【医師監修】高齢者の足のむくみの原因は何?慢性下肢浮腫の症状や予防・対策法を紹介

この記事は医師に監修されています

中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長

矢野 大仁 先生

「高齢者の足のむくみはどのように解決すればいいの?」

「高齢者の足のむくみの原因について知りたい!

このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?

高齢者になると足がむくみやすくなりますが、様々な原因が考えられます。

治療が必要な病気以外にや薬が関係していたり、生活習慣が影響していることもあります。

こちらの記事で、高齢者の足のむくみの原因や予防法について解説していくので、参考にしてください。

高齢者の足のむくみについてざっくり説明すると
  • 大病が原因のこともあるので軽視しない
  • 両足でも片足でも、足のむくみが取れない場合は医師の診察を受けよう
  • 適度な運動やマッサージを行い、血行を促進しよう

高齢者の足のむくみとは?

足のむくみは高齢者の約1割にみられ珍しいことではありません。

高齢者ならではの体の変化や生活習慣がもたらす特有のむくみもありますが、ほっておいてはいけない病気によることもあるので軽視してはいけません。

足のむくみが起こる原因

こちらのトピックでどんな原因があるのかみていきましょう。

病気によるもの

足のむくみが生じる病気には命に関わる病気が多く、具体的には下記のようなものが挙げられます。

両足にむくみが出る病気

  • 心不全
  • 腎不全、ネフローゼ症候群
  • 甲状腺機能低下症
  • 肝硬変
  • 低栄養

心臓や腎臓、肝臓などの臓器の病気によるむくみは顔や手などにもあらわれやすいのが特徴です。足以外のむくみや息切れ、むくみの悪化があるときにはためらわず受診しましょう

片足にむくみが出る病気もある

  • 下肢静脈瘤
  • 深部静脈血栓症
  • 麻痺性浮腫(片麻痺の患側)
  • リンパ浮腫

いずれの病気にしても詳しい検査が必要なこともあります。 痛みや、発赤、局所の熱感を伴う場合には深部静脈血栓症の可能性があります。命に関わることもありますので、速やかに病院を受診しましょう。

薬によるもの

高齢者には複数の薬を服用している方も少なくありません。

解熱鎮痛抗炎症剤や降圧薬などを服用することで足がむくむことがあります。これらの薬を服用開始後にむくみがあらわれた時は、内服薬を自己中断せず、早めにかかりつけ医に相談しましょう。

