腸ろうとは? メリット・デメリットから胃ろうとの違い・介護方法まで解説!
この記事は専門家に監修されています
介護支援専門員、介護福祉士
坂入郁子(さかいり いくこ)
「腸ろうって何?」
「腸ろうのメリットやデメリットが知りたい!」
「在宅での介護方法や注意点について教えてほしい!」
このようなお悩みをお持ちの方はいらっしゃいませんか?腸ろうとは、口からの食事が難しくなった場合に、小腸から直接栄養を摂る方法のことです。
今回は、腸ろうの特徴やメリット、デメリット、胃ろうとの違いについて詳しく解説します。また、在宅で介護する場合の注意点についてもまとめています。
この記事を読めば、腸ろうの基本的な知識を得ることができるでしょう。
- 腸ろうとは、小腸に穴をあけてチューブを通し、直接栄養を摂る方法のこと
- 口からの食事が難しい方や胃ろうが使えない方が腸ろうを選択する
- 胃ろうよりもカテーテルがつまりやすいが、逆流が少ないというメリットがある
- 皮膚トラブルを防ぐために、毎日状態を確認して清潔を保つことが大切
- 腸ろうでも介護施設に入ることはできるが、受け入れ先が限られている
腸ろうとは何か
腸ろう(腸瘻)とは、お腹に穴をあけて小腸までカテーテルを通し、そこから栄養を直接摂る方法のことです。
腸ろうは経管栄養法の一つで、病気などの理由によって嚥下機能や摂食に障害を生じ、経口摂取が困難な場合に、専用のチューブを通して栄養を摂取します。
経管栄養法には、主に以下のような方法が挙げられます。
- 胃ろう
- 腸ろう
- 経鼻栄養法
- 経口栄養法
通常、胃にカテーテルを通して栄養を摂取する「胃ろう」を使う人が多くなっています。しかし、胃がんなどの理由により、胃ろうを使うことが難しい場合などは腸ろうを選択するケースがほとんどです。
- 胃ろうよりも逆流が少ない
- カテーテルが細長く、詰まりやすい
- 下痢や血糖値の急激な変動を起こしやすい など
上記に挙げたように、胃ろうと腸ろうではいくつかの違いがありますが、介護方法の基本的な部分は似ています。在宅介護の注意点については、後述の見出しで詳しく解説します。
腸ろうの対象者は誰?
前述したように、腸ろうとは小腸にろう孔と呼ばれる小さな穴をあけてチューブを通し、小腸へと直接栄養を送る経管栄養法です。
「病気などで口から食事を摂ることが困難な方」「食べると頻繁にむせてしまい、肺炎を引き起こしやすい方」などが腸ろうを行うケースが多いです。
ただし、腸ろうよりも胃ろうの方が本来の栄養摂取に近いため、口以外から栄養を摂る方法としては胃ろうが主流となっています。
腸ろうの主な対象者は、以下の通りです。
- 胃がんなどの病気によって胃ろうが造れない方
- 胃ろうでも誤嚥性肺炎のリスクが高い方
腸ろうのメリット・デメリット
腸ろうのメリットとデメリットについて解説していきましょう。
腸ろうのメリット
腸ろうの主なメリットは以下の通りです。
- 安定して栄養を摂ることができる
- 不快感や痛みが少ないため生活しやすい
- 口から食事をすることもできる
- 逆流する危険性が少ない
- 誤嚥性肺炎の予防に効果がある
では、それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
安定して栄養をとることができる
口から食事をすることが難しい場合の栄養摂取には、点滴などを用いて栄養を直接血液に入れる方法と、胃腸を使って栄養を摂取する方法(胃ろう・腸ろう)があります。
胃ろう、もしくは腸ろうなど胃腸を使う場合は、体の自然な栄養摂取に近い状態を作ることができます。そのため、体への負担が少なく、免疫を大きく壊すこともありません。
また、安定的に栄養を摂取することで、栄養状態の向上による体力回復が期待できます。体力が回復することで長生きできる可能性も高くなります。
不快感や痛みが少ない為生活しやすい
