介護問題とは|高齢者・老人に身近な10の課題からおすすめ介護施設まで紹介!
この記事は専門家に監修されています
介護支援専門員、介護福祉士
坂入郁子(さかいり いくこ)
「高齢者や老人を巡る介護問題はどのようなものがあるの?」
「介護問題を解決するためには、どのような対策があるの?
このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?
高齢化社会が進み、介護に関する問題は多く指摘されています。
虐待や介護離職、孤独死などが代表的ですが、課題や問題点を把握して対策を考えておくことが重要と言えるでしょう。
こちらの記事では、孤独死や介護施設に入れないなどの高齢者・老人に身近な10の課題を紹介していきます!
また、併せておすすめの介護施設についても紹介していくので、参考にしてください。
- 高齢化社会が進む中で、介護問題は注目を浴びている
- 介護難民になってしまい介護施設に入れなくなるなど、多くの問題が指摘されている
- 介護離職をしてしまうと、経済的にも肉体的にも負担が大きくなってしまう
- 対策法を知っておくことで、介護問題に直面しても冷静に対処できる
介護問題とは
高齢化が進み、介護は現代の日本社会が抱える大きな課題の一つです。
要介護者本人だけでなく、家族にとっても介護におけるベストな選択をするために、介護の問題点や実際のトラブル事例などを把握しておく必要があります。
在宅介護をするのか施設に入居させるかなど、症状の重さなどを考慮して各家庭ごとに判断しなければなりません。
なお、日本の高齢化率は平成6年(1994年)に14%を超えて高齢社会となってから、現在は超高齢社会に突入しています。
超高齢化社会では介護者も高齢となることから、老老介護や認認介護などの様々な問題が生じているのが現実です。
超高齢社会で起こる介護問題は今後も多様化していくと予測されていますが、現状で起こっている介護問題を認識して対策を進めていきまょう。
課題1 介護難民
介護難民とは、介護が必要な「要介護者」に認定されているものの、施設に入れなかったり適切な介護サービスを受けられない65歳以上の高齢者を指します。
有識者会議の「日本創成会議」では、2015年に「2025年には全国で約43万人が介護難民になる」との予測を発表しました。
高齢化がますます進んでいく今後、誰しもが当事者に成りうる重要な課題と言えるでしょう。
介護難民問題を解決するためには、政府や地方自治体、民間企業などが協力して、介護施設や在宅介護サービスの整備を進めるとともに、介護従事者の確保や待遇改善も必要不可欠です。
また、家族や地域のボランティアの支援も大切であり、誰もが安心して高齢期を過ごせる社会の実現に向けて、取り組みが求められています。
原因と問題点
介護難民が起きてしまう理由の一つは、やはり高齢化の進展による要介護者数の増加にあります。
内閣府の「高齢社会白書(令和5年版)」によると、日本の総人口は減少しているのにも関わらず65歳以上の高齢者は年々増加しているようです。
総人口の中で高齢者が占める割合は増加を続け、2025年には人口の約3割、2060年には約4割を65歳以上が占めると言われています。
また、介護難民増加のもう一つの理由としては、やはり介護従事者の不足にあります。
介護労働安定センターの調査で、「従業員が不足している」という回答した事業所は全体の約6割に上っており、人材確保に苦心していることが分かるでしょう。
特に、介護難民が増えると予想されているのが「東京圏」と呼ばれる東京近辺の一都三県で、これは地方都市の方が介護施設が多いことが背景にあります。
このような状況から、地方都市と東京圏を含む大都市圏との介護格差が指摘されています。今後、都市圏においてはより一層の介護従事者の確保や、在宅介護を含めた地域包括ケアシステムの整備が必要不可欠となっていくでしょう。
そのためには、介護従事者の労働環境の改善や、地方都市との連携強化など、様々な取り組みが求められています。
対策
介護難民対策として国が打ち出したのが「地域包括ケアシステム」です。
これは、地域密着型で高齢者をケアする考え方で、地方自治体の「地域包括支援センター」が中心となって事業を運営しています。
必要や施設や医者を紹介してくれたり、介護の相談にも乗ってもらえるので、誰もが介護対策で利用できます。
なお、自宅で行う対策としては、以下の4点を意識すると良いでしょう。
1. 高齢者の行動に注意を払いつつ、高齢者が自発的に身体を動かすように促す
自発的に身体を動かすことで、高齢者の筋力維持に繋がり寝たきり状態になるのを予防できます。
2. 介護が必要になったケースに備えて準備する
介護の役割分担を考えたり、住宅のバリアフリーリフォームを行うなど、高齢者が元気な内に対策を進めておきましょう。
3. 要介護状態にならない内に、地方都市への移住を検討する
地方都市は介護施設が多く、受け入れ枠にも余力があることが多いので、こちらも検討する価値があります。
4. 体力維持や健康保持に留意する
自治体が主催する体操教室や認知症予防教室に参加しましょう。
少しでも自立した生活を送るためには、以上の自助努力が欠かせません。
課題2 老老介護(老人による介護)
老老介護とは、65歳以上の高齢者が65歳以上の高齢者を介護している状況を指します。
例えば、高齢夫婦間での介護や高齢の兄弟姉妹間での介護、高齢になった子がさらに高齢の親や身内の介護をするケースが該当します。