生活習慣等のその他の原因

特に体調に変化がないのに慢性的に足がむくんでいるときには、生活習慣の影響が原因のこともあり、活動性の低下した高齢者に多くみられます。

この慢性下肢浮腫は、生活習慣によるもののため検査を行っても異常は見つかりません。

では、どんな生活習慣がむくみに繋がるかを知っておきましょう。

長時間座り続けている

高齢になると身体を動かす機会が減り、どうしても椅子や車椅子に座って過ごす時間が長くなってしまいます。

関節障害、麻痺など歩行障害がある方は特にその傾向が強くなります。

下肢の血流はふくらはぎの筋肉が収縮する力によって足首から心臓へと戻るため、足が動かない状態が続くと下肢の血流が滞るのです。

血流が滞ると余分な血液が下肢に溜まってしまい、血液中の余分な水分が血管外へ漏れ出すことでむくみに繋がってしまうのです。

そのため、座ったままでも足首を動かす時間を作るなど、血流を促進しましょう。

歩行が十分にできていない

筋力が低下していたり膝や足首の関節状況が悪いと、歩行の際に悪影響が出てしまいます。

パーキンソン病のように歩行障害を患っている方は小刻み歩行やすり足歩行になってしまうことがあるので、ふくらはぎの筋肉をしっかりと動かすことができません。

このように上手く足が上がらず、すり足で歩行される方は、下肢の血液を押しあげるというふくらはぎの機能が十分に発揮できず、むくみやすいと言えるでしょう。

パーキンソン病については、以下の記事でより詳しく解説していますので、こちらも併せてご覧ください。

【専門家監修】パーキンソン病のリハビリ方法は?リハの重要性や自宅でできる運動も解説

長時間立ち続けている

長時間に渡って足を動かさずに立ちっぱなしでいることで、むくみを引き起こしてしまいます。

特に、1人暮らしの高齢女性に多くみられる事例なので該当する女性は要注意と言えるでしょう。

高齢者になると身体能力が衰えてしまい、一つ一つの作業に時間を要してしまうことが多く、自然と長時間立ちっぱなしになってしまいます。

料理などの家事をこなす際に無意識の内に立ちっぱなしの時間が増えてしまうため、下肢の血流が滞ってしまうのです。

そのため、家事を行う際には長時間同じ姿勢で立ち続けないように適宜休憩を取り入れたり、屈伸運動を行うと良いでしょう。

塩分の多い食生活

体内の塩分濃度は常に0.9%に保たれており、これは体内の細胞が生きるための適性濃度です。

そのため、塩分を過剰に摂取してしまうと体内の塩分濃度を薄めようとして、水分の排出が抑えられてしまいます。

つまり、体内に水分を溜め込むようになることから、塩分の取りすぎはむくみに直結します。

塩分量を抑えることは高血圧対策にもなるので、むくみが気になる方は日頃の食事を見直してみましょう。

足のむくみが日常生活に与える影響

足がむくんでしまうと、日常生活に様々な悪影響を与えてしまいます。

下記の内容を参考にして、足のむくみを放置することの危険性についても知っておきましょう。

足のむくみは悪化するまで気づかないことも多い

慢性下肢浮腫の問題点は、症状に気付きにくいことです。

むくみが進行して足がパンパンに腫れ上がったり強い痛みが生じるまで本人も周囲も気づかないことが多く重症化した段階で初めて病院を受診するケースも少なくありません。

軽度の段階でむくみの症状に気付き、適切な予防を行うことでむくみの進行を食い止めることが可能となります。

早めの対策が重要

慢性下肢浮腫を「ただの足のむくみ」と軽視するのは危険です。

むくみが重症化すると、足が重くなったり痛くなったりして自力で歩くことが困難になってしまい、運動機能が低下しかねないからです。

最期まで自分の足で歩くことができることは豊かな老後を送る上でとても大切なことなので、本人だけでなく家族もサポートしてあげましょう。

例えば、親族の高齢者が「長時間座りっぱなしになっていないか」「立ちっぱなしで家事をしていないか」など、日頃から気にかけて慢性下肢浮腫の悪化を防ぐように心掛けましょう。

菌が入って悪化しやすい

むくんでいる状態だと、リンパの流れも悪くなってしまいます。

リンパには体内に侵入してきた菌を対外に排除する役割があるため、むくんでいる状態が続くと体調の悪化に繋がりやすいことになります。

むくんだ足は傷つきやすくなります。傷から菌が侵入すると、炎症が拡がりやすく蜂窩織炎に進展し、治療が必要になることがあります。

体が冷えやすくなってしまう

手足が冷えやすい高齢者では、冷えによる血行不良でむくみやすくなりますが、その結果さらに足先の冷えが悪化しやすい悪循環があります。

高齢者にとって身体の冷えは大きな問題で、心身の動きを悪化させてしまう恐れがあります。

血行が悪くなると筋肉もこわばりやすくなり、身体機能を下げる要因となってしまうでしょう。

足が動きにくくなり歩行に支障が出る

むくみが強くなると足が重くなったり、膝や足首の動きが悪くなり歩行に支障が出ます。

膝や足首は、起立や歩行のバランスを取る上で重要な役割を果たしている関節であり、動きが悪くなると転倒のリスクが高くなってしまいます。

高齢者にとって、転倒は骨折などを引き起こす重大なアクシデントなので、間接的にむくみが寝たきり状態に導いてしまうことになります。

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足のむくみの予防・対処法

それでは、生活習慣による足のむくみを予防・対処する方法について解説していきます。

意識的に実践して、健康的な生活を送れるようにしましょう。

マッサージをしよう

マッサージを行うことで血行が促進されるので、むくみ予防や改善に大きな効果が期待できます。一例を紹介します。

つま先から足首のマッサージ

つま先から足首のマッサージを行うことで、足首の関節をほぐす効果も得られます。

  1. 足首を軽く回す
  2. 足の甲と裏の両面をつま先から足首に向けてさする
  3. 左右5回ずつさすり、2セット行う

足首を回す際には、ゆっくりと行うことが大切です。

アキレス腱マッサージ

アキレス腱は大きな腱なので、意識的に動かすと良いでしょう。

  1. 椅子に座ってアキレス腱を親指と人差し指で挟む
  2. 10秒ほど揉み解し(強すぎないように注意)、ふくらはぎを膝裏までこすりあげます
  3. これを左右10秒2セット行う

