の具体例
以下では、実際にさまざまな自治体で実地されている助成金制度の一部を紹介します。
渋谷区
東京都渋谷区にある介護助成金制度では、5万円以上の工事を行った場合にその20%を上限10万円で支給というものです。
福岡市
福岡県福岡市では、要介護・要支援認定を受けている一定額以下の所得の人を対象に、工事費30万円を上限に、利用者の所得に応じて10%〜100%の額を支給という制度があります。
福岡市の助成金は、原則として1世帯1回のみ利用可能です。
横浜市
神奈川県横浜市の助成金制度では、必要性を確認できた工事費用を対象に100万円を上限に一定の割合で助成金支給します。
この制度では、世帯主の前年の所得税に応じて0%~75%の自己負担額が決定され、利用は原則1回のみです。
介護保険と併用できない場合も
実は、介護保険に含まれない自治体独自の助成金制度では、介護保険の住宅改修費支給を受けていないことが条件の自治体も少なくありません。
そのため、介護保険と自治体の助成制度を併用することが難しいケースも多いので注意しましょう。
また、対象工事が介護保険と自治体の助成金で重複となるときは介護保険が優先されることが一般的です。
また、このような詳細な条件は各自治体によって変わるので、お住いの地域の制度について確認しておきましょう。


改修・リフォームには減税制度も利用できる
介護のための改修・リフォームには、所得税・固定資産税などの減税制度を利用可能です。
贈与税・住宅取得等資金に係る非課税措置とは、利用者が自分で済むための住宅を取得・増改築するための改修資金として介護保険金や助成金をもらった場合、一定金額までについては贈与税が非課税となるものです。
買取再販住宅の登録免許税の税率軽減は、宅建業者により一定の性能向上リフォーム等が行われた中古住宅を取得した場合に、登録免許税の軽減が受けられます。
買取再販住宅の不動産取得税の特例措置とは、宅地建物取引業者が中古住宅を取得し、一定の性能向上リフォームを行った後、個人の自己居住用住宅として譲渡する場合、宅地建物取引業者に課される不動産取得税が軽減されるものです。
所得税
所得税減税(改修・リフォーム) | 最大減税額 | 適用区分 |
---|---|---|
耐震改修 | 投資型・25万円 | 改修 |
バリアフリー改修 | 投資型・20万円 ローン型・25万円 | 改修 |
省エネ改修 | 投資型・35万円 ローン型・25万円 | 改修 |
同居対応改修 | 投資型・25万円 ローン型・25万円 | 改修 |
長期優良住宅化改修 | 投資型・50万円 ローン型・25万円 | 改修 |
取得/増改築・改修等の住宅ローン減税 | 400万円 | 改修 新築 中古 |
固定資産税
固定資産税の減額(改修・リフォーム) | 軽減概要 | 適用区分 |
---|---|---|
耐震改修 | 税額1/2×1年間 | 改修 |
バリアフリー改修 | 税額1/3×1年間 | 改修 |
省エネ改修 | 税額1/3×1年間 | 改修 |
長期優良住宅化改修 | 税額2/3×1年間 | 改修 |
その他の税による特例
その他特例(改修・リフォーム) | 軽減概要 | 適用区分 |
---|---|---|
贈与税 住宅取得等資金に係る非課税措置 | 軽減相当額200万円 (1,000万円×20% 令和2年4月~3年3月契約 相続時精算課税選択時) | 改修 新築 中古 |
買取再販住宅の登録免許税の税率軽減 (国土交通省) | 所有権移転登記 税率2.0%→0.1% | 中古+改修 |
買取再販住宅 不動産取得税の特例措置 (国土交通省) | 軽減相当額最大36万円 (1,200万円×3%) | 中古+改修 |
安全性の高いバリアフリー化工事のポイント
介護のための受託改修で最も大切なポイントともいえる安全性。
安全性の高いバリアフリー化工事をするためのポイントについて、以下で解説します。
利用者の状況に合わせた工事を選ぶ
一言に「要介護・要支援」と言っても、介護される人それぞれに症状やできることは異なります。
どこをどのように改修するのかは、利用者個々の状況に合わせて選択しましょう。
同じ足腰が弱い要介護者でも、自力で歩行できる人・車椅子は自力で動かせる人・車椅子を押して貰う必要がある人では、必要な改修工事の内容に大きな差があります。
例えば、自力で歩行ができる場合には、廊下等には手すりをつけたり転倒を防ぐことが優先となり、一方 車椅子の場合は廊下の幅を広くするなどが必要です。
自分の家に適したリフォームを行う
住宅改修では、家の築年数・賃貸か持ち家かなどによってその家でリフォームできる範囲が異なりますが、その中で自分の家に適したリフォームを行うことが大切です。
例えば、賃貸の家では、大家さんや管理会社の許可が下りなければ自由に壁や床を工事できません。
工事を検討する際には、業者・家の管理者・ケアマネージャーなどとしっかり相談して、工事が可能な範囲内での優先順位を立ててリフォームを行いましょう。
また、住宅改修には予算や時間の考慮もしなくてはなりません。必要な改修を考えるには、利用者の要望や生活スタイル、将来の介護ニーズを考慮し、最適なリフォーム計画を立てることが大切です。
被介護側だけでなく介護側の利便性も考える
リフォームを計画するにあたって、被介護者の利便性を重視するのはもちろんですが、介護する側にとってストレスなく介護できる環境作りをすることは非常に大切です。