2016年国民生活基礎調査における「要介護者等と同居の主な介護者の年齢組合せ別の割合」では、2001年は65歳以上同士の場合は40.6%、75歳以上同士の場合は18.7%でした。
しかし、2016年には65歳以上同士が54.7%、75歳以上同士が30.2%に上昇しており、今後も老老介護の割合は増加していくと考えられます。
老老介護の増加に伴い、介護を担う高齢者たちの健康状態や生活環境が悪化する恐れがあります。そのため、高齢者同士の介護が必要な場合には、地域の支援や社会福祉制度の充実、在宅介護サービスの拡充などが求められます。
また、家族や身内だけでなく、地域のボランティアや介護従事者との連携も大切です。老老介護の増加に備えた介護体制の整備が、高齢者たちの生活の質を向上させ、社会全体の負担を軽減することに繋がるでしょう。
原因と問題点
老老介護の原因の一つに、日本人の平均寿命が延びたことが挙げられます。
なかなか寿命を迎えないことで、夫婦共に高齢になったり親が高齢で子どもも高齢になるケースが増え、高齢者が高齢者を介護する状態が増えてしまっています。
また、原因の二つ目に親と子どもが別々に住む「核家族」が増えたことが挙げられます。
高齢者夫婦の世帯でどちらかに介護が必要になると、在宅介護する場合は必然的にどちらかが面倒を見ざるを得ません。
また、子どもが未婚で親と同居を続ける核家族というケースでも、親子揃って高齢者となれば老老介護のケースになりえます。
こうした状況を受けて、高齢者同士の介護が必要になる場合には、家族や身内だけでなく、地域のボランティアや介護従事者の支援が必要です。
また、核家族化が進む中で、親や身内との距離が遠くなってしまうことも考えられます。このため、地域における交流や情報の共有を促進することで、高齢者たちが孤立することがないようにすることが必要です。
対策(老老介護前)
老老介護前の対策で最も大切なことは、そもそも介護状態にならないようにすることです。
そのためには、身体や頭を積極的に動かし、認知機能と運動機能を保つことを意識することが重要でしょう。
身体を動かす際には夫婦や親子で一緒に行うことでコミュニケーションが取れるので、充実度が高まります。
また、元気な内に家族間で将来について相談する機会を設けることで、自分の意志を明確に残すことができます。
施設に入る希望など、共通認識を持っておくことで、要介護状態になっても焦ることなく対応できるはずです。
さらに、地域の方々と日頃から積極的に交流することも有効です。
日常的に顔を合わせていれば、ちょっとした変化にも気づいてくれたり、必要に応じて協力をしてくれることもあるので、大きな助けとなるでしょう。
対策(老老介護後)
老老介護を防ぐためには、できるだけ早いタイミングで病院に行き、診断を受けることが重要です。
病院に行かずに我慢してしまう高齢者は多いですが、障害や認知症は気付かない内に進んでしまうものです。
そのため、少しでも違和感があると感じた場合は、躊躇せずになるべく早いタイミングで病院に行きましょう。
また、地域包括支援センターに、介護や医療について相談することも有効です。
地域包括支援センターは介護の専門家が揃っているので、各人の悩みに対して的確なアドバイスをしてくれる頼れる機関です。
要介護認定を受けている方であれば、デイサービスや訪問介護などをはじめとした介護保険サービスを利用できるので、必要に応じて活用すると良いでしょう。
要介護認定を受けていなくても、自治体独自の介護サービスや民間企業の見守りサービスを利用して、介護負担を減らすように工夫しましょう。
課題3 高齢者・老人への虐待
家庭や介護施設において、高齢者が虐待を受けてしまう事件が大きな問題となっています。
自宅でも虐待は起こっていますが、残念ながら介護施設でも少なからず起こっているのが現状です。
実際に、介護職による高齢者虐待も年々増加の一途を辿っており、厚生労働省の調査によると2015年には虐待と判断された件数が4万件を超えました。
なお、虐待と判断されるケースを具体的に挙げると、以下のようになります。
- 暴力などの身体的虐待
- 暴言やいやがらせ、無視などの心理的虐待
- 介護しない、または介護サービスを利用させないなどの介護等放棄
- 高齢者の貯蓄を使い込むなどの経済的虐待
- 嫌がる場所に触れるなど性的虐待
原因と問題点
介護は肉体的にも精神的にも大きな負担がかかるので、介護疲れが起因して虐待が起こってしまっています。
介護が長期化している場合は介護者の消耗が著しいので、周囲からの配慮が不可欠です。
特に、都市部などでは近隣との付き合いなどが少なく、介護者が一人で抱え込んでしまい、虐待の早期発見が難しい現状があります。
介護する側が病気や精神的な問題を抱えている場合、虐待に繋がりやすくなるので要注意と言えるでしょう。
また、親の老化や認知症が進み、家庭内の精神的・経済的なバランスが崩れたり、コミュニケーションが満足に取れなくなると虐待が起こりがちです。
なお、虐待には「自分は虐待をしている」という自覚が無いケースも多いです。
例えば、要介護の高齢者が脱水症状を起こしているにも関わらず「夜中に失禁すると介護が大変になるから、水分は控えさせよう」と判断すれば、これは虐待に該当します。
対策
「介護うつ」という言葉も生まれるほど、介護は家族に大きな負担を強います。
そのため、地域のコミュニティに参加したり、市町村の窓口や地域包括支援センターにいる専門家に相談して、自分の不満や不安を吐き出すことが非常に重要です。