経腸栄養法には、以下の2種類が存在します。
- 経口栄養法:口から栄養を摂取する方法
- 経管栄養法:チューブを用いて胃や腸などに直接栄養を投与する方法
上記の栄養法のうち、胃ろうや腸ろうは経管栄養法にあたります。また、鼻から管を通して胃や腸に直接栄養を送る経鼻経管栄養も経管栄養法の一種です。
鼻からチューブを通す場合、常に鼻やのどに違和感が残ります。それに対し、胃ろうや腸ろうは不快感や痛みが少ないと言われています。
また、腸ろうの穴は衣服の下にあるため外から見えることはありません。移動の制限もなく、入浴も可能なため、生活がしやすいのが特徴です。
口から食事をすることもできる
口から食事を摂ることが難しくなった際に、血液に直接栄養を送る栄養法を続けていると腸の機能が落ちて再び口から食事を摂ることができなくなる可能性があります。しかし、腸ろうにはその恐れがありません。
また、腸ろうの場合はのどにチューブが通っておらず、刺激が少ないため、訓練次第では口から食事を摂ることも可能です。腸から栄養を補給すると同時に、嚥下訓練を行うことができるのです。
逆流する危険性が少ない
逆流の危険性が低いというのも腸ろうのメリットの一つです。
胃ろうを造る場合、栄養剤が逆流してしまう恐れがあります。一方、腸ろうを造る場合は小腸へ直接栄養剤を注入します。そのため、胃や食道への逆流が起こりにくくなるのです。
そのため、腸ろうは胃ろうよりも逆流による感染や呼吸器系の合併症のリスクを軽減することができるといえます。
誤嚥性肺炎の予防に効果がある
誤嚥性肺炎は以下の2種類に分けられます。
- 化学性肺炎:嘔吐物や食物の誤嚥による肺炎
- 細菌性肺炎:口腔内常在菌や上気道分泌物の誤嚥による肺炎
胃ろうや腸ろうは、上に挙げた2種類の誤嚥性肺炎のうち、化学性肺炎の予防に効果があります。
一方、経口摂取をやめることで細菌性肺炎にかかるリスクは増加してしまいます。胃ろうや腸ろうを造設した場合、適切な口腔ケアを行うことが大切です。また、口腔ケアの他に、安全な経口摂取によって細菌性肺炎のリスクを減らすことができます。
腸ろうのデメリット
次に、腸ろうのデメリットについて解説します。腸ろうはメリットが多いのが特徴ですが、問題点も0ではありません。
- 手術やカテーテルの交換が病院でないとできない
- 口腔ケアが求められる
- 皮膚のトラブルが起こることがある
- 栄養剤の注入に時間がかかる
では、それぞれのデメリットについて詳しく見ていきましょう。
手術やカテーテルの交換が病院でないとできない
腸ろうの造設は安全かつ比較的簡単です。ただし、造設の際には、主に内視鏡を使った手術が必要となります。
また、カテーテルの交換が病院でなければできないという点もデメリットとして挙げられます。胃ろうの場合、カテーテルを自宅で交換することが可能なケースもありますが、腸ろうのカテーテルは細いため、自宅での交換が困難です。そのため、定期的に病院へ通う必要があります。
口腔ケアが求められる
口からの食事が減ることで唾液の分泌量が減ります。唾液の分泌が減ると自浄作用が低下するため、口腔内が汚れやすい状態になってしまいます。
そのため、経口摂取をしないから口腔内が汚れていないと思い込み、適切なケアを怠ると、誤嚥性肺炎にかかるリスクが高まります。
誤嚥性肺炎のリスクを下げ、口の周りの筋肉の機能を維持するためにも、適切な口腔ケアが求められます。
皮膚のトラブルが起こることがある
腸ろうは以下のような皮膚トラブルが起こる場合があります。
- 腸ろうの皮膚への埋没
- 漏れた栄養剤による皮膚の感染
- 穴の周りの腫れやただれ
- 胃ろうを閉じた後の違和感 など
これらの皮膚トラブルを防ぐためには、毎日皮膚の状態を観察し、入浴などにより清潔を保つことが大切です。
他にも、腸ろうを造設する際に腹膜炎を起こす恐れがあるというのもデメリットの一つです。
栄養剤の注入に時間がかかる
