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介護費用はいくらかかる?月額平均や制度利用時の自己負担額・在宅介護との比較まで解説

2023年04月25日
介護施設の費用

この記事は専門家に監修されています

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介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

「介護費用って平均的にはどれくらい必要なの?」

「介護費用に対して使える制度や自己負担額について知りたい!」

このような疑問をお持ちの方も多いでしょう。

家族に介護が必要となったとき、介護費用の問題について多くの人が困惑してしまいがちです。一口に介護費用と言っても、施設を利用する場合と在宅で介護を行う場合では必要な費用は異なります。

今回は、介護にかかる平均費用や、介護サービスを利用する際の自己負担額など、介護費用について徹底的に解説致します。また、費用を抑えるためのポイントについてもまとめていますので、是非参考にしてください。

この記事を読めば、介護費用の仕組みを理解し、介護費用に関する疑問を解決することができるでしょう。

介護費用についてざっくり説明すると
  • 所得や介護度によって介護費用は変動する
  • 在宅介護は経済的負担が軽いが、介護者にかなりの負担がかかる
  • 経済面だけではなく、様々な面から介護の方向性を決めるべき

介護にかかる年数と平均費用

在宅介護にかかる費用の平均

「公益財団法人 生命保険文化センター」によって行われた平成30年度「生命保険に関する全国実態調査によると、在宅を始める際にかかる一般的な費用の平均は約69万円、月額費用の平均は約7.8万円ということが判明しました。

在宅で介護を行う場合は、介護者が介護をしやすいと同時に本人が快適に過ごすことができるような環境を整える必要があります。そのため、初期費用の内訳にはリフォーム料金や車いすなどの介護用品の料金などが含まれています。

また、上に述べた「公益財団法人 生命保険文化センター」の調査によると、介護期間の平均年数は4.7年(54.5ヶ月)です。月額費用の平均をおよそ5年間払い続けると総額は500万円近くにも上ります。

なお、ここで述べた費用・年数はあくまでも平均の数値であり、実際の数値は人によって異なります。

介護費用が大きくなりやすい場合

前述したように、介護費用は人により異なります。費用を左右する具体的な例としては、介護される人の状態・所得・介護者の有無などが挙げられます。

要介護度が高い場合、使用するサービスの頻度や額が増え、介護にかかる費用は必然的に上がっていきます。

また、介護保険による介護サービス利用額の自己負担額は、利用者の所得に応じて1割~3割の間で変動します。そのため、所得が多いほど自己負担額の割合が高くなるのです。

さらに、介護に時間を割ける家族や親族がおらず、在宅介護が難しい場合にも経済的な負担は大きくなります。

要介護度が重くなるにつれ、自分1人で生活することが難しくなり、食事や入浴など日常生活全般に対して介護サービスを必要とします。

このようなケースでは、利用すべき介護サービスの種類・回数共に多くなってしまうので、必然的に介護費用も大きくなってしまうのです。

介護費用が小さくなりやすい場合

一方で、介護費用が小さくなりやすいケースも存在します。

先の見出しで述べたケースとは反対に、要介護度が低い場合は介護サービスの額が小さくなります

また、要介護度が軽い分、自分でできることも多く、介護サービスの利用頻度も少なくなる、という点でも費用が抑えられる傾向にあります。

要介護度が軽いと家族にかかる介護負担も小さくなり、介護に割かなければならない時間も減ります。そうなると、在宅介護で行えない部分だけを介護サービスで補えば良いので介護費用はそれほど多くかかりません。

さらに、所得が少ない場合の介護サービス利用料は1割負担で済み、経済的負担が軽くなります

ただし、要介護度が軽いからといって、必ずしも介護サービスが安くなるとは限りません。介護サービスを利用する際には、利用時間や内容によって料金が異なるため、十分な調査や比較検討が必要です。

【要介護・要支援度別】介護費用の自己負担額

要介護認定を受け、要支援1・2もしくは要介護1~5と認められると、公的介護保険サービスを利用することが可能になります。

ただし、認定後に介護保険サービスを利用するためには担当のケアマネジャーとケアプランを作成しなければなりません。ケアプランが出来上がれば、そのプラン内容に基づき、限度額の範囲内でサービスの利用を開始することができます。

要介護認定の区分は、本人の身体的問題の有無・認知症の有無などによって分けられます。それと同時に、介護費用の給付限度額も要介護認定の介護度に応じて異なります

介護度が重くなるにつれて給付限度額は増えますが、その分自己負担額も増えるので、総合的に見て給付限度額が多ければ多いほど良いとは言えません。介護度別の給付限度額と自己負担額は次の表の通りです。