また、必要に応じて介護サービスを活用し、少しでも負担を軽くしながらリフレッシュをする時間を作りましょう。
介護者の孤独化を防ぐためには、家族で話し合って分担したり、介護カフェなどの集いに参加して気持ちを共有することも、虐待防止の有効な手段となります。
なお、厚生労働省が出した通知によると、虐待防止の三本柱は「都道府県および市町村が速やかに実態を把握できる取り組みを強化すること」「介護に携わる関係者に対する研修等で対応を強化すること」「高齢者権利擁護等推進事業の活用」となっています。
介護うつや虐待を防止するためには、社会全体での意識の向上も欠かせません。高齢者の尊厳を尊重し、家族や地域の連携によって支え合うことが重要です。
課題4 高齢者の一人暮らし
核家族化や少子高齢化が進む日本では、一人暮らしの高齢者が増加傾向にあります。
「令和5年版高齢社会白書」によると、65歳以上の高齢者の内、一人暮らしをしている高齢者の割合は1980年は男性4.3%・女性11.2%、2020年は男性15.0%・女性22.1%でした。
つまり、以前よりも高齢者の一人暮らし率が大きく増加しており、日本の現状を踏まえるとこの増加傾向は今後も変わらないでしょう。
なお、推計では2040年には高齢者の一人暮らし率が男性20.8%・女性24.5%になると予測されており、より大きな社会問題になる恐れがあります。
高齢者の一人暮らしで起こる問題が「認知症」と「孤独死」で、認知症になると一人で日常生活を営むことが困難になります。
また、認知症を患うと近隣住民とトラブルを起こしたり、犯罪や事故などに巻き込まれてしまう危険性もあるので非常に危険です。
孤独死を嫌い、単身の高齢者の入居を断る大家もあるので、高齢者が住む家がなくなってしまう懸念も指摘されています。
原因と問題点
一人暮らしで病気やケガなどの非常事態が起きてしまうと、自力で対処できずに致命傷となってしまうことがあります。
また、要介護状態になって家の中に引きこもりがちになると、近隣住民やコミュニティにおける交流機会が減り、生きがいの低下にも繋がってしまいます。
震災や自然災害が起こった際に命を落としてしまう可能性も高く、実際に「一人暮らし高齢者に関する意識調査」でも「自然災害(地震・洪水など)」の不安を感じている割合が29.1%に上りました。
また、特殊詐欺や悪質商法などの高齢者を狙った犯罪に一人で対応できない恐れがある点も、不安要素の1つと言えるでしょう。
このような問題に対処するためには、高齢者一人暮らしの方々が安心して生活できる社会の実現が必要です。
具体的には、地域の支援やコミュニティの拡充によって、高齢者たちが孤立しないようにすることが求められます。
また、災害時における避難支援や、特殊詐欺や悪質商法に対する啓発活動なども重要です。
さらに、ICT技術を活用した防災対策や介護支援など、新しいサービスや取り組みの開発も進めることで、高齢者たちが安心して生活できる社会を実現することができます。
独居老人の孤独死問題
一人暮らしをしている老人が最も気を付けなければならないのは、孤独死です。
発見が遅れると近隣住民に迷惑がかかるだけでなく、遠くに住んでいる親族にも影響が出る恐れがあります。
なお、東京都監察医務院が公表している東京23区内の孤立死者数は、2003年は1,451人でしたが2015年には3,127人に倍増しています。
データ上からも分かる通り、高齢者の一人暮らしでは孤独死は誰にも起こりうるので、できる限りの対策をしておく必要があるでしょう。
対策
高齢者の認知症や孤独死をできる限り防ぐためには、家族だけでなく国や社会全体での取り組みが欠かせません。
同居して暮らすことがベストな方法ですが、各家庭が独立している場合は現実問題として難しいでしょう。
この場合は、民生委員や地域包括支援センターに相談したり、介護保険制度のサービスを利用することを検討しましょう。
また、多くの企業が見守りサービスを展開しているので、様々なサービスの利用を検討して対策を講じていきましょう。
さらに、社会との接点があれば何かアクシデントが起きた際に誰かが気付いてくれる可能性が高まるので、高齢者が社会との接点を持つように働きかけることも大切です。
なお、厚生労働省は「認知症高齢者の現状(平成22年)」の中で「社会全体で認知症の人びとを支えよう」という提言をおり、様々な案を出しています。
例えば、
- 近所の住民が定期的に見守る
- 国や自治体の支援を要請する
などです。
以上のように、地域住民が「自分事である」自覚を持ちながら高齢者を見守り、支え合う姿勢が重要と言えるでしょう。
認知症の方にも積極的にコミュニケーションを取り、日常生活や利用するサービスに関しての選択肢を提供することで、彼らの自己尊重と生活の質の向上が図られるので、このような支援の取り組みに加えて、高齢者自身の意思を尊重し、自己決定を促すことも重要です。
課題5 成年後見人のトラブル
「成年後見制度」とは、認知症などで判断力が衰えてしまった人の権利や財産を守るための制度です。
家庭裁判所が「成年後見人」を選び、被後見人を保護・援助する仕組みとなっています。
成年後見人の主な役割は、被後見人に代わって財産を管理することで、幅広い権利が付与されています。
基本的には信頼できる素晴らしい制度ではあるものの、残念ながらトラブルも多いです。
横領をはじめとする後見人による不正行為で毎年数十億の被害が発生しており、100%安全とは言えない点には注意が必要です。
原因と問題点
成年後見人の主な役割は、被後見人の財産を適切に管理することです。