腸ろうのチューブは胃ろうのチューブよりも細くて長い作りになっています。そのため、栄養剤の注入はゆっくりと行う必要があります。
また、胃のように流動食をためておくことができないため、注入速度が速すぎると下痢になってしまう恐れがあります。さらに、適切な注入を行わないと血糖値が急激に変動してしまうこともあるため注意が必要です。
定期的な栄養チューブの確認や注入速度の調整が必要であるため、医療スタッフの指導のもと、適切な方法で栄養剤を注入することが重要です。


胃ろうと腸ろうの違い
胃ろうは腹壁から胃にろう孔と呼ばれる小さな穴をあけてチューブを通し、胃へと直接栄養を送る方法です。基本的に、胃ろうと腸ろうの扱いに大きな違いはありません。
前述したように、主流な経管栄養法は胃ろうで、胃に何らかの問題があって胃ろうが造れない場合に腸ろうを造るというのが一般的です。
また、胃ろうと腸ろうでは、腸ろうの方が介護者の負担が大きい可能性があります。負担が大きいとされる主な理由として以下の点が挙げられます。
- 胃ろうよりもカテーテルが細長く、詰まりやすいため、栄養剤の注入に時間がかかる
- カテーテルの自宅での交換が難しく、定期的な通院が必要となる
一方、胃ろうよりも逆流が少ないというメリットも存在します。
腸ろうのカテーテルの種類と違い
腸ろうのチューブは体内と体外のパーツによって固定されています。腸の中に入れる部分の形状、そして皮膚の外側に出る部分の形状がそれぞれ2種類あり、それらの組み合わせにより系4種類の方が存在します。
(体内のパーツ)
- バルーン型
- バンパー型
(体外のパーツ)
- ボタン型
- チューブ型
それぞれの特徴を理解し、本人に合った形状を選択することが大切です。
バルーン型(腸の内部形状)
蒸留水を利用し、腸の中で風船を膨らませカテーテルを固定する方法を「バルーン型」と言います。挿入時の負担が少なく、水を抜くだけで簡単に交換できるのが特徴です。
ただし、水が蒸発することで風船が縮み、自然と抜けてしまうことがあるため、定期的に水の量を確認しなければなりません。また、バルーンが破裂する可能性もあり、1~2ヶ月に一度交換する必要があります。
バンパー型(腸の内部形状)
バンパー型は、ストッパーがついており、カテーテルが抜けるのを防ぎます。抜けることがほとんどなく、初めて腸ろうを造った場合に多く使われる形状です。
交換の回数は少なく、半年に一度で良いとされています。ただし、交換時に違和感や痛みを感じることがあります。さらには出血を伴う場合があるため注意が必要です。
また、簡単に交換できるバルーン型と異なり、交換時に内視鏡や透視の設備が必要になるというデメリットもあります。
ボタン型(皮膚の外側の形状)
出っ張りが少ないため目立たないというのがボタン型の特徴です。他にも「動作の邪魔にならない」「カテーテルを誤って抜いてしまうことが少ない」「カテーテル汚染が少ない」「逆流防止弁がついている」などのメリットがあります。
在宅に向いており、よく取り入れられる形状ですが、チューブ型と比べて栄養剤の注入に手間がかかるというデメリットもあります。
チューブ型(皮膚の外側の形状)
チューブ型は簡単に栄養チューブと接続することができます。しかし、ボタン型と異なり体の外にチューブが飛び出ている状態のため、日常生活で邪魔になることがあります。
他にも、「自分でチューブを抜いてしまうリスクが高い」「カテーテルの内部が汚れやすい」という点がデメリットとして挙げられます。
腸ろうのチューブは上に挙げた「バルーン型」「バンパー型」「ボタン型」「チューブ型」の組み合わせによって以下の4種類に分けられます。
- ボタン型バルーン
- チューブ型バルーン
- ボタン型バンパー
- チューブ型バンパー
医師とよく相談をした上で、療養場所や本人及び介護者のニーズに合った型を選択することが大切です。
口から食事できるまで治る?