<要支援・要介護度別の月あたり支給限度額>

介護度給付限度額1割負担額2割負担3割負担
要支援150,320円5,032円10,064円15,096円
要支援2105,310円10,531円21,062円31,593円
要介護1167,650円16,765円33,530円50,295円
要介護2197,050円19,705円39,410円59,115円
要介護3270,480円27,048円54,096円81,144円
要介護4309,380円30,938円61,876円92,814円
要介護5362,170円36,217円72,434円108,651円

介護保険は点数制となっており、1点の単価は10円~1,140円です。そのため詳細な額については地域差が生じるため注意です。

上の表では1点を10円で換算したものとなっています。

要介護認定については、こちらの記事でより詳細に解説をしていますので、合わせてご覧ください。

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介護施設利用と在宅介護の料金の違い・比較

介護が必要になったとき、介護施設に入所するのと在宅介護を行うのとでは大きな差があります。中でも、費用面は最大の違いと言えるでしょう。

介護施設では、介護サービスの他に施設を利用するための料金が必要となります。以降で、それぞれの場合の費用について詳しく見ていきましょう。

【年金だけで介護はできる?】介護費用を比較すると

次の表は、同居している家族が要介護2の状態になり、介護が必要になった場合の費用をシミュレーションしたものです。

また、年金収入25万円のみを、介護に費やす場合を想定しています。

施設によって利用料金などは異なるため、必ず下記の金額になるわけではありません。在宅介護と介護施設入所の費用違いについて参考程度にご覧ください。

収支内訳在宅介護介護付き有料老人ホームサ高住・住宅型グループホーム
収入年金25万円25万円25万円25万円
支出施設利用の1ヶ月の家賃や管理費など0円12万円10万円11万円
支出食費・光熱費など21万円10万6千円7万2千円5万4千円
支出介護サービス費7千円1万9千円8千円2万8千円
支出医療費5千円5千円5千円5千円
支出介護用品購入費7千円7千円7千円7千円
支出(配偶者の生活費等)その他1千円10万5千円10万5千円10万5千円
支出合計合計22万円37万2千円30万7千円31万9千円
収支合計3万円△11万2千円△4万7千円△5万9千円

上の表を見ると分かるように在宅介護の場合は施設の利用料金や家賃などの支出がありません。一方、施設を利用すると約10万円もの利用料金がかかり、この点が在宅介護と介護施設への入居との大きな違いとなっています。

また、在宅介護のみ収支合計の欄がマイナスになっていないということも見て取れます。そのため、要介護2の状態の場合は年金受給額が25万円で在宅介護であれば、年金だけで生活をすることも可能だと考えられます

また、施設入所でもサ高住やグループホームの場合は比較的安く利用することができるため、足りない分を貯金で賄うことで生活することは可能です。

一方、介護付有料老人ホームは家賃や介護サービス費が高く、利用料金が収入を大きく上回るため、年金だけでこの施設の利用料を賄うのは難しいと言えるでしょう。

どちらを選ぶべきか

では、在宅介護と施設入所のどちらを選択するべきなのでしょうか?

先ほどの表で説明したように、施設を利用するよりも在宅介護の方がお金はかかりません。家族が介護することでサービス利用料も減り、出費は押されられるでしょう。

しかし、費用の安さ以外の点に目を向けたとき、在宅介護にはいくつかのリスクやデメリットが存在することも事実です。

在宅介護のデメリット(一例)
  • 介護者である家族の精神的・肉体的負担が大きい
  • 介護に不慣れであるため、被介護者の状態悪化を招きかねない
  • 介護者の体調も崩れかねない
  • 介護者が介護を理由に退職することで、施設利用よりも経済的に困窮する可能性がある

このようなデメリットを考慮し、費用面だけで在宅介護を決定することは避けなければなりません。介護サービスを提供する施設には様々な種類が存在するため、本人の状態や環境に応じて施設の利用を検討するのがおすすめです。

在宅介護の場合でも、ショートステイの一時宿泊サービスを利用するなど、介護保険サービスを上手く併用して介護者にかかる負担を軽減させることが大切です。

また、在宅介護を行う場合には、介護者の負担も大きく、身体的・精神的なストレスがかかることがあります。そのため、介護者自身も定期的な休養や、情報収集・相談などの支援を受けることが重要です。