しかし、後見人の立場を悪用して権限を乱用したり、被後見人の財産を自分のために使ってしまったりなど、トラブルは毎年のように起きており、ひどいケースだと相続争いに発展してしまうものもあります。
なお、内閣府のデータによると、不正・被害の9割以上は親族が後見人であるケースで起こっています。
「親のお金だから問題ない」「自分の生活費として自由に使ってもいいと思っていた」など、悪意の有無に関係なく後見人としての責任や義務についての知識が不足していることが原因で発生しているのが実態です。
制度の趣旨や目的についてしっかりと理解し、健全に利用することが重要と言えるでしょう。
対策
親族が成年後見人になると、財産管理を行うという重い責務を果たしている以上、財産を独占したり自分の権利を必要以上に主張したりする傾向にあります。
このようなトラブルを防ぐためには、まず成年後見人を親族以外に任せることが挙げられます。
例えば、弁護士・司法書士・税理士などの専門家であれば親族間での財産トラブルは回避できるメリットがあります。
成年後見人は、管理する財産の全容や使途・収支を明確にして家庭裁判所に報告することが義務付けられていますが、これらの煩雑な手続きを専門家に任せられる点もメリットと言えます。
また、判断能力を喪失する前に、家族信託や任意後見人の手続きを進めて「自分が信頼できる人」を後見人に指名しておくことも、トラブル回避方法として挙げられます。
課題6 要介護者の増加
高齢者人口の増加に伴い、要支援・要介護認定を受ける人の数も増加しています。
介護人材不足が解消されないと、介護を必要とする老人が必要な介護サービスを受けられない状況になりかねません。
実際に、高齢者人口の増加と共に介護保険制度における要介護又は要支援認定を受けた人は増加しており、令和2年の要介護者は約668.9万人でした。
要介護者のいる世帯では核家族世帯や単独世帯が多く、介護を担っているのは配偶者や子どもであるケースも非常に多いです。
なお、同居の介護者が要介護者を介護しているケースでは、70~79歳の要介護者を70~79歳の介護者が介護をしている割合が48.4%となっており、老老介護が約半数を占めていることが分かるでしょう。
また、要介護者と介護者の年齢の組み合わせ別の割合を見てみると、平成28年(2016年)における「60歳以上同士」は70.3%・「65歳以上同士」は54.7%・「75歳以上同士」は30.2%という結果でした。
現在、60歳以上同士の要介護者・介護者が年を重ねていくと、65歳以上同士の要介護者と介護者の組み合わせ割合はさらに増えることが予測できるわけです。
原因と問題点
平均寿命が延びたことに伴い、介護が必要となる期間も長くなっています。
健康寿命も増加傾向が見られるものの、平成28年(2016年)では平均寿命が男性80.98歳、女性87.14歳であるのに対して、健康寿命は男性72.14歳、女性74.79歳でした。
つまり、データ上の「介護が必要となる期間」は、男性は8.84年・女性は12.35年となります。
施設を利用するための準備を進めていても、介護者の年齢が低いと入所の順番待ちをすることになり、待っている間に老老介護に突入するケースも出ています。
さらに、強いストレスは認知症を引き起こす原因にもなるため、ストレスを感じやすく周囲から孤立している老老介護ほど認認介護に陥りやすいので要注意です。
対策
対策としては、「要介護になった際も安心できる」ように備えておくことです。
例えば、要介護状態を予防するために健康意識を高めたり、睡眠・食事・運動に関する正しい知識と習慣を定着させることは非常に効果的です。
このように、日々の生活習慣を見直して介護状態になっても周囲に迷惑をかけない状態にすると良いでしょう。
また、介護状態になる前に施設をピックアップしておいたり、住宅のリフォームを行うなど、ハード面の整備も効果的です。
さらに、万が一要介護状態になった場合に備えて、家族や関係者とのコミュニケーションを深め、介護に関する希望や意思を事前に話し合うことも重要です。
事前に家族や信頼できる友人との間で介護に関する計画を共有し、具体的なサポート体制を整えることで、介護の負担やストレスを軽減することができます。
課題7 同居介護者の介護負担の増加/介護離職
平均寿命が延びたことで、介護が必要な期間も長くなっています。
つまり、介護者の負担が増加しているので、今後もますます介護者の負担は重くなっていくでしょう。
令和元年(2019年)では、平均寿命が男性81.41歳・女性87.45歳だったのに対して、健康寿命は男性72.68歳、女性75.38歳でした。
つまり、介護が必要となる期間は男性の場合8.73年・女性の場合12.07年なので、長年に渡って介護が必要であることが分かります。
なお、介護時間が「ほとんど終日」という割合は、
- 要介護2
- 7%
- 要介護3
- 5%
- 要介護4
- 8%
- 要介護5
- 7%
以上のような結果になっており、要介護度が上がるほど同居家族の負担が重くなっていることが分かります。
介護負担が増加することで介護離職を引き起こしてしまい、保険料の払い手が減ってしまう問題も発生します。
その結果、将来的な介護サービスの質の低下に繋がってしまうので、介護離職の防止は大きな問題と言えるでしょう。
原因と問題点
生涯に渡って在宅での介護を望む高齢者は多いですが、それでは同居家族の介護負担が重くなってしまいます。
