小田原市の老人ホームの特徴
小田原市の老人ホームの特徴について、小田原市の地理的特徴や、介護者数、介護施設数などを元に紹介していきます。
小田原市の地理的特徴と介護施設の特徴
小田原市の地理的特徴
神奈川県の西部に位置する小田原市は、戦国時代から城下町として発展した地域です。
江戸時代には宿場町として栄え、小田原城を有するなど、長い歴史と伝統や文化が根付く市でもあります。
温泉地としても有名な、神奈川県の箱根町に近いところに位置し、小田原市も観光客で賑わっています。
小田原市ホームページによると、小田原市の人口は、2020年9月時点で189,038人と発表されています。
小田原市は、箱根連山に繋がる山地が西部に広がり、南部は相模湾に面しており、山と海がある自然豊かな地域です。
また、バスなどの公共交通機関も発達しているため、高齢の方にとっても移動に便利な地域です。
都心へのアクセスも良好なため、幅広い世代で住みやすい土地であるといえます。
介護施設の特徴
小田原市は、暮らしやすい気候や、都市部からのアクセス良好な点、街中に史跡が多く残る文化的背景もあり、近年は定年退職後に移り住む方が増えている地域です。
高齢者人口もおだやかですが増加傾向にあるのは、こうした移住者が増えているといった背景もあります。
そのため介護施設や介護サービスは充実しているのが特徴です。
高齢の方向けの介護予防教室なども積極的に行われており、細やかなサービスが期待できます。
介護施設の費用はやや高い傾向がありますが、都心より価格は抑えられます。
小田原市の介護施設価格概観
小田原市にある、ココファンが運営する介護施設の入居金と月額費用を、全国の平均値と中央値を比較してみました。
<入居金>
地域 |
平均値 |
中央値 |
小田原市 |
80,000円 |
53,333円 |
全国 |
297,256円 |
194,500円 |
<月額費用>
地域 |
平均値 |
中央値 |
小田原市 |
152,975円 |
142,300円 |
全国 |
169,518円 |
158,250円 |
全国平均と比較すると、入居金は平均値・中央値どちらを見ても半分程度と、安い傾向があります。
一方で月額費用は、平均値・中央値を見ても同等程度になるなど、比較的高い傾向があることがわかります。
小田原市の高齢者人口
上記の画像は、小田原市が発表している、各年代の1月1日時点での高齢者数と高齢化率をまとめたものです。
小田原市の発表によると、2020年の高齢者人口は57,039人となっています。
また上記の表からもわかるように、小田原市の高齢者数と高齢化率は年々増加傾向にあります。
また、定年退職後の方の移住が増えていることで、想定よりも高齢化率の上昇が早まっているとの見解もあります。
団塊の世代が後期高齢者に突入することもあり、今後も小田原市の高齢者人口は増加傾向が続くとみられ、2040年には高齢化率が36.9%になると予想されています。
小田原市の介護保険事業者・施設の状況
小田原市の介護保険事業者と介護施設について、下記にまとめました。
<小田原市の種類別施設数>
種類 |
施設数 |
75歳以上千人あたりの施設数(小田原市) |
75歳以上千人あたりの施設数(全国) |
訪問型介護施設数 |
79 |
2.69 |
3.02 |
通所型介護施設数 |
95 |
3.23 |
3.09 |
入所型介護施設数 |
36 |
1.22 |
1.96 |
特定施設数 |
16 |
0.54 |
0.30 |
居宅介護支援事業所数 |
51 |
1.73 |
2.17 |
福祉用具事業所数 |
16 |
0.54 |
0.73 |
介護施設数(合計) |
293 |
9.97 |
11.31 |
小田原市の介護施設は、全体を見ると全国平均より低くなっています。
特に入居型介護施設と、居宅介護支援事業所数が少ない傾向にあります。
通所型介護施設は全国平均より若干多いです。
小田原市の要介護認定者数
第8期おだわら高齢者福祉介護計画(2020年10月)によると、小田原市の要介護認定者数は、2021年に7,632人、2025年の推計値は8,603人、2040年には9,867人と推移すると予想されています。
高齢者人口の増加にともない、要介護認定者数も増加し続けると予想され、介護施設の充実が急務となっています。
小田原市の介護サービスについて
小田原市の介護計画では、「ともに生きる活力ある長寿・福祉社会をめざして」という基本理念のもと、様々な施策を展開しています。
高齢者がいきいきと活動出来る環境づくり
高齢者がいきいきと活動できる環境を作ることを目的とし、高齢者の社会参加や就労を支援すること、ボランティア活動の推進といった、高齢者の生きがいになる活動作りをサポートしています。