腸ろうは口からの食事と併用することができます。そのため、咀嚼や嚥下等のリハビリを行い、口の機能を維持することができれば、腸ろうを閉じて口からの食事に戻れる可能性も高いです。
なお、嚥下のリハビリを行う際は口の中の細菌が原因となり、誤嚥性肺炎を引き起こす危険性もあります。誤嚥性肺炎のリスクを下げつつ口の機能を維持するために、適切な口腔ケアを行いましょう。
また、口から十分な食事がとれるようになり、腸ろうが不要となった場合はカテーテルを抜くことができます。ろう孔はカテーテルを抜いた後自然に閉鎖します。
今後、経口摂取が難しくなる可能性があるなど、場合によっては腸ろうを抜去せずに残しておくケースもあります。
医師や専門家の指導のもと、患者の状態に合わせた最適な食事方法を検討する必要があります。
腸ろうの手術やその後
腸ろうの造設は安全かつ比較的簡単な手術です。局部麻酔を行った後、内視鏡手術によって造設します。
造設の主な方法は以下の通りです。
- 造設されている胃ろうからチューブを通す方法
- 内視鏡を使い、お腹から腸にろう孔を開けてチューブを通す方法
- 開腹手術による方法 など
ろう孔完成までには約2週間程度の時間を要し、問題がなければ栄養剤の投与を始めます。造設後は医師の許可があれば入浴することも可能です。腫れやただれなどの皮膚トラブルを予防するためにも、毎日皮膚の状態を確認し、ろう孔の周りを清潔に保ちましょう。
チューブはバルーン型では1~2ヶ月程度、バンパー型では4~6ヵ月程度が交換の目安となっています。交換時期が近づいてきたら必ず医療機関を受診しましょう。


在宅での腸ろう介護の注意点
腸ろうは在宅でケアをすることも可能です。ただし、胃ろうよりもケアが難しいため、在宅介護の場合は、事前に病院で看護師からの指導を受けることをおすすめします。
栄養剤の注入方法
栄養材の注入は以下の手順で行います。
- 手を清潔に洗い、冬場など栄養剤が低温になっている場合は人肌程度に温める。
- 逆流を防ぐために座らせる、もしくはベッドの上半身を上げる。
- ボタン型の場合は栄養チューブをつなげる。
- 液体の流動食の場合、専用容器に移してイリゲーターと栄養チューブをつなげて栄養剤を注入する。半固形化栄養剤の場合、加圧バッグを利用して自動で注入する。
- 栄養剤の注入が終わったら、内服薬を水に溶いて専用の注射器を使って栄養チューブに注入する。
- 白湯や酢酸水を流して栄養カテーテルの内部に残った栄養剤を洗い流す。
自宅で家族が栄養剤を注入する場合、事前に看護師から注入の指導を受けます。トラブルや困り事などが合った場合は自分で判断せず、随時身近な医療者に相談することが大切です。
また、腸ろうのカテーテルは細く、詰まりやすい特徴があるため、栄養剤の注入後は内部の栄養剤をしっかりと洗い流しましょう。
皮膚トラブルと対処法
腸ろうは、皮膚トラブルが起こりやすいというデメリットがあります。主な皮膚トラブルは以下の3種類です。
- ストッパーが皮膚に埋まってしまう
- 肉芽ができてしまう
- カテーテル周辺の皮膚が感染してしまう
いずれの場合も軽度の症状であれば自宅での対処が可能です。埋没を防ぐためにカテーテルを回転させたり、カテーテルと皮膚の間にスポンジを置くことで皮膚にかかる圧力を減らすなど、症状に応じた対処を行いましょう。ただし、悪化した場合は医師への相談・診察が必要です。
また、チューブが抜けてしまった場合、自宅で挿入することはできません。カテーテルが抜けてしまうと、ろう孔が塞がってしまいます。自己抜去には十分気をつけつつ、万が一抜けてしまった場合はすぐに医療機関へと連絡しましょう。
腸ろうを造設した場合、上記に挙げたような皮膚トラブルが起きないように石鹸などで丁寧に洗い、清潔を保つことが大切です。
体調の変化に気をつける
栄養剤を注入中、体調の急激な変化が起こる場合があります。呼吸や顔色の変化、腹部の膨満感など、普段と違う様子が見られた場合、もしくは体の調子に違和感を訴えた場合にはすぐに医療機関へ連絡してください。