厚生労働省の令和4年(2022年)の発表では、特別養護老人ホームの入所申込者は27万5千人となっており、施設にすぐに入れずに待機している方がまだまだ多いのが実情です。
つまり、待機期間が長期間すると介護離職を迫られる人が増えるので、この点も大きな問題点と言えるでしょう。
受け入れ体制や介護職員の質など、まだまだ準備が整っていない施設が多いので、介護人材を確保し質を高めることが非常に重要です。
身体的負担
介護は身体的な負担が非常にも大きく、腰痛や首痛など様々な問題を引き起こします。
起床時や体位の変更、入浴介助など要介護者の身体を持ち上げたり支える機会が一日の中で何度も繰り返されるので、大きなストレスとなります。
また、在宅介護には休みが無いので体への負担が大きく、自身の肉体的な健康を損なってしまうことも少なくありません。
また、夜間もトイレ介助やおむつ交換のために十分な睡眠を取れず、体力を十分に回復できない人も多いです。
経済的負担
介護離職における最も大きな悩みは、安定した収入が途絶えることで生じる経済面での不安・負担です。
離職して介護に専念すると、収入源が無くなってしまうので経済的に困窮する世帯も少なくありません。
介護保険を活用しても貯蓄が削られてしまうので、大きな不安となるでしょう。
経済的負担を改善するために、生活レベルを落としたり生活スタイルを変える家庭は多いですが、これでは家族全体にも負担がかかってしまいます。
また、介護離職後になかなか再就職できないケースも多いので、介護開始の前後で負担が大きいことが分かります。
精神的負担
介護は、肉体的・経済的不安の他にも精神的な負担があります。
長時間・長期間に渡って要介護者と向き合うことになるため、他人とコミュニケーションを取る機会も減り、地域内で孤立してしまうケースも少なくありません。
また、自分の時間を取れずにリフレッシュする機会も奪われ、塞ぎ込んでしまうケースも多々あります。
介護の悩みを相談できる相手がおらず、一人で抱え込んでしまう人も多いので、これらは喫緊の課題と言えるでしょう。
対策
介護離職を防ぐための対策としては、介護休暇制度や介護休暇制度の促進が考えられます。
企業が介護に重要性・不安の重さに理解を示すことが非常に重要で、また併せて介護休業給付も活用すると良いでしょう。
職場内で連携して、介護による勤務時間短縮などの介護者を助ける仕組みを作ることも重要で、これらの支援を受けることで「自分は一人ではない」と感じることができるでしょう。
また、カウンセラーなどを設置して、介護に関する悩みを相談できる体制や機会を整備することで、従業員が「辞めるしかない」と判断することを防ぐことができます。
国が介護離職を防ぐ制作を具体的に明言し、企業に協力を求めることで世間でも認知度が高まっていくでしょう。
課題8 認認介護
「認認介護」とは、介護する側と介護を受ける側の双方が認知症を発症してしまっている状況を指します。
介護を受ける側の方が重い症状を抱えていることが一般的ですが、介護する側の認知症が悪化してしまうと、そもそも在宅介護が成り立たなくなる恐れがあります。
老老介護や認認介護において、介護殺人や介護心中などの悲惨な事件は起こりやすくなってしまうので、これは非常に大きな問題と言えます。
恐ろしいことに、殺人を犯しても認知症が悪化していると判断能力を喪失しているので、殺人自体を覚えてないというケースも有り得ます。
原因と問題点
認認介護が増加している背景には、医療の進歩に伴う平均寿命の伸びが挙げられます。
平均寿命が延びることで健康寿命との差が大きくなってしまい、それに伴って老老介護と認認介護の増加が起こってしまっています。
平均寿命が延びても健康寿命が同じレベルで伸びるとは限らないため、平均寿命が伸びると認知症を発症するリスクも高まり、認認介護が増えてしまうのです。
また、核家族化が進んだことも認認介護の増加の原因として指摘されており、高齢夫婦のどちらかが要介護状態になったときには、もう一方が介護をしなければなりません。
序盤は介護が成り立っていても、介護する側が認知症になると被介護者の服薬管理や体調管理などが十分にできなくなり、徐々に介護生活が破綻してしまうのです。
対策
現在、残念ながら老老介護や認認介護を予防するための行政のサポートは存在しません。
現状は、ケアマネジャーが状況を察知して介護者の負担を減らすためのケアプランを作成するなど、個別対応に頼らざるを得ません。
なお、介護サービスを利用していない介護予備軍においては、地域包括支援センターがサポートを担当しているので、早い段階で相談することが重要です。
子どもがいない夫婦においては、安否確認ができる見守りサービスの強化や老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅へ入居する選択肢もあるので、こちらも併せて検討するべきです。
課題9 介護業界の人材不足
少子高齢化が進んでいる状況の中で、介護業界の人材不足は特に深刻です。
データによると、介護労働者の割合は年々約1.0%ずつ上昇しているものの、高齢者の増加には追いついていないので完全に供給不足となっています。
また、介護業界は特に高齢化が進んでいる業界でもあり、介護職員の中で60歳以上の割合は21.6%にも上っています。
ただでさえ人材不足であることに加えて、介護人材の高齢化が進んでいる点も、介護業界を悩ませている大きな課題と言えるでしょう。
原因と問題点
介護人材が不足している原因としては、やはり介護職がきつい印象がある点が挙げられます。