4簡単にできるので、ぜひ実践してみましょう。

膝裏のマッサージ

膝裏にはリンパがあるので、こちらを刺激するのも効果的です。

  1. 椅子に座って両手で膝を挟むように持つ
  2. 両手の指全体を使って心地よい強さでマッサージ
  3. これを左右10秒2セット行う

こちらも、座りながら簡単にできるのでおすすめです。

足の外側のマッサージ

次は、足の外側のマッサージ方法です。

  1. 椅子に座って両掌を外くるぶしに当てる
  2. そのまま掌を足の外側を膝に向かってさする
  3. これを左右10秒2セット行う

さすることで熱を感じ、結構の促進を感じられるでしょう。

足から腰のマッサージ

腰周辺に痛みを感じている方は多いですが、これを機にマッサージしましょう。

  1. 椅子に座って両掌を太ももの外側に当てる
  2. 膝から足のつけ根に向かってさする
  3. これを左右10秒2セット行う

足の外側のマッサージに続けて行ってみてください。

足のつけ根のマッサージ

続いて、足のつけ根のマッサージについて紹介していきます。

  1. 椅子に座って、両手の親指を足のつけ根に当てる
  2. 両親指で足のつけ根を指圧する
  3. これを左右10秒2セット行う

足のつけ根は普段意識しないポイントなので、適度に刺激してみましょう。

着圧ソックスを履こう

足のむくみは、夜寝ている時間よりも日中起きてい時間帯に悪化します。

特に、高齢者の慢性下肢浮腫は実際にむくみが起きる前に防ぐ必要があることから、日中起きているときにむくみ予防の着圧ソックスを履くと良いでしょう。

着圧ソックスは市販のものでも十分な効果が期待でき、ドラッグストアなどで購入することが可能です。

就寝時のむくみを改善する目的の商品が多いですが、高齢者の場合は日中に使用するのもおすすめです。

自力での着用が難しい場合は、必要に応じて家族が手伝って履かせてあげましょう。

足とお尻を同じ高さにして椅子に座ろう

椅子の上に足を乗せて座る

椅子に座っているときは、上記のイラストのように足をお尻と同じくらいの高さに上げると良いでしょう。

足先がお尻より低い台に足を乗せているだけではむくみ予防の効果は期待できないので、イラストのように足と同じくらいの高さの椅子などを用意してください。

しかし、実際には椅子に座る度にわざわざ足を上げる動作が億劫で、なかなか実行できないのが現実です。

リクライニングして座る

そのため、普段座る椅子をソファーやリクライニングチェアにして、上の図のように、自然と足を上げられるような生活環境を整えると良いでしょう

塩分や水分の摂りすぎに注意する

塩分の多い食事はむくみの原因となるため、塩分や水分の摂りすぎには気を付けましょう。

普段気にしないと塩分は過剰に摂取しがちで、減塩の意識が重要です。

また、むくみを解消するためには塩分を水分と体外へ排出してくれる作用のあるカリウムや、毛細血管を拡張して血行促進を促すビタミンEなどを積極的に摂取するするのがおすすめです。

その他、高齢になると不足しがちな蛋白質や偏食によるビタミンB1不足もむくみの原因になりますのでバランスの摂れた食事を心がけることが必要です。

カリウムを多く含む食材は、

  • 海藻
  • バナナ
  • りんご
  • キュウリ
  • かぼちゃ
  • いも類
  • きのこ

ビタミンEを多く含む食材は、

  • ナッツ類
  • ツナ缶

蛋白質を多く含む食材は、

  • 肉類
  • 魚類
  • 乳製品
  • 大豆製品

ビタミンB1を多く含む食材は、

  • 豚肉
  • ごま 上記のものが代表的です。

意識的に摂取するように心掛け、普段の食事に取り入れてみましょう。

セルフチェックも行おう

むくみのセルフチェック方法があるので、定期的に試してみてください。

すねの骨の内側を10秒程度押してみましょう。

通常であればすぐに凹みが元に戻りますが、むくんでいる状態だと指で押してできた凹みがなかなか戻りません。

高齢者だけではなく、ここ数年は在宅勤務が進み結果的に運動不足の状態になり、年齢に関係なく足のむくみに悩んでいる方は増えています。

先述したように、足のむくみには病気が隠れている場合もありますが、こちらの記事で紹介した予防法を実践することは非常に重要と言えるでしょう。

高齢者の足のむくみまとめ

高齢者の足のむくみまとめ
  • 症状が悪化するまで気づかない方が多いので、こまめにチェックすることが重要
  • むくみには治療が必要な病気が隠れていることもある
  • むくみを放置すると多くのデメリットがある
  • 様々な予防法や対策があるので、こまめに実践しよう

足のむくみは軽視されがちですが、重篤な病気が隠れていたり、生活習慣によるものであっても放置すると様々な病気や身体機能に影響することもあります。

両足のむくみでの片足のむくみでも、なかなか解消しない場合は医師に相談することをおすすめします。

早めの対策をすることで健康寿命を延ばせるので、日頃から気にかけてみましょう。

この記事は医師に監修されています

中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長
中部療護センター副センター長
岐阜大学連携大学院脳病態解析学分野 准教授(客員)

矢野 大仁(やの ひろひと) 先生

1990年岐阜大学医学部卒業、医学博士。大雄会病院などの勤務を経て、学位取得後、2000年から岐阜大学医学部附属病院脳神経外科助手。2010年 准教授、2013年 臨床教授・准教授、2020年4月から現職。日本脳神経外科学会専門医・指導医、日本脳卒中学会専門医。脳卒中の他、脳腫瘍、機能的脳神経外科など幅広い診療を行っている。患者さんが理解し納得できるようにわかりやすい説明を心がけている。

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