介護費用準備率の現状

介護費用は本人の収入や貯金で賄うことが理想的ですが、実際には介護費用の準備をして老後に備えている人は少なく、年金に頼るケースが多いのが現状です。

介護費用準備率は1割程度

アクサ生命が実施した介護に関する親と子の意識調査2019によると、40代・50代の介護経験がない人のうち、親の介護に対して、「介護費用の準備をしている」と回答した人は10.4%、さらに「介護費用の見積もり」に関しては、5.2%でした。

全体的に介護費用に対する意識が薄く、介護費用準備率は1割程度という結果がみられ、ほとんどの人が準備できていないということが判明したのです。

対して同調査を介護を経験した40代・50代に行ったところ、介護費用準備率は97.2%にも上りました。この調査結果から、介護経験の有無により介護費用に対する捉え方が違うというのが分かります。

本人の年金受給額を知ろう

介護費用に備えるためには、被介護者ご本人の年金受給額を知るということも大切です。

平成30年の厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概要」によると、老齢厚生年金は厚生年金保険で平均月額は14.6万円、そして国民年金では5.6万円です。

一般的な会社員であれば20万円を超える場合が平均的ですが、勤続年数や収入により異なります。そのため、実際の受給額を知りたい場合には、年金振込通知書を確認するのが一番でしょう。

年金に頼って介護をするという場合には、介護費用の自己負担額が年金受給額を上回らないように注意しておきましょう。

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介護費用を抑えるための対策方法

介護費用があまりにも高くなってしまうと、介護を受ける本人だけではなくその家族の経済的負担にも繋がります。

ここでは介護費用を抑えるための方法について、いくつか紹介をします。

適切なケアプランを組んでもらおう

介護保険サービスを利用するには担当のケアマネージャーにケアプランを作成してもらわなければなりません。

ケアプラン作成時には、本人や家族の希望をしっかりと伝えることが大切です。その際に要望を伝えられていないと、場合によってはケアマネージャーのお任せプランが作成されてしまい、理想と違う結果になってしまいかねません。

そのような事態を防ぐためにもケアマネージャーとのコミュニケーションは非常に大切になってきます。

万が一お任せになった場合でも、ケアマネージャーから高額なサービスを売りつけられることはまずありませんが、自分には不要なサービスが追加されてしまう可能性があります。

不要なサービスを除いた適切なケアプランを作成してもらうことで、満足度の高いサービスを受けられると同時に介護費用を抑えることにもつながるでしょう。

費用を抑えられるサービスを利用する

経済的負担を軽減するために、「高額介護合算療養費制度」、「高額介護サービス費制度」など様々な制度が設けられています。聞きなれない制度ですが、知っておくことで介護にかかる費用を減らし、経済的負担を抑えてくれます。

高額介護合算療養制度とは、1年間にかかった医療保険と介護保険の自己負担額を合算したときに、基準額を超えた場合はその分の金額が支給されるという制度です。

高額介護サービス費制度とは、介護サービスを利用して支払った負担額が一定額を超えた場合に申請すると、超過分が払い戻されるという制度です。

他にも、介護費用を抑える制度として医療費控除や介護休業給付金などがあります。

これらの制度は、経済的な負担が大きい高額な介護費用に対して、支援を行うことで、介護にかかる費用を軽減することを目的としています。

ただし、それぞれに条件があり、必ずしも全ての方が受給できるわけではありません。必要に応じて、自治体の窓口や介護保険の担当者に相談し、自分に合った支援策を検討することが重要です。

費用の抑えられる介護施設を利用する

介護の負担を軽減しながら、さらに費用を抑えるためには、できる限り費用対効果に優れる介護施設を利用することが必要不可欠です。

予算内で収まる上に、充実した介護サービスを受けられる施設を利用することができれば、被介護者・ご家族の両方が介護の悩みを0にすることができます。

学研ココファンでは、サービス付き高齢者向け住宅を始めとした、必要なサービスだけをコストを抑えて利用できる施設を全国に展開しておりますので、是非チェックしてみてください。

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介護費用についてまとめ

介護費用についてまとめ
  • 所得が多い場合は自己負担額の割合が大きくなる
  • 要介護度が重くなると介護サービスの額も大きくなる
  • 給付限度額を超えた分に対しては各種制度を適用させることで経済的負担を軽減させることが可能

今回は介護費用の気になるポイントについて解説しました。

経済的負担を考えると在宅介護が一番だと考える人も多いでしょう。しかし、在宅で要介護者を介護することは介護者にとって大変な負担となってしまいます。共倒れや介護疲れにより、環境が悪化してしまう恐れもあります。

介護施設・サービスや各種制度を上手く活用し、本人も家族も出来る限り笑顔で過ごせるような方法を選択していきましょう。


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