外出機会の増加など、地域で取り組みを作っています。
昨今の感染症対策の観点から、新しい生活様式を取り入れ、衛生環境の配慮をすることや、オンライン配信などの活用と、対面による支援を両立させることを新たな取り組みとして検討されています。
高齢者の介護予防と健康づくりの推進
高齢者の介護予防を推進する取り組として、健康教育を進めたり、総合事業として介護予防サービスの提供などを行っています。
介護予防に関する取り組みを推進することで、人材確保が急務となっています。
新たな人材として、若い人や外国人を含めた働き手の確保と、定着支援を実施しています。
地域における高齢者支援体制を強化する
- 地域包括支援センターの運営
- 介護と医療の連携
- 認知症に対する支援施策
- 高齢者の見守り
- 高齢者の虐待に関する対応
このような支援体制を強化するとともに、自立に向けた意識啓発を、パンフレットによる情報開示や、情報発信ツールとして活用したり、各種メディアを活用した、積極的な活動を行っています。
保険給付事業の円滑な運営
介護保険を利用した、施設サービス、居宅サービス、在宅サービスなどの提供を迅速かつ円滑に、適切に行うための取り組みを実施しています。
そのためのケアマネジメント技術の向上を目的とした研修や、技術向上のための支援を行っています。
小田原市の地域包括ケアシステム
地域包括ケアシステムは、高齢になっても、介護が必要な状態であっても、住み慣れた地域で生活できるようにする、地域の取り組みのことを指します。
小田原市では、常設の交流拠点として、ふれあい処ひとやすみを運営しています。
ふれあい処ひとやすみでは、地域住民の交流の場としての機能のとして活用されています。
他にも、地域包括支援センターや医療機関、介護保険事業所の相談機能としても連携がされています。
また、地域ニーズの把握や住民による見守り活動を行う、地域資源の育成や支援機能を設けており、こうした地域資源の活用では、民生委員や自治会、ボランティアなどが連携して取り組んでいます。
小田原市高齢者のための福祉ガイド
小田原市では、高齢の方や、介護する家族が受けられるサービスなどを記載した*高齢者のための福祉ガイドという冊子を作成しています。
- 高齢者の生きがいつくり
- 社会参加促進
- 高齢者施設
- 介護予防
- 高齢者の健康
こうした内容の他に、介護保険の制度や生活支援、家族のための支援などがまとめられた冊子です。
高齢者のための福祉ガイドは、市役所ホームページから無料でダウンロードすることが可能です。
冊子で手にしたい方は、市役所の高齢介護課、各タウンセンター、アークロード内市民窓口、地域包括支援センターなどで入手することが出来ます。
胃ろうの方の老人ホーム選びのポイント
この記事は医師に監修されています
中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長
矢野 大仁 先生
胃ろうを行っている方が、老人ホームを選ぶ際に重視すべきポイントについて解説します。
そもそも胃ろうでも老人ホームに入れるの?
2012年頃までは、老人ホームの約70%で胃ろうの方の受け入れを制限していました。
その要因は、胃ろう対応出来る環境が整っている老人ホームが少なかったためです。
しかし、2012年に行われた介護保険法の改正により、現在は胃ろう対応が出来る老人ホームが増加してきています。
とはいえ、胃ろうのケアは看護師や医師が行う医療行為であるため、どこの老人ホームでも受け入れられるわけではないのです。
胃ろうの方の老人ホームへの入居は、近隣の医療機関との連携や、介護職員の人員体制、看護師等医療職員の配置、老人ホームの設備といった、老人ホームの受け入れ体制が整っていることが条件になります。
胃ろうの方や、体調に不安がある方は、希望する老人ホームの医療の連携、介護体制について十分に確認した上で入居を検討しましょう。
胃ろうの基本情報
胃ろうについて、詳しく解説していきます。
胃ろうが必要な状態
胃ろうが必要になるには、下記のような状態にあることが考えられます。
寝たきりの状態で起こる床ずれの原因の1つとなるのが、栄養不足があります。
胃ろうで足りない栄養を補うことで、床ずれの悪化を防いだり、場合によっては体の機能回復に繋がることがあります。
認知症や意識障害、脳血管疾患や神経筋疾患などの影響で口から食べることが難しい場合や、点滴では栄養が不足するときに胃ろうで対応することがあります。
加齢や病気の影響で、嚥下機能が低下した場合に、誤嚥を防ぐ目的の1つとして胃ろうで対応することがあります。
腸ろうの場合