状況を改善するためには、介護業界に対するネガティブなイメージを払拭することが介護業界の喫緊の課題と言えるでしょう。
特に、「介護は専門的なスキルが必要なのでは?」と考えている若手人材や未経験人材にとって、介護職はかなり高いハードルだと思われがちです。
また、介護職員の待遇を改善する事も非常に重要な課題です。
残念ながら介護職の給与は低く、介護福祉士の推定平均年収は330万円は全業種を平均した440万円と比べると、大きな開きがあることが分かるでしょう。
さらに、人間関係のストレスが多い点が介護業界の特徴です。
介護の現場では、要介護者や要介護者の家族はもちろんのこと、医療機関スタッフなどの様々な人と関わるため、他の業界よりも人間関係に関するストレスを感じやすいです。
「職場のスタッフとの関係が悪い」「介護者が言うことを聞いてくれない」「他の医療機関スタッフと意見が食い違う」などの悩みを抱えている介護スタッフは多いので、ストレスを感じやすい職種と言えます。
対策
働きやすい労働環境を整備し、労働者ファーストで事業を運営することで、介護業界の離職率低下を実現できるでしょう。
特に、介護は身体的な負担が大きいので、健康維持のために様々な工夫が必要となります。
具体的には、ITシステムを導入して業務を効率化したり、ユニットケアを導入することなどが挙げられます。
近年はスタッフの負担を軽減するために介護ロボットを導入する施設も増えているので、良い兆候と言えるでしょう。
また、介護人材を増やすという観点からは、外国人の介護人材を受け入れることも有効です。
受け入れる施設側も、ビザの取得などの専門的な諸手続きを専門業者に相談したり、周囲のスタッフへの理解を呼びかけるなど、様々な準備を進めることが重要です。
スタッフの介護のスキルと質を高めるためには、資格取得の補助制度を整えることも方法の一つとして挙げられます。
例えば、国家資格である社会福祉士取得のために国や自治体・企業が出資したり、一般教育訓練給付制度を活用した資格取得を奨励するなど、労働者をバックアップする体制の整備は欠かせません。
課題10 高齢化社会化による社会保障財源の枯渇
社会保障費の財源は社会保険料収入と公費で賄われていますが、近年の社会保障費は右肩上がりです。
つまり、社会保険料収入では賄うことができず、実態としては半分近くを公費で賄っています。
残念ながら、少子高齢化が進む日本では、社会保障費の財源を確保するのは容易ではありません。
2040年には、社会保障給付費は190兆円に達すると推計されており、国民への負担も大きくなる予測されています。
シニアの働き手を増やしたり、外国人労働者を増やすなどの対応を進めてはいますが、現状を改善するのは現実的ではありません。
右肩上がりで増加し続ける社会保障給付費は、税金と借金に頼らざるを得ないので、やはり国民の負担は徐々に重くなっていくことを覚悟する必要があります。
原因と問題点
内閣府の調査による、2040年度における社会保障給付費の分野別の内訳を見てみましょう。
- 年金が73兆円
- 医療が68兆円
- 介護が24兆円
- 保育が13兆円
なお、これらの数字は2018年度時点と比べると、年金が1.3倍、医療が1.7倍、介護が2.4倍、保育が1.6倍となっています。
また、2040年は1974年生まれまでの「団塊ジュニア世代」が全員が65歳以上となるので、65歳以上の年齢構成比が一気に増えると予想されます。
つまり、このままだと現役世代が高齢者世代の生活を支えきれないので、「社会保障制度が成立しなくなる」と危惧する専門家も存在します。
国債に頼った国家運営を余儀なくされると考えられますが、これにより将来世代の負担が増してしまうのは言うまでもありません。
対策
日本で老後を過ごす場合、将来的に社会保障が縮小されてしまうことは覚悟しておくべきです。
その上で、自分の理想とする老後の生活を送れるように、早い段階から老後資金を確保する計画を立てることが必要となります。
なお、最も手っ取り早く確実な方法は「長く働くこと」です。
どのような状況でも、自分のスキルや知識を生かして就労することで、生き生きとした生活を送ることができ、要介護状態から遠ざかることができます。
また、日頃から将来のキャリアプランをしっかりと練り、65歳以上になっても一定の収入を得られるよう、収入源を複数確保しておくと良いでしょう。
資産運用という面では、個人の投資を後押しするための制度が整備されていますので、それらを活用するのも良いです。
長期間に渡って老後資金を準備する制度として、iDeCoや積立NISAなどが挙げられますが、これらは税金面で優遇措置を受けられる優れた制度です。
「投資の種銭ができたら投資を始める」のではなく、「投資の種銭を作るために生活費を見直す」ことが重要です。
投資は早く始めれば複利効果を得られるので、できる限り早く始めると良いでしょう。なお、利息の計算方法には単利法と複利法があるので、計算方法の違いはしっかりと理解しておきましょう。
iDeCoや積立NISAの他にも、会社員・公務員の人であれば財形貯蓄や団体年金などの財産形成制度が設けられていることがあるので、チェックしてみてください。
これらは給与天引きで着実に老後資金を計画的に準備できるので、リスクを取りたくない人におすすめです。
一方で、自営業者であれば国民年金基金や小規模企業共済を活用できるので、これらを活用しましょう。
掛金の所得控除の措置を受けられるので、節税効果を得ながら老後資金を確保できる優れた制度です。
介護問題に対して今からできることは?