他にも栄養剤の注入により消化管が活発に動き出すことによってしゃっくりが起きたり、注入速度や姿勢に問題がある場合に吐き気や嘔吐などの症状がみられる場合があります。これらの症状は誤嚥性肺炎の原因になるため、すぐに注入を止め、病院へ連絡して医師からの指示を受けるようにしてください。
早期の対応が問題を防ぐ上で重要ですので、自身や患者の安全を確保するためにも迅速な連絡を心掛けましょう。
下痢を起こすことも
栄養剤を注入する際の様々な要因によって下痢の症状を引き起こすこともあります。栄養剤の濃度や水分量、温度、注入速度、チューブの衛生状態などが主な原因として考えられます。
なお、便の回数が増えても液状でなければ下痢ではないため心配する必要はありません。
場合によっては下痢を繰り返すこともあります。また、下痢の症状以外にも発熱などの症状が現れる場合もあります。体の状態に普段と違う変化がある場合はかかりつけの医師に連絡してください。
腸ろうで使用する栄養剤
腸ろうで使用する栄養剤には、医薬品タイプと食品タイプの2種類が存在します。
医薬品タイプ
医薬品タイプは医療保険が適用されます。使用する場合は、医師の指示や処方が必要です。
医薬品タイプの栄養剤は注入時間が長めで、1回あたり1~2時間かかります。また、漏れによる皮膚トラブルや下痢、嘔吐、高血糖などの症状がおこりやすいというデメリットがあります。
医薬品タイプは、腸ろうを造設していない方でも栄養状態が悪いと診断された場合、口から飲むために処方されることがあります。
食品タイプ
食品タイプは医薬品タイプと異なり、医療保険の適用にはなりません。また、食品タイプの栄養剤には、通常の食品をミキサーで粉砕して粘度を調整したものと、濃厚流動食があります。
食品をミキサーで粉砕した場合のメリットは、家庭の食事に近く、治療食の対応がしやすい点です。ただし、粉砕した食品を栄養剤にするためには増粘剤などで粘度の調整をしなければなりません。
一方、濃厚流動食は少量で高カロリーを得ることが可能です。口からの食事にも対応できるように、美味しく食べられる工夫がされているものがあったり、半固形のものがあったりしますが、種類が少ないというデメリットもあります。
腸ろうでも介護施設に入れる?
腸ろうを造設した方でも介護施設を利用することは可能です。ただし、家族と医師以外で腸ろうのケアができるのは、看護師と研修を受けた介護職員のみと決められています。
そのため、受け入れ先を探す場合は、看護師など条件に合ったスタッフが24時間常駐している施設に限定されてしまいます。
さらに、腸ろうは胃ろうに比べて栄養剤の注入時間が長いため、受け入れが難しい施設も多いです。施設を探す場合や在宅での療養を検討する場合は、まずかかりつけ医師やケアマネージャーに相談しましょう。
家族や介護者は、腸ろうを造設した方がその人らしい生活が送れるよう、出来る限り支援することが大切です。
また、施設に入居した場合、通常の食事料金の代わりに栄養剤の料金がかかります。費用やサービスの内容については必ず事前に確認しておきましょう。
異なる施設や在宅療養のオプションを比較検討し、最適なケア環境を見つけることが大切です。


腸ろうについてまとめ
- 経口摂取が困難な場合に小腸から直接栄養を摂る方法を腸ろうと言う
- 皮膚トラブルを起こしやすい、栄養剤の注入が難しいなど、在宅での介護は難しいため、事前に看護師から指導を受ける必要がある
- 栄養剤には、医療保険が適用される医薬品タイプと医療保険が適用されない食品タイプがある
- 誤嚥性肺炎を防ぐためには適切な口腔ケアが必要
今回は腸ろうの基本的な情報を詳しく解説しました。
腸ろうは、嚥下訓練をすることで再び口から食事を摂ることができるようになります。造設の手術は安全かつ簡単な一方で、在宅での介護が難しいというデメリットもあります。口腔ケアや日々の状態確認、清潔を保つためのケアも欠かせません。
特徴や介護方法をよく知り、介護サービスや看護師、医師の協力を得ながら、その人らしい生活を送れるように支援していきましょう。
この記事は専門家に監修されています
介護支援専門員、介護福祉士
坂入郁子(さかいり いくこ)