腸ろうは、お腹に小さな穴を開けて、そこから小腸まで栄養を通す管(カテーテル)を通し、直接小腸まで栄養を送る処置です。
本来は胃ろうで対応することが多いですが、胃がんなどの理由で胃ろうを作ることが出来ない患者さんへの処置として、腸ろうを作ることが多いです。
介護的なケアは胃ろうと同じように行うことが多いですが、腸ろうの場合は胃ろうよりゆっくりと栄養を流さなくてはならず、時間と手間がかかります。
人員確保の面で、受け入れが難しい施設が多いのが現状です。
その他の経管栄養の場合
経管栄養は、口からの食事が難しくなった場合、胃までカテーテルを通して栄養を送る方法です。
胃ろうも経管栄養の1つです。
胃ろう以外では、鼻から胃までカテーテルを通す、経鼻経管栄養などが代表的です。
経鼻経管栄養の場合は、手術をすることなく行えるので、身体機能の回復により取り除くことも可能です。
胃ろうも経管栄養の1つですが、経管栄養の方の受け入れを容認している施設でも、胃ろうの方の受け入れをしていない場合があるため、注意が必要です。
胃ろうの方の在宅介護は非常に大変
胃ろうは誤嚥の心配がなくなり、介護が楽になると言われることがあります。
楽になる部分ももちろんありますが、家族による胃ろうの管理は、非常に大変です。
管理が不十分だと、感染症などのリスクもあります。
本人の状態を悪化させてしまう可能性も考えられます。
そのため、介護サービスを利用するなどして、プロに任せることも必要です。
胃ろうのメリット
胃ろうのメリットとして、主に以下のようなものが挙げられます。
栄養素の確保がしやすい
胃ろうの最大のメリットともいえるのが、栄養素の確保がしやすいという点です。
口から食べることが困難になると、必要な栄養素が不足しがちです。
胃ろうの場合は、胃に直接送り込むことが出来るため、必要な栄養素を確保したり、必要なカロリーを摂取することに役立ちます。
口から食事もできる
口から食べることが困難になった方が胃ろうの処置をすることが多いですが、胃ろうの方も口から食事をすることが出来ます。
胃ろうは腹部にあるため、喉や食道にカテーテルが通っていない分、経鼻経管栄養などと比べると口からの食事はしやすいと言えます。
また、嚥下訓練もしやすい特徴があります。
洋服で隠すことができる
胃ろうは腹部についているため、洋服を着てしまえば見た目では胃ろうがあるかどうか分からない点がメリットといえます。
鼻からカテーテルを通す経鼻経管栄養は、隠すことが難しく、違和感などから引き抜いてしまう方もいますが、胃ろうは目立ちにくく、引き抜く心配が少ないというところがメリットです。
運動やリハビリへの影響が小さい
胃ろうがあっても、基本的な運動やリハビリで体を動かすことは可能です。
胃ろうは洋服で隠すことが出来る点や、カテーテルが見えていないことからも、運動やリハビリに支障が少ないことも特徴です。
また、口からも食べることが出来るため、嚥下訓練を行うことも可能です。
入浴可能
医師の許可があれば、入浴することも可能です。
入浴の際は特別な処置をすることなく、普段通り入浴をすることが出来ます。
カバーをすることなく入浴が出来るため、介護する人の負担軽減にも繋がります。
清潔を保つことは皮膚トラブルの防止にもなりますし、胃ろうが付いている周辺の化膿防止にも繋がります。
誤嚥性肺炎の予防に効果がある
胃ろうは胃に直接栄養を送るため、誤嚥性肺炎の予防に繋がります。
嘔吐物などの胃酸による化学性肺炎の防止にも効果があります。
ただし、唾液等の誤嚥による細菌性肺炎はリスクが上がる可能性がありますが、口腔ケアを行ったり、口から少量でも食事を摂ることで細菌性肺炎のリスクを予防することに繋がります。
胃ろうのデメリット
一方で、胃ろうには以下のようなデメリットも存在します。
手術の必要がある
胃ろうは腹部に小さな穴を開けて設置するため、穴をあける外科手術が必要です。
手術には抵抗がある人も多く、その点がデメリットといえます。
ただ、胃ろうの手術は内視鏡を使って行うため、30分程度の短い時間で終わります。
合併症のリスクも
胃ろうで起こる可能性がある合併症には、汎発性腹膜炎や創部感染症などのリスクがあります。
合併症に関しては胃ろうに限らず、他の経管栄養法でも発生する可能性はあります。
むしろ、胃ろうの場合には合併症のリスクが他の経管栄養法よりも少ないとされています。
口腔ケアが必要
口から食べる機会が減少することで、口臭や細菌の増加など、口腔トラブルが発生しやすくなります。
こうした口腔トラブルは、食べる機会が減ることで唾液の分泌が減り、自浄作用が低下することで起こります。
口腔内のトラブルを防ぐためにも、適切な口腔ケアを行うことが大切です。
逆流することがある