こちらのトピックでは、自分自身や家族に対してできる介護問題への対策について解説していきます。
周囲と介護について話し合う
介護に関する悩みを一人で抱えるのは非常に危険です。
介護生活のストレスを減らしてトラブルを未然に防ぐためには、「ひとりで抱え込まないこと」が重要です。
知り合いや地域包括支援センターなど、積極的に介護に関する悩みや不安を相談して共感を得ましょう。
また、認知症になる前や軽度の認知症の段階で、家族に対して自分の意志を伝えておくことも大切です。
家族信託や任意後見人制度を利用するかどうか、施設に入る場合はどの施設を利用するか、介護費用をどのように工面するかなど、家族が冷静に対応できるように備えておきましょう。
家族でよく話し合っておくことで意思が明確になり、介護者の不安や心配を減らすことができます。
普段から積極的な運動と適切な食事・コミュニケーションをとる
認知症を予防するためには、普段から積極的に運動して食事やコミュニケーションを楽しむことが重要です。
介護に頼ることなく健康に過ごすためには、日々の生活習慣を整えることがポイントとなります。
「食事」「身体活動」「社会参加」の3点を常に意識して、心身ともに健康をキープできるように心掛けましょう。
具体的には、適度な運動を日々の生活に取り入れて、栄養バランスの良い食事を3食しっかり摂ると良いです。
バランスの取れた食事と適度な運動を毎日の生活に取り入れると、筋肉量を維持することができ、心の健康にも良い影響を与えてくれます。
その結果、病気やケガの予防にも繋がるのでメリットだらけと言えるでしょう。
意識的に趣味を楽しんだり、ボランティアなどのコミュニティに参加してコミュニケーションを図ることは心身の両面から介護の進行予防に役立つので、ぜひ実践しましょう。
利用できる制度やサービスを調べる
高齢化社会の進展に伴って、介護施設をはじめとした介護サービスのニーズが高まっています。
その結果、様々な介護サービスが提供されているので利用できる制度やサービスについて知っておくことも重要です。
また、自宅で介護をするのであれば、要介護者だけでなく介護者の負担を軽減できる工夫が欠かせません。
補助金を活用して家をバリアフリー化したり、福祉用具をレンタル又は購入することで、介護の負担を軽減できるでしょう。
最近は、高さや角度の調整ができる介護ベッドや車椅子での移動を助ける電動リフトなど、介護現場でも導入されている便利な器具が多くあります。
活用できるものはフル活用して、できるだけ少ない負担で介護を行えるようにしましょう。
介護施設について知識を深める
在宅介護を望む人は多くいますが、現実的な判断をする必要性があることも理解しましょう。
介護者の状態などを含めてトータルで判断すると、すべての人にとって在宅介護がベストな方法とは限りません。
場合によっては、施設へ入居した方が安心して過ごせる可能性があるので、ぜひ利用を検討しましょう。
介護度が高いと介護者の負担が大きくなってしまうので、長期化すると介護が破綻してしまう恐れがあります。
また、24時間付き添いが必要になると、夜も満足に睡眠時間が取れない状況になってしまうので、体力的に限界を迎えてしまうことも少なくありません。
医療のケアが必要な場合は、施設へ入居した方が安全で健康的な生活が送れる可能性が高いので、無理に在宅介護にこだわるとは危険です。
学研ココファンの介護施設の特徴は?