介護者がストレスや疲労で心身の健康状態を崩す事例は数多く、介護者である家族やヘルパーさんがリフォーム後の環境に不自由や不便を感じることは避けましょう。
介護する側・される側のそれぞれの立場から考えた受託改修ができると非常に良いです。
例えば、介護作業スペースの確保や手すりの設置、移動経路の整備などは、介護者が効率的に作業できる環境づくりに貢献します。介護者の負担軽減を図ることで、より質の高い介護が提供されることになります。
費用が抑えられる介護施設はこちら!介護リフォームの失敗例
以下では、介護リフォームの失敗例を紹介します。
失敗例を学ぶことで、リフォームの失敗を避けることができるので、適切な改修が行えるよう備えましょう。
事例① 手すりの位置や高さなどが合わない
介護のための受託改修で手すりを設置することはとても多いのですが、そのためリフォームの失敗例として最も多いのも手すりです。
転倒防止のために取り付ける手すりですが、車椅子の利用時に高さが合わない・太くて掴みにくい・取り付けた手すりによって空間が狭くなるなど、よく考えずに設置してしまうとかえって使いにくくなるケースもあります。
手すりに関する問題は、転倒事故などにつながる場合もあるため、使用する状況などをよくシミュレートして計画しましょう。
事例② 早まった改修をしてしまう
将来を見越したリフォーム計画自体は素晴らしいのですが、早まった改修で失敗するケースも多いです。
例えば、車いす生活に備えて設置したスロープが、実際に使うと幅が狭かった・方向転換がしにくかったなどのケースがよくあります。
早めのリフォームで介護生活に備えたい場合には、施工業者だけでなくケアマネージャーなど実際に介護を経験している人に相談しましょう。
彼らは現場の経験から実用的なアイデアや改修のポイントを提案してくれることでしょう。早めの段階で専門家の意見を取り入れ、適切なリフォームを行いましょう。
事例③ 不要なリフォームをしてしまう
お金をかけてリフォームしたのに、実はそこまで必要ではなかったと感じるものもあります。
必要性が低かったと感じられることがあるものとして、例えば車いすの昇降に使う階段リフトです。
車いす用のリフトは、昇降が便利になる一方、維持費がかかる・場所をとるなど意外なデメリットもあり、無駄になるどころかマイナスになる場合もあります。
明るい介護生活のためにバリアフリー化をすすめることは大切ですが、工事コスト・維持コストなどと照らし合わせて、本当に必要なものなのかをよく検討してください。
介護リフォームの業者の正しい選び方
バリアフリーや介護に関する知識を必要とする介護リフォームは、介護に明るい専門リフォーム業者に依頼しましょう。
一般的な工務店やリフォーム業者でも介護リフォームを請け負ってくれるところはありますが、介護やバリアフリーの知識・経験が足りない業者に依頼すると見通しが甘くて失敗するケースも少なくないです。
介護リフォームの業者選びは、福祉施設のリフォーム実績が豊富・福祉住環境コーディネーターなどの有資格者がいるなどの条件で探すと比較的安心できる業者にめぐりあえるでしょう。
しっかりと業者選びを行い、信頼性と専門性を重視したリフォームプロジェクトを進めましょう。
介護保険には介護用具購入費の支給も
住宅改修費に利用できる介護保険ですが、実は介護用具の購入でも補助が受けられます。
介護用具購入に利用できるのは特定福祉用具購入費の支給制度で、他のサービスの区分支給限度額とは別に上限・毎年10万円を利用できるのは住宅改修費と同様です。
介護用具購入の自己負担額は、自己負担割合に応じて1〜3割となります。
対象となる福祉用具は以下の表の通りです。
用具名 | 概要 |
---|---|
腰掛便座 ポータブルトイレ | 便器の上に置いて腰掛式に変更するもの。 持ち運びも可能。 立ち上がり補助機能があるものもある。 |
特殊尿器 | 自動排泄処理装置の交換可能部品は介護保険適用内です。 居宅要介護者・介護者が簡単に交換できます。 |
補助用具 | 入浴介助にあたって座位の維持・浴槽への出入り等を補助する用具 入浴用いす・浴槽用手すり・浴槽内いす・入浴台浴室内すのこ・浴槽内すのこなど |
取り付け工事不要の簡易浴槽 | 空気式・折り畳み式等で移動が簡単な浴槽 取水・排水工事は不要 |
移動用リフトのつり具 | 吊り具部分のみ購入対象商品 移動用リフト本体はレンタルとなっている |
住宅改修の補助金(助成金)についてまとめ
- 補助金支給は「償還払い」
- 地域によっては自治体の住宅改修補助制度がある場合も
- まずはケアマネージャーなど専門知識のある人に相談を
住宅改修費の補助金・助成金について、仕組み・限度額・申請方法などを紹介しました。
介護保険で住宅改修費を受給するにはいくつかの条件がありますが、最大20万円支給可能・他サービスの支給限度額とは別枠・分割利用も可能なのでぜひ利用してみましょう。
また介護のためのリフォームは、ケアマネージャーをはじめバリアフリーや介護の専門知識がある人に相談し、しっかりとシミュレーションして計画していきましょう。
今回紹介した失敗例なども参考に、後悔の無いリフォームをしてください。
この記事は専門家に監修されています
介護支援専門員、介護福祉士
坂入郁子(さかいり いくこ)