胃に注入する栄養剤は液体のため、逆流する可能性があります。
逆流してしまうと誤嚥に繋がることもあるので、栄養剤を注入している最中と、注入後は30度以上上半身を起こしておく必要があります。
また、体質的に胃に入れたものが逆流しやすい症状を持っている人もいます。
このような場合は、とろみのついた栄養剤で症状が抑えられる場合があります。
胃ろうの設置は本人の意思確認も重要
日本の胃ろう利用者は25万人以上とも言われており、世界的に見ても日本は胃ろう患者が多いことが知られています。
ただ、日本では胃ろうを望まないとする人が8割以下と少ない傾向があり、本人の意思と尊厳の重視に注目されています。
胃ろう設置の最大の目的は生命維持であることが大半ですが、決して胃ろうが延命治療とは断言できません。
胃ろう患者の介護施設受け入れも増えてきたため、介護施設入居にあたって胃ろうの選択肢を辞めるという必要性はほぼ無くなりました。
そのため、本人の意思をしっかり確認し、家族も納得した上で検討することが大切です。
胃ろうが必要な方の介護施設の入居条件
胃ろうは医療行為のひとつで、2012年までは主に看護師が行うケアでした。
現在は、看護師などの医療従事者以外に、家族や所定の研修を受けた介護職員が胃ろうの対応が出来るようになりました。
とはいえ、どの介護施設でも受け入れられるわけではありません。
胃ろう患者が断られる理由には、
- 看護師が日中、もしくは24時間常駐がない
- 介護職員への研修が進んでいない
- 胃ろう患者のための設備が整っていない
このような理由から断られることがあります。
胃ろうの方が施設を探す場合には、検討段階から胃ろうを使用していることを伝え、入居後安心して暮らせる環境かどうかをしっかり確認することが大切です。
胃ろう対応可能な介護施設選びで重視する点
それでは実際に、胃ろうの方が施設選びをする場合、どのような施設を選ぶべきか紹介していきます。
口腔ケアに精通している
胃ろうの方で、口から食べる機会が減ると、口腔内の状態が悪くなりがちです。
口から食べる機会が減ることで、口の中を清潔に保つ重要な役割を持っている唾液の分泌が減るためです。
口の中に細菌が繁殖すると、虫歯や口内炎になったり、口臭の原因になったりします。
肺炎にかかる可能性などもあります。
そのため、口腔ケアによって口腔内を清潔な状態に保つ必要があります。
口腔ケアをしっかり行っている施設を選ぶ基準にしましょう。
入居者の体を清潔に保とうとしている
胃ろうを設置していると、入浴が出来ないイメージがあります。
実際には胃ろうに特別な保護をしなくても、普段通り入浴をすることが出来ます。
入浴後も、胃ろうを入れ替えたり、消毒をしたりすることなく、普段通りのケアで充分です。
むしろ、胃ろうが不潔な状態になると、感染症などの心配もあります。
そのため、身体を清潔な状態に保つ必要があり、入浴や清拭によって体を清潔に保とうとしているかどうかは、必ず確認が必要です。
栄養剤にこだわっている
胃ろうで使われる栄養素には、タンパク質が分解された状態で含まれる「消化態栄養剤」と、分解前のタンパク質がそのまま含まれている「半化態栄養剤」の2種類あります。
この2種類の栄養剤から、胃ろうを設置している方の消化能力などを見て、どの栄養剤を使用するか、医師や看護師と連携をとりながら選択してくれる施設が望ましいです。
また、胃ろうの方にとって栄養剤等の補給は健常者の食事と同じです。
胃ろうのチューブに詰まらないように注意して調理されたものであれば、医師の診断の元、何を入れても大丈夫です。
普通の食事を作るように調理したものや、野菜ジュース、スポーツドリンクなども入れることが出来ます。
こうした胃ろうの方の"食事"にも気を配っている施設であれば、安心することが出来ます。
この記事は医師に監修されています
中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長
中部療護センター長
岐阜大学連携大学院脳病態解析学分野 教授(客員)
矢野 大仁(やの ひろひと) 先生
1990年岐阜大学医学部卒業、医学博士。大雄会病院などの勤務を経て、学位取得後、2000年から岐阜大学医学部附属病院脳神経外科助手。2010年 准教授、2013年 臨床教授・准教授、2020年4月 中部療護センター入職、2024年4月から現職。日本脳神経外科学会専門医・指導医、日本脳卒中学会専門医。脳卒中の他、脳腫瘍、機能的脳神経外科など幅広い診療を行っている。患者さんが理解し納得できるようにわかりやすい説明を心がけている。
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