学研ココファンのサービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームでは、介護の負担を抑えられる充実のサービスを受けることができます。
さらに、入居一時金が0円であったりと、費用を抑えて入居をすることも可能です。
「できる限りコストパフォーマンスに優れた介護施設を選びたい」「必要なサービスだけを厳選して利用したい」と言う方に特におすすめですので、ぜひチェックしてみてください。
ココファンの介護施設を探してみる!8050問題とは
8050問題とは、80代の親が50代のひきこもっている子どもを支える状況を表したもので、こちらも高齢化社会における大きな社会問題となっています。
子どもが何らかの理由で中高年になっても引きこもっている状態で、親が要介護状態になってしまうケースも少なくありません。
親が介護状態になってしまうと、親子ともに共倒れしてしまう事故は多いので、何としても避けなければなりません。
「50代になっても引きこもりである」ということを打ち明けることができず、社会的に孤立してしまう家庭は多いので、やはり行政と地域が困っている人に気付き支える制度は欠かせません。
「ひきこもり地域支援センター」や「生活困窮者支援窓口」などの行政窓口で相談することができるので、成人した引きこもりの子がいる場合は相談してみるといいでしょう。
また、今後は高齢化社会の進展に伴って8050問題から「9060問題」に発展する可能性も危惧されているので、何らかの対策を講じなければなりません。
8050問題の対策
8050問題で親子の共倒れを防ぐためには、何らかの事情で働けない状況にある子が生涯に渡って生活できる資金計画を考えておくことが重要です。
親子とも経済的に困窮が極まてしまった場合の対処法としては生活保護の受給が真っ先にイメージされますが、その前にある程度の対策を講じておくことで、80代の親も安心して生活できるでしょう。
様々なケースはあるものの、親が80代で子が50代のケースで親の余命を考えた場合、公的制度も最大限活用することを想定すれば2000万円~2500万円の資金確保が一つの目安となります。
しかし、ひきこもりの子が生涯暮らせる資金があると、就労意欲を削いでしまう点が懸念されているのも事実です。
子供の就労意欲のサポート
引きこもり状態にある場合、何らかの精神的な問題を抱えているケースがほとんどです。
資金計画を立てずに、そのような精神状態にある子に向かって「働くなら月収10万円を稼がなければならない」と伝えてしまうと、子が重圧に感じてしまうことがあります。
そのため、目標月収を「1万円~2万円程度でいい」などのようにハードルを下げてあげると、就労へ前向きになってくれることが多いです。
精神状態や体調が悪化しても、子が安心して生活できる基盤づくりが重要なのです。
資金を確保する方法
2,000~2,500万円の資金を確保したり、子が残されても安心して生活するためには努力と工夫が欠かせません。
無駄な支出を徹底して削ったり、子が自炊などの日常的な生活を送れるように教えておく必要があるでしょう。
また、病気次第では子が障害年金を受給できる可能性があるので、これらの公的制度についても綿密に調べておくといいでしょう。
子が一人で手続きを進められるか不安な場合は、親が元気な内に役所や年金事務所に行って手続き方法について調べ、子に伝えておくと安心です。
これらの公的制度と併せて親が残した貯蓄を取り崩すことで、残された子が悲惨な最期を迎えるリスクを下げることができます。
制度について正しく把握し、収支管理や生活コストを下げるための工夫を伝えて、少しでも安心して生活を送れるようにしましょう。
在宅介護のサポート
在宅で介護をする人をサポートし、孤立を防ぐために手帳を用いた取り組みが進んでいます。
民間支援団体が啓発と普及を進めている「在宅手帳」では、介護者の不安な気持ちを吐露する日記として活用されています。
民間の支援団体である日本ケアラー連盟は作成した「ケアラーのバトン」では、要介護者の認知症や障害の程度、アレルギーの有無などを書き込むことができ、現状を整理するためのツールとして役立っています。
介護者は介護の仕事の忙殺されがちで、なかなか自分のことにまで意識が向かないのが実情ですが、このような手帳を用いて「介護を見える化」することは重要です。
他者と介護に関する悩みや問題点を共有することで、精神的な悩みを和らげストレスを軽減できる効果が期待できます。
また、NPO法人の介護者サポートネットワークセンター・アラジンは自治体や民間の支援サービスなどの介護者が必要な情報を自由に書き込める「在宅介護者手帖」の啓発と普及に力を入れています。
これらの新しい介護問題対策に加えて、自治体の窓口や地域包括ケアセンターで相談することで、有益な情報を得られます。
今後ますます増えていくと考えられる介護者をサポートするツールを有効活用すれば介護の悩みを大きく軽減できるので、これらの情報も集めてみると良いでしょう。
介護問題の原因や対策についてまとめ
- 介護施設に入れない老人がますます増えるなど、様々な問題が指摘されている
- 原因や背景を知り、対策を知っておくことが重要
- 介護離職の問題は特に大きいので、できる限り避けよう
- 孤立化を防ぐためにも、知人や行政機関を活用して相談することを心掛けよう
高齢化社会にある日本において、介護問題を解決することの重要性は高まっています。
多くの介護問題が表面化していますが、対策や対応方法についての知識を持っておくことで、冷静に対処できるでしょう。
介護問題は誰しもが直面する可能性があるので、こちらの記事を参考にして対策を練っておきましょう。
この記事は専門家に監修されています
介護支援専門員、介護福祉士
坂入郁子(さかいり